1 - 信州大学 高エネルギー物理学研究室(HE研)

ILD電磁カロリメータの
ジェット事象を用いる
エネルギーキャリブレーション
2009.02.12
信州大学大学院
高エネルギー研究室
修士課程2年
柳田 耕司
ILC実験計画
重心系エネルギー500GeVの電子・陽電子衝突
型線形加速器実験。
ヒッグス粒子や新粒子、新現象の発見・精密測定
を目的。
ジェットイベントの精密な測定が必要。
ジェットイベント
(c)2005 Shigemi Numazawa
測定器の概観図
15m
衝突点
7.2 m
中央飛跡検出器
カロリメータ
・中央飛跡検出器
荷電粒子の飛跡と運動量を高い精度で測
定できる。
・カロリメータ
粒子の位置とエネルギーを測定できる。
カロリメータの細分化
・ジェットイベントの精密な測定が重要。
中央飛跡検出器
・荷電粒子
カロリメータ
・中性粒子
・カロリメータでは荷電粒子・中性粒子を測定。
・カロリメータを細分化することで、荷電粒子と中性
粒子を分ける。
バレル
衝突点
750[cm]
エンドキャップ
12角形
325[cm]
カロリメータの概観図
e or gamma hadron
電磁カロリメータ・・・・・・33レイヤー、 タングステン 3mm,
シンチレータ 2mm, 読み出し層
1mm
ハドロンカロリメータ・・・42レイヤー 2, 鉄 20mm,
cm 5mm , 読み出し層
シンチレータ
1mm
MIP(Minimum Ionizing Particle)
ハドロンカロリメータ
特徴1:
エネルギー損失がほぼ一定
基準になる。
電磁カロリメータ
MIP
特徴2:
シャワーを起こさずに突き
抜ける。
選びやすい。
e or gamma
hadron
エネルギーキャリブレーション
A
B
・入射エネルギーが同じ。
エネルギーを落した
セルが違う
・応答が変わってしまう。
e-
e-
・測定されるエネルギーが同じになるように補正をする。
研究目的
91.2[GeV]
細分化された電磁カロリ
メータのエネルギーキャ
リブレーションを行いたい。
91.2[GeV]で多量に発生
するZ→ q q イベントを用
いると、どれだけ時間が
かかるか?
MIP SELECTION
(b)
(a)
(b)
衝突点
1.
2.
3.
4.
(a)
(b)
あるセル(赤いセル)を見る。
赤いセルと同じレイヤーで隣のものが2つ以上ヒットしていないも
の
赤いセルと衝突点を結び、前と後ろのレイヤーでその直線上のセ
ル(星のセル)とその隣のセル(ピンク)のどれかにヒット(3つま
で)
この条件を満たすセル(赤いセル)をMIPとして取ってきた。
MIP
SELECTION
各セルで検出したエネルギー[GeV]
各セルにヒットした数
各セルにヒットした数
MIP SELECTIONをした分布
各セルで検出したエネルギー[GeV]
ランダウ分布をしていることからほぼMIPである
と判断できる。
MIP SELECTION した時の様子
Θ(ビーム軸との成す角)依存
バレル
エンドキャップ
イベント数
124
MPV 0.325±0.012 [MeV]
各セルで検出したエネルギー[GeV]
誤差/MPV[%]
各セルにヒットした数
1セルにどれだけヒットしているべき
か?
セルにヒットした数
1セルに100ヒットすれば5%以内に抑えら
れる。
Z→qqbarの起こる頻度
ルミノシティ L [cm 2 s ] 1
反応断面積 σ [ fb ]
反応の起こる頻度R[ ]は
s1
R= L ×σ
一日にZ→qqbarの起こるイ
ベント数
s
L
σ
R
一日にZ→qqbar
の起こるイベント数
91.2
33
4× 10
7
3.1× 10
124
1070万
200
34
2× 10
4
10
2.0×
0.4
3万5千
500
34
2× 10
3
2.7× 10
0.054
4700
hit
91.2・200・500[GeV]のMIPのhit
数
・91.2[GeV]
・200[GeV]
・500[GeV]
MIP
91.2[GeV] ・・・865万hit (2万イベント)
200 [GeV] ・・・230万hit (2500イベント)
500 [GeV] ・・・460万hit (2500イベント)
MIPのヒット数と1日にZ→qqbarの起こるイベント数から1
日に1セルにヒットする数を求める。
1日で1cellにhitする数
91.2 [GeV] ‥‥ 110 hit
200 [GeV] ‥‥ 0.76 hit
500 [GeV] ‥‥ 0.20 hit
200 ・ 500 [GeV] は 100 hit するのに
それぞれ、 130日 ・ 500日かかってしまう。
200 ・ 500 [GeV] では難しい!!
・1レイヤー
・32レイヤー
1日での1セルのヒット数
各セルにヒットした数
layer(91.2GeV)
2日
Layer
各セルで検出したエネルギー[GeV]
一日で1セルにヒットする数は
2layerは
87hit
33layerは
38hit
まとめ
1セルに100ヒットほど必要。
91.2[GeV]では一日に110hitとれるため、1日間
でエネルギーキャリブレーションを行える。ただし、
深いレイヤーでは2日ほど。
1週間を目安と考えられる。
200・500[GeV]では数百日とかかるため、 エネ
ルギーキャリブレーションを行うことは難しい。
課題
レイヤー依存
・LayerID 0
・LayerID 5
・LayerID 10
・LayerID 15
・LayerID 30
エネルギーキャリブレーション
実際の実験においては、同じエネルギーを落し
たとしてもチャンネル毎に測定されるエネルギー
にばらつきが出てしまう。精密な測定を行うため
には、このばらつきを、基準量を用いて正す必要
がある。
基準量としてMIPを使用した。
θ依存(91.2GeV)
barrel
endcap
・80°~90°
・70°~80°
・60°~70°
・50°~60°
・20°~30°
・10°~20°
バレル
θ
エンドキャップ
IP
MIP ピークの位置がず
れる。
これはシンチレータを通る
距離が変わるため。
hit
2万イベントで1cellにhitする数
(91.2[GeV])
2万イベントのMIPのhit数は
865万hit
ECALの総cell数は
4200万cell
MIPの数
ECALの総cell数 ) は
1cellにhitする数(
0.21hit
少なすぎる!!
MIP
カロリメータ
MIP
カスケードシャワー現象を利用して粒子の位置とエネルギー
を測る測定器のこと。
ミューオンとシャワーを起こす前のハドロンをMIPとして用い
る。
MIP SELECTION
1セル毎にどれだけのMIPのヒット数を得られれば、
エネルギーキャリブレーションを行えるかを見たい。
MIPデータのみを取ってくる。
多少MIP以外のデータも含まれて
はいるが、個々のイベントのヒット
情報を見た結果、ほぼMIPによる
データであると判断。
このデータをMIPのデータとして使
用する。
MIP(Minimum Ionizing Particle )
粒子が物質中を通過する際に、物質との相互
作用によりエネルギーを失う。この粒子の速度
が大きくなると、エネルギー損失はほぼ一定の
値で物質を突き抜ける。このような粒子をMIPと
いう。
エネルギー損失一定
基準になる。
突き抜ける
探しやすい。
重心系エネルギー91.2・200・
500[GeV]でシミュレーション
・反応断面積が大きい
91.2[GeV]を検討。
・重心系エネルギーを変える度に
面倒な調整が必要
実際に実験で使用する
200・500[GeV]を検討。
エネルギーキャリブレーション
・入射した粒子のエネルギーを測
定する。
・セル毎に測定されるエネルギーに
ばらつきがある。
33レイヤー
粒子
・基準量を用いてばらつきを正す。
・エネルギーキャリブレーションを行わないと・・・
・セルは細分化されているため、イベント毎にヒットするセル
が変わってくる。
・イベント毎に測定されるエネルギーが変わってきてしまう。