(株)電磁環境試験所認定センター

電磁環境試験所の試験所間比較
試験(技術能力試験)について
(株)電磁環境試験所認定センター
技術委員会 委員 前田篤哉
はじめに
電磁環境試験所(EMC Testing Laboratory)の
主業務
電子機器からの不要妨害電磁波の測定
測定業務
何時
何処で 測っても同じ測定値が得られること
誰が
1
電磁環境試験所でおこなわれる測定の種類
1.電子機器から放出される妨害電磁波のレベルの測定
電子機器から放射される電磁波の強さ
電源線に流出する高周波電圧
2.他から妨害を受けて誤動作を起こす可能性の試験
CBラヂオ ⇒ IT機器の誤動作 電源線からのノイズ ⇒ IT機器の誤動作
放射される電磁波の強さの測定
測定値にバラツキを生じる原因
特性要因図
測定場所 オープンサイト (技術基準で詳細を規定)
電波暗室 (技術基準で詳細を規定)
測定器 (妨害波測定器・スペクトラムアナライザ)
測定者 (習熟度,間違いなど)
規格 (CISPR,電技審答申他)
2
第1図 放射妨害波測定値のバラツキ 特性要因図
設備J
設備K
設備L
設備M
設備N
設備P
設備Q
10000
|Z| Impedance (Ω )
1000
100
10
1
0.1
1.0
10.0
100.0
1000.0
Frequency ( MHz )
第2図 EUT供給電源端子の大地間インピーダンス
3
電磁環境試験所の技術能力試験に使う
仲介発振器の開発 ☆
新しい考えで開発
市販の発振器では技術能力試験の目的を満足しない
設計のコンセプトと発振器の特徴
アンテナと筐体の一体化
発信出力に周波数特性を持たせる
☆平成14年度工業標準化推進調査等委託事業
仲介発振器の設計上の特徴
発振器、電源、アンテナの一体化
アンテナ:短縮ダイポールアンテナ
アンテナ形状を太くして全ての回路をこの中に入れた
試験測定時に配置のバラツキが無くなった
商用電源を使用
EUT電源ケーブルからの放射もある
⇒放射妨害波測定の試験所間バラツキの原因を解析
電源線に流出する高周波電圧の測定
4
第3図 仲介発振器(水平偏波位置)
第4図
仲介発振器︵垂直偏波位置︶
5
第5図 放射妨害波測定時の電源線の布線状況
開発した仲介発振器の特徴
周波数帯域:30MHz∼1000MHz
発振レベル:EUTに似た周波数特性の電界強さ
低い周波数帯域:測定器の飽和対応の適切さをチェック
高い周波数帯域:測定系S/Nが十分あるかのチェック
アンテナケーブルの減衰量の評価
受信機初段のノイズフィギュアの評価
周波数帯域:150kHz ∼30MHz
発振レベル:EUTと同じような周波数特性の電圧 電源線に流出する高周波電圧測定用信号として用いる
6
第6図
電源線に流出する高周波電圧
第7図 放射妨害波強度(横置き・水平/垂直偏波)
7
技術能力試験の手順
受験試験所及び日程を決める
„
EMC試験所の場合1つの試験所に割り当てられる時間は
輸送時間を含めて1週間程度である „
„
仲介器の巡回順序は各試験所に通知される
„
仲介器は測定終了後次の試験所に送り届ける
„
測定値に異常があるときは事務局に連絡して対応する
„
測定終了後すみやかに測定値を事務局に報告する
事務局は各試験所のデータをまとめて参加試験所に通知
する (この時自所の該当データは判るが,他所の分についてはどの
データがどの試験所のデータかは判らないようにする)
„
第1表 巡回試験比較結果 ( UHF LISN あり D=10m )
偏波
周波数
10m暗室
10m暗室
10m暗室
10m暗室
10m暗室
10m暗室
10m暗室
10mOATS
最大偏差
標準偏差
A2
C2
E1
F1
G1
H2
J2
B2
(MHz)
(dBuV/m)
(dBuV/m)
(dBuV/m)
(dBuV/m)
(dBuV/m)
(dBuV/m)
(dBuV/m)
(dBuV/m)
(dB)
(dB)
水平
30
40.4
42.0
48.0
47.4
38.5
38.8
43.8
43.8
9.5
3.61
40
32.2
38.7
35.3
56.0
30.4
23.7
33.3
32.6
32.3
9.41
50
43.6
47.2
46.9
66.6
46.9
44.6
47.8
45.0
23.0
7.43
70
53.1
48.0
54.2
63.5
52.5
52.2
51.8
50.4
15.5
4.56
100
65.2
65.7
64.2
71.6
58.5
59.7
63.9
65.0
13.1
3.99
130
73.0
75.5
74.1
75.6
66.4
56.5
75.0
73.8
19.1
6.65
200
54.2
51.7
47.3
56.8
9.5
4.04
330
56.1
57.9
52.2
59.0
55.3
56.3
56.6
6.8
2.15
550
31.7
33.0
30.5
42.0
30.2
31.4
31.4
30.3
11.8
3.92
800
28.7
30.7
29.4
46.1
23.1
29.5
27.7
27.1
23.0
6.79
950
31.8
33.7
31.2
36.4
26.1
31.5
30.3
30.8
10.3
2.93
垂直
30
62.6
63.6
60.6
47.3
56.0
63.1
61.9
60.4
16.3
5.45
40
49.2
53.0
53.4
52.5
49.5
51.1
52.5
52.0
4.2
1.58
50
58.8
63.4
64.9
57.9
57.8
59.5
68.0
61.7
10.2
3.69
70
61.3
62.8
67.3
57.9
59.6
57.6
70.2
61.3
12.6
4.45
100
67.5
69.7
69.0
70.4
71.3
63.9
71.0
70.8
7.4
2.48
130
51.4
75.0
73.2
71.7
71.8
63.9
68.7
72.3
23.6
7.69
200
53.4
52.5
51.7
1.7
0.85
330
57.8
55.7
53.8
58.2
52.0
56.6
53.7
56.2
6.2
2.16
550
30.8
32.8
31.3
42.3
28.6
31.1
31.9
30.9
13.7
4.15
800
28.5
30.6
30.9
49.6
23.0
30.6
29.3
27.5
26.6
7.85
950
33.3
35.6
34.8
42.7
26.6
31.6
34.2
33.3
16.1
4.48
8
第2表 巡回試験比較結果 ( UHF LISN なし D=10m )
偏波
周波数
10m暗室
10m暗室
10m暗室
10m暗室
10m暗室
10mOATS
最大偏差
標準偏差
A4
E2
F2
G2
J4
(MHz)
(dBuV/m)
(dBuV/m)
(dBuV/m)
(dBuV/m)
(dBuV/m)
(dBuV/m)
(dB)
(dB)
水平
30
38.7
47.0
28.8
38.5
43.5
40.9
18.2
6.17
40
30.3
33.9
48.5
27.9
29.6
30.8
20.6
7.61
50
43.3
44.7
56.1
48.2
47.0
44.7
12.8
4.64
70
53.8
54.9
65.1
53.1
52.2
52.7
12.9
4.89
100
64.6
66.4
69.3
59.6
66.4
67.1
9.7
3.29
130
73.5
69.5
72.1
65.6
70.4
71.1
7.9
2.71
200
54.0
3.0
2.12
330
57.5
57.3
55.1
55.5
52.9
56.5
4.6
1.71
550
31.6
31.7
42.4
30.3
22.6
31.0
19.8
6.32
800
28.2
29.5
46.1
22.9
25.9
27.2
23.2
8.22
950
31.5
31.4
35.8
25.9
29.5
30.6
9.9
3.21
垂直
30
61.5
60.1
54.5
53.4
60.7
58.2
8.1
3.39
40
46.9
52.6
45.9
44.3
46.2
49.5
8.3
2.99
50
57.3
62.9
56.8
66.9
61.8
61.3
10.1
3.75
70
60.9
68.3
60.8
61.4
61.7
60.5
7.8
2.99
100
69.8
66.6
69.0
71.2
67.8
67.2
4.6
1.73
130
68.8
68.9
72.1
70.9
68.4
66.6
5.5
1.94
200
57.3
7.6
5.37
330
57.0
53.7
56.5
52.0
55.6
55.5
5.0
1.87
550
31.1
32.5
48.1
29.2
32.2
31.2
18.9
6.98
800
27.6
30.5
46.4
22.3
28.9
26.8
24.1
8.30
950
33.3
34.5
39.7
27.0
33.4
33.9
12.7
4.04
51.0
49.7
UHF-LISN有り、テーブル回転有り、距離10m
水平偏波
A2
2
25
C2
2
E1
F1
G1
H2
20
15
平均値からの差 [dB]
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
10
100
周波数[MHz]
1000
9
技術能力試験の結果と吟味
今回は2回に分けて試験所間比較・技術能力試験を
おこなったため各回の試験条件が同じでなかった
しかし試験所数が少なかったためまとめて処理した 全体を一つにまとめた標準偏差,最大偏差を比較する
ことにあまり意味がない
ここでは試験所間の測定値にバラツキを生じる原因の
解析のため UHF LISN を使用した実験を兼ねたが,
結果を注意深分析するとUHF LISN が有用でバラツキ
を少なくしていることがうかがえる
ISO/IEC 17025 の問題点
異なった各種類の試験所を全て網羅している
ことの矛盾
決められている条項についての物理的意味を理解することが
最も重要と考えられる
Calibration Laboratory : uncertaintyの表記
Testing Laboratory
(Environmental) Analysis Laboratory : samplingの方法
10
UHF-LISN有り、テーブル回転有り、距離10m
垂直偏波
A2
J2
25
C2
B2
E1
F1
G1
H2
20
15
平均値からの差 [dB]
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
10
100
周波数 [MHz]
1000
UHF-LISN無し、テーブル回転有り、距離10m
水平偏波
A4
E2
F2
G2
J4
B6
25
20
15
平均値からの差 [dB]
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
10
100
周波数 [MHz]
1000
11
UHF-LISN無し、テーブル回転有り、距離10m
垂直偏波
A4
E2
F2
G2
J4
B6
25
20
15
平均値からの差 [dB]
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
10
100
周波数 [MHz]
1000
12
13