断熱パネル後貼り工法により断熱補強された界壁の遮音欠損防止技術の

断熱パネル後貼り工法により断熱補強された界壁の遮音欠損防止技術の検討
漆戸
幸雄*1 小谷
朋央貴*1 鍵谷
勝*2 鈴木
修*2
Study on the prevention technology of the sound insulation loss of reinforced
concrete wall with thermal insulation reinforcement by the method of pasting up a
composite thermal insulation panel on a wall
Yukio URUSHIDO, Tomooki KOTANI, Masaru KAGIYA, Osamu SUZUKI
目
石こうボード
的
室内
界
壁
内断熱の建物において,ヒートブリッジ(熱橋)となる部位の
断
熱
補
強
の
範
囲
石こうボード
断熱性能を向上させ,結露の発生を防止するために,外壁に面
下地(木軸,LGS,GL ボンド)
した床スラブ,梁,柱,戸境壁などに,外壁から室内側に一定
現場発泡硬質ウレタン吹付け工法
による折返し断熱
の範囲にわたって断熱材を施工する「折返し断熱」といわれる
断熱ボード打込み工法による折返し断熱
発泡プラスティック系断熱ボード
断熱補強が行われる。一般的な内断熱工法は,ボード類やモル
モルタル薄塗り
コンクリート増し打ち
タルなどの内装下地材が,弾性体である断熱材を介してコンク
リート壁に支持されたバネマス系を構成しており,共振により
界壁
鉄筋コンクリート壁
屋
外
見切り材
発泡プラスティック系断熱パネル
石こうボード
特定の周波数範囲でコンクリート壁単体に比べて遮音性能が
外
壁
断熱パネル後貼り工法による折返し断熱
低下する。本稿では,押出法発泡ポリスチレンフォーム保温板
現場発泡ウレタン吹付け工法による断熱
裏打ち石こうボードの後貼り工法(以下,S1工法と記す)で
室内
断熱補強の範囲
戸境壁の折返し断熱が設計されていた集合住宅において,コンクリート壁を挟んで片面ずつ異なる断熱材
を用いた断熱パネルを施工し,両面の共振の一致を回避する方法を検討し,遮音欠損の防止低減方法とし
て,物件適用した結果について報告する。
結
90
論
80
XPSとEPSを組合せた後貼り工法
D-50 :35箇所(87.5%)
D-45 : 5箇所(12.5%)
(1)6種類の断熱パネルの組合せを試験施工し遮音性能
( t9.5mm ) + 押 出 法 発 泡 ポ リ ス チ レ ン 保 温 板 3 種 b
t25mm』と次の断熱パネルを組み合わせて使用した場合,
RC躯体と同等以上の遮音性能が得られた。
音圧レベル差 (dB)
を確認した結果,S1工法用のパネルA『石こうボード
60
600
D-65
70
室内
こうボード(t9.5mm)』
D-60
PBt9.5+EPS特号保温板t25
Dr-55
室内
Dr-50
Dr-45
180
Dr-40
50
Dr-35
40
Dr-30
30
両面XPSの後貼り工法(S1工法)
遮音欠損事例
①パネル B『石こうボード(t9.5mm)+ビーズ法発泡ポリ
スチレンフォーム緩衝材用特殊品 t25mm が裏打ちされた石
PBt9.5+XPS3種b保温板t25
PBt9.5+XPS3種b保温板t25
20
②パネル D『石こうボード(t9.5mm)+ビーズ法発泡ポリ
スチレン保温板特号 t25mm』
(2)パネルAとパネルDの組合せを採用し,建物完成時
室内
室内
10
63
125 250 500 1000 2000 4000 8000
オクターブバンド中心周波数 (Hz)
に全施工箇所(40箇所)の遮音性能を測定した結果,全ての施工箇所で建築学会適用等級:2級(一般的
な性能水準)を確保することができた。さらに,87.5%は住宅の戸境壁の遮音性能に対して適用等級:1
級(建築学会が推奨する性能水準)の性能が得られた。
*1 技術センター 建築研究部
*2 油化三昌建材株式会社