番号 FP01103051 研究課題名 慢性疲労症候群の悪化因子としての喫煙の意義 助成期間 2009-2011 要旨 【目的】 喫煙は、酸化ストレスを介して慢性疲労症候群(CFS)の病因のひとつとな るとの仮説を検証する。酸化ストレスの程度は、血清ビタミン E 濃度で推測した。 CFS の診断には、Fukuda らの診断基準を用いた。 【方法】 京大病院禁煙外来を受診した喫煙者 30 例と、年齢・性別・冠危険因子を マッチさせた非喫煙者 13 例を対象とした。血清ビタミン E 濃度は、高速液体クロマト グラフィを用い、脂質補正を加えて mg/g(総コレステロールと中性脂肪の和)で定 量化した。 【結果】 喫煙群での血清ビタミン E 濃度は、非喫煙群より低値を示した[2.90±0.78 (SD)vs. 3.64±0.81 mg/g・総脂肪]。喫煙群のうち、CFS を合併していた患者は 8 例 (27%)であり、血清ビタミン E 濃度は、非合併群より低値を示した(2.51±0.69 vs. 3.11±0.79 mg/g・総脂肪)。3 ヶ月間の follow-up 前後で、禁煙成功者 13 例では、 血清ビタミン E 濃度の上昇傾向を認めたが(2.75±0.67 vs. 3.04±0.71 mg/g・総脂 肪)、不成功者では変化しなかった。CFS を合併した喫煙者で禁煙成功したのは 2 例で、そのうち 1 例では血清ビタミン E 濃度が禁煙前 1.69 mg/g・総脂肪で禁煙 3 ヶ月後には 2.69 mg/g・総脂肪と上昇し、CFS の症状も改善した。 【結論】 酸化ストレスに曝されている喫煙者には CFS 患者が多く含まれ、禁煙によ って酸化ストレスが軽減し、CFS の症状が改善する可能性が示唆された。
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