保健医療経営大学紀要 № 8 75 ~ 78(2015) <学内研究報告> 時間学研究会の歩み(その二) 松永 伸夫* 1.はじめに 発表② 松永伸夫会員「キリスト教の時間、「伝 筆者は、紀要第6号において、保健医療経営大学内 道の書」第3章にふれて」、参加者6名 で活動中の「時間学研究会」(2013 年 1 月発足)につ <第 17 回 7月 17 日> いて、その設立経緯と歩みを「時間学研究会の歩み」 発表者:橋爪章教授「異文化理解と戦争回避~ヒン と題して発表した。 ズーとイスラムの理解~」、 参加者6名 今回はその続編として、研究会のその後の活動状況 <第 18 回 8月 21 日> と現況について報告し、併せて今後の展望と抱負を述 発表者:伊達卓二教授「プロジェクトマネジメント~ べたい。 時間を可視化して情報を共有する~」、 参加者6名 <第 19 回 9月 18 日> 2.第 11 回以降の活動報告 発表者:辻正二教授「鈴木榮太郎の社会学的世界と時 (第 10 回までの活動記録は、 『保健医療経営大学紀要』 第6号に記載)(注1) 間学」、 参加者6名 <第 20 回 10 月 23 日> 発表者:松永伸夫会員「児童文学書『モモ』における <第 11 回 2014 年1月 21 日> 「時間」を考える(その1)─映画「モモ」(DVD)の字 出席者全員で、紀要原稿「 時間学研究会の歩み 」の 幕スーパーをたどりながら─」、 参加者4名 推敲。参加者5名 <第 21 回 11 月 20 日> <第 12 回 2月 18 日> 発表者:橋爪章教授「天文年間」、 参加者5名 発表者:辻正二教授「高速社会における高齢者の適応 」、 <第 22 回 2015 年1月 22 日> 参加者5名 発表者:中村寛樹講師「フットパスによる地域活性化 <第 13 回 3月 18 日> 効果の可視化と評価」、 参加者6名 発表者:内田和実准教授「観光・ツーリズム研究にお <第 23 回 3月 19 日> ける時間の捉え方に関する一考察 ─ 時間学研究の 発表者:松永伸夫会員「随筆「宿題としてのキリスト 1つの地平についての小試(私)論─ 」、 参加者5名 教」(橋爪大三郎)に学ぶ(その1)讃美歌」、 参加 <第 14 回 4月 22 日> 者4名 発表者:木下宏一講師「日本海軍と時間 」 、 参加者6名 <第 24 回 4月 22 日> <第 15 回 5月 15 日> 発表者:辻正二教授「みやま市民の地域課題とコミュ 出席者全員で、 「日本時間学会」第6回大会(6/7 ~ 8)の、 ニティ分析 」、 参加者6名 開催会場校としての諸準備他について、打ち合わせと <第 25 回 5月 27 日> 確認を行った。 参加者6名 発表者:松永伸夫会員「実働時間と契約賃金─ぶどう <第 16 回 6月 20 日> 園の労働者のたとえ:10 時間労働と1時間労働の賃金 1)出席者全員で、「日本時間学会第6回大会」会場校と が同じという信じがたい話 」、 参加者6名 しての反省と評価を討議した。 参加者6名 <第 26 回 7月 22 日> 2)発表① 内田和実准教授「観光・ツーリズム行動 出席者全員によるフリートーキング、 と生命時間(体内時計)の調整機能に関する研究 テーマ: の可能性(メモ)」、参加者6名 1)時間学研究会の歩みと展望 * 保健医療経営大学 時間学研究会事務担当 , 元参与 [email protected] -75- 松 永 伸 夫 2)2018 年問題(特に18歳人口の減少推移)に関連 <「あなたは-“死”なの?」「死が何か それが分か して れば恐れは消える 恐れが消えれば時間が盗まれる事 3)その他、 はない」> 参加者6名 <「 こ の 世 に い る 人 の 時 間 が こ ん な に 大 き い な ん て 」 <第 27 回 9月 16 日> 「君が見たのは人の時間じゃない 君の時間だ」「では 発表者:山下智佳准教授「「信頼」概念の科学的根拠を 考える─自然科学の成果の援用から」、 参加者5名 私はどこにいたの?」「君の心の中だ」> (後略) (注 5) <第 28 回 10 月 21 日> 発表者: 橋爪章・前学長「看取りについて」、 参加者8名 4)研究発表後の質疑応答他 <第 29 回 11 月 19 日> ・『モモ』 は小学校高学年、中学生向けのメルヘン的 発表者: 辻正二教授「時間政策の貧困と平和」、 参加 内容の児童文学書である。 者4名 ・時間論の対象として突き詰めていくと、物足りない。 ・哲学者の中にも『モモ』を研究しているひとがいる。 3.時間学研究会活動の一コマから ・ 映画が「夜汽車」から始まっているが、時間は夜か 第 20 回研究会(2014 年 10 月 23 日)では、「児童 ら始まる。 文学書『モモ』における「時間」を考える(その1) ・『モモ』は、合理主義社会の行き着くところはどうな ─ 映画「モモ」(DVD)の字幕スーパーをたどりなが るのか、という結論を先取りしている。 ら─ 」とのタイトルで、筆者が発表を担当した。 ・生活時間を合理的に活用しようと勧める「灰色の男」 たちの動きは、今の時代にマッチしていていいのでは 1)研究会の発表概要 ないか? 児童文学書『モモ』の目次(注2)と、映画「モモ」 ・『モモ』には、いろんなメッセージが含まれている。 の各場面テーマ(注3)とを対比させながら、 『モモ』 ・他 のあらすじと著者の紹介をした。また、映画「モモ」 に見る「時間」の紹介があった。 4.日本時間学会第6回大会について 1)日本時間学会第6回大会の開催概要 2)「モモ」との出会い ・開催月日:2014 年6月7~8日、 筆者と「モモ」とのつながりは、平成の初め頃、長 会場:保健医療経営大学(みやま市) 崎市のミッション系の学校法人に勤務していた時に溯 る。中高の朝の礼拝で校長先生(牧師)が、生徒に話 ・ 「時間学公開学術シンポジウム 2014」 (6月7日(土)) されたベッポ(毎日の道路掃除を天職として励んでい メインテーマ:「体内時計の効果的な活用は可能か る老人)とモモ(一緒にいる人をこころ豊かにする、 ─学習・スポーツ・仕事への生かし方」 不思議な力をもっている女の子)の会話の場面であっ 全6テーマの発表(注6) た。「道の長さを一度に考えるからいけないのだ。一 歩一歩の事だけを考えればいい。いつも一歩ずつ、一 ・自由報告:両日に、全 13 テーマの発表 息ずつそれだけを考えて進む。そうすれば楽しい、そ (本学関係者による報告は、次の通り) うすれば何をしても上手にできる、それを忘れぬ事だ。 6月7日(土) 気がつくと君は終点に着いている。」(注4) 木下宏一会員:「時間学」から読む 太平洋戦争─ 筆者は、時間を作っては、住まい近くの公園に知人 安岡正篤と日本海軍─ とともに植えた芝桜の手入れを、また職場の築山の草 6月8日(日) 取り作業等を行っている。苦にならず却って楽しみな 内田和実会員:観光・ツーリズム 研究における「時 がらこれらの作業ができているのは、このベッポの言 間」の捉え方に関する一考察 葉が筆者にとって伏流になっているのかもしれない。 3)映画「モモ」に見る「時間」の紹介(抽出) <時間って何なの?とても、ふしぎなものね 絶えず 鳴ってるのでかえって聞こえない音楽のようね でも 時々聞こえるわ 静かにそっと流れているその音が…> -76- 時間学研究会の歩み(その二) 1.性別 2.年齢 3.住まいの地域 4.職業 5.シンポジウム開催を知った媒体他 6.参加し てみようと思った理由は? 7.内容はどうでしたか 8.時間学研究所主催のシンポジウム・セミナー等 への参加回数 9.次回セミナーへの参加意思 10.今回のシンポジウムで興味をもった講演題目は? 11.興味ある分野を教えてください(次回講演の内 容として) 12.ご意見、感想、次回セミナーへの 要望などあったらご記入ください。 (回答結果) 設問諸項目は平均的なものであり、集計結果には ( 大会終了後の記念撮影、正門前で ) 当然に甘辛混在しているが、そのどれからも記入者 の一生懸命な気持ちが強く伝わってきた。 特に自分の意見、思いを記入できる、(11)興味 ある分野は?(12)ご意見、感想、次回セミナーへ の要望など、の欄では、その多くが、自分の現在の 生活健康面から、また職場での生活とに関係して、 時間学からまた体内時計からプラスになることを見 つけ出し、汲み取りたいとの気持ちを読み取ること ができた。 筆者も音楽コンサートの折などにアンケートに回 答することがあるが、今回のアンケートに回答して 下さった 73 名の方々ほどに誠実に記入したことが あっただろうか、と反省させられた(なお、シンポ ジウムへの参加者は 140 名ほどであった)。 (シンポジウム会場内の様子) 4)会場校としての任務を終えて 2)「時間学公開学術シンポジウム 2014」から 自然豊かな田園風景が広がる筑後の大地「みやま」 会場の大講義室(収容人員 200 名)はほぼ7割方が である。ここでは「時間」もまた、ゆったりと推移 埋まり、大会関係者 40 余名と本学学生5名(マイク しているのではないだろうか。このような環境の中 係他の応援)のほかは、参加者の多くが地元みやま で、今回のシンポジウムでは多くの地域の人たちと 市民はじめ一般の人たちの参加であった。 一緒になって、「時間」を多くの観点から考えるこ テーマ「体内時計の効果的な活用は可能か─学習・ とができたと思う。 スポーツ・仕事への生かし方」は、多くの人の心を 掴んだようである。 5.おわりに 6人の講演者による演題発表の 都度、多くの質 時間学研究会の活動は、この3年間、会員数は横ば 問が続いた。 い(注7)であるが、毎月の研究会活動を中心にして 例えば、「体内時計とスポーツ」とのテーマを発表 地道にその歩みを進めて来ている。学外にあっては、 した講師へは、高校運動部の指導教師から次のよう 日本時間学会の諸企画等にも積極的に参加しており、 な具体的内容でのアドバイスを求める質問があった。 今年度山口大学で開催(2015 年6月6、7日)された ( 質 問 )「 早 朝 練 習 に 際 し て 、 体 内 時 計 を スポーツ 日本時間学会第 7 回大会には、本研究会から3人が参 選手強化指導のためにどのように効率的に活用すれ 加した。 ばいいだろうか」。 近い将来、会員個々の論文・研究ノートをまとめ、 研究書として刊行することも可能となるのではないか 3)「体内時計の効果的な活用は可能か─学習・スポー と思う。 ツ・仕事への生かし方─」のアンケート結果から(ア 本研究会を嚆矢として、他にも教職員で構成するこ ンケート諸項目) のような学際的な研究グループが学内で誕生するよう -77- 松 永 伸 夫 になれば望ましいと考えている。 まった町 17. マイスター・ホラのもとへ 18. モモ 本研究会への参加を、今後、地域特に近隣大学の研 の戦い 19. 包囲のなかでの決意 20. 追手を追う 究者(個人・団体)に呼びかけることによって、地域 21. おわり、そして新しいはじまり の文化発展により積極的に寄与していきたいと考えて いる。 (注4)映画「モモ」の、場面5.「長い道」の字幕スー パーより 注記 (注5)映画場面 14.「時間が作られる場所」の、字 (注1)『保健医療経営大学紀要・第6号』(2014 年(平 成 26 年)3月 31 日発行)「時間学研究会の歩み」、 66 頁 幕スーパーより (注6)シンポジウムの主旨と講演は次のようであった (大会案内より)。 (注2)『モモ』の目次(ミヒャエル・エンデ作,大島 かおり 訳,岩波書店) 主旨: 第一部 モモとその友だち 快適な睡眠や心の健康などと、とても関係が深い体内 1章 大きな都会と小さな少女 時計。本シンポジウムでは私たちの体に体内時計が備 2章 めずらしい性質とめずらしくもないけんか わっていることを上手に利用することで、仕事・学習・ 3章 暴風雨ごっこと、ほんものの夕立 スポーツ等において効率や能力の改善が可能であるか 4章 無口なおじいさんとおしゃべりな若もの を探ってみたいと思います。 5章 おおぜいのための物語と、ひとりだけのた めの物語 講演: 第二部 灰色の男たち 『体内時計の効率的活用は可能か』 6章 インチキで人をまるめこむ計算 明石 真 (山口大学時間学研究所・教授) 7章 友だちの訪問と敵の訪問 『体内時計が記憶・学習に与える影響』 8章 ふくれあがった夢と、すこしのためらい 栗山 健一(国立精神神経医療研究センター精神保健 9章 ひらかれなかったよい集会と、ひらかれた 研究所・室長) わるい集会 『体内時計と心の時間』 10章 はげしい追跡と、のんびりした逃亡 小野 史典(山口大学教育学部・講師) 11章 わるものが危機の打開に頭をしぼるとき… 『体内時計とスポーツ』 12章 モモ、時間の国につく 内田 直 (早稲田大学スポーツ科学学術院・教授) 第三部 <時間の花> 『安全で健康に働くために体内時計を大事にする』 13章 むこうでは一日、ここでは一年 高橋 正也(労働安全衛生研究所作業条件適応研究 14章 食べるものはたっぷり、話はちょっぴり グループ・上席研究員) 15章 再会、そしてほんとうの別れ 『体内時計を考慮した生活習慣マネジメント』 16章 ゆたかさの中の苦しみ 小山 恵美(京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科 17章 大きな不安と、もっと大きな勇気 デザイン経営工学部門・教授) 18章 まえばかり見て、うしろをふりかえらない と… (注7)2015 年 11 月末現在の会員数は、11 名である 19章 包囲のなかでの決意 (2013 年1月発足時の会員数 :10 名)。 20章 追手を追う (2015 年 11 月 30 日 提出) 21章 おわり、そして新しいはじまり (注3)映画「モモ」の全場面 1. 夜汽車 2. やってきたモモ 3. ニノの店で 4. モモと町の人びと 5. 長い道 6. 航海ごっこ 7. 灰色の男 8. ビビ・ガール 9. 子どもたちの デモ 10. 真夜中の裁判 11. ついておいで 12. ど こにもない家 13. 灰色の男たちのワナ 14. 時間 が作られる場所 15. スターにジジ 16. 変ってし -78-
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