行政処分(行政行為)

行政処分(行政行為)
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行政処分
(行政行為)
行政処分(行政行為)=行政機関が『公権的』に『国民の権利・
義務の範囲を変動』させること。
◦
「行政処分」に含まれないもの:①行政機関が私人と締結する契約、
②行政機関相互の内部行為(協議、同意等)、③行政指導や職務質
問等の事実行為 等。
◦法律(条例を含む。)の根拠が必要(+行政処分は法律の規定に反
してはならない)。
◦国民の権利利益の保護等を図るため、事前(聴聞、告知、処分・裁
決等の理由付記等)、事後(行政不服審査手続等)の法的手続の整
備が重要。
◦行政処分の方式が法律で定められていない場合、その方式には制限
がなく、当該処分の相手方に伝えた時点に成立する。
参考判例
○違法駐車に関し、移動措置に要した費用の負担金の納付を命ずるこ
とは行政処分に当たるが、その納付期限を経過した場合に行われる
督促については、支払いを督促する旨の意思の通知に過ぎず、権利
義務及び法律上の地位に直接具体的な影響を及ぼすものではない
(延滞金及び督促手数料を徴収されることも納付命令に従わなかっ
たことから当然に発生する義務である)ことから、行政処分には当
たらない。
【東京地判平4.6.23】
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○食品衛生法16条(現27条)に基づき食品等の輸入の届出をした者に
対して検疫所長が行う当該食品等が同法6条(現10条)に違反する
旨の通知は、それにより当該食品等について輸入の許可を受けられ
なくなるという法的効力を有するから、取消訴訟の対象となる。
【最判平16.4.26】
○行政行為は表示によって成立するものであり、また表示行為が当該
行政機関の内部的意思決定と相違していても、表示行為が不当な権
限を有する者によりなされたものである限り、表示されたとおりの
行政行為があったものとされる。
【最判昭29.9.28】
権限の委任:行政機関が、自らの権限を他の行政機関に委譲して
行わせること。
◦委任をした機関は権限を失い、その委任を受けた機関が、自らの権
限として、自らの名前と責任において行使することとなる(法律上
の根拠規定が必要)。
※権限行使に付随して必要となる手続的な事実行為は、特別な法
律の規定がなくとも、補助的機関に代わって行わせることがで
きる。
権限の代理:他の機関が、行政機関に代わって意思決定を行い、
代理という資格で対外的に権限を行使すること。
◦法定代理(権限を有する行政機関の地位にある者に事故(病気等)
が生じた場合に、法律の規定に基づいて一定の者が代理するもの)
と、授権代理(行政機関の意思で自らの補助機関等に代理させるも
の)がある。授権代理は法律の明示の根拠を要しないが、その権限
を全面的に行使させることはできない。
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行政処分(行政行為)
専決・代決:行政機関の行うべき意思決定を、他の機関が代わっ
て行い、行政機関の名において権限を行使するもの。権限を有す
る機関が主としてその補助機関に実質的な決定権を委ねることと
なる。
◦専決は「あらかじめ」一定の者に決定権を委ねること。代決は「一
時的に」他の者に判断を委ねること。
◦
「専決」は、例えば、警察署長(行政機関)が受理することとされ
ている文書を、軽微なものに限って警察署の生活安全課長(補助機
関)が、あらかじめ決められた手順により、事実上警察署長の名に
おいて受理する場合が当たる。「代決」は、例えば、警察署長(行
政機関)が事故などの場合に、補助機関である副署長が、臨時的に
警察署長の名において道路使用許可をする場合が当たる。
◦単なる意思決定の方法に過ぎないため、法律の根拠を要しない。
補助執行:ある行政機関の権限行使を、内部的に補助し執行せし
めること。
◦対外的には当該機関の名でその行為としてなされる。
◦ある行政機関の事務は、通常は当該機関の補助機関たる職員をして
補助執行させる。
◦法律の根拠に基づいて行政機関の権限を補助機関に移行させる行為
とは異なる。
法律の規定に違反した行政処分(=「瑕疵ある行政処分」)
◦同処分を行った行政機関が自ら取り消すのが原則であるが、違法な
行政処分によって被害を受けた国民(処分の相手方等)は行政不服
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申立てや取消訴訟によって、その取消しを求めることができる。
◦違法な行政処分も、その効力が直ちに否定されるのではなく、
① 違法性が重大・明白である場合は『無効』
② そうでない場合は、権限をもつ行政機関が自ら取り消すか、訴
えを受けた裁判所(又は不服申立を受けた機関)が取り消すまで
有効(=「行政行為の公定力」)
◦行政処分が違法であることを理由として国家賠償の請求をする場合、
あらかじめ処分の救済又は無効確認の判決を得る必要はない(最判
昭36.4.21)。
◦取消訴訟の提起は一定期間に限られており、同期間(=出訴期間)
以後に国民の側から争うことはできない(=「行政行為の不可争力」
)
。
※行政機関側からの職権での取消しは可能
◦無効な行政処分には、公定力や不可争力がなく、何人も取消訴訟以
外で無効を主張することができ、また、取消訴訟の提起期間以後で
あっても、その効力を争うことができる。
◦行政機関が誤記した場合(例:「許可」→「不許可」)、それが誤り
であることが当然に判断されるときはその表示された内容での効力
は生じない。一方、外形から誤りであることが明らかではないとき
は、表示内容のとおり効力が生じることになる。
瑕疵が「重大・明白」なもの(例)
◦権限のない者が行った処分
◦組織・構成に重大な瑕疵のある合議体によってなされた処分
◦相手方の申請が法律上の要件である場合に、それを欠く処分
◦内容が不明確な処分
◦内容的に重大な違法性がある処分
◦法律で要求されている理由等の記載の全くない処分 等々
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