No.0817 2008年6月16日 垂直面で厚盛りができるエポキシ樹脂系盛り付け樹脂を開発 切削表面がち密なため、デザインモデルや金型製作用マスターモデルの製作に好適 三洋化成工業株式会社 (証券コード 4471) 三洋化成工業株式会社(本社:京都市東山区、社長:家永昌明)では、自動車や船、飛行機の翼 など大型成形品のデザインモデルや金型製作用マスターモデルの製作に適したエポキシ樹脂系盛り 付け樹脂『サンモジュール FFE』を7月から本格販売することを決定しましたので、報告申し あげます。 新製品は、エポキシ樹脂系盛り付け樹脂の長所である密着性の良さや耐湿性、寸法安定性などを 保持しながら、硬化時の発熱に伴って発泡や垂れが生じるといった従来のエポキシ樹脂系盛り付け 樹脂の欠点を改善したもので、 垂直面に一度に30~40ミリの厚みで盛り付けることができます。 また、削表面が非常にち密なことから、大型デザインモデルだけでなく、金型製作用マスターモデ ルの製作にも適しており、さらに帯電防止性(特許出願中)も有しています。 本格販売の開始に先立って、当社は6月25日から3日間、東京ビッグサイトで開催される「第 19回設計・製造ソリューション展」 (DMS)に、本製品のほか、すでに上市してご好評をいただ いている帯電防止性を付与した合成木材『サンモジュール №7K-E』やウレタン樹脂系盛り付 け樹脂『サンモジュール FF』シリーズを出展します。 注) 『サンモジュール』は当社合成木材、モデル・型用樹脂の登録商標です。 【デザインモデル、金型製作用マスターモデルに使われる盛り付け樹脂】 自動車や家電業界では、モデルチェンジや新機種開発におけるデザイン検討や展示会でのプレゼ ンテーション用に、多数のモデルが作られます。デザインモデルを作る材料には硬質ウレタンフォ ーム、クレイ(粘土) 、合成木材などがあり、モデル製作の大きさ、精度や目的に応じて選ばれてい ます。 盛り付け樹脂とは、硬質ウレタンフォームなどで一回り小さく作ったコアモデルの上に、樹脂を 盛り付けて反応・硬化させた後、機械や人手で切削加工してデザインモデルなどを作るのに使われ る合成木材の一種です。盛り付け樹脂には、エポキシ樹脂系とウレタン樹脂系があり、クレイ同様、 造形時の廃材発生が少なく、 合成木材の軽さや優れた精度、 良好な寸法安定性を併せ持つことから、 注目を集めています。 【エポキシ樹脂系の盛り付け樹脂開発に至った背景】 当社は1986年、川下指向の一環として成形品分野に進出するため、高分子技術を生かして合 成木材『サンモジュール』シリーズを開発・上市いたしました。以来、市場ニーズに対応して、デ ザインモデル、金型製作用マスターモデル、検査治具など各種用途にそれぞれ特長ある製品をライ ンアップする一方、独自の連続成形法を開発して効率の良い量産化技術を確立いたしました。現在 では、国内唯一の合成木材メーカーとして国内市場の50%強、世界市場でも約15%のシェアを 占めるに至っており、国内外のお客様から高い評価をいただいております。 そして、盛り付け樹脂(手練り・機械混合)としては、従来から広くエポキシ樹脂系が使われて いましたが、硬化時の発熱が大きく、垂直面に一度に厚く盛り付けられない(垂れる) 、硬化時間が 長いなどの問題を抱えていました。当社は2005年に、これらの問題を解決したウレタン樹脂系 盛り付け樹脂『サンモジュールFF』を上市いたしました。 『サンモジュール FF』は、特に大型 デザインモデルの分野でご好評をいただいております。 しかしながら、エポキシ樹脂には密着性の良さ、湿気の影響の受けにくさ、寸法安定性の良好さ などの利点もあり、ウレタン樹脂の良さとエポキシ樹脂の良さを併せ持った、盛り付け樹脂の開発 が望まれてきました。そこで、当社ではエポキシ樹脂の知見と独自の分散・配合技術、さらには帯 電防止剤の技術を活用し、発熱量が小さく、垂直面に一度に厚く盛り付けることができ、ち密で帯 電防止性能を持つエポキシ樹脂系盛り付け樹脂『サンモジュール FFE』の開発に成功いたしま した。 【新製品の概要】 主剤『サンモジュール FEA』と硬化剤『サンモジュール FEB』の二液(いずれもペース ト状)から成っており、使用の際には、これらを所定の割合で混合します。専用の二液自動計量混 合吐出装置を用いて混合し、芯材に直接盛り付けて硬化し、切削などの加工を行います。 ■主な特性値 1)性状(代表値) 項目 『サンモジュール FEA』 『サンモジュール 外観 赤褐色 白色 比重 0.68 0.63 粘度 ペースト状 ペースト状 垂直面盛り付け性(*) 可使時間(25℃) [分](*) FEB』 40mm 厚さまで垂れなし ~60 (*)配合比 『サンモジュールFEA』:『サンモジュールFEB』=100:40(体積比)、 『サンモジュールFEA』:『サンモジュールFEB』=100:35(重量比)で配合した場合 2)硬化物(代表値) 項目 『サンモジュール 外観 赤褐色 比重 0.71 硬度(ASTM ショアD) FFE』 60 曲げ強度 [MPa] 17.5 表面粗度(Ra) [μm] 4.0 熱変形温度 [℃] 50 切り粉の帯電量 [kV] (気温 22℃、湿度 30%) 切削直後 0.7 1 分後 0.45 10 分後 0.05 ※硬化条件:室温(約 25℃)×12 時間 + 50℃×10 時間 ■特 長 新製品『サンモジュール FFE』は次のような特長を有しています。 ①垂直面に一度に30~40ミリの厚みで盛り付けても、垂れを生じません。 ②適度な可使時間を持つため、盛り付け後1時間程度は形状を整えなおすことが可能です。 ③盛り付け樹脂どうしの層間のなじみがよく、コアモデルとの密着性も良好です。 ④切削表面が滑らかで、ち密に仕上がります。デザインモデルだけでなく、金型製作用マスターモ デルの製作にも適応します。 ⑤帯電防止性能を付与しているため、切削粉がNC工作機械や作業者に付着しにくく、作業環境が 改善でき、また、静電気による誤作動の防止などを図ることができます。 【市場性と今後の計画】 新製品『サンモジュール FFE』は、デザインモデル用途はもちろんのこと、特にち密さが要 求される金型製作用マスターモデル用途に対しても十分な適応性があります。 既存のウレタン樹脂系盛り付け樹脂『サンモジュール FF』シリーズと合わせて、海外にも積 極的に開発を行い、2012年度に盛り付け樹脂全体として6億円の販売を目指しています。 (20 08年度は2億円の見込み) <本件に関するお問い合わせ先> 三洋化成工業株式会社 広報室 電話 075-541-4312 《参考資料》 ■盛り付け樹脂システムを使用したモデル製作事例 1)コアモデル(フルスケール) 2)垂直面に、垂れなく盛り付けが可能 3)盛り付け完了後のモデル 4)NC切削機で切削中のモデル ■『サンモジュール FFE』と市販(他社)エポキシ樹脂系盛り付け樹脂の切削粉の帯電量変化 帯電量測定結果 7 6 5 帯 電 4 量 3 [kV] 2 ① 『サンモジュール FFE 』 ② 市販(他社)エポキシ樹脂系盛り付け樹脂 1 0 0 1 2 3 4 5 6 切削後経過時間[分] 7 8 9 10
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