木島平村再生可能エネルギー活用基礎知識普及編PDF(666KBytes)

自然環境との共生
「自然エネルギー利用」の基礎知識・普及編
総合政策課
■はじめに ‥‥‥木島平村は自然エネルギー利用の先進地
農業・農村の新たな展開を考える上で、農村における地域資源を最大限に活用する
ことによる地域コミュニティの醸成と保全、美しい農村空間の形成、地球環境保全の
観点から自然エネルギーを活用した資源循環型の農村社会の構築に向けた取り組み
を積極的に展開することが極めて重要であると考える。
農村地域において発生する小水力、太陽光、小型風
力、バイオマス等の自然エネルギーは、農業生産への
利用のみならず、鳥獣害防止柵、防犯灯、消流雪施設
用電源など様々な活用が考えられます。
本村では全国に先駆け、30年前から小水力を利用
した「村営馬曲川発電所」及び「カヤの平発電所」を
設置して、自然エネルギーの利用を行っている。
このノウハウを活用しながら更なる自然エネルギー利
用の拡大と合わせて、新しい農村ビジネスの創出や地域
防災、更には都市住民にも開かれた美しい農村空間の整
備と提供を推進することにより、新たな地域コミュニテ
ィの形成への期待と本村の多様な振興に寄与する可能性
が大きい。
村営馬曲川発電所
■賦存する自然エネルギー
資
源
小 水 力
太 陽 光
導入可能想定か所
評
価
渓流のダム、農業用水路、落差工、滝 技術的に確立されている。豊富な
など
水、落差があれば経済性も高い。
公共施設等の屋根、好適空き地
適地、場所があれば比較的安価、
容易に導入可能。
風
力
一定の風が常に吹いている場所
良好な風況があれば経済性が高
い。人家の近くは不適。
バイオマス
農業、林業副産物利用可能な場所
資源循環の視点から導入。
雪 冷 熱
一定の降雪があればどこでも
経済性の検証が必要。
小水力発電について
1)水力発電の分類
・ナノ水力発電
・ミニ水力発電
10kw以下
・マイクロ水力発電 100kw以下
100~1,000kw ・小水力発電 1,000~1万kw
・中水力発電
1~10万kw
・大水力発電
10万kw以上
2)水力発電の特長
・貴重な純国産エネルギー
国土の特長を活かした貴重な純村産エネルギー
・供給が安定したエネルギー
他の自然エネルギーと比較して供給安定性に優れている。
・既存施設の維持管理に使えるエネルギー
既存の施設を利用することが可能であり、発電電力による施設の維持管理の
削減に寄与する。
・二酸化炭素を発生しないクリーンエネルギー
発電中にCO 2を発生しないクリーンエネルギーであり、地球温暖化防止に
貢献する。
・自然にやさしい環境調和型エネルギー
施設を設置する際、地形改変が少なく、使用水量も少ないことから環境に与
える影響が少ない。
・建設、維持管理が容易なエネルギー
建設が短期間ででき、維持管理も容易に行える。
・活性化に寄与するエネルギー
発電した電気を各種事業に活用することにより、地域振興と自然エネルギー
の活用という相乗効果により、地域活性化に寄与できる。
3)発電方式
①渓流水利用
渓流から取水し、沈砂地・導水路・水槽・水圧管路により発電所まで導水し
て発電後に河川に放流する方法。傾斜地では放流水の再利用も考えられる。
②農業用水利用
既設農業用水路の落差工部に簡易な発電設備を設置する方法。比較的流量が
大きく安定した水の利用ができる場合は、水中式発電機一体型水車あるいは、
投げ込み式発電機一体型水車を設置する場合がある。
また、落差工をバイパスする形で取水し、発電後、既設水路に再び放流する
方法もある。
③上下水道利用
上水道の減圧される水圧を水力発電に有効利用する方法。下水道は処理水を
放流するときの落差を有効利用し、発電する方法。
4)発電形式
①衝動水車(落差利用型)
落差のもつ位置エネルギーを速度エネル
ギーに変換し、羽根に作用させることに
より回転力を得る水車。水をノズルによ
り射出し、その速度による回転力を得る。
出典:水力発電ガイドブック
〔種類:ぺルトン水車・タ―ゴインパルス水車・クロスフロー水車〕
②反動水車
落差のもつ位置エネルギーを速度と圧力エ
ネルギーに変換し、羽根に作用させること
により回転力を得る水車。水が羽根に当た
って向きを変える際に発生する押し付けよ
うとする力を回転力として得る。
出典:水力発電ガイドブック
〔種類:フランシス水車・プロペラ水車・ポンプ逆転水車・水中式発電機一
体型水車〕
③重力水車
水に働く重力(重さ)を羽根に作用させる
ことにより回転力を得る水車。
〔種類:上掛け、下掛け水車・らせん水車
・金属製下掛け水車・カスケード
水車〕
出典:水力発電ガイドブック
5)発電コスト
*概ね1千kw当たり10億円以上
設置コスト
発電コスト
76万円 /kw
14円/kwh
6)発電の課題
①発電出力の制約:発電地点によって、使用可能な水量や有効落差などの条件に
左右される。
②投資期間の長期化:投資の回収期間が比較的長い。
③水利権取得の必要性:河川法で定められている水利権取得などをクリアする必
要がある。
④環境面への配慮:水生植物、昆虫、魚類など動植物への影響調査が必要な場合
がある。
太陽光発電について
1)発電の特長
・設置場所の制限がない
太陽光のある場所なら基本的
にどこでも設置できる。
・メンテナンスフリー
システムが比較的単純なため、
一度設置するとほとんどメン
テナンスが必要ない。
・未利用スペースの有効利用
家庭の屋根や学校の屋上など未利
用スペースが活用できる。
・遠隔地の電源としての利用
出典:NEDO
電気が通っていない場所、地域の電源として利用できる。
・非常用電源としての利用
災害などで電力供給が停まった時に、非常用電源として機能できる。
・クリーンエネルギー
水力発電と同様に、発電時には二酸化炭素等を排出しない純国産のクリーン
なエネルギーである。
・ピークカット効果
電力供給が最も切迫する真夏の購入電力量を押さえることができる。
2)太陽電池の種類
①多結晶シリコン太陽電池
多結晶はコストと性能のバランスが取れ
ており、現在の太陽電池の主流となって
いる。大量生産技術が確立され、高効率
化技術の開発が進められている。
②薄膜シリコン太陽電池
アモルファスシリコンと薄膜多結晶シリ
コンのハイブリット型薄膜太陽電池が開
発されている。高品質大面積CVD装置
の開発が進められている。
③CIGS(Cu、In、Ga、Se)系太陽電池
出典:NEDO
実用化が始まったばかりの新しい電池。シリコンの代わりにCu、In、G
a、Se(銅、インジウム、ガリウム、セレン)などからなるカルコパイラ
イト系と呼ばれる化合物を用いた太陽電池。効率化と低コストの開発が進め
られている。
④超高効率太陽電池
化合物超効率太陽電池が開発されているが、実証段階。
⑤色素増感太陽電池
色素を用いて光超電力を得る太陽電池。課題は効率と寿命であり技術改良が
進められている。
3)発電コスト
設置コスト
70万円 /kw
52万円/10kw
4)発電の課題
①自然条件による発電量の変動と導入コストが高い。
風力発電について
*一般的には、地上30㎡高で年平均風速6m/s以上が必要とされている。
1)風車規模の分類
・マイクロ風車
・中型風車
1kw未満
・小型風車
50~1,000kw未満
1~50kw未満
・大型風車
1,000kw以上
2)風力発電の特長
・安価な発電コスト
新エネルギーの中では発電コストが比較的低く、工期の短さもメリットとな
っている。また、設置コストの低下により、全国で急速に普及している。
・高変換効率
風力エネルギーの約40%を電気エネルギーに変換できる効率が良いもの
である。
・夜間も稼働
風さえあれば昼夜を問わず年中稼働できる。
・クリーンエネルギー
水力発電と同様に、発電時には二酸化炭素等を排出しない純村産のエネルギ
ーである。また、小型風力発電機は騒音・振動が小さいため家庭や農業施設
に設置できる。
・シンボル性
地域のシンボルとなり、村おこしにも寄与。
3)発電形式
出典:新エネルギー財団
4)発電コスト
設置コスト
発電コスト
25~32万円/ kw
9~12円/kwh
5)発電の課題
①コストの低減:大型風車の開発による発電コストの低減が必要。
②気象条件に適した技術開発:地形や台風、落雷などの気象条件に対応した風車
の開発が必要。
③電力供給に係る技術開発:発生電力の電圧や周波数変動、風況に適した制御方
法など、電力系統に与える影響を緩和するための出
力安定化技術の開発を図る必要がある。
④周辺環境への配慮:大型風車の場合、騒音・振動・低周波等周辺地域に対する
環境への配慮、バードストライクによる渡り鳥など自然環
境への配慮が必要。
バイオマスエネルギーについて
バイオマスエネルギーは、生物由来の有機物をエネルギーとして利用するもの
であり、バイオマスエネルギーの利用は、自然界で形を変えながら循環している
炭素を循環のバランスを変えずに使うので、カーボンニュートラルなエネルギー
といえる。バイオマスは、燃料減が多岐にわたるためエネルギー変換方法はそれ
ぞれの燃料源に応じて変わる。
注)カーボンニュートラル
バイオマスは生物が光合成によって生成した有機物であり、バイオマスを燃焼すること等
により放出される二酸化炭素は、生物の生長過程で光合成により大気中から吸収した二酸
化炭素であることから、バイオマスはライフサイクルの中で大気中の二酸化炭素を増加さ
せない。この特性を称して「カーボンニュートラル」という 。
出典:農林水産省
1)バイオマスの分類
バイオマスは分かり易く分類すると「乾燥系」
「湿潤系」
「その他」に大分類さ
れる。また、種類として木質系、農業・畜産系、建築廃材系、食品産業系、生活
系、製紙工場系に分類される。
それぞれの特徴と性質を生かした活用が重要となるが、木島平村では農業・畜
産系の家畜排泄物と生活系の下水汚泥を堆肥化するなど、既にバイオマス利用が
進んでいる。
【木 質 系】
【建築廃材系】
【農業・畜産系】
乾
林地残材
稲
わ
ら
燥
系
製材廃材
も
み
殻
鶏
ふ
ん
建築廃材
【生 活 系】
【食品産業系】
湿
下水汚泥
食品加工廃棄物
水産加工残渣
潤
系
家畜排泄物
し
牛豚ふん尿
厨芥ごみ
尿
【製紙工場系】
糖・デンプン
そ
の
他
黒液・廃材
甘藷
セルロース(古紙)
菜種
産業食用油
出典:新エネルギー財団
2)バイオマスエネルギー利用技術体系
物理的変換
チップ化
ペレット化
ブリケット化
RDF
バイオソリッド化
熱科学的変換
燃
焼
ガス化
炭
化
BTL
BDF
液
化
生物化学的変換
メ
タ
ン
水
素
ブタノ―ル
エタノール
3)バイオマスの特長
・二酸化炭素排出の削減:実質的なCO2排出がゼロとなる。カーボンフリーな
エネルギーである。
・循環型社会の構築:未活用の廃棄物を活用することにより、廃棄物の適正な処
理、活用につながり、循環型社会の構築が実現できる。
・保存、輸送可能なエネルギー:他の再生可能エネルギーと異なり、個体・液体・
気体と加工することができ、保存と運搬が可能
である。
・用途の多様性:加工された燃料は、発電、熱利用、自動車などさまざまな利用
用途がある。
4)バイオマスエネルギーの課題
①原料調達、運搬:原料の調達及び運搬、更に原料の性状の安定課等に課題あり。
②エネルギー需要:熱の発生量が多いことに比べ需要が少ない。また、発電した
電気が内部で無効に消費されることが多く、外部利用できる
量が少ない。
③技術的課題:原料の状態や気候によりガス濃度が一定しないため、運転が不安
定になる。また、脱硫費用がかさむ。
④残渣処理:消火液等残渣の処理に費用がかさむ。
出典:農林水産省
雪氷熱利用について
冬の間に降った雪や冷たい外気を使って凍らせた氷を保管し、冷熱が必要となる
時季に利用する方法です。
積雪寒冷地の気象特性を活かした自然エネルギーとして近年再度注目されてい
ます。
導入事例がさほど多くなく、現在は農産物の冷蔵などが中心で他分野への応用が
課題となっている。
1)特長
①デメリットをメリットへ
除排雪等に費用を要していた雪を利用することでメリットに変換
②冷蔵に向いた冷熱
雪氷熱利用の冷気は通常の冷蔵施設と異なり、適度な水分を含んだ冷気である
ことから、食物の冷蔵に適している。
③村のシンボルとして
積雪地である村のシンボルとなる可能性が大。
2)利用形態
雪室・氷室
雪冷房・冷蔵システム
倉庫に雪を貯め、その
冷熱で野菜などを貯蔵
倉庫に雪や氷を貯め、そ
の冷熱を循環させて冷房
などに利用
アイスシェルター
人工凍土システム
氷を冷熱源とし冷房や
貯蔵庫の周辺を人工的
冷蔵に利用
に凍土状態にし、その冷
熱を利用
全空気式雪冷房施設(米貯蔵)
雪解け冷水を循環して冷房使用
3)雪氷熱利用の今後の課題
【コスト】
○熱を製造するためのエネルギーやコストはほとんどかからず、ランニングコ
ストは電気冷房の4割程度割安となる。
○雪氷の貯蔵にはある程度の施設規模が必要で、初期投資が多大となりイニシ
ャルコストは電気冷房に比べて2割程度割高となる。
【課題】
○イニシャルコストの一層の低減。
○様々なシステム毎の(自然循環式、水冷式等)ランニングコストの評価
○現在の利用事例(農産物の貯蔵や冷房熱源など)以外に新分野への適用、他
の技術との複合化。
■実施にあたって
東日本大震災以降、自然エネルギーの利活用が時代の要請のごとく求められてい
るが、実施にあたっては初期投資の低減、維持管理の合理化などのため、行政、住
民、民間企業など多様な主体が協働をして実施する方法が望ましい。
このような環境対策は、とかくコスト高と評価されがちであるが、金銭で計算で
きない教育効果等の多方面への波及効果も想定して検討する必要がある。
また、実施によるエコな村づくりを基調とした入込客の増加等も期待ができる。
■検討の現状
(小水力)
可能性調査は実施済み。現在、有望地点である馬曲川、糠塚新堰で流量調査を
現在実施中である。
また、合わせてナノ発電やマイクロ発電の普及も図りたい。
(太陽光)
公共施設では、中学校体育館屋根及び村体育館屋根が有望。教育的効果を考え
ると中学校体育館屋根が最適と考えられ、既に試算済みである。
(バイオマス)
家畜排泄物等の堆肥化は既に行われており、循環型農業の実現に貢献している。
今後は、木質系林地廃材の利用などエネルギー利用と合わせた林業振興など複
数のメリットを狙った取組みが望まれる。
(雪利用)
従来から研究が進められてきたが、全国的な普及には至っていない。 ただし、
雪を活用することによる住民意識の変化と地域イメージの変化を促すために
は必要なエネルギー源と考えられる。情報収集と研究を継続して実施。
■今後の方向性
実施は自然エネルギー毎の実施となるが、指針となる村全体の自然エネルギー利
活用構想・計画の早急な策定が重要と考える。
m
ペレットストーブの導入
小水力発電と木質バイオマスの組み合
わせによるエコな温泉としてイメージ
アップ。また、使用する石鹸は環境に
馬曲温泉鞍掛けの茶屋
やさしい廃油石鹸なんてい~な。