事業名:ワイヤレスで情報アクセス可能な肢体不自由者向け携帯端末の

平成 12 年度補正予算 高齢者・障害者等用情報通信機器等開発事業 公募採択案件6
事業名:ワイヤレスで情報アクセス可能な肢体不自由者向け携帯端末の開発
団体名:テクノツール株式会社
1.事業の概要
本事業は、重い運動障害を持つ人が、車いすに設置して外出先等でも利用できる情報アクセス端
末開発することを目的とする。
2.開発成果
(1) システムの構成
システムは、PDA を接続した PDA インターフェース、ワイヤレスステーションの 2 つのハード
ウェア、それらを動作させるソフトウェアから構成される。
(2) 開発内容
構成要素
PDA
開発要素
主な技術的特長
PDA 上で動作する入力支援ソフトウ PalmOS 上で動作するソフトウェア
エア
PDA インタフェース
で構成。
筐体、回路およびプリント基板、フ 2 次電池により充電可能。ワイヤ
ァームウェア、設置用ジョイント
レスには、433MHz 微弱電力の電波
を使用。
ワ イ ヤ レ ス ス テ ー 筐体、回路およびプリント基板、フ USB により PC と接続する。
ション
ァームウェア
PC
ワイヤレスステーション用ドライ ワイヤレスステーションを動作さ
バーソフト
せるためのウィンドウズ用のドラ
イバーソフトウェア。ホットシン
ク機能を用いて、メールの送受信
を行なうとともに、メモ帳などの
データをバックアップする。
インターネット
ワイ
ヤレ
ス(屋
外)
PHSまたは携帯電話
ワイヤレス
ステーション
(Y)
コンピュータ
ワイヤレス(室内)
インター
フェース
(X)
PDA
(Z) 入力システム
操作スイッチ
モビリティを確保
3.実証・評価実験結果
(1) 実証実験の内容
実証実験では、開発したシステムが様々な障害をもつ人の外出先での情報アクセスを支援でき
るかどうか、また実際の使い勝手はどうか、市場性や価格がどう評価されるかなどの視点で調査、
評価を行なった。評価においては、神奈川県総合リハビリテーションセンター、横浜市総合リハ
ビリテーションセンター、生活工房、東北福祉大学に依頼した。対象者としては、脳性まひ者(電
動車いす使用)、脳性まひ者(歩行可能)、筋ジストロフィー(ワンスイッチ操作環境[MK マウス])
、
脳性まひ者(電動車いす使用、言語障害あり、文字板使用者)であった。方法としては、入力方
式、PDA 画面の視認性、電子メール、メモ帳の使い勝手、ワイヤレスの性能、PDA のみを使う場合
の使用性、車いすへの設置方法、筐体の強度、価格、システムに対する要望等を聞き取り調査し、
専門家の自由意見を取り入れた。
(2) 評価結果
実証実験の中では、多様な入力方式(オートスキャン、ステップスキャン、符号入力等)や多
様なソフトキーボードへの対応の必要性、さらに環境制御への応用、音声出力(VOCA)としての
利用など、多様な期待や要望が出された。これは、障害者が使用する機器全般で携帯できるもの
が皆無であるため、多様な要望が集中してしまったのが原因ではないかと考えられる。本開発で
も、できる限り多様なニーズを捉えようとするあまり仕様を複雑化しすぎたきらいがある。製品
化にあたっては、対象ユーザ層の絞込みと機能のシンプル化、それに伴った操作性の改善など仕
様の見直しが必要であると考える。
4.今後の展開
本開発で使用した PDA 「Visor」の開発販売元であるハンドスプリング社の日本市場撤退が伝え
られており、すでに既定の方向であると考えられる。したがって、本開発をそのまま製品化する道
は閉ざされてしまった。しかし、開発した POBox と併用できるスキャン式入力などのソフトウェア
は他の PalmOS 搭載機でも生かすことができる。したがって PalmOS 搭載機を中心に対象 PDA を変更
しまたハードウェアの規模をやや縮小することで、社内での製品化作業につなげていきたい。製品
化かかる日程を次のように考えている。
1) 対応ハードウェア(PDA)の見直しと検討 2002 年 5 月をめど
2) 製品化にむけた三次試作 2002 年夏をめどに
3) 三次試作実地テスト 夏から秋にかけて
4) 製品化 2003 年早春