マーケット心理学 - アルフィックス

第 4 回アルフィックス社内セミナー
第 4 回アルフィックス社内セミナー
『マーケット心理学』
【マーケット アナリスト】
林 康史氏
2003/10/25 本社会議室
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第 4 回アルフィックス社内セミナー
目次
セミナー内容 .......................................................................................................................................... 3
推奨著書とまとめ................................................................................................................................... 5
はじめに
林康史氏に関しては、著作も多く、講演会などの活動でご存知の方も大変多いと思います。また、当
社の講演会でもご講演頂いたこともあります。林氏はテクニカルアナリストだけではなく、日本のマー
ケット心理学の第一人者としても著名です。特にマーケットと心理学の関わりを、誰にでもわかりやす
く解説した著作も多数あり、マーケットに携わっている人ならば誰もが共感し、納得しうる学説を発表
されています。
セミナーの趣旨
今回当社の主に営業マネージャーを中心として、マーケットの見方、考え方、心理学を研究し、今後
ますます混迷を深めていくであろう相場の世界に自信を持って各人が対応し努めるべく社内セミナー
を催した次第です。また、今回のセミナーで得た研究が、お客様への懇切な対応につながることができ
れば幸いと思っております。
林康史氏のプロフィール(最近の著作より抜粋、2003 年 11 現在)
大阪大学法学部卒。メーカー、生命保険を経て、投資信託勤務。
東北経済大学(中国大連)客員教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科非常勤講師を兼任。
会社員の傍ら、修士(法学・東京大学)取得。現在一橋大学大学院法学研究科博士過程に在学。おそ
らく、一橋大学はじまって以来の学生兼教官との噂。
著書および訳書:
『相場としての外国為替』
、
『欲望と幻想の市場 伝説の投機王リバモア』
(訳)、
『大投資家 ジム・
ロジャース 世界を行く』
(共訳)
、『はじめてのテクニカル分析』(編著)、
『チャート分析入門』
、金
持ち父さんの投資ガイド入門編・上級編』
(共訳)、
『デイトレード』
(監訳)、
『市場の法文化』
(共著)
他多数。ビデオに『相場の心理学』Max Value 他。
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第 4 回アルフィックス社内セミナー
セミナー内容
今回のお話は非常に多伎に渡っており、興味深い内容でしたが、とてもすべてをおつたえすることは
できません。簡潔にポイントのみお伝えしたいと思います。推奨本の紹介のところでの林氏の著書を是
非ご参照頂きたいと思います。
①スペクラトゥールとランチエ
イタリアの著名な経済学者であるパレートは、人間には<スペクラトゥール>と<ランチエ>の2
つのタイプがあると述べている。
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スペクラトゥールとは…英語で言うスペキュレーター(投機家)のラテン語。突っ込んで考え
る人のことをいう。行動的には能動的で、会社の中で例えれば、経営者や管理職がこれにあた
るとされている。
ランチエとは…ラテン語で年金生活者。すなわち誰かから何かをもらうのを待っている(ある
いは期待している)人のタイプ。行動的には受動的であり、自分からは動かない。典型的なサ
ラリーマンタイプ。
相場の世界では、スペクラトゥールのタイプが望ましいのは当たり前だが、これからの時代、個人
個人がランチエからスペクラトゥールタイプの人間になっていくことは非常に大切なことでもある。
②アッシュの同調
人間は常に合理的なのだろうか。アッシュというアメリカの心理学者がある実験をおこなった。3
の長さの異なった線を引いた一枚のカードと、その中の線と全く同じ長さの線を一本だけ引いたカー
ドを用意した。そして、30 人のうち、29 人のサクラを集めて、全く長さの違う線を 29 人全員が指摘
するというもの。明らかに答えは誰が見ても正解がわかるようになっているが、サクラは明らかに長
さの違う線同士を結びつけた。そしてサクラではない残った一人の被験者はどういう反応を起こすか、
というドッキリカメラのような実験だった。実験結果は 3 割の人が明らかに間違っているサクラと同
じ答えを述べ、残りの正解者もほとんど自信なく冷や汗を掻きながら正解を述べたのである。この実
験結果から、人は白であっても黒といいうる<同調>という行動をとる可能性があるという説を唱え
たのが<アッシュの同調>である。市場で流れる材料の反応に、安易に同調したりするのも同調の一
つである。
③美人投票のアナロジー
経済を予測するのは、美人投票と同じだと唱えたのはアメリカの経済学者ケインズである。100 人
の女性の中から、美人だと思う 6 人の美女を選ぶというもの(1930 年当時新聞などでよくおこなわ
れていた)
。もちろん投票する人は自分の好みに関係なく、世間はあるいは、自分以外の他人は誰を
選ぶだろうかと推測しながら、6 人を選ぶわけである。そして多数と一致すれば正解である。この場
合、自分の好みなど問題ではない。マーケットにおいても市場はどう反応するだろうかということを
考えることが、実に大切な要素である。自分はこうするということよりも、マーケットに参加してい
る人はどう行動するかと予測することの方が大切なのである。
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④認知的不協和音(自分をごまかす心理)
例えば、自分が良いと思って買った車(家、パソコン何でもよい)が、他人から批判された時どう
感じるだろうか。おそらく、不快な思いをするに違いない。だから最初から他人の意見や批判など聞
かないようにした方がいいと考えるだろう。自分がいいと思ったこと以外のことは聞きたくないとい
う心理状態が<認知的不協和音>である。相場の材料の捉え方においても、自分がこうだと思い込ん
でしまうと、他人の意見など耳に入らなくなる。相場の世界に身を置くものとしては、十分心得てお
きたいところではないだろうか。
⑤プロスペクト理論(損切り出来ない心理)
米国の行動経済学者カーネマン(2002 年ノーベル経済学賞)と同じく行動経済学者トヴァスキー
が唱えた理論。
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人は確実な利益を好む
利益を受ける場合は、リスクを避けようとし、損失を被る場合はリスクをとろうとする。
表現方法によっては選択を変える傾向がある。
(場合によっては、明らかなギャンブルを選
ぶ場合も有りうる。
)
この理論では相場における難平(最初に建てた玉が損勘定になった場合に、上乗せて建て玉するこ
と)する心理を指しているといってもよい。利食いは早くなる(持ちつづけるリスクはとりたくない)、
損勘定の玉は出来るだけ切りたくない(持ちつづけるリスクがあっても、もとに戻る、あるいはそれ
以上になるというハイリターンにかけてみたい)という心理がそれである。こういう行為を避ける為
には、<できるだけ合理的に考える>という思考行動をとるべきである。
⑥自己との対話
これは、相場だけのことに限らず応用の効くことである。自分が何かに悩んだり、相場で言うと買
いか売りかで悩んだりしている場合、自分以外にもう一人の自分を置いてみることが必要であるとい
うことだ。客観的に見ているもう一人の自分なら、現在の自分に対して何とアドバイスするであろう
かと考えることである。囲碁で言う傍目八目はまさにこのことを言っている。自分が客観的に、外か
ら眺めた場合、意外に新たな発見なり、アイデアが浮かぶことがあるのだ。
⑦彼を知り己を知る
ここでは、敵を知りと言い換えても差し支えないだろう。自分が相場における買い方として、売り
方ならばどうするだろうかと考えた方が自分の作戦を建てやすいものである。ジョージソロスが、ド
ルを買っているらしいという情報が流れたとしよう。この情報は本当かうそかを考える前に、自分が
ジョージソロスだったらどうするだろうかと考えることが、解決へ近づく道である。これは、社会問
題などを考える時でも同じことである。自分が総理大臣だったら、日銀総裁だったら、米国大統領だ
ったらどうするだろうかと考えていくことが必要なのである。
以上がポイントの説明ですが、これはあくまでもまだまだサワリの部分です。わかりやすいところだ
けをご紹介させていただくことに
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第 4 回アルフィックス社内セミナー
推奨著書とまとめ
今回のレポートの詳細は、以下の林康史氏の著書をご参照下さい。
タイトル 『マネーの心理学』 林康史 編 マネーアン&ライフ研究会 三笠書房
今回の社内セミナーは、これまでの研修会に比べまして、マーケットの分析よりもマーケットの心理
そのものを対象とした異色のものでした。今後このセミナーで研修したことを事業活動に大いに活かし
ていきたいと思います。
以上
今回のレポートは、相場での利益を保証するものではありません。売買のご判断はお客様自身でお願いいたします。
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