性的メディアの規制と青少年の未熟性

研究論文子ども社会研究6号ノ0""z(JI(ノ/Ch"dSI"dy,Vol.6,June,2000:3442
'│牟的メディアの規制と青少年の未熟性
野田寿美子
1.はじめに
現在、青少年のまわりには、雑誌やコミックをはじめとして、テレビ番組、ビデオ、イン
ターネットなど性に関する情報が溢れている。青少年は知らず知らずのうちにこれらの情報
に接し、その影響を受けていると思われる。青少年のメディアからの情報を正しく選択する
能力や判断力は充分であろうか。昨今、「援助交際」などが青少年の問題行動の一つとなっ
ているが、青少年条例(1)という、18歳未満の青少年を保護することを目的として、青少年に
とって「有害な環境」(2)を規制する条例が、長野県を除く各都道府県で制定されている。こ
の条例規制においては、18歳未満は、まだ、判断力や責任を果たす力が不足しており、精神
的に未熟であるということが前提となっている(3)。はたして、18歳未満の青少年はどういっ
た点で未熟なのであろうか。
青少年条例に限らず、国家法として存在する刑法においても、わいせつ物等の規制がなさ
れ(4)、出版や放送等のメディアにおいても青少年にとって有害とみなされるものについては、
自主規制がなされている(5)。最近では、暴力シーンへの接触と青少年の暴力には関連がある
ことがデータによって明らかにされているが(6)、性的メディア(7)は青少年の意識に影響を及
ぼすのであろうか。
事実、性的メディアへの規制は存在するが、青少年はこれらの規制に対してどういう認識
を持っているのだろうか。規制に対する意識は性意識や行動を左右するものであろうか。
こういった疑問点を解明すべ<、実際に青少年を対象とした調査を実施する。そして、調
査結果をもとに、青少年の意識を分析し、青少年が未熟であるのかと.うかを検討し、それら
を性的メディアの規制の必要性を問う材料としたい。
片岡・原田・倉田・山崎(1995)は、「有害コミック」の青少年に与える影響に関して実態
調査を行っているが、大学生の「有害コミック」の印象や条例規制に対する意識に性別によ
る違いがあることを示している。池谷・山下(1995)は、子どもの性意識と性情報との関わ
りを調べ、コミックの読書量が多いほど、性意識が解放される傾向があるとしている。深
谷・三枝・大塚(1990)は、女性雑誌と性情報について、女子高校生によく読まれている雑
誌の性に関する内容を詳細に分析している。内山(1990)は、中学生・高校生の有害環境へ
の接触実態について、非行少年は有害環境に比較的多く接し、一般少年においては、低年齢
の者や女子は有害環境の影響を受けやすいとしている。大木・百瀬(1994)は、女子高校生
の性意識と性知識についてについて調査報告をしている。このように、性的メディアと青少
年の性意識に関する調査は、少年非行や教育等の分野で、また、国や自治体レベルでも実施
(のだ・すみこ九州大学大学院)
30
性的メディアの規制と青少年の未熟性:野田
されてきた。しかし、青少年がと÷こまで未熟であるかというように青少年の意識に深く踏み
込んだものは少なく、先にあげた疑問を充分に解決しうるものではなかったように思う。
本研究は、青少年の性に関する情報への接触状況や意識(性意識や規制意識を含む)を明ら
かにし、青少年の意識における特徴を考察することを目的としている。青少年はどれくらい
性的メディアに接触しているのだろうか。それに関する発達年齢による差や性差はどれくら
いだろうか。また、青少年の性意識や権利意識等の実態はどうだろうか。青少年の意識に、
発達年齢による差、性差、性的メディア接触の有無や規制意識による差はみられるだろうか。
以上のようなことを明らかにし、青少年の意識(性意識や規制意識を含む)にみられる特徴を
考察する。そこから、青少年が未熟であるかどうかを検討し、性的メディア規制の必要性を
問う材料としたい。
ここでは、青少年の実態を知るために意識調査を実施し、その結果をもとに検討を進める。
調査は、中学生と高校生を対象に行い、性的メディアへの接触経験の有無、性的メディアへ
の許容性、権利意識、判断力への自信、自己責任性への自信、規制意識等、青少年の意識を
間うている。
2.調査方法
(1)被調査者:福岡県内の公立中学校2年生(13∼14歳)285名(男子146名、女子139名)および、
福岡県内の県立高校1年生(15∼16歳)334名(男子147名、女子187名)(8)
(2)調査時期:中学生については1997年12月、高校生については1997年10月
(3)調査内容および結果分析法:授業において質問紙法によって実施した(9)。内容については、
まず、性的メディア接触の有無を間うている。ここでは、性的メディアとして、テレクラ.
ツーショットダイヤル、ポルノ雑誌やポルノまんが、アダルトビデオ、インターネットの性
情報をあげている。また、意識に関する質問は、高校生に対しては、「高校生がポルノ雑誌
やアダルトビデオを見ることについてどう思うか」(性的メディア許容性)、「高校生が性体験
をもつことについてどう思うか」(性体験許容性)、「売春を援助交際を含めてどう思うか」、
「青少年(18歳未満)にも選ぶ権利、知る権利があると思うか」(権利意識)、「自分はいいもの
と悪いものを判断する力を持っている思うか」(判断力への自信)、「自分の行動に責任をとる
自信があるか」(自己責任性への自信)、「条例規制等の規制についてどう思うか」(規制意識)の
7項目である。中学生については、「性体験をもつことについてどう思うか」(性体験許容性)、
「売春を援助交際を含めてどう思うか」を除く5項目である。なお、性的メディア許容性につ
いては、「中学生がポルノ雑誌やアダルトビデオを見ることについてどう思うか」である。
以上の結果について、性差および性的メディア接触の有無に関して、高校生に対しては、こ
れに加えて規制意識に関してクロス集計し、X2検定を行った。結果の数字については表l∼
4に示したが、以下の文章中の数字は小数以下を四捨五入して整数で示している。
。1
ジ ム
子ども社会研究6号
3.調査結果
(1)18歳未満の未熟性
①性的メディア接触度
表lによると、テレクラ・ツーショットダイヤルについては、「利用したことがある」が中
学生では6%、高校生では30%である。ポルノ雑誌やポルノまんがについては、「読んだこと
がある」が中学生で34%、高校生では71%である。アダルトビデオについては、「見たこと
がある」が中学生で12%、高校生では50%である。インターネットの性情報については、
「見たことがある」が中学生で1%、高校生が2%というように接触度がかなり低い。
以上のことから、インターネット以外は、中・高生の間に有意な差がみられ、高校生にな
るといずれも接触度がかなり増大するといえる。なお、インターネットの性情報に関しては、
接触度がかなり低いが、これは、調査時点で、青少年の生活において、インターネットの普
及がなされていなかったのがその原因と考えられる。今後、普及が進めば、他からの性情報
と同様に、インターネットの性情報への接触も増えてくると思われる。
②意識
表1性的メディア接触
質問項目および回答
高校生計
男子1女子
中学生計
男子1女子
lテレクラ・ツーショットダイヤル
9]l
100%
Ill0IIT0I
9ゞI
93.6
142↑139
37︸
6.4
55−0
63ゞ0
N=28]
0
6.
3.畳﹄0
IIIIIIrII
高校・性別事*車中高別{年齢別)車掌*
55﹃0
54﹃0
45−l
147187
9ゞI
一%
ない
N=334
55’0
90−0
ある
64−0
97
0︽
−I
0
2
を利用したことがありますか
2ポルノ雑誌・まんがを
34.1
65,9
1421137
55−0
87
1︸
︸1
0
2
・IIIIILlOO
63−1
高校・性別***‘I!』出MII((ト齢別)事事亭
N=279
46−0
96
0︸
.I
0
3
146186
8
20
09’0
ない
N=332
6
40
36−0
8
1︲
ある
82−肌
02
9ゞ
−I
0
7
見たことがありますか
100%
3アダルト・ビデオを
ロ
87.9
l44il38
19−0
5
490
凸1
12.1
8
11
8−
.0
1
N=282
7.
3. ゞ 0
fI000ⅡrI0
高校・性別・**
55︾0
36−0
36︸l
ない
l45il85
73’0
1.8−0
72’1
ある
N=330
37−%
09︺0
54−01
見たことがありますか
100%
中学・性別亭事申中畠別(呼鈴別)*事車
4インターネットの性傭報を
9−l
IIIlI2rII
19︾0
18↓0
9.1
0.05>P≧0.01
l43i85
28︾0
45−0
ない
N=328
91
ある
46−眺
27︸0
見たことがありますか
N=281
2.110.7
98.6
97.9199.3
ー ー ー ー ー ー ー ニ ー ー ー ー ー ー = = −
ロ
100%
..0.01>P≧0.001
32
l43il38
1.4
1001100
申志*P<0.001
性的メディアの規制と青少年の未熟性:野田
表2に示すように、質問項目別では、「高校生(中学生)がポルノ雑誌やアダルトビデオを
見ることについてどう思うか」(性的メディア許容性)では、肯定している割合('0)は高校生で
75%、中学生で43%となっており、高校生は中学生の2倍近くとなっている。青少年におい
ては、発達年齢の増加とともに性的メディアの許容性が高まることがわかる。
「青少年(18歳未満)にも選ぶ権利、知る権利があると思うか」(権利意識)については、肯定
している割合(11)は高校生87%、中学生では42%と高校生は中学生の2倍以上である。権利意
識は発達年齢の増加とともに高まる。
「自分はいいものと悪いものを判断する力を持っている思うか」(12)に対しては、肯定して
いる割合(13)は高校生75%、中学生68%である。この数字に中・高生の差はさほど感じられ
表2高校生・中学生の意識差
質問事項およびlp1答
高校生計
質問事項および回答
中学生計
l性的メディア許容性
高校生計
中学生計
4自己責任性への自信
中学生がホルノ錐謎やアダルトビラ
責任をとる自信があるか
N=33()
アかまわない
イ少しくらいかまわない
ウいけない
。’
エわからない
0523−%
3
41
3 5,−卯
オを見る二とについてどう思うか
7.8
イだいたい思う
37,3
34.3
27.7
ウあまり自信がない
39.4
40.3
18.1
エ全く自信がない
3.9
3.9
39.3
オわからない
7.6
13.7
100%
100%
14.9
2権利意議
5
冑少年(l芯歳未滴)にも選ぶ
条例等の規制を
N=329
どう思うか
10.6
規制はないほうがいい
31.4
わからない
20.5
︽I
34.3
0.05 >P≧0.01
3判断力への自信
牟卒
自分は判断する力を
* 申 *
もっていると思うか
N=329
N=281
ア強<思う
18.2
6.4
イだいたい思う
56.5
61.9
ウあまり自信がない
19.8
210
エ全く自信がない
0.6
0.4
オわからない
4.9
10.3
100%
100%
**申
33
N=282
30.9
11.7
57.4
100%
**本
3.2
100%
***
N=330
規制があっていい
︸%
ウあまり思わない
エ全く思わない
N=283
316−0
03
63
3己
↑1
0
3
イだいたい思う
02369−%
ア強く思う
89
0 40
ゞ0
4
37−
思うか
オわからない
規制意繊
アイウ
権利知る権利があると
N=282
11.8
100%
卓 * *
N=330
ア強く思う
N=282
0.01 >P≧0.001
P<
0.001
子ども社会研究6号
ない。ただ、強く肯定している割合は高校生が中学生の3倍ある。
「自分の行動に責任をとる自信があるか」(14)については、肯定している割合(15)は、高校生
49%、中学生42%とその差はあまりみられない。むしろ、高校生は、権利意識に比べて自分
の行動に責任をとる自信のないものが多い。このように、発達年齢とともに権利意識は高ま
る一方で、判断力や自己責任性への自信は高まっていかない。
規制については、青少年条例等の規制の認知度を聞いた上で、規制について、「あってい
い」、「ないほうがいい」、「わからない」の選択肢の中から答えてもらった。その結果、高校
生は、「あっていい」30%、「ないほうがいい」36%、「わからない」34%(16)であった。中学
生は、「あっていい」31%、「ないほうがいい」12%、「わからない」57%(17)であった。高校
生になると、規制反対の者が増えることがわかる。しかし、「あっていい」も中・高生とも
に3割存在する。先に示したように、権利意識をもつ者は、高校生に至っては倍増して9割近
くに達しているのであるが、その中に規制を望む声が存在している。
概して、中学生は高校生に比べて「わからない」の回答が多い。特に、性的メディア許容
性や権利意識規制意識に関して、中学生には「わからない」の回答が多い。これは、中学
生の意志決定の弱さが現れているともいえる。また、性的なものにまだ関心がなかったり、
性的メディアへの接触がないので、自分のこととして具体的に考えられないという者も多い
のではないか。質問の意味がわからない者も含まれているとも考えられる。また、精神的に
も自立していないことの現れか、権利意識自体も弱い。これらの点で、中学生に未熟な面が
現れているといえよう。いつぽう、高校生では「わからない」の回答が少なくなっているこ
とから、高校生になると意思表示が明確になることがわかる。また、高校生になると性的メ
ディア許容度が増え、権利意識も高まる。しかし、判断力や自己責任性への自信をもってい
る者は増えず、中学生とあまり変わらない。この点に高校生にも未熟な面が現れている。
(2)性差
①性的メディア接触度
表lによると、テレクラ・ツーショットダイヤルについては、「利用したことがある」が中
学生では6%、男女差はみられない。高校生では30%、そのうち男子10%に対して女子46%
と女子の割合が非常に大きい。これについては、女子のほうが、テレクラ・ツーショットダ
イヤルに接しやすい状況にあるということも背景として考えられる。
ポルノ雑誌やポルノまんがについては、「読んだことがある」が中学生で34%、そのうち
男子が39%、女子が29%と男子のほうが割合が大きい。高校生では71%で、そのうち男子が
84%、女子が61%と男子のほうが割合が大きい。アダルトビデオについては、「見たことが
ある」が中学生で12%、そのうち男子が19%、女子は5%と男子のほうが割合が大きい。高
校生では50%で、そのうち男子72%に対して女子34%と男子のほうが割合が大きい。これら
については、軒並み女子より男子のほうが接触度が高い。
インターネットの性情報については、「見たことがある」が中学生で1%、高校生が2%と
いうように接触度がかなり低いため、男女間に有意な差はみられない。
以上のことから、インターネット以外は、男女間に有意な差がみられ、概ね男子のほうが
34
性的メディアの規制と青少年の未熟性:野田
女子よりも接触度が大きいが、テレクラ・ツーショットダイヤルについては、高校生女子の
接触度がかなり大きい。
②意識
ここは、高校生のほうがより踏み込んだ意識調査ができていることと、表3.表4より、同
一項目では中・高生で結果分析に大きな違いはないと捉え、以下、高校生の結果のみで考察
する。
表4によると、「高校生がポルノ雑誌やアダルトビデオを見ることについてどう思うか」(性
表3中学生の意識
性的.メディア1性的メテ
質問事項および回答
中学生計
男I女
接触有l接触無
1性的メディア許容性
中学生が;j《ルノ雑誌やアダルトヒテ
61
2O
2O
5−
︺0
1
99750
IIIIIll1I0IIl、11
6969’0
1441137
951183
18
−1
0
3
31
171
N=281
性別*メディア接触***
9.
2。7
.2
.書
ゞ0
0
13
21
24
4蕾
−0
l
144,139
89
6
7
﹃
.4
◆4
.︸
︸0
0
8.3
1
1
13
−1
ウいけない
エわからない
1441138
01
33
4︸
1
302
00
イ少しくらいかまわない
N=282
9713︸9’6
42
71
83
9﹂
↑0
0
1
−1
オを見ることl‘-ついてど・)思うか
アかまわない
2権利意織
青少年(18歳未満)にも選ぶ
II108IllIIIIIjll望89
28811↑0
3
82
3808
0
48
−1
0
2 234
.
95’184
36
2
36
12訓一Ⅷ
25067︸
6IIIIIIl0001IIIId0
1
。
−1
オわからない
1
。■3
Do−nU
74
38
︲ 630
ご’
ウあまり思わない
エ全く思わない
95989−0
イだいたい思う
38
’1
0
1
22
22
31︸
N=283
64523−%
権利知る橘利があると思うか
ア強く思う
メヂィア接触*掌*
3判断力への自信
自分は判断する力を
0.4
性別**
10.3
100%
’0
オわからない
57855︸0
56
65
1−
101
10
21.0
エ全く自信がない
941183
53804ゞ0
8
4
59
2 7’1
61.9
ウあまり自信がない
9894−0
イだいたい思う
マI88I0888lIIIIIIl、11
6.4
20
.l
0
73
10
12毎
ア強く思う
7.5
。8
.7
・3
・↑
﹃0
95
9
1
8
’
20︸
10
もっていると思うか
4自己責任性への自信
1
性別**
0.05>P≧0.01
宇日Ⅱ且
オわからない
**0.01>P≧0.001
b8637’0
73
48
4−
341
10
ウあまり自信がない
エ全く自信がない
951184
46226−0
82
↑1
0
34
43
11二
イだいたい思う
2。2
1−
︸nU
●6
。9
Go
75
↑1
0
29
42
15.
ア強く思う
1441139
31394−0
83
’1
0
41
34
12−
N=283
83397−%
74
︾0
0
30
43
13’
責任をとる自信があるか
率**P<0.001
司眞
ジ ジ
子ども社会研究6号
表4①高校生の意識
性的メデイI性的メディ
I
質問事項および回答
高校生・計
男 I 女
ア接触有lァ接触無
規制賛成:規制反対
l性的メディア許容性
高校生がポルノ雑誌やアダルトビデオを
1
8.3
◆7
.2
・−0
O.9
7
4
書
。0
.﹄
︼0
0
5
2.1
53
1−1
9650︾0
94
4︸
7
11−
10
231197
IIIl88lI1IIIlT8I
1441186
100,119
OOOOゞ0
74
71
22
4ゞ
−I
0
1
24
↑1
0
1
61
21−
231197
IllIIIIllOlIIrIl
1441186
4943’0
42
81
34
3︾
↓1
0
1
40
ゞl
0
3
36
28−
ウいけない
エわからない
lIlp0IlIIIIIIr80
イ少しくらいかまわない
231’97
144’186
52
654−0
0
3
53 30’
1−1
ア全くかまわない
N=330
一%
0
5 203
0
31
−1
0
4
35
2︺
見ることについてどう思うか
性別***メディア接触“*
規制意議**率
2性体験許容性
高校生が性体験をもつことについてどう
14
2 ︲−
4↑
5
10
・III00l01IIII▲II
3,9
。7
.1
.“
︽0
100’119
O
OO1O
O
O7
−1
0
1
62
2.
25120
・III08llI04IILII
18.5
74
93
01
−0
4
性別***メディア接触***
1.8
5.7
3
5
−
0
.1
。9
・ゞ
ゞ1
0
5
3
35
エわからない
52.7
4565割0
ウいけない
︸日II00IIIIIlIトー8
イ真剣な恋愛の延長ならいい
27.0
8516↑0
ア機会があればかまわない
57
4−
4
321
10
N330
恩・〕か
100%
規制意厳寒*と
3売春を援助交際を含めてど
・00lllIIlIIlI4Il
1711
4501−0
92
33
71
0垂
﹄1
0
2
lOOlll9
mM和、−,
性別*車掌メディア接触申亨
・IIIIllIIⅡ118陽00
20.0
23フ8’0
51
︸1
0
15
572
ウいけない
エわからない
32
6
9
︸
.7
.6
︲︸
︸0
0
7.1
8
1
41
︸1
16.1
50.0
946J↑0
53
82︾0
152−1
イ少しくらいかまわない
・IlO8IlllllllLII
ア全くかまわない
13.9
3494−0
41
93
81
7−
ゞ1
0
2
N=330
う思うか
100%
規制意離傘*。
4権利意識
58ゞ0
・700ゞ0
6・
1
7
2
1−1
24
8 31
15
−0
3
I
99ill9
I00III1IIllIO80041l
3510l0
0。3
0・3
−1J
●4
。“
〃■
甦
IIlO011llO010IIIトーI
4
7502’0
53
−1
34
32
︸1
0
3
11
10↑
231197
1.7
6︸0
。2
。4
・・
00106IllIIIII601トーI
一%
オわからない
151↑0
80
8’0
432004
1
ウあまり思わない
エ全く思わない
144il85
22376−0
イだいたい思う
N=329
43
8 6−
00
’0
5
1
ア強く思う
369↑0
70
4−0
480923
1
青少年(18歳未満)にも選ぶ権利
知る権利があると思うか
性別*メディア接触***
6
1
1
規制童産室“
的メディア許容性)については、肯定している割合は男子が86%、女子が66%と男子が大きい。
男子は性的メディア許容性が大きく、これは、先の性的メディアへの接触度の傾向と同様で
ある。
「高校生が性体験をもつことについてどう思うか」(性体験許容性)については、男女とも8
割前後のものが肯定しているが、その内訳は、「機会があればいい」は男子46%に対して女
36
性的メディアの規制と青少年の未熟性:野田
表4②高校生の意識
I
性的メデイl性的メテ
l
質問事項および回答
高校生・計
男I女
ア接触有Iァ接触無
規制賛成i規制反対
5判断力への自信
自分は判断する力をもって
1
933︸0
llI1l0lIIII010lILII
2
55
300−m
82
61
↑1
0
2
59
10
25︸
991119
I524︸I
2.0
1.
1︸0
.6
︲.
0
66
69
1 261
231’97
III00llIIIIljIl6LIl
性別***メディア接触**
1
98
−0
0
2
29
90
.4ゞ
︾
2
5
1
4
1
一%
オわからない
D
II1I000IIIIlO01ILI1.
ウあまり自信がない
エ全く自信がない
0974’0
イだいたい思う
1
l44il85
24212.1
ア強く思う
258690
N=329
34
061
ゞ0
1
651
0
8&0
丘且
480
−0
86
041
−0
1
591
いると思うか
規制意設・*
6自己責任性への自信
0.0
・5
・4
・1
・]
−0
・竃0.01>P≧0.0()I
・Il1IIIIIIII0IIIIrⅡI
0.05>P≧0.01
67
41
0
1
39
33−
7.6
100%
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・0
・・
3.9
11
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1
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10
エ全く自信がない
オわからない
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39.4
06
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0
1
36
35
12﹃
37.3
ウあまり自信がない
231197
1.1
・7
・5
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’0
イだいたい思う
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・1111ⅡlIIIIIⅡII8IrI0
11.8
28
51
0
1
30
43’
N=330
10928−0
9
60
0
3
43
101
ア強く思う
39594ゞ0
58
1
37
343−01
責任をとる自信があるか
***P<0.001
子は12%、「真剣な恋愛ならいい」は男子が38%に対して、女子は65%と男女の意識に差が
みられる。男子のほうが遊びによる性を肯定する傾向がある。
「売春を援助交際を含めてどう思うか」については、肯定しているのは男子が44%、女子が
19%と男子のほうに肯定する傾向がある。男子の半数近くが売春を許容しており、これは、
先にあげた、男子の遊びによる性を肯定する傾向と通じるものがある。
「青少年にも選ぶ権利、知る権利があると思うか」(権利意識)については、肯定している割
合は男子92%、女子83%と男女差は大きくない。
「判断力をもっていると思うか」について肯定しているのは、男子71%、女子78%と男女差
は大きくないが、女子のほうが若干大きいのが特徴的である。ただ、この中で強く肯定して
いるのは、男子に多く、その反面、「自信がない」と答えているのも男子に多い。
「責任をとる自信があるか」について肯定しているのは、男子54%、女子45%と男女差はあ
まりみられない。ただ、男女とも8割以上が権利意識をもっているのに対して、責任をとる
自信に関しては肯定する割合は小さい。
さらに、意識における性差についていえることは、女子のほうには、性的メディア許容性
に対して「わからない」と答えた者が多いことである。これは、女子の性的メディアへの関
心の低さや接触の少なさから、自分のこととして具体的に考えられないということを示して
いるのではないか。いつぽう、男子のほうは意思表示がはっきりしている。また、男子のほ
37
子ども社会研究6号
うが性に対して解放されており、積極的でもある。ただ、男女を問わず、全体的に権利意識
が高まる反面、判断力や自己責任性への自信は不充分である。
(3)性的メディア接触と意識
「性的メディア接触の有無」については、先の質問である「ポルノ雑誌・ポルノまんがを見
たことがあるか」の質問に対し、あると答えた者を「性的メディア接触有」、ないと答えた
者を「性的メディア接触無」とした。ここも(2)②と同様の理由から、高校生の結果のみで考
察する。
表4によると、「高校生がポルノ雑誌やアダルトピデオを見ることについてどう思うか」(性
的メディア許容性)については、肯定している割合は「性的メディア接触有」で88%、「性的
メディア接触無」で43%と差が大きい。性的メディアに接触している者のほとんどが性的メ
ディアを許容をしていることになる。ただ、「接触無」のうち43%が「わからない」と答え
ているが、これは、性的メディアに接したことがないからいいとも悪いとも何ともいえない、
関心がない、などの意味が含まれていると考える。
「高校生が性体験をもつことについてどう思うか」(性体験許容性)については、「機会があ
ればかまわない」が「接触有」で36%、「接触無」で7%と差がみられる。「接触有」のほう
が性的に解放されており、遊びによる性を認める傾向がある。ただ、「接触無」のうち40%
が「わからない」と答えているのは、特徴的である。先の性的メディア許容性と同様の結果
を示しているといえるが、「接触無」のほうが、性的なものが身近に感じられていないので、
自分のこととして具体的に考えられない、などの意味が含まれていると考える。
「売春を援助交際を含めてどう思うか」については、肯定しているのは、「接触有」で36%、
「接触無」で17%と差がみられる。ここでも「接触有」のほうが性的に解放されており、売
春を認める傾向がみられる。
「青少年にも選ぶ権利、知る権利があると思うか」(権利意識)については、肯定している割
合は、「接触有」で92%、「接触無」で76%と「接触有」のほうが権利意識をもつものが多い。
「判断力をもっていると思うか」について肯定しているのは、「接触有」で76%、「接触無」
で72%と違いはあまりみられない。ただ、そのうち、強く肯定しているのは、「接触有」に
多い。
「責任をとる自信があるか」について肯定しているのは、「接触有」で50%、「接触無」で
46%とその差はあまりみられない。したがって、自己責任性への自信は性的メディアへの接
触の有無とあまり関係がない。接触の有無にかかわらず、およそ8割以上の者が権利意識を
もっているのに対して、責任をとる自信に関しては肯定する割合が小さい。
以上のことから、意識における性的メディア接触の有無による差については、まず、「性
的メディア接触有」のほうが全体的に意思表示がはっきりしていることがいえる。また、
「接触有」のほうが性に対して解放されており、積極的である。ただ、性的メディア接触の
有無を問わず、全体的に権利意識が高まる反面、判断力や自己責任性への自信は不充分であ
る。
38
性的メディアの規制と青少年の未熟性:野田
(4)規制と意識
表2の5にあげたように、「規制をどう思いますか。」に対して、高校生では、「あっていい」
が30%、「ないほうがいい」が36%、「わからない」が34%であったが、このうち、「あって
いい」と答えた者を「規制賛成」、「ないほうがいい」と答えた者を「規制反対」とし、以下
に示した。ここも、高校生のみで考察を試みた。
表4によると、「高校生がポルノ雑誌やアダルトビデオを見ることについてどう思うか」(性
的メディア許容性)では、肯定している割合は、「規制賛成」で64%、「規制反対」で94%であ
る。規制反対の者のほとんどが肯定している。性的メディア許容性には規制意識が大きく関
わっていることがわかる。
「高校生が性体験をもつことについてどう思うか」(性体験許容性)については、「機会があ
ればかまわない」が「規制賛成」10%、「規制反対」で51%とこれもかなりの差がみられる。
規制反対の者はより性的に解放されているといえる。
「売春を援助交際を含めてどう思うか」については、肯定している割合は、「規制賛成」で
15%、「規制反対」で53%、否定しているのは、「規制賛成」が72%、「規制反対」が、37%
であり、かなりの差がみられる。規制賛成の者は売春を否定し、規制反対の者は売春を肯定
する傾向がある。
「青少年にも選ぶ権利、知る権利があると思うか」(権利意識)については、肯定している割
合は、「規制賛成」で81%、「規制反対」で98%で、規制反対のほぼ全員が権利意識をもって
おり、そのうち強く肯定しているのは「規制反対」のうち77%である。
「判断力をもっていると思うか」について肯定しているのは、「規制賛成」で71%、「規制反
対」で78%と違いはあまりみられない。ただ、そのうち強く肯定しているのは、「規制反対」
で27%で「規制賛成」を上回っている。
「責任をとる自信があるか」について肯定している割合は、「規制賛成」で52%、「規制反対」
53%と変わらない。規制に対する意識(規制意識)と自己責任性への自信は関連がないようで
ある。
以上のことから、規制賛成の者ほど性に慎重で遊びの性には否定的であり、規制反対の者
ほど性的に解放されており、遊びの性や売春を容認する傾向が強いことがわかった。ただ、
規制に賛成、反対に関わらず、判断力や自己責任性への自信は不充分である。
5.まとめ
本研究の目的は、青少年の性に関する情報への接触状況や意識(性意識や規制意識を含む)
を明らかにし、青少年の意識における特徴を見出し、そこから青少年が未熟かどうかを検討
し、これらを性的メディア規制の必要性を問う材料とすることであった。具体的には、青少
年はどれくらい性的メディアに接触しているか。それに関する発達年齢による差や性差はど
れくらいか。また、青少年の性意識や権利意識等の実態はどうか。そこに、発達年齢による
差、性差、性的メディア接触の有無による差、規制意識による差はみられるか。以上のこと
を調査によって明らかにし、考察を試みた。
39
子ども社会研究6号
まず、性的メディア接触度については、発達年齢が上がると高まり、性差がみられた。
青少年の性意識には、年齢、性、性的メディア接触の有無、規制意識の4つがすべて関わ
っていることがわかった。調査結果からは、年齢においては中学生(13∼14歳)より高校生
(15∼16歳)が、女子よりも男子が、性的メディアに接していない者より接している者のほう
が、規制を望む者より望まない者のほうが、性的に解放されており、性的メディアを許容し、
権利意識もより高いといえる。
年齢による比較では、中学生(13∼14歳)は高校生(15∼16歳)よりも各質問に対して「わ
からない」と答える者が多かった。これは、中学生の意志決定の弱さが現れているともいえ
る。また、性的なものにまだ関心がなかったり、性的メディアへの接触がないので、自分の
こととして具体的に考えられないという者や質問の意味がわからない者も含まれていると考
えられる。また、権利意識が弱いところに、中学生が精神的に自立を果たしていない面がう
かがえる。これらの点で、中学生に未熟な面が現れているといえよう。いつぽう、高校生は、
意志表示がはっきりしており、権利を主張する者も多い。しかし、判断力や自己責任性への
自信は高まっていない。判断力(強い肯定は高校生に多い)や自己責任性への自信を肯定する
割合は中学生とほとんど変わりがない。その点に中学生も高校生も18歳未満における未熟な
一面が現れているといえる(18)。
性的メディア接触の有無は性意識の解放性と大きく関わっている。そして、権利意識とも
関わっている。すなわち、性的メディア接触がある者は、性的に解放されるとともに権利意
識も強くなる。しかし、性的メディア接触の有無に関わらず、自己責任性や判断力への自信
は充分でない。このことから、一部の青少年が性的メディアからの情報に流される可能性も
否定できない。
規制意識においては、高校生の3割が規制を望み、3割強は規制を望んでいない。規制意識
と性意識の相関について、規制に賛成の者は、性に対して慎重であり、遊びの性をタブー視
する傾向がある。規制に反対の者は性的に解放されており、権利を強く主張する傾向がある。
しかし、規制に賛成、反対に関わらず、自己責任性や判断力への自信は充分でない。このこ
とから、一部の青少年による無責任な行動への可能性も否定できない。
高校生全体の9割近くが権利意識をもっていることに対して、規制を望む者が3割、望まな
い者が3割強であった。すなわち、高校生では権利を主張する声がほとんどであることに対
して、その中に規制を必要としている声もかなり存在している。これは、見たいものは見た
いが、見たくないものは見たくない、不必要な情報は規制してもらいたいという思いもある
のではないか。見る権利、知る権利はあるが、ある程度の規制も必要であると考えているよ
うである。
以上のように、青少年の性的メディアへの接触状況や意識の実態を明らかにし、青少年の
意識の特徴を考察してきたが、青少年の性意識には、年齢や性、性的メディア接触の有無、
規制意識が関わっていることがわかった。そして、青少年に未熟な一面が捉えられ、青少年
の中に性的メディアの規制の存在を肯定する声も存在することがわかった。これらの結果は、
性的メディアの規制の必要性を問う上での材料となりうると考える。
注
40
性的メディアの規制と青少年の未熟性:野田
(1)青少年条例は、各自治体で名称が異なる。
「青少年の健全な育成に関する条例」(東京都など)、「青少年保護育成条例」(岐阜県、神奈川県など)、
「青少年健全育成条例」(福岡県など)、「青少年愛護条例」(兵庫県など)、「青少年のための環境浄化に
関する条例」(大分県など)のようにさまざまである。
(2)藤本哲也は、「有害環境の規制とパターナリズム」『法学新報』中央大学法学会第93巻第6.7.8号に
おいて、有害環境とは、「青少年に有害な影響を与える可能性のある媒体、物、場所、機会、行為等」
をいい、具体的には、「性的感情を刺激し、または、粗暴性(残虐性)を助長し、あるいは、青少年の
犯罪を誘発して、青少年の健全な育成を阻害するおそれのあるもの」としている。
(3)少年法第20条には、「家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁固にあたる罪の事件について、調査の結果、
その罪質及び情状に照して刑事処分を相当と認めるときは、決定をもって、これを管轄地方裁判所に
対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。但し、送致のとき16歳に満たない少年の事件に
ついては、これを検察官に送致することはできない。」とある。また、刑法第41条には、「14歳に満た
ない者の行為は罰しない。」とある。このように、少年法や刑法では、16歳未満の青少年がさらに未熟
であるとされる。
(4)刑法第175条において、わいせつな文書、図画その他の物を頒布し、販売し、又は公然と陳列した場
合、罰せられることになっている。
(5)ほとんどのマス・メディア、新聞・放送・出版・映画・CD・広告等について、「倫理綱領」「番組基
準jが定められている。「新聞倫理綱領」、「日本放送協会国内番組基準」、「日本民間放送連盟放送基準」
「映画倫理規程」等がその例である。
(6)総務庁が1999年10月30日付で発表した「青少年とテレビ、ケーム等に係る暴力性に関する調査研究
報告書」によると、暴力シーンへの接触頻度が高い者ほど「たたく、殴る、けとばす」経験や「髪の
毛や服を引っ張る」などの経験も多いことがわかっている。この調査は1998年10月から12月にかけて、
京都、茨城、埼玉、愛知、兵庫の5府県で小学6年生と中学2年生の計3465人を対象に行われた。内容は、
1998年7月から8月にかけて午後5時から11時までに民放の視聴率の高いアニメ、ドラマ、バラエティー
番組など24番組を選んで暴力シーンを分析している。そして、暴力シーンに接した頻度の高い順に
「上位」「中位」「下位」に3分類し、「暴力行為」の有無を調べた。それによると、ここ1年間に友人な
どを「たたく、殴る、けとばす」経験があるとした生徒は、順に56%、53%、52%となっており、「髪
の毛や服を引っ張る」経験があるとした生徒は、順に45%、42%、37%となっている。いずれも暴力
シーンに接した頻度の高い者ほど高い割合となっている。
(7)性的メディアを、「青少年の性的感情を刺激する媒体」と捉え、ここでは、ポルノ雑誌やポルノコミ
ック、アダルトビデオ、インターネットの性情報、テレホンクラブおよびツーショットダイヤル営業
をあげた。
(8)被調査者として、中学生、高校生ともにその年代の代表とすべく、学力や生活態度等において平均
的な学校の生徒を求めた。その結果、いずれも公立の学校においての実施となった。なお、高校につ
いては、県下において、学力がほぼ平均クラスだと思われる学校である。
(9)調査は授業において、授業者である教師による配布および回収という形で行っている。そのため、
やや自由の制限された状況での調査となったことは否めない。
(10)「全くかまわない」と「少しくらいかまわない」を肯定の回答とする。
(11)「強く思う」と「だいたい思う」を肯定の回答とする。
(12)「自分はいいものと悪いものを判断する力を持っていると思うか」の問いに関しては、判断力を客
観的に図ることは容易ではなく、自己の判断力への自己による肯定も判断力を図る一つの目安になる
のではないかと考えた。
41
子ども社会研究6号
(13)「強く思う」と「だいたい思う」を肯定の回答とする。
(14)「自分の行動に責任をとる自信があるか」についても、自己責任性への自己による肯定が自己責任
性を図る目安となると考えた。
(15)「強く思う」と「だいたい思う」を肯定の回答とする。
なお、(10)、(11)、(13)、(15)については以下、性差、性的メディア接触の有無と意識、規制と意
識においても同様に取り扱った。
(16)別途、「青少年条例のような性的メディアに規制があることを知っているか」の質問を試みたが、高
校生は、「規制自体を知っている」(44%)と「18歳未満は禁止という表示を見たことがある」(47%)を合
わせて91%に達している。このことから、ほとんどの者が青少年に対して何らかの制限が施されている
ことを知っている。したがって、「規制をどう思いますか」に対する答えの「わからない」については、
規制を全く知らないからわからない者はごく少数で、ある程度規制の存在は知っていても、それに対
してどう判断を下していいのかわからない者がほとんどだと解釈するのが妥当であろう。
(17)中学生については、「規制自体を知っている」(32%)と「18歳未満は禁止という表示を見たことがあ
る」(42%)を合わせて74%であった。高校生同様、かなりの生徒が規制の存在を知っていることになる
が、規制を全く知らない者もいることから、「わからない」と答えた者の中に、「どう判断していいの
かわからない」に加えて、「知らないからわからない」という者も相当に存在すると考えられる。
(18)未熟であることについては、尺度が他にも様々に存在すると考えられるので、これだけで青少年の
未熟性を断定することはできない。未熟さの一面があらわれているという表現に留めておくべきであ
ろう。
引用・参考文献
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芸大学紀要』1部門41253頁
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31No.274頁
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6.矢島正見(1996)『少年非行文化論』学文社
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社
9.東京都生活文化局(1997)「平成8年度青少年健全育成基本調査『青少年の生活と意識及び青少年と性
に関する法制についての調査』報告書」
10.石村善治編(1993)『現代マスコミ法入門』法律文化社
42