第12号 - 椙山女学園大学

椙山女学園大学全学FD委員会活動報告書
(平成23年度)
椙山女学園大学
ファカルティ・ディベロップメント
Faculty Development
第12号
椙山女学園大学全学 FD 委員会活動報告書(平成 23 年度)
椙山女学園大学
ファカルティ・ディベロップメント
第12号
椙山女学園大学全学 FD 委員会活動報告書(平成 23 年度)
目 次
はじめに 全学 FD 委員会委員長 北岡 崇
Ⅰ FD 委員会の活動
1 全学 FD 委員会の活動記録(平成 23 年 5 月 1 日∼平成 24 年 4 月 30 日)……………… 3
2 平成 23 年度 FD 研修会 ……………………………………………………………………… 6
3 学部 FD 活動報告 ……………………………………………………………………………… 7
・生活科学部 FD 活動報告 …………………………………………………………………… 7
・国際コミュニケーション学部 FD 活動報告 ……………………………………………… 9
・人間関係学部 FD 活動報告 ……………………………………………………………… 11
・文化情報学部 FD 活動報告 ……………………………………………………………… 14
・現代マネジメント学部 FD 活動報告 …………………………………………………… 16
・教育学部 FD 活動報告 …………………………………………………………………… 20
・看護学部 FD 活動報告 …………………………………………………………………… 22
Ⅱ 大学教育の質の向上に向けて
1 シリーズ「私の授業論」…………………………………………………………………… 27
・生活科学部(江崎 秀男)……………………………………………………………… 27
・国際コミュニケーション学部(藤岡 阿由未)……………………………………… 29
・人間関係学部(中西 由里)…………………………………………………………… 31
・文化情報学部(脇田 泰子)…………………………………………………………… 33
・現代マネジメント学部(堀竹 学)…………………………………………………… 35
・教育学部(朴 信永)…………………………………………………………………… 37
・看護学部(菅屋 潤壹)………………………………………………………………… 39
2 「授業アンケート調査」(北岡 崇)……………………………………………………… 42
・平成 23 年度前期「授業アンケート調査」の実施について ………………………… 42
・平成 23 年度前期「授業アンケート調査」の分析結果 ……………………………… 50
・「授業アンケート調査」にかかわる資料 ……………………………………………… 70
Ⅲ 資料……………………………………………………………………………………………… 93
はじめに
全学 FD 委員会委員長
北岡 崇
平成 12(2000)年度、本学において全学 FD 委員会が組織され、全学的な FD への取り組
みが始まって以来、平成 23(2011)年度は 12 年目の年である。この間に、「授業アンケート」
の全学的実施が定着し、その結果に対する担当教員による「リフレクション・ペーパー」の
S * map 上及び冊子体での公開(学内)も、全学的に行なわれるようになった。また、全学
的な FD 活動とは別に、各学部でもそれぞれ固有の特性を持つ現場に即して、学部 FD 委員会
による FD 活動が展開され、毎年年度末にはその活動報告がなされている。こうした点から見
て、長い歳月を経て本学の教員の間に FD の重要性に対する意識が浸透してきたことは確実で
ある。しかし、大学の将来、つまりすべての学部の行く末を展望する際、従来型の FD 活動を
年々ただ反復するだけでは十分とはいえないであろう。
こうした認識のもと、全学 FD 委員会は平成 22 年以降、下記のような項目への取り組みを
開始している。
① 教員相互の授業参観を拡充し、教員間に情報交換と相互教育の場を拓き充実する。
② 科学研究費申請説明会の内容を充実し、外部資金の獲得を奨励する。
③ 新任教員研修を拡充、実質化する。
④ 「授業アンケート」の回数を減らし予算と活動の重点を FD 活動の実質化の方向にシフ
トする。
⑤ ふさわしいテーマの下に「FD 講演会」や「FD 研修会」を継続する。
⑥ 学園研究費助成金及び科研費獲得者の研究報告会を開催する。
⑦ 学長補佐が委員長となり、全学 FD 活動の継続性とその活動への学長の関与を意識した
体制を作る。
⑧ 各学部 FD 活動との連携を緊密にする。
これらの取り組みはすべて、10 数年来の本学 FD 活動の成果を踏まえつつも、FD 活動を今
後、より充実する方向に進めなければならないという認識に基づくものである。
上記の各項目の他に平成 23 年度には、全学 FD 委員会として初めての試みもあった。例えば、
科目担当者が教室経営ないし授業に際し困難を感じる事項をアンケートで集約するとともに、
それらの事項を学内の全教員に示し、それらの教員から各項目に対する対処の仕方を集約する
作業、また全学生に対し私語に関するアンケート調査を実施し、私語の被害を受けている学生
の生の声を全学的(また学部、学科、学年別)に集約する等の作業、である。平成 24 年度には、
前者の集約作業の結果を Q & A 集として冊子に纏め、後者のアンケート調査結果もまたその
冊子に合わせ合本として刊行する予定でいる。
FD の新しい在り方を探るこうした取り組みによって、本学の FD 活動は、従来とは異なる
段階に、また異なる領域に一歩踏み込むとができたと思う。しかし、これらの取り組みだけで、
大学の将来、すべての学部の将来を切り拓くに十分であるというわけではない。これらの取り
組みは、まだ試みられていない多くの方策と相俟ってはじめて大学の発展の道筋を切り拓くこ
とができるのである。引き続き平成 24 年度も全学 FD 委員会の委員長を務めることになって
いる私としては、大学、すなわち全学部の発展を期して、FD 活動の充実の方向をさらに探り
続けていきたいと考えている。FD 活動の充実にとって最も重要なのは、教員各自の主体的な
FD 意識・FD 活動である。従って、教育現場で直接学生と接している教員各自の「草の根の
FD 活動」の広がりと深まりを促すような活動を今後、展開していきたいと考えている。
平成 24 年 3 月 31 日
Ⅰ FD 委員会の活動
1 全学 FD 委員会の活動記録(平成23年度)
2 平成23年度 FD 研修会
3 学部 FD 活動報告
Ⅰ.1 全学 FD 委員会の活動記録(任期:平成 23 年 5 月1日∼平成 24 年 4 月 30 日)
(第1回)
平成 23 年 4 月 26 日㈫
18 時 10 分∼ 19 時 10 分
1.報告事項
(1) 教育の質保証システム行動計画の実施状況について
(2) 引継ぎ事項について
(3) 平成 23 年度前期授業アンケートの実施について
(4) 平成 22 年度全学 FD 委員会予算の執行状況について
(5) 平成 23 年度全学 FD 委員会予算について
(6) 平成 23 年度新任教員研修について
(7) その他
2.議 題
(1) 平成 23 年度全学 FD 委員会活動に関する件
(2) その他
※平成 22 年度第8回委員会と合同開催
(第2回)
平成 23 年 5 月 31 日㈫
15 時 00 分∼ 16 時 00 分
1.報告事項
(1) 平成 23 年度前期授業アンケートの実施について
(2) 平成 23 年度全学 FD 委員会学部予算について
(3) その他
2.議 題
(1) 平成 23 年度全学 FD 委員会活動に関する件
(2) その他
(第3回)
平成 23 年 6 月 28 日㈫
18 時 00 分∼ 18 時 50 分
1.報告事項
(1) その他
2.議 題
(1) 平成 23 年度 FD 講演会の実施に関する件
(2) 平成 23 年度科研費取得のための研修会に関する件
(3) 平成 23 年度 SUCCES(椙山女学園トータルポートフォリオシステム)活用に向
けての教員研修に関する件
(4) 平成 23 年度 FD 研修会に関する件
(5) 授業の質向上についてのアンケートに関する件
(6) その他
(第4回)
平成 23 年 9 月 27 日㈫
18 時 10 分∼ 19 時 25 分
1.報告事項
(1) 平成 23 年度前期授業アンケートの実施状況について
(2) 平成 23 年度前期リフレクション・ペーパー提出状況について
(3) リフレクション・ペーパー再依頼について
(4) 平成 23 年度前期授業アンケートの意見書について
(5) 平成 23 年度 FD 研修会実施状況について
(6) 「授業の質向上のためのQ&A集 作成のためのアンケート」について
(7) 平成 22 年度全学 FD 委員会活動報告書の作成について
(8) その他
2.議 題
(1) 平成 23 年度全学 FD 委員会活動に関する件
(2) 平成 24 年度全学 FD 委員会予算に関する件
(3) 平成 24 年度キャリア科目のシラバスの表記について
(4) その他
(第5回)
平成 23 年 10 月 14 日㈮
13 時 30 分∼ 14 時 50 分
1.報告事項
(1) 平成 24 年度全学 FD 委員会新規活動に関する件
(2) 平成 24 年度キャリア教育科目のシラバスの表記について
(3) その他
2.議 題
(1) その他
(第6回)
平成 23 年 10 月 25 日㈫
18 時 00 分∼ 18 時 50 分
1.報告事項
(1) 平成 23 年度 FD 講演会について
(2) その他
2.議 題
(1) 平成 24 年度全学 FD 委員会活動に関する件
(2) 平成 24 年度全学 FD 委員会予算に関する件
(3) その他
―3―
(第7回)
平成 23 年 11 月 29 日㈫
16 時 00 分∼ 16 時 35 分
1.報告事項
(1) 平成 23 年度 FD 講演会実施状況について
(2) 平成 23 年度リフレクション・ペーパーの閲覧状況について
(3) 平成 23 年度全学 FD 委員会予算の執行状況について
(4) 平成 23 年度「授業についてのアンケート調査」冊子作成について
(5) 平成 22 年度 FD 委員会活動報告書の正誤表配付について
(6) その他
2.議 題
(1) 私語に関するアンケートの実施に関する件
(2) 平成 23 年度全学 FD 委員会活動報告書に関する件
(3) その他
(第8回)
平成 24 年 2 月 28 日㈫
16 時 30 分∼ 17 時 40 分
1.報告事項
(1) 平成 23 年度全学 FD 委員会活動報告書について
(2) 平成 23 年度全学 FD 委員会予算の執行状況について
(3) 平成 23 年度全学 FD 委員会活動について
(4) 平成 23 年度「授業中の私語に関するアンケート」の実施状況について
(5) 平成 24 年度全学 FD 委員会予算について
(6) 平成 24 年度新任教員研修プログラムについて
(7) その他
2.議 題
(1) 授業の質向上のためのQ&A集作成に関する件
(2) 平成 23 年度「授業中の私語に関するアンケート」の実施報告の取り扱いに関す
る件
(3) その他
(第9回)
平成 24 年 3 月 23 日㈬
13 時 30 分∼ 14 時 30 分
1.報告事項
(1) その他
2.議 題
(1) 授業の質向上のためのQ&A集作成に関する件
(2) 「授業中の私語に関するアンケート」の実施報告の取り扱いに関する件
(3) 新任教員研修セミナー(学外)に関する件
(4) その他
(第 10 回)
平成 24 年 4 月 24 日㈫
18 時 10 分∼ 19 時 10 分
1.報告事項
(1) 平成 23 年度全学 FD 委員会活動状況について
(2) 平成 23 年度全学 FD 委員会予算の執行状況について
(3) 平成 24 年度全学 FD 委員会予算について
(4) 平成 24 年度新任教員研修について
(5) その他
2.議 題
(1) 平成 24 年度全学 FD 委員会活動に関する件
(2) その他
※平成 24 年度第1回委員会と合同開催
―4―
Ⅰ.2 平成 23 年度 FD 研修会
1.第 1 回研修会
●平成 23 年度科研費取得のための研修会
日 時:平成 23 年 7 月 20 日㈬ 17 時 00 分∼18 時 30 分
場 所:国際コミュニケーション学部棟 206 教室
テーマ:
「科学研究費補助金を獲得するために―採択事例に即し、申請時に留意したことを
話し、採択されるためのヒントを示します―」
報告者:飯塚恵理人 文化情報学部教授 (基盤研究 C)
国の助成金である以上、研究内容は広い分野の研究を底上げする汎用性と、緊
急性が要求されます。能楽研究で採択 14 年目、「言い方」「書き方」の実例を
示します。
株本 千鶴 人間関係学部准教授 (基盤研究 C)
過去に採択された 2 事例について、具体的内容をご紹介いたします。
深谷 久子 看護学部講師(若手研究 B)
申請書作成過程を通して見えた自分の「心がけ」についてお話ししたいと思い
ます。
参加者:教職員 46 名
2.第 2 回研修会
●平成 23 年度(学部 FD 報告)
日 時:平成 23 年 9 月 15 日㈭ 11 時 30 分∼ 12 時 30 分
場 所:星が丘キャンパス文化情報学部メディア棟 128 講義室
テーマ:「学外協力者 ( ボランティア型 ) の確保と活用」
大学教育の質と量が問われている。時代の変化に適応し、教育の質と量を高め社会
の要求に応えていく必要がある。ここでは、
「就業力育成支援による自立型人材育成」
に関連するいくつかの「学外協力者の確保と活用」についての実践的試みについて
報告する。
報告者:澤田善次郎 現代マネジメント学部教授
参加者:教職員 69 名
3.第 3 回研修会
●平成 23 年度(授業の取組報告)
日 時:平成 23 年 9 月 15 日㈭ 13 時 00 分∼ 14 時 00 分
場 所:星が丘キャンパス文化情報学部メディア棟 128 講義室
テーマ:「英語自主セミナーによる学習者主体の英語学習成果報告」
国際コミュニケーション学部で行っている英語自主セミナーは、学習者の主体的な
活動であるが、これに教員が参加・サポートすることによって、学習者の学習意欲
と学習成果にどのような影響を及ぼしたかを昨年度のデータ分析を用いて報告する。
―5―
報告者:柴田亜矢子 国際コミュニケーション学部講師
参加者:教職員 90 名
4.第4回研修会
●授業支援システム講習会
日 時:平成 23 年 9 月 15 日㈭ 15 時 30 分∼ 17 時 00 分
場 所:文化情報学部メディア棟 324・325 教室(1 教室)
テーマ:「SUCCESS(椙山女学園トータルポートフォリオシステム)活用に向けての実技講
習会」
参加者:57 名(専任教員 53 名、非常勤講師 4 名)
5.第 5 回研修会
●平成 23 年度 FD 講演会
日 時:平成 23 年 10 月 28 日㈮ 17 時 00 分∼18 時 30 分
場 所:生活科学部棟 B110 教室
講 師:藤田 晃之氏
現職 国立教育政策研究所 生徒指導研究センター
総括研究官
文部科学省 初等中等教育局 児童生徒課 生徒指導調査官
教育家庭課 教科調査官
演 題:「今後の学校におけるキャリア教育の在り方について」
参加者:教職員 45 名(学長、専任教員 32 名、事務職員 12 名)
―6―
Ⅰ.3 学部 FD 活動報告
平成 23 年度 生活科学部 FD 活動報告
高阪 謙次
・平成 23 年度生活科学部 FD 委員会メンバー
委員長:高阪謙次(生活環境デザイン学科)
委 員:間瀬民生、吉澤和子(管理栄養学科) 橋本令子(生活環境デザイン学科)
内藤通孝(学部長・オブザーバー)
・委員会の開催
第 1 回:平成23年 6 月28日
第 2 回:平成24年 3 月 1 日
・学部 FD 委員会としての活動
① 学部 FD ホームページの更新:タグのタイトルと順番を改善するとともに、平成 23
年度の活動を記録した。
② 新任教員に対し、各担当教員及び事務室から、ガイダンスを実施した。該当教員は管
理栄養学科の 1 名であった。
・FD に関わる学科別の行事
【管理栄養学科】
4月5日
学科オリエンテーション(新入生)
4 月 6― 7 日
新入生オリエンテーション合宿(ホテル竹島にて、ガイダンスを実施)
4月9日
管理栄養士国家試験対策としての実力テストを実施
5 月22日
管理栄養士国家試験対策としての業者による模擬授業を実施
8 月 4― 5 日
管理栄養士国家試験対策としての業者による集中講義を実施
9 月17日
管理栄養士国家試験対策としての業者による模擬授業を実施
9 月24日
OG 懇談会開催
11 月12日
管理栄養士国家試験対策としての業者による模擬授業を実施
12月11日
学外にて管理栄養士国家試験対策としての業者による模擬授業を実施
1月7日
4 年生による卒業研究発表会の開催(1・2・3 年生も参加)
1 月31日
臨地実習を前にしてマナー講座の開催(2 年生に対し)
2 月 7― 9 日
管理栄養士国家試験対策としての業者による集中講義を実施
2 月18日
管理栄養士国家試験対策としての業者による模擬授業を実施
3月3日
管理栄養士国家試験対策としての学外模擬授業を実施
3 月29 ― 30日
在学生学科ガイダンスの開催
―7―
【生活環境デザイン学科】
4月4日
在学生対象学科授業ガイダンス(4・3・2 年の順で学科教員が担当)
4 月 4― 5 日
新入生対象学科ガイダンス
4 月 5― 6 日
新入生研修合宿(近江八幡休暇村にて、学科と授業のガイダンス)
5 月 ― 12月
本学科学生対象の、学外講師を招いての講演会(学科主催企画)、
学外企画への学生の自主的参加(自主企画)など
夏季休暇及び秋季において
1 年生対象のオープンゼミの開催(各研究室でのゼミ行事などへの訪問)
夏季休暇期間
3 年生対象のインターンシップの開催(本学科学生は 31 名が参加)
夏季休暇期間(8 月 5 日 ― 9 月 1 日)
シドニー研修を開催(3 年生 1 名、2 年生 1 名参加)
10月21日
本学科主催、本学科教員による就職ガイダンス
(アパレル、建築・インテリア、教職等に関する詳細な解説)
2 月10 ― 12日
卒業展の開催(卒業予定学生全員による展示と発表会。
3 年生など下級生の見学。一般の参加も OK。本学体育館において)
春季休暇期間
2 年生対象のインターンシップの開催(本学科学生は 4 名が参加)
3 月15 ― 28日
ヨーロッパ建築・インテリア・アート研修を開催。
本学科教員 2 名が随行。2 年生48名が参加。
4月7日
学科教育スタッフ懇談会
(常勤・非常勤の教員による教育の打ち合わせと、終了後の懇親会。
常勤教員のほぼ全員と、非常勤講師の 8 割ほどが参加。
昨年からは隔年の開催となった。
)
―8―
平成 23 年度 国際コミュニケーション学部 FD 活動報告
深谷 輝彦
平成23年度国際コミュニケーション学部では、学部独自の FD 活動として「紙上授業公開」
を実施した。本報告ではその概要を記し、今年度の学部 FD 報告としたい。
まずは、
「紙上授業公開」に至った経緯にあらかじめ触れておきたい。全学 FD 委員会は授
業参観制度について次の方針を掲げている。
「昨年度から、新任教員研修に伴って、参考となる授業を参観できる制度を導入したが、授業
参観制度は、新任教員に限らず拡充して行く必要がある。」
(平成 23 年 4 月 26 日全学 FD 委員会資料より抜粋)
この方針については、国際コミュニケーション学部の多くの教員が賛同するであろうことは
容易に推測できる。しかしながら、現実的には日々の授業前の準備、授業、授業後の提出物処
理など、さらには各種委員会活動等に時間を取られ、学部全体で授業参観制度を積極的に活用
しているところまで達していない。授業改善の有効な手段としての授業参観の価値を認識しつ
つも、相互の授業を訪問する機会を見いだせずにいるというのが実情である。
以上のような現状を少しでも打開する手立てとして試みようというのが、紙上授業公開であ
る。具体的には(過去の FD 活動でゼミ報告がなされているため)ゼミ以外の授業を 1 つ 2 つ
取り上げ、その目標・学部教育での位置・授業展開・成果や課題・授業評価への対応について
執筆するよう学部専任教員に依頼し、その結果寄せられた原稿をもとに報告書を作成するとい
う FD 活動である。
実際に提出された授業報告は大変興味深い。第一に、各教員が授業を活性化させようと様々
な取り組みを授業の前、中、後で実践している。公開された授業より引用すると
●学生の書いた文章でよく書けているものはプリントにして配布した。
●各自の目標や学習計画を書かせ、毎回の演習の後では自己評価を書かせている。
●グループ・ワーキングでテーマパークの企画を行う。
●判決が出る直前まででストップする。受講生は自分が陪審員としてこの裁判に参加している
と想定して、自分なりの判決を翌週の授業までに文章化して提出する
全く新しい授業方法も見つかるし、自分がすでにおこなっているものの、このような場面で
活用すると有効だという新たな発見に至る場合もある。またすぐに取り入れることができる授
業アイデアもあれば、授業者の人柄、授業形態、内容、雰囲気がすべて揃わないとまねできな
いものもある。いずれの意味においても、同じ学部生を教える同僚の授業を読むことで、自分
にあった授業改善ヒントが見つかる。
第二にそれぞれの授業で何を伝えたいか、各教員の授業に込める思いがとても印象深い。受
講者である学生がどのように教員のメッセージを受け取るかは別にして、授業担当者としてこ
のために授業をしているという授業目標は、学部教育力すべての土台である。この公開授業を
―9―
読むと、国際コミュニケーション学部教員一人一人が本気で学生と向き合っていることが熱い
ほどに伝わってくる。特に次のような記述が特に目を引く。
●やや強引に、
「大学に来てまで心の感性をみがくの?」と受講生たちに投げかけてみた。す
ると、この「挑発」にのりながらも、いわば「変化球」を投げ返してくれた。
●古代和歌の存在形態自体が、「コミュニケーション」の本質的なあり方を示しているのだと
言いうるだろう。
●隣に座っている同世代の学生が書いた「自分史的エッセイ」を共有し、それについてディス
カッションするのは、思っていた以上の効果を生み出しているように思える。
同僚教員がこれほどの気高い志向を授業に込め、それを学生に伝えようとする奮闘努力は共
有する価値が十二分にある。国際コミュニケーション学という幅広い傘にもとに集う教員が、
英語の“mutual admiration society”という関係を築きながら、互いの授業から学び合う学部
風土をぜひ作り上げたいものである。
公開授業の形式について一言いい訳をしておく。紙上授業公開は、統一的フォーマットのも
とで、授業公開しているわけではない。しかしながら、良い意味で記述方法の枠が緩かったた
めに、各教員がそれぞれのスタイルを打ち出してくれている。その結果、教員一人一人がファ
カルティ・ディヴェロプメントをはかるという本来の目的を果たすと共に、教員間の相互理解
促進に大いに貢献すると期待できる。さらに、近い将来、学部教員がおもしろいと思った同僚
教員の研究室を訪ね、お互いの授業について意見交換をしてもらうような状況まで発展すれば、
願ったり叶ったりと言える。
末筆ながら、紙上授業公開に応じていただいた国際コミュニケーション学部教員に謝辞を申
し上げる。また教務課には全学 FD 委員会に関する資料について協力を仰ぐことができた。学
部 FD 委員会のメンバーは、本 FD 活動の立案、企画、原稿依頼、報告書編集、まとめの各段
階で尽力を惜しまれなかった。ただただ感謝するばかりである。
― 10 ―
平成 23 年度 人間関係学部 FD 活動報告
山根 一郎
1.はじめに
平成23年度の人間関係学部の FD 活動として、昨年度に学部委員である山根がデモンスト
レーション的に実施した“授業評価アンケートにおける自由記述部分のテキストマイニング分
析”を、今年度は他の学部教員に実施してもらうつもりであったが、興味を示してくれた教員
はいたものの、実施を名乗り出てくれる教員が残念ながらいなかった。また、昨年度は数回開
催されていた研究会などの自主的な FD 活動も今年度は行なわれなかったため、再び山根の授
業評価のテキストマイニング分析をもって本学部の FD 活動報告に代えたい。
今年度の授業評価は昨年度の授業評価にもとづく改善結果の確認が目的であることから、昨
年度のデータと比較する形で分析してみる。
ちなみに、テキストマイニングについてと分析の具体的手順については、昨年度の報告書を
参照されたい。
2.対象授業
今年度の授業評価は授業の改善結果を確認するためであるので、昨年度と同じ人間関係学部
(人間関係学科・心理学科)の 3 年生以上を対象とした「演習 I」という科目でのデータを追
加して分析する。この授業はマッキントッシュパソコン(iMac)を使ったマルチメディア制
作を目的としたものである。受講者は 30 名だが、授業アンケートでの自由記述の回答者は 15
名で昨年度と同数である。昨年度の受講者に指摘された問題点(3.結果で示す)は、今年度
の授業では意識して改善したつもりである。その結果、アンケート部分の集計によると、
「興味・
関心が深まった」に肯定的だったのは、昨年度は 87%だったが、今年度は100%に達した。ま
た昨年度は「理解しやすかった」に 40%が否定的であったが、今年度は否定的は 0%、肯定的
は92%だった。以上から、昨年度の長所がさらに評価され、問題点がかなり改善されたといえ
る。ただ、ここからでは具体的な効果が分からない。そこで、その具体的内容がテキストマイ
ニングで確認できるかどうかをここで示したい。
分析のために、昨年度のデータに今年度の新たなデータを加え、年度(昨年度、今年度)と
評価(悪かった点、良かった点)の値を入れ、自由記述を 1 文単位で Excel の 1 行に入力し、
それを 1 データとした。
3.結果
1)評価の変化
まず、年度と評価とのクロス表をとった(表 1)。
昨年度では良かった点と悪かった点の記述件数
が拮抗していたが、今年度は悪かった点の件数
が半減した。上述したアンケートの集計結果と
傾向が整合している。
― 11 ―
表 1.評価の年度比較
評価/年度
今年度
昨年度
良かった点
14
15
悪かった点
6
13
2)語のマッピング
ここでは評価の中身が変化したかを確認する。まず昨年度と今年度の「悪かった点」につい
ての記述のみを対象として、
“重要度”にもとづいて語(キーワード)同士の連関性をマッピ
ングした(図 1)。図 1 によれば、
“昨年度”は「むずかしい」
・
「早口」、
「説明」が「早すぎる」
(速
すぎる)という点が指摘されたが、それらの語は“今年度”には繋がっていない。ただし今年
度は「関係ない」「人」が「いる」(授業中の演習室に授業外の学生がいる)とか「ボタン」の
「位置」や操作手順に関しての不備が指摘されている。また、両年度に共通している単語は「早
い」で、今年度は授業進度の“はやさ”が指摘された。すなわち、まだ授業に「早い」(速い)
部分があり、改善する余地がある。
つく
思う
悪い むずかしい
やる
先生
分かり
Photoshop
早口
気
レタッチ
昨年度
人
濃い
関係ない
内容
なる
いる
授業
欲しい
プリント
進度
進める
今年度
感じる
過ぎる
説明
早過ぎる 不明
ボタン
早い
ある
少し
する
位置
なくなる
クリック
取組
聞く
戸惑う
いけなくなる
いける
逃す
課題
聞き逃す
同じこと
スピード
図1. 悪かった点のキーワードプロット
― 12 ―
言う
どの
順序
つぎに「良かった点」についての記述から同様のマッピングをすると(図 2)、
昨年度は「色々
な」
「ソフト」を「あつかう」のが「楽しい」と評価され、
今年度は「Mac」に「触れる」のが「面
白い」と評価されている。評価対象がソフトからマシンへ移行しているが、授業の本質部分を
楽しみ、面白がっている点は変わらない。両年度に共通しているのは「できる」「知る」など
効力感を得ている点である。
以上の結果から、昨年度指摘された問題点はかなり改善されたが、一部「はやい」という要
素が残っており、また新たな問題も指摘された。一方、この授業に受講者は興味をもち、効力
感を得ていることがわかった。
本件ではデータ数が少ないので、実はわざわざコンピュータを使って分析する量ではないが、
テキストマイニングの本来の用途として、大人数の授業や複数の授業の特徴を探るのに有効で
あることは示唆できる。
あたらしい
この
無い 操作方法
授業
思う
分かる
使う
ホームページ
知る
先生
プリント
出来る
良い
パソコン
今年度
MAC
勉強
欲しい
なる
担う
昨年度
好き担う
視野
増える
触れる
好く
自信
作る
知識
楽しい
色々
編集
拡がる
あつかう
使い方
やる
興味
ソフト
もてる
入る
機会
使用
図2. 良かった点のキーワードプロット
― 13 ―
ある
いろんな
言う
自分
使える
機能
面白い
平成 23 年度 文化情報学部 FD 活動報告
山本 昭和
文化情報学部は、本年度よりメディア情報学科が新設され、文化情報学科との 2 学科体制と
なった。新体制移行の最初の年であることから、初年次教育における必修演習科目の内容の充
実が本年度の学部 FD 活動の重要な目標の一つとなった。ここで言う「初年次教育における演
習科目」とは、具体的には「プレゼミ(前期)」と「基礎演習(後期)」の 2 科目である。この
2 科目の教育内容の充実に向けた取り組みを中心に、平成 23 年度の本学部における FD 活動
の概略を報告する。
1.文化情報学科の取り組み
(1) プレゼミ
大学での学習を進める上での基礎技術の習得を目的とするプレゼミは、旧体制下でも実施し
ていた科目であるが、新体制移行にともない、少人数制(学生11名程度×12クラス)に変更す
るとともに、オムニバス形式の授業を避けることにした。また、自分自身を客観的に把握する
ための「自己発見レポートⅠ」の実施や、卒業生による就業体験報告会など、キャリア教育に
かかわる内容も新たに組み込んだ。
こうした試みを学生はどのように受け取ったのかを、1 年生全員を対象とするアンケート調
査によって調べてみた。
「友人ができて、レポートの書き方が学べて、楽しい」というのが、
プレゼミに対する学生の一般的な受けとめ方であった。ただし一方では、
「勉学への意欲がわ
くものではない」「将来設計・就職活動への関心には応えてくれない」といった否定的な受け
とめ方も存在した。プレゼミ開講の趣旨をふまえつつ、学生のニーズに応えられるような授業
内はどのようなものなのかを、学科全体として模索・検討していく必要がある。
(2) 基礎演習
基礎演習は、1 年次後期に実施する必修演習科目としては初めての試みであった。情報にか
かわるそれぞれの学生の知識・能力・希望に対応して、基礎的な知識や技術の習得をめざすク
ラス(3 クラス)と、応用的情報処理技術の習得をめざすクラス(1 クラス)を設定して、演
習を行った。
学生アンケート調査では、「情報にかかわる知識・技能が、わかりやすく身について楽しかっ
た」
というのが一般的な意見であった。ただし一方で、
「難しかった」
「進み方が早かった」といっ
た意見も存在した。今後の授業においては、個々の学生の知識レベルや性格にあわせて、きめ
細かな指導が必要であると思われる。
2.メディア情報学科の取り組み
(1) プレゼミ
新設されたメディア情報学科のプレゼミは、140名の学生を 6 クラスに分け、計 6 名の教員
が授業を担当する方法を採用した。ノート・テイキングや初歩的なプレゼンテーションの経験
などを通して大学の学習に必要な基礎的技術を身につけることと、見通しを持って学生生活を
― 14 ―
送ることができることを、授業の到達目標とした。授業のプログラムは、担当教員によるミー
ティングを繰り返しながら策定したものである。さらに、ほとんどの授業において、課題と振
り返りシートを準備した。
こうした取り組みについて、学科の FD 研究会(10月)で報告と総括を行った。各クラスで
同内容の授業を行うという試みは効果的に進めることができたと思われる。それは、教材やワー
クシートの準備に際して担当教員が意見を出し合うことによって授業イメージを全員で共有で
きたためと考えられる。改善点をあげるとすれば、学生から評価の高かったノート・テイキン
グを早い段階で取り扱うこと、少人数クラスの良さを活かせるようクラス単位の授業を一定の
割合で増やしていくことが必要である。
(2) 基礎演習
大学の専門的な学習で求められるスキルを高めるための演習である基礎演習も、プレゼミと
同様に学生を 6 クラスに分け、6 名の教員が授業を担当した。授業プログラムは、プレゼミの
内容を踏まえ、授業担当者によるミーティングによって策定した。ほとんどの授業において課
題と振り返りシートを準備したことは、プレゼミと同様である。
この取り組みについても、学科の FD 研究会(3 月)で報告と総括を行った。紹介文・批評
文の作成やスピーチなど、自由裁量が求められる課題については、多くの学生が良好な結果を
示していた。一方で、漢字・時事問題など常識にかかわる知識量や、書式を遵守した文書作成
の技量については不充分な結果であり、今後は個別の指導を行う必要があることが感じられた。
ただし、そのためには、1 クラスあたりの学生数を 20 人以下にすることが望ましいと思われる。
3.FD 活動に関する研修会への教員の参加
FD 活動の一環として、各学科 1 名(計 2 名)の新任教員が「第 1 回新任教員研修セミナー」
に参加した。研修の概要は以下のとおりであった。
【期日】2011年 9 月 5 日(月)∼ 7 日(水) 2 泊 3 日
【場所】八王子セミナーハウス
【主催】公益財団法人 大学セミナーハウス
【プログラム】講演(4 件)、シンポジウム(1 件)、グループ討論(2 件)
、パネル討論(1 件)、
ワークショップ(1 件)
、授業紹介(2 件)
― 15 ―
平成 23 年度 現代マネジメント学部 FD 活動報告
青木 芳将
現代マネジメント学部では、毎年、
「学生生活評価アンケートの実施」、
「FD 講演会の開催」、
「教育研究報告」の発行の三つの FD 活動を行っている。ここではその概要を「教育研究報告」
の内容に基づいて紹介したい。
Ⅰ)教育・研究活動について
・教育活動
本学部の教育目的は社会で生きる実践教育を達成することと、人間としての成長をサポート
することである。前者については、現代の複雑な社会現象を理解するために必要な政治学、法
律学、経済学、経営学などの理論教育とともに、それを応用するために必要な情報科学や語学
などの実務教育も重視しながら実践した。後者については、人口減少社会において女性の社会
参加とその能力の活用が求められていることを念頭に置きながら、女子教育の必要性を女性学
やジェンダー論だけでなく経済学や法律学の視点からも幅広く教育してきた。教育の目的のひ
とつは有為の人材を社会に送り出すことであるが、学校から社会への移行が厳しくなり、大学
生の就職活動の開始時期が早期化している中、教育の実践にも少なからず影響してきている。
就職を優先させるあまり学業をおろそかにしていては、真に企業にとって有益な人材を生み出
すことはできず、やがて大学の質そのものが問われることになる。高度人材の育成機関として
期待される大学教育がグローバルな競争のなかにあってますます重要性を高めていることを鑑
みれば、大学も企業も真に有為な人材を養成するための大学と企業との関係がいかにあるべき
かを早急に検討すべきであろう。
・研究活動
研究活動の実績について、今年度は昨年の実績を比較しみてみることにする。著書・訳書・
学術論文および特許その他の業績、研究助成金の獲得実績、所属学会数、および学外委員につ
いては前年度である平成22年度の実績と比較できるようにまとめた。その結果は表に示すとお
りである。著書・訳書・学術論文は平均 6.79編であり、前年度と比較してほぼ同水準の編数を
維持している。特許その他は 5.46編であり、前年の水準から増加している。研究助成金の獲得
は学内外ともに増加しており、研究内容を積極的に社会に講評しようとしている姿勢の表れで
あろう。所属学会数はほとんど変わっていない。学外委員については前年と同水準を維持して
おり、教員の社会的貢献も行われている。前年と比較し、研究活動は変わることなく行われて
いると判断できる。
― 16 ―
表 「教育研究報告」にみる学部教員の研究活動報告等の推移(過去 3 年間を基本とする実績)
区分
第10回教育研究報告
第9回教育研究報告
(平成23年度)
(平成22年度)
著書・訳書・学術論文
6.79編
6.7編
特許その他
5.46編
4.7編
12.25編
11.4編
研究助成金 内
2.54件
2.6件
研究助成金 外
0.96件
0.8件
研究助成金 小計
3.50件
3.4件
所属学会
4.25件
4.2件
学外委員
0.92件
0.9件
項目
著書・学術論文他 小計
注:1.表中の数値はすべて教員 1 人当たりである。
Ⅱ)学生アンケート結果
大学 FD 活動の一環として、学生が本学での生活をどのように受け止めているかを調査した。
今回も、一部の設問を除き、過去の 9 回とほぼ同じ調査項目をもって実施した。その成果を現
代マネジメント学部の FD 活動の基礎的資料とし、教育研究と学生生活の質的向上の一助とな
ることを主目的としている。
調査目的:
1.カリキュラム
各科目群に対する満足度について、『満足・ほぼ満足』と回答した学生は「語学科目」では
65.7%(60.0%)
(カッコ内の数字は昨年度の結果、以下同様)、
「情報科目」では 68.9%(69.2%)
、
「その他教養科目」では 78.9%(76.5%)、
「専門科目」は 79.2%(77.6%)である。
「情報科目」
で微減しているが、その他の科目では、昨年から改善されている。自由記述回答の中では、昨
年と同様に「単位の上限を緩和(撤廃)してほしい」との要望が多数を占めており、履修制度
自体が今後検討すべき課題であろう。また、本年のアンケートでは、語学科目について、韓国
語や中国語の科目開講を求める声も見受けられた。他学部との連携を含めて検討していくこと
が望まれる。
2.大学の施設と環境
環境面での評価は、前年とほぼ同程度であった。自由記述回答をみると、教室の温度調節の
不備、食堂の狭さ・営業時間、トイレの暗さや汚さ、売店が遠い、喫煙コーナーの環境の悪さ
などに不満・要望が多く見られる。また、ATM やコンビニがほしいといった要望が増えてい
るのも事実である。また、各種講演会の開催曜日・時間についての要望(土曜日や 5 限など、
他の科目と重ならない時間)や、告知をしっかりしてほしいといった要望も見受けられた。
3.他学部開放科目について
海外研修制度の廃止に伴い、今年度からは他学部開放科目についての意見を聞くこととした。
「機会があれば受講したい」と答えた学生が全体の 6 割程度と、少なくない学生が他学部の講
― 17 ―
義に興味を持っている。他学部との連携を深め、学生のニーズに合ったカリキュラムの検討が
必要であろう。
4.学部間・他大学との単位互換・所定の資格等の単位認定
例年同様に、80.8%(75.4%)と高い割合の学生が単位互換や資格等の認定を希望している。
他大学の動向および学生の希望も考慮しながら、単位認定制度を検討していきたい。自由記述
回答では、資格やインターンシップを単位認定してほしいとの意見があった。これらの物を卒
業認定単位に含めることは難しいが、学生が自発的に資格やインターンシップに参加したくな
る制度も、今後検討すべき課題であろう。
5.就職指導
キャリアサポート課主催の就職指導を受けたことのある学生のみのアンケートであるが
61.3%(69%)が『満足・ほぼ満足』と回答しているが、一方で『あまり満足していない』
(
「少
し当てはまらない」に回答)学生が 28.4%
(25.7%)と全体の 3 分の 1 弱いることにも注意したい。
今後も就職に関連する有益な体制・内容の改善を望むところである。
6.インターンシップ
インターンシップが『有効である』と答えた学生は 78.8%(81.1%)であり、インターンシッ
プに実際に参加した学生の満足度も 70.9%(83.6%)であった。先述したように、昨年の就職
難により、数字が低下したものと考えられるが、今後はインターンシップに参加するだけでは
なく、参加する学生側の目的意識やインターンシップの内容についての重要性が増していくと
思われる。自由記述回答に見られるように、インターンシップ制度の周知、およびインターン
シップ先を広げていくことが今後の課題となるであろう。
7.奨学金制度
奨学金制度に対する学生の認知度は昨年度より上昇したものの相変わらず低く、46.2%
(43.7%)となっている。他方、奨学金受給者の満足度は、63.7%(68.2%)が『満足・ほぼ満足』
と回答しており、一定の成果を挙げていると判断できる。自由記述回答では、奨学金制度の拡
充を期待する意見が多い。現在の世界不況の影響下で、財政難の中で勉学を希望する学生を支
援する新たな奨学金制度の導入も、早期の検討課題となるであろう。
8.学生生活等
予習・復習を合わせて、一週間に 1 時間40分程度しか勉強をしていないにもかかわらず、ア
ルバイトは一週間に 2.9日(2.8日)、合計で 15.5時間(15.2時間)もしているというのが平均的
な状況のようである。もちろんこれは平均であり、個人差はあるにしても学生の本分である勉
学に励むという目標からは程遠い現状である。この様な状況に対して、早急に何らかの検討を
する必要に迫られている。
9.学園生活全般
学園生活全般に対する学生の満足度については、67.5%(75.9%)が「満足・ほぼ満足」と
― 18 ―
回答している。昨年度より数値は低下しているが、この結果はおおむね好意的に捉えてもよい
であろうと思われる。しかしながら自由記述回答を見ると、学部棟の設備(トイレ・建物の破
損など)についての意見が多く、女子大学としては重要な検討課題であろう。より一層良い意
味での満足度の高い学園生活を実現すべく努力していきたい。
Ⅲ)講演会活動
平成23年度は、以下の講演会を開催した。
第 1 回 日時:2011年12月 6 日㈫ 15:00 ∼ 16:30
演題:学生が求める大学像とフィールドワーク・実践型学習について
会場:現代マネジメント学部 1 階 会議室
司会進行:青木芳将 講師
現在多くの学生が興味を持つ、フィールドワークの現実とその問題点に対する、興味深い講
演であった。本学部での導入を検討する際には、非常に有益な講演であったと言える。
― 19 ―
平成 23 年度 教育学部 FD 活動報告
磯部 錦司 山田 真紀
1.はじめに
平成 23 年度は、教員の授業力の向上を目標に掲げ、以下の 3 つの活動を展開した。
・授業公開週間の設定
・附属幼稚園・小学校、併設の中学校・高等学校の先生方を招き、総合学園ならではの教
育活動の展開について探るシンポジウム
・外部講師を招き、最新の保育と教職の情報を得るための講演会
2.授業公開週間
○実施期間:平成23年6月13日∼7月2日
これまでの授業公開が形式化されているという反省から、授業の改善と向上が主体的な取り
組みとなることを願い、授業公開週間を設定した。将来的には全教員による授業の公開を想定
し、まず23年度は、自主的に授業を公開できる人を募った。2 週間の期間において、8 名の専
任教員が授業を公開した。
授業参観者は、事前に授業者にメールや口頭で参観することを伝え、参観後、意見、感想を
授業者へ伝えることとした。リストアップされた公開授業科目の中から、2 週間で、一人最低
一つ以上の授業を参観することを呼びかけた。参観者は、自分の授業に生かしたいところや学
べるところを客観化し、さらに、授業者へ意見や感想を提出し、その内容を参考に、授業者自
身も授業改善を試みていった。このような教員相互の交流は、お互いの授業にフィードバック
を与えるものであり、教員の相互理解と授業力向上に資する取り組みとなった。
3.公開シンポジウム:
「総合学園ならではの教育活動の展開∼併設校・附属学校園と教育学部の連携の実態とこれ
からの展望∼」
本主題とその展望は、教育学部と併設校・附属学校園の関係だけでなく、学園全体の将来構
想にも関わる重要な視点を探るものであり、その教育活動の展開の深まりは、園児、児童、生
徒、学生の育ちへと生かされていくことが期待される。そこには多々の課題が見られるが、そ
の教育活動の可能性は多大であり、今日の教育界へ示唆する内容をも包含しているように思わ
れる。その展望に向けた具体的な実践への第一歩となることを願い、本シンポジウムの実施に
至った。
○日時:平成23年12月22日㈭
○パネラー:山茂正憲(椙山女学園高等学校教諭、同学習指導部長)
、川野幸彦(椙山女学
園大学附属小学校教諭、同研究主任)
、三田郁穂(椙山女学園大学附属幼稚園
教諭、同教頭)、山田真紀(椙山女学園大学教育学部准教授)
○参加者:約 60 名
(椙山女学園大学教育学部教員、併設中学校・高等学校教員、附属小学校教員、附属幼稚
園教員、学長、併設中学校・高等学校校長、附属小学校校長、附属幼稚園園長、椙山女学
― 20 ―
園大学歴史資料館館長、学園本部職員、学園関係者 他)
○概要
パネラーの報告、およびフロアディスカッションを踏まえ、下記の 4 つの内容を確認した。
① シンポジウムは具体的な連携の方向について意見を集約するものではなく、オープン
エンドな形で終了するものの、今後の連携のあり方について構想する第一歩としたい。
② 連携においては互恵的な方向性を探り、結果的に園児・児童・生徒・学生にその教育
的効果が還元されていくべきものであること。
③ 連携を単発的なものに終わらせることなく、各併設校・附属学校園の立場からそれぞ
れの活動を構造化し、カリキュラムのなかに体系化し、継続的な取り組みに育ててい
くことが大切である。
④ 連携は教育面に留まらず、研究面においても推進すべきである。
特に附属幼稚園と小学校、学園本部から多くの参加をいただくことができた。さらにフロア
ディスカッションでは活発な議論が交わされ、高い関心と期待が寄せられていることを実感す
ることができた。
「一方向の協力から共同的な協働へ」をキーワードに、総合学園ならではの教育活動を一緒
に作り上げる意識を共有できたことが本シンポジウムの最大の成果であった。
4.学部 FD 講演会:
「明日の保育・教育実践を探る」
本講演会は、1 月末の卒業研究発表会とともに実施し、保育職や教職に就く卒業生や、保育
職や教職に就く予定の在学生にも参加を呼びかけ、大学教員、卒業生、在校生が共に学び合う
ことのできる取り組みとなった。
○日時:2012年 1 月28日㈯ 15:00 ∼ 17:00
○概要
Ⅰ部 小学校教育のこれからを探る
「学習指導要領改訂に見る日本の学校教育の方向」
講師:日置光久(文部科学省初等中等教育局教育課程課教科視学官、国立教育政策研究所
教育課程研究センター研究開発部教育課程視学官)
Ⅱ部 21世紀の保育を探る
「生活探究型(環境をとおした保育)・プロジェクト型保育にみる明日の保育」
講師:福田泰雅(社会福祉法人赤碕保育園園長、全国私立保育園連盟保育・子育て研究機
構研究企画委員)
5.終わりに
成果は、取り組みが主体的で、明日へとつながる内容であったというところである。個人の
授業力の向上や学部の実践の発展は、各教員の力量を高めるだけでなく、組織の共通理解や、
ビジョンに向けた協働を含む。このような未来志向において、主体的で自主的な活動は生まれ、
活動のつながりや広がり、深まりも生み出されていくことを実感することができた。
― 21 ―
平成 23 年度 看護学部 FD 活動報告
田邊 惠子
1)新任教員研修開催
平成23年度 4 月全日程終了した。
2)平成23年度前期授業アンケートの実施
平成23年度 6 月27 日∼ 7 月 2 日に実施された。
平成 22 年度教授会での決定を受けて、昨年との比較のため、原則として平成22年前期に実
施した科目を対象として実施された。前期授業アンケート実施後のリフレクション・ペーパー
提出者数は、学部専任教員23名中20名、兼担教員 1 名中 1 名、兼任教員11名中 6 名、合計 35
名中27名 77.1%、22年度前期36名中 28/ 名 77.8%に比べて減少したが、他学部と比較して学部
間で一位と高い提出率であった。
3)学部 FD の企画について
(1) 研究に関する研修会
学部内で要望の高かった看護研究として広く適用されている代表的な 3 つの方法をテーマ
に、外部講師と学部内教員による講演を実施した。
① 質的研究法 質的研究の意義・特徴
講師 名古屋大学医学部保健学科 浅野みどり教授
看護学における質的研究の現状、質的研究の具体例・課題、質的研究の発展のために、
質的研究の概念等について、分析の具体例を示して分かりやすく解説された。パラダイム
の異なる学問にもかかわらず、実験的・量的研究の評価基準で評価され、否定・価値を軽
視されることがあること、評価基準が未確立であること、方法論が多様である等にも言及
される内容であった。
② 実験研究
太田美智男教授
実験研究の初歩に限らず良い研究・良い論文を作成するため具体的な研究分野と研究
テーマの分野の選び方から始まり、論文作成、英文論文の作成に至るまでの本質を解説す
る内容であった。
③ 量的研究における統計処理の考え方
後藤宗理教授
統計処理の考え方として、研究で取り上げていることを数字で示すとという根本的問題
から、記述統計と検定の違い、有意水準、有意確立の違い、相関、因子分析等について解
説し、尺度開発における統計的検討にまで深く解説する内容であった。
― 22 ―
(2) 教育に関する研修会
看護教育の研修会は、各教員それぞれの研究分野に限らず、高等教育や看護教育の今後の
あり方、保健師教育などの分野を中心に、若手教員も積極的に参加出来る機会を与えること
を目的に実施した。
① 看護学教育における FD マザーマップの開発キックオフ講演会(千葉大学)
参加者 田中講師、那波助手
中央教育審議会大学分科会による「学士力」、学士課程においてコアとなる看護実践能
力と卒業時の到達目標(教育内容と学習成果)の資料を示して、学士課程における教育の
質保証と責任ある教育システム(大系性・構造性)の構築の意味について報告が行われた。
② 日本看護学教育学会(埼玉市大宮ソニックシティーホール)
参加者西谷直子准教授、社本生衣助手
看護実践能力の育成をテーマに、学士課程教員から「コアとなる看護実践能力」平成
21 年度改正カリキュラムに伴い「看護の統合と実践」
、臨床の立場から「看護実践能力の
育成」、さらに教員養成の現状について報告が行われた。
(3) 科研費取得に向けた研修会
① 科研費採択を目指した申請書の作成
太田美智男教授
科研申請のポイントとして、若手教員向けに具体的に、研究テーマ、研究目的、研究の
背景、経過、研究方法、何をどこまで明らかにするか、研究組織、研究業績等について詳
細に解説がなされた。さらに、平成 23 年度科学研究費補助金「第 1 段審査(書面審査)
の手引」を引用して審査の仕組みを解説する内容であった。
③ 「平成22・23年度科研費採択者」の学部内報告会
井野恭子講師、原好恵助教
平成22・23年度科研費採択者 2 名による採択課題の概要の報告が行われた。
(4) その他
① チーム・アプローチによる地域移行支援の実際 第18回日本精神科看護学会
参加者 熊澤千恵准教授、大嶋光子講師、又吉忍助手
精神科看護における地域移行支援・地域生活支援包括型地域支援生活支援プログラムに
関して精神疾患の具体的な展開から、他の疾患や子ども、成人、高齢者おける地域包括的
支援に繋がる本質的な内容の報告が行われた。
平成23年度 FD 研修会は教授会終了後開催され、30分から時に 1 時間半に及ぶ講演や報告
で充実した内容であった。参加率は70%から90%を超えることもあり、特に若手教員の参加
率が高く、熱心な参加姿勢で、今年度の解説をさらに継続して講演してほしいという感想も
多数みられ、講師を交えた自主的な学習会が開始された例もあり、若手教員を中心に研究・
― 23 ―
教育に関する新しい課題の認識と取組への動機づけとなった。加えて、新設学部で教授層か
らの学びと教員間の相互理解と交流が深められるという成果も認められた。
― 24 ―
Ⅱ 大学教育の質の向上に向けて
1 シリーズ「私の授業論」
2 「授業アンケート調査」
Ⅱ.1 シリーズ「私の授業論」
私の授業論
生活科学部 江崎 秀男
1.はじめに
管理栄養学科の学生が受講する科目の多くは、栄養士必修科目であり、自由選択できる科目
は少ない。これらの必修科目は、40名単位で授業を行うことが義務化されているので、同じ授
業を毎週 3 回繰り返す必要がある。教員にとっては大変であるが、受講する学生は恵まれた環
境にあると思う。必修科目を教える場合、特に全受講生が理解できるように授業を進めること
が重要となるが、学生の基礎学力の差も大きく、授業の進め方に苦労することが多い。私が
2011年度に担当した専門科目として、入門ゼミナール(1 年生)
、食品学Ⅱ(2 年生)
、食品学
実験Ⅱ(2 年生)、食品機能学(2 年生)、専門演習(3 年生)、食品学実習(4 年生)、卒業研究
(4 年生)などがある。個々の科目における授業の実践方法は、
かなり異なっていると思われる。
ここでは、演習科目、講義科目、卒業研究を例にとり、その科目の位置付け、目的、授業の進
め方、またその評価の方法などについて述べてみる。
2.
「入門ゼミナール」という演習科目のなかで
小学校、中学校、また高等学校の教育課程で、学生は何を学んできたか?高校時代に受講し
た科目のなかで、自ら書物や参考となる資料をじっくりと紐解いて、一つの課題に主体的に取
り組む機会があったであろうか?
私が、この管理栄養学科に入学した学生(新入生)に最初に求めるところは、これまでの受
身型の学習は避け、講義を聴くなかで一つの課題を設定し、その課題について学生同士におい
ても自発的・能動的に意見交換を行い、各自の身近な視点からその真髄を探求する学習であ
る。幸い、本学科には、1 年次の前期に「入門ゼミナール」という演習科目がある。私にとっ
ては、この科目を学生がこれからの専門科目をどのように習得していくかのモデルとして捉え
ている。この授業においては、まず受講者同士でどのような課題に取り組むかを討議してもら
う。もちろん多くの場合、学生自身に進行係を務めてもらい、学生一人一人が自分の考えを述
べやすいようにしている。例年、各種食材を用いて加工食品などの“創作的なもの作り”を行
う場合が多いが、同時に使用した食材や試作食品については、その栄養価、嗜好性、機能性、
さらには安全性などについて調べ、その内容を発表してもらう。その後、教員と受講生全員で
討議を行っている。1 年次の演習科目としては少しばかり大変かと思うが、学生は試作品を味
わいながら、結構楽しく討議に参加している。今年度の入門ゼミナールでは、学生とともに名
古屋園芸(中区)を訪れ、各自、一種類のハーブ苗を買い求めた。このハーブを大学内で栽培
し、これらを利用して、創作的なうどん、パン、クッキー、ハーブティーなどを試作すること
ができた。植物を育てることの難しさやその楽しさは、食と健康のエキスパートでもある管理
栄養士にとっても、是非知っておいて欲しいことの一つである。
― 27 ―
3.「食品学Ⅱ」という講義科目のなかで
講義科目の授業の進め方は、難しいところが多い。本来講義科目においては、事前の予習と
復習が重要となる。しかし、現実的にはこれが実施されていない。教室での一回かぎりの聴講
でその内容を習得することは難しく、また忘れることも多い。ここ数年、毎回の講義の最初に
小テストを実施しているが、これは学習意欲の向上に大いに役立っている。8 割以上の受講生
は、かなりまじめに復習を行っており、高得点を獲得している。またこれらの学生は、学期末
の試験においても好成績を収め、両者の間には高い正の相関が認められる。
「食品学Ⅱ」という講義科目のなかで、各種食品素材の特性や成分、さらにはその機能性な
どをただ単に覚えることは、管理栄養士国家試験に役立つが、大学の講義としては寂しい限り
である。昔から伝わる「生活の知恵」の中には、食に関するサイエンスが多く存在する。これ
らの伝承を紐解くところから、この科目への学習モチベーションを高揚させていく。さらに、
これまで疑問視しなかった事柄や現象について、その原因・理由を学生同士で討議してもら
う。また、その結果を発表してもらう。時に、
「あー、そうか。なるほど」という言葉を聴くと、
私自身も非常に嬉しくなる。一方的な授業にならないように、学生との対話も積極的に取り入
れていく。このような授業スタイルで楽しく講義を進めているが、成績評価については厳しく
行っている。教室に居るが、授業に参加していない学生への評価は特に厳しい。期末試験、小
テスト、課題への対応状況、授業への能動的な取り組みなどで総合的に評価している。
4.「卒業研究」指導の楽しさと難しさ
4 年次になると、全員の学生が卒業研究にチャレンジする。私が担当する食品機能学分野で
は、食品化学的な実験が研究の主流となる。学生は、自ら文献調査や教員・大学院生とのディ
スカッションなどを通して研究課題を策定し、その後、実験の遂行、結果のまとめ・考察など
を経て、卒業論文をまとめ上げる。担当する学生(例年10名ほど)の個性は多様であり、その
個性に応じた指導に努めているが、なかなか難しいところが多い。しかし、新しい事実を見出
した時に、ともにその感激を分かち合うなかで、学生自身の主体性や創造性を高めることが出
来ているのかもしれない。これも、「卒業研究」指導の楽しさの一つであると考える。
5.おわりに
私が椙山女学園大学にお世話になって 35年以上が経過しているが、授業の進め方や成績の
評価には今なお悩むところが多く、毎年、試行錯誤の繰返しである。10年、20年、30年前の学生、
そして現在の学生の受講態度や学習意欲は、時代ごとにかなり異なっていると思われる。どの
時代の学生が理想的であると単純に結論付けることは難しいが、各授業を通して、それぞれの
時代(社会)が求める人間像と、個々の学生が大学生活 4 年間のなかで勝ち取っていく理想像
が合致できるように、少しでも手助けができればと考えている。
― 28 ―
私の授業論
国際コミュニケーション学部 藤岡 阿由未
0.はじめに
国際コミュニケーション学部において、筆者が担当する講義は、表現文化学科の専門科目「西
洋演劇論」「パフォーミング・アーツ論」および表現文化学科および言語コミュニケーション
学科の専門科目「英語圏文学を読む A」
「英語圏文学を読む B」の 4 科目である。いずれの授
業も欧米の演劇の発展について、考察することを目的としている。ジャンルの垣根や国境を越
えながら、演劇はこれまで多様な発展を示しており、それが現代劇上演、シェイクスピアやギ
リシャ悲劇など古典の再演、ミュージカル、コンテンポラリーダンス、ポストドラマにまで広
がる、今日の演劇の豊潤さを生み出している。このような現在の豊潤な地表の下には、いった
いどのような地層があるのだろうか。筆者が担当する 4 科目の講義では、その地層を掘り下げ
ていくことにしている。
1.講義の目的
演劇は他ジャンルや異文化との接触によって発展してきたため、その発展を考察すると、お
のずと他分野や異文化へと視野を広げることになるだろう。また、さまざまな作品に接するこ
とにより、その背後の世界観にもふれることになる。さまざまな世界観への理解を深め、受講
生自身の視点を養う―その一助となることが、講義の目的と言えよう。
2.各科目共通の内容―「いま、ここ」という演劇の特色
いずれの講義においても、現在と過去、日本と欧米のあいだを行き来しながら現代演劇の来
歴を探るべく、現代演劇についての批評をできる限り含めるよう心がけている。なぜなら、
「い
ま、ここ」にしか成立しえない演劇は、つねに時代と社会に対して鋭敏な反応を示すという特
色を持っているからである。例えば、2011年東日本大震災後、
「再生」をテーマとした新作が次々
と生まれている一方で、世界の再生をテーマとしたシェイクスピアのロマンス劇や家族の再生
をテーマとしたアメリカ近代劇などの再演も盛んである。新作と古典の再演の両方を取り上げ
て批評することにより、現代の混沌とした状況は、過去に人間が直面した問題にも連鎖するこ
とを理解できるのではないだろうか。
3.各科目共通の方法
① 講義の導入
現代演劇(新作および古典の再演)の上演パンフレットや劇評を提示しながら批評する。
② レジュメ確認
ほぼ毎回レジュメを配布。各回の内容に関連する参考文献、年表、研究書の引用文、戯曲の
あらすじ、戯曲の抜粋、図版等によって構成されている。
③ テーマの提示
はじめにテーマを提示し、各回の講義の到達目標を示す。例を挙げるならば、
「ロマン主義の
世界観を理解する」
「象徴主義の理論と実践を理解すること」
「ブレヒトが叙事的演劇の理論と
― 29 ―
実践を理解すること」
「不条理演劇がイギリスでどのように展開したかを理解する」などがある。
④ 内容の説明
内容の骨子を板書しながら、それを補強する引用文や図版をレジュメによって確認。動画や
図版などの視覚資料を活用し、受講生が具体的に上演をイメージできるよう工夫している。例
えば、
「ブレヒトの叙事的演劇の理論と実践」について説明する場合、以下のように行っている。
(1)関連文献と年表をレジュメで確認 (2) 時代背景の要点を板書→ブレヒト以前としてピ
スカトーアの「叙事的演劇」を紹介 (3) ベルトルト・ブレヒトの理論を レジュメ の引用文
で紹介→要点を 板書 (4)西洋演劇史のドキュメンタリーからブレヒトに関する 動画 を示す
(5)ブレヒト戯曲『肝っ玉お母とその子どもたち』の一部を読み合わせ→ 上演の構想 を促す
(6)ブレヒトの理論と戯曲作品を比較→要点を板書 (7)ブレヒト戯曲上演の録画動画を示す
(8)まとめ→要点を板書
4.科目別の特色
① 「西洋演劇論」「パフォーミング・アーツ論」
近現代の欧米の演劇の歴史に重点を置く。政治史や経済史には記述されない、その時代の人々
の理想や喜び、不安などを反映するものとして演劇史をとらえる。そのような演劇の歴史観を
基礎にして、演劇史上重要な人物(劇作家、詩人、演出家、俳優、音楽家、美術家、建築家等)
や作品(演劇やダンスを含む上演作品、戯曲、詩など)を紹介している。
② 「英語圏文学を読む A」「英語圏文学を読む B」
戯曲作品の分析に重点を置いて、ドラマトゥルギーか 20世紀イギリス社会背景を探る。
「英語
圏文学を読む A」では、20世紀イギリス喜劇を科目テーマとし、喜劇のドラマトゥルギーへの理
解を深めながら、時代との関わりを読み解いている。取り上げる範囲はサマセット・モームから、
現代のパトリック・マーバーやテレビのコメディ番組「ミスター・ビーン」
「リトル・ブリテン」まで。
また、
「英語圏文学を読む B」においては、20世紀イギリス社会・思想劇を科目のテーマとして、
社会・思想劇の、ドラマトゥルギーへの理解を促しながら時代との関連を読み解き、バーナー
ド・ショーからサラ・ケインあたりまでを網羅する。
5.講義の工夫について
学生にとって身近なものに結び付けて、テーマを導入するように心がけている。これまでに
引用した例は、次のとおりである。
・ワーグナーの音楽について、ポップ・ミュージックの引用から導入。
・19世紀末ロシアの劇作家 A・チェーホフについて、村上春樹作『1Q84』の引用から導入。
・喜劇のドラマトゥルギーについて、テレビのお笑いや吉本新喜劇と比較しながら導入。
・リアリズム演劇について、テレビドラマや映画の引用から導入。
6.今後の課題
受講生の反応をみていると、集中して興味を持って聴いている時と興味をやや失っている時
の差があることが感じられる。したがって内容の質向上はもちろんのこと、アンケートの結果
でも指摘のあったように時間配分や講義の緩急についても課題があると思う。毎回の講義が受
講生にとって満足感、達成感のあるものとするために、今後も努力したい。
― 30 ―
私の授業論
―「ケースメソッド」で取り組んできたこと―
人間関係学部 中西 由里
筆者は人間関係学部の創設と共に本学に赴任した。我が国初の学部であった「人間関係学部」
では、設立当初から学部カリキュラムの特色として 3・4 年生向けの「ケースメソッド」とい
う授業を設定していた。「ケースメソッド」がどのような授業であるのかについては別に論じ
たことがあるので(中西、1992)ここでは触れないこととする。
筆者は「ケースメソッド」という授業を 2 コマ担当しているが、そのうちの一つについてこ
こで述べることとする。科目名として「ケースⅠ」とされている授業では、当初は受講生の自
己理解を深めることをねらいとした体験主体の実習課題を取り入れ、最終目標としては受講生
自身の『自分史』を作成することを意図して授業を行ってきた(中西1992)。
その後、授業が通年科目から半期科目に変更になったこともあり、実習課題を見直し、現在
は副題を「対人関係体験実習」として、人間関係の持ち方や自己の覚醒(自己への気づき)を
主たる目的として、実習課題を再構成した。ここで使っている「覚醒」という用語の意味は「気
づき」とほぼ同義である。気づき(awareness)については以下のように定義されている。
倉戸(1992)は、
「気づき(awareness)とは、意識性ともいわれるが『今、ここで』で『地』
から『図』に上ってくる意識の過程をいう。すなわち、身体の内外で起こっていることを感じ
たり、意識することである」と、また、花島(1999)は「気づきとは自己の内界・外界にかか
わらず、今まで意識されていなかった事柄が意識されること」であり、
「さまざまなアプロー
チの中で、新たな自己理解や洞察をもたらすものとして重視されている」としている。つまり、
今まで気づかなかった事柄を自分自身のこととして意識することであるといえる。
「ケースⅠ」では 6 ∼ 7 つの実習課題(体験実習)を通して、受講生自身が自己の中のある
側面を意識したり、退行促進的な課題に取り組む中で現在では忘れてしまっている幼い子ども
時代に有していた感覚等に気づいたりすることをねらいとしている。1 コマ90分の時間では、
やりきることができない課題もあるので、この授業は 2 コマ連続で隔週開講という形態で実施
している。また、課題内容によっては、教室内だけではなく屋外に出て行うこともある。
実習課題の一部は伊東(1983)の著作に紹介されている実習課題を使用している。また、一
部はピア・サポートプログラムとして紹介されている課題(滝、2004)やレクリエーション遊
び(日本レクリエーション協会、1989)に紹介されているゲーム(「人間カメラ」など)や、
心理療法の技法とされているもの(相互スクイグル法 / 山中、2004)も採用している。
特に、授業開始直後は、「non-verbal communication の体験実習」(屋外)と、「集団の意志
決定と集団における個人の役割」(室内でのグループ討論)と題した実習課題を行っている。
前者は、原則として言葉を使わずに、動作と身振りだけで、様々なコミュニケーション課題に
取り組むことで、私たちが日頃どれだけ言語的コミュニケーションに頼っているのか、人間が
持っている五感の中で普段如何に視覚に頼っているのかについて気づくことをねらいとしてい
る。受講生は、たとえば視覚を遮断すること(アイマスクを使用)で、視覚以外の感覚、特に
聴覚や嗅覚がより鋭敏になることに気づく。また、アイマスクを着用していても、屋外で晴天
― 31 ―
であれば日向と日陰を感じることができることにも気づいていく。そして音声言語を使用しな
くても、コミュニケーションを取ることは十分可能であることも発見する。逆に、グループ討
論では、話し合いが上手く進行すると、一人で考えるよりもよりよいアイディアが生まれるこ
とや、自分からみた自分(自己評価)と他者からみた自分(他者評価)が一致しないことを量
的に捉えることで自己について再発見、再認識することができる。
そういった自己への気づきのために、受講生にはなるべく先入観を持たずに、ナイーブな感
性をもって授業に臨んでほしいと考えている。それなので、最近のように授業のシラバスに、
必ず事前学習についても述べるようにと求められることにはとても困惑してしまった。そこで
窮余の策として、今年度のシラバスの「事前学習」の項には、
「なるべく『無我の境地』で授
業に参加すること」というように記した。この「授業論」の原稿に、筆者が担当している一つ
の授業である「ケースメソッドⅠ」について長々と述べたのは、事前学習を求めない授業もあ
るということを知ってほしいからでもある。
また、簡単に他の授業について考えていることも以下に記すことにする。近年パソコンや
AV 機器、IT 技術の進歩により、広く学校現場におけるデジタル化が進んできているが、講
義を担当していると教育にはアナログ的な部分もまだまだ重要なのではないかと感じることも
ある。このことについてはもうスペースがないのでこれ以上触れないでおくが、授業実践の中
で試行錯誤を繰り返しながら考えていきたい。
文献
花島綾子、1999、「気づき(awareness)
」
、氏原寛・小川捷之他編、カウンセリング辞典、ミ
ネルヴァ書房、134。
伊東博、1983、ニューカウンセリング、誠信書房。
倉戸ヨシヤ、1992、「気づき」氏原寛・小川捷之他編、心理臨床大事典、倍風館、365。
中西由里、1992、自己理解のための自分史作成―体験主体のケースメソッドから―、椙山女
学園大学研究論集、第 23 号、第 1 部、207 ― 224。
中西由里、2002、
自己の覚醒を目指した授業実践の試み―「対人関係体験実習」としてのケー
スメソッド―、椙山女学園大学『人間関係学研究』
、人間関係学部改組発足・人間関係
学研究科創設二周年記念号、141 ― 153。
日本レクリエーション協会監修、1989、遊びの大事典(実技編)、東京書籍株式会社。
滝充編著、2004、改訂版 ピア・サポートではじめる学校づくり 中学校編、金子書房。
山中康裕、2004、なぐり描き法(スクリブル法、スクイッグル法、MSSM 法など)
、氏原寛他編、
心理臨床大事典、培風館、396 ― 397。
― 32 ―
私の授業論
文化情報学部 脇田 泰子
大学に身を置き、3 年目を迎えた。個人的には、
「ようやく」3 年目という感慨とともに、学生との
接し方や大学文化にも少しは慣れてきたような気もする。しかし、このように何とも大仰なタイトル
の文章を書くよう指名され、それに値するだけの経験や実績を積んできているのか、改めて自問して
も、肝心の“自答”が見つからない。挙句、なぜ断らなかったと後悔したり、さらには、そんなひよっ
こに立派な話が書ける資格も、力量も、あるはずがないと思っていただけるのでは、と甘えが浮かん
できたり。しかし 3 年目の分際で、それこそエラそうに開き直ったり、或いは、できもしないことを
論じたりしてみても何の役にも立たないに違いない。ならば、この 3 年間の教壇での自分を振り返り、
自らへのメッセージとして書くことにした。
今なお強く印象に残るのは、教員として初めて教室に入った「ジャーナリズム論」の第 1 回のガイ
ダンスでの出来事である。私の前任者である大木圭之介先生が、1 年後に定年退職されるため、オム
ニバスで担当することになった。先生が履修学生を前に、自分はあと一年で定年を迎えるので二人で
分担して授業を行うと説明され、
「では脇田君、あ、違った、脇田先生、自己紹介を」とマイクを渡
してくださった瞬間が、私の“大学授業デビュー”になった。
私は大学という場でこそ教えるのは初めてだが、フリーのジャーナリストとして、小学生から大人
まで、様々な生徒を教える経験を重ねてきた。100人以上の聴衆を前に 1 コマ分と同じ 90 分間の講
演をする機会も何度となくあった。その前の仕事は、大木先生と同じ NHK の放送記者でその後、出
版社で本や雑誌づくりにも携わった。報じるべき事柄を選別・吟味し、電波と活字の違いこそあれ、
メディアを通じて不特定多数の視聴者や読者にできるだけわかりやすく伝えていくのが本来業務であ
る。教員には伝えるべき相手が目の前にいるが、要諦は共通する。よって大学の授業も、これまでの
仕事の延長線上にあるはず、と自ら言い聞かせていた。
多人数の授業でマイクを使うのも私には幸運に思えた。どうしよう、まだ無理、逃げたい!と思っ
ても、放送も時間が来れば、生中継は容赦なく始まってしまう。番組のレギュラー担当時代は、海外
情報も含めて毎週、何時間も生で伝えたり、インタビューしたり、カメラの向こう(で見ているはず)
の何百万人に、的確に、できるだけ違和感のない、自然な流れで話していく。伝えながら、次を考え、
考えながらも、口は常に淀まず、という作業の唯一のお供はマイクだった。これを持ったら通常の 2、
3 倍は頭の回転が速まって話し始める反射神経のようなものが、いつの間にか身についたのではない
か。誰も助けてくれず、一人で耐えるしかない場に臨む緊張感と集中力は今、思い出しても素直にそ
う言えるほど、高かった。
一瞬の間の説明が長くなったが、状況はやはり、甘くなかった。大木先生ご定年との突然の“カミ
ングアウト”に大教室中が、えー、うっそー! やーだー!!とハチの巣をつついたような騒ぎになっ
たからだ。ある程度、予想できたとはいえ、眼前で展開する彼女たちのリアクションが無防備なだけ
に一層、私にはショックだった。決して自己紹介のタイミングを逸したからでなく、私だって同じ気
持ちなのにと俯きながらも、これこそが今後、私が自分で乗り越えていかなければならない現実だ、
と置かれた状況の多難さに愕然とした。教員としての生活は今、まさに始まったばかり、
「授業」で
示していくよりほかに道はない、学生にも申し訳が立たない、と自分を奮い立たせた。そういえば、
大木先生が授業中、よく仰っていた言葉がある。
「君たちは、この授業を受けるのに、いったいいく
― 33 ―
ら払っていると思うのか。休んだり、騒いだり、寝ていたりしたら、お金をどぶに捨てているような
ものだ。授業が面白くなかったり、難しくて判らなかったりしたら、遠慮なく言えばいい。直接言え
ないなら教務課に言ってもいい。それが教員と学生とのあるべきコミュニケーションだ」と。そう、
学生にとっては、授業料に見合う成果が得られているかどうかが全てである。私の“授業論”を見つ
ける闘いが始まった。
大木先生を見習って 3 年間、欠かさず、続けていることがある。毎回の配付プリントに切り取り線
を引き、学生に授業で扱ったテーマに対する意見や感想を書かせ、出席票として提出させるのである。
ことさらジャーナリズムやメディアを扱う授業には「正解がない」ことが多く、
「どう考えるか」の
方が大切になる。したがって教員の考えを押し付ける代わりに、
「考えさせる」ことが重要で、学生
も考える習慣を身につけるにつれ、授業への興味や関心を深めていける。学生が書いたものはできる
だけ丹念に読み、
翌週の授業で紹介する。多人数の科目では決して楽ではないのだが、
これは、
私にとっ
ての闘いの一歩だと思い、今後も続けるつもりである。不思議なことに、これを続けて授業を進めて
いくうちに、学生の文章力が向上してくる。人数が少ない場合は学生同士の議論が可能になり、表現
力を養う上でも効果があると感じている。但し、紹介回数の多い学生はどうしても固定化しがちで、
試験の成績でも上位を占める傾向は否めない。この方法のもう一つのメリットは、学生を知ることに
つながる点だ。座席指定して読み上げるから、座席表を確かめれば、学生の顔や雰囲気も判ってくる。
大木先生には“閻魔帳”ともいえるノートがあった。期末試験の点数は勿論、授業中の態度(寝てる、
化粧、うるさい、まじめ)から感想の書き方(ずさん、わからん、裏までびっしり、最後まで残って
書いていた)など、個々の学生の具体的な状況がメモされ、ゼミ生選びの際も参考にされたという。
考える重要性の先にあるのは「自ら課題を作る」ことではないか。教員が問題を出し、学生が答え
を出す、一方的なやりとりだけでは、大学における教育とはいえない。これも大木先生とよく議論し
たテーマで、それが最も求められるのが「卒業研究」である。企業に入れば、いちいち問題を出して
くれる上司などいない。今春、卒業したゼミ生が NHK の記者になり、金沢局で新人生活のスタート
を切ったが、マスコミ関係に進めば、東日本大震災や原発事故、そうでなくても日々の事件や政治の
混乱など、ニュースは次々に容赦なく起きる。しかし、それをただ追いかけるだけでなく、そこに自
分で課題を見つけなければ、真の「情報」にはならない。メディア出身の教員としては、学生時代か
ら「問題を自分で作る」
、
「課題を見つける」訓練を施さなければならないと思っている。最初の 1 年
間は大木ゼミと合同で授業を行ったが、学生が社会にいかに関心を持ち、その中で卒論のテーマをど
う見つけていくか、時間がかかっても個々の相談に乗り、本人がある程度の答えを出してきた処で、
執筆に取りかからせた。また毎年、締め切り直前に提出する学生がいるという特徴も、しっかり引き
継いでいる。
好きなように脇田ワールドを築いていくように。いい加減にやってきた小生の後だから何の心配も要
らないよ、と学園最後の日に言われたことを思い出す。これぞ、大木流、と私は思った。いい加減さで
いうなら、不肖の弟子が平気で師匠の上を行くのを、見抜いた上でのお言葉だからである。いい加減で
いいよ、と敢えていうことで、それじゃあダメだろう、と相手に思わせ、気づかせる。学生を見つめ、
最も合った方法でやる気を引き出す教授法。改めて考えると、これが私自身の授かった一番の極意であ
り、これからの目標でもある。今でもふと迷ったり、わからなくなったりした瞬間、大木先生だったら、
どうされるんだろうと思うことがある。そうやって一度、立ち止まり、想像してみてから、自分なりに
答えを出していく……何年か後になって改めて、このテーマで考える機会があっても、私はまた、あの
一年目の鮮烈な原点に立ち戻ろうとすると思う。それが「私の授業論」なのかもしれない。
― 34 ―
私の授業論
現代マネジメント学部 堀竹 学
1.はじめに
私が担当している科目は、法律学の中の民法です。民法は、私法の一般法といわれ、日常生
活や経済活動に広く使われる重要な法律です。具体的には、各種契約、事故における損害賠償
請求等の財産法や、婚姻、相続等の身分法(家族法)を扱います。この民法を学ぶこと(民法
だけでなく広く法律を学ぶこと一般に言えるのですが)は、法制度を覚えることだと思われが
ちですが、それだけでなく、論理的に思考することが重要です。また、法律を専門に勉強しよ
うと思わなくても、論理的思考力を身に付けることは、他の分野でも非常に重要です。そこで、
民法を学ぶことを通して、覚えるだけでなく、むしろ、じっくり考えることを意識して学んで
もらうように講義しています。以下では、その具体的内容について示したいと思います。
2.基本事項の理解
論理的思考が最も必要とされるのは、法解釈の場面です。そして、この法解釈をする必要が
生じるのは、法律の条文に細部まで規定されておらず、あらゆるケースに条文がそのままあて
はまらないことがあるからです。したがって、論理的思考が重要とはいえ、まずは、その法解
釈をする必要を生じさせた条文を理解しなければなりません。また、法解釈においては、異な
る法制度の比較から考えることがよくあります。以上より、基本事項である民法の条文(法制
度)を理解してもらうことが出発点になります。
3.論理的思考の養成
次に、法解釈する必要が生じた場合について、いかに考えるかを講義します。ここが講義の
中でハイライトだと思っています。実際に、今までの経験上、講義をしていて受講生が向学心
を持っていると感じるのは、思考の過程をたどり、結論まで到達して、理解できたときでした。
そこで、結論までに至る私の思考の過程を受講生にもたどってもらい易く解説することに気を
配っています。受講生自らも思考の過程をたどることで、理解し、記憶にも残り易くなってい
るように感じています。最終的には、制度の体系的理解、問題の所在の認識、論理的思考によ
る規範定立、定立した規範を事例に当てはめることによる結論の提示、結論の妥当性の検証等
を各受講生ができるように伝えていきたいと思って、講義しています。そうすることで、法律
に限らず、他の分野にも通じる幅広い知識の獲得、課題発見能力の養成、課題解決能力の養成
ができるものと考えています。
4.ゼミにおいて
上記の論理的思考を養成するには、ゼミが最も適しています。大講義室の講義では、こちら
が一方的に話し、受講生から回答を得ることが、人数の関係もあり困難です。それに対し、ゼ
ミでは、少人数なので、座席をコの字型に配列して、こちらから受講生個々に質問し、各受講
生から回答を得られます。いわゆるロースクールで行われているソクラテス・メソッドです。
この対話形式が論理的思考をじっくりたどるのに適していますし、また、受講生の回答により、
― 35 ―
まだ理解が完全でなく、論理的に矛盾した思考をしている場合には、修正をするように指導で
きるからです。理解していたことを確認するよりも、間違って理解していたことを修正される
方が、はるかに受講生の思考力向上に資することは当然だと思われます。
また、ゼミだけでなく、少人数の講義の場合にも、このように対話形式で講義を進められま
すので、それを実行しています。
5.講義において
大講義室での講義においては、人数の関係もあり、対話形式の講義はできませんので、私か
ら一方的に、基本事項、法解釈(ときに、立法論)を伝え、論理的思考を養成するようにして
います。ここでも、一方的とはいえ、各受講生が頭の中で論理的思考をできるように、難しい
ところは、ゆっくり、繰り返し伝えています。また、視覚的に認識して、理解しやすくするた
めに、黒板に関係図、表を書き、その図・表を使って講義しています。
― 36 ―
私の授業論
―今、保育・教育を目指す学生たちに求められていること―
教育学部 朴 信永(パク シニョン)
椙山女学園大学に来て一年が経ちました。前任校より名古屋に移ってきて過ごしたこの一年
間、私自身にとって新天地の学生たちとともに「挑戦」してきた日々でした。若輩の私にこの
ような機会が与えられたことを心より光栄に思いながら、保育士・幼稚園教諭養成校で教えて
きた 5 年間を振り返ってみたいと思います。
現在、保育・幼児教育界は、子ども・子育て新システムの法制化という大きな変化の時期に
あります。このような保育分野の激動の時に真にすぐれた保育者・教育者を養成するために、
下記の 2 つを重視してきました。
一つ目は、多様な経験の上に培われる実践的な研究力です。保育や教育を目指す学生層は、
卒業後の進路をしっかり見据えた選択を行っているかにみえます。しかし、その実、「子ども」
というものに対するイメージを先行させて実態と遊離している感覚を持っており、また職業と
してのそれとはズレを有しています。すなわち、入学者のほとんどが子ども大好きで保育者へ
のある種の憧れをもっているのですが、保育職についてはあまり理解していないというケース
が少なくありません。このようなギャップを埋める手段として、教育学部の新入生を対象とし
た「幼児理解の理論と方法」という授業では 2011 年度後期、附属幼稚園で幼児の観察記録を、
2 月にはプレ実習を行いました。学生たちは子どもが大好きと言いながらも、実は今まで幼児
の子どもたちと関わった経験がほとんどありません。戸惑いながら、附属幼稚園の先生方のこ
とを女神のようにただ見つめていました。多くの学生は保育者・教育者を目指すと宣して学生
生活を送っていますが、その夢の実現のためには幼児を観る視点や、保育者としての心構えな
どを温かい目でみて教えてあげる必要があるのかもしれません。学生たちには附属幼稚園だけ
でなく、1 年の時からたくさんの園を見せたいと考えております。映像で紹介することも多い
ですが、刺激を受けた学生は休みの日にボランティアに行ったりもしています。この春休みに
は 1 年生が山口県まで保育体験に行ったと報告がありました。外を観ることで刺激を受け成長
できるのは、学生だけではありません。学生が観察実習後大学に戻り様々な疑問をぶつけ合う
ように、保育所や幼稚園の先生方も外部の園を見学し関わってみることで、お互いの保育に刺
激を受け合い、保育の質を一層高めていくことができるのではないでしょうか。
2011年夏は教育学部の14名の学生たちとともにオーストラリア・シドニーに 1 ヵ月間滞在し
ました。日本とは違う気候、文化、言葉、環境の中で学生たちの力だけで乗り越えるように導
くことは容易いものではありませんでした。しかし、学生の変化に気付きつつも手をださない
ことで、学生はより大きく成長するということを身をもって経験することができました。学生
たちとの面談、感想カードより学生自身が「海外教育研修」に対して満足しており、何より一
人ひとりが成長を自覚していることが窺えました。普段実習業務を担当させていただいている
筆者としては、今回の研修は実習以上の効果を出していると思い驚きました。大学生活を通し
て学生一人ひとりが「私は変わった!」と思える経験はそんなに多くはありません。
「海外教
育研修」を通して学生たちがこれほど変化し満足している理由として次のようなことが挙げら
― 37 ―
れます。第一、ホームステイ先での戸惑い、不安などを自分の力で乗り越えようと頑張ったか
らです。第二、ほとんどの学生がコミュニケーションの問題を感じますが、これらは英語力の
低さだけから生じるものではありません。学生たちは外国で人とどのように接すればいいか本
気で悩み、その時の周りの仲間の存在の重要性に気付くことになります。そこには常にピアサ
ポートの効用をみることができました。第三、シドニーの日本語学校および小学校、幼稚園、
保育所で実習を経験し、外国の教育制度について「活きた知識」を得ることができたからです。
本当に有用な「知」
、真の「学び」は、教えてもらえる学校知だけでは不十分です。それを使
いながら、さらに自らの知見を重ね、自らの中で再構築し、自分のものにしていけるようにサ
ポートしていきたいと思います。
二つ目は、保育者・教育者としての発信力を養うことです。今、保育の分野は平成 25 年度
を目途に様々な変化が予想されています。それでなくても保育や子育て支援に務める者は日々
の教育情報をキャッチし、子どもたちと保護者のために発信していく義務があります。しかし、
NHK 放送文化研究所が実施した調査によれば、20代の新聞購読率は 21%(2005 年)です。新
聞以外のメディアで情報を取得している者も多いとは思いますが、学生たちが新聞を通して考
える力、情報を正しく判断する力を身に付けてほしいと思い、
「新聞投稿」の取り組みを始め
ました。今年は保育・初等専修 1 年82名中、30名(36.6%)の投稿文章が採択され、各種新聞
。何ら
に掲載されました(詳細は http://www.edu.sugiyama-u.ac.jp/news/2012/03/1 ― 2.html)
かの取り組みが成功するためには、適切な指導とともに、学生一人ひとりに「やって本当によ
かったぁ!」という喜びが伴わなければなりません。学生が新聞投稿をすると新聞社から電話
がかかってきます。初めての新聞社からの電話に対して学生は嬉しくてたまらない様子です。
幼保一体化や子育て支援などの保育関連情報に敏感に反応し、今の保育をメディアを通して見
つめ直す経験ができれば幸いです。
2011年度は入試委員として教育学部に入学するために高い倍率の競争を戦う学生たちを選考
する過程にも関わらせていただきました。‘大学の質は授業の質である’ということを忘れず、
楽しくそして一人ひとりの学生にとって忘れられない授業を目指したいと思います。面白くて
たまらない授業、何があっても休みたくない授業、厳しいけど自ずと頷ける授業、こころから
そう思える授業をしたいものです。
「保育・教育学」とは、協働学ではないかと思うことがあります。どの学科よりも密度の高
いコミュニケーションが求められます。附属学校を含め、組織の一員として教育しているのだ
ということも、保育・教育を教える者として大事にしたいことの一つです。もうひとつ、円滑
な授業進行の背景にはたくさんの事務関係者の方々のご苦労があるということもわかるように
なりました。最後になりましたが、この場をお借りしお礼を申し上げたいと思います。
― 38 ―
私の授業論
看護学部 菅屋 潤壹
私の研究の分野は生理学という人体の機能を扱う分野である。この分野で約30年間教育を担
当した。本学看護学部に移ってからは、生理学とこれに関連したいくつかの科目の授業を担当
している。これらの科目では、学生はいずれも国家試験という到達目標をかかえて膨大な知識
を習得する必要があり、しかも、関連した教科を数多くかかえて多忙ななかで勉学しなければ
ならない。ここでは、おもに本学で経験した 2 年間の授業について述べたい。
授業の理念
理念というほどの大げさなものではないが、自分の学生時代の経験にもとづいて学生の側に
立ったときの分かり易い授業を目指している。具体的には、学生が毎回の授業、さらにはその
科目についてその全体像を把握できるような内容になるよう心がけている。つまり、細部にこ
だわらず、高い見地にたって学問を展望する姿勢が身につくような授業を考えている。必要最
低限の知識を与えることで、学生に論理的な思考を発展させることを期待している。授業はも
ちろん知識を教授することになるが、単に知識を暗記させるのではなく、その知識を理解して
多様に応用できるだけでなく、知識を統合して新しいものを創造する能力を身につけることに
つながる授業にすることが理想である。医療情報は日々更新され、常に新しい知識を身につけ
る必要があるが、学ぶべき知識は膨大となるので、それに対応するには暗記だけでは対応でき
ないことを理解させたうえで、このような状況に対応するための勉学術を身につけもらうこと
が目標なのである。
授業の方法
医学系教科では理解を助けるために図表を用いるのが常識であり、私も以前から講義録とと
もに図表をプリントして配布していた。その手間を考えて IT 機器が一般化した早い時点から
PowerPoint などソフトウェアによるプレゼンテーションに切り替えている。90分の授業で解
説や図表を加えた画像を通常20 ∼ 40枚程度準備している。最初の画像にはその授業の到達目
標を明示し(本学では省略している)、最後の画像には授業内容に関連した課題とキーワード
を提示している。課題には少し工夫を凝らし、二つのタイプの問題を含めている。一つは、復
習のためであり、難解な、あるいは重要な内容の項目について知識を整理し、自力でまとめる
ための問題であり、もう一つは、その日の授業内容を外れて他教科の知識を必要とするもので、
統合的な能力を養うための発展的な問題である。私としては後者の問題に取り組んで欲しいが、
実際学生はこれらの問題は苦手である。
この PowerPoint の画像は資料として配布しており、学生には授業時に持参してノートとして
使ってもらっている。授業前に配付資料として PDF 化したものを S*map にアップロードして
おいて、学生には授業までに各自でダウンロードしてもらっている。この資料は予習と復習に
も役立ててもらうことを意図しているが、この試みは成功しているとはいえないようである。
授業で使う PowerPoint の画像には通常の教科書的な図を貼り付けるだけでなく、視聴覚教
材にあたるものを自前で作成して貼り付けてある。現在は、音声、動画画像、web 画像など
― 39 ―
をリンクして見せているが、将来は臓器の構造を三次元的に構築した画像なども観察させるこ
とを考えている。このような視聴覚教材は操作に時間を要し、授業時間を浪費するが、あらか
じめ PowerPoint に取り込んでおくことで手際よく再生できる。いずれにせよ、本学では S *
map というよく考案された教育システムが整備されているので資料の作成や配布にはたいへ
ん便利である。
授業中の私語について
最近授業中の私語が話題になっている。私の経験では、学期始めにはとくに私語が多く、2
∼ 3 回大声で怒鳴ることもある。授業は静かに聞くべきで、大きな私語は授業を聞く意志のあ
る学生に迷惑であること、またこれは授業をする側から見れば授業の進行を妨げることになり、
授業の妨害行為であることなど何度も諭す。ふつうは授業の回数を重ねるうちに沈静化する。
“駅での街頭演説”のごとく大声で怒鳴りながらの授業を余儀なくされると、予定した授業内
容が消化できなくなることもあり困っていた。ところが、別の理由により授業室で指定席をと
らせたところ、全く予想しなかったことであるが私語が完全に止まってしまった。
私語の原因は単純なものではないだろう。私の授業では、内容の工夫と、学生の集中力を維
持させるような工夫により、改善を心がけている。自分の授業が学生側からどう評価されてい
るかを知ることは必要であるが、これを教員自身が客観的に分析するのは容易ではなかろう。
私は難解な内容を避け、日常的なやさしい言葉で、かみ砕いて解説することと、前述した視聴
覚教材の使用を心がけて来た。いずれにせよ私語の課題は教員自身の FD を伴うものとして努
力を怠らないように心がけている。学生の集中力については少し客観的に分析できる。学生は
一般に授業の本筋から逸脱した内容に触れると目を輝かせて一斉に集中する傾向がある。授業
にはこのような脱線を混えながら進めることで授業中の集中力をある程度維持させることがで
きる。これは実質的な解決策ではあろうが、授業には到達目標がある以上この方法にも限度が
ある。証拠はないが、最近の学生の集中力の低下には基礎学力が不足して授業の内容が理解で
きないことも関わっているように思われてならない。これは教育制度の根幹に触れる大問題で
あるが、教員個人としても学力不足を支援する試みを考えていかねばならないだろう。
私は、基本的には授業中は学生にとって自由があってよいと思っている。私語は完全になく
すべきとは思っていない。小声なら授業の内容を隣の学生と確認したり、議論することは、理
解を深めるためにはあってよいであろう。しかし、問題は他人に迷惑を与える私語である。も
うこれはモラルの問題になる。
いずれにしても、私にとっては思いがけない事件により私語の問題が解決されて、気の抜け
た感は免れない。しかし本質的な問題が解決されたわけではなく、今後も再燃しないとも限ら
ない。そうならないことを期待しつつ、授業の質の向上に向けてなお一層の努力を心がけたい。
おわりに
意図したわけではないが、上に述べた私の授業法は結果的に教科書がなくとも学習できる様
式を確立した。しかし、私は教科書不要を主張するのではなく、むしろ逆に教科書(専門書も
含めて)こそ学習手段として必須のものであると思っている。
最近の教科書は良質のものが揃っ
ており、理解し易く工夫されたものも多い。学問の完全な理解には教科書が必要である。授業
はそこに至るのを支援する手段であるともいえる。最近の学生は本を読まなく(読めなく)なっ
― 40 ―
ているので、授業が教科書を読破するための入門講座となれば意義は大きい。
以上、看護学部で行っている生理学を中心とした授業に関する私見と方法について紹介させ
て頂いた。かなりの独断もあると思うが、教育学を学んでいない教員の独り言としてお許しい
ただければ幸いである。
― 41 ―
Ⅱ.2 「授業アンケート調査」
北岡 崇
平成 23 年度前期「授業アンケート調査」の実施について
1.平成 23 年度前期授業アンケート実施状況について
平成 23 年度の全学的な授業アンケートは前期授業を対象に、しかも今回は、原則、昨年と
同じ科目に関しアンケート調査を実施した。受講学生が変化しているとはいえ、こうすること
で、昨年度アンケート調査に協力いただいた各教員に、教室経営や授業の仕方等に関し昨年来
自ら行なった努力、工夫の効果の一端は、自覚していただけると考えたからである。
従って実施予定科目数は、各授業区分ともに実施予定科目を大幅に絞り込んだ昨年同様少な
く、さらに今回は担当科目変更のためアンケートを実施しないなどの要因も加わり過去最少、
総科目数 697 科目であった。(表 1)
全科目のアンケートの返却率(マークシート回収分)は、平成 19 年度以来平成 22 年度まで、
逓減傾向をたどってきたが、今回は、微増に転じ 91.5% であった。(表 2)
実施教員数については、全学的には、専任・兼旦・非常勤ともに 91% 以上を維持しており、
学部別に見た場合も、85.1% の教育学部以外の全学部が 91% を超え、全体として高い教員実
施率を維持している。ただ、教育学部専任教員の実施率 77.8% の低さは他と比べるとやや目立
つ(表 3、表 4)
最後の表から見て取れることであるが、専任教員担当の実施予定科目 405 科目の実施率が
87.9% であるのに対し、非常勤教員担当の実施予定科目 292 科目の実施率は 96.6% である。
FD 活動の意義をあらためて周知し前者の実施率を上げることで、全体の実施率をさらに上昇
傾向に転じることができる。またここでも、教育学部の専任教員担当の実施予定科目の実施率
70.5% の低さは他と比べるとかなり目立つ。(表 5)
●本実施期間:平成 23 年 6 月 27 日㈪∼ 7 月 3 日㈯
●予 備 期 間:平成 23 年 6 月 20 日㈪∼ 6 月 25 日㈯
平成 23 年 7 月 4 日㈪∼ 7 月 9 日㈯
●表 1−実施予定科目数
年度
講義科目
演習科目
外国語科目
実験・実習科目
計
H23 前期
393
122
145
37
697
H22 前期
428
146
150
41
765
H21 後期
521
219
256
53
1049
H20 前期
532
222
277
70
1101
H19 後期
505
174
227
57
963
H18 後期
515
190
220
53
978
H17 後期
512
182
216
63
973
H17 前期
550
187
219
58
1014
H16 後期
505
171
218
70
964
H16 前期
518
197
232
68
1015
― 42 ―
●表 2−実施科目数と返却率
年度
講義科目
演習科目
外国語科目
実験・実習科目
計
H23 前期
365
92.9%
101
82.8%
139
95.9%
33
89.2%
638
91.5%
H22 前期
390
91.1%
124
84.9%
147
98.0%
34
82.9%
695
90.8%
H21 後期
483
92.7%
190
86.8%
243
94.9%
45
84.9%
961
91.6%
H20 前期
500
94.0%
195
87.8%
271
97.8%
58
82.9%
1024
93.0%
H19 後期
486
96.2%
151
86.8%
220
96.9%
46
80.7%
903
93.8%
H18 後期
489
95.0%
153
80.5%
214
97.3%
46
86.8%
902
92.2%
H17 後期
472
92.2%
167
91.8%
205
94.9%
52
82.5%
896
92.1%
H17 前期
491
89.3%
166
88.8%
216
98.6%
40
69.0%
913
90.0%
H16 後期
461
91.3%
162
94.7%
205
94.0%
64
91.4%
892
92.5%
H16 前期
501
96.7%
193
98.0%
224
96.6%
60
88.2%
978
96.4%
●表 3−実施教員数(全学部の実人数。ただし、兼担と非常勤の場合は重複カウント)
年度
専任教員
兼担
非常勤
計
H23 前期
175 / 191 名
91.6%
16 / 17 名
94.1%
239 / 249 名
96.0%
430 / 457 名
94.1%
H22 前期
177 / 189 名
93.7%
15 / 16 名
93.8%
254 / 267 名
95.1%
446 / 472 名
94.5%
H21 後期
145 / 153 名
94.8%
27 / 28 名
96.4%
242 / 254 名
95.3%
414 / 435 名
95.2%
H20 前期
155 / 162 名
95.7%
32 / 33 名
97.0%
258 / 270 名
95.6%
445 / 465 名
95.7%
H19 後期
142 / 151 名
94.0%
44 / 44 名
100%
219 / 225 名
97.3%
405 / 420 名
96.4%
H18 後期
140 / 143 名
95.4%
29 / 31 名
93.5%
226 / 233 名
97.0%
395 / 407 名
97.1%
専任(含む兼担)
非常勤
計
H17 後期
145 名
229 名
374 名
H17 前期
137 名
222 名
359 名
H16 後期
146 名
227 名
373 名
H16 前期
152 名
226 名
378 名
― 43 ―
●表 4−実施教員数(学部別の実人数。ただし、兼担と非常勤の場合は重複カウント)
年度
学 部
専任
兼担
非常勤
計
部
27 / 28 名
96.4%
6/7名
85.7%
56 / 61 名
91.8%
89 / 96 名
92.7%
国際コミュニケーション学部
27 / 28 名
96.4%
8/8名
100%
75 / 77 名
97.4%
110 / 113 名
97.3%
人 間 関 係 学 部
28 / 31 名
90.3%
0/0名
22 / 22 名
100%
50 / 53 名
94.3%
文 化 情 報 学 部
25 / 27 名
92.6%
1/1名
100%
38 / 38 名
100%
64 / 66 名
97.0%
現代マネジメント学部
24 / 26 名
92.3%
0/0名
18 / 20 名
90.0%
42 / 46 名
91.3%
教
育
学
部
21 / 27 名
77.8%
0/0名
19 / 20 名
95.0%
40 / 47 名
85.1%
看
護
学
部
23 / 24 名
95.8%
1/1名
100%
11 / 11 名
100%
35 / 36 名
97.2%
175 / 191 名
91.6%
16 / 17 名
94.1%
239 / 249 名
96.0%
430 / 457 名
94.1%
生
活
科
学
H23 前期
計
●表 5−平成 23 年度前期授業アンケートの学部別実施率
学 部
生
活
科
学
部
専任教員
83
62
145
実施科目数
76
57
133
91.6%
91.9%
91.7%
62
77
139
57
76
133
91.9%
98.7%
95.7%
57
22
79
49
22
71
86.0%
100.0%
89.9%
58
54
112
53
54
107
91.4%
100.0%
95.5%
実施予定科目数
55
21
76
実施科目数
51
19
70
92.7%
90.5%
92.1%
61
43
104
43
41
84
70.5%
95.3%
80.8%
29
13
42
27
13
40
93.1%
100.0%
95.2%
実施予定科目数
405
292
697
実施科目数
356
282
638
87.9%
96.6%
91.5%
実施予定科目数
国際コミュニケーション学部 実施科目数
実施率
実施予定科目数
人 間 関 係 学 部 実施科目数
実施率
実施予定科目数
文 化 情 報 学 部 実施科目数
実施率
実施率
実施予定科目数
教
育
学
部 実施科目数
実施率
実施予定科目数
看
護
学
部 実施科目数
実施率
合 計
合 計
実施予定科目数
実施率
現代マネジメント学部
非常勤
実施率
― 44 ―
2.
「授業についてのアンケート調査」結果を踏まえた授業評価について
(リフレクション・ペーパーについて)
平成 23 年度の「リフレクション・ペーパー」提出率は全体で 62.1% であり、前年度の
72.4% や平成 20 年度の 70.0% と比べるとかなり低い。しかし、前年度や平成 20 年度の提出率
の高さは、「リフレクション・ペーパー」提出の再依頼に対する回答分を含めた上での高さで
ある。すなわち、この回答分が提出率を 15% ほど高めている。今年度は、再依頼を行なわなかっ
たにもかかわらず提出率 62.1% に達したが、これは、原則 2 年継続して同じ科目に対する調査
を行なったという今年度に固有の事情が、各教員にリフレクションを促したからであろう。
少し詳しく見てみよう。平成 18 年度以降の専任教員の提出率の推移から、
「リフレクション・
ペーパー」提出を FD 活動の一環として捉える認識が本学の専任教員の間に浸透してきてはい
るものの、その浸透の度合いは頭打ちの状況にあることを見て取ることができる。
「リフレク
ション・ペーパー」の提出率に限った話ではないが、リフレクションの重要性、つまりただア
ンケート結果を見るだけでなくその結果をどのように受け止めその結果に対しどのように対応
していくかを考えることの重要性への認識を、今後の全学 FD 活動を介し、特に本学の専任教
員の間に浸透させていく必要がある。(表 1)
学部間のばらつきは相変わらずかなり大きい。専任教員の提出率が最も高いのは看護学部の
87% で、最も低いのは人間関係学部の 42.9% であった。今後の改善が望まれる。非常勤教員
の返却率 61.5% も、非常勤の教員が専任教員並みに真剣に学生たちに向き合ってくれているこ
とを示しており、好ましいことである。(表 2)
「リフレクション・ペーパー」と同時に、授業アンケート実施に関する教員からの意見書も
提出いただいている。提出いただいた意見書の枚数は 120 枚であった。意見書の提出を再依頼
した昨年度の 128 枚には及ばなかったが、アンケートの項目に関する意見や、実施時期に関す
る意見など、多くの有益な意見が寄せられている。今後の全学 FD 活動の参考としたい。
(表 3)
●表 1−提出教員数及び提出率(全体の実人数。ただし、兼担と非常勤の場合、重複カウント。)
年度
専任
兼担
非常勤
計
H23 前期
112 / 175 名
64.0%
8 / 16 名
50.0%
147 / 239 名
61.5%
267 / 430 名
62.1%
H22 前期
※ 133 / 177 名
75.1%
10 / 15 名
66.7%
180 / 254 名
70.9%
323 / 446 名
72.4%
H21 後期
69 / 145 名
47.6%
7 / 27 名
25.9%
153 / 242 名
63.2%
229 / 414 名
55.3%
H20 前期
※ 100 / 155 名
64.5%
38 / 42 名
90.5%
180 / 257 名
70.0%
318 / 454 名
70.0%
H19 後期
77 / 142 名
54.2%
27 / 44 名
61.4%
116 / 219 名
53.0%
220 / 405 名
54.3%
H18 後期
46 / 140 名
32.9%
6 / 29 名
20.7%
90 / 226 名
39.8%
142 / 395 名
35.9%
※再提出依頼に対する回答分を含む。
― 45 ―
年度
専任
非常勤
計
H17 後期
50 名
110 名
160 名
H17 前期
48 名
133 名
181 名
H16 後期
66 名
104 名
170 名
H16 前期
73 名
128 名
201 名
●表 2−提出教員数及び提出率(学部別の実人数。ただし、兼担と非常勤の場合、重複カウント。)
年度
学 部
専任
兼担
非常勤
計
部
19 / 27 名
70.4%
2/6名
33.3%
36 / 56 名
64.3%
57 / 89 名
64.0%
国際コミュニケーション学部
18 / 27 名
66.7%
4/8名
50%
49 / 75 名
65.3%
71 / 110 名
64.5%
人 間 関 係 学 部
12 / 28 名
42.9%
0/0名
16 / 22 名
72.7%
28 / 50 名
56.0%
文 化 情 報 学 部
18 / 25 名
72.0%
1/1名
100%
20 / 38 名
52.6%
39 / 64 名
60.9%
現代マネジメント学部
13 / 24 名
54.2%
0/0名
11 / 18 名
38.1%
24 / 42 名
57.1%
教
育
学
部
12 / 21 名
57.1%
0/0名
9 / 19 名
47.4%
21 / 40 名
52.5%
看
護
学
部
20 / 23 名
87.0%
1/1名
100%
6 / 11 名
54.5%
27 / 35 名
77.1%
112 / 175 名
64.0%
8 / 16 名
50%
147 / 239 名
61.5%
267 / 430 名
62.1%
部
20 / 27 名
74.1%
1/2名
50%
37 / 54 名
68.5%
58 / 83 名
69.9%
国際コミュニケーション学部
13 / 26 名
50%
7 / 10 名
70%
48 / 74 名
64.9%
68 / 110 名
61.8%
人 間 関 係 学 部
10 / 28 名
35.7%
0/1名
0%
17 / 29 名
58.6%
27 / 58 名
46.6%
文 化 情 報 学 部
15 / 24 名
62.5%
1/1名
100%
15 / 40 名
37.5%
31 / 65 名
47.7%
現代マネジメント学部
11 / 25 名
44%
0/0名
8 / 21 名
38.1%
19 / 46 名
41.3%
教
育
学
部
12 / 23 名
52.2%
0/1名
0%
12 / 24 名
50%
24 / 48 名
50%
看
護
学
部
23 / 24 名
95.8%
0/0名
5 / 12 名
41.7%
28 / 36 名
77.8%
104 / 177 名
58.8%
9 / 15 名
60%
142 / 254 名
55.9%
255 / 446 名
57.2%
生
活
科
学
H23 前期
計
生
活
科
学
H22 前期
計
― 46 ―
年度
学 部
専任
兼担
非常勤
計
部
14 / 23 名
60.9%
1/6名
16.7%
25 / 39 名
64.1%
40 / 68 名
58.8%
国際コミュニケーション学部
11 / 22 名
50%
4 / 11 名
36.4%
54 / 70 名
77.1%
69 / 103 名
67.0%
人 間 関 係 学 部
8 / 31 名
25.8%
2/4名
50.0%
28 / 49 名
57.1%
38 / 84 名
45.2%
H21 後期 文 化 情 報 学 部
15 / 23 名
65.2%
0/1名
0%
24 / 37 名
64.9%
39 / 61 名
63.9%
現代マネジメント学部
10 / 22 名
45.5%
0/2名
0%
12 / 21 名
57.1%
22 / 45 名
48.9%
教
11 / 24 名
45.8%
0/3名
0%
10 / 26 名
38.5%
21 / 53 名
39.6%
69 / 145 名
47.6%
7 / 27 名
25.9%
153 / 242 名
63.2%
229 / 414 名
55.3%
部
19 / 27 名
70.4%
7 / 10 名
70.0%
30 / 52 名
57.7%
56 / 89 名
62.9%
国際コミュニケーション学部
14 / 26 名
53.8%
12 / 13 名
92.3%
67 / 82 名
81.7%
93 / 121 名
76.9%
人 間 関 係 学 部
17 / 32 名
53.1%
7/7名
100%
37 / 47 名
78.7%
61 / 86 名
70.9%
H20 前期 文 化 情 報 学 部
18 / 23 名
78.3%
3/3名
100%
27 / 36 名
75.0%
48 / 62 名
77.4%
現代マネジメント学部
12 / 25 名
48.0%
6/6名
100%
9 / 23 名
39.1%
27 / 54 名
50.0%
教
20 / 22 名
90.9%
3/3名
100%
10 / 17 名
58.8%
33 / 42 名
78.6%
100 / 155 名
64.5%
38 / 42 名
90.5%
180 / 257 名
70.0%
318 / 454 名
70.0%
部
9 / 22 名
40.9%
3/9名
33.3%
22 / 44 名
50.0%
34 / 75 名
45.3%
国際コミュニケーション学部
17 / 26 名
65.4%
13 / 15 名
86.7%
43 / 75 名
57.3%
73 / 116 名
62.9%
人 間 関 係 学 部
13 / 32 名
40.6%
4/8名
50.0%
27 / 44 名
61.4%
44 / 84 名
52.4%
H19 後期 文 化 情 報 学 部
16 / 26 名
61.5%
3/6名
50.0%
13 / 31 名
41.9%
32 / 63 名
50.8%
現代マネジメント学部
10 / 23 名
43.5%
2/3名
66.7%
8 / 20 名
40.0%
20 / 46 名
43.5%
教
12 / 13 名
92.3%
2/3名
66.7%
3/6名
50.0%
17 / 22 名
77.3%
77 / 142 名
54.2%
27 / 44 名
61.4%
116 / 219 名
53.0%
220 / 405 名
54.3%
生
活
科
育
学
学
部
計
生
活
科
育
学
学
部
計
生
活
科
育
学
学
計
部
― 47 ―
年度
学 部
専任
兼担
非常勤
計
部
6 / 28 名
21.4%
1/4名
25%
12 / 45 名
26.7%
19 / 77 名
24.7%
国際コミュニケーション学部
7 / 27 名
25.9%
3 / 10 名
30.0%
37 / 77 名
48.1%
47 / 114 名
41.2%
人 間 関 係 学 部
12 / 35 名
34.3%
0/4名
0%
21 / 53 名
39.6%
33 / 92 名
35.9%
文 化 情 報 学 部
11 / 27 名
40.7%
0/3名
0%
12 / 32 名
37.5%
23 / 62 名
37.1%
現代マネジメント学部
10 / 23 名
43.5%
2/8名
25.0%
8 / 19 名
42.1%
20 / 50 名
40.0%
計
46 / 140 名
32.9%
6 / 29 名
20.7%
90 / 226 名
39.8%
142 / 395 名
35.9%
生
活
科
学
H18 後期
年度
学 部
専任
非常勤
計
部
6名
11 名
17 名
国際コミュニケーション学部
7名
38 名
45 名
人 間 関 係 学 部
15 名
25 名
40 名
文 化 情 報 学 部
14 名
21 名
35 名
現代マネジメント学部
8名
15 名
23 名
50 名
110 名
160 名
部
6名
30 名
36 名
国際コミュニケーション学部
9名
44 名
53 名
人 間 関 係 学 部
16 名
25 名
41 名
文 化 情 報 学 部
11 名
19 名
30 名
現代マネジメント学部
6名
15 名
21 名
48 名
133 名
181 名
部
18 名
21 名
39 名
国際コミュニケーション学部
13 名
33 名
46 名
人 間 関 係 学 部
16 名
26 名
42 名
文 化 情 報 学 部
12 名
18 名
30 名
現代マネジメント学部
7名
6名
13 名
66 名
104 名
170 名
部
23 名
29 名
52 名
国際コミュニケーション学部
12 名
47 名
59 名
人 間 関 係 学 部
17 名
26 名
43 名
文 化 情 報 学 部
15 名
22 名
37 名
現代マネジメント学部
6名
4名
10 名
73 名
128 名
201 名
生
H17 後期
活
科
学
計
生
H17 前期
活
科
学
計
生
H16 後期
活
科
学
計
生
H16 前期
活
科
計
学
― 48 ―
●表 3−「授業についてのアンケート調査」実施に関する意見書提出状況について
提出枚数(複数枚提出の場合あり)
年度
総提出枚数
H23 前期 120 枚
H22 前期※
128 枚
H21 後期 82 枚
H20 前期 87 枚
H19 後期 95 枚
H18 後期 94 枚
H17 後期 114 枚
H17 前期 116 枚
H16 後期 143 枚
H16 前期 162 枚
H15 前期 186 枚
※再提出依頼に対する回答分を含む。
― 49 ―
平成 23 年度前期「授業アンケート調査」の分析結果
本アンケート調査は、生活科学部、国際コミュニケーション学部、人間関係学部、文化情報
学部、現代マネージメント学部、教育学部の 6 学部は 4 年次学生までを含むが、看護学部は
1 年次及び 2 年次学生を対象にしたものである。
1.学生の満足度の分析
1.1.学生の総合満足度と回答者数(の関係)
図1―1−1 全学
平成 23 年度前期実施の授業アンケートにおける総合満足度の集計結果を全学的にまとめた
ものが、図 1 ― 1 ― 1 である。本図は「総合的に見て、この授業に満足だった」という質問項目
に対する回答と、授業クラスの回答者数(概ね授業クラスサイズに相当する)とをクロス集計
で分析したものである。全体としては、「その通りである」43.2%、
「どちらかといえばその通
りである」42.3% を合わせると 85.5% の学生が「満足」と答えており、本学全体の学生満足度は、
かなり高い水準を維持していると言える。平成 22 年度の「満足」は 85.1%、
平成 21 年度の「満足」
の割合は 87.7%、平成 20 年度は 83.0% であったが、本年度の割合は丁度その中間あたりの値
である。クラスサイズ別の満足度では、
「その通りである」「どちらかといえばその通りである」
を合わせた「満足」の割合はクラスサイズが大きくなるにしたがって低下する傾向にあるもの
の、60 以上においても 81.5% の満足度を示しており、本学においてはクラスサイズに関わら
ず質の良い授業が展開されていると判断できる。平成 22 年度の 60 以上の満足度は 81.1%、平
成 21 年度は 86.0%、平成 20 年度は 77.8% であったことを考えると、本年度の満足度は丁度そ
の中間あたりの値であり、今年度も、クラスサイズの大きい授業において、各担当教員が授業
改善に健闘している状況を読み取ることができる。
以下の図 1 ― 1 ― 2 から図 1 ― 1 ― 8 は、学部別に全体の満足度と回答者数の階層別満足度を示
したものである。各学部の教育内容や授業形態の特色ゆえであろうか、学部ごとに、様々な特
徴を見ることができる。全体を通して、満足度が 80.0% 未満の学部 / 階層として、現代マネジ
メント学部の 40 ∼ 59 が 79.1%、60 以上が 75.8%、教育学部の 60 以上が 79.6%、看護学部の
60 以上が 72.1%、これら 4 点を挙げることができる。これらの数値は、各学部 FD 委員会がそ
― 50 ―
の数値の表す内実の分析を進め、その分析結果を授業改善に活かしていくことの必要を示して
いる。ちなみに、国際コミュニケーション学部の 60 以上は昨年度 79.2% であったが、当該科
目担当教員の授業改善努力のせいか、今年度は 85.8% の値を示すにいたった。
図1―1― 2 生活科学部
図1―1― 3 国際コミュニケーション学部
図1―1― 4 人間関係学部
― 51 ―
図1―1― 5 文化情報学部
図1―1― 6 現代マネジメント学部
図1―1― 7 教育学部
― 52 ―
図1―1― 8 看護学部
1.2.授業形態ごとの出席率
授業形態別の出席率の全学集計結果を図 1 ― 2 ― 1 に、授業形態別に見た各学部の集計結果を
図 1 ― 2 ― 2 から図 1 ― 2 ― 5 に示した。
全学的に見た場合、今年度の授業形態別の出席率は、語学が 83.0% と一番高く、次いで実験
実習が 74.8%、講義が 73.0%、一番低いのは演習で 65.5% となっている。一昨年度、昨年度と
二年続けて、一番高いのは実験実習と語学、次いで演習、いちばん低いのは講義であった。我々
はその数値が低いのは、他の授業形態に比べて大人数であることが一つの要因であろうと考え
てきた。しかし、比較的少人数で構成されている語学、実験実習、演習の出席率を見てみると、
平成 21 年度から平成 23 年度(今年度)にかけて、語学は 85.1%、88.4%、83.0% と一応 80%
以上の値を維持しているものの、実験実習と演習は、前者は 91.2%、88.4%、74.8% と、後者は
83.4%、86.0%、65.5% と、ともに大幅に数値を下げている。前年度と比較しても、実験実習は
13.6%、演習は 20.5% 低くなっている。実験実習の学部別集計結果(図 1 ― 2 ― 5)を、前年度の
数値と比べると、特に教育学部の出席率が 95.5% から 47.2% へと顕著に低下( ― 48.3%)して
いるのをはじめ、各学部とも数パーセント低下しており、この点が、実験実習の全学的な出席
率を低下させている。また、演習の学部別集計結果(図 1 ― 2 ― 2)を、前年度の数値と比べると、
特に教育学部は 91.1% から 55.5% へと、人間関係学部と生活科学部も前年度比 20% 前後の大
幅な低下を示しており、これらが、演習の全学的な出席率を低下させている。
次に授業形態別の各学部の出席率を見てみよう。
演習(図 1 ― 2 ― 2)においては、看護学部、現代マネジメント学部、文化情報学部、国際コミュ
ニケーション学部は 80% 以上の比較的高い数値を示しているが、前年度よりも出席率を上げ
たのは、本学の 7 学部のうち唯一、文化情報学部のみであった。教育学部、人間関係学部、生
活科学部は最高でも 62.5% と、演習としては極めて低い数値を示している。これら 3 学部にお
ける演習の出席率が大幅に低下していることは上述したが、特に生活科学部の演習科目出席率
は、一昨年度 89.1%、昨年度 71.8%、今年度 52.0% と、この二年間で 37 パーセント以上低下し
ている。教育学部、人間関係学部、生活科学部の 3 学部の FD 委員会には、演習科目出席率の
顕著な低下に関する調査分析を行なうことが望まれる。
語学(図 1 ― 2 ― 3)においては、全学部が 83.0% 以上という高い出席率を示した昨年度とは
― 53 ―
異なり、今年度は生活科学部と国際コミュニケーション学部の 2 学部の出席率が 80% に達し
なかった。語学教育を学部教育の一つの柱とする国際コミュニケーション学部は、早速この状
況の解明に取り組む必要があるだろう。
講義(図 1 ― 2 ― 4)においては、看護学部と生活科学部が 80.0% 以上という高い出席率を示
しているのに対して、他の 6 学部は 63% ∼ 77% という数値を示している。しかも、本学の 7
学部のうち現代マネジメント学部と生活科学部以外の 5 学部では、講義科目出席率は、前年度
に比べすべて低下している。各学部においては、今後の改善が求められるとことである。
実験実習(図 1 ― 2 ― 5)においては、集計結果の出た全学部が 80% 以上という良好な出席率
を示した昨年度とは異なり、今年度は、低下の著しい教育学部以外でも、集計結果の出た全学
部において前年度よりも出席率が低くなっている。
いずれの授業形態も、各学部の FD 委員会において、各学部に固有の教育内容や授業形態の
特質等を勘案しつつ分析する必要があるため、
学部 FD 委員会による詳しい調査分析が望まれる。
図1― 2 ―1 全学部
図1― 2 ― 2 演習:学部別
― 54 ―
図1― 2 ― 3 語学:学部別
図1― 2 ― 4 講義:学部別
図1― 2 ― 5 実験実習:学部別
― 55 ―
1.3.授業形態ごとの学生の総合満足度
「その通りである」
全学的に見た授業形態ごとの学生の総合満足度(図 1 ― 3 ― 1)においては、
「どちらかというとその通りである」を合わせた満足度は、実験・実習 93.6%、外国語 90.9%、
演習 89.8%、講義 83.6% の順である。昨年度とは異なり、この順序は前項の授業形態ごとの出
席率(図 1 ― 2 ― 1)の順序とは一致していない。今年度の満足度は、4 つの授業形態すべてが
ほぼ前年度並み、昨年度同様いずれの授業形態においても 83% を超えており、全学的な満足
度は一定の高い水準を維持している。特に、他の形態と比べ高い満足度の出にくい講義形態の
授業の満足度 83.6% は、本学における授業改善の努力の成果として捉えることができよう。
次に授業形態ごとの学部別総合満足度を見てみる。
演習(図 1 ― 3 ― 2)においては、「その通りである」「どちらかといえばその通りである」を
合わせた満足度は、国際コミュニケーション学部が 75% に達していない反面、看護学部は
98.8%、教育学部、現代マネジメント学部、文化情報学部、人間関係学部の 4 学部も 91% 以上
の高い数値を示している。また、高い満足を表す「その通りである」という回答の割合には、
看護学部の 87.6% や人間関係学部の 74.7% から国際コミュニケーション学部の 26.7% や生活科
学部の 37.2% まで、学部によってばらつきが大きい。特にこれら 2 学部においては、学生の満
足の質を高める努力がより一層必要である。
外国語(図 1 ― 3 ― 3)においては、看護学部、教育学部、現代マネジメント学部、文化情報学部、
国際コミュニケーション学部においては高い満足度が認められるが、人間関係学部においては
「その通りである」の数値(31.1%)も「その通りである」と「どちらかというとその通りであ
る」を合わせた数値(74.0%)も、やや低い値を示している。特に「その通りである」の数値
に着目するなら、生活科学部も 37.4% にとどまっており、これら 2 学部においては、語学授業
の見直し、改善が求められる。
講義(図 1 ― 3 ― 4)においては、満足度を学部別に平成 22 年度と比較すると、
看護学部が 4.4%
上昇、教育学部が 1.8% 上昇、文化情報学部が 1.5% 上昇、国際コミュニケーション学部が 2.2%
上昇、他の 3 学部は 0.1 ∼ 1.2% の微減であった。講義科目における授業改善は容易なことで
はないが、各科目の担当教員の授業改善努力の成果として捉えたい。昨年度より、教員相互間
の授業参観を試行的に実施しているが、今後さらにこうした試みを充実、拡大しつつ、講義形
態の授業の改善の方策を探っていくことができるのではないだろうか。また、看護学部、教育
学部、人間関係学部、国際コミュニケーション学部以外の 3 学部において、「その通りである」
の割合がやや低く(35% 未満)、学生の満足の質をより向上させる授業改善が望まれるところ
である。
実験・実習(図 1 ― 3 ― 5)においては、例年の通り非常に高い満足度が維持されている。本
年度データのない看護学部、現代マネジメント学部、国際コミュニケーション学部以外の 4 学
部において「その通りである」の割合は、教育学部 73.9%、文化情報学部 79.3%、人間関係学
部 85.2%、生活科学部 49.6% である。しかし、これらの数値を昨年度と比較した場合、教育学
部と文化情報学部はそれぞれ 14.5%、7.8% 低下していることも忘れてはならない。
― 56 ―
図1― 3 ―1 全学部
図1― 3 ― 2 演習:学部別
図1― 3 ― 3 外国語:学部別
― 57 ―
図1― 3 ― 4 講義:学部別
図1― 3 ― 5 実験・実習:学部別
1.4.各々の授業形態における学生の総合満足度と各「アンケート設問」の相関
授業形態別の全学的な総合満足度と各々の「アンケート設問」の相関を見ると、学生の理解
度や興味・関心を問う設問 1 ∼ 5 は予想通り満足度と高い相関を示している。特に、講義と演
習において相関度が高いことは、授業改善の参考となるだろう。教員の姿勢を問う項目 6 ∼
10 においては、私語等への対応(設問 9)
、授業の開始・終了時刻(設問 10)などはやや低い
相関を示しているのに対して、「教員は学生が理解しやすいように授業を工夫していた」を問
う設問 6(実験実習の場合は設問 5)は多くの授業形態で高い相関を示しており、教員が創意
工夫を凝らし授業改善しようとする姿勢が学生の満足度につながっている状況が読み取れる。
その他の設問を授業形態別に見ると、演習では、自由に意見を述べやすい雰囲気(設問 14)や、
課題の適切さ(項目 15)が高い相関を示しており、外国語では、学習意欲を目覚めさせられ
たこと(設問 13)が満足度につながっている。また、特に講義形態と実験実習形態の授業の
場合、授業に意欲的に取り組んだ学生(設問 12)ほど満足度が高い傾向が見られる。
― 58 ―
表1― 4 ―1 全学部
― 59 ―
1.5.学生の出席率と総合満足度
全学的に出席率と総合満足度の関係(図 1 ― 5 ― 1)を見ると、出席率 40% 未満のゾーン以外
の 3 つのゾーンにおいては、出席率の高い授業の方が、高い満足度を示す「その通りである」
の回答率が高い傾向が読み取れる。学部別(図 1 ― 5 ― 2 から図 1 ― 5 ― 8)に見ると、学部による
特色が大きく出ているように見られる。特に、生活科学部、人間関係学部、現代マネジメント
学部では、出席率 40% 未満のゾーンの授業における「その通りである」の回答率が、出席率
がより高い授業の回答率より高いという結果が出ているが、これは、強い興味・関心をもった
学生のみが出席しているからであろうと推測できる。出席率 40% 未満のゾーン以外の 3 つの
ゾーンにおいて、授業の出席率の高さと満足度とがきれいに相関しているのは生活科学部と文
化情報学部の 2 学部のみであり、これら 2 学部とデータが十分では看護学部以外の 4 学部にお
いては、出席率のゾーンによってはその相関を認めることができない。各学部の特色を勘案し
た分析が必要である
図1― 5 ―1 全学部
図1― 5 ― 2 生活科学部
― 60 ―
図1― 5 ― 3 国際コミュニケーション学部
図1― 5 ― 4 人間関係学部
図1― 5 ― 5 文化情報学部
― 61 ―
図1― 5 ― 6 現代マネジメント学部
図1― 5 ― 7 教育学部
図1― 5 ― 8 看護学部
― 62 ―
2 . 教員アンケートの分析
2.1.教員アンケートの分析 : 教員の授業成功感(項目 10)と項目 3 ∼ 9 との関係
この分析結果は非常に興味深い状況を示している。教員の授業成功感(項目 10)が教員か
ら見た受講者の理解度(項目 8)と相関が高いことは予想通りであるが、学生による積極的発
言があったこと(項目 4)
、私語がなかったこと(項目 5)
、教室サイズの適切さ(項目 6)
、シ
ラバスに沿って計画通り授業を進めたこと(項目 7)などの項目において相関が低いことは、
予想を覆す分析結果である。この結果によれば、教員は教室サイズをあまり気にしておらず、
また積極的な発言がないからといって、またシラバスに沿って授業を進めることができなかっ
たといって、必ずしも授業成功感がないわけではないということになる。私語についても、も
ちろん教員は無いことが理想だと考えるであろうが、私語があるからといって教員の授業達成
感がないわけではないということである。教員の授業成功感(項目 10)との相関は、教員か
ら見た受講者の熱心な取り組み(項目 3)や、教員から見た受講者の理解度(項目 8)や、教
員による授業の工夫(項目 9)が高い。
しかし、教員自身の授業成功感の実態を客観的に評価するためには、こうした分析結果のみ
では不十分である。こうした分析結果は、さらに学生の、授業に対する総合満足度に関するア
ンケート結果と比較すれば、教員の授業成功感と受講者の満足度との差異が明らかになり、授
業担当教員の成功感なるもののうちに、成功したと思い込む単なる自己満足が潜んでいないか
どうか明らかになる。こうしてまた、当該授業担当教員は、授業改善にとって役立つ情報を得
ることができる。
表 2―1
教員の授業成功感(項目 10)と項目 3 ∼ 9 との相関関係
設 問 文
相関係数
3.受講者は熱心に授業に取り組んでいた。
0.58
4.学生による積極的な発言があった。
0.47
5.このクラスでは、私語はほとんどなかった。
0.31
6.このクラスの教室サイズは適切だった。
0.27
7.授業はシラバスにそって計画通りにできた。
0.48
8.受講者は授業の内容を理解できたと思う。
0.68
9.受講者の理解度に配慮した工夫をした。
0.58
― 63 ―
2.2.教員アンケートの分析 : 授業形態と授業に対する評価
教員アンケートの質問項目 3 ∼ 10 について、授業形態別に分析した結果を図 2 ― 2 ― 1 から
図 2 ― 2 ― 8 に示した。
教員から見た受講者の熱心な取り組み(図 2 ― 2 ― 1)の傾向は、前掲の授業形態別の全学的
な満足度(図 1 ― 3 ― 1)の傾向とほぼ同じ傾向を示しており、教員の見た学生の熱心な取り組
みが学生自身の満足度に大きく関連していることは明らかである。講義と外国語と演習の授業
形態においては、後者の数値のほうが前者の数値よりも上回っている。これらの形態の授業に
おいては、教員から見て授業に熱心に取り組んだ受講生以外にも、授業に満足であると端的に
回答する受講生が数多く存在するということである。また、例年通り講義科目においては、教
員の目にも、受講者の熱心な取り組みの度合いがやや低い。受講者の興味・関心をより引きつ
けるような授業改善が求められる。
学生による積極的な発言の項目(図 2 ― 2 ― 2)は、講義科目が低い数値を示しているが、授
業形態上やむを得ない。むしろ講義科目の場合は、学生に発言させることによってではなく、
講義内容を工夫することによって授業への満足度を高めていくべきである。
、教員から見た受講者の理解度の項目(図 2 ― 2 ― 6)において「そ
シラバスの項目(図 2 ― 2 ― 5)
の通りである」「どちらかといえばその通りである」の割合が非常に高いことは、概ね本学の
教員が学生の理解度を考慮しつつ、シラバスに沿って授業を展開していることを示している。
「どちらかと
また、教員による授業の工夫の項目(図 2 ― 2 ― 7)において「その通りである」
いえばその通りである」を合わせた割合が非常に高いことは、本学の教員に FD の意識が浸透
していることを示している。
教員の授業成功感を問う「総合的にみて、この授業をうまく進めることができた」の項目(図
2 ― 2 ― 8)において「その通りである」の割合がやや低いのは、教員の理想が高いゆえであろう。
「どちらかといえばその通りである」を合わせた割合は非常に高い数値を示しており、本学に
おいては概ね良質な授業が展開されていることを示しているものと思われる。
図2 ― 2 ―1 学生の取り組み姿勢
― 64 ―
図2 ― 2 ― 2 学生の積極的な発言
図2 ― 2 ― 3 学生の私語
図2 ― 2 ― 4 講義室の大きさ
― 65 ―
図2 ― 2 ― 5 シラバス通りにできたか
図2 ― 2 ― 6 学生は授業内容を理解できたか
図2 ― 2 ― 7 授業の工夫
― 66 ―
図2 ― 2 ― 8 総合的に授業はうまく進められたか
3.教員アンケートと学生アンケートの比較
「総合的にみて、この授業はうまく進めることができた」の項目(図 3 ― 1)においては、本
学の教員が概ねうまく進められたと感じている一方で、「その通りである」の割合が低いこと
から、授業に対してかなり高い理想を抱いていることが読み取れる。その傾向は図 3 ― 2 以下
を見ると明らかである。授業内容の理解度(図 3 ― 2)においても、授業の工夫(図 3 ― 3)に
おいても、総合評価(図 3 ― 4)におても、概ね教員が感じている以上に学生は授業の質を良い
ものと捉えている。この比較結果は、本学の教員が自らの授業に対して真摯な姿勢を堅持して
いることと、教員の実感以上に学生が授業に満足していることを示しており、本学の FD 活動
は非常に好ましい傾向にあると言えるだろう。
外国語科目における授業の工夫の項目には、注目すべきである。教員の意識としては、十分
な工夫をした授業が、学生の目にはそのように映じていないということである。教員による授
業改善の工夫が実際の授業には反映していないということである。この傾向は 4 年間続いてい
る傾向であり、関係教員によるその理由の解明が求められるところである。
図3 ―1 総合的に授業はうまく進められたか
― 67 ―
図3 ― 2 学生が授業の内容を理解しているか
図3 ― 3 学生が授業内容を理解できるように工夫しているか
― 68 ―
図3 ― 4 授業の総合評価
― 69 ―
「授業アンケート調査」にかかわる資料
1.平成 23 年度前期 授業アンケートの実施要領
2.平成 23 年度前期 授業アンケートの実施について(掲示用)
3.アンケート調査(講義科目用)・英訳
4.アンケート調査(演習科目等用)・英訳
5.アンケート調査(語学科目用)・英訳
6.アンケート調査(国際コミュニケーション学部・文化情報学部・教育学部語学科目用)・
英訳
7.アンケート調査(実験・実習科目用)・英訳
8.自由記述用紙・英訳
9.教員用アンケート調査票・英訳
10.「授業アンケート調査」結果に関して(依頼)・英訳
11.平成 23 年度前期「授業アンケート調査」結果を踏まえた授業評価(様式 1)
・英訳
12.「授業アンケート調査」実施に関する意見書(様式 2)・英訳
― 70 ―
平成 23 年度 前期 授業アンケートの実施要領
全学 FD 委員会
1.実施の目的
授業が学生にどのように受け止められているのかの全体的傾向を理解し、教員に対して授業
の質的向上のヒントを提供することを目的とします。
2.実施時期
実 施 期 間
平成 23 年 6 月 27 日(月)∼ 7 月 2 日(土)
実施予備期間
平成 23 年 6 月 20 日(月)∼ 6 月 25 日(土)
実施予備期間
平成 23 年 7 月 4 日(月)∼ 7 月 9 日(土)
3.対象科目
原則、平成 22 年度前期授業アンケート対象科目と同様の科目を対象科目とします。新規の
場合は、各学部の FD 委員会にて選定された科目を対象とします。専任教員は、2 科目以上、
非常勤講師は 1 科目以上を実施します。
※マークシートによる授業アンケートとは別に自由記述用紙のみで実施することも可能です。
この場合は、担当教員の必要に応じて随時実施することができます。
(自由記述用紙は、学
部事務室及び非常勤講師室にあります。)
4.実施方法
< 作業の流れ >
1 全学 FD 委員会から学生へ授業アンケート実施のお知らせを S*map のジャーナルにて送
信します。
2 授業アンケート用紙等の配布 : 対象科目ごとに封入された調査用袋を、各学部事務室の
メールボックスに配付します。<6 月 14 日(火)から配布 >
3 対象科目ごとの調査用袋に同封されているのは、
①学生用アンケート用紙(受講登録者数プラス予備の枚数、A4 用紙に調査項目とマー
クシートが印刷されています)
②学生用自由記述用紙
③教員用アンケート用紙(A4 用紙に調査項目とマークシートが印刷されています)
④返信用封筒(集計結果の郵送をご希望の非常勤講師の先生は、
送付先をご記入ください)
※集計結果の郵送は非常勤講師の先生方のみとさせていただきます。
4 教室での実施手順:裏面に記載
5 実施済みのアンケート用紙等は、学部事務室・日進キャンパス事務課までご提出ください。
7 月 12 日(火)15:00:アンケート回収最終日となります
5.集計結果
集計結果は、7 月下旬に先生方にお届けする予定です。
6.「リフレクション・ペーパー」(授業アンケート結果を踏まえた自己点検・授業評価)につ
いては改めてご依頼いたします。
「リフレクション・ペーパー」は 8 月 26 日(金)までにご提出いただく予定です。(メール
でのご提出も可能です。)
― 71 ―
< 教室での実施手順 >
1.受講生には、アンケート実施について以下のようにご説明ください。
「これから、授業アンケートを実施します。この調査は授業の質的向上のために行うもので、
その他の目的には使用されませんので、協力してください。なお、誰がどのような回答を
したかは特定できないように十分な配慮をして実施しますので、思うところを率直に記入
してください。マークシートはコンピュータで統計的に処理されます。自由記述は、私
(授
業担当者)が直接読んで、今後の授業の質的向上のための参考にしますので、率直な意見
をできるだけ書いてください。回答時間は 15 分から 20 分です。」
2.アンケート用紙を配布してください。
3.配布したアンケート用紙の回答方法について、お伝えください。
(1) シートを折ったり丸めたりしない
(2) 鉛筆かシャープペンシルを用いる
(3) 項目ごとに必ず回答欄をひとつ塗りつぶす
(4) 自由記述用紙があることに触れ、そちらにも回答するように伝えてください
4.語学科目は、語学の種類により回答する項目が異なりますので正しく学生にご指示くださ
い。
5.実験・実習科目で、レポート等に関する設問があります。(設問 14 ∼ 16)ご担当の授業
が該当する場合は、学生に回答するようにご指示をお願いします。
6.教員による独自の設問項目欄を設けてあります。必要に応じて、ご自身で作成した項目を
追加してください。
7.学生がアンケートに回答している間は、回答者の匿名性が保たれるよう、十分に御配慮く
ださい。教室内の巡回なども御遠慮ください。また、この間に、教員用アンケート用紙に
ご記入ください。
8.学生の記入が終了したところで、アンケート用紙と自由記述用紙を回収してください。そ
の場で、回答済み学生用アンケート用紙、および教員用アンケート用紙を配布された時と
同じ封筒に封入し、確実に封をして糊付けしたうえで、未使用のアンケート用紙とともに、
各学部事務室までご提出ください。
◎自由記述用紙は、回収後ご自身で持ち帰り、「リフレクション・ペーパー」(授業アンケー
ト結果を踏まえた自己点検・授業評価)をお書きいただくときの資料としてお使いくださ
い。
実施科目や実施方法などについてのご質問は、教務課または日進キャンパス事務課教務係ま
でお尋ねください。
<連絡先> 教務課 電 話:052―781―6466(直通)
質問用メールアドレス: [email protected]
― 72 ―
学生の皆さんへ
平成 23 年度前期 授業アンケートの実施について
全学 FD 委員会
●授業アンケートについて
平成 23 年度前期の授業についてアンケートを実施します。授業アンケートは、平成 23 年 6
月 27 日(月)∼ 7 月 2 日(土)の週に授業時間内に行います。(授業の都合等により、実施期
間前後 1 週間の 6 月 20 日(月)∼ 6 月 25 日(土)及び 7 月 4 日(月)∼ 7 月 9 日(土)にて
実施の場合があります。
)この授業アンケートは授業の質的向上のために行うもので、その他
の目的には使用しませんのでご協力ください。なお、アンケートは無記名で個人が特定されな
いように充分な配慮をいたします。
●授業アンケート調査実施の流れ
授業時間内に
集計結果をもと
「リフレクショ
授業アンケートを
に担当教員が「リ
ン・ペーパー」を
実施します
フ レ ク シ ョ ン・
閲覧可能にします
ペーパー」を作成
します
●授業アンケート実施について
1.授業アンケートは授業の質的向上のために行うもので、その他の目的には使用されませ
んので、協力してください。なお、誰がどのような回答をしたかは特定できないように
十分な配慮をして実施しますので、思うところを率直に記入してください。
2.回答時間は 15 分から 20 分です。
(授業時間内に行います。)
3.記入は鉛筆かシャープペンシルを使用してください。
4.項目ごとに必ず回答欄をひとつ塗りつぶしてください。
5.マークシートはコンピュータで統計的に処理されます。自由記述は、授業担当者が直接
読んで、授業の質的向上のための参考にしますので、率直な意見をできるだけ書いてく
ださい。
6.担当教員の指示により回答する項目や、担当教員による独自の設問項目がある場合は、
板書または口頭で提示があります。
7.マークシートは折ったり丸めたりしないように注意してください。
― 73 ―
― 74 ―
A Translation Version
Student Evaluation Sheet (Lecture)
This class evaluation is designed to understand your opinions on the class. Please mark the
most appropriate number in the mark sheet.
There is a separate sheet for you to write your comments on this class in your words.
What you have answered or written has nothing to do with your grade of the class so please
answer freely and frankly.
(Lecture Classes)
1.It is easy to understand this class.
2.The proceeding speed of the class is appropriate for you.
3.I understand the purpose and objective of this class well.
4.I have broadened your perspective through the class.
5.I have been more interested in the academic field of this class.
6.The instructor makes an effort for students to understand the class.
7.Instructional materials (handouts, films, DVD etc) and blackboard writings have been
properly presented.
8.The instructor s way of speech (tone of voice, speed, how to use a microphone) in this
class has been proper.
9.The instructor has made proper management over misbehaving students, making chats
in class.
10.This class has begun and ended properly.
11.The students in this class seem to participate seriously.
12.I participate in this class with enthusiasm.
13.Overall, I am satisfied with this class.
― 75 ―
― 76 ―
A Translation Version
Student Evaluation Sheet (Seminar)
This class evaluation is designed to understand your opinions on the class. Please mark the
most appropriate number in the mark sheet.
There is a separate sheet for you to write your comments on this class in your words.
What you have answered or written has nothing to do with your grade of the class so please
answer freely and frankly.
(Seminar Classes)
1.It is easy to understand this class.
2.The proceeding speed of the class is appropriate for you.
3.I understand the purpose and objective of this class well.
4.I have broadened your perspective through the class.
5.I have been more interested in the academic field of this class.
6.The instructor makes an effort for students to understand the class.
7.Instructional materials (handouts, films, DVD etc) and blackboard writings have been
properly presented.
8.The instructor s way of speech (tone of voice, speed, how to use a microphone) in this
class has been proper.
9.The instructor has made proper management over misbehaving students, making chats
in class.
10.This class has begun and ended properly.
11.The students in this class seem to participate seriously.
12.I participate in this class with enthusiasm.
13.It is good to make presentation about what we have learned in this class.
14.This class has an easy atmosphere for students to express their opinions freely.
15.The class assignments have been appropriate.
16.Overall, I am satisfied with this class.
Instructor s original questions
17.
18.
19.
― 77 ―
― 78 ―
A Translation Version
Student Evaluation Sheet (Languages)
This class evaluation is designed to give you the opportunity to share your opinions on your
class. Please mark the most appropriate number on the bubble sheet. There is a separate
sheet for you to write your own comments on the class. Your responses on this sheet have
nothing to do with your grade in this class so please answer freely and frankly.
(Language Classes)
1.It is easy to understand this class.
2.The proceeding speed of the class is appropriate for you.
3.I understand the purpose and objective of this class well.
4.I have broadened your perspective through the class.
5.I have been more interested in the academic field of this class.
6.The instructor makes an effort for students to understand the class.
7.Instructional materials (handouts, films, DVD etc) and blackboard writings have been
properly presented.
8.The instructor s way of speech (tone of voice, speed, how to use a microphone) in this
class has been proper.
9.The instructor has made proper management over misbehaving students, making chats
in class.
10.This class has begun and ended properly.
11.The students in this class seem to participate seriously.
12.I participate in this class with enthusiasm.
13.I am further motivated to study the language taught in this class.
14.Overall, I am satisfied with this class.
English Class Only
15.You have liked English better than in your high school days.
16.I have found fun in reading in English in this class.
17.I have experienced a sense of“usefulness”of English in this class.
18.I have improved my reading since the entrance to Sugiyama.
19.I have improved my writing since the entrance to Sugiyama.
20.I have improved my speaking since the entrance to Sugiyama.
21.I have improved my listening since the entrance to Sugiyama.
Other Foreign Languages
22.It is good to learn foreign languages other than English.
23.It is good to learn the cultures of foreign countries other than those of the English
speaking countries.
24.I have found fun in learning foreign languages.
Instructor s original questions
25.
26.
27.
― 79 ―
― 80 ―
Translated Version
Student Evaluation Sheet (Languages) for the School of Cross-Cultural Studies / the School
of Culture-Information / School of Education
This class evaluation is designed to give you the opportunity to share your opinions on your
class. Please mark the most appropriate number on the bubble sheet. There is a separate
sheet for you to write your own comments on the class. Your responses on this sheet have
nothing to do with your grade in this class so please answer freely and frankly.
(Language Classes)
1.It is easy to understand this class.
2.The proceeding speed of the class is appropriate for you.
3.I understand the purpose and objective of this class well.
4.I have broadened your perspective through the class.
5.I have been more interested in the academic field of this class.
6.The instructor makes an effort for students to understand the class.
7.Instructional materials (handouts, films, DVD etc) and blackboard writings have been
properly presented.
8.The instructor s way of speech (tone of voice, speed, how to use a microphone) in this
class has been proper.
9.The instructor has made proper management over misbehaving students, making chats
in class.
10.This class has begun and ended properly.
11.The students in this class seem to participate seriously.
12.I participate in this class with enthusiasm.
13.I am further motivated to study the language taught in this class.
14.Overall, I am satisfied with this class.
English Class Only
15.I
16.I
17.I
18.I
19.I
20.I
21.I
like English better than in your high school days.
have learned the joy of studying English.
have realized that English is“useful”
.
have improved reading since my entrance to Sugiyama.
have improved writing since my entrance to Sugiyama.
have improved speaking since my entrance to Sugiyama.
have improved listening since my entrance to Sugiyama.
Other Foreign Languages than English
22.It is good to learn foreign languages other than English.
23.It is good to learn the cultures of foreign countries other than those of the Englishspeaking countries.
24.I have learned the joy of studying foreign languages.
Only German, French and Chinese
25.I feel like learning German, French and Chinese in a place where a respective language
is spoken.
26.I would like to learn practical German, French Chinese to get a certificate and make its
best use for job hunting.
Instructor s original questions
27.
28.
29.
― 81 ―
― 82 ―
A Translation Version
Student Evaluation Sheet (Laboratory Classes)
This class evaluation is designed to understand your opinions on the class. Please mark the
most appropriate number in the mark sheet.
There is a separate sheet for you to write your comments on this class in your words.
What you have answered or written has nothing to do with your grade of the class so please
answer freely and frankly.
(Laboratory Classes)
1.It is easy to understand this class.
2.The proceeding speed of the class is appropriate for you.
3.I understand the purpose and objective of each class well.
4.I have broadened your perspective through the class.
5.The instructor makes an effort for students to understand the class.
6.Instructional materials (handouts, films, DVD etc) and blackboard writings have been
properly presented.
7.The instructor s way of speech (tone of voice, speed, how to use a microphone) in this
class has been proper.
8.The instructor has made proper management over misbehaving students, making chats
in class.
9.This class has begun and ended properly.
10.The students in this class seem to participate seriously.
11.I understand the interrelationship with the other laboratory classes.
12.I participate in this class with enthusiasm.
13.Overall, I am satisfied with this class.
Answer according to Instructor s guidance
14.I think that I have learned how to write a report or paper in this class.
15.I think that I have achieved the class s objective: to write a report of the laboratory/
experiment by understanding the purpose of the laboratory/experiment.
16.I think that I have made an effort in achieving a goal of writing a report.
Instructor s original questions
17.
18.
19.
― 83 ―
― 84 ―
Students Free Comments
If you have any opinions and comments on the following two points in order to improve the
class, please write about them.
Note: In case your instructor is an native speaker of foreign language please write your
opinions and comments in the foreign language.
1.Write about good aspects of this class.
2.Write points to be improved in this class (class contents, teaching methods, students
attitude, instructor s speech and behavior etc.)
― 85 ―
― 86 ―
A Questionnaire Form for Instructors
(an English Translation Version)
This questionnaire is designed to improve the quality of education at Sugiyama in general.
The responses by students will be analyzed statistically. Would you collect the students
answer sheets and submit to the respective office and the answer sheets will return to you
after they are processed through the computerized system so that you will be able to read
the students opinions (hand writings )in the Jiyukijutsuran (or Free Opinion section at the
bottom of the answer sheet). We hope that you will use their“free opinions”as a means of
“listening to”their voice.
This questionnaire form is for Instructors (a translation version). Would read this translation
version and follow specific question numbers and mark an appropriate number for each
question in the Japanese Answer Sheet.
1.Mark the type of your class
① lectures
② foreign languages (including seminars in foreign languages)
③ seminars
④ experiments or laboratory class
2.Mark an appropriate number for either full-time or part-time
① full-time
② part-time
Mark an appropriate number from 1 (I agree) 2 ( more or less agree) 3 (more or less
disagree)to 4 (I disagree)
3.Students in this class participate in the class seriously.
4.There were a lot of views and opinions expressed by students in this class.
5.There were few irrelevant chats by students in this class.
6.The classroom size was appropriate for this class.
7.I could follow my syllabus as I planned at the beginning.
8.I believe that students could understand the content of this class.
9.I have made a conscious effort to take students level of understanding into consideration.
10.In general, I have successfully done with this class.
― 87 ―
平成 23 年 7 月
各 位
椙山女学園大学
全学 FD 委員会
「授業アンケート調査」結果に関して
(リフレクション・ペーパー提出依頼)
平成 23 年度前期分の「授業アンケート調査」にご協力いただき、誠にありがとうございま
した。授業に対する学生の意見が、今後の授業の質的向上に役立つことを期待すると同時に、
意見を寄せた学生に対する教員側からのフィードバックが学生との重要なコミュニケーション
手段になると期待しております。
なお、今年度は、原則、昨年度と同じ科目の授業アンケートを行いましたが、昨年度のアン
ケート結果も同封いたしましたので、それとの比較を踏まえ、今回のアンケート結果に関して
のリフレクション・ペーパーをお書きいただきたいと思います。
つきましては、同封の「授業アンケート調査」結果及びご自身で回収・保管されております
自由記述用紙をご覧いただき、以下の項目に言及して、ご担当授業についての自己点検・授業
評価を、授業科目ごとに「別紙様式 1」にまとめ、平成 23 年 8 月 26 日(金)までに各学部事
務室へ提出いただきますようお願い申し上げます。
1.結果としてよかった点
2.改善されるべき点
3.今後の改善点、その他 記述の形式は自由としますが、以下の点にご注意いただきご記入をお願いします。
1.昨年度の授業アンケート結果との比較を踏まえてお書きください。
2.数値による結果や、学生の自由記述内容などを引用して、できるだけ具体的にお書き
下さい。
3.お書きいただいた A4 用紙はそのまま PDF 化されますので、できるだけデータでご
提出いただくか、手書きの場合には黒のインクまたはボールペンではっきりお書き下
さい。
4.複数科目についてアンケートを実施された場合は、すべての科目について所定の用紙
「別紙様式 1 ※」に授業科目ごとにお書き下さい。
※「別紙様式 1」には 1 枚に 2 科目までご記入いただけます。 不足の場合は、
コピー
をしてお使いください。データでのご提出は、
S*map のジャーナルにて様式を添付しておりますので、ご確認ください。また、別
途データファイルをご希望の場合は、学部事務室または教務課までご連絡ください。
― 88 ―
「別紙様式 1」 により提出された自己点検・授業評価は、完成原稿として PDF 化され、「平
成 23 年度前期授業アンケート調査」 として冊子の形式で、また学生に対するフィードバック
として、S*map のライブラリを利用した当該学部学生への閲覧を行う予定ですので、ご協力
のほどよろしくお願い申し上げます。
なお、事前のご案内にありましたように、リフレクション・ペーパー執筆は原則としてご記
入くださいますようお願いいたします。
今回、全学的 FD 活動の一環として実施された「授業アンケート調査」はその意義や方法な
どについて継続的に検討し総括していく必要があります。そこで、毎度のお願いとなってまこ
とに恐縮ですが、(1)調査実施の是非について、(2)アンケート調査項目について、(3)実施
時期や方法についてなど、ご意見のある方は、「授業アンケート調査」実施に関する意見書 「
別紙様式 2」 に、具体的にお書きいただき、リフレクション・ペーパーとあわせて学部事務室
まで提出いただきますようお願いいたします。
< 連絡先 >
学務部教務課 電 話:052―781―6466(直通)
質 問 用 メ ー ル ア ド レ ス:[email protected]
データ提出用メールアドレス:[email protected]
― 89 ―
Translated Version
To : All Instructors
From:The Sugiyama Jogakuen University Faculty Development Committee
Subject:Submission of Your Reflection on the Student Class Evaluations
Thank you for your cooperation with the student class evaluations. We believe that their
results will help you better understand your students thoughts and opinions.
We would like you to write a response to the student evaluations (see the attached
form) so that we can share your thoughts with the students. The due date for submission is
August26, 2011. Please submit them to your department office.
While writing, it is recommended that you refer to the following three points:
1) Good points mentioned
2) Points to be improved
3) Your specific plans to improve the class or etc.
Notes:
1.Use your own style when writing the reflection paper, but it is useful to include
statistical data and quotes from your students evaluation forms (including their written
comments).
2.Your reflection paper will be converted into a PDF file so you may paste a printout onto
the form or write directly on it in a black ballpoint pen.
3.Please write one reflection paper per class regarding all the classes you teach (two
reflections can be put on one form, see the attached form). If you need another form,
please make a copy out of it. If you would like to use a digital file, please contact the
department office.
Your reflection papers will be put in our committee s annual report and in our protected
university website, which can only be accessed by those within our university ‒ it is not
open to the public.
If you have any comments on 1) the student class evaluation itself, 2) question items, 3)
the scheduling timing of the student evaluations, please write them on the attached form and
submit it to your department office.
Thank you for your cooperation and contribution.
― 90 ―
様式 1
平成 23 年度前期「授業アンケート調査」結果を踏まえた授業評価
“Reflection Paper”
学部名
Department
教員名
Name
担当科目名
Class(es)
学部名
教員名
担当科目名
Department
Name
Class(es)
― 91 ―
様式 2
「授業についてのアンケート調査」実施に関する意見書
1)「調査」実施の是非について
(the student class evaluation itself)
2)アンケート調査項目について
(question items)
3)調査時期について
(the scheduling timing of the student evaluation)
4)その他
(other comments)
― 92 ―
Ⅲ 資料
平成 23 年度全学 FD 委員会委員
所 属
学
選出区分
教 授
※ 北 岡 崇
部
教 授
高 阪 謙 次
学 部 FD 委 員
国際コミュニケーション学部
教 授
水 島 和 則
学 部 FD 委 員
教 授
山 根 一 郎
学 部 FD 委 員
准教授
吉 田 あけみ
学
准教授
山 本 昭 和
学 部 FD 委 員
准教授
スティーヴン エリック クアシャ
学 部 FD 委 員
教 授
林 仲 宣
学
教 授
宮 川 充 司
学 部 FD 委 員
准教授
坂 本 德 弥
学
講 師
田 邊 惠 子
学 部 FD 委 員
活
補
氏 名
佐
生
長
職 位
科
学
人
間
関
係
学
部
文
化
情
報
学
部
現 代 マ ネ ジ メ ン ト 学 部
教
育
学
部
看
護
学
部
学
長
長
長
長
補
指
指
指
佐
名
名
名
※印は委員長、学部委員の任期は 1 年(H23.5.1 ∼ 24.4.30)
平成 23 年度各学部 FD 委員会委員
所 属
生
活
科
学
委 員
部
高 阪 謙 次
間 瀬 民 生
橋 本 令 子
吉 澤 和 子
(内 藤 通 孝)
国際コミュニケーション学部
人
間
関
係
学
部
文
化
情
報
学
部
現 代 マ ネ ジ メ ン ト 学 部
教
育
学
部
看
護
学
部
深 谷 輝 彦
横 家 純 一
塚 田 守
田 中 節 雄
山 根 一 郎
米 田 公 則
山 本 昭 和
羽 成 隆 司
青 木 芳 将
スティーヴン エリック クアシャ
山 田 健 治
磯 部 錦 司
宮 川 充 司
山 田 真 紀
後 藤 節 子
田 中 結花子
― 95 ―
田 邊 惠 子
椙山女学園大学全学 FD 委員会活動報告(平成 23 年度)
椙山女学園ファカルティ・ディベロップメント
第 12 号
平成 24 年 8 月発行
編 集 椙山女学園大学全学 FD 委員会
(委員長 北 岡 崇)
発 行 椙山女学園大学
〒 464―8662 名古屋市千種区星が丘元町 17―3
TEL〈052〉781―1186(代) FAX〈052〉781―4466
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