§36 ディズニーの大きな決断【Blue】

§36 ディズニーの大きな決断【Blue】
■ 文法的解析
【表記のルール】
□ [
名詞
],(
形容詞
□ 等位接続詞は
),
<
副詞
>
,同形の反復部は*, **, ***などで表現する
□ 関係代名詞節の欠けにはφをうつ
□ 代名詞の対応関係は# [ ~ ] で示す
a <On April 4, 2003,>
Glen Keane, <=one of Walt Disney's most respected animators,> called for a meeting (to
discuss the war( breaking out at the studio).)
起こる
Disney's animators had settled into two opposing camps
~に落ち着く
: *those who were skilled <in computer animation >and *those who refused [to give up their pencils].
b Keane, <=a 31-year veteran> (who created *the beast for "Beauty and the Beast" and *Ariel for "The Little
Mermaid,)" was a Disney traditionalist.
伝統主義者
But <after a series of experiments ><to see [whether he could create a computer-animated ballerina]>,
his opposition softened. 検討する
~かどうか
バレリーナ
So he invited [the 50 animators] <to discuss [the pros and cons ]of both art forms,
賛否;良し悪し
< calling his seminar "The Best of Both Worlds.">
分詞構文
V’
O’
C’
c <For an hour>, Keane listed [the pluses and minuses] of each technique
<while the other animators listened quietly>. <After a few questions,> the crowd burst into chatter <as animators shouted over one another>,
突然~し始める
*some arguing [that computers should not replace # people]
分詞構文
and *others expressing fears <=that #they would be forced to draw by hand.>
~を強いられる
d <In a recent interview,> Keane recalled [that Kevin Geiger, <=a computer animation supervisor*>,
監督
then *stood up and *demanded of him, "<If you can do all this cool stuff (that you're talking about Φ)(that you
want to see Φ in animation)> ― but you have to give up the pencil <to do it>, are you in?" )
§36 ディズニーの大きな決断【Blue】
Keane hesitated <before answering, "I'm in>."
e
<Three weeks later>, the company's animators were told [that Disney would concentrate on making
computer-animated movies,< abandoning a 70-year-old hand-drawn tradition
<in favor of a style (popularized by *newer and *more successful rivals
~に賛成して,
~で普及する
(like **Pixar Animation Studios and **DreamWorks Animation.)>
f The results were nothing short of a cultural revolution at the studio,
~にほかならない
(which Φ is famous for [the hand-drawn classics] (championed by its founder, <=Walt Disney>, (like *"Snow
White and *the Seven Dwarfs" and *"Peter Pan.") )
g <Two years and a half after that decision>, Disney released "Chicken Little," the first of four computer-animated
films (developed at the newly reorganized* studio).
reorganize「を再編成する
The company hoped [that this movie,( along with others (like "*Meet the Robinsons," "*American Dog,"
and *Keane's "Rapunzel Unbraided,)"
~とともに
would return Disney to its past glory.]
h There was a lot more than pride, <however,> (riding on its success).
=A lot more than pride was riding on its success
Animation was once Disney's heart, a profitable lifeline
生命線
(that Φ fed the company's *theme park, *book, and *home video divisions).
養う
And *[restoring Profit] was as essential to Disney in those days as *[regaining its reputation].
を取り戻す
§36 ディズニーの大きな決断【Blue】
■ 注意事項
●
the war breaking out at the studio「そのスタジオで起きている争い」
break out「(戦争・乱闘などが)急に起こる」。ここでは the war を後ろから修飾している。
●
had settled into two opposing camps「2 つの対立する陣営に落ち着いていた」
settle into~「(落ち着いて)~(の状態)になる」。社内での意見の対立を戦争にたとえたので,陣営という
言葉を使っている。
●
"Beauty and the Beast"『美女と野獣』
ディズニーの有名なアニメである。"The Little Mermaid"も同じくディズニーのアニメで『リトル・マーメイド』。
●
traditionalist「伝統主義者」(← tradition 伝統)
この文脈では,鉛筆を使ってアニメを制作する者たちのことを指す。
●
see whether he could create a computer-animated ballerina
「コンピュータ・アニメのバレリーナを創り出すことができるかどうかを検討する」
whether ... の節は文脈によって副詞節か名詞節かを見極めることが大切だが,ここでは see の目的語になって
いるので名詞節と判断する。したがって,「…かどうか」となる。
●
burst into~「突然~し始める」
●
some arguing that ...「…だと論じる者もいれば〔何人かは…だと論じたが〕」
arguing は分詞で,この文は分詞構文である。some はこの分詞(arguing)の意味上の主語。
●
others expressing fears that ...「…という不安を述べる者もいた」
some arguing の箇所と同様に分詞構文を作るために express が分詞になっている。others はその意味上の主語。
that は fears の内容を表すための,同格節を導くための接続詞で「…という不安」と訳す。また,some~,others ...
で「~の者もいれば…の者もいる」。
●
be forced to do「…することを強いられる」
●
you can do all this cool stuff (← that you're talking about)
S
V
O
(あなたが今話題にしている→このすごい内容のすべてを)
that 以下は all this cool stuff を先行詞とする関係代名詞節。cool には,「粋な;素晴らしい;すごい」などの
意味がある。stuff は「内容(物)」。
●
give up the pencil to do it「それを行うために鉛筆を手放す」
give up~「~をあきらめる;~を捨てる」。
●
are you in?「あなたは(こちらへ)加わりますか」
●
abandoning a 70-year-old hand-drawn tradition「70 年に及ぶ手描きの伝統を捨てて」
この abandoning も分詞構文を作るための分詞。
●
in favor of a style (popularized by newer and more successful rivals)
「より新しく大きな成功を収めているライバルが普及させた制作方式を選択して」
in favor of~「~に賛成の〔で〕;~を(望ましいと)選択して」。a style popularized by~は,「~によって普及
した制作方式」。popularize「を普及させる」が過去分詞になり,style を修飾している。
●
computer-animated films (developed at the newly reorganized studio)
「新しく再編成されたスタジオで作り上げられた,コンピュータ・アニメ映画」
●
along with others = along with other movies「他の映画とともに」
●
return Disney to its past glory「ディズニーを過去の栄光へと戻す」
return A to B「AをBに戻す」。
§36 ディズニーの大きな決断【Blue】
●
There was a lot more than pride riding on it ssuccess. ≒ A lot more than pride was riding on its success.
「誇りよりももっと多くの事情が,その成功に乗っかっていた」
ride on~「~次第だ;~にかかっている」。
●
a profitable lifeline that fed~「~を養う収益性の高い生命線」
つまり,アニメ部門の利益があったからこそ,テーマパークなどの他の部門の経営が成り立っていたという
こと。
●
restoring profit was as essential <to Disney inthose days> as regaining its reputation.
「(当時のディズニーにとって,)利益を回復することは,その名声を取り戻すことと同様に,必要不可欠な
ことだった」
〈
〉で囲んだ箇所以外の部分を最初に見ると,A is as essential as B.(AはBと同じくらい必要不可欠だ)
の構造がわかりやすい。ここで,A,Bはどちらも restoring ... と regaining ... の動名詞句なので,「~するこ
とは…することと同じくらい必要不可欠だ」となる。最後に,〈
付け加えるとよい。
〉内の「当時のディズニーにとって」を
§36 ディズニーの大きな決断【Blue】
■ 日本語訳
2003 年 4 月 4 日,ウォルト・ディズニー社の最も尊敬されているアニメ制作者の一人,グレン・キーン
は,スタジオで起きている争いについて話し合うための会議を召集した。ディズニーのアニメ制作者たち
は,2 つの対立する陣営に落ち着いていた。それは,コンピュータのアニメに熟練した者たちと,鉛筆を
手放すことを拒否した者たちだった。
キーンは 31 年のベテランで,『美女と野獣』の野獣や,『リトル・マーメイド』のアリエルを創り出し
ており,ディズニーの伝統主義者であった。しかし,彼がコンピュータ・アニメのバレリーナを創り出す
ことができるかどうかを検討するための,一連の実験を行ったあとには,彼の反発は和らいだ。そこで彼
は,自身の研究会を「2 つの世界の最高のもの」と呼んで,双方の技法形態の良し悪しを話し合うために,50
人のアニメ制作者を招いた。
1 時間にわたって,他のアニメ制作者たちが静かに聞いている間,キーンはそれぞれの技法の長所と短
所を列挙した。いくつかの質問のあと,アニメ制作者たちがお互いに怒鳴り合うと同時に,聴衆はおしゃ
べりを突然始め,コンピュータは人間に取って代わるべきではないと論じる者もいれば,手描きで絵を描
くことを強いられるのではないかという不安を述べる者もいた。
最近のインタビューの中でキーンは,コンピュータ・アニメの監督,ケビン・ガイガーがその時立ち上
がり,キーンに問いただしたことを思い起こしていた。「もしあなたが,今話題にしている,つまりアニ
メで見たいと思っている,このすごい内容のすべてができるが,それを行うためには鉛筆を手放さなけれ
ばならないとすると,あなたは(こちらへ)加わりますか。」キーンはためらったあと,「加わります」と
答えた。
3 週間後,会社のアニメ制作者たちは次のように告げられた。ディズニーはコンピュータ・アニメ映画
の制作に専念し,ピクサー・アニメーション・スタジオやドリームワークス・アニメーションといった,
より新しく大きな成功を収めているライバルが普及させた制作方式を選択し,70 年に及ぶ手描きの伝統
を捨てるつもりであると。
その結果とは,『白雪姫』や『ピーターパン』など,その創設者であるウォルト・ディズニーによって
擁護されてきた手描きの傑作で名高いスタジオにおける,文化的な革命にほかならなかった。
その決定から 2 年半後,ディズニーは『チキン・リトル』を公開したが,それは新しく再編成されたス
タジオで作り上げられた,4 本のコンピュータ・アニメ映画のうちの最初の一つであった。会社は,その
他の『ルイスと未来泥棒』,『アメリカンドッグ』,そしてキーンの『ラプンツェル』などとともに,この
映画がディズニーを過去の栄光へと戻してくれることを願っていた。
しかし,誇りよりももっと多くの事情がその成功に乗っかっていた。アニメはかつてディズニーの中核
であり,会社のテーマパーク,書籍,そしてホームビデオ部門を養う,収益性の高い生命線だった。当時
のディズニーにとって,収益を回復させることは,その名声を取り戻すことと同様に,必要不可欠なこと
だったのである。