VPA解析

VPAの原理
水圏生物学基礎実験
松石 隆
VPAとは
年齢別漁獲尾数を使って資源尾数を推定す
る方法
„ スタンダードな資源評価手法
„
… 国際会議
… TACの計算
„
理論的発展がされている
… チューニングVPA
… 統合型VPA
… SVPA
VPAの基本的な考え方
ある池に1月に1歳魚を多数放流した。
„ そのままにしておくと,1年間で1/4に減少
„ 毎年6月に漁獲し以下の尾数が漁獲された
„
… 1歳の時
… 2歳の時
… 3歳の時
„
100
300
200
もともと何尾放流されたのか
1歳魚放流
? 尾
1歳魚の漁獲
100尾
2歳魚の漁獲
300尾
3歳魚の漁獲
200尾
解答1
„
とにかく600尾漁獲されたのだから
少なくとも600尾は放流された
解答2
„
„
„
„
„
解答1では,自然死亡を考慮していない
3歳魚が200尾獲れた→3歳時に6月には200尾い
た
1年の生残率が1/4ということは半年で半分が死ぬ
3歳の1月には400尾,2歳の6月漁獲後には倍の
800尾居たはず
2歳の漁獲前には800+300で1100尾いたはず
6月
7月
少なくとも
1100
少なくとも
800
生残率1/2
1月
6月
少なくとも
400
少なくとも
200
生残率1/2
2歳魚の漁獲
300尾
3歳魚の漁獲
200尾
(つづき)
2歳の漁獲前には800+300で1100尾いたは
ず
„ 2歳の正月には倍の2200尾
„ 1歳の漁獲直後には倍の4400尾
„ 1歳の漁獲尾数は100尾だったので,1歳の
漁獲直前には4500尾
„ 1歳の正月には少なくとも倍の9000尾
„
6月
1歳魚放流
9000尾
7月
少なくとも 少なくとも
4500
4400
1月
6月
少なくとも
2200
少なくとも
1100
1歳魚の漁獲
100尾
2歳魚の漁獲
300尾
解答3
解答2では3歳魚の生き残りを考慮していな
い
„ 3歳の12月に100尾生き残っていると仮定す
る
„
7700x2=15400
100x2+200=400
400x4+300=1900
1900x4+100=7700
1歳魚放流
15400尾
3歳魚の生残
100尾
1歳魚の漁獲
100尾
2歳魚の漁獲
300尾
3歳魚の漁獲
200尾
自然死亡係数
„
漁獲がないとき
dN
= − MN
dt
1
dN = − Mdt + K
N
ln( N ) = − Mt + K
∫
∫
N = e − Mt e K
t = 0のときN = N 0とすると
N (t ) = N 0 e − Mt
„
„
このMを自然死亡係数
という。
半年間の生残率は
−
N (0.5) N 0 e
=
N0
N0
M
2
=e
−
M
2
N a, y
M
⎛
⎞ M
= ⎜ N a +1, y +1e 2 + C a , y ⎟e 2
⎜
⎟
⎝
⎠
= N a +1, y +1e M + C a , y
M
e2
M
⎛
= ⎜ N a + 2, y + 2 e M + C a +1, y +1e 2
⎜
⎝
=
3M
N a + 2, y + 2 e 2 M + C a +1, y +1e 2
M
⎞
⎟e M + C e 2
a, y
⎟
⎠
+ Ca, y
M
e2
= ...
= Ca, y
M
e2
3
M
2
+ C a +1, y +1e
+ ... + C a + t , y + t
2t +1
M
2
e
+ N a + t +1, y + t +1e (t +1)M
漁獲死亡係数
„
一年中漁獲が行われる場合,自然死亡係数
と同様に漁獲死亡係数Fが定義され
dN
= −(M + F )N
dt
M + F = Zと置くと,
ln( N ) = − Zt + K
N t = N 0 e − Zt
続き
„
一年間に死亡する個体
数は
(
N t − N t +1 = N 0 e − Zt − e − Z (t +1)
(
= N 0 e − Zt 1 − e − Z
(
= Nt 1 − e−Z
)
)
)
„
常に死亡のF/Zが漁獲
量であるので
F
C = (N t − N t +1 )
Z
F
= Nt 1 − e−Z
Z
F
=
N t 1 − e −(F + M )
F+M
(
)
(
)
„
Fを求めるためには
e −Z =
N a +1, y +1
N a, y
⎛ N a, y ⎞
⎟=Z
ln⎜
⎜ N a +1, y +1 ⎟
⎝
⎠
F +M =Z
F = Z −M
⎛ N a, y ⎞
⎟−M
= ln⎜
⎜ N a +1, y +1 ⎟
⎝
⎠
VPAの特徴
„
漁獲圧が大きいほど推定値は信頼できる
„
過去の若齢ほど推定値は信頼できる
„
自然死亡係数Mを変えると絶対値は変わる
がトレンドは変わらない