研究論文 タイ、ベトナム進出日系企業における人的資源マネジメントの 異

研究論文
タイ、ベトナム進出日系企業における人的資源マネジメントの
異文化間職場摩擦への影響について
横浜市立大学学術院国際総合科学群
経営学コース教授・Ph.D
大西 純
<要旨>
日系企業の海外事業展開先として過去中国が最も有望であったが 2013 年の国際協力銀
行の調査では昨今の日中関係を反映して中国を抜いて、東南アジアの国々が上位を占める
事となった。この研究では其の中で 3 位と 5 位を占めるタイとベトナムに進出している日
系製造業における日本人と現地人従業員間に発生する職場摩擦の原因を日本人・現地人従
業員向け質問表によるアンケート調査結果から分析し、其の解消策を提案するものである。
具体的には日本人・タイ人間または日本人・ベトナム人間において、ホフステードが提案
した働く国文化指標の差異が、労務管理手法、職場摩擦対処法、およびリーダーシップに
ついての意向に影響し、それがどのように職場摩擦に連関するかについて仮説を立て、其
の検定のために、在タイ・ベトナム日系製造業で現地量的調査を行った。調査結果から日
本人とタイ人間は日本人とベトナム人間より職場摩擦が発生する可能性が高いことが判
明した。
<キーワード>
異文化間職場摩擦、タイ・ベトナム進出日系企業、労務管理手法、職場摩擦対処法、リー
ダーシップ
1. はじめに
国際協力銀行のわが国製造業企業の海外事業展開に関する 2013 年度調査報告1で今後と
も事業展開を積極的に行っていく国として 1 位インドネシア、2 位インド、3 位タイ、4
位中国、5 位ベトナムが挙げられており、今後とも日系製造業はアジア重視を明確にして
いる。しかしながら、これらの国々の日系企業は早期転職、人件費の高騰等の多くの人的
資源問題を抱えており特に管理職クラスの人材不足が大きな解決すべき課題となってい
る。これらの国で管理職クラスの現地人が不足している理由として日系企業の平均的賃金
が安いというほかに日本人管理職との職場摩擦が挙げられる(Holmes 1995 2 , Onishi
2006、大西 2009、Onishi 20103、海野 20014、木村 20055)
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欧米においては職場における摩擦について経営原論や組織論の分野で幅広く研究がな
されてきており、Obuchi and Suzuki, 2003; De Dreu and Van de Vliert, 1997; Thomas,
19926 などは職場摩擦に対する管理職の対応方法の違い等について研究を行って来た。
また企業が外国で活動する機会が増えたことにより、職場摩擦と異文化との関連性につい
ても研究がなされ、Roongrensuke and Chansuthus, 1998; Kirkbride, Tang, Westwood,
1991; Ting-Toomey, Gao, Trubisky, Yang, Kim, Lin, Nishida,1991; Cox 1991;7等が論文
を発表している。これらの論文のうち特に Cox(1991)は異文化職場摩擦を解消できた
外国進出企業は経費節減、職場効率、安定成長等で優位に立ったとしている。
今研究は職場摩擦と異文化の関係について、前述の国際協力銀行の 2013 年度調査で日
系企業進出先としてますます重要となっているタイとベトナム進出の日系製造業におけ
る現地人従業員と日本人従業員間の職場摩擦原因を量的調査から解明し、その解消策また
は予防策の提言を行うものである。とかく、アジア人と欧米人の職場摩擦という比較がな
されるがアジア人同士でも摩擦は起こりやすく、アジア諸国に生産拠点を多く持つ日系企
業にとって現地人従業員との職場摩擦は喫緊の解決すべき課題である(Onishi 2006、大
西 2009、Onishi 2010、海野 2001、木村 2005)8。
研究者は既に、職場摩擦の概念とその種別についていくつかの論文を発表してきたが
(2006、2009 および 2010)9、ここで改めて、異文化間の職場摩擦とは文化、特に国籍
が異なる人種が協働する場合に其の思考体系の違いにより、共同作業効率が低下する状況
と定義する。最も卑近な例は意見の食い違いによる異文化従業員間のお互いに対する感情
の悪化であり、言語の違いによる意思疎通の難しさがこの状況を悪化させている。
2.職場摩擦の要因の考察
在アジア日系企業の日本人従業員と現地人従業員間に発生する職場摩擦の発生要因に
ついて研究者は双方の労務管理手法の違い、職場摩擦への対処法の違いおよびリーダーシ
ップ実践の違いが有りこれに国文化の違いが影響していると考えている
(Mondejar ,Onishi, Lim and Castro 2010、Onishi and Mondejar 2011)10
図表 1. 異文化間職場摩擦と其の要因の相関図
在アジア日系企業における職場摩擦
在ベトナム
日系企業
在タイ日系
企業
働
く
上
で
の
国
文
化
の
違
い
リーダシップの違い
相
関
関
係
アジア
現地従業員
職場摩擦への対処法
の違い
異文化間職場摩擦の
可能性
労務管理手法の違い
日本人従業
員(管理職)
労
働
意
欲
の
低
下
人
的
資
源
の
有
効
利
用
を
阻
害
出所:著者作成
- 22 -
2-1 国文化
ホフステードは其の著書の中で外国人同士が一緒に仕事をする上で国文化の違いが其の
職場関係に影響しているとしている(2005,2013)11。ホフステードが提唱した国文化の違い
であるが、人がどのように考え、感じ、行動するかには固有のパターンがあり、各国ごと
にその国民には共通性があるという考え方に基づいている。彼は 50 カ国以上を対象とし
た調査によって権力格差、集団主義(反対は個人主義)、男性らしさ(反対は女性らしさ)
及び不確実性の回避という4つの共通した次元を発見し、各国の国民の固有のパターンの
違いはこれらの強弱の違いと結論付けた(後日これに長期志向(反対は短期志向)が加わ
った)。今研究の対象である日本人、ベトナム人およびタイ人についてホフステードは次
のような結果を発表している。
図表 2.G・ホフステードの国文化指標
ホフステード国文化指標
日本
タイ
ベトナム
>による比較
権力格差の容認度
54
64
70
ベトナム>タイ>日本
個人主義(逆は団体主義)
46
20
20
日本>ベトナム=タイ
不確実性の回避
92
64
30
日本>タイ>ベトナム
男性主義(男性らしさ)
・(逆
95
34
40
日本>ベトナム>タイ
長期的展望(逆は短期的展望) 88
32
57
日本>ベトナム>タイ
は女性主義(女性らしさ)
(出所 G・ホフステード 2013 多文化世界より)
この国文化指標では数値が大きくなるほど其の傾向が強いとされている。例えば、権力
格差についてはベトナムのほうが日本やタイよりも人々は社会に不平等が存在するとい
う事実を疑問なく自然に受け入れていると理解されている。
2-2 労務管理手法と国文化の関連
アジア進出の日系製造業は企業のグローバル化が進む中で本社の事業部主導で進めら
れた結果(寺本、廣田、高井 2013)12労務管理も公平な昇格制度や職位決定とそれらに見
合う賃金体系が必要になってきているにもかかわらず、日本人主体の手法がいまだにとら
れてきている。日本人は日本人であるという誇りを持つ一方、異質の考え方、文化を尊重
するという能力にかけているといわれている(寺本、廣田、高井 2013)13。ホフステ-ド
の国文化の指標と労務管理手法について次のような事が論じられている。まず権力格差の
大きい社会では職階級が明確にされており上司と部下の関係がはっきり上下関係として
捉えられている。部下は何をすべきか命じられることを期待しており、ホワイトカラーの
- 23 -
仕事はブルーカラーの仕事より高く評価されている(ホフステード 2013)14。個人主義の
下では社員は経済人であり、雇い主の利益が自らの利益と合致した場合に、雇い主の利益
を追求し、業務上の自由度が認められている。不確実性回避が高い社会では正確さと明確
な形式化が求められており、職場の人間のそれぞれの役割が複雑になってきたときには、
役割を明確にするために業務についての詳細なマニュアルが必要とされる(ホフステード
2006)15。男性らしさが強い社会ではキャリアは男性にとって義務であり、女性にとって
は選択の自由があり、またこの専門職で働く女性が少ないなど必ずしも男女の雇用状況が
同じではない。またこの社会にはダブルスタンダードがあり、男性は主体的、女性は従属
的である(ホフステード 2013)16長期志向の社会では仕事に関する価値観は、10 年先の
利益が重要であるとまさに長期的な点が尊重されている(ホフステード 2006)17。
2-3 職場摩擦に対する対処法と国文化の関連
多国籍企業の場合、職場摩擦が発生した場合の対処の違いが外国人間に関係悪化を生じ、
且つ業務効率を下げることが確認されている(Rahim 1983)18 職場摩擦とは相手の仕事上
の行動によりストレスを感じることを指すが、典型的なものは意見の対立である。心理学
者のThomas(1992)は、人が対立したときに取りうる態度について、自らの利益を優先
するかまたは(摩擦の)相手側の利益を優先するかで次の5対処法に分類した19。すなわち
相手を犠牲に(説得して)自分の利益を中心に摩擦解消を図る方法を競争的対処法(自己
主張型)と位置づけ、その対照となる対処法が自分の要求を抑えて相手の要求を全面的に
受け入れることで摩擦解消を図る受容的対処法(迎合型)である。また其の中間的な存在
として互いの要求水準を下げて、部分的摩擦解消を図る妥協的対処法がある。最も好まし
い対処法としては双方の立場を尊重して双方が満足のいくような摩擦解消を図る協調的対
処法があるがこれは最も難しい対処法と考えられている。また摩擦を避けて、対立する状
況そのものを回避する対処法が取られることがありこれを回避的対処法と定義付けている。
図表3 職場摩擦に対する対処法
自己利益
積極的
積極的
相手利益
自己利益
消極的
消極的
相手利益
- 24 -
出所:TOMASの理論に基づき筆者作成
異文化間の職場摩擦には各個人が持つ物の見方、考え方、価値観など長期にわたって形成
されたものが影響しており、対立が激しくなると、問題点そのものよりも相手の価値観の
否定や非難の応酬となり、より摩擦が深刻になるとされている(鈴木 2008)20。異文化間の
価値観の違いの最たるものに国文化があり(Hofstede 2006, Dorfman 2004)21、この違いは
職場摩擦への対処の如何によっては、摩擦をより深刻化させる危険性を含んでいる。職場
摩擦対処法と国文化との関連について、 権力格差の容認度が高い社会では部下は直接上
司などと摩擦が発生するのを避ける傾向があり、回避的対処法が取られるが、上司も部下
の意思を尊重しなければならず、部下の主張が認められるよう妥協を模索し、叱責等の行
為を避ける傾向がある(Swierczek and Onishi 2003)22。 Hofstede(2013)は女性らし
さが強い社会では妥協的かまたは回避的な職場摩擦回避法がとられる傾向が強いとして
いる。特に個人主義・団体主義については職場摩擦回避法との関連が論じられている 23。
GLOVE の調査では男性らしさと自己主張に強い相関関係が見られた(ホフステード、
2013)24。Oetzel and Ting-Toomey(2003)25は個人主義の強い社会では回避的な対処法は
あまり取られず、Morris et al.(1998)は集団主義的傾向が強い国では回避的な対処法が取
られるとしている26。Oudenhoven et al(1998) 27は女性らしさが強い国では摩擦の当事者
双方を満足される対処法が好まれるとしているがこれは Thomas の分類によれば協調的
対処法に当たり、双方を同じように満足されるという点からすれば妥協的対処法に近いと
思われる。
2-4 リーダーシップと国文化の関連
組織行動論ではリーダーと其の部下との間に望むリーダーシップのあり方に差があると、
其の組織は効率的に動かないと考えられてきた(Robin, 2007)28。また組織の中の垂直な
人間関係は、上司と部下との共通の価値観に基づいており(ホフステード 2013)、それに
差がある場合、リーダーシップは効率的に働かないと考えられる29。異文化間のリーダーシ
ップについても在外企業の現地従業員と其の外国人上司との間に共通のリーダーシップ概
念がないことがあると指摘されている。西田(2001)は在マレーシア日系企業で日本人従
業員とマレーシア従業員のリーダーシップについての認識の違いを確認している 30 。
Ralston(2008) 31 は 国文 化とリ ーダー シッ プに関 連性 が ある こ とを 指摘し 、 Dorfman,
Hangs and Brodbeck(2004)は国によって其の発揮されるリーダーシップのタイプに差
がある事を指摘している32.
今調査ではリーダーシップについて、1994 年から 1997 年にかけて 62 カ国で行われた
国文化、リーダーシップと組織に関する GLOVE 調査33で使用された次の 6 種類のリーダ
ーシップに基づき分析した。
- 25 -
図表 4 GLOVE 調査によるリーダーシップタイプ
リーダーシップタイプ
特徴
1.カリスマタイプ
身に付けた魅力で人を引き付けて行動する
2.チームタイプ
常に集団で行動する
3.参加型タイプ
部下との意思決定に積極的に参加して行動する
4.人間的タイプ
温情や優しさを持って行動する
5.自主的タイプ
自分の考えを中心に行動する
6. 自己防衛タイプ
自分や部下の擁護を中心に行動する
(出所:GLOVE 調査より抜粋の上 著者翻訳)
Dorfman, Hangs, Brodbeck(2004)はリーダーシップと国文化について、個人主義指
標の逆に位置する団体主義指標の高い社会ではチームを重んじるリーダーが好まれる34。ま
たホフステード(2013)は 女性らしさの強い文化では、謙虚な自ら参加するリーダーが信
用され35、Holmes(1996)は階級社会を自然に受け入れている国では、強権と温情を相容
れたタイプのリーダーシップを好み、特に温情は重要なリーダーの資質と考えられている
としている36。GLOVEの調査では男性らしさと自己主張に強い相関関係が見られた。権力
格差の容認度の高い社会では権力を持つ者の地位は其の権力の源泉としてカリスマ性が重
要であるとされ,説得力があり、温情的なリーダー(上司)に対して部下の満足度が高いと
している。また反対の権力格差の容認度の低い国では部下に意見を求めるような民主的な
リーダー(上司)が評価されている(ホフステード2013)37。大西(2008)は家族関係を
重視する東南アジアの国では公私を(日本人よりも)混同する傾向があり、職場関係から
くる、自分より上の者いわゆる上司やリーダーに対して、仕事上の保護だけではなく私生
活での保護も求める傾向があり、公私にわたって相談できる人を上司としてまたリーダー
として追従する傾向が強いことを確認している38。
以上の諸説からホフステードの国文化と労務管理手法、職場摩擦対処法、およびリーダ
ーシップの関連をまとめると次のようになる。
- 26 -
図表5 国文化と労務管理手法・職場摩擦対処法・リーダーシップの関連
ホフステード国文化指標
権力格差の容認度
関連する労務管理手
関連する職場摩
関連するリーダーシップ
法
擦対処法
職階級・上下関係の
回避対処法・妥協
カリスマタイプ・自己防衛タイプ・人
明確化・
的対処法
間的タイプ
参加型タイプ(権力格差の容認度が低
い)
個人主義(逆は団体主義) 業務遂行上の自由裁
量・独立した意思決
回避的対処法(団
チームタイプ(団体主義)
・自主的タイ
体主義)
プ
該当無し
該当なし
競争的対処法(男
・自主的タイ
参加型タイプ(女性主義)
定
不確実性の回避
職務・責任の明確・
標準化
男性主義(男性らしさ)・
男女職務・待遇・昇
(逆は女性主義(女性ら
進の平等(女性主義) 性主義)
、回避的
しさ)
プ(男性主義)
対処法(男性主
義)、妥協的対処
法(男性主義)
、
協調的対処法(女
性主義)
長期的展望(逆は短期的
長期計画・将来性の
展望)
重視
該当なし
該当無し
(出所:著者作成)
3.仮説の設定
国文化と労務管理手法、職場摩擦に対する対処法、およびリーダーシップとの関連性に
ついて述べてきたがここで前述の日本、タイ、ベトナムのホフステードの国文化指標値結
果に基づいて仮説を立てることとする。仮説は在タイ・ベトナム日系企業における異文化
間の職場摩擦の観点から日本人とタイ人、日本人とベトナム人の職場関係を国文化と労務
手法・職場摩擦対処法およびリーダーシップの関連を考察し次のようにまとめた。
- 27 -
図表6 日本人とタイ人・日本人とベトナム人間仮説の比較
日本人とタイ人の国文化と労務管理手法・職場摩擦対処法・リーダーシップ比較
国文化指標
日本とタイ比較
労務管理手法・職場摩擦対処法・リーダーシップスタイル
権力格差の容認度
タイ>日本
タイ人は日本人より職階級・上下関係の明確化を望み、回避
的・妥協的職場摩擦対処法をとり、カリスマ・自己防衛タイ
プのリーダーシップを望む
個人主義(逆は団体主義)
日本>タイ
タイ人は日本人ほど業務上の自由裁量・独立した意思決定を
望まないが、回避職場摩擦対処法を取り、チームタイプのリ
ーダーシップを好む
不確実性の回避
日本>タイ
タイ人は日本人ほど職務・責任の明確化を望まない
男性主義(男性らしさ)
・
(逆
日本>タイ
タイ人は日本人より男女職務・待遇・昇進の平等を望み、協
は女性主義(女性らしさ)
調的職場摩擦対処法を取り、参加型タイプのリーダーシップ
を好む
長期的展望(逆は短期的展
日本>タイ
望)
タイ人は日本人ほど長期計画・将来性を重視しないが人間
的・カリスマタイプのリーダーシップを好む
日本人とベトナム人の国文化と労務管理手法・職場摩擦対処法・リーダーシップ比較
国文化指標
日本とベトナム
労務管理手法・職場摩擦対処法・リーダーシップスタイル
比較
権力格差の容認度
ベトナム>日本
ベトナム人は日本人より職階級・上下関係の明確化を望み、
回避的・妥協的職場摩擦対処法をとり、人間的・自己防衛タ
イプのリーダーシップを好む
個人主義(逆は団体主義)
日本>ベトナム
ベトナム人は日本人ほど業務上の自由裁量・独立した意思決
定を望まないが、回避的職場摩擦対処法を取り、チームタイ
プのリーダーシップを好む
不確実性の回避
日本>ベトナム
ベトナム人は日本人より職務・責任の明確化を望まない
男性主義(男性らしさ)
・
(逆
日本>ベトナム
タイ人は日本人より男女職務・待遇・昇進の平等を望み、協
は女性主義(女性らしさ)
長期的展望(逆は短期的展
望)
調的職場摩擦対処法を取り、参加型リーダーシップを好む
日本>ベトナム
タイ人は日本人ほど長期計画・将来性を重視しないが人間
的・カリスマタイプのリーダーを好む
(出所:著者作成)
- 28 -
仮説Tは日本人・タイ人間の仮説、仮説Vは日本人・ベトナム人間の仮説を表している。
仮説T1・V1
タイ人、ベトナム人は日本人より職階級・上下関係の明確化を望む。
仮説T2・V2
タイ人、ベトナム人は日本人ほど業務上の自由裁量・独立した意思決定を望まない。
仮説T3・V3
タイ人、ベトナム人は日本人ほど職務・責任の明確化・標準化を望まない。
仮説T4・V4
タイ人、ベトナム人は日本人ほど長期計画・将来性を重視することを望まない。
仮説T5・V5
タイ人、ベトナム人は日本人より男女職務・待遇・昇進の平等を望む。
仮説T6・V6
タイ人、ベトナム人は日本人より回避的職場摩擦対処法を好む。
仮説T7・V7
タイ人、ベトナム人は日本人より妥協的職場摩擦対処法を好む。
仮説T8・V8
タイ人、ベトナム人は日本人より協調的職場摩擦対処法を好む。
仮説T9・V9
タイ人、ベトナム人は日本人よりも参加型タイプのリーダーシップを好む。
仮説T10・V10
タイ人、ベトナム人は日本人よりも人間的タイプのリーダーシップを好む。
仮説T11・V11
タイ人、ベトナム人は日本人よりもチームタイプのリーダーシップを好む。
仮説T12・V12
タイ人、ベトナム人は日本人よりもカリスマタイプのリーダーシップを好む。
仮説T13・V13
タイ人、ベトナム人は日本人よりも自己防衛タイプのリーダーシップを好む。
4.調査の概要
質問表は労務管理手法、職場摩擦に対する対処法、リーダーシップと国文化の関連から
導出した仮説の検定の為の131項目の質問から成り立っており、それに被験者の年齢、性別、
学歴、勤務年数、職務、学習語学等の個人情報に関する質問を加えた。各項目は5段階のリ
ッカート尺度を使用し、英語版を原本として、被験者(質問表への回答者)の国籍に合わせて
翻訳して使用されている。被験者は在タイおよびベトナムにて操業する日系製造業に勤務
する日本人、タイ人、ベトナム人で日本人は在タイ日系企業の日本人管理職を被験者とし
た39。調査時期は2009年から2012年の間で、調査結果はSPSS にてt-検定、一元配置分散
分析、重回帰分析にて分析した。尚質問表の信頼性を表すクロンバッハ係数は労務管理手
法に関する質問群、職場摩擦に対する対処法に関する質問群、リーダーシップに関する質
問群が0.772から0.945の間に位置しており、信頼性には問題ないと判断した。
- 29 -
図説7 被験者の詳細(デモグラフィー)
調査国
協力日系企業数
日本人管理職回答数
現地人従業員回答数
タイ
127社
233人
266人
ベトナム
10社
―
423人
デモグラフィー
Variable
年齢
Level
日本人
タイ人
ベトナム人
合計
N(人数) %
N
%
N
%
N
%
25歳未満
1
0%
0
0%
75
19%
76
9%
25-30歳
4
2%
33
13%
249
61%
286
33%
31-35歳
19
9%
43
17%
55
14%
117
13%
36-40歳
29
13%
57
23%
22
5%
108
12%
41-50歳
94
42%
90
36%
4
1%
188
21%
51歳以上
76
34%
28
11%
0
0%
104
12%
合計
223
100%
251
100
405
100
879
100%
%
性別
%
男性
226
99%
139
53%
188
46%
553
62%
女性
3
1%
121
47%
220
54%
344
38%
合計
229
100%
260
100
408
100
897
100%
%
学歴
%
高卒まで
39
17%
13
5%
10
2%
62
7%
大卒
171
75%
173
66%
359
88%
703
78%
修士
15
7%
71
27%
33
8%
119
13%
修士より上
2
1%
4
2%
6
1%
12
1%
合計
227
100%
261
100
408
100
896
100%
%
職種
%
スタッフ
6
3%
31
12%
243
59%
280
31%
主任
8
4%
30
12%
96
23%
134
15%
係長
14
6%
42
16%
42
10%
98
11%
課長
41
18%
146
56%
24
6%
211
24%
部長
69
30%
7
3%
4
1%
80
9%
取締役以上
89
39%
3
1%
0
0%
92
10%
- 30 -
227
合計
100%
259
100
409
%
勤務年数
100
895
100%
%
1年未満
13
6%
9
4%
65
16%
87
10%
1-5年
48
22%
62
27%
266
66%
376
44%
6-10年
21
10%
41
18%
45
11%
107
13%
11-15年
21
10%
75
32%
16
4%
112
13%
16年以上
118
53%
44
19%
9
2%
171
20%
合計
221
100%
231
100
401
100
853
100%
%
%
(出所:著者作成)
5.調査結果と仮説の検定
図表8 仮説の検定結果(5%有意水準)
調査項目
日 本
タ イ
ベトナム
有意性あり=0
仮説の検定
人
人
人
有意性無=X
(0=一致、
X=不一致)
労務管理手法
職階級・上下関係の明確
2.58
2.74
2.88
化・
業務遂行上の自由裁量・独
日本人・タイ人間有意性=X
日本人・ベトナム人間有意性=0
2.53
3.27
3.14
双方とも有意性=0
立した意思決定
職務・責任の明確・標準化
仮説V1=0
仮説T2=X
仮説V2=X
3.64
4.11
3.67
日本人・ベトナム人間有意性=X
仮説T3=X
日本人・タイ人間有意性=0
男女職務・待遇・昇進の平
4.09
4.47
3.76
双方とも有意性=0
V5=X
等(女性主義(女性らしさ)
長期計画・将来性志向
仮 説 T5= 0
3.98
4.22
3.53
双方とも有意性=0
仮 説
T4=X
V4=0
職場摩擦に対する対処法
競争的対処法
3.22
2.71
3.14
日本人・ベトナム人間有意性=X
仮説無し
日本人・タイ人間有意性=0
妥協的対処法
3.33
4.09
3.54
日本人・ベトナム人間有意性=X
仮説 T8=0
日本人・タイ人間有意性=0
迎合的対処法
2.41
2.63
2.87
タイ人・日本人間有意性=X
仮説無し
日本人・タイ人間有意性=0
協調的対処法
3.93
4.30
3.73
双方とも有意性=0
仮説
V9=X
- 31 -
T9= 0
回避的対処法
2.13
2.95
3.43
双方とも有意性=0
仮説
T7= 0
V7=0
リーダーシップ
タイプ
カリスマタイプ
3.17
4.35
3.78
双方とも有意性=0
仮 説 T13=0
V13=0
チームタイプ
3.64
4.47
3.78
日本人・ベトナム人間有意性=X
仮説 T12=0 日本人・タイ人間有意性=0
参加型タイプ
3.68
4.49
3.91
日本人・ベトナム人間有意性=X
仮説 T10=0
日本人・タイ人間有意性=0
人間的タイプ
3.82
4.48
3.85
自主的タイプ
3.18
4.06
3.76
双方とも有意性=0
仮説無し
自己防衛タイプ
2,53
4.36
3.82
双方とも有意性=0
仮 説 T14=0
日本人・ベトナム人間有意性=X
仮説 T11=0
日本人・タイ人間有意性=0
V14=0
(出所:著者作成)
6. 調査結果の考察
日本人-タイ人と日本人-ベトナム人間の有意性を比較すると17項目のうち、比較要件
のない3項目(仮説無し)を除いた14項目において仮説の検定結果、5%水準で有意性が見
られない項目はタイ人は2項目であり、ベトナム人は6項目である。この結果から労務管理
手法、職場摩擦に対する対処法、リーダーシップにおいてベトナム人のほうがタイ人より
も日本人に類似した選択を行っている事がわかる。特に職場摩擦が発生したときの対処法、
好むリーダーシップにおいて両者には相似性がありこれらの点で日本人とベトナム人間の
職場摩擦要因はあまり見受けられない。個別に分析していくと次のような結果が考察され
た。
労務管理手法であるが日本人とタイ人間で男女職務・待遇・昇進の平等(仮説T5)につ
いて、仮説どおりタイ人のほうが強い志向を持っていることが確認された。職場摩擦発生
時の対処法としては仮説どおりタイ人は妥協的・協調的・回避的対処法を、またリーダー
シップタイプとしてカリスマ・チーム・参加型および自己防衛タイプのリーダーシップを
好むことが明らかになった。また仮説とは異なりタイ人は業務遂行上の自由裁量・独立し
た意思決定、長期計画・将来性志向について日本人より重要視しており、職場摩擦が発生
したときその対処法として競争的対処法を日本人ほど好まず、リーダーシップタイプにつ
いては自主的タイプを日本人より好むことが判明した。
ベトナム人は前述のようにタイ人に比べて日本人との類似性が多いが、労務管理手法で
は日本人より仮説どおり職階級・上下関係の明確化、長期計画・将来性志向を望み、職場
- 32 -
で摩擦が発生した場合、日本人より回避的対処法を取り、リーダーシップタイプはカリス
マ・自己防衛タイプが好まれることが確認できた。仮説とは異なり日本人より労務管理手
法では業務上遂行上の自由裁量・独立した意思決定、職場摩擦対処法としては迎合的対処
法を、そしてリーダーシップタイプとしてはタイ人同様、日本人より自主的タイプを好ん
でいることが判明した。
これらより日本人・タイ人間および日本人・ベトナム人間の職場摩擦の危険性は次のよ
うになると考えられる。タイ人は自社労務管理手法においてすべての面ですなわち職階
級・上下関係の明確化、業務遂行上の自由裁量・独立した意思決定、職務・責任の明確・
標準化、男女職務・待遇・昇進の平等・長期計画・将来性志向に対して日本人は自分たち
より消極的であると見ており、これらの点で意見の食い違いが発生する可能性がある。ま
たタイ人と日本人の間に意見の食い違い等職場摩擦が発生した場合、タイ人は対処法とし
て協調的・回避的・妥協的、特にお互いに譲り合う妥協的対処法を好むが、日本人はあく
までも話し合って自分の正当性を持って説得しよう競争的対処法を取る可能性があり、そ
の結果問題が表面化せず、大きな問題になるまで把握できなくなる可能性がある。タイ人
は調査対象国の従業員の中で一番自己主張しない傾向がある。すべてのリーダーシップス
タイプにタイ人は高い評価を日本人より出しているが、中でもカリスマ、自主、自己防衛
タイプのリーダーシップを好まれており、特に自己防衛スタイルについては日本人・タイ
人間で其の評価に大きい差がある。自己防衛タイプとは自分または部下の擁護を中心に行
動するリーダーシップであり、これに評価が低い日本人からはタイ人は言い訳をする、間
違いを素直に認めない等のマイナスの評価になる可能性がある。
ベトナム人は労務管理手法において職務・責任の明確化、男女職務・待遇・昇進の平等
長期計画・将来性志向を除く職階級・上下関係の明確化、業務遂行上の自由裁量・独立し
た意思決定に対して日本人と自分たちの考え方に差があることを感じており、これらの点
で意見の食い違いが発生する可能性はあるが職階級・上下関係の明確化以外は其の差はタ
イ人ほど大きくなく、タイ人ほど其の可能性は高くないと考える。またベトナム人と日本
人の間に意見の食い違い等、職場摩擦が発生した場合、ベトナム人は対処法として協調的・
回避的対処法において日本人と異なる対処法を取ると思われる。特にベトナム人は日本人
に比べて問題を避けるような回避的対処法を取る可能性が高く、問題が先送りされ、将来
的に大きな問題として露見するようなことが起こりうる。リーダーシップタイプは自主
的・自己防衛タイプのリーダーシップを好み、タイ人同様自己防衛タイプのリーダー評価
が高い。この点ではタイ人の場合と同様、日本人からマイナスの評価を受ける可能性があ
る。
- 33 -
7. 総括と今後の調査の課題
今回の調査結果から異文化間の職場摩擦を避けるためには日系製造企業に勤める日本人
は次のことに留意してタイ人、ベトナム人と働くことが求められる。タイ人と協働上で重
要なことは労務管理上まずタイ人の業務・権限・責任範囲・職場での上下関係そして彼ら
の将来キャリアの方向性を明確に示すべきである。またタイ従業員の扱いについては男女
間で差別が出ないようにすべきである。職場で意見の大きな違い等の摩擦がタイ人との間
に発生した場合、タイ人はなるべく日本人との摩擦を妥協によって少なくしようとする傾
向があるので、日本人は自らが正しくとも相手(タイ人)に妥協したような態度を見せる
事が摩擦を解消する上で大切である。またタイ人はリーダーシップを重要と考えているの
で日本人は特にカリスマ性を身につけるように努力し、タイ人が失策等について自らや部
下を守ろうとした場合、これを言い訳とか潔くないとマイナスの評価をしないように注意
する必要がある。
ベトナム人との関係において日本人はタイ人にするのと同様、長期計画・将来性志向を
除くすべての労務管理手法をより積極的に推進する必要がある。ただ職階級・上下関係の
明確化を除く、ここで挙げている労務管理手法において考え方の相違はタイ人ほど大きく
はない。職場で意見の大きな違い等の摩擦がベトナム人との間に発生した場合、ベトナム
人はこのような摩擦を回避しようとする傾向があるので日本人は実際に問題がないのか、
それとも問題を避けて先送りをしているのかを見極める必要がある。ベトナム人もタイ人
同様、失策等について自らや部下を守ろうとする傾向があり、其の場合、これを言い訳と
か潔くないというマイナスの評価をしないように注意する必要がある。
今回の調査はタイではバンコク近郊の工業地帯に位置する日系製造業、またベトナムで
はハノイ近郊の日系企業と地域の偏りがあることは否めない。またタイとベトナムではア
ンケート回答数にばらつきがあり、対象企業も製造業であるが会社規模は異なっている。
企業の規模も大多数の企業が日本での一部上場企業であるが現地での進出企業規模に差が
あり、其の大小によって異文化間職場摩擦の程度も異なる可能性は否めない。次に今回の
調査は異文化間職場摩擦に関するものあるが、実は今回判明した日本人と現地従業員間の
職場摩擦の中には進出国特有の要因による、すなわちその国に位置する製造業に共通する
職場摩擦が混在している可能性がある。よって追加調査として、各調査国の現地企業で同
様な調査を行うことにより、日本企業特有の異文化間職場摩擦と国特有の職場摩擦を分離
することにより、進出日系製造業に特有の異文化間職場摩擦を分析することにより、異
文化摩擦を解消する方策を提言する。進出国特有の職場摩擦を分析することによりその
国で操業するすべての企業に有効な職場摩擦解消策を提言する事が可能となろう。最後に
日本人のほとんどは管理職であり、現地人従業員とは立場が異なっているので同列で比較
した場合、結果が地位の違いに影響されている可能性がある。これらは次回の調査時に留
- 34 -
意すべき点であるが、日系企業が進出先として注目しているタイとベトナムにおいて人的
資源を有効に利用し、業務を推進する上で現地従業員との協働効率を高めるのに重要な異
文化間職場摩擦を避ける事について具体的な諸策提案を現地での量的調査結果に基づいて
できたことは非常に有意義な研究であると考える。
注!
国際協力銀行(2013)のわが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告書=2013 年度海外直
接投資アンケート結果(第 25 回)で海外に 3 社以上の現地法人を持つ企業約 600 社が対象に行わ
れた調査である。
2 Holmes, H., Tangtongtavy., Tomizawa, R,(1996) Working with Thais A Guide to Managing in
Thailand, 3rd edn., Bangkok: White Lotus
3 Onishi Jun(2006)Working Japanese: Conflict. Cultural Difference, and the Japanese
Multinational in Southeast Asia CRC Foundation, Manila 2006
大西純(2009)
「日本企業進出先としてのタイとベトナムにおける異文化間職場摩擦要因の考察」
『異文化経営研究』第 6 号 39-57 頁
Onishi Jun (2010) The Two Best Investment Destination for Japanese Companies in
Southeast Asia, Rikkyo Business Review No3 39-52
4 海野素央(2001)
「在タイ日系企業における異文化マネジメント」 『明治大学共用論集』通巻
343 号 43-77 頁
5 木村有里(2005)
「タイ人ホワイトカラーの動機付けに関する研究」
『杏林社会学研究』第 21 巻
3 号 1-35 頁
6 Obuchi, K., and Suzuki, M., (2003). Three dimensions of conflict issues and their effects on
resolutions strategies in organizational settings. The International Journal of Conflict
Management, 14(1), 61-73.
De Dreu, C., and Van de Vliert, E. (1997). Using Conflict in Organizations. London: Sage
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Thomas, K. (1992). Conflict and negotiation process in organization. In M. Dunnette
and L. Houg (eds.), Handbook of Industrial and Organizational Psychology (2nd edit.)
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7 Roongrensuke, S., and Chansuthus, D. (1998). Conflict management in Thailand. In K. Leung
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Culture, face maintenance, and styles of handling interpersonal conflict: A study of five
cultures. International Journal of Conflict Management, 2, 275-292. 前掲 Cox(1991)
8
前掲 Onishi 2006、大西 2009、Onishi 2010、海野 20018、木村 2005
9
前掲 Onishi 2006、大西 2009、Onishi 2010
10 Reuben Mondejar, Onishi, Jun, Fernando Lim and Steve de Castro (2010), Introduction to
InternationalBusiness and Globalization, Sinag-Tala Publishers, Manila, Philippines,
211-237 ,
Onishi,Jun, Reuben Mondejar (2011) Japanese and Thai Differences in Conflict Management
Implications for Adaptations in Human Resource Management, The Journal of Comparative
Asian Development, Routledge, Volume 10, No.1, pp1-32
11 Hofstede, G. and Hofstede, G.J. (2005). Cultures and Organizations: Software of the Mind
(2nd ed.). ydney: McGraw-Hill、G.ホフステード、G・J ホフステード、M・ミンコフ(2013)
『多
文化世界』有斐閣 36-38 頁
12 寺本義也、廣田泰夫、高井透 (2013)
『日系企業の現地法人マネジメント』中央経済社
146 頁、167 頁
- 35 -
13
前掲寺本義也、廣田泰夫、高井透 (2013)
前掲 G.ホフステード、G・J ホフステード、M・ミンコフ(2013)
『多文化世界』66 頁
15 G.ホフステード(2006)
『多文化世界・違いを学び共存への道を探る』有斐閣 129 頁
16 前掲 G.ホフステード(2006)
『多文化世界・違いを学び共存への道を探る』有斐閣 144 頁、
154 頁
17 前掲 G.ホフステード(2006)
『多文化世界・違いを学び共存への道を探る』有斐閣 232 頁
18 Rahim, M.A. (1983). A measure of styles of handling interpersonal conflict. Academy of
Management Journal, 26(2), 368-376.
19 Thomas, K. (1992). Conflict and negotiation process in organization. In M. Dunnette and
L. Houg (eds.),
Handbook of Industrial and Organizational Psychology (2nd edit.) (145-152). Palo Alto, CA:
Consulting Psychologist Press.
20 鈴木有香(2008) 『コンフリクトマネジメント入門』自由国民社 49 頁
21 Dorfman W. Peter, Hangs J. Paul, and Brodbeck C.Felix (2004) Culture ,Leadership, and
Organizations Sage Publications: Chapter 12 669-,前掲 G.ホフステード(2006)『多文化世界・
違いを学び共存への道を探る』有斐閣
22 Swierczek, F.W. and Onishi, J.(2003) Culture and Conflict: Japanese managers and Thai
subordinates,
Personal Review, 32 (1/2): 187-210
23 前掲 G.ホフステード、G・J ホフステード、M・ミンコフ(2013)
『多文化世界』109 頁
24 前掲 G.ホフステード、G・J ホフステード、M・ミンコフ(2013)
『多文化世界』132 頁
25 Oetzel, J. G. and Ting-Toomey, S. (2003). Face concerns in interpersonal conflict: A
cross-cultural empirical test of the face negotiation theory. Communication Research, 30(6),
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26 Morris, M.W., Williams, K.Y. Leung, K., Larrick, R., Mendoza, M.T., Bhatnagar, D., Li, J.,
Kondo, M., Luo, J., and Hu, J. (1998). Conflict management style: accounting for
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27 Oudenhoven, J.P.V., Mechelse, L. and de Dreu, C.K.W. (1998). Managerial conflict
management in five European countries: The Importance of power distance, uncertainty
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28 Robbins, S. and Judge A. Timothy (2007).
Organizational Behavior (12th edit.) New Jersey:
Pearson International Edition. 354-407
29 前掲 G.ホフステード、G・J ホフステード、M・ミンコフ(2013)
『多文化世界』308 頁
30 西田ひろ子 『マレーシア、フィリピン進出日系企業における異文化コミュニケーション摩擦』
多賀出版 445 頁
31 Ralston, D.A (2008) The Crossvergence Perspective: Reflections and projections, Journal
of International Business Studies 39(1) 27-40
32 Dorfman W. Peter, Hangs J. Paul, and Brodbeck C.Felix (2004) Culture ,Leadership, and
Organizations Sage, Publications: Chapter 12 66933 GLOVE study はロバートハウス、ポールハングス教授を中心に文化、リーダーシップと組織に
ついて行われた世界的な定量調査で 1994 年から 1997 年簡易 62 の国で 700 項目のデータが収集
され分析された。結果はホフステードやシュワルツが提唱する国文化指標と多く関連する部分が
実証された。結果は Culture,Leadership,and Organizations というタイトルで SAGE 出版社より
2004 年に出版された。
34 前掲 Dorfman W. Peter, Hangs J. Paul, and Brodbeck C.Felix (2004) Culture ,Leadership, and
Organizations Sage Publications: Chapter 12 66935 前掲 G.ホフステード、G・J ホフステード、M・ミンコフ(2013)
『多文化世界』308 頁
36 Homes Henry and Tangtongtav Suchada (1995) Working with the Thais, White Lotus
Thailand 15-35
37 前掲 G.ホフステード、G・J ホフステード、M・ミンコフ(2013)
『多文化世界』309 頁
38 大西純(2008)
「タイ進出日系企業におけるタイ人と日本人の職場摩擦について」バンコク日本
人商工会議所所報、558 号 33 頁
14
- 36 -
39
1999 年から 2003 年の国文化調査において在タイ日系企業の従業員と在日本の従業員と比較した
ことがあったがほとんど差がなかった。よって今回も在タイ日本人と在ベトナム日本人には差が
ないとして在タイ日本人のみ被験者とした。
<参考文献>
Holmes, H., Tangtongtavy., Tomizawa, R,(1996) Working with Thais A Guide to Managing in
Thailand, 3rd edn., Bangkok: White Lotus
Onishi Jun(2006)Working Japanese: Conflict. Cultural Difference, and the Japanese
Multinational in Southeast Asia CRC Foundation, Manila 2006
海野素央(2001)
「在タイ日系企業における異文化マネジメント」
『明治大学共用論集』通巻 343 号
43-77 頁
木村有里(2005)
「タイ人ホワイトカラーの動機付けに関する研究」
『杏林社会学研究』第 21 巻 3
号 1-35 頁
Reuben Mondejar, Onishi, Jun, Fernando Lim and Steve de Castro (2010), Introduction to
International Business and Globalization, Sinag-Tala Publishers, Manila, Philippines,
Onishi,Jun, Reuben Mondejar (2011) Japanese and Thai Differences in Conflict
Management Implications for Adaptations in Human Resource Management, The
Journal of Comparative Asian Development, Routledge, Volume 10, No.1,
Hofstede, G. and Hofstede, G.J. (2005). Cultures and Organizations: Software of the Mind (2nd
ed.). ydney: McGraw-Hill、G.ホフステード、G・J ホフステード、M・ミンコフ(2013)
『多
文化世界』有斐閣
寺本義也、廣田泰夫、高井 透(2013)
『日系企業の現地法人マネジメント』中央経済社
G.ホフステード(2006)
『多文化世界・違いを学び共存への道を探る』有斐閣
Thomas, K. (1992). Conflict and negotiation process in organization. In M. Dunnette and L.
Houg (eds.),
Handbook of Industrial and Organizational Psychology (2nd edit.) (145-152). Palo Alto, CA:
Consulting Psychologist Press.
鈴木有香(2008)『コンフリクトマネジメント入門』自由国民社
西田ひろ子(2002)
『マレーシア、フィリピン進出日系企業における異文化コミュニケーション摩擦』
多賀出版
Dorfman W. Peter, Hangs J. Paul, and Brodbeck C.Felix (2004) Culture ,Leadership, and
Organizations Sage Publications:
Homes Henry and Tangtongtav Suchada (1995) Working with the Thais, White Lotus Thailand
大西 純(2008)
「タイ進出日系企業におけるタイ人と日本人の職場摩擦について」バンコク日本人 商
工会議所所報、558 号
- 37 -