産業用高機能繊維の世界市場を調査

PRESS RELEASE
第15117号
株式会社
2015年12月10日
富士経済
〒103-0001
東京都中央区日本橋小伝馬町
12-5 小伝馬町YSビル
TEL.03-3664-5811 FAX.03-3661-0165
http://www.group.fuji-keizai.co.jp/
https://www.fuji-keizai.co.jp/
広報部 03-3664-5697
産業用高機能繊維の世界市場を調査
―2022年市場予測(2014年比)―
■高機能繊維18品目― 自動車、航空、エネルギー分野で需要拡大、34万7,570トン(82.9%増)
■パラ系アラミド繊維― 新興国における需要拡大により好調、9万9,300トン(66.6%増)
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町
社長
清口
正夫
03-3664-5811)は、さらなる成長が期待される産業用高機能繊維18品目、繊維複合材料2品目の市場動向、応用
製品分野別展開状況を分析、
また環境意識の高まりを背景に非化石燃料由来繊維製品が好調な次世代繊維10品目
の今後の方向性を捉えた。その結果を報告書「2015 高機能繊維関連技術・市場の現状と将来展望」にまとめ
た。
<高機能繊維の世界市場>
■高機能繊維18品目(2022年金額市場予測 1兆1,002億円)
2014年
2013年比
2022年予測
2014年比
19万 50トン
107.8% 34万7,570トン
182.9%
高機能繊維市場は自動車や航空機の軽量化(金属代替)
、構造の強化材としての需要、耐熱・難燃素材、エネル
ギー関連での需要の高まりなどを背景に拡大するとみられる。アラミド繊維や超高分子量PE繊維などは、産業分
野のあらゆるシーンで需要を獲得している。しかし既存顧客への需要開拓は一巡しており、今後は新たな用途の創
出や、新興国の需要開拓が課題とみられる。PAN系炭素繊維は、自動車や航空機の軽量化、高強度化に向けて採
用が増加しつつあるが、量産化やコストの課題が残されており、メーカーで素材の研究、開発などが進められてい
る。
【注目市場】
■パラ系アラミド繊維(2022年金額市場予測 3,004億円)
2014年
2013年比
2022年予測
2014年比
5万9,600トン
108.8%
9万9,300トン
166.6%
鋼鉄の約5倍の引っ張り強度を持ち、軽量で伸びにくく、耐熱性、耐摩擦性、耐切創性、耐衝撃性など数多くの
高機能を持つ。
従来、パラ系アラミド繊維はアメリカのDu Pontと帝人が市場開拓を順調に進めてきたが、近年では韓国
のKolonや中国のYantai spandexなどアジア勢が注力度を強めている。需要の中心は防弾や耐
切創を訴求した防護服や産業用手袋などの防護関連製品、
タイヤコードやエンジンベルトなどの自動車関連部材な
どであり、既存用途の裾野の拡大、新規用途開発に向けた取り組みと、アジアを中心とした新興国における需要拡
大が原動力となり、市場は堅調に拡大していくとみられる。
■PPS繊維(2022年金額市場予測 184億円)
2014年
2013年比
1万1,200トン
107.7%
2022年予測
1万6,200トン
2014年比
144.6%
PPS繊維はポリフェニレンサルファイド樹脂を繊維化した素材であり、非常に優れた耐熱性を持つ。
耐熱性を生かし、石炭火力発電所のバグフィルターとしての採用が中心である。中国メーカーの台頭で価格の下
落が続いたが、需要が高まり原料がひっ迫したことと、2015年に中国の大手PPS樹脂メーカーの経営不振で供給
不足に陥ったことが重なり、一時下げ止まりとなった。今後需要の中心国である中国で大気汚染規制が強化され、また
インドネシアやフィリピンなどでも石炭火力発電所の新設が進み、バグフィルターの需要も拡大するとみられる。
中国メーカーの台頭がさらに進むことで価格競争が一層激化するとみられ、低価格訴求製品と機能性訴求製品で、
価格の二極化が顕著になるとみられる。
<次世代繊維の世界市場>
■次世代繊維10品目(2017年金額市場予測 276億円)
2014年
2017年予測
2014年比
2,946トン
1万1,835トン
4.0倍
次世代繊維市場は企業の環境意識の高まりを背景に、
非化石燃料由来繊維製品の成長が期待される。
「脱石油化」
の流れに乗り、部分バイオマスプラスチック繊維、セルロースナノファイバー、人造蜘蛛糸繊維などの研究開発が
活発化し、いくつかの製品では本格的な市場成長期に入っている。いずれもナフサなどの化石燃料由来でない点が
大きな特徴である。
【注目市場】
■部分バイオマスプラスチック繊維(2017年金額市場予測 58億円)
2014年
2017年予測
2014年比
1,800トン
1万トン
5.6倍
原料の一部にサトウキビなどの植物由来エチレングリゴールを使用し、化石資源の消費抑制、環境負荷低減を可
能とする部分バイオマスプラスチック繊維は、環境意識の高い企業を中心に注目が高まっている。フィルム形状へ
の展開もみられ、ペットボトルの原料として日本コカ・コーラが自社ブランドの「爽健美茶」や「い・ろ・は・す」
に採用し、需要が一気に拡大した。今後も環境意識の高い自動車メーカーやスポーツ用品メーカー、ユニフォーム
メーカーなどでの採用が進むとみられる。
■セルロースナノファイバー(2017年金額市場予測 8億円)
2014年
2017年予測
10トン
300トン
※2014年はサンプル出荷レベル
2014年比
30.0倍
セルロースナノファイバーは紙の主原料となる木質組織(パルプ)から取れる繊維材料であり、アラミド繊維と
ほぼ同等の高強度で、透明性があるなど様々な機能を有する。また、植物由来であることから、生産・廃棄におい
て環境負荷が少ない。
以前より複数の企業で実用化に向けた製品開発が続けられてきたが、
2015年に三菱鉛筆のゲルインクボール
ペン「ユニボール シグノUMN−307」のインク増粘剤にセルロースナノファイバーが採用され、北米、欧州
で発売された。その他、おむつに使用する消臭素材の触媒などで本格的に採用され、今後は包装材料やフレキシブ
ルデバイス向けの基板材料などでも実用化が進むとみられる。樹脂への添加剤としての本格展開は、技術的な課題
やコストの障壁があるため早くても2020年以降になると予想される。
本件に関するお問合せ:広報部
(Tel.03-3664-5697
Fax.03-3664-5842またはmail address:[email protected])
■人造蜘蛛糸繊維(2017年金額市場予測 8億円)
2014年
2017年予測
5トン
80トン
※2014年はサンプル出荷レベル
2014年比
16.0倍
人造蜘蛛糸は、アラミド繊維などの高機能繊維に勝る高強度性能を持ち合わせ、さらに石油に依存しない環境負
荷の少ない次世代素材として、日本、欧米をはじめ各国で研究開発が進められている。
現在、本格的な市場が形成されるほどの生産力をもっているメーカーは無く、各社ともに研究開発、試作向けの
生産にとどまっている。
スパイバーやドイツのAMSilkなどでは数トンから数十トン規模の生産に向けたプラ
ントの稼働計画が進められており、本格的な市場形成に向けた量産体制が構築されつつある。
<調査対象>
高機能繊維
パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、超高分子量PE繊維、LCP繊
維、PBO繊維、PPS繊維、PTFE繊維、フェノール系繊維、PAN系
炭素繊維、GPCF、HPCF、活性炭素繊維、導電性繊維、生分解性繊維
(PLA/PGA)
、アルミナ短繊維、アルミナ長繊維、ステンレス繊維、
びびり繊維
繊維複合材料
CFRP、CFRTP
次世代繊維
部分バイオマスプラスチック繊維、カーボンナノファイバー、セルロースナ
ノファイバー、PBI繊維、PEI繊維、ポリアミドイミド繊維、メラミン
繊維、昆虫由来繊維、人造蜘蛛糸繊維、アミロース含有レーヨン繊維
<調査方法>富士経済専門調査員による参入企業及び関連企業・団体などへのヒアリング及び関連文献調査、社内
データベースを併用
<調査期間>2015年8月∼10月
以上
資料タイトル:
「2015 高機能繊維関連技術・市場の現状と将来展望」
体
裁:A4判 236頁
価
格:書籍版 130,000円+税
PDF版 130,000円+税
書籍版・PDF版セット 150,000円+税
書籍版・ネットワークパッケージ版セット 260,000円+税
発 行 所:株式会社 富士経済
〒103−0001 東京都中央区日本橋小伝馬町12−5 小伝馬町YSビル
TEL:03−3664−5811(代) FAX:03−3661−0165
e-mail:[email protected]
調 査・編 集:大阪マーケティング本部 第一部
TEL:06−6228−2020
FAX:06−6228−2030
この情報はホームページでもご覧いただけます。
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