航空機等に関する最近の研究関係の動向

(公財)航空機国際共同開発促進基金
【解説概要 15-4-1】
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航空機等に関する最近の研究関係の動向
背景
昨年度の状況調査に引き続き、産学連携の促進という視点から最近の大学及び研究機関
の動向を見てみると、
一般的な報道にも見られるように、日本における連携への動きは益々
活発化している。航空関連技術の分野では、現在のところそれほど連携が進んでいるとは
言えないものの、やはり共同研究などの気運は高まっている。また、新たなプロジェクト
が立ち上がったことで、このような動きは活性化するものと思われる。ここでは今年度の
産学連携に関する動きについて考えてみる。また、大学で行われている典型的な研究内容
の中で将来の航空エンジンに関連するもの、及びわが国を代表する研究機関である宇宙航
空研究開発機構の総合技術研究本部における航空関連の研究動向を例示する。
1.大学における動向等
1.1
産学連携の動向
(1)産学連携の更なる活発化
昨年度の状況調査では、欧米の航空技術関係プロジェクトにおいて大学がどのように参
画しているかを明らかにし、日本の現状と比較した。その結果から、日本では連携体制の
整備が立ち遅れていることを示し、昨今は大学側からも理工学分野で連携を強化・増進す
る動きが活発になっていることと、一方で航空関連技術についてはまだ始動段階であるこ
と、等を指摘した。
今年度、日本でのこのような動きは更に活発化しており、産学共同の支援体制が多くの
大学で急速に整備されたり、産学共同を意識したポストの設置が積極的に行われたりと、
体制面の変化が著しい。また、大学発ベンチャー企業立ち上げの増加や、企業との共同会
社の立ち上げも盛んになっており、更に地域産業・社会との連携を目指す動きも活発にな
って、学外との関係を深める気運は極めて高くなっていると言える。
大企業では、大学の理工系学部・研究科との間に、包括的共同研究契約を結ぶ例が増え
始めている。まだ緒についたばかりの動向であるため、この契約による研究促進効果、知
的財産権問題、
企業情報の守秘の問題等、
利点と欠点が必ずしも明らかになっていないが、
今後の産学連携にとって、重要な動きである。特定企業と包括的な契約を結んだからとい
って、他の企業等との共同研究を拘束するものではない、との説明がなされており、包括
的という呼称が誤解を与えやすいという指摘もある。
昨年度来、文部科学省により 21 世紀 COE(Center of Excellence)プロジェクトの公募・
選定・実施が行われており、今年度は航空宇宙工学を含む機械系工学分野でいくつかの
COE が走り始めた。この中でも産学連携が重要課題と位置付けられており、大学への企業
からの人材誘致や、共同研究の立ち上げが活発である。一方,来年度はじめに国立大学の
独立法人化が予定されており、一連の学外との協力体制の強化策は、独法化とその後を見
込んだ各国立大学の戦略を強く反映したものとなっている。
各々の大学の戦略については、
各大学のホームページを参照されたい。
大学の知的財産を工業製品に生かす等、外部に向けた活動の強化は、今後の大学にとっ
1
て重要な方向である。しかし一方、工学の学術的深化・高度化、知的財産の蓄積、知的領
域の拡大を志向した厳しい努力という、本来の学問的活動を常に念頭に置く必要がある。
産学間の情報交換を恒常的に活発に行い、双方の視点から有益な共同活動を設定すること
が重要と思われる。
(2)航空関連分野の動向
日本における航空関連分野での上述のような産学連携の動きは、今年度の段階では未だ
活発化されているという状況には無い。しかし、徐々にこの分野でも大学外との連携、共
同研究は増加してきている。
昨年度の状況調査で、欧米では航空関連の国家的な研究開発プロジェクトに大学が主体
となって研究で参画しており、産学連携の推進を含めて技術力を飛躍的に高める上で、我
が国でもこのようなプロジェクトが極めて重要であることを指摘した。
今年度は幸いなことに、新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下 NEDO)による小
型航空機と小型エンジンの開発プロジェクトがスタートした。また、後述するように宇宙
航空研究開発機構(以下 JAXA)においても機体およびエンジンに関する複数のプロジェ
クトが企画されている。NEDO のプロジェクトでは、相変わらず大学からの参画がプロジ
ェクトに直接携わる形態になっていないが、それでも共同研究の形でこのようなプロジェ
クトに大学が有する知的資源を活用することが期待できる。今後の研究開発体制を作り上
げていく上で、共同活動の行いやすい環境を整え、先端的性能を有する機体およびエンジ
ンの開発に叡智を結集すべきである。
他方、宇宙往還機に関連する航空機技術の分野でも産学連携が重要性を増している。宇
宙往還システムのうち、二段式推進システム(TSTO)では初段に空気吸込み式エンジンを採
用した再使用型の機体を用いるが、日本でもこのような宇宙往還機の構想がある。初段エ
ンジンとして飛行マッハ数5~6を実現するエアブリージングエンジンが必要であり、エ
アターボラムジェットエンジン(ATR)の適用が想定されて、JAXA を中心に開発研究が活発
に進められているが、将来型の宇宙往還システムの構築では、従来型の航空機に増して産
学連携が重要となり、大学での研究成果を精力的に活用することが必須となるであろう。
又、要素的な産学共同研究として、NEDO の「知的材料・構造システムの研究開発」の
一部で、東京大学、川崎重工、三菱重工、富士重工の協力のもとに、ヘルスモニタリング
技術の開発研究が行われており、このような活動が今後活発化して行くことが望まれる。
(3)国外の状況
欧米では昨年度の調査でも見たとおり、航空関連の諸プロジェクトに大学が積極的に参
画している。特に NASA が主導する次世代航空エンジンの研究開発プロジェクトである
UEET プログラム (Ultra-Efficient Engine Technology Program)では、全米の実に 34 大
学が参加し、2002 年度は総予算の 16%が大学に充てられた。ヨーロッパでは European
Commission’s 5th Framework Programme の中で、EU 加盟 9 カ国の企業、大学、研究機
関が参画する EEFAE(Efficient and Environmentally Friendly Aero Engine)というプロ
グラムが走っており、全 19 機関のうち大学が二つ含まれている。
2003 年 11 月に東京で開催された International Gas Turbine Congress 2003 Tokyo で
は、産学共同に関するフォーラム(Forum: Industry-University Cooperation in Gas
Turbine Research)が実施され、米国および中国における産学共同の状況が披瀝された。
2
このうち、米国 General Electric 社では、University Programs & Aero Technology
Laboratories というセクションが設けられており、Manager が GE 社の国際的な産学共
同を紹介した。世界中の 9 大学と共同研究契約を結んでおり、内訳は米国 6 大学、ヨーロ
ッパ 2 大学、アジア 1 大学となっている。アジアは中国の清華大学である。中国では国際
協力体制が極めて活発に確立されてきており、特に欧米の大学と、教官の相互交流も含め
て連携を深めている。
連携強化の基礎は人間関係の確立にあり、留学生を方々に派遣して、
人的交流基盤を作り上げているようである。残念ながらこのような動きの中で、日本の大
学は未だ活躍の場を確保していない。ただ、ヨーロッパの関係諸機関などからは、共同研
究等の協力に向けて種々のアプローチがあり、今後の早期の展開が期待される。
1.2
研究動向
ここでは航空エンジン分野を中心に、大学における将来技術に向けた最近の研究内容の
例を示す。
今後の航空用エンジンでは、基本性能に加えて低騒音・低排出物という環境適合性が強
く求められる。また、総合コストの低減、いわゆる affordability の向上も重要とされてい
る。これらの技術的な要請に対し、エンジンの様々な要素におけるインテリジェント化が
重要課題である。
以下に今後の新たなエンジン技術の例を挙げる。
(1)インテリジェント化
実時間モニタリングシステムを実現して、運転状態の最適制御や不具合の自己診断・検
出を行うインテリジェントシステムが、日米欧の開発プロジェクトで目指されている。こ
れにはセンサー技術の一層の進展、IT 技術の駆使,過酷な使用条件に耐えるハードウェア
技術等が必要である。
圧縮機の空力不安定現象であるサージおよび旋回失速を能動的に抑制する研究が世界中
で盛んに行われて来た。動翼の翼端付近に壁面からジェットを吹き付けて、旋回失速の発
生を遅らせる技術等が、実験室レベルでは極めて有望な成果を挙げている。制御手法もほ
ぼ固まってきているが、航空エンジンに実際に適用されたことはなく、今後の技術と言え
る。
翼列翼の空力励振は、翼の高サイクル疲労破壊に関連する重要な現象である。強制振動
や翼列フラッター等の翼振動に関しても、近年能動的な抑制が研究されている。我が国で
は例えば翼列フラッターについて、翼列方向に伝播する圧力変動を、ケーシングに設けた
アクチュエータ面を能動的に振動させることで抑制し、
フラッター発生を遅らせる研究や、
翼の一部に形状記憶合金やピエゾ素子を用いることにより、翼列フラッターを抑制する研
究が行われ、成果を挙げてきている。
すぐに実機に適用できるとは言い難い技術であるが、
将来的にエンジンの作動域を拡大する可能性のある重要なインテリジェント化技術である
と考えられる。
米国では aspirated blade/vane と称して、翼面に設けた空気孔から境界層内の流体を吸
い込み、剥離を遅らせて翼を高負荷化する技術が盛んに研究されており、成果を挙げてい
る。これを用いて 5 段で圧力比 20 というような革新的な二重反転圧縮機が計画されてい
る。
3
一方環境適合性に関連して、燃焼器技術では燃焼振動を抑制するための手段として、燃
料の噴射量を能動的に変化させる手法などが開発されている。また、エンジン騒音を能動
的に打ち消すように、発生する音波と位相の異なる音波を音響ジェネレータから発生させ
る騒音制御の試みもなされている。このように環境適合性の向上に関しても、将来的には
インテリジェント化が進歩をもたらす可能性が大きい。
(2)パルスデトネーションエンジン(PDE)
飛行中に機体前部から空気をデトネーション管と呼ばれる管内部に取り込み、燃料を噴
射して点火すると、デトネーション波と呼ばれる高速波動が発生して後方へ伝播し、これ
に伴って燃焼ガスが高速で排気されて推力を発生する。このような作動原理に基づくエン
ジンをパルスデトネーションエンジンと呼ぶ。回転要素が存在しないため、システムが極
めて簡潔であり、非常に軽量でかつ高い熱効率が期待できる。提唱されたのは古いが、近
年また高速推進システムの一つとして盛んに研究されてきているエンジン技術である。欠
点は騒音が大きいことや振動および熱応力の問題が大きいことなどであるが、上述のよう
な長所も大きい。現実的には近未来のシステムとして、例えばターボファンエンジンのコ
ア部を PDE に置き換えたシステムや、アフターバーナーを PDE に置き換えたシステムの
概念検討等が行われている。
(3)燃料電池
最近エネルギー源として脚光を浴びている燃料電池は、将来の航空エンジンにも非常に
魅力的な要素である。米国では NASA 等が燃料電池実験機を作って飛行試験を行っている
が、本格的な開発に至るかは今のところ不明である。技術的な問題点はパワー密度の低い
点にあり、すなわち重量のペナルティが今のところ大きく、航空用として実用化するレベ
ルに達するにはまだ時間がかかりそうである。しかし、クリーンで静かなエンジンとして
の魅力は大きい。また、補助動力装置(APU)の代わりに燃料電池を適用することは、既に
実用化技術として検討されている。
(4)超小型ガスタービン
ミリサイズ超小型ガスタービンとして、米国 MIT のガスタービン研究所で研究開発が
進められているガスタービンは、携帯用電源に応用することを企図しているが、その他に
手のひらサイズの超小型無人飛行機のエンジンに適用する研究も行っており、成果を挙げ
ている。実用的価値は今後の技術展開によるだろうが、惑星大気中の航空機や、超小型衛
星のマイクロスラスターなど、特殊仕様の航空機・宇宙機に応用し得る可能性はあり、未
知の魅力を秘めているように思われる。我が国でも超小型ガスタービンの研究プロジェク
トが走っている。
(5)ウェーブローター (wave rotor)
ウェーブローターは、燃焼器出口と圧縮機出口とを両端とする複数の管を持つローター
が回転し、管の燃焼器側のポートが瞬間的に開くことにより管内に衝撃波が発生し、これ
が管内で反射を繰り返して圧縮機側のポートに出て行くことによって気体を圧縮する。こ
れをガスタービンエンジンに組み込むと、ターボ機械圧縮機を用いることなくエンジン圧
力比を飛躍的に高めることができる。かつて自動車用エンジンの圧縮比を高めるデバイス
として実用化されたことがあるが、航空エンジンにはほとんど適用例がない。将来のエン
ジン技術として非常に興味深く、2003 年国際ガスタービン会議東京大会ではこれをテーマ
4
とするフォーラムが開かれ、国内外から研究の現状について報告があった。
1.3
まとめ-大学における動向
以上、産学連携の動向と、エンジン分野の研究課題例を概観した。産学連携については、
日本国内で、立ち上がった小型航空機およびエンジンの各プロジェクトを中心に、共同研
究等を通してスムーズな協力体制を確立し、叡智を集めた機体とエンジンの開発に繋げる
ことが期待される。一方、将来の国際共同開発なども見据えて、諸外国の関連機関との共
同も積極的に模索する必要があると思われる。その中で、大学独自の位置を見失わないこ
とも大切であり、産学の意思疎通を図ることが極めて重要である。
5
2.宇宙航空研究開発機構
2.1
総合技術研究本部における航空関連の研究動向
全機プロジェクト
平成15年10月に航空宇宙技術研究所(以下NAL)はその48年の歴史を閉じ、宇宙開発
事業団(以下NASDA)とともに、その大部分は宇宙航空研究開発機構の総合技術研究本
部(以下JAXA総研)に引き継がれた。JAXA総研では、現在次に述べるような3件(航空
関係2件+宇宙関係1件(旧NAL, 旧NASDA共同))の全機開発プロジェクト研究を主要業
務の一つとして実施している。
(1)次世代超音速機プロジェクト
次世代超音速機プロジェクトでは、固体ロケットを用いて打上げ、Mach 2で滑空する方
式の実験機(通称ロケット実験機)の第1回の飛行試験が、2002年7月14日に豪州ウーメラ
実験場で実施された。その結果は、報道等で周知のとおり、点火直後に実験機がロケット
から脱落し、失敗に終わった。その後詳細な事故調査が行われて、原因が飛行制御回路の
初等的電気的問題にあったことが特定され、現在、今後の飛行再開に向けて設計変更をほ
ぼ終了し、試験方針を検討中である。
(2)成層圏プラットフォームプロジェクト
成層圏プラットフォームプロジェクトは、無動力の成層圏滞空試験と、動力を有し風に
逆らって定点に滞留する定点滞空試験(高度4km)の2種類の試験から構成される。このう
ちの成層圏滞空試験については、2003年7月から8月にほぼ成功裡に終了し、現在2004年
夏に予定されている定点滞空試験の準備が進んでいる。成層圏滞空試験手順説明と放船時
の写真を図1に示す。
図1
成層圏滞空試験の試験手順イメージ、
放船(於 茨城県日立港)
(3)HOPE-X高速飛行実証
最終的には宇宙開発プロジェクトであるが、現時点では航空技術の要素の強いプロジェ
クトとしてHOPE-X高速飛行実証がある。この試験機の3面図と地上高速走行試験の写真
HOPE-X 25% スケール
全備質量 :735 kg
全長 :3.81 m
翼面積 :4.4 m2
平均空力翼弦長:1.65 m
翼幅 :2.96 m
410
3345
460
52
5
1040
単位 : mm
図2 再使用宇宙輸送技術開発 高速飛行実証 フェーズ I 実証機三面図(左)、高速走行試験(右)
6
を図2に示す。本計画は統合されてJAXAとなった旧NALと旧NASDAが推進するもので、
過去に実施したOREX、HYFLEX、 ALFLEXなどの技術実証の速度範囲の間を埋めるも
のである。フェーズⅠ、Ⅱから構成されるが、ここで示した図は、エンジンを搭載して自律飛
行能力を有するフェーズⅠのものであり、平成14年秋にクリスマス島で数回の飛行試験を成
功裡に終了した。フェーズⅡはさらに高速で、バルーンから垂直落下させて、所定の速度でデ
ータを取得した後、パラシュートにより回収するものである。飛行試験の第1回は平成1
5年7月にスウェーデンで実施され、所期の飛行データを取得したが、回収系の作動不良
があり、機体のパラシュート・エアバッグによる軟着陸が不可能となり、実証機は破損し
た。具体的には、メインパラシュートを開くに至る最初の段階のパラシュート引き出しシ
ステムの一部に問題があり、減速・水平吊下を前提とした軟着陸が不可能となったもので
ある。原因の調査と対策立案は周到に行われ、貴重な教訓を次の機会に生かすよう文書化
された。
JAXA総研では、これらの全機プロジェクトの実施によって、将来の航空宇宙技術開発
に必要な最先端技術を含んだ全機システムの統合技術開発能力を涵養するとともに、全機
システム開発の経験が少なくなった我が国の航空宇宙技術者に開発の機会を与える、とい
う機能も果たしている。
2.2
大型要素研究プロジェクト
本年度の新しい動きとして、宇宙航空三機関の統合に伴い、今後の航空の研究をどのよ
うに実施すべきかについて、科学技術・学術審議会に航空科学技術委員会が設置されて審
議を行い、平成15年5月に「航空科学技術に関する研究開発の推進方策について」との
報告書が公開された。本項では、この報告書の内容概略を説明するとともに、この報告書
に基づいて予算要求を行って平成16年度から立ち上げようと計画しているいくつかの大
型要素研究プロジェクトの概略について紹介する。
当該報告書では、航空科学技術に関する内外の動向を調査・分析するとともに、それに
基づいて航空科学技術分野の研究開発の必要性と意義を考察し、航空機産業の活性化をは
かるためには航空科学技術の研究開発を推進し、ひいては我が国の航空輸送の発展に資す
る基盤技術を強化する必要があると結論づけている。そして、研究開発推進の基本的考え
方から説き起こして、次の4つの重要研究開発領域を設定している。
(1)社会からの要請に応える研究開発
(2)我が国が得意とする先行的基盤技術の研究開発
(3)次世代を切り拓く要素技術の研究開発
(4)試験研究設備の整備と基盤技術の研究開発
以下に、各項目について順次説明する。
(1)社会からの要請に応える研究開発
この研究開発では、次の3つのサブテーマが上げられている。
①国産航空機開発に貢献する研究開発
②安全運航に貢献する研究開発
③安全・安心な社会の実現に資する航空科学技術の研究開発
①の国産航空機開発に貢献する研究開発は、更に次の3つにブレイクダウンされる。
7
a.設計・製造の低コスト化・効率化に資する技術
具体的テーマとして、複合材構造の低コスト化に資する構造設計技術及び製造・
修理技術、数値シミュレーションによる空力形状設計の効率化があげられている。複合材構
造の低コスト化に資する構造設計技術については、2.3項に述べる。
b.安全性の向上に寄与する技術
具体的テーマとして、衝撃吸収構造の設計技術がある。
c.環境保全に貢献する技術
具体的テーマとして、排出ガスを低減するエンジン技術、ジェットエンジンの低
騒音化技術が挙げられている。
JAXA総研では、この報告書の趣旨を反映して、経済産業省/NEDOで本年度から開始さ
れた「環境適応型高性能小型航空機研究開発」に直接参画・協力するとともに、その次の
世代の航空機開発に応用される技術を開発すべく、「次期小型航空機技術の研究開発(仮
題)」を平成16年度から開始することを目指して、予算要求を開始した。そこでの狙いと対
象とする技術アイテム、技術開発の目標値などをまとめた図を図3に示す。
「次期小型航空機技術」の研究開発
6
~ 狙いと目標 ~
狙い
: 経済産業省プロジェクト後の次期派生型小型航空機開発で
差別化技術の創出を図る。
将来技術と目標
コスト/重量の低減
•低コスト複合材構造/製造技術
•空力弾性アクティブ制御(ACT)技術
•高効率非破壊検査技術
•CFDによる空力最適化技術
安全性向上(クラッシュ時乗客保護)
•衝撃吸収構造技術
(構造安全性向上型座席/衝撃吸収胴体構造様式)
目標 (現状航空機と比較して)
機外騒音の低減
•コスト(機体価格+DOC)の20%減
•重量の 20%減
•機外騒音の 20%減
•重大事故の死亡率の 20%減
•低騒音最適設計技術
(音源探査技術、CFDによる最適化)
図3
「次期小型航空機技術の研究開発(題名未確定)」の狙いと目標
②の安全運航に貢献する研究開発を更にブレイクダウンすると、次の3項目になる。
a.ヒューマンファクタに係る事故の防止に寄与する技術
具体的テーマとして、人間の特性を考慮した乗員訓練手法及び機器の設計手法、
ヒューマンエラーの発生メカニズムの解明及びその防止が挙げられている。
8
b.航空輸送需要の増大に対応する技術
具体的テーマとして、航空機を高精度・高密度に飛行させるためのアビオニクス
及び利用方法が挙げられている。
c.乱気流に係る事故の防止に関する技術
具体的テーマとして、乱気流時に機内の被害を防ぐための技術、晴天乱気流など
を機上で検出する技術が挙げられている。
③の安全・安心な社会の実現に資する航空科学技術の研究開発を更にブレイクダウンす
ると、次の2項目になる。
a.自然災害の発生や拡大の防止に貢献する技術
具体的テーマとして、気象・地球観測等を効率化する無人機の技術が挙げられて
いる。
b.国民の健康や生活の質の向上に資する技術
具体的テーマとして、救急医療・消防等用のヘリコプタの利用拡大のための全天
候飛行技術および低騒音化技術が挙げられている。
主にこれら②、③のサブテーマに対応する形で、やはり平成16年度からの実施を目指し
て予算要求をしている「運航・行政ニーズ対応技術(仮題)」の技術達成レベルと実用化展
開を示す模式的線表を図4に示す。研究計画の大きな流れを把握できる。
図4
「運航・行政ニーズ対応技術(題名未確定)」の技術達成レベルと実用化展開
以上が、重要研究開発領域(1)の社会からの要請に応える研究開発の概要である。
9
(2)我が国が得意とする先行的基盤技術の研究開発
この領域では、計算流体力学(CFD)、複合材等先進材料技術、アビオニクス技術が例示
されているが、
近未来に実施すべき研究開発としては、
“コンピュータによる先進設計技術
の飛行実証に関する研究開発”のみが記述されている。ただし、いきなり飛行実証プロジ
ェクトに着手するのではなく、今後2年程度をかけて、我が国の産業界にとって効果的で
あり、社会への貢献が見込めるかどうかという視点から、研究開発計画・実証対象の事前
評価を「航空科学技術委員会」において行った後に、プロジェクトに移行するものと定義
している。
(3)次世代を切り拓く要素技術の研究開発
ここでは、将来実現が期待されている新型航空機の重要要素技術の研究開発を行うとと
もに、ナノテクノロジー等の新分野を活用した、これまでにない設計手法の研究を行うこ
ととしている。この領域のサブテーマとして、次の4項目が挙げられている。
①航空と宇宙の融合分野の研究開発
②成層圏プラットフォーム飛行船技術の研究開発
③次世代超音速機技術の研究開発
④垂直・短距離離着陸機(V/STOL機)技術の研究開発
それぞれについて具体的な研究課題が列記されているが、ここでは省略する。ただ③の
次世代超音速機技術の研究開発に関しては、その進め方について、前述した実験失敗の影
響を受けて、かなり大幅な見直しが行われたので、それについては本報告書の別項の中に
記述があることに注意していただきたい。
(4)基盤技術の研究開発と試験研究設備の整備
この領域は、旧NALがこれまで営々と積み重ねてきた努力を、質を向上させて引き続き
実施すべきというトーンで記述されている。一つ特徴的なことは、
「研究成果をデータベー
スとして確実に残し」
「規格・設計基準の策定に必要となる基盤技術の研究開発にも積極的
に取り組む」という表現があり、次項に述べる先進複合材評価技術の研究開発の中で行っ
ている先進複合材データベースの構築や試験法標準化は、まさにこの精神を具現化してい
るものであるといえる。
以上が、「航空科学技術に関する研究開発の推進方策について」とする報告書のうちの、
今後推進すべき研究開発に関連した骨子であり、これを受けて平成16年度から新たに進め
ようとしている大型要素研究プロジェクトの基本戦略の概要である。
2.3
要素技術:複合材技術を中心に
JAXA総研における航空技術の要素技術研究開発の状況について、特に先進複合材技術
の研究開発状況の現状を中心に展望する。
最近の航空機の機体技術において先進複合材技術は枢要の位置を占め、新規航空機機体
を開発する際には、先進複合材の使用の巧拙が、その機体のミッションの達成可能性・機
体の経済性などを決定することは明白である。このような事態に対処するため、旧NALは、
その独立行政法人化の機会に、先進複合材評価技術開発センター(以下ACE TeC)を設立し、
先進複合材評価技術の研究を開始した。その方針は現JAXA総研にも引き継がれ、ACE TeC
はセンター及びスタッフともども強化されて存続した。
10
(1)先進複合材データベース構築/バージョンアップ
この複合材評価技術研究の第一の項目として、民間の複合材技術者あるいは大学の複合
材研究者の研究支援基盤として、
「先進複合材データベース: NAL-ACDB」の構築を開始
し、2002年1月にインターネットを通じて最初のバージョンの無料公開が始めた。その後
数回のバージョンアップを経て、2003年10月のJAXA移行とともに、正式名をJAXA-ACDB
と改めるとともに、その直前にデータの検索構造を変えて使い易くしたVer.03-1が公開さ
れた。現在データ数は約1600点で、新バージョンの特徴としては、MIL-HDBK-17スタイ
ルのデータとそれ以外の構造のデータを分けて、ユーザの利便性を確保し、検索を容易に
したことである。現在の登録者は約500人であり、ヒット数は約7000である。今後データ
数をさらに増加させるとともに、絶え間のない改善を実施する予定である。図5に統合直
前のJAXA- ACDBの登録者数の伸び、月間アクセス回数の変遷などを示す。
図5 先進複合材データベース JAXA-ACDB のユーザ数・月間ログイン回数等の変遷
(2)複合材強度試験法の標準化
JAXA/ACE TeCでは、先進複合材データベース構築とともに、そのデータ取得の際に使
用する複合材強度試験法の標準化にも取り組んでいる。まずターゲットとする先進複合材
試験法を選択し、それにつき同一の試験片を多機関に配布して同種の試験を実施し、結果
を比較する手法(ラウンドロビン試験)によって試験法の標準化を実施していく。まず日本
国内での工業標準化(JIS化)を目指し、次に国際的な標準化機構であるISOの委員会で認定
される手法とすることを目指す。最初の試験法として選択したのは、新しい複合材の層間
強度の試験法の一つである目違い切欠き圧縮法による
層間せん断試験法である。このラウンドロビン試験は終
了し、現在JIS試験法原案の文言審議の実施中である。
その次のJIS化目標として選択したのは、複合材の各種
強度の中で一番重要性の高いものの一つである有孔圧縮
試験法(OHC)である。現在、この試験法でもっとも広く
実施され、実行上(de facto)の世界標準となっているのは、
米国のSACMA法である。ただ、この試験法は、図6に
304
25.4
φ6.35
図6 SACMA 法有孔圧縮強度
11
試験片と治具(II 型)
示すような不必要に長い試験片や、複雑で大きな
治具を要するという不合理がある。このため、旧
NALでは、事前にいくつかの方法を検討し、図7
に示すような小型の試験片とその試験に適合する
治具(NAL-III)を提案した。この方法とSACMA法が
同一の結果を与えるかどうかのラウンドロビン試験を
ほぼ終了して、試験結果を整理したところ、平均値は
SACMAとNAL-IIIでほぼ同等、ばらつきはむしろ
NAL-IIIの方が少ないという結果を得た。この結果の
正規確率紙プロットを図8に示す。上段がSACMA法、下段がNAL-III法の結果である。
P r o b a b i l i t y (%)
99
MethodI 機関-I
機関-I
機関-E
機関-C
T800H/#3631
OHC Test
SACMA Method-II
Round Robin
機関-B
機関-A
機関-G
90
T800H/#3631
OHC Test
SACMA Method-II
Round Robin
Normal Distribution
Method-I 機関-I
機関-I
機関-E
機関-C
機関-B
機関-A
機関-G
50
10
1
0
50
100
150
200
250
Strength S [MPa]
300
260
350
270
290
300
99
P r o b a b i l i t y (%)
N-III T-U
N-III K-U
N-III NALB
N-III MHI
N-III FHI
T800H/3631
OHC Test
NAL-III
N-III KHI
N-III NAL
Method-I
NAL
90
50
T800H/3631
OHC Test
NAL-III
Normal
Distribution
Method-I NAL
N-III NAL
N-III KHI
N-III FHI
N-III MHI
N-III NAL-B
N-III K-U
10
1
0
50
100
150
200
250
300
350
260
Strength S [MPa]
図8
280
Strength S (MPa)
270
280
290
300
310
Strength S (MPa)
先進複合材有孔圧縮強度試験法標準化のためのラウンドロビン試験結果のプロット
使用材料は㈱東レ製のT800H/3631:炭素繊維/エポキシ材である。各機関により多少差は
あるが、ほぼ同じような試験結果を得ていることがわかる。従って、このNAL-III型治具
使用を前提として、実行標準であるSACMA法も一つの選択肢とするような有孔圧縮強度
試験法をJISの方法として提案していく予定である。
JAXA/ACE TeC の二大研究テーマは、上述の(1)先進複合材データベース構築と(2)
強度試験法の標準化であるが、それ以外にも(3)実用的非破壊評価方法の確立と普及、
(4)ナノテクノロジーを応用した複合材技術の開発、その他耐熱先進複合材の開発と応
用技術の強化、など多岐にわたっている。
以下に、そのうちの(3)と(4)について最近の成果の一端を簡単に紹介する。
(3)実用的非破壊評価方法の確立と普及
ACE TeC では、超音波探傷・X 線 CT 探傷等を中心とした航空宇宙部品の実用的非破壊
評価技術の開発と普及を実施している。本年度は新たに最近注目を集めている非定常パル
スサーモグラフィ探傷装置(米国 TWI 社製 EcoTherm)を導入し、超音波探傷と比較して能
力を確認するとともに、その適用範囲、長所・
12
短所の確認などの作業を開始した。
図9にその装置の写真、図10にT型補強材
3本を有する補強平板に衝撃損傷をいくつか
与えて層間剥離を生じさせた供試体について、
超音波探傷と EcoTherm で取得した探傷映像を
比較して示す。左が EcoTherm 探傷映像、右が
超音波による探傷映像である。
図9
導入した非定常サーモグラフィ探傷装置
上の超音波探傷の対象とした領域
図10
非定常パルスサーモグラフィによる層間剥離探傷と超音波探傷との比較
よく比較すると、剥離形状はもとより損傷程度まで含めてよく一致していることがわか
る。現在この新しい探傷方法の使用限界条件などについて精査しているところである。か
なりの範囲で超音波探傷と同等の能力があることが保証されれば、水を用いない、組み立
て後の構造について写真を取る感覚で使用できる、データ取得が早い、等の点で、整備現
場での探傷に最適な装置の一つではないかと想定される。今後、そのあたりの詰めを実施
し、適用できるとなれば、航空機運航会社などへの働きかけを行っていく予定である。
(4)ナノテクノロジー応用複合材の研究
次に、ACE TeC でのナノテクノロジー応用複合材の研究開発例を紹介する。以下に述べ
るのは、最近各方面で注目されているカーボンナノチューブ(CNT)を複合材に応用した研
究例である。米国などでは、CNT を高分子の中へ配列させた二相複合材が主に研究されて
いるが、極めて微小な CNT の配列は相当に困難で、開発には相当の時間を要すると思わ
れる。NAL/ ACE TeC では CNT の高弾性率に着目し、最初の着手点としては、母材高分
子に CNT を分散すれば母材の弾性係数が増加して圧縮特性が上がる可能性があると考え
て、CNT/高分子/従来型炭素繊維の三相系複合材の研究開発を指向することにした。この
場合、引張り強度は元来の炭素繊維に依存する計画である。換言すれば、CNT を用いて母
材樹脂の改質を行うというアイディアに立脚している。ここで用いた CNT は、図11に
示すようなカップスタック型 CNT あるいはカーボンナノファイバー(CNF)と呼ばれるも
のである。この CNF をエポキシ樹脂に分散させたものを母材として、これを炭素繊維織
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物に含浸した三相系複合材を試作したところ、主に圧縮強度の改善が把握された。この結
果を図12に示す。圧縮強度上昇があるケースが多いことが理解できる。
1.30
1 20
図11 本研究で使用している CS-CNF
Tension
Compression
図12 CNT 三相系複合材の圧縮強度の比較
AR10,AR50 使用:いずれも Vf=5.0%, Vf=10.0%
(5)複合材構造の低コスト化設計・製造技術の研究開発の研究計画
次に、2.2(1)①に述べた「国産航空機開発に貢献する研究開発」の中で ACE TeC
が実質的に担当する複合材構造の低コスト化設計・製造技術の研究開発の研究計画の概略
を説明する。
これは NEDO を中心として開発が進められようとしている小型国産航空機の後継型ま
たは発展型へ採用されることを目標に、その時点でも十分に価格競争力を持つ低コスト型
複合材の製造と設計技術を開発するために計画されたもので、その全体像を図13に示す。
TRL5~
~6
TRL5
TRL5~6
サブスケール実証
サブスケール実証
TRL1~
~2
TRL1
TRL1~2
材料/製造/設計技術の研究
材料/製造/設計技術の研究
• 実使用模擬環境下における実機
サブスケールによる技術実証が、
技術移転には不可欠
TRL3~
~4
TRL3
TRL3~4
構造要素試験/長期耐久データ取得
構造要素試験/長期耐久データ取得
• 試験片レベルでの材料
データ取得(長期耐久性
含む)
• 構造要素試験による設
計データの取得
(継手、補強板、サンド
イッチ、接着構造等)
• 材料仕様最適化/低コ
スト製造技術の開発
織物(テキスタイル)技術
図13 低コスト複合材構造・製造技術の研究開発の実施内容の説明
文章で述べれば、現行複合材構造のコスト 20%削減が可能な低コスト複合材構造の製造
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この解説概要に対するアンケートにご協力ください。
技術を選択・開発し、まず材料基礎データを取得するとともに、部分構造などの要素供試
体を製作して評価を続けながら、最終的には翼構造を模擬した相当程度の大きさの供試体
を製作して評価する、という全体計画である。この中で数値解析技術・設計技術などの研
究も実施する予定である。現段階で候補となる低コスト複合材技術としては、ミシンを使
って板厚方向に強化繊維を通す縫合技術あるいは繊維束ないし織物を針のようなもので突
き刺して層と層の繊維を絡める Needling(商標名 Z-Anchor)技術を用いた強化体に樹脂を
後 含 浸 す る 技 術 と を 組 み 合 わ せ た も の を 想 定 し て い る 。 な お 、 図 1 3 の 中 の TRL
(Technology Readiness Level)とは技術達成指標の意味で、TRL:1-2 が実験室レベル、
3-4 がそれを少し出た状態、5-6 が相当のサイズないしシステムによる実証が済んだ状態を
指し、8-9 が商品として開発されている状態に対応し、10 になれば完成された商品となる。
以上が JAXA の ACE TeC における先進複合材に関連した研究の動向の簡単な紹介であ
る。
(6)その他の研究状況
上述以外の JAXA 総研における要素技術分野の研究を簡単に展望することは、容易では
ないが、以下にごく手短に言及する。
・空気力学分野においては、やはり NAL の独立行政法人化とともに風洞技術センター
が設立されて、風洞運営の一元化がなされ、最近では生産データの品質保証などの目的で
ISO 9000 が取得された。また、感圧塗料技術(PSP)の高度化が進み、圧力分布の計測用に
風洞試験に実用できるレベルになってきたことも特筆すべきである。まだ低速風洞での実
用には困難が伴うが、最近の研究では風速 50m/s 程度であれば実用できる目処がたった。
CFD センターでは、スーパーコンピュータの運営、ソフトウェア開発、IT 技術を応用
して国内のスーパーコンピュータを連結したバーチャルラボ(ITBL)の運営などが実施さ
れている。CFD センターでも同様に ISO 9000 が取得された。CFD 関連で特筆すべきは、
回転翼機のアクティブ騒音低減法開発に関連して、胴体付き全機まわりの遷移飛行流れ場
解析がなされ、この解析手法に対して日経ビジュアル・サイエンス・フェスタでの優秀賞
を受賞したこと(2003.8)である。
・飛行制御分野では、最初に述べたような全機プロジェクトのサポートの他、回転翼機
制御・運航技術の研究などが実施されている。飛行シミュレータについては、NAL の末期
に本所から調布飛行場分室の移転と高度化を終了し、一般公開がなされた。
・航空原動機分野の研究展望については、他に記述もあるので、本稿では省略する。
KEIRIN
この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。
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