TEL06(6372)5372 FAX06(6372)5374 E-mail [email protected] h t t p : / / w w w. d j w e b . j p / お か げ さまで20年 本紙は、20年前、偏差値によらない大学選びに資する ことを目的に創刊されました。その後、国立大学の法 人化をはじめとする様々な大学改革に少子化、グロー バル化の進展が加わり、今や漸く、それは受験生の間 に浸透してきたように見えます。昨今注目を集める大 学入試改革はその総仕上げとも言うべきもの。各セク ター間の調整など、まだまだ紆余曲折が予想されます が、次の20年へ向けて、新たな期待が膨らみます。 C o n t e n t s 02 トピックス 1 早稲田大学が入試改革を発表 03 進路のヒント ススメ!理系Ⅱ サステイナブルな建築と街づくりのた めに―空間人類学からの提言 04 ビッグデータで変わる! 法政大学 デザイン工学部建築学科教授 陣内秀信先生 05 IoT を支えるバッテリレス技術を活か 早稲田大学 基幹理工学部情報理工学科教授 山名早人先生 して世の中の役に立つモノを作る 06 京都大学総長と首都圏進学校校長座談会Ⅱ 立命館大学 理工学部電子情報工学科教授 道関隆国先生 07 首都圏高校出身京都大学 1 回生が語る 「大人」 の課題 08 特別寄稿 18歳選挙権と 私たちが京都で学ぶわけ 技術者の学力も低下 偏差値に代わる大学選びの基準として、近年、保護者やマスコミ が注目するのがグローバル化です。しかし加えて重要なのが、受 験生からは見えにくいもう一つのG、すなわちそれらを実現して いくための大学のガバナンスです。耳慣れない言葉ですが、実業 界で言われるコーポレート・ガバナンス(企業統治)を学校法人 や大学組織に当てはめたもので、学長や理事長といった大学トッ プのリーダーシップを確立し、 教育と経営両面の運営体制を組 織として整備することを指します。有力私立大学の中にあって、 逸早く大学ガバナンス改革に取り組み、最近ではイエズス会系の 4つの中学・高等学校との法人統合 ※や、日本英語検定協会と協 長期連載 どうして数学を学ぶの? 第 47 回 飛行機の上昇率と下降率はどちらが大きいのか? 神戸大学 経済経営研究所特命教授、国際教育学会会長 西村和雄先生 島根大学 教育学部数理基礎教育講座准教授 御園真史先生 09 連載 16歳からの大学論 第3回 勉強、その本当の価値 京都大学 学際融合教育研究推進センター 准教授 宮野公樹先生 たな仕組み作り》です。 に 実 現 し てい く た め の 新 りのミッションを効 率的 理念と、法人なり大学な で言うと、 《建学の精神・ バナンス改 革 とは、一言 私立大学にとってのガ 国主導の ガバナンス改革と 私立大学の ガバナンス改革 一般社団法人全国高等学校PTA連合会常務理事・事務局長 池口康夫氏 て、国主導で大学ガバナ 昨年から今年にかけ 建学の精神・理念、 大学のミッション実現のために 発行所 :くらむぽん出版 〒531-0071 大阪市北区中津1-14-2 同で開発した新たな英語資格・検定試験TEAPの導入で話題 雑賀恵子の書評 『日本語の科学が世界を変える』松尾義之著 10 連載 哲子の相談室その 5 要領の悪い私 性を認めています。設置・ 精 神・理 念、ミッション この二つ、つまり 建 学の 大 学 ガ バ ナ ン ス で は、 廃 止 に 係 わる 認 可 と 法 律 が どの よ う に 実 現 さ れ て な運営と教育精神の多様 そ れ に 調 査 に 係 わる 資 料 に 違 反 し た 場 合 の 対 応、 共性を伴ったものかどう いるか、しかもそれが公 提出以外に、関与しなく そのため私立大学に 重要で、いろいろな側面 かをチェックすることが と って は、 建 学 の 精 神・ や 財 務 状 況の 情 報 開 示 と の中でも、大きくは教学 なったのです。 理 念 とミッションの実 現 援の 枠 組の 選 択 を 迫 る と を 促 進 す る た めに 重 点 支 な り、 そ れ が 学 生 や 社 はまずこれが評価軸と でも、私 立大 学について 部機関による認証評価 は 様 々な 形 態 が み と め ら はみな異なり、経営面で 立大学とは違い、設置者 も ちろん 私 立 大 学 は 国 説 明 責 任 が 求 め られる と ンス改 革の一層の推 進が ともに、大学ガバナンス が 極 め て 重 要 で す。 大 ※1 が、背景 いうことになります。 図られました 学に義務付けられた外 に は、2004年 の 国 立 任者という面では、早稲 別々の場合にも、理事長 一 の 人 の 場 合 も あ れ ば、 れます。ガバナンスの責 たア ドミッション・ポリ 会 に 遍 く 知 ら し め ら れて シ ー、カ リ キュラ ム・ ポ が 職 員 出 身 で あ っ た り、 いるか、カリ キュラムや リ シ ー、デ ィ プロマ・ ポ ICU、立 教 大 学 な どの 改 革 を 強 く 支 援 し てい ま そ もそ も国 は私 立 大 学 リシーの3つを一貫 して また創業家出身者や、宗 よ う に 企 業 人 だ っ た り、 大 学の 法 人 化 と翌 年の私 に対して、戦 前、戦 中の 貫いていなくてはなりま 田大学、慶應義塾大学の 行き過ぎた監督行政の反 せ ん。1998年 の 大 学 学生指導に実現されて それがあまり機能して 省もあって、戦後は私学 者であったりします。た すが、私立大学に対して あります こ な かっ た と い う 実 態 が の関係団体等を通じて要 審議会答申『 だどのような形態であ ※2 。 た だ 国 は、 授 会 な ど の 抵 抗 が 強 く、 国 立 大 学 に 対 して は 経 営 望を伝 えることはあって 学像と今後の改革方策に れ、建学の精神・理念や と謳われたときの《個性》 ミッションを実現するた ※ 1 学 校 教 育 法 及 び 国 立 大 学 法 人 法の一部 を 改 正 す る 法 律 が 2015年 月から施行され、学 長 の リ ー ダ ー シ ッ プ が 強 化 さ れ、 そ の 選 考 方 法 が 改 め ら れ た。こ れ に先立ち2014年には、内部規 則等の総点検・見直しの実施が事 務 連 絡 と し て 出 さ れ て い る。ま た 学長裁量経費の増大など、予算的 な裏付けも進められている。 ※2,《・・国立大学法人では, 平成 年の法人化の際に,各大学が, 必ずしも法人化の趣旨を十分に踏 まえた検討が行われないまま,ま た,できる限り円滑な移行を図る ため,教育公務員特例法の適用下 で策定された内部規則等をそのま ま引き継いだ例が,多々見られる。 ありません。 れ てい る こ と に か わ り は え た ガ バ ナ ンス が 求 め ら めの、大学の組織を踏ま 役 立っていることを証 明 を通じて、社 会に対して の安定性と教育の質保証 要で、そのためには経 営 に は 公 共 性の 裏 付 け が 必 独 自 性 といっても、それ た り し て も い け ま せ ん。 失ったり、独 善 的になっ て 財 務 的 に 社 会の 信 頼 を ます。定員割れを起こし 上、そこには責 任が伴い 的運営が認められる以 一方 で、 自 主 的・ 自 律 あるのです。 を、具現化するものでも 教 団 体の 設 立 母 体の 代 表 者として、ミッションの も、直接の指導は避けて の中で、個性が輝く大学」 ついて』で「 競 争 的環 境 世紀の大 再定義を求め、機能分化 尊重し、自主的・自律的 きました。その独自性を 立 学 校 法 改 正 に よ っ て、 左のバーコードを読み取り、アン よ う に理 事 長 と学 長 が同 ケートにお答えください。 いるかが問われます。ま 読者アンケートを募集しています。 は、基本的に自主性を尊 読者アンケート募集中 ぶとしています。 佛教大学 歴史学部歴史文化学科准教授 斉藤利彦先生 統 治 する仕 組みが 整 備 さ 日本文理大学 特任教授 北岡哲子先生 れたにもかかわらず、教 12 トピックス 2 第 5 回京都大高校生フォーラム in Tokyo 学校法人上智学院理事長、上智大学総合人間科 学部教育学科教授。広島学院卒。上智大学、同大 学院教育学専攻で学んだ後、母校の教員となり、文 学部長などを経て、1999年より上智学院理事長。専 門は比較教育史。著書に『東洋の使徒 ザビエル』 (上智大学出版) 、 『ルネサンスの教育思想』上、下 巻(東洋館出版)等多数。 日本学術会議「大学教育 の分野別質保証委員会」委員や経済同友会幹事を はじめ、 多くの団体の理事・評議員等を務めている。 118 の上智大学。長年に亘りその改革を牽引してきた髙祖敏明理事 髙祖 敏明 先生 21 する必要があります。 4 vol. 長に、大学ガバナンス改革について語っていただきました。 連載 武川アイちゃんの東京・ジャパン、 グローバル 第 4 回 11 シリーズ 佛教大学歴史学部からのメッセージ⑤ 伝統芸能からアプローチする京都学 上智学院理事長 (第20巻5号・通巻118号) 大学ジャーナル 大 学トップ か ら 高 校 生 へ の メッセ ー ジ 12月号 Daigaku Journal ※泰星学園、 広島学院、 六甲学院、 栄光学園の4法人 16 大学ジャーナル 2015年(平成27年)12月15日 vol.118 1 大学ジャーナル 2 そのため,法人化後も大学内では 従来と同様の慣行が行われ,法人 化に伴い法律の適用関係が変わっ ていることが一般の教職員に正し く理解されないままとなっている 場 合が少なくない》 (中央教育審 議会大学分科会による2014年 月の「大学ガバナンス改革の推 進について(審議のまとめ) 」Ⅱ大 学ガバナンスの現状について、1 大学ガバナンスに関する現行制度 (教育公務員特例法の適用関係)よ り) 私立大学の ガバナンス改革 上智大学の事例 局面を迎えました。 また運営面からも厳しい 日本》にある大学であっ れた大 学、 《 世 界の 中の 設立時から世界に開か 年に創立された本 学は、 カデミック担当と、キャ 究 所 などにかかわるア に、 学 部、 大 学 院、 研 協 力 を得て進めるため 期 間 に 分 け、 各 専 門 委 2023年度)の二つの 二 期(2019年 度 ~ ~ 2018年 度 ) と 第 第 一 期(2014年 度 ロー バル 大 学 創 成 支 援 部 科 学 省 のスー パー グ ンス 改 革 も 問 わ れ た 文 実 現 を 裏 付 け る ガバナ めの計画に加えて、その では、グローバル化のた 1 早稲田大学、2017年度入試では 一般入試で英語資格・検定試験を利用、 新思考入試は2018年度入試から 試などの教科型試験のみで合否を決めるタイプの入試を見直し、多 様な入試制度を広げることで入学者層の多様化を推進する。その 結果、一般入試・センター利用入試、新思考入試、既存のAO・推薦 入試による入学者比率を4 : 2 : 4に近づける。 その際の目標としては、 ≪早稲田大学での学びを熱烈に希望し、入学後の夢に胸を膨らま 早稲田大学が、入試改革の方向性と展開、および実践スタートメニューを公表 せている学生≫をより多く獲得していくこととする。 2 学生が卒業後に地元に貢献できるような取り組みとして、入試 からキャリア支援までをトータルに展開することにより、関東圏以外 早稲田大学は12月2日、入試改革の方向性と当面の展開、お の中長期計画Waseda Visioin150を策定したが、その実現のた よび2016年度入試以降に、新たに導入する選抜方法を公表し めの13の核心戦略のうち、第一に挙げられているのが入試制度 からの学生をより積極的に獲得し出身地域の多様性を図る。 た。 具体的には、2016年度入試からの文化構想学部、文学 の抜本的改革。ビジョンに示された教育改革の目標である、人間 3 キャンパスのグローバル化を進め、 1万人の留学生を迎え入れる 部、商学部によるセンター利用入試の変更から、2017年度入試 力、洞察力を備えたグローバルリーダーの育成には、まずはそれに ことを目標として、日本人学生と外国人学生がともに学ぶ英語学位 における文科構想学部、文学部による「一般入試(英語4技能 適した意欲ある学生、しかも多様な学生を国内外から獲得していく プログラムをより一層展開するとともに、それに対応した新たな入試 テスト利用型) 」、さらに人間科学部による「公募制学校推薦入 必要がある。そのためには多様な入試を展開することを不可欠とし 制度を導入する。 試」(「FACT選抜」)や2018年度入試からの学部の垣根を超え て、2013年には、各学部との協力の下、学部を超えて新たな入 今回の発表に当たり早稲田大学では、高い志を持ち、グローバ た「地域貢献型人材発掘入試(仮称) 」といった新タイプの入試 試制度を開発する入試開発オフィスや、新たな入試の実施母体と ル社会のリーダーとして活躍していくことのできる多様な人材を育成 まで(表参照) 。 特に最後の入試制度は“学部の垣根を越えた なる入学者選抜オフィスを設置、新思考入試と呼ぶ新しい入学者 していくためには、小手先の入試改革だけではなく、それと連動し 学力型AO入試”というこれまでになかったタイプの入試で、早稲 選抜方法への転換を目指してきた。 た全学的な教育改革を不断に行っていく必要がある。そして、大 田大学は新思考入試と呼ぶ。来春の詳細発表が待たれる。 早稲田大学は2012年に創立150周年(2032年)へ向けて その際の重点事項として掲げられたのは以下の3点。 1 現在、入学者の6割を占めている一般入試やセンター利用入 学入試改革を推進することにより中等教育や初等教育の改革にも 寄与したいとしている。 2016年度入試 【めざせ!都の西北奨学金】 :要件から評定平均値を撤廃。高等学校卒業程度認定試験合格者も申請可能に。 【センター利用入試】 :文化構想学部・文学部(5教科6科目) 導入/商学部(5教科6科目→5教科5科目に変更、 選択科目拡大) 2017年度入試 文化構想学部・文学部 人間科学部 【一般入試(英語4技能テスト利用型) 】 【公募制学校推薦入試「FACT選抜」】 英語4技能テスト (TEAP,IELS,TOEFL(iBT),英検) のい 全教科評定平均値をもとに、志望動機等を記載した提 ずれかで一定の基準を上回る受験生について、一般入 出書類・語学能力試験(外部試験) ・面接等によって選 試の国語・地歴2教科の合計得点によって合否を判定す 抜する「公募制学校推薦入試(FACT選抜) 」を導入。 る。4技能テストの基準は2016年4月以降公表。2017 2017年度入試より。 年度入試より。 文化構想学部「英語学位プログラム」 (国際日本文化論プログラム) より 日本学生定員15名、外国学生定員15名。英語での 授業のみで学位取得を原則とする。英語4技能テスト 結果/調査書/志望理由書(英文)と面接による選考。 2017年度入試より。 2018年度入試 全学部対象 【地域貢献型人材発掘入試(仮称) 】 出身地域に貢献する人材の獲得・育成を狙った入試・教 育制度を、学部の垣根を越えた学力型AO入試として導 入予定。所属学部の学習のみに限定されず、出身地域 でのインターンシップ参加等を大学側がバックアップ。 凍 結 な ど 財 政 面 か ら も、 これを乗り越える た こ と を、 私 ど も は あ 員 会 がそれぞれの課 題 事 業(SGU) の 採 択 ジカルなものから、 組織、 と目標を掲 げて改 革に ンパス計画といったフィ 人 事、 財 務 を そ れ ぞ れ ら ためて 確 認 し たので 1998年と1999年 す[コラム] 。 きっか け に なったの が に 二 度 に 亘って 開 催 し れるものになってきたの やく時 代の中で求めら に 結 実 す る な ど、 よ う と大 学の構 成員 全員の た。ここには、学校法人 ではないか と 手 応 え を 取 り 組むこととしまし 員 会 を 作 り、 そ れ ら が 感じています。 担当する各検討専門委 一堂 に 会 す る 長 期 計 画 参 加やブランド 力の強 今 後 も私立大 学 とし これをベースに2001 計画に代わるものとして、 企画拡大 会議を年に4、 化、 世 界 か ら さ ら に 評 て は、 国 の 政 策 を 注 視 年には、それまでの 年 念 し た国 際 シンポ ジウ 大学設立100周年とな 5回開 催してきました。 価される高 等教育機関、 10 た、フランシスコ・ザビ ムです。ザビエルの考え る2013年 までを見 据 つまり「世界に並び立つ エルの来日450年を記 や 行 動 と、 そ れ に 連 な えた中長期の発展構想、 要 望をできるだけ 汲み ものとそ う でないもの けでは国立大 学の後 追 そ こで 出 さ れ た 意 見 や 策 などが盛り 込 まれて と を 取 捨 選 択 していく このよ う に 私 ど も が い に な り、 私 学 の 独 自 り 返ろ う という もので、 「グランド・レイアウト」 を作成し公表しました。 は 理 事 会 が 責 任 を もっ 必要があると思います。 2 る 大 学 創 立の 経 緯 を 振 主催した上智大学に こ の 中 に は、 ガ バ ナ ン していく柱は、さらなる い ま す が、 そ れ を 動 か 上智 大 学ではガバナン ス、という 言 葉 を 使って とって は 原 点 を 確 認 す ス改 革、教 育の質 保 証、 作り上げたわけです。 て 決 めていく 仕 組 み を た と え 財 政 的 に 厳 しい 築いてきたものは、近々 し、その中で活用すべき き た わ け で は あ り ま せん 人事方策から財務体質 グローバル化とそれを推 局 面 が あったとしても、 年を 大 学 」に す るための 方 が、大学紛争の時代の前 なりました。イエズス会 るための 重 要 な 契 機 と 2013年には、 2014 進するためのガバナンス 10 取 り な が ら、 最 終 的 に 年 単 位で の強化まで、今につなが 年 度 か ら2023年 度 」 を 作 成。 10 後から、ほぼ の大先輩であるフランシ るテ ーマが 盛 り 込 ま れ 中期計画を立て、それを スコ・ザビエルが日本に 確実に実行に移してきま 国の描 く 道 筋に従 う だ 革の推 進 方 法 としては、 「 グ ラ ン ド・ レ イ ア ウ て い ま す。 具 体 的 な 改 した。ただ、私が理 事 長 開 設 し たいと 考 えてい 改革に他なりません。 た 大 学、 そ し て そ の 夢 までを視野に入れた になる直 前にはバブル経 ト 2.0 性が失われてしま う か らで す。そのために も、 これまで以上にしっかり し た 大 学 ガバナンスが 求 められるのだと思い 高 校においても、少し ます。 前までは大学進学実績が 評 価の対 象 となっていま したが、今はそれぞれの 学校がどのように建学の 精 神・理 念 やミッション を実現しよう としている のか、その仕 組みと成果 S が問われるようになって C きていると思います。大 育 内 容 とカリキュラムだ I 学についても 今 後 は、教 P けでなく、人事方策や財 務 体 質などガバナンスと 選びの基準になってくる O 深く係わる要素も志望校 のではないでしょうか。 T ンスだけだったという事情によると考えられますが、 フランスは日露戦争ではロシアに近く、 日本の敵側 にいましたし、三国干渉の当自国でもありましたか ら、桂首相には、そうした状況を改善したいとの意 向もあったのではないかと私は推測しています。 使節は教皇に、 「大学開設の見込みがある」 と 報告書を書く一方、桂首相には「《なるべく広く》 と いうことならイエズス会に頼んでみてはどうでしょう。 日本で人気のあるフランシスコ・ザビエルはイエズ ス会員でしたし、イエズス会は今、世界に学校を展 開していますから、頼めば世界に開かれた大学を 作ってくれるでしょう」 と進言します。 報告書を読んだ教皇ピウス10世は、場所も名 前も未定のまま、イエズス会に日本での大学開設 を要望します。 イエズス会は、全世界から代表者を 集めた総会議でその受諾を決定。1908年10月 には、 ドイツ人でインド、 中国の思想の専門家、 ヨゼ フ・ダールマン師(写真上) 、 フランス人で上海のフ ランス学院の開設者で元院長のアンリ・ブシェー 師(写真左) 、そしてイギリス人でありながらアメリ カへ渡り、セントルイスでミッションに従事していた ジェームズ・ロックリフ師(写真右) の3人を日本へ 送ります。 この人員構成は、西ヨーロッパとアメリ カ、中国、インドという主要な文化をカバーする布 陣であり、キリスト教とヨーロッパ文化を日本へ伝え るだけでなく、自らも日本語を学び、日本文化や中 国とインドの文化を、母国やそれぞれつながりのあ る国へ伝えていくことで、 まさに「叡智が世界をつな ぐ」 ことを身をもって示したのです。 大 学の構 成員の理解と フランシスコ・ザビエルは、日本にキリスト教を布 教するだけでなく、自らが学んだパリ大学と同じよう な大学を日本のミヤコに作り、ヨーロッパ的なもの とアジア的なものとが交流する場を作りたいと考 えていました。 この夢は、その後の日本のキリスト教 政策が示すように果たされないままになっていまし たが、1905年、日露戦争の終結直後にローマ 教皇ピウス10世(Pius PP. X)が明治天皇に親 善使節(団長は米国人司教ウィリアム・ヘンリー・ オコンネル) を派遣したことから新たな展開が始まり ます。 この使節は日露戦争時中、日本の政府と軍が 中国東北地方においてカトリック信者を保護したこ とに対する御礼を目的としたものでしたが、同時に ザビエルの果たせなかった夢の実現の可能性を 探るためのものだったとも考えられています。 当時まだ後進国扱いされていた日本は、バチカ ンが使節を送ってきたことを同じ目の高さで交流し ようという意思表示と敏感に受け止めたようです。 使節が東京大学でラテン語で講演するのに先 立っては、衆議院議長が「これまで日本にはヨー ロッパから二人の偉大な方が来られた。一人はキ リスト教やヨーロッパの文化を日本に伝えたフラン シスコ・ザビエルで、二人目はこの方です」 と最大 級の賛辞を述べたと伝えられています。 このような歓迎を受け使節は、時の総理大臣桂 太郎にカトリック系大学の創設を打診します。総理 も「カトリックとは世界に開かれた、という意味だか ら、すぐにも公に開かれた国際的な大学を作ると いい」 と快諾しました。 当時の日本では、カトリック教会はフランス寺と も言われていたように、 働いているのはほとんどフラ ンス人で、当時設立されていた雙葉や白百合、信 愛、男子校の曉星などのカトリック系の学校も、み なフランス人宣教師の手によるものでした。 これは 日本が開国した際の相手国でカトリックの国はフラ を 受 け 継 い で1913 建学の理念、 ミッションを 一言で表す上智の精神 済が崩壊し、建築計画の 「叡智が世界をつなぐ」 vol.118 2015年(平成27年)12月15日 スス メ! 理 系 進路の ヒント 史についての知識がないこと 住 む人々に土 地の文 化や 歴 ことが少ない。原因の一つは、 でいる街に対して愛着を持つ 風 景 を 甦 らせるこのよ う な り、何気ない場所にも記憶の たいと考えてきました。つま がら し、それをまとめて出版しな を 長 年 に 亘って 実 地 に 調 査 す。 求められているのだと思いま 識 を 成 熟 させていくことが く、 何 よ り も 市 民 自 ら が 意 や行政の意識変革だけでな れをつくるためには、作り手 ※2 、一つ の 事 例 を 示 し す。高度成長期やバブル経済 らのものが多く残っていて、それを もかかわらず、区画には江戸時代か と。建 物のデザインは雑 多であるに 京ほど起伏に富んだところはないこ 体を通して「世界の大都市の中で、 東 京』 (講談社2013年)等多数。全 ら 見えてくる東京の古層』(NTT 出版2012年) 。『水の都市江戸・東 ※2 『東京の空間人類学』 (1985 年刊、筑摩書房) 、『中央線がなかった 制度。 ※1 歴史的建造物の一部を残すこ とで、後背地の建蔽率を高められる にあるというのが私の考えで 文化的に成熟していないとつ しい建築を作ろう、自らの責 試みを日本の各 地で行 えば、 選考過程と、そもそもコンペ 任で街のデザインにも 積 極 の時代を通じて私たちは、街 見事にマッチしているからで も、 再 開 発 の 中 心 と な る 超 くづく感じました。というの フラにしか関 心を持たなく 的にコミットしていくように それらを住 む人々が共 有 す が伝えられていなかったので の参 加 者に場 所の持つ意 味 高層オフィスビルや高層マン なりました。そしてこのよう なるのではないかと考えたか や 建 物 の 利 便 性 や、 鉄 道 と す。 はないか という ことでし た。 ションの多くは、個々の立地 うべきマインドに、現状を後 ないわば個 人 主義 とでも言 街を面 白く 使 うのにふさわ ち ょ う ど 年 前、 新 国 立 競技場の設計デザインについ 詳細は昨年3月に緊急出版 背景への配慮がなく、しかも の持つ記憶、歴史的・文化的 していないため、市民がお金 パの よ う に 公 共 施 設 が 充 実 ることで 街への 愛 着 を 深 め、 て、 私 た ち が 疑 義 を 呈 し た さ れ た『 新 国 立 競 技 場、 何 ステイナブルな街づくりだと の持つ良さをつないでいくサ ピングセンターといったイン のは、デザインそのものにつ 市民から出された要望を行 駅とその回りにできるショッ この 月に、韓国のソウル の清流が蘇ったことで知られ 政が認めるというように、ボ Zaha 中 心 に 100 年 か け て 作 り 題 の ザ ハ・ ハ デ ィ ド( トムアップで決定されるのが 築の世界は、それらと出会える可能性に満ち 学科には、私たちが力を入れている東京やア ボレータとも言われる構造設計では国内外で りに積極的に関わっていきたいという人の期 待には、 おおいに応えられると思っています。 層による集積化を図る街づ す る よ う な、 駅 を 中 心 に 高 の回 遊 性やつながり を分 断 が、海外に先駆けて始まって 環境を取り入れた複合開発 フィス開発においても、緑や も あ り ま す。 商 業 開 発、 オ そもそも、ヨーロッパの人 たちに比べ日本人には、住ん 改革も必要です。 いくには、市民や行政の意識 街づくりに新しい流れを くりが、それにふさわしいと いるのです。また、ヨーロッ 再開発ではなくリノベーショ ンを基軸にした、緩やかな変 化の中で、地域の歴史・風土 発からリノベーションへの流 少ない東京の紹介書になっている。 ルニア大学出版) は、海外に向けた数 を英訳した『TOKYO』 (カルフォ れている。また『東京の空間人類学』 面も持っている」ことが明らかにさ すといったように、水都としての側 を供給すると同時に、 内濠、 外濠を潤 かな田園を育てつつ、都心に飲料水 玉川上水はその分水網で武蔵野に豊 を育み、多摩川の羽村から引かれた 線に象徴される起伏の断面からの湧 糸口に歴史を紐解くことができるこ らです。そのことがまた、知 民間企業の経営を最優先に 押しするような建築や街づ に 譲 り ま す が、 あ の デ ザ イ を使わずに憩える場所が少 上げてこられた日本で最初 と。 そして湾岸だけでなく、国分寺崖 )の設計した美術館を Hadid らない間に決定される、土地 普通です。 くりに関連する法律や規制 して決められるからです。 ないとされてきた日本です ンとスケールは、前回の招致 水が各地にあって地域コミュニティ の 風 致 地 区 で も あ り、 高 さ 固有の意味を無視した大規 見て、私は、今回の問題の核 が加わって、今日の大規模再 実です。 その点、目に見える形を追求する建 日本の建築、 が、 姫 路 駅 北 口 駅 前 広 場 の 活動で主会場に想定されて 模プロジェクトを止めること 制 限など規 制 も 厳 しい地区 開発、超高層ビル群の乱立に 心は、都市における場所の持 よ う に、 世 界 遺 産 の 姫 路 城 それに引き替 え日本人は、 特 に 1960 年 代 の 高 度 成 にもつながるのではないか。 私はヨーロッパ、とくに地 中海、中でもヴェネツィアの 拍 車 をかけているとも 言 え いたベイエリアなら申し分な が 望める 眺 望デッキが 評 判 るのです。 人が懐かしさを感じる原 風 景 ともいうべき ものを街 に、なぜあのようなデザイン になるような新しいタイプの そ こ で 私 は 1980 年 代 か ら、 地 元 の 東 京 について、 つ意味が彼 女に十分に伝 え 企業サイドからも、このよ うな流れから脱却しようと 真上) 。企 業 も、人の集 える 公共空間も現れています(写 長期以降は、家を選ぶにも利 便性やコスト、面積などで選 場所を作るなど公共性に配 建 築 や 街 について 長 年 研 究 してきましたが、ヨーロッパ アメリカの《 ボーナス制 度 》 いう 動 き も 出てきています。 慮した開発が、自分たちの利 く、コストも今回ほどにはか の 人 た ち の 価 値 観 は、 快 適 観を保つことについては、市 ぶ 傾 向 が 強 く、 街 全 体 の 景 ※1を 見 習 っ た 高 層 化 も そ の 益にもつながることに気づき が、 そ れ も お そ ら く 超 法 規 な 家 に 住 む だ け で な く、 街 民 だ け で な く、 行 政 に も 自 一つですし、ビルの屋上庭園 始めたとも言えますが、いず られていなかったことではな ザハのデザインも含め、新 国 立 競 技 場 の 開 発 計 画 は、 の豊かさをいつも感じながら 覚がありません。しかし人口 び込み始めています。また巨 は子育て中の若い世代を呼 からなかったはずです。 当初計画より膨らみ続ける 住 む こ と に も あ り ま す。 人 減 社 会 を 迎 え た 今、 超 高 層 れにせよこうした流れは、建 的に認められたか。不透明な 予算が直接の原因で白紙撤 も企業も、高層のマンション ビル群の将来について懸念を 大 な 高 層 ビルの中 に 武 蔵 野 築家にとっても歓迎すべきこ 簡単に見ることのできる社会では、そういうも づくりに生かしていく、再開 回されましたが、私はこの問 やオフィスビルよりも、エレ 感じるのは私だけではないは の 森 を 再 現 し、 近 隣 で 働 く のに出会うチャンスが少なくなっているのも事 た。というのも、 野球場とサッ 題 を 通 じ て、 近 年 の 日 本 の ガント な 歴 史 的 建 造 物 を 再 ずです。また、人と人、人と とです。 重要です。 しかし豊かで何もかもがネット上で カー場の跡に建てられたこの 大規模再開発、スクラップア 生、リノベーションして使う 評 判 を 呼 んでいる 取 り 組 み 人々にも憩いの場を提供して 分の人生を変えるような本物と出会うことが 歴史やそれに由来する特徴 ンドビルド中心の建築や街づ ことに 価 値 を 見 出していま 高 齢 化 社 会 を 考 え る と、 街 地域の密な関係が不可欠な 高校や大学では、夢や憧れといった、自分を 建物は、高さを抑え、一部に くりが続く状況が浮き彫り す。 街 や 建 物のデ ザ インも、 引っ張っていってくれるものを見つけたり、自 周囲の遺跡を取り 込むなど、 空間人類学からの提言 サステイナブルな建築と 街づくりのために 街 の 歴 史、 周 辺 の 景 観 と に になり、日本社会がまだまだ 日本の建 築や街づくり を サステイナブルなものにして は思えません。そこで求めら 広場の発達しなかった日本では、川、堀、用水路など の水辺はきわめて大事な公共空間。 そこで、建築だけ でなく都市計画、土木、環境、 さらに理系の先生方も加 わって、2012年からはキャンパスの前にあって、2020 年にはマラソンコースにもかかる外濠の水質浄化と水 循環の改善に向けての活動が始められている。最終的 には、東京のあらゆる水辺を再生させ、水都東京の復活 を目指す。 れるのは、すべて置き換える 水辺の再生で水都東京を復活させたい 法政大学エコ地域デザイン研究所 2 いかと一層思いを強くしまし 17 10 ビッグデータ、人工知能と並んで今年の話題となったのは、担当閣僚や監 督省庁の責任問題にまで発展した新国立競技場のデザイン見直し問題。 建築史、都市史が専門で、 2年前の「新国立競技場に関する要望書」 の発起 人のお一人でもある、法政大学教授の陣内秀信先生に、今回の問題と、そ こから見えてくる日本の建築や街づくりの課題についてお聞きしました。 私は思っています。 その計画は市民不 在のまま 日本の建築や街づくりには様々な課題があります が、建築デザインは、世界的にきわめて高い評価を 受けています。雑多な景観を生む原因ともなってい る規制の少なさもここではプラスに働いて、和食が 海外の料理を取り入れ進化しているように、世界の よい点を積極的に取り入れ洗練されていっているか らです。 また一口に建築といっても、幅はとても広い ことも知っておいてほしいと思います。造形やプラン 作りだけではなく、コミュニティのあり方や美意識と いった人間の問題から、 環境・エネルギーといった社 会的問題にまでコミットできるのが建築です。豊かさ や快適さ、個性といった、今後、多くの人が関心を寄 せるジャンルにおいても建築の専門性は大きな武 器になります。 最近では進路も多様になりました。 これまでのよう なステレオタイプの進路選択だけではなく、行政職 員やジャーナリストはもとより、イラストレーターになる 人も出てきています。私の研究室には、大学院まで 進み、映像技術を別に学んでバーチャルリアリティ で美術や建築空間の立体展示作品を作って活躍 している卒業生もいます。 ヨーロッパなどでは、ファッ ションデザイナーや美術館のディスプレイを専門に する会社で活躍するような人たちもいます。 が問題か オリンピックの 日間と神宮の杜の 100 年』 建 築 学 はこれ からの 学 問 いてというより、明治神宮を 高校生へのメッセージ る 清 渓 川 の す ぐ 近 く で、 話 新国立競技場問題と 近年の建築、 街づくりの問題 今号では、 例年通り前号に続き、 ススメ!理系を特集します。 Ⅱ トップの先生方もおられ、将来、建築、街づく 建築史、都市史に、 「空間人類学」 という独自の視点から新しい境地を 拓く。1971年東京大学工学部建 築学科卒業。1973 年~1975 年にはイタリア政府給費留学生と してヴェネツィア建築大学に、翌年 にはユネスコのローマ・センターに留 学。1983 年東京大学大学院工 学系研究課博士課程修了、工学 博士。1980年東京大学工学部 助手、1982年法政大学工学部 建築学科助教授、同デザイン工学 部助教授を経て、 1990年同教授。 法政大学エコ地域デザイン研究所 所長。東京都立西高等学校出身。 ニークな研究がありますし、今や建築家のコラ P r o f i l e ジア、 ヨーロッパ、地中海の都市研究というユ 陣内 秀信先生 ています。法政大学のデザイン工学部建築 法政大学 デザイン工学部 建築学科教授 大学ジャーナル 2015年(平成27年)12月15日 vol.118 3 ス ス メ! 理 系 普通の紙に印刷された 特殊な配列の「ドットパ ターン」をペン先の赤外 にふさわしい学習方法 を使っても、一人ひとり 型の機械学習の仕組み ビッグデータを教育 現場で活用すると、従来 で分析しています【左写 に送り、独自のシステム この情報を無線でPC を記録するもので、私は 書きの文字や図の筆跡 個に応じた 学習が始まる が提供できるようにな 真】 。 線カメラで読み取り、手 ります。塾などで 年以 た個別指導、応個学習が 場 な ど で も iPad な たとえば漢字の書き 取りでは、すでに学校現 異なります。このシステ は 多 い と 思 い ま す か ら、 解したカードを外す人 ずに、低学年においても 門課程でのゼミを待た ドプラクティスに選ば 教育の質を高めるグッ げさまで早稲田大学の に間違える可能性があ う参加型の授業への転 なくアウトプットも伴 など、インプットだけで (MOOCs) が 広 が り 世 界 で は 今、 大 規 模 オ ン ラ イ ン 授 業 れました。 す。このシステムを使っ けです。 勉強ができるというわ けば、常に自分に厳しい 修を促すようにしてお いものについては再度履 が理解度に与える影響 ループディスカッション 規模教室においてもグ リッカー」を使って、大 モ コ ン 形 式 の 端 末「 ク ません。そこで私は、リ この事情は理系に とっても例外ではあり 換が図られています。 憑性チェックなどにも 推定、検索エンジンの信 著者やプロフィールの こ の 他、 本 研 究 室 で は 、Tw itter の 揮すると思っています。 解析がさらに威力を発 うしたビッグデータの このような講義では、こ 始 め て い ま す が、 受 講 育、カリキュラムもそれ 話 題 に な り、 大 学 の 教 2023年 問 題、2045 年問題が様々なところで います。 り人間でしかないと思 を活用できるのは、やは 回目に正解だっ これらのシステムは いずれも実験段階です を調査しました。 取り組んでいます。前者 を無視できないとさえ ただ、これまでの時代 と現在との大きな違い 万人にもなる が、活用できるデータの 具 体 的 に は ま ず、 私 の質問に対して学生に 言われるようになりま は、 あ る 枠 組 み を 与 え 者が何 量が増えれば増えるほ の 研 究 で は、 現 在 世 界 した。しかし私は、人間 れば、人工知能もビッグ ものとなり、今現在の技 術の延長線上では対応 できないでしょう。これ 技術者や設計者と いった作り手になるな らないにかかわらず、こ れからの社会で求めら れるのは、ビッグデータ や人工知能をどの分野 でどのように使えば、こ 現できるかを考えるこ れまでにないことを実 とです。つまり豊かなア イデアや優れた発想が 求められるのです。そし て そ の 土 台 と な る の は、 あらゆることに興味を 持つこと、飽くなき好奇 心なのです。 技術者、システムの作 り 手 に 回 る 人 に 限 れ ば、 大事なのはやはり数学 で す。 プ ロ グ ラ ミ ン グ 自 体 は、 人 か ら 教 わ る ことである程度までは 組めるようになります が、データが 100 倍、 人から学んだやり方だ 1000 倍 と な る と、 けでは、当然 100 倍、 1000 倍 の 時 間 が か かることになります。そ れをいかに効率よく短 時間で処理するかを考 うになります。 データも、私たちの生活 一人物による る 人 工 知 能、 汎 用 人 工 そして問題を絞り込ん ます。誰しも一人で勉強 忙しすぎる先生の負担 的 に 高 ま る だ け で な く、 徒の学習の効率が飛躍 る問題に対して 度目 たこのシステムでは、あ し て も ら う の で す。 ま かれてディスカッション まで特定できるように いても、かなりのところ いないプロフィールにつ し た。 ま た 明 か さ れ て る だ け で は あ り ま せ ん。 て、目で視て認識してい 認識の仕方一つとって も、人間はただ耳で聴い 分野でも可能となるで のことは他のあらゆる 紹 介 し ま し た が、 同 様 ではありません。また学 ものが求められるわけ て も、 そ れ ほ ど 難 解 な 匿名だからと安心して に 精 度 を 高 め て い け ば、 なっています。今後さら 使って全体的に認識し と、感覚器官のすべてを た り、 臭 い を 嗅 い だ り 必要に応じて手で触れ 求められる力、あるいは みなさんにとって最も それでは今後、このよ うな世界に生きていく しょう。 でもありません。問われ 校や模試の成績がよく が不可欠です。とは言っ していると自分に甘く もいくらか軽減できる 2度目での人数といっ 不適切な発言をする人 ます。この作業をすべて 資質とはなんでしょう 心が捉えた様々なテー の 説 明 で 理 解 し た 人 数、 た よ う に デ ー タ を 取 り、 代 替 す る に は、 膨 大 な か。私はずばり、飽くな マや課題にチャレンジし のではないでしょうか。 それを分析できますか を 減 ら せ る だ け で な く、 計 算 力 に 加 え て、 万 能 き好奇心だと思ってい じ漢字のテストを行っ ら、 受 講 生 の 理 解 度 に 犯罪捜査などにも活用 のセンサーの開発も必 ます。この場合もデータ が大量に集まれば、おそ %は 回目に間違えたもの 間違えた漢字の たくなるからです。 ば、それを使って、好奇 るかどうか。好きであれ るのはやはり好きであ なければいけないわけ 応 じ た 説 明、 ひ い て は しれません。 できるようになるかも こ の 授 業 方 法 は、 お か 大学の講義も改善 大学では今、大規模教 室での一斉授業を問題 最適なシラバスの作成 度目に でしたが、残りの %の 視する声が高まってい を 可 能 に し て く れ ま す。 た 実 験 で は、 らく生徒が普通に考え うちの半分は1回目で ます。そしてアクティブ 練習問題にも応用でき るすべての解法や、間違 ラーニングという言葉 に象徴されるように、専 ます。 漢字カードを使って暗 記する場合、1回目で正 要 で す。 ま た 解 析 対 象 正 解 だ っ た も の で し た。 学習における可能性を 使って、 週間あけて同 なるものです。大学生を 背景にある数学の理解 ツイー ものまで反映したカリ うことです。先に教育や えるには、コンピュータ ト を 照 合 す れ ば、 ないと考えています。 を劇的に変えるパワー で教室のスクリーンに 定できるようになりま の確率でその著者を特 を持つようになったとい 映し出し、それについて 知能といえども、人間に キ ュ ラ ム、 指 導 法 を 確 少人数のグループに分 取って代わることはでき 立できるようになるで % このシステムにはさら に、 学 習 者 の 勝 手 な 判 しょう。そうなれば、生 の原理はもとより、その 能を付けることもでき たものでも記憶度の低 ど精度を高めることが クリッカーで解答して 最 多 の 800 万 人 分 の の頭脳を上回るとされ となるビッグデータの量 で き ま す。 そ し て い ず も ら い、 そ れ を 無 線 で を集めていて、それに同 日本語によるツイート 自体も飛躍的に大きな ればよい」ではなく「最 れは、一人ひとりの学習 手 元 の PC に 集 め、 瞬 ビッグデータ時代に 生きる みなさんの学び方 も効率のよい解法」を伝 時 に 分 析、 集 計 し ま す。 グローバルな研究室 大学院生には海外からの留学生が多い 歴 や そ の 取 り 組 み 姿 勢、 て、 るということになりま うちの半分は この実験によると、その P r o f i l e : 課 題 解 決 型 学 習( PBL 山名 早人先生 週間後 ©shimizuchieko ) Project-Based Learning 早稲田大学 基幹理工学部 情報理工学科 教授 断を許さないという機 10 上も前から行われてき ICTによって可能にな 手書き文字の正誤判定 どを使って行われている に 加 え て、 記 憶 の 確 か 授業で一人ひとりの生徒 の理解度を確認するに さ、つまり「記憶度」ま るのです。先生が、一斉 は机間巡視が必要でし 漢字が書けるといって で明らかにします。ある も、 「 目 をつぶって も 書 たが、将来はコンピュー すむかもしれません。 は「自信はないが何とな ているだろう 」 、あるい タ画面を一瞥するだけで そのための研究の一つ が、現在、特許申請中の く書けた」 、というのと ける」のと、「たぶん合っ 「手書きによる記憶度推 定 」 で す。 使 う の は ア ムではそれらの微妙な 1 さらには癖などといった 1 授することができるよ てお伺いしました。 判別でき、高校受験へ向 け て、 「 答 え が あってい 40 Ⅱ では手の動きや筆圧が 各人の記憶度として表 違いを見逃さず、それを し ま す。 精 度 の 向 上 に 関わってくるのがビッグ 万人のデー データの量。 人のデー に精度は高くなります。 理工学科の山名早人教授に、現在のご研究や、これからの時代に求められる力や資質につい いのパターンを自動的に 同じ方法は、たとえば 中学 年生を対象にし ※1 市販されているデータベース管理ツールや従来のデータ処理アプリケーションで処理することが困難なほど巨大で複雑なデータの集積。 ※2 2023年問題は、 オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が、2013年に発表した『未来の雇用』 という論文の中で、 人工知能の発展にとも ない10年後に機械化される職業を列挙し、 雇用の在り方が変わると論じたことによる。2045年問題は、 アメリカの発明家レイ ・カーツワイルが予想した、 コンピュー タの知性が全人類を超える時点、 すなわち技術的特異点(テクノロジカル・シンギュラリティ) へ到達する年。 詳しくは前号117を。 2 60 進路の ヒント ノ ト 方 式 デ ジ タ ル ペ ン。 れらと関連する2023年問題や2045年問題※2まで、また改正個人情報保護法などのインフ た数学の2次方程式の 60 30 今年は、 ビッグデータ※1、 人工知能、IoT(Internet of Things:モノのインターネット) から、 そ タに基づく方がはるか タよりも 30 昭和62年電子通信学科卒、平成 5年博士後期課程了。博士(工 学) 、平成元~5年情報科学研究 教育センター助手、平成5 ~12 年通産省工業技術院電子技術 総合研究所、平成8 ~9年通産 省機械情報産業局電子機器課 課付. 平成11年成蹊大学大学院 非常勤講師、平成12年早稲田大 学理工学部助教授(平成16年9 月より組織改編により理工学術院 助教授) 、平成17年理工学術院 教授、現在に至る。山口県立柳井 高等学校出身。 1 10 による情報発信などにも革命的な変革をもたらすと話される早稲田大学基幹理工学部情報 1 ビッグデータで変わる! 3 ラ整備も話題となりました。 ビッグデータは、私たちに身近な学習をはじめ、ネット検索、SNS 1 20 4 vol.118 2015年(平成27年)12月15日 大学ジャーナル IoT の 真 髄 は、 あらゆる商品や設備 時間の飛行が可能にな ります。 私の研究室では、こ れらのいずれもが研究 がネットを介してつな がることで発揮されま の対象となります。 漏水センサからの 着想 す。しかしながら、そ ゆる物に電池を持たせ の実現のために、あら るというのは現実的で 私がバッテリレス技 術の研究に取り組む はありません。そこで、 ようになったのは、本 では、長期間置いてお くと化学物質が湿気て つの電極を組み イン電池に穴をあけ でもいいというわけに のなので、どんな電極 ハンダゴテや ドリルまで持ち込む 活発な研究室 なくなるという欠点が て、 しまい、うまく作動し あり、行き詰まってい ができるという道関先生のお話を伺って、自分に合ってい うちに、それまでよりもさらにものづくりが楽しいと感じるよ 研究室に所属して、 電子工作や電子回路を学んでいく うになりました。研究室には、ものづくりが好きな人ばかり が集まっていて、ハンダゴテやドリルまで持ち込んで、思う 存分工作に打ち込めました。 センサが内蔵されてい たのです。おむつに尿 くのでは」と思いつい はなく尿だとうまくい そ ん な 時 に、 祖 母 の介護を通して「水で ました。 な電力を得ることがで の 協 力 も 得 て、 十 分 なって、他のメンバー 実特任助教が中心と メンバーだった田中亜 時、 学 生 で 研 究 室 の 成し、実験を実施。当 入れたものを大量に作 は、誰も使いたくない れて心地よくないもの 性が悪いものや肌に触 護者に便利でも、通気 かせません。いかに介 と、次に、快適性も欠 何より安全であるこ は い き ま せ ん。 ま ず、 一つ分 解しては、電 極 市 販の紙おむつを一つ 現在、道関先生との協同研究で、発電するおむつの つかないようなものや、私たちが手がけることで世の中の 開発に取り組んでいますが、今後も誰もがすぐには思い 役に立つものづくりへと、 さらに手を広げていきたいと考え ています。 一定以上溜まったら装 に 電 気 を 溜 め て い き、 も必要で、コンデンサ 問題をクリアする工夫 パワーマネジメントの れなくなります。この 置をつけると電流が流 きいので、無線発信装 すから、高校までに学 人生は大学を卒業し てからの方が長いので た。 思ってもいませんでし 直 す こ と に な る と は、 学 を も う一度 勉 強 し 教員となってから、化 そのものです。大学の オン化傾向」など化学 私は、大学では電子 工学を専門に学びまし 置に送ることで解決し ん だことが、いつ、ど へんですが、発電でき ま し た。 環 境 発 電 は、 んな形で生きてくるの 仕組みというのは、 「イ 電力が小さいことが多 た。ところが、電池の く、パワーマネジメン か、まったく予測でき ですが、後になって専 トの問題は避けては通 こ と が 生 き て き ま す。 ません。もちろん、最 イントとなります。 一見、無駄に思える専 れません。発電量の百 最新の試作品は、炭 素電極とアルミ電極を 初は専門の分野を突き 使い、安全性、快適性 門外の分野でも、手を 詰めて学ぶことも大切 ともにかなり向上して 抜かずに学んでほしい 門以外の分野で学んだ いますが、さらにもっ と思います。 きます。 か、これから探してい といい素 材 が ないの 分の一の電力で作動す うえに、内部抵抗が大 学生時代に無駄だと 思ったことが 役に立つことも 活発な雰囲気の研究室です。 る回路を作ることがポ その作業だけでもたい ますが、休憩時間やアイデアを出し合う時には、明るくて るのがわずかな電力の を 入 れ て 実 験 し ま す。 れば、介護者の助けに でしょう。 2009 年の国際学会 に高い発電量を得られ き、実験は見事に成功 から、このアイデアを で発表しています。 る電極選びには、試行 しました。この成果は 形にするべく、開発を 次の課題が、実際に おむつに組み込むには 作 品 は 合 計 で 500 す。本学に移ってきて スタートさせました。 ど う す れ ば い い の か、 個にも上ります。実際 ただ、作っている時こそ、それぞれが集中して取り組み 活 躍 し て く れ ま し た。 ると思ったことが、先生の研究室に入ったきっかけです。 なるというアイデアで に限界があり、電子工作で色々な面白いものを作ること 安全性と快適性とい う制約の下で、安定的 開 発 は、 実 際 に 尿 による発電が使えるも ということでした。人 錯誤を重ねました。試 のなのか、調べるとこ の制作では田中助教が あしらった全3色がラインナップされている。 重要になってきます。 して、作動するセンサ 電子回路にも興味を持っていました。 ただ、 独学では知識 間の肌に直接触れるも WINKSは、エレコム株式会社との協同開発で、同社 バッテリレスの技術が うに、外部から無線に を 開 発 し て い ま し た。 私は小さい頃から、ものづくりが大好きで、電子工作や から発売されている。黒と白、それに立命館カラーの赤を 学以前に在職していた よって電力の供給を受 リープ状態から起動させる場合などにも素早く反応でき ろから始めました。コ た道関先生だからこそできた新商品だ。 NTT の研究所での研 ターネットの実力を十 しかしながらこの方法 田中 亜実特任助教 力を抑えた。ナノワットクラスの微弱な環境発電に精通し バ ッ テ リ レ ス に は、 大きく分けて二つの方 分に活用しているとは ける無線給電です。 ザがマウスを握っているのか、 離しているのかを判断し、 マ 当時、電源がなくても 言えません。現在、イ 環境発電は、発電量 が小さいという制約が ウスに流れる電流回路をすべて遮断することで待機電 究 が き っ か け で し た。 ンターネットにつな ありますが、常に周り を検出する極低消費電力の回路を発案することで、ユー 法があります。一つは、 がっている機器のほ そこで道関先生は、LEDが太陽光電池と同様に光 光 や 運 動 エ ネ ル ギ ー、 今日、インターネッ トが世界中に張り巡ら と ん ど が PC や タ ブ かせるので、アイデア にあるエネルギーを活 が当たると発電する特性に着目して、その微弱な発電量 水漏れを検知する漏水 され、PC やタブレッ レット端末とその周辺 次第でさまざまな応用 えるものもあるが、 スマートとは言い難い。 熱など、周りにあるも ト端末、スマートフォ 機器などの「いわゆる が可能です。一方、無 題だ。中には、 スイッチを使って電源のON・OFFを切り替 センサの研究に携わっ ンなどがつながってい コンピュータ」ばかり 線 給 電 は、 電 気 を 供 2015年9月、道関先 2 電されないワイヤレスマウスにとっては、特に悩ましい問 のを使って自ら発電す ます。みなさんもイン だ か ら で す。 今 後 は、 給する側の設備が必要 れは待機電力を無駄に消費していた。PC本体から給 がかかると電流が発生 タ ー ネ ッ ト を 介 し て、 IoT と い う 考 え 方 になりますが、受電機 るように、常にプログラムを起動させておく必要がある。 こ ていて、化学物質に水 情報を探したり、メッ によって「いわゆるコ 器の軽量化が図れると 従来のマウスは、マウスを動かすことでPC本体をス は、IC カ ー ド の よ セージを送ったり、と ンピュータ」以外の物 「アイドリングストップ」の機能を備える。 る環境発電、もう一つ いったことを日常的 がインターネットに接 小さな電力を 大きく活かす に行っていると思いま ます。また、ドローン いった応用につながり WINKSは、マウス本体に2つのLEDを取りつけ、ユー P r o f i l e 続されていくでしょ ザがマウスを握った時に電源ON、離した時にOFFとなる 道関 隆国 先生 す。 に無線給電できれば長 電力が従来品の2分の1になるマウス「WINKS」 だ。 PCやタブレット端末だけではなく、テレビやエアコン、カーナビゲーションなども インターネットにつながり、私たちの生活はますます便利になっています。 一方で、増えていく電源ケーブルにうんざりしている人も多いのではないでしょうか? 今回は、来るべきIoT(Internet of Things:モノのインターネット) 時代に必要とされる ワイヤレス・バッテリレス技術について、道関隆国先生にお話しいただきました。 う。 の商品が生まれた。待機 立命館大学 理工学部 電子情報工学科 教授 WINKS 博士(工学) 。主に電池のいらないバッテ リレス端末の設計と応用研究が専門。 NTT研究所に24年間勤務後、2006 年から立命館大学。高校生までは数学 が好きで、数学を活かせる分野をと考え て、電子工学の道に進む。実際に作って みることで、 問題点や課題をモノが教えて くれるという経験から、学生にも「考える 前に手を動かそう」をモッ トーに指導にあ たる。福井県立勝山高等学校出身。 生のプロデュースで一つ IoTを支える バッテリレス技術を活かして 世の中の役に立つモノを作る しかし、現状はイン エレコムと協同開発した 「アイドリングストップ」マウス 大学ジャーナル 2015年(平成27年)12月15日 vol.118 5 前号の最後の山極総長の質問に対して、ご出席の校長先生方 から寄せられた、大学入試改革、高校、大学それぞれにおける 教育改革、高大接続の在り方等についてのご意見を一挙にご 紹介します。 にくる「検定試験と同様に」 も と も と 意 欲 を 持って 受 け て導入するとしていますが、 に、 多 様 な 評 価 の 一つ と し タにすることはできますが、 方 針 をたてるための元デー 次年度以降の生徒に対する を 見 て、 学 校・ 教 委 と し て と に 疑 問 を 感 じ ま す。 結 果 3 年 次 で 実 施 す る という こ 試験を課すことになると思 を利用せず、独自のペーパー が、 多 く は 基 礎 学 力 テ ス ト 用することもあるでしょう するのであればそのまま利 基礎学力テストの評価が一致 年 間 継 続 することで力 を伸 しています。そしてこれを3 終 わる と必 死の思いで 採 点 思 い で 問 題 を 作 り、 試 験 が り、そのために教員は必死の テストはほとんど記述式であ の大 学に合 わないと思 えば、 して出にくくする、そしてそ 大学では成績評価を厳格に 広く 受け入れて入り易くし、 で も あ り ま せ ん。 学 生 を 幅 するという理念はわからない ションオフィスの充実を 加えて、大学はアドミッ 本的に見直したい。 教育のあり方全体を根 入 試 制 度 改 革 の 前 に、 などをそのままにして、アク 要領の体系や教員養成制度 ん。教科中心主義の学習指導 レベルでも可能とは思えませ 国レベルでも、各高校・大学 財 政 面や 人 的 資 源 か ら 見て、 餅です。 と 言 わ れ て も、 画 に 描 い た 料 に 含 める という よ う な 形 に で き る と 思 い ま す。 授 業 せざるを得ないので「有償」 本当の意味での「質保証」 な ら、 生 徒・ 保 護 者 も 希 望 え ば い い の か。 簿 記 も 英 検 校としてどういう 体 制で行 科 目 に つ い て の 指 導 を、 学 得 して現 に 履 修 していない に す る の か、 既 に 単 位 を 修 を ど う 図 る の か。 本 人 任 せ 受 検 し た 個 々の 生 徒 の 改 善 の評価結果を選抜の大きな 可 能 性 も あ り、 こ の テ ス ト ストが0点でも入学させる よ う な 大 学 は、 基 礎 学 力 テ かれているようですが、その 大 学 入 試 で は、 選 抜 性 の 低い大 学の入試が念頭に置 います。 の問 題にするしかなくなり、 結果として、非常に低レベル で採 点できるかも疑 問です。 し、 膨 大 な 回 答 を 同 じ 基 準 にも膨大な時間が必要です できるとは思えません。採点 ルの記 述 問 題 がそ う 簡 単に しかし、少なくともこのレベ 組にさせるのではなく、受け ない学生を、ドロップアウト 厳格な成績評価に耐えられ く らいで す。肝 心 なことは、 1年 次から実施しても良い 験競 争が無くなりますから、 能 に な る な ら ば、 厳 し い 受 う、 と い う よ う な こ と が 可 別の大学へ移って学んでもら 校では何 を教 育 しているん かが全然わかっていない。高 学部に来たか、何をしたいの かもしれないが何のために医 てくる学生は、点数は取るの 話です。 「最近、医学部に入っ との会話として教えてくれた 親友の京都大学医学部教授 本校の常務理事・東京私学 教 育 研 究 所 長の清 水 哲 雄 が、 の教 科 中 心 主 義 が ネックに 習指導要領や教員養成制度 なかなか進展しないのも、学 バ カ ロ レ ア 200 校 計 画 が とは沢山あるはずです。国際 で研究しなければならないこ 用するかなど、これから現場 大接続においてどのように活 があります。各学校での評価 もたちに過渡期の不利益を 員 はどのよ う に す れ ば子 ど え る だ け で す し、 高 校 の 教 護 者 に と ま どいや 不 安 を 与 ん。 そ の よ う な 報 道 は、 保 はほとんど触れてくれませ 教 育 の 方 向 性 な ど について 杉山 剛士 校長先生 (埼玉県立浦和高校) 地に足のついた改革を 現実を踏まえ、 ティブラーニングなどを導入 でもいいかもしれません。 も、なかばボランティアで教 要 素 と し ま せ ん。 選 抜 制 の 学力を問う問題にはなりえ する必要があります。 皿のある社会システムを用意 ば せている と 思っていま す。 もうひとつの目的は、この 生徒はこれくらいの「評価」 員 による 指 導 が 行 われてい 高い大 学 はそ も そ も このテ 定 まらない問 題 を 作 成 する ません。また、答えが一つに は 必 死 に な っ て、 有 償 で も く と な れ ば、 生 徒・ 保 護 者 先 や 就 職 先 が 決 定 さ れてい 大 学、 専 門 学 校 な ど の 進 学 て、この評 価 結 果 をもとに、 こ の 目 的 は 同 じ で す。 そ し 社会で自立し、社会に参画・ も生徒も意欲がわきません。 得 済みの科 目の補 習は教 員 ら れ る の な ら と も か く、 修 を左 右 する指 標 として用い 導の一環、つまり進学や就職 力テストについては、進路指 ン ジ で す。 し か し、 基 礎 学 を活用した選抜の対象にな ことになるので、このテスト 価 をあ ま り 重 要 視 されない の下半分のうち相当数は評 O・ 推 薦 で も 抜 け て、 残 り 選 抜 性 が 高 く、 そ こ か ら A 分 が 進 学 し、 そ の 上 半 分 は す。 す る と、 高 校 生 の 約 半 ル 値 を 提 示 というのは不 合 示で、大学にはパーセンタイ ら に、 受 検 者 に は 多 段 階 表 らがはたして可能なのか。さ するとされていますが、それ また複 数回行い評 価に等 化 定し選 択できるようにする、 と か、 難 易 度 を 広 範 囲 に 設 細かく入試を実 施すること 膨大な受験生を対象にきめ というが、現 実問題として、 ア活動や部活動も評価する 表現力」も問い、ボランティ 多 面 的・ 総 合 的 な 評 価 と いうことで「思考力・判断力・ ③個別の大学入試について ね」 。 かな」 。 「点を取ってくれれば 験生をどんどん入れてくれる だ」 。 「じゃあ、うちからの受 ういう学生に来てほしいもの う 教 育 をしているが」 。 「そ だ」 。 「いや、本校ではこうい ます。 度改革にならないことを願い いとして、拙速で表面的な制 に、世界の動きに乗り遅れま かもその財政的な裏付けなし 本的に見直すことなしに、し うか。教育のあり方全体を根 なっているのではないでしょ ら の あ る べ き 姿、 教 育 の 果 と ど ま ら ず、 日 本 の こ れ か 制 度 改 革、 入 試 改 革 だ け に 私が京都大学に期待する の は、 単 に 表 面 的 な 大 学 の れるかに腐心しています。 子どもたちの動 揺 を抑 えら 与 えないですませられるか、 場での参 与 観 察 を通して考 本 を 訪 問 し、 様 々 な 高 校 現 著した。これはローレンが日 が「日本の高校」という本を 1988 年 に ス タ ン フ ォ ー も 合 致 す るので 支 持 し たい。 れまで目指してきた教育と 高 大 接 続の目 指 すべき 方 向 性 に つ い て は、 浦 高 が こ す る こ と で「 質 保 証 」 に つ 教育の「改善」を図る、「改善」 価 」 し、 そ の 結 果 を も と に 高 校 生 の 学 力 を「 測 定・ 評 行おうということではなく、 実 施 の 目 的 は、 高 校 教 育 の 質 保 証 を 国 が 統一試 験 で 広い問題としなければなり 差が測れるように下の幅が く、 中 位 か ら 低 位 層 の 力 の はあまり気にする必要がな 校 生 全 体の上 位 層 ではな く ) ならば、受検者の上位層(高 無理が生じてきます。 「改善」 で行 お う とす るところから めないよ う、とあ り ま す が、 結 果 だ け を もって 合 否 を 決 において。基礎学力テストの 考 え る と、 ま ず、 就 職 試 験 ● 「 評 価 」 とい う 趣 旨 か ら には思えません。 れ ど、 結 果 が と も な う よ う る、 と い う 目 標 は 正 し い け 基礎学力を確実に身に付け の下で学習した生徒から本 ● ま ず、次 期 学 習 指 導 要 領 ついて 評価テスト」 (仮称)に ②「大学入学希望者学力 気がします。 としてあ まり 利 用されない 想 像 し ま す。 結 局、 「評価」 も 満 た ないので は ないか と の生徒にとっては、今以上に 教 育 課 程 を 組 んでいる 学 校 り 組 む という 本 来 あ るべき 年間かけて高校の学習に取 んでいる学校はともかく、3 験勉強優先の教育課程を組 期 の 前 倒 し と な り ま す。 受 は、現行のセンター試験の時 ● 複 数 回 実 施 は、現 実 的 に 理に感じます。 あ り、 こ れ を 新 入 試 に 衣 替 薦 な ど で 採っている 現 状 が は、 定 員 の 多 く を A O・ 推 ています。私立大学について 留まるのではないか、と思っ く一部 に つい て 適 用 す る に い て は、 受 験 生 全 員 で は な ているよ う な 入 試 方 法 につ の た め、 文 部 科 学 省 が 求 め は 不 可 能 だ と 思 い ま す。 そ 治・経済・社会の大きな変化 辺りから始まる世界規模の政 ろ ん、 背 景 に は 1990 年 れの再来とも見えます。もち 主義から児童中心主義への流 導要領の方向性は、教科中心 接続改革の動き、また学習指 ているのだと思います。高大 改革が、いま行われようとし 行 う 必 要 があるのではない 的 な 議 論 を、 時 間 を か け て 社会の構造まで含めた根本 け て い く た め に は、 日 本 の てそ れに 対 応で き る 力 をつ い子どもたちに、自信を持っ 動 していか な け れ ばな ら な 主 体 性 を 持 っ て 提 案 し、 行 者 と 対 話 し な が ら、 し か も 創っていくのかを、異質な他 大 き く 変 化 していく 世 界 の 中 で、 ど の よ う な 世 界 を い く よ う に 見 え ま す が、 文 され、 「 リストラ 」 が 進 んで 学 も、 予 算 が ど ん ど ん 削 減 たいということです。どの大 の人 材 を 確 保 していた だ き しっか り と 判 断 で き る だ け りの受験生の総合的な力を、 のところでは、ぜひ一人ひと こ と で す。 さ ら に 高 大 接 続 ド していた だ き たいという 模で発信し、教育改革をリー たすべき 役 割 を 全 学 的 な 規 らは考えられない」と断罪し を 取 り 上 げ、 「アメリカ人か の知識を問う大学入試問題 学の哲学者の名前や学派など 摘した。とりわけギリシア哲 教育を展開する必要性を指 く、学ぶことを中心に据えた るためには、受験中心ではな ローバルな未来社会に対応す を認めた上で、日本が今後グ るが、彼は日本の教育の良さ えたことをまとめたものであ ド大学のトーマス・ローレン 希望します。 最後の所は冗談ですが、こ のような構造に風穴を開ける な げ たいという ところに あ ま せ ん。 ま た「 評 価 」 と な 存する世界で、新しい世界を が あ り、 多 様 な 価 値 観 が 共 %に 貢 献 していく ために 必 要 な る と 考 え て い ま す。 言 い 換 え す る だ け で は な い か。 ま ている。その状況は、その後 た、国公立については、東大・ 科 省 がいま 行 お う としてい 早い時期に試験が行われる でしょうか。 基本的には変わってこなかっ こ と は 不 利 に な り ま す。 部 共に創っていく力を育てると る こ と を 本 気 に なって 現 実 格実施されることになり、安 京 大 の よ う に、 推 薦 や A O いう目標があります。日本の 堵 し て い ま す。 高 等 学 校 で 活 動・ 学 校 行 事 な ど の 教 育 に 相 当 す る も の を一部 に 導 と思います。企業・職種毎に 指 導 さ れていないこと( 「知 活 動 に もマイナスの 影 響 を 変える本気度が問われている たと思う。まさに大学入試を 企業としては当然のことだ 求められる最低限の学 力が 識・技 能 」 だ け で な く、 「思 人は削れないことを表明し、 の も の に す る に は、 絶 対 に け な け れ ば な ら な い の で、 上の幅 が広い問 題が必 要に 確認できれば、あとは人物評 こ こ の と こ ろ、 文 部 科 学 省は実施する方向を矢継ぎ れ ば、 上 位 を 合 否 に 振 り 分 「 目 標・ 願 望 」 で す。 こ れ な り ま す。 こ の 両 方 が 新 テ 早 に 発 表 し て い ま す し、 各 え れ ば、 学 習 意 欲 の な い 者 は、 国 や 教 育 委 員 会、 学 校 教育が、これから大きく変わ と思う。一方で、欧米とは文 ら な け れ ば な ら ないこ と は、 他 大 学 も、 い や 国 民 全 体 も 化の違いもある。改革を進め 入 するのに 留 まるのではな 大学 も入試制度の改 革を具 巻き込んで、アドミッション い か。 つ ま り、 知 識・ 技 能 世界の流れから見て当然であ 体 化 し 始 め て い ま す。 そ し るにあたっては、改革の結果、 与えるなど、本来の姿を追い を 問 う 現 在 の 入 試 は、 や は り、むしろ遅すぎたと言わざ でほしいものです。 オフィスの 充 実 に 取 り 組 ん 求めている者が不利というの は不合理です。 りかなりの割 合で残 存して てマスコミの報道は、それら 考 力・ 判 断 力・ 表 現 力 」 も するのは筋違いで、現行の教 ● 一方、 い く つ か の 国 で の の動 きのある部分だけを追 問 う ) を も と に 評 価・ 選 抜 に学力差のあることは当然 育 をあ まりにもないがしろ るを得ません。 価なり適性検査なりで決め が 整 わ な け れ ば、 な か な か わかっているので、高校が作 と も、 大 き く 変 わ る、 と い い く の で は な い か、 少 な く ることになるでしょう。高校 は あ り ま せ ん か ら、 「有償」 実現できないと思います。 を 重 視 し、 個 別 の 大 学 で は よ う に、 共 通 テ ス ト の 成 績 ストには同時に求められて で 実 施 す る の は、 難 し い と にしていると思います。 勉強だけでなく部活や行事な 日本の良き学校文化、例えば ● 記 述 式の問 題の実 現は疑 い か け、 問 題 点 や あ る べ き 自 の 試 験 で 確 認 し ま す。 企 う姿は見えないでいます。 成した成績評価ではなく独 学 力 検 査 を行 わないように 考 え る と、 1 年 次 の 必 履 修 問 で す。 本 校 の 国 語 の 定 期 ●「 改 善 」 と い う 趣 旨 か ら 業が求める最 低限の学 力と、 高 校 な ど で 行 う 検 定、 あ る 科 目 をターゲットに2 年 次 言 わ ざ る を 得 ま せ ん。 商 業 いは民 間の検 定 試 験 と同 列 しかし、いま行われようと している 入 試 や 教 育 改 革 は、 いますから、CBTやIRT る 高 校 生 は、 全 体 の こ の「 改 善 」 と「 評 価 結 果 の 保 証 」 を 1つのテ ス ト をどうするか、その評価を高 しようとしてもそもそも無理 だ と い う こ と を 示 す、 つ ま ますが、どちらも生徒にとっ 推 薦 入 試 で あって も 同 じ で ストを利用しません。AO・ 共 通テストの成 績 をも とに、 吉野 明 校長先生 (鷗友学園女子高校) り、 「 評 価 結 果の 保 証 」 だ と を身につけることへのチャレ ては新しいこと、新しい能力 『公立中高一貫校長の校長日誌』 (学事出版) 元千葉県立千葉中学・高校 高岡正幸著 考えます。 「大学入学 希望者 『都立高校改革とは』 (学事出版) 元東京都立西高校 石井杉生著 学力評価テスト」 (仮称)も、 『少なくとも三兎を追え』 (さきたま出版会) 元埼玉県立浦和高校 関根郁夫著 護 者 が 共 有 しているわけ で ト」 (仮称)について これまで、 この座談会に ご出席いただいた 校長先生の著書紹介 に意欲を持たせたいという、 ①「 高 等 学 校 基 礎 学 力 テ ス 鈴木 政男 校長先生 (千葉県立千葉高校) 新テストについて 会議中間まとめによる 高大接続システム改革 京都大学総長と首都圏進学校校長座談会 Ⅱ の 願 望 で、 全 て の 生 徒・ 保 10 6 vol.118 2015年(平成27年)12月15日 大学ジャーナル ども含めて全人教育を行って いる文化を失うことのないよ うに留意する必要がある。特 に複数回受験については、入 試を煽ったり前倒ししたりす るような動きを許してはいけ ない。また改革が進むことに ないと対応できないといった より、例えば塾や私学にいか 誤解が生まれ、経済的格差が 拡大しないように留意する必 要がある。システム設計は性 急に行うのではなく、現実を 踏まえながら地に足のついた 改革をしてほしいと考えてい 格可能性を知る必要がある。 合格するためには自分の合 あり、自分の入りたい大学に わゆる難関大学には競 争が と考える。現実問題としてい 分であるように感じる。 育内容についての議論が不十 が先行し、高校及び大学の教 接続の部分についてだけ議論 ことが求められている。高大 客観的に把握できる一斉テス を知る良い機会に 複数回受験を自分の力 自 分 の「 学 力 」 を あ る 程 度 トは、必要な存在である。 柳沢 幸雄 校長先生 (開成学園開成高校) ることだ。現在のセンター試 し さ は 希 望 者の 数 で 決 まる。 自由に選択できるところに は競争があり、その競争の厳 活用を期待するには無理があ 問題は、一種類のテストで は、参加している大学全てに 験で、国公立大医学部医学科 考える力ではなくスピードと 解率が必要であり、これでは に納得することを誰も不思議 ね、試合によって自分の力量 の た め に ト レーニング を 重 スポーツでは競争があり、そ 注意力を調べることになって には思いません。同じように に合格するには %前後の正 しまう。今回の改革で 種類 望者用のものについても数種 考えるが、さらに大学入学希 に分かれるのは一歩前進だと の自己認識が深まり、キャリ 得できる要素があれば、若者 競争を通じて自分の力量に納 大学入試も競争であり、その ア選択に良い効果を及ぼしま の問題にする必要があるので はないかと思う。 うに複数回受験することので 私たちが 京都で 学ぶわけ の す。振り返ってみると、自分の中には 白そうだと思っていたのだと思いま の影響で、東大より京大のほうが面 す よ ね。当 時 の 自 分 は、 テ レ ビ な ど んてせいぜい、東大と京大くらいで 小学生のころに知っている大学な 中条 小学生の時から「行くなら京 大」となんとなく思っていたんです。 を強くしました。 んいるに違いない」と京大への思い な大学にはきっと面白い人がたくさ 「なんて面白い大学なのだろう。こん い る 学 生 の 姿 を 目 の 当 た り に し て、 楠の下でこたつを出して鍋を囲んで が、二次試験の当日に時計台の前の とくに強い思い入れがあって受験 に臨んだというわけではないのです すきっかけになりましたね。 こう」と言われたことも京大を目指 望者が何人もいて、「一緒に京大に行 げに集まったメンバーの中に京大志 月を迎えましたが、文化祭の打ち上 深く考えることもないまま高 全力を注いでいたため受験について 味をもちました。現役の時は、行事に 京大に進んでいた人がいて京大に興 春日亀 文化祭で実行委員長をやっ ていましたが、実行委員会の先輩で しょうか。 京大で学ぶことを選ばれたので 東京出身のみなさんがどうして 総合人間学部 都立西高校出身 中条 太聖 工学部地球工学科 お茶の水女子大学付属高校出身 笠井 遥 工学部建築学科 都立西高校出身 春日亀 裕康 理学部 京大の過去問を見て「他の大学と全 して受験勉強をしていました。ただ、 と決めつけていて、別の大学を目指 あったものの、自分には無理だろう 京大農学部も視野には入れていま したが、面白い大学だという印象は るようになっていました。 冨士田 大学に関する知識があまり ないうちから「せっかくならやりた りもしました。 京都へ来た時には御所を見にいった た 理 由 の ひ と つ で す。入 試 の た め に に憧れがあったことも京大を目指し それから、古典が好きなので数々 の文学作品の舞台になっている京都 指すことにしました。 学部があることがわかり、京大を目 合人間学部という自分にぴったりの して京大のことを調べてみると、総 か れ ま し た よ。明 確 に は 答 え ら れ ま うして京大を目指すのか?」とは聞 やはり「東京に住んでいるのに、ど 柄本 月になって初めて、京大を 目 指 す こ と を 親 に 話 し た の で す が、 説得しました。 者用の模試を受けたりして少しずつ いという思いは変わらず、京大受験 を薦められましたが、京大へ行きた 笠 井 父 に は「 女 の 子 な の だ か ら 」 と家から通える東大を受験すること もしたのではないでしょうか? とで、ご家族から反対されたり わざわざ東京を離れるというこ たいという気持ちもありましたね。 くことで人間関係をリセットしてみ ていたというのもあって、京大に行 来の知り合いの多くが東大を目指し 中学、高校と 年間を過ごした学 校は東大のすぐそばで、中学受験以 ていたことも覚えています。 く」という言葉の響きにワクワクし けで京大を目指しました。「京大に行 しています。 て東京とは全く違った景観だと実感 並みは歴史的な建物が多かったりし る な と 感 じ ま す。そ れ か ら 京 都 の 町 てきて感じていることは。 実際にここまで、京大で勉強し きる。とてもいい問題だと思います。 どの日本語は英訳できる」と実感で に取り組んでいると「この文章を英 出 題 さ れ て い ま す が、 そ う い う 問 題 なフレーズを英訳させる問題が例年 ている私たち」といったような難解 柄本 京大の英語の入試問題ってい いですよね。「文字に囲まれて暮らし まったという印象を受けました。 わり映えのしないものになってし 冨士田 京大らしい特徴的な入試問 題 だ っ た の に、 今 年 は 他 の 大 学 と 代 た。 題されたりしていてすこし驚きまし 麻布高校出身 柄本 耀介 く 違 っ て 面 白 い。こ う い う 問 題 を 解 柄本 高校の時に比べて自由に使え る時間が大幅に増えて、結果として んだろう」と思っていたことも京大 が、「ずっと東京を出ないってどうな 柄本 何にでも自由に手を出せる京 大理学部に惹かれたこともあります へと変えました。 は特に仲がいいというわけでもな 冨士田 親には「合格は難しいだろ う」と受験を止められましたが、普段 したけどね。 した。最後は「受かったし」の一言で ことなどを引き合いにして説明しま ル賞受賞者をたくさん輩出している うことも原因なのかもしれません。 す。京 大 で 勉 強 し て い る と い う こ と るようになってきたように感じま いろいろな活動に集中して取り組め ろには漠然と農学部への進学を考え を 選 ん だ 理 由 の 一 つ で す。新 宿、 渋 かった兄が背中を押してくれたこと いう思いもあり、専攻を決めかねて 学問をするには理学ははずせないと 哲学に興味があったものの、大学で の面白い画像を集めたウェブサイト を高めていこうとしたときに、京大 そろ志望校を決めてモチベーション 笠井 高 の冬までは志望校が特に 決まっていなかったのですが、そろ てみたいという思いがありました。 定された部分を日本語で説明すると ルなものだったのですが、今年は指 笠井 京大の英語の問題は例年、英 文和訳と和文英訳のみというシンプ いかがでしたか 京大を受験してみた時の印象は をよく覚えています。 いいですね。 集まってくる仲間と議論できるのも い で す。東 京 に い た 時 は 関 東 出 身 の しい考えに触れることができて楽し と関わりあいを持つことができ、新 笠 井 幅 広 い 教 養 を も っ て い た り、 いろいろな経験をしてきたりした人 志望校を決めようと真剣に考え始 めたのは高 の夏でしたが、文学や の いました。またそもそも、「学部」とい を目にして「こんなに楽しい大学が いう問題や、単純な穴埋め問題が出 かと感じます。 うシステムにもいいイメージを持っ あるなんて!」と思ったのがきっか 知 り 合 い ば か り で し た が、 全 国 か ら ていませんでした。その時にふと「そ だけでなく、親のもとを離れたとい 年間から、一度生活環境を変え 谷、原宿を通って通学する中学、高校 中条 京大には勉強したい人が全力 で頑張れるような環境がそろってい 訳することができるのなら、ほとん く人が集まってくるところで自分も せんでしたが、京大理学部がノーベ いことを」と思っていて、高 の夏ご 勉強したい!」と思い、志望校を京大 うだ。京大に行くのだった」と思い出 国 公 私 立 を 問 わ ず 東 京 には た くさんの大学があります。にも 農学部森林学科 関 わ ら ず 東 京 を 離 れて 京 都 で 冨士田 裕 学ぶことを選んだ 人に、京大 都立武蔵 高校出身 入学に至ったストーリーと現在 の心 境などについて語ってもら いました。 首都圏高校出身京都大学1回生が語る ずっとこの思いがあったのではない 6 る。 実現に大学も努力を 岸田 裕二 校長先生 (都立国立高校) 高 大 接 続 答 申 で は、 面 接 や 集 団 討 論、高 校の調 査 書、 個 々 の 応 募 者 の 活 動 経 歴、 入試改革議論と並行し き るテスト が 導 入 さ れ れ ば、 す。 そ の 点 か ら SAT の よ 力 評 価テスト( 仮 称 ) 」成 績 て、高校、大学それぞれ 自分の力量を認識する良い機 そ れ に「 大 学 入 学 希 望 者 学 な ど を 総 合 し た、 多 面 的 な の教育改革議論を急げ 会になると思います。 は、従来以上のきめ細 高校での進路指導に 「 大 学が生徒 を選 抜 するた めの統一基準として、客観的 かさが求められる 竹鼻 志乃 校長先生 (豊島岡女子学園高校) 高校では一斉テストによる 学 力 評 価 を 行 い、 大 学 で は 肯できない。現行の大学入試 センター試験はその役割を果 う 方 向 性 に は 賛 成。 今 後 大 アドミッションポリシーに基 な知を創造する人材育成が 学の個別選抜が多 様化して たしている。グローバル社会 求められている。そのために いったとき、生徒一人ひとり づ く 多 面 的・ 総 合 的 評 価 に が進められるのであれば、首 必要」というロジックで改革 に評価できる新たなテストが 武内 彰 校長先生 (都立日比谷高校) 評価を求めています。このこ え ば 個 々の 応 募 者 の 活 動 経 と 自 体 に は 賛 成 で す が、 例 歴 等 をどのよ うに評 価 する のでしょうか。単に本人の申 し出をそのまま鵜 呑みにす るのでは、公平性が保たれな いように思います。 大学 自身が長期にわたり、 応 募 者の 活 動 経 歴 を 調べる など、手間暇をかけるのであ ればよいと思います。それに は大学で真に学問探究に向か の志望を叶えるために、各大 よる 入 学 者 選 抜 を 行 う とい う 学 生 を 育てる必 要 が あ り、 学の受験情報の的確な提供 な人材の良さをつなげて新た その前段階として、大学に入 など、従来以上にきめ細やか の中では、他と協働し、様々 ることを目的にするのではな なサポート体制が学校に求 5 6 よって 高 校 の 教 育 は 大 き く く、 意 欲 的 に 学 問 探 究 に 向 3 2 められるようになると思う。 12 3 11 90 かっていける高校生を育てる 2 変わるでしょう。 大学入学希望者学力評価 テスト(仮)も複数種必要 大野 弘 校長先生 (都立戸山高校) 一斉テストは、受験する高 校生にしてみれば必要悪だ 2 大学ジャーナル 2015年(平成27年)12月15日 vol.118 7 一般入試 [前期日程] [中期日程] 1/4(月)より出願受付開始 禁止・制限については る生徒の政治的活動の 関しても、学校におけ 文科省が進めている す る は ず で あ る。現 在 保した学校支援が機能 とで政治的中立性を担 どが相互に連携するこ 52.9 66.1 どうして 数学 を学ぶの ? 飛行機の上昇率と下降率は どちらが大きいのか? 第47回 御園 真史 島根大学教育学部数理基礎教育講座准教授、 博士(学術) 研究室公式ホームページ http://misono-lab.info/ ツイッター ID miso_net みなさん、こんにちは。この記事を書いてい 上昇するときと、下降しているときで異なるので では、実際に「傾き」を計算してみましょう。 きますので、受信機をもつ世界中の多くの人が る今日は、東京で会議があります。そこで、私 はないか、これを数学の用語を用いて言うなら 今回は、表中の離陸直後と考えられる9 時 16 協力して、受信データをインターネットを介してリ の住んでいる島根県の出雲空港から飛行機 ば、傾き(の絶対値)が異なるのではないかと 分 18 秒ぐらいから、高度 36 , 000フィートに達 アルタイムにサーバーに転送しているというわ で羽田空港に飛行機でやってきました。この いうことです。今回は、 インターネットから入手で する9 時 33 分 8 秒ぐらいまでと、高度 32 , 000 けです。 記事は、羽田空港で書いています。私は、飛 きるデータを用いてそれぞれを計算し、比較し フィートから降下を開始する10 時 17 分 20 秒 現在は、 よく「ビッグデータの時代」と言われ 行機によく乗るのですが、窓から外をみている てみたいと思います。 ぐらいから、着陸直前と考えられる10 時 49 分 ています。ICTの普及により、これまででは考 と、離陸して高度を上げているときの方が急 さて、肝心の飛行に関するデータですが、 20 秒までの、1 秒あたりの高度の上昇率と下 えられないような大量のデータを集めることがで 上昇し、着陸に向け高度を下げているときの FlightAware (http://ja.flightaware.com/ ) 降率をそれぞれ計算してみます。 きるようになったからです。 方が緩やかに下降するのではないかということ というインターネットのサイトのデータを用いて計 上昇の際は、16 分 50 秒間= 1010 秒間に 例えば、列車に乗る際にもICカードが普及 に気づきました。つまり、飛行機の時間あたり 算を行いたいと思います。このサイトでは、飛 35 , 100フィート上昇していますので、上昇率 し、誰がどの駅から乗って、どの駅で降りるか の高度変化( 上昇率や下降率といいます)が 行機から発せられる、位置( 緯度、経度) 、高 は、1 秒あたり約 34 . 8フィートとなります。 という情報が毎日集積されるようになっていて、 度、速度など様々な情報を見ることができます。 また、下降の際は、32 分間=1920 秒間に それを分析することで、人の流れをつかむこと 今 回 は、ある日の 羽 田 発 福 岡 行きの 31 , 500フィート下降していますので、下降率 ができます。また、ポイントカードが広く使われる JAL 309 便のデータを用います。 は、1 秒あたり約 16 . 4フィートとなります。 ことで、誰がいつどんな商品を買ったのかとい 時刻 北緯 東経 方位 速度 高度 (km/h) ( フィート ) あ る。主 権 者 教 育 の 担 66.6 い手は主権者自身であ 54.6 第三に、主権者教育 や子供の政治的活動に 63.9 理科基礎 る。学 校 だ け に そ の 責 46.6 過敏に反応しないこと 64.7 任を負わせるのは酷で 48.2 で あ る。今 後 の 主 権 者 履修有り 数学 あ る。こ こ で 期 待 さ れ 履修無し る の が「 通 知 」に も 記 物理 履修有り 教育は政治経済・現代 数Ⅲ 履修無し 社会に留まらず、すべ 表2 数Ⅲ・物理履修有無別平均得点率 述 さ れ て い る よ う に、 56.1 ての教科・科目を横断 64.4 地域の関係団体やPT 66.6 する総合的なプログラ 50.4 理科基礎 A の 役 割 で あ る。日 頃 59.3 から多様な考えや人材 65.1 1950年北海道生まれ。東北大学文学部卒業後、東京都立高校教諭と して主に日本史を担当。東京都立五日市高等学校教頭、東京都立南平 高等学校長を経て2008年4月~2011年3月まで東京都立国立高等 学校長。 この間、全国歴史教育研究協議会長も務める。2013年から 現職。宮城県仙台第二高等学校出身。 ムとして創意工夫が求 46.02 数学 池口 康夫氏 P r o f i l e め ら れ る。当 然 な が ら 推薦入試 53.44 一般社団法人全国高等学校PTA連合会 常務理事・事務局長 を抱え持つこれらの団 AO 入試 59.07 18歳選挙権と 「大人」の課題 試行錯誤が何年も続く 一般入試 合計 特別寄稿 体や選挙管理委員会な 表1 入試タイプ別平均得点率 18 だろう。また「通知」に 待ち望まれます。 大人の代表とみなして 題や様々な論争的課 線引きの難しさが指摘 「チーム学校」の基幹的 い》 が現実のものとなっているかのようです。 ゆとり教育の終了に よって、日本の大学生と未来の技術者の学力が向上することが 述 べ る。ま た「 主 権 者 題に取組み、ディベー されており、学校や教 な事業として主権者教 15年前に西村先生が指摘していた《21世紀の日本が危な 職選挙法が改正 指導上の留意事項が トなどの討論技術ま 育委員会の対応方針が 育の地域プログラムを を及ぼしていることが明らかになってきました。 され、選挙権年 高 校 に 通 知 さ れ た( 以 で 身 に つ け て い く。家 第二に、政治的話題 を忌避しないことで 紆余曲折するのは間違 開発することも期待さ 修科目や大学入試に向けての勉強が、社会人になっても影響 教育」は「通知」に謳う 下、「通知」)。いよいよ 庭では子供の口から政 あ る。子 供 か ら の 政 治 いないだろう。従って、 れる。 に比べて得点が高いことも示されています(表2) 。高校での履 歳に引き下げ 新たな主権者教育が緒 治 的 な 話 題 が 出 た り、 第一に、保護者が子 どもと一緒に学ぶこと 的な問いかけに真摯 保護者が個々の活動事 同様に、数Ⅲ履修者および物理履修者は、履修しなかった者 8 齢が に つ い た 訳 で あ る。し 子供がデモに出かけた で あ る。保 護 者 は 自 分 に向き合い、子供の考 例や教育実践に一々 要 す る に 大 人 に は、 世界標準の人権・政治 試による入学者はさらに低いことも示されました (表1) 。 「政治的教養の教育」の かしこの動きに対する りするのも珍しくはな たちが満足な主権者教 えを頭ごなしに否定し 容喙すると学校はやり 的権利を得た日本の高 学者の得点に比べて、AOによる入学者は得点が低く、 推薦入 ら れ た。既 に す べ て の 大人たち一般の反応は く な る だ ろ う。彼 ら が 育に浴してこなかった たり無視したりしては にくいだろうし、教員 校生を祝福するととも また、大学入学時の入試タイプ別で見ると、一般入試での入 意味で用いる。 鈍く、現実感に乏しい。 強い知的好奇心と柔軟 ことを自覚しなければ な ら な い。そ の よ う な の 委 縮 も 懸 念 さ れ る。 示されました。 高 校 生 に 副 読 本「 私 た 消極的な声も少なくな な思考力、純粋な正義 な ら な い。若 い 世 代 で 態度は子供から軽蔑さ だからこそ寛容の精神 均点が3.15点と突出して低く、物理に関する学力が低いことが 10 ちが拓く日本の未来」 い。曰 く「 高 校 生 に 政 感を持って学習を重ね あればほとんど投票行 れる近道ともなりかね 術者が多数存在しました。特に物理の問題9では、15点中平 まずは想像してみよ う。高校生は今後、選挙 治 は ま だ 無 理 」、 曰 く た時、その問題意識や 動に参加していない有 な い。保 護 者 が 自 身 の 結果は平均56.66点と、基礎的問題でも正答とならない技 が配布され、教師用指 「高校生は本来の勉強 政治的教養は多くの保 権者も少なくないだろ 容の多くは高校で習う初歩的なもので、 中学入試にチャレンジす る小学生でも解ける問題です。 や政治の仕組みは勿論 に専念すべきだ」など 護者をあっさり凌駕し う。となれば、せめてこ に、彼らを責任ある社 そこで、西村先生ら国際教育学会は、製造業1部上場企業9 社の技術者1226人を対象に学力調査を実施しました。調査内 導 資 料 も 用 意 さ れ た。 で あ る。そ こ に は 硬 直 ていくのではないだろ をもって様子を見守る 業の技術者でさえも 「文章題ができない」 といった報告がありまし 1 – — た。 たとえば、9 3÷ 3 +1=? この計算が解けない新人技 術者がいるというのです。 の事、具体的な政策課 し た 学 力 観 や 教 育 観、 う か。保 護 者 に と っ て 思想信条や価値観を絶 業企業の新人技術者の数学力が大幅に落ちている、大手企 月末には文科省から 高校生像などが垣間見 の機会に学び直す気概 会人として迎え入れる 中部経済連合会が昨年に出したレポートによると、ある製造 ようかい えるが、それらの問題 は諸々の事柄に見識を 「大人の態度」が望まれ も念頭に置きながら主 対化せず、それについ 問われる厳しい時代が が 必 要 だ。配 ら れ た 副 権 者 教 育 と「 大 人 の 関 読本に目を通す位のこ 覚悟と実践が望まれる とはすべきではないだ のである。 到 来 し た の で あ る。で る。 はどうすべきであろう て子供と意見交換する わり方」について提案 る。 だけの度量が求められ したい。なお、本稿では ろうか。 第四に、組織として 学校を支援することで か。 『分数ができない大学生』 『算数ができない大学生』を 著し、理科ばなれやゆとり教育に警鐘を鳴らしてきた西 村和雄先生(神戸大学経済経営研究所特命教授、国際 教育学会会長) 。98年、99年に行った大学1年生対象 の調査から15年が経ち、当時の大学生は社会の中核を 担うようになっています。その後の彼らはどうなったの か、西村先生が2014年に行った企業学力調査結果を 見てみましょう。 高 校 生 の「 保 護 者 」を 技 術 者 の 学 力も低 下 vol.118 2015年(平成27年)12月15日 公 大学ジャーナル まず、横軸に時刻、縦軸に高度をとったグラ したがって、やはり予想通り、上昇率のほう うデータもすべて集積でき、それをマーケティン フを左に書いてみましたのでご覧ください。こ が下降率よりも高いということがいえそうです。 グに活用することもできます。 れをみると、ある高さまで上昇すると、あとは水 ところで、なぜこのようなフライトデータが私た 今回とりあげたように、今や航空機の飛行に 平になっていることに気づきます。この水平に ちでも利用できるのでしょうか。これは、ADS-B 関する様々なデータが、インターネットを通じて 飛ぶ高度を巡航高度といい、 最も燃費がよく飛 という航空機の衝突防止のためのひとつの仕 手軽に入手できます。それはJAL 309 便に限 ぶことができる高度だといわれています。この 組みを利用しています。ADS-Bでは、自分が らず、世界で運行されている、膨大な数の航 日のJAL 309 便では、9 時 33 分 8 秒ぐらいに 飛んでいる周囲おおよそ300マイル(500 km 空機の飛行に関する情報が集積されています 弱) ぐらいまでの範囲に、自分の飛行機の情 (ただし、すべての航空機の情報が収集され 9:16:18 35.6 139.8 80° 303 900 高度 36 , 000フィートに達しましたが(1フィート 9:33:08 35.4 138.2 263° 612 36,000 は0 . 3080 m です) 、その後、いったん下降し、 報を発信しています。これにより、将来の飛行 ているわけではありません)。ですので、これも 10:17:20 34.6 133.0 256° 700 32,000 10:49:20 33.6 130.4 150° 248 500 9 時 41 分 36 秒ぐらいから高度 32 , 000 フィート 機の位置の予想ができ、衝突を回避できます。 一種のビッグデータの一つといえるでしょう。 で巡行しています。 この情報は、受信機さえあれば、誰でも受信で 9 vol.118 16歳からの 大学論 大学ジャーナル 2015年(平成27年)12月15日 勉強、その本当の価値 第3回 P r o f i l e 京都大学 2010 ~14年に文部科学省研究振興 学際融合教育研究推進センター 1973年石川県生まれ。 局学術調査官も兼任。 2011~2014年総長学事補佐。専門は 准教授 宮野 公樹 先生 学問論、大学論、政策科学。南部陽一郎研究奨励賞、 日本金属 学会論文賞他。著書に「研究を深める5つの問い」講談社など。 日本に生まれた場合、一般的には小学校か 童にとっては難解な「枕草子」や「論語」 、 れに非常にこだわっている姿をみることで、 「自 ら高校まで 12 年間の教育を受けることになりま あるいは漢詩などの古典の暗唱がとても大事な 分にはまったくわからないが、なにやら世界や人 ているようでは、知に対する憧れをもつことなどな す。この教育課程における学習のスタイルは、 「勉強」の一つとされていました。正直にいっ 生においてものすごく大事なことが存在するの く、何事も損得のみで考えてしまうような精神が 養われてしまうのではないかと心配です。 に出るから」というのが勉強の価値、目的となっ まずもって教わるべきことがら、すなわち教科書 て、児童がそれを丸暗記しても直接的に生活 だ」ということを体で覚えていく・・・。この「知」 というものがあり、その教科書の内容を教師か に役立つことはほぼないでしょう。しかし、よくい については、これまで多くの哲学者が論じてきた ら教わっていくという構図をもっています。つま われるように、その後の人生において何かの機 ことですが、 しいていうなら、覚えるべき事実(知 童にとっては苦痛でしかないかもしれません。教 り、教師から生徒へと知識は一方向に伝達さ 会にふとかつて丸暗記した文章が心に浮かんで 識)とか、有効な情報(知恵)とかとは違う次 師としても「とにかく覚えろ」という師匠のよう れ、上のほうから流れてくるものを下のものは受 くる ・・・ そして「あー、あのとき訳もわからず覚 元にある、この世の真のことであると理解すれ な立場で生徒に接することが難しい今日におい けとめるしかない。生徒側には、定められた科 えて唱えていたけど、それはこういうことだったの ばいいでしょう。 て、安易に「テストに出るから」と言ってしまう 目について興味がないから学ばないという選択 か」とわかるときがくる。つまり幼少期における このような知に対する畏敬の念、知という目 気持ちもわかります。しかし、そこは逆に、 「先 肢はありません。勉強という言葉の由来は「強 古典作品の丸暗記には、古典文体のリズムを に見えない大事なものを敬う心は、勉強だけで 生はそういって自分たちに言いきかせようとしてい いて勉める」 、つまり無理に努力してでも励むと 体感することで日本人としての素養を身体に纏う なく、信頼や友情、愛といった人間関係を大 るが、本当のところは違うのだろう」と、生徒に いう様子からきているそうで、この 12 年間の教 という意義に加えて、長い人生における様々な 切に思う気持ちにも通じます。また、罰が当た “大人”の観点を持ってほしい、いや、生徒 育課程の学習スタイルは、まさにこの言葉に合 実体験の文化的意味付けに用いられるという る、天が見ている、運というものが存在するといっ がそう考えるしかないのではないか。この悲劇的 致します。 価値があるのです。 た、自分を超えた大いなるものの存在を認識す な悟りは、筆者の現在の教育制度に対するあ らがいでもあるのです。 まこと 急いで付け加えますが、嫌々やらなければな そして、そのような心の奥底に大事なことを刻 ることにもつながるでしょう。この古典の暗唱に らない「勉強」は悪いものだと言いたいのでは むという価値に加えて、いやそれ以上に、この 象徴的されるような、勉強を通じて知に対する 確かに意味もわからず覚えさせられるのは児 いずれにせよ、この知に対する畏敬の念は、 断じてありません。いやむしろ、今日、小学校か 古典丸暗記という強烈な「勉強」には、 「知」 姿勢を体得する経験、言い換えれば勉強する 実はそのまま「学問」に対する姿勢へとつながっ ら高校までに本当の意味での「勉強」をしてい というものに対する姿勢を身に付けるという大き 構えを身に付けることこそが、勉強の本当の価 ていくきわめて大事なものなのです。 ないことが問題だと思っています。 な意味があります。まったくその価値のわからな 値であろうと考えるのです。 例えば、かつて我が国では、10才前後の児 い児童も、人生の先輩、大人である教師がそ 書評 雑賀 恵子 (続く) しかし、現状しばしば見られるように、 「テスト 京都薬科大学を経て、京都大学文学部卒業、京都大学大学院農学研究科博士課程修了。大阪産業大学他非常勤講師。著書に『空腹について』 (青土社) 、 『エコ・ロゴス 存在と食について』 (人文書院) 、 『 快楽の効用』 (ちくま新書) 。大阪教育大学附属高等学校天王寺学舎出身。 様である。粗っぽく言えば輸入物だが、 そのまま用 生まれたのではないかと著者は仮説を出す。欧米 日本語の科学が世界を変える いたのではない。言葉は翻訳されて日本語化され の言語や思考は、右か左か、生命か非生命かと た。翻訳というのは、ある言語をある言語に置き いった二分法を潜在的に持つと長年科学ジャー 松尾義之 筑摩選書 換えることではない。つまり、一対一対応になって ナリストとして科学論文や記事を読んできた著者 いないのである。統語法や単語の背景には、共 は感じる。 それに対し日本文化は、中間に真理、 同体の中で長く積み重ねられた思考がある。風 本質がある、中道、中庸と考える傾向がある。陽 土や生の営み、 ものの見方、 感じ方等が反映され 子、電子、中性子という全体の対称性ではなく、 るし、またその言語を母語とするものは、その言語 中間、橋渡しといった中に立つことに、湯川博士 文系はもちろんのことだが、理系だから英語は そればかりではなく、日本語の科学は世界を支え に内在するものの見方、思考法を身体の芯に持 は潜在的にリアルな感覚を持ったのではないか、 苦手だ、と言ってはいけない。科学者になろうとす ているとまで書く。一体どういうことだろう。 もちろ つ。概念化されたもののイメージというのが、身体 というのである。 るなら、論文を読むにも書くにも英語が必要だ。 ん、著者は極端なナショナリストではないし、日本 的に「理解」 できる。言語というのは、絶えず泡立 科学用語の翻訳の歴史や日本語だからこそ生 そもそも日本語は非論理的であって、正確を期す 語が一番だと言っているのではない。そうではな ち変化し、生成されていく文化なのだ。西欧思想 み出されたと著者が考える発見などを軸に軽い 科学には適さない。 ともかく、英語だ。国際社会を く、科学的思考は母語である日本語によってなさ を導入し日本語に翻訳しようとして、それに対応 筆致で展開する本書は、 ざっとした近代日本の科 相手にするには、英語ができなければ話にならな れるべきだというのである。 する言葉(思想) がないから、翻訳者たちは苦闘 学史でもあり、 言葉というものを考えるヒントにもな い。学生の質を上げるためには、大学の講義はす 学校教育では、教科書も授業も基本的には日 して造語を編み出したことはよく知られている。そ る。諸処わたしには頷きがたいところもあるのだけ べて英語で行なうくらいの改革は必要だろう…。 本語によってなされる。いまさらいうまでもないが、 のとき、概念のイメージも「日本化」 されることもあ れども、近年の傾向の批判書でもある。若い読者 というようなことが当然のように語られるいま、著 近代日本が立ち上がっていくとき、西欧を模範と る。 になにより科学の面白さとはなにかを示してくれる 者は、「日本語で科学をしよう」 というのだ。いや、 した。公教育システムや、学科の腑分けなども同 湯川秀樹の中間子論は、日本語で考えたから 本だろう。 連載ススメ ! 理系 北陸先端科学技術大学院大学教授富取正彦先生による『ナノの世界を探る顕微鏡 ! その誕生秘話とは』 はお休みさせていただきました。 大学ジャーナル その5 哲子 の 相談室 連載 日本文理大学 特任教授 北岡 哲子 P r o f i l e 異分野から工学の世界に入り、感情・表情・脳と癒しをテーマに北岡オ リジナル癒し工学を提唱。工学、医学、芸術、心理学、環境学、社会 学、宗教人類学の新学際研究に従事している。08年12月に日本機 械学会計算力学部門に「癒し工学研究会」 を設立。09年、東京工 業大学において博士(工学) を取得。日本機械学会、日本感性工学 会、日本早期認知症学会、日本脳電位学会会員。2011年日本機 械学会 「癒し工学研究分科会」 主査。東京工業大学大学院助教を 経て、2015年4月より現職。他に自動車事故対策機構 自動車ア セスメント等技術検討ワーキンググループ「予防安全技術検討ワー キンググループ」委員。著書は 『癒しは科学で手に入る』 (幻冬舎ル ネッサンス新書)。2015年春からは、 日経テクノロジーオンラインで 『ス ポーツをテクノロジーする』 を連載中。青山学院高等部出身。 要領の悪い私 自己中心性について 発達心理学では昔から、人間には他人が自分とは の先輩方から大学受験の雰囲気が伝わってく 違う視点を持っているということを理解する能力が生ま る。 なまじ、あと1年という長くもなく短いともいえない時 れながらに備わっているわけではなく、幼児の自己中心 間の猶予が不安をあおる。クラブも学校行事も2年が 的思考から大人へ成長するとともに獲得していくものだ 中心なので、 いろいろな雑用に時間が割かれ、 なかなか といわれてきましたが、現代においては、年齢を重ねれ 思うような受験準備ができないからだ。友人はたいへん ば誰もが自然に獲得できるわけではなく、思慮深く考え 要領がよく、先生方の評価の対象になる目立つ仕事 るようになることで初めてそれが可能になると言われて は、率先して引き受け、裏方の地味な仕事は他におし いるようです。幼児でなくても、自己中心的思考の大人 つける。嫌と断れない性格のわたしが、貧乏くじを引くの が、世の中にはたくさん存在しているのです。 が常。嫌だと断っても周りに悪く思われない上手な断り 自己中心性とは、人との関係において、相手の視点 方や、努力している人がきちんと認められ、ずるい人に に立てないということ。例えば、友人のお誕生日に、相 はペナルティが課せられる方法が知りたい。 手が好きな物を考えてプレゼントせず、自分の好みで選 あなたご自身は, 要領が悪いという認識なのです んだりするのもその一つで、多くの人がその傾向にある ね? そもそも要領のよい人の定義を調べてみ といいます。相手の視点に立つには、相手の心を慎重 ると、処理の仕方がうまい、手際がよいなど、無駄がな に考慮しようとする思いやりや時間的余裕が必要です く、最短最適ルートで目的に向かって進むことができる し、訓練も必要ですよね。誰もが簡単にすぐできること という意味がある一方、手を抜いたり人に取り入ったり ではないと思います。 回 答 vol.118 東京・ジャパン、グローバル 10 第2章 第4回 新しい風、 発見や感動を自分の力に 研究をしながら音楽活動をする、という生活 は、ある意味とてもインドアだ。 フィールドでの 集中調査や、ラジオやライブ活動を除けば、基 本的には、研究室で作業をしているか、 もしくは 自宅で制作をしている、ということになるので、 人と会わない。いわゆる、毎日ジーパンとパー カー生活が可能な日々を送っている。 そんな中 公立高校2年の女子。 この時期になると、3年 相 談 2015年(平成27年)12月15日 するのがうまいというマイナスの面もあります。ですから、 他人の感情はわからなくても、自分のことはよくわか 自分自身についてなら、考え方や目的がきちんと整理さ るのが、自己中心思考のもう一つの特徴。自分の間違 れ、やらなければならないことがその時その時に正確に いや欠点には敏感で、自分の貢献度は過大評価する 把握できて、合理的に物事を行えるのですから素晴らし 傾向が強い。だから他人には正当に評価されていない いと思います。 しかしご相談のように、人付き合いに関 と考えがちで、自分のことをもっと認めるべきだと憤る。 して要領がよいのというのは、社交的でも、断り方や押 その不満が強くなると、被害妄想的感情がうまれます。 し付け方がうまく計算高い、小賢しくずるいと、周囲の 周囲は自分をいつも見ていると思いこみ、 周囲の視線 信頼度は薄いのではないでしょうか。 を意識しすぎて、 こんなことをしたら嫌われる、 評価が下が 逆に、要領が悪い人は、性格上周りに気を遣いすぎ ると、 自分の本心からの行動がとれなくなってきます。 て、仕事をたくさん抱える損な役回りになり、気の毒な印 また、階段や段差などで足を滑らせ転んだ時、とても で、改めて、誰かと話したり、人との出会いや会 話を通じて、気付く事があるという事を痛感した 出来事が、 最近あった。 少し油断をしてしまい、寝坊をしたある日、昼 過ぎに私は地下鉄で大学に向かっていた。そ こに、電話が鳴った。画面には、高校の時の 同級生の名前。 しかし、 その友人とはもう3年ほ ど会っていなかった。私の名前が「アイ」だとい うこともあり、間違い電話やポケットに入ったま まダイアルしてしまいました、というような電話を とても頻繁に受けるため、あまり会話が始まる ことを期待せずに電話に出た。 すると、意外に も友人に「アイ、元気?」 と話しかけられた。 「今 から遊ばない?」 ・・・嬉しいお誘いだったが、 す でに結構な寝坊をしていることもあり、ごめん、 今日は厳しい、と軽く話をして、電話を切ってし まった。数分後、ふとみてみたフェイスブックの 「イベント」に、その日に企画されていた彼の 武川 アイ P r o f i l e 1988年 東 京 生まれ。抜 群の歌 唱力とポップなソング ライティングが 高 い 評 価を受け、2009年avexから「I WILL」でメジャーデビュー、創作活動やライブ活動の他、 TV(NHK-BS「J-MELO」)ラ ジ オ(NACK5「GOLDEN 4 EGGS」etc.)の音楽番組に出演などマルチに活躍。 2013年春からは海外の音楽家とのコラボ作品を多数 制 作、 「Beyond the Moon」「Whispers」他が 英 国の レーベルから、 「Waiting For You」「Sail Again」他が スウェーデンのレーベルから続々とリリース。昨年9月には 「Once More」と「Monday Night」が収録されたアルバム 「Impressionism」が<Beatport>のTRANCEチャートで 1位を獲得。最新曲「Bittersweet」(Mark Nails feat.Ai Takekawa)は、12月7日に、<iTunes>等よりリリースとな る。 日本で最もグローバルなシンガーとしての活動を展開。早 稲田大学大学院在学中。 最新情報は <Ai Takekawa [Official] Facebook>等にて 誕生日パーティーのお誘いを見つけた。 「あ、 今 が、数年で会社を辞め、現在は社員数名のベ 日誕生日だったんじゃん」 ・・朝から研究室に行 ンチャー企業で働いているとのことだった。高 くべきところ、寝坊をしてしまった罪悪感と、誕 校生の時からムードメーカー的な存在であった 生日をむかえていた友人からの電話に、一切 彼は、卒業して10年程経つ今でも、定期的に 誕生日のことはスルーをしてしまったという罪悪 みんなが集まれる場を作ってくれている。パー 感を秤にかけ、友人に、夜から行く、 と連絡を入 ティーの途中、彼は来年の春には結婚を予定 れた。 している、 という事も打ち明けてくれた。 20人程が集まっていたそのパーティーには、 先日、ラジオのゲストに来てくれた、シンガー 数人の高校の同級生の他は、ほぼ全員が初 ソングライターのkainatsuちゃんとの再会も、 対面だった。ひとまず自己紹介などをしてみる 自分の考えを見つめ直すきっかけになった。 ものの、週の大半を研究室でワニの骨と見つ kainatsuちゃんは一緒にラジオのオビ番組を め合いながら過ごす私には、 とても刺激的な場 曜日違いで担当していたこともあり、パフォーマ に思えた。 すると突然、少し離れた席の方から、 ンスだけでなく、ラジオでのメッセージ性のある 象を持たれがちですが、かえってそのぶん信用もされる 痛いけれど、周りの目を気にして、何事もなかったかのよ のではないでしょうか? ですから個人的には悪いことで うに、足早に立ち去ったことのある人は少なくないと思 「私、アイのこと知っているよ」と話しかけられ 話し方なども、とても参考にしていた。 そんな彼 はないと思いますが、 あなたのように人との接し方に悩ま います。 しかしそこに居あわせた大部分の人は、忙しくて た。 その女性は、私が大学を休学する前、同じ 女が最近ママになった。 そして、短い産休後、 れる場合には、性格そのものよりも表層の意識を変える 自分のことで頭がいっぱいで、横で他人が滑って転ぼ 大学の同じ学部にいたようで、すぐに打ち解け 活動を再開した。久しぶりに話した彼女は、前 ような、 極端なお話を紹介することがあります。 うが、気にも留めていないのが本当のところではないで た。彼女は、現在レコード会社で働いていると と変わらずエネルギッシュだったが、前以上に、 Epley(2014)Mindwise5章の「自分を基準に考え しょうか。 のことだった。 そして、 驚いたことに、 私がパーソ 発する言葉一つひとつが真直ぐで、力強く感じ ない」にとてもおもしろい実験結果が報告されています。 最初のご相談に戻りますが、あれこれ悩まず、10の ナリティーをしているFM NACK5で会ったこと られた。仕事と子育ての両立はとても忙しいは 簡単にいってしまえば、基本的に人は他者のことを、当 うち1つや2つは、わがままに思われようが、自分の本音 のあるそのレコード会社のプロモーション担当 ずなのに、 キラキラと輝き、 優しさに満ちていた。 人が思っているほどには考えも気にもしていない。つま に沿った行動をとってみてください。 もし周囲の評価が の女性は、彼女の後輩だという。後輩、 よろしく 自分がどういう事をしたいか。今まで、それば り誰もが基本的には自己中心的であるから、対人的に 低くて納得いかないと思っても、周りを怨むより自分の ね、 という彼女は、同世代とは思えない、凛々し かりを意識して進んできたが、高校や大学の 少々ヘマをしても、 全く気にしなくて大丈夫という話です。 自己中心性について一度考え直してみてはどうでしょう い「先輩」 キャリアウーマンの顔をしていた。 友人や、音楽活動の中で出会った先輩の生 ちょっと気が楽になりませんか? か? 私に電話をかけてくれた友人とも3年間に起 き方を知り、それだけではなく、自分が、どういう このコーナーでは読者からの相談を受け付けています。お気軽に下記のアドレスへご連絡下さい。[email protected] きた生活の変化などを報告し合った。彼は大 人になりたいかという事も大切にしなければい 学を卒業してすぐに大手の企業に就職をした けないと、 改めて感じた(続く)。 グローバル人材、グローカル人材が求められる中、基礎となる語学力はもとより、思考力、判断力、表現力に加え、人間の幅を広げる教養を深めることも欠かせません。 中でも、他国や自国の歴史について学ぶことは、異文化理解やアイデンティティーの確立のためにも必要です。2010 年、日本初、唯一の歴史学部として誕生した佛教大学歴史学部。 現 在 の 南 座 を 含 め て、 界 隈 は 元 禄 時 代 に は、 が 始 ま り ま し た。 こ の お い て、 恒 例 の 顔 見 世 京 都 で は、 十 一月 の 末 か ら、 四 条 の 南 座 に た人たちも少なくなく、 の 中 に は 行 き 場 を 失っ 関 ケ 原 の 合 戦 以 降、 主 に 西 軍 で 戦った 武 士 れています。 のが出 雲 阿国 と考 えら の 芸 団 に 所 属 していた 「かぶきおどり」で、そ る 芸 団 が 工 夫 し たのが 団 が あ り ま し た が、 あ 多 くのややこ踊 りの芸 手 踊 り が 中 心 で し た。 リフレインし なが らの 小 歌 とい う 短 詩 形 句 を 伎」 。も とも と 美 少 年 に 少 年 に よ る「 若 衆 歌 舞 ろ か ら 始 まって い た 美 代 わって 表 舞 台 に 現 れ て き た の が、 同 じ こ います。 よって 禁 止 さ れ て し ま す とい う 理 由 で 幕 府 に し か し この 遊 女 歌 舞 伎は治安と風紀を乱 を風靡します。 で、 そ れ が 今 度 は 一世 し ま す。 「遊女歌舞伎」 かぶき踊り をさせ興 行 び 込 む た め に、 遊 女 に そ の う ち、 遊 女 屋 の 主 人 が、 遊 里 に 客 を 呼 と い う か た ち で、 劇 と め て い き、 「島原狂言」 集 団 としての 性 格 を 強 じ て い た 芸 団 で、 芸 能 ています。 京 都の特 徴 をよく 表 し られていたというのも、 大 念 仏 狂 言 は地獄の 苦 し み や、 地 蔵 菩 薩 が と言えるでしょう。 ます。また、幕府の作っ た 法 に も 一部、 女 性 の 権 利 に つい て 定 め た も の も あ り ま す。 つ ま り 現代に生きる私たち は、 知 ら ず 知 ら ず の う たと言えます。 そ れ ほ ど 低 く は な かっ 女 性 の 地 位 も、 も ち ろ 救 って く れ る 様 子 な ど ち に 過 去 を、 現 代 の 価 こ の よ う に、 大 学 で 歴 史 学 を 学 ぶ こ と は、 歴史学を学ぶことの 意 義について もお話 し い た だ け ま す か。 が パン トマ イ ム で 演 じ 値 観や考 え方で見てし 千 本 閻 魔 堂の3 箇 所に しょう。清凉寺、 壬生寺、 う いっ た 花 見 の 参 拝 者 で あ ふ れ ま し た が、 そ 花 時には寺 社は参拝 者 京都には桜をはじめ、 花 の 名 所 が 多 く、 昔 も 女性は婚 家に縛られ る、という イメージも、 えてしまいがちです。 だった に 違 い な い と 考 れ が もっと 極 端 な も の れ 以 前 の 時 代 で は、 そ 尊 女 卑 の 風 潮 か ら、 そ 明 治 時 代の家 制 度や男 あ り ま す。 た と え ば、 まって い る こ と が 多 々 も し れ ま せ ん。 い ず れ 学問にも当てはまるか と は、 大 学 で 学 ぶ 他 の 力 を養 うことだと言 え え、 深 く 考 察 し て い く を通してより 正 確に 捉 す る 時 代 を、 史 料 な ど る の で は な く、 対 象 と 観 などから歴 史 を考 え 思い込 みや 現 在の 価 値 ん地域にもよりますが、 られるのが特色です。 は、大念仏狂言という、 を 対 象 に、 念 仏 の 教 え 江戸 時 代の史 料 を読み に せ よ、 自 分 な り に 問 は、 群 集 の 声 が 騒 が し 離 婚 を 経 験 し ていま す 代 で は、 大 名 の 多 く が 答 えを 導 くのが 大 学で い を 立 て、 自 分 な り の 念仏狂言 をご紹 介しま 版] 。明治期に壬生寺大 く、 仏 教 の 教 え を 説 い な ぜ無 言 劇 なので しょうか。 仏 教の教 えをわかりや を 教 えるために 大 念 仏 解 い て い く と、 徳 川 吉 いくつかありますが、 ここで は 民 俗 芸 能の 大 す く 人 びとに 説 く こと 狂言は行われたと考 宗の活 躍した享 保の時 念仏狂言から派 生した ま す。 も ち ろ ん こ の こ を目 的 とした民 俗 芸 能 え ら れ て い ま す。 し か その苦 しみから人々を れます。 そこで教える先生方に、それぞれの歴史や文化へのアプローチについてシリーズでお聞きするとともに、なぜ今、歴史・文化なのか、歴史を学ぶことで身に付く力、高校生へのメッセージ等をお聞きします。 実 に 7つ も の 芝 居 小 屋 彼 らは奇 抜な出で立ち よる曲 芸や 大 道 芸 を 演 が 伝 わ っ て い ま す〔 図 し、 こ の よ う な 場 所 で 男 女の恋 愛や 情 実 など はなく、伏見や宇治、山城といった周辺部をカバーする研究 いるのも京都学の特徴と言えるでしょう。 者がいること、また、多くの大学で関連する講座が開かれて コース」がありますが、歴史学科ではどちらかというと歴史中 本学では、歴史学科、歴史文化学科の両方に「京都学 心のカリキュラムになっているのに対し、歴史文化学科では、 マも取りいれられています。 歴史的テーマだけでなく、衣食住や観光などの今日的なテー 私は京都学を学ぶにはやはり京都が一番だと思っていま 京都学は他の地域で学ぶことももちろんできます。ただ、 ます。京都には歴史の舞台となった場所がたくさん残ってい す。地図を見て考えるのと歩いてみるのとではずいぶん違い ますから、何気なく街を歩くだけでも、その歴史を肌身で感じ、 佛教大学歴史学部 からのメッセージ が あ り ま し た か ら、 そ を し て 街 を 闊 歩 し てい 念仏狂言といいます[図 版②〕 。これらを三大大 き ま す。 元 禄 期 に は 江 さ れ ま す が、 美 少 年 が 前 髪 を 剃 り「 野 郎 」 と 代 に は、 そ れ に 備 え て で き る だ け た く さんの の 学 び の 基 本。 高 校 時 も 離 婚 し て 実 家 に 戻っ こ と を 吸 収 し て おいて は、 嫁 い だ 娘 が い つ で て こ ら れ る よ う、 手 筈 ほしいと思います。 し、 町 人 な ど の な か に も あ っ て、 無 言 で 派 手 を 整 えてから 嫁 入 り さ れ て し ま う とい う こ と 大 大 念 仏 狂 言 と も いい な 身 振 り 手 振 り の パン せているこ と が わ か り てもその声 がか き 消 さ ま す。 こ の ほ か に、 壬 なったの だ ろ う と 思 わ トマイ ム とい う 方 法 に 神 泉苑 大念仏狂言が誕 が う か が え ま す。 享 保 生 か ら 尼 崎、 福 井 に そ 生 し、 こ れ を 加 え て 四 う演技様式が確立され、 期 の 役 者、 初 代 姉 川 新 れ ぞ れ 一例 ず つ 伝 承 さ ら、 京 都 の 街 の 成 熟 度 ら許可されることとな 第 一期 黄 金 期 を 迎 え る 江 戸、 大 阪、 京 都 で 演 四郎が観客に合わせて、 が 中 心 で あった こ と か り、 若 衆 歌 舞 伎 の 美 少 のです。 じ 方 を 変 え な さ い、 と 京 都 を 中 心 に 和 事 とい 年 は 前 髪 を 剃 り、 野 郎 ち な み に、 京 都 の 役 者、 初 代 坂 田 藤 十 郎 が い う 芸 談 を 残 し ていま 戸 で は 荒 事、 上 方 で は になります。これが「野 和 事 を 大 成 し ま す が、 す が、 そ の 際、 江 戸 が 男 性 として興 行 するな 郎 歌 舞 伎 」 で す。 そ し 和 事 と は 柔 ら かい写 実 マのひとつです。京都学の対象は、いわゆる京都市だけで シリーズ の 賑 わいぶ り は 想 像 に ま し た。 そ れ が「 か ぶ しての 要 素 を 強 めてい 伝統芸能から アプローチする京都学 京 都に特 有の民 俗 芸 能 難 く あ り ま せ ん〔 図 版 き もの」 と 呼 ばれる人 き ま す。 そ の 後、 若 衆 れているだけですから、 ①〕 。 た ち で、 彼 ら は 流 行 の 歌舞 伎も治 安と風紀を 歳 で 風 姿、 と 譬 え そもそも顔見世とは、 各 座 の む こ う 一年 間 の 先 端 を 行 く ものとして が 新 規 契 約の役 者 を 観 客 人 々の 憧 れ の 的 で も あ 都学」についてもお聞きしました。 し て な ら、 つ ま り 成 人 て登場人物は多 彩にな の演 技 と演 技 様 式のこ 斉藤 利彦 先生 歳 で 活 気、 大 阪 が も 行 わ れ る な ど、 今 に 佛教大学 歴史学部 歴史文化学科 准教授 20 佛教大学文学部卒業、佛教大学大学 院文学研究科修士課程修了。佛教 大学大学院文学研究科博士課程単 位取得満期退学。博士(文学)佛教 大学。主な著書: 『近世上方歌舞伎と 堺』 (思文閣出版、2012) 『 近世堺と 歌舞伎』 (大阪公立大学共同出版会、 2008) 、他に共著多数。兵庫県立川 西北陵高等学校出身。 30 歳 で 分 別、 そ し て 京 都 京都は日本の歴史のなかで、常に中心であったという「個 な少女による踊りです。 に 披 露 す るのが 目 的の り ま し た。 阿 国 の か ぶ ※1 歴史学科には、日本史、東洋史、西洋史、京都学の4コースが、 歴史文化学科には、 考古学、 地理学、 民俗学・文化人類学、 芸術文化、 京 都学の5コースがある。 三代目坂東三津五郎役者絵 り、 劇 的 な 構 成 の 演 目 と で、 作 品 の テ ー マ は 追体験できるからです。 近 い 形 が で き あ がって 性」があります。その個性について考えるのが京都学のテー 京都は様々な文化の 発信地と言われてい ます が、ご専門の歌 舞伎も京都が発祥な のでしょうか。 興 行 で し た。 そ し て 京 き踊りは大 当たりし大 舞伎について、また歴史を学ぶ意義、 「京 歌舞伎は京都で生ま れたということです が、逆に京 都 だけに しかない芸能もある のでしょうか。 都 の 顔 見 世 興 行 は、 京 れています。京都発の伝統芸能である歌 乱 す とい う 理 由 で 禁 止 都 の 人 々の 年 中 行 事 と 40 舞 妓 」と表 記されるよ ② 千本ゑんま堂大念仏狂言 評判になりました。 「歌 ① 四条芝居町界隈図 して息づいてきました。 文化学科の「京都学コース※1」を担当さ P r o f i l e 「京都学」とは、どのような学問なのでしょう。 しい学問で、まだ方法論が確立されているわけではありませ 京都学は横浜学や江戸東京学などに続いて生まれた新 んが、時間だけでなく、空間にも比重を置いている点に特徴 があります。 て考察する地方史(ローカルヒストリー) という分野がありまし 歴史学の中には以前から、日本の各地域の歴史につい た。これは、 「地方」に対して上位の存在としての「中央」 と いうものを前提にしたものでした。1980 年代から1990 年 多く見つかるのにともない、 「地域学」 という学問が提唱され 代にかけて、自治体の市史編纂ブームによって新史料が数 ます。これは社会学のエリアスタディーズに近いもので、各 地域を中心部の外側にある周縁部としてとらえるのではなく、 す。そしてこれと並行して生まれてきたのが「○○学」です。 独立した歴史や文化をもったものとして捉えようというもので う に なったの も この 頃 現代に至る歌舞伎の変遷と大念仏狂言 最終回 の よ う で、 明 治 時 代 か を中心に、日本芸能史がご専門で、歴史 歌 舞 伎 の 原 型 は、 戦 国末 期から近世初頭に 歴史文化学科の斉藤利彦先生。 歌舞伎 流 行 し た「 や や こ お ど 事を、小さい頃から手伝ってきたという するようになります。 のは、歌舞伎の裏方をしていた父親の仕 ら は「 歌 舞 伎 」 と 表 記 かったかもしれませんね」と目を細める り 」 と い う、 い た い け 「舞台袖から見ていた歌舞伎が一番面白 大学ジャーナル 2015年(平成27年)12月15日 vol.118 11 大学ジャーナル TOPICS 2 vol.118 2015年(平成27年)12月15日 12 第5回京都大学高校生 フォーラム in Tokyo 第5回京都大学高校生フォーラム 写真② 参加生徒との対話交流では、 質問にたくさんの手が挙がった。 山極先生の講演を一生懸命ノートにとる。 てもらおうと、東京都教 学進学への意識を高め 研究に触れてもらい、大 て京都大学の最先端の 生にも、講演などを通じ このフォーラムは、京 都大学が首都圏の高校 した約360名。 《自由の学風》と言われ 動 機 に つ い て、 一 番 は ん。京都大学へ進学した 高校出身の鈴木雄大さ 学部1回生で都立武蔵 登壇者は京都大学経済 拶(写真①、②)。最初の は金子一彦教育監が挨 都大学理事・副学長が、 京都大学と東京都教 育委員会との共催によ 育委員会の協力の下に 回京都大学高 2011年 か ら 始 め た る大学の雰囲気が気に る「 第 もの。第1回はiPS細 入 っ た こ と。二 つ 目 は、 11 校 生 フ ォ ー ラ ム in 胞でノーベル賞を受賞 中学の修学旅行で雰囲 や、家事、下宿生活など Tokyo」が、さる された山中伸弥先生、第 気に憧れた京都で一人 も紹介。最後に後輩たち 月6日、会場を新たに国 2回はチンパンジーの 暮らしがしたかったこ へメッセージを送った。 立オリンピック記念青 アイに言葉を教えるア と。三つ目は高いレベル 少年総合センター カ ルチャー棟大ホールに イ・プロジェクトで有名 の学問が学べること。四 今 年 の 講 演 者 は、 昨 秋、 第 代 総 長 と な ら 移して行われた。参加し な松沢哲郎先生、第3回 つ目は入試問題が自分 れ、ゴリラ研究の世界の 霊長類学、自らの研究な どを熱く語られた。 分 の講演の後には、「参加 生徒との対話交流」も行 われた。 続いて、京都大学の高大 接続事業「ELCAS」 ※ 先生も、「学生時代はい て謝辞を述べると、山極 真③)が、全員を代表し 最後に都立日比谷高 校 2 年 内 田 大 賀 君( 写 表。 ラムは幕を閉じた。 時間 全員にエールを送り、 てもらいたい」と参加者 持って高校生活を送っ 界に挑むという気持ち 分に及ぶフォー で大学を目指し、意欲を ろんなことにチャレン ジして、自分が一体何に 2 たのは、東京都立の 校 は「 人 類 の100年 後 に合っていたこと。特に 第一人者とされる山極 に参加する生徒を代表 行うプログラム「科学体系と創造性 ※1 国のグローバルサイエンス キャンパス事業として、京都大学の 40 28 5 開会に先立って、京都 大学からは北野正雄京 を考えよう!」と題して 英語は問題文そのもの 壽 一 先 生。「 京 都 大 学 の 90 写真③ の高1、高2生を中心に 前総長の松本紘先生が、 が面白く、それに惹かれ 向いているのかを見極 講演と質疑応答要旨 講演は、京都大学の独創的な研究の一つの代名 期スパート≫を例に、高校時代は心と体の成長にとっ 詞とされる京都学派とその特徴の紹介に始まった。そ て最も大事な時期であるなど、随所に高校生へのメッ れに続いて、独創的な考えに至るには「誰もが見て セージも盛り込まれた。また、ネット社会の進展による いるものの中から自分にしかわからないものを見つけ出 コミュニケーションの変容と、豊かな社会がもたらした す」のと、「誰も見ていないものを見て、それをヒント 食事の仕方の変化は、家族の崩壊、ひいては進化 に誰も考えつかないことをする」という二つの方法が の長い歴史の中で育んできた共感能力をはじめとする ある。そして自らの研究の原点である探検やフィールド 人間性の喪失につながるおそれがあること。さらにい ワークが目指すのは後者であるとし、その典型として、 つも仲間とつながっていたいという意識が強いと、自 『種の起源』などを著わし、欧米社会に大きな影響 を与えたダーウィンの業績が挙げられる。 己決定ができず、初めてあった人ときちんと話ができな いだけでなく、一人孤独になり、常識を覆すような独 そこから自身の学問の系譜、つまり≪すべての生 創的な考えを生むことを阻害するのではないかと警鐘 物は社会を持っている≫とし、サルや霊長類の研究を を鳴らす。そこから IT 時代の学び方、大学のあり方 通じて、人間社会の起源に迫ろうとした今西錦司博 が語られ、最後は京都大学の WINDOW 構想で締め 士、ニホンザルの社会構造の研究に始まり、ゴリラ、 くくられた。 チンパンジーの家族の起源を探ることを目標に研究を その後の質疑応答では、町田高校、立川高校、 続けた伊谷純一郎博士の業績を辿り、そのオリジナリ 西高校の4名の生徒が、「紛争による野生動物への ティー、またフィールドワークの特徴などが、自らの体 影響」、「ゴリラも人もなぜ子どもは好奇心が強いの 験とともに語られた。あわせて、 ダーウィンの登場をきっ か」「山極先生は、生まれ変わったら何になりたいか」、 かけにヨーロッパでは人文科学と自然科学の分離が 養を目指している。これは、京都大 した知の継承と豊かな創造性の涵 学の教育理念「対話を根幹とした自 学自習」を受講者に求めており、高 究者の講義を聞き取り、自ら課題を い数理運用能力をもち、第一線の研 求する能力を求めている。高校およ 設定して知を編み直し、最善解を追 連携しながら、多様な価値観が交差 び教育委員会と京都大学とが密に するグローバル社会の中で、卓越し 進的な尖 り ある科 学 技 術イノベー た幅広い専門的知識を持ち、創造先 越人材を育成していく。 ション力の双 方 を 併 せ 持つ知 的 卓 もいい経験になった。 して、都立戸山高校2年 先生から直接教わったり研究もでき、 とて がクロスする知 的 卓 越人材 育 成プ スでは、実際に大学の研究室に行って ロ グ ラ ム 」の 略 称。幅 広 い 知 識 と 高 は、講演などもたくさん聞け、大学の授業 を垣間見ることもできた。 さらに専修コー い志をもった高 校生が他校生と互 いに切磋琢磨することにより、卓越 大学で先生に直接教えてもらう機会 はとても少ない。 しかしこのプログラムで 26 東京都教育委員会から 昨年の第4回では、 「自 探検と冒険―ゴリラの 都立戸山高校2年 松岡航太郎君 て楽しく受験勉強でき ELCAS※1に参加して 然に学ぶナノテクノロ 没頭するなどおおいに満喫してほしい。 める時代でもあるから、 あるから、上手に時間を管理して、部活に 今は必ずしも明確な目 は大切だが、高校時代は楽しい時代でも 標がない人も、新しい世 を上手に使うこと。受験に向けての勉強 の松岡航太郎君が、「ス 心にゆとりを持ってやりなさい」 という高校 時代にある先生から言われた言葉。時間 フィールドワークから いのは、 「失敗しても死ぬわけではない、 そうだったからと説明。 受験勉強は苦しかったが、その分、今 はとても楽しい。 みなさんに今一番伝えた ジー~蛍の光を模倣し 大切にしてほしい。 パース信号処理の数理」 親への感謝の気持ちを忘れず、お金も と題して研究成果を発 謝、尊敬の念もわいてきた。 みなさんも、 ―」と題してスライドや 大人にいかに様々な面で依存していた かがよくわかったし、 あらためて、親への感 あわせて、時間割やサー が、金銭面だけでなく、親をはじめとする た水素燃料電池による で何もかもやってみると、高校までの生活 動画を交え、京都大学の 大学生になりバイ トを始めるなど、自分 ク ル 活 動、 ア ル バ イ ト 京都大学 経済学部1回生 鈴木雄大さん LED発 光 」と 題 し て、 高校生へメッセージ ナノテクノロジーハブ 拠点長の平尾一之先生 等が講演と実験が行っ 月に東京都教育委 た。京都大学は2014 年 員会と高大接続・高大連 携に関する連携協定を 結んでおり、昨年からは 連携事業の一環として 位置付けられている。 7 写真① 「山極先生にとって人間とは」と質問。 起こり、それが今に至るまで尾を引いていること、そし 山極総長は、紛争は現地の人々の未来の環境を てそれを超えようというのが京都大学霊長類学の立場 も破壊するという意味で、どうしても防がねばならない であると付け加えられた。 こと。 子どもの行動は大人の行動と違い合目的的で 続いて、霊長類の中でも、人間だけが家族ととも はないこと。また、ゴリラ以外に生まれ変わりたいもの にコミュニティーを持つに至った背景や条件、目的に としては、水中で霊長類と同じように脳を発達させてき ついて考察。その手掛かりとして、 ゴリラやチンパンジー たクジラになって、身をもってその世界を体験したいと に比べて人間の子どもは大きく生まれ、よく泣き、しか 丁寧に応答。最後の質問には、最も人間を人間たら も乳離れが早いこと、また特有の青年期を持つことな しめているのは、他人から見られている自分が自分で どに言及。一方で、森から草原へ出た人類の祖先が、 あるという世界に入ってしまったこと。この、いわば社 外敵から身を守り独自の採食様式を確立するのに不 会の内面化ということが、これだけ大きく複雑な社会 可欠だった二足歩行や、食物分配、集団規模の拡 を作るのに役立ったが、同時にそれは、人間を自滅 大が大きな脳の形成に寄与したとする知見を紹介。そ に追い込みかねないものでもある。特に今後、ロボッ れらが進化の過程で様々に関連しあって独自の子育て トや人工知能を使って自分の部品化が可能になるよう と家族やコミュニティーの形成を促したと解き明かされ な世の中が訪れた際には、さらに大きな問題になるの た。 ではないかと結んだ。 この間、脳の成長に身体の成長が追いつく≪思春
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