カンボジア不動産分野レポート - Phnom Penh Securities

研究論文
カンボジア不動産分野レポート
カンボジア不動産分野レポート
目次:
PHNOM PENH SECURITIES
PLC.
No. 32, Monivong Blvd, Phnom
Penh, Cambodia
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1-7-1 Nishishinjuku ShinjukuKu Tokyo 160-0023, Japan
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
概要 –頁一
 不動産分野の概要 –頁二

不動産分野詳細 –頁二

不動産分野の見通し –頁六

不動産分野の主要企業 –頁六
概要
世界経済危機は、カンボジアの不動産業界に強い影響を与えた。商業ビル、
住宅、コンドミニアム、商業センターなど多くのプロジェクトは延期された。
加えて、不動産分野に対する融資、住宅融資は 2008 年に 11%、2009 年には
48%減尐している。しかし、現在、外国からカンボジアへの資金流入は増加
しており、不動産分野の回復を促している。
直接投資に対する政府による多くの税制上の優遇で、特に特別経済地域(
SEZ:Special Economic Zone)の創設で、首都プノンペンやタイ、ベトナム
国境付近で倉庫などの物流拠点が開発されている。住宅、高級住宅市場は、
カンボジア富裕層や外国人居住者の増加により、回復している。不動産融資
は 2010 年 30%増となった。
ここにきて、高層ビルの Canadia Tower が 2009 年に、Phnom Penh Tower が
2011 年に完成し、オフィス市場も拡大している。その他のプロジェクトは資
金不足により計画段階である。また、Camko City、Gold Tower 42 などプロ
ジェクトの進行が停止しているものもある。商業ショッピングセンターには、
Sorya Shopping Center、Sovanna Paragon、 City Mall、などがある。
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不動産分野の概要
発展途上国として、カンボジアは近年、大幅な都市化を経験している。農業、
衣類、観光、建設などの有望な分野の成長によるものである。不動産分野の
主な成長の要因は、首都プノンペンのプロジェクトの増加である。また、人
口増加による(プノンペン市は 150 万人)インフラの必要性、地方から都市
への人口流入による住宅需要、国際的企業の進出によるオフィス需要などの
要因も影響している。しかし、過去 10 年のカンボジアの不動産分野の成長
は、外国人のまたは外国居住のカンボジア人のプノンペンンへの投資資金流
入によるものであった。世界経済危機の初期の段階では、銀行の不動産分野
への融資を規制したため、不動産市場は下落した。不動産への融資や住宅融
資は著しく減尐した。
2009 年政府は、開発企業が建設を開始する前に、プロジェクト総額の2%の
資金を中央銀行に預託することを強いる法律を制定した。この法律は、開発
企業が詐欺行為を働くことを防止し、投資家を守るためのものである。
また、不動産市場を活性化させるために、新たな法律では外国人が2階以上
の階の不動産を購入することを解禁した。
不動産分野詳細
カンボジアにおける不動産事業は以下のように分類される。
1.住宅、居住不動産市場
2.オフィス市場
3.商業市場
4.産業市場
 住宅、居住不動産市場
人口増加、良好な経済、人材の豊富さなどで最も産業化された大都市プノン
ペンへの地方からの人口流入は続いている。2004~2010 年には平均 GDP 成長
率は 10%である。所得レベルの向上で、多くの住宅プロジェクトが出てきて
いる。一般的に、不動産投資のリターンは特に経済発展の際に比較的に高い。
多くの不動産仲介業者が事業を機会をとらえて設立されている。Peng Huoth
Borey と New World Borey の住宅開発は住宅投資家の間では有名である。
居住不動産市場では、コンドミニアムとビラの需要が増加傾向にある。
Grand Phnom Penh City は、インドネシアとカンボジアの開発企業によるも
のであるが、4,000 戸のビラとコンドミニアムを5億ドル(約 395 億円)か
け て 開 発中 で あ る。 Diamond Island City は 、 OCIC ( Overseas Cambodia
Investment Corporation)による開発である。このプロジェクトは、コンド
ミニアム、ビラを 28 万ドル~100 万ドル(約 7,900 万円)の値段で販売し、
加えて病院、レストラン、ショッピングセンター、公園も建設される。
Camko City は総額 20 億ドル(約 1,580 億円)の最大の開発プロジェクトで、
120 ヘクタールに衛星都市を造る計画である。これら3つのプロジェクトは
世界経済危機の影響を強く受け、延期や規模の縮小を強いられている。
しかし、カンボジア国立銀行(NBC)のデータによれば、2010 年の不動産融
資は 30%増となっている。不動産融資額は、2009 年 9,015 万ドルから 2010
年1億 1,744 万ドル(約 93 億円)となっている。この数字は 2008 年の1億
7,324 万ドルからすると未だに低い数字である。
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 オフィス市場
プノンペンのオフィス市場は、コロニアルスタイルのビラを、店舗やホテル
に改装したもの、低層の地元企業が入るものなどがある。オフィス市場は新
規物件の増加で成長している。いくつかの物件はまだ建設中である。このレ
ポートでは以下、プノンペンの 12 のオフィス物件について取り上げる。

Phnom Penh Tower
ビジネスの中心のプノンペンで初の世界的基準 A グレードのオフィスビルで
ある。21 階の同ビルは、Hyundai Motor Group の Hyundai Amco によって建
設された。総床面積は、31,299.89 平方メートル(オフィス 21,713.92、商
業 4,355.38)で、賃貸料は1平方メートル当たり、20~25 ドル(約 1,975
円)である。

IOC(Intelligent Office Centre)
ビジネス地域の Monivong 通りに位置している。6階建てのこのビルは、40
の部屋に分かれており、駐車場は尐ない。しかし、Central Market や Sorya
Shopping Center からは近い。

Hong Kong Center
Royal Palace やレストラン、店舗群に近い Sothearos 通りに位置している4
階建てビルである。1階は航空会社、病院事務所、Siemens の駐在員事務所
が入っている。その他、Total Cambodge や Thai Airway’s の貨物部門が入
居している。

Parkway Square
VITRUST Group の1つで、プノンペンで最初の多目的ビルである。西洋風の
ビルで、ワンストップサービスを提供している。主要なテナントは、
Levi’s、Burumgrad Hospital、Opus Cambodia、5 Arcarchitects、Cosmos
などである。賃貸料は1平方メートル当たり 11 ドル(約 870 円)程度であ
る。VITRUST Group は、新しい Ministry of Council ビルの隣にもオフィス
建設を計画している。

Cambodiana Hotel
ホテルの部屋を改装してサービスオフィスとして賃貸している。ホテルは
Tonle Sap 川沿いのビジネス地区の BKK1 と Wat Phnom の間に位置する。最大
のテナントは Ericsson で、600 平方メートルである。多くのテナントは 46
~110 平方メートルである。古いテナントは1平方メートル当たり 11~18 ド
ル(約 1,422 円)であるが、最近のテナントは 20 ドル(約 1,580 円)のよ
うである。

Intercontinental Hotel
ホテルのオフィス部分は Regency Complex と呼ばれている。2棟のビルから
成っている。4階建てのビルは、Maersk International と Thai Airline が
入居している。その他は中小 Airline や駐在員事務所である。

Attwood Center
カンボジアでは大手企業の Attwood Import-Export Ltd によって建てられた
ビルである。空港近くにあり、ビジネス街からは遠い。しかし、Russian 通
りの重要性が増していることや、商業センターが拡大していることを考える
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と、可能性がある立地である。賃貸料は1平方メートル当たり9~12 ドル
(約 948 円)である。

Canadia Tower(OCIC Tower)
地上 32 階、地下3階建てのビルで、6,000 平方メートルの敷地に 35,000 平
方メートルの床面積を持つ。用途は、駐車場、銀行、商業施設、オフィス賃
貸からなる。Canadia Bank 本店が殆どのテナントとなっている。
Figure 01: Canadia Tower

Delano Business Center
4,000 平方メートルの床面積のビルである。100~360 平方メートル
の賃貸面積となっている。賃貸料は1平方メートル当たり 15 ドル
(約 1,185 円)からである。

KT Tower Phnom Penh
2009 年完成の9階建てのビルで、床面積 3,240 平方メートルである。
1階は駐車場で、賃貸料は1平方メートル当たり 10 ドルである。

Sun Wah International Financial Centre プロジェクト
15,000 平方メートルの開発プロジェクトで、3カ所の高級住宅ブロ
ック、45 階建てオフィスビル、5つ星ホテル、プライベートクラブ、
大規模ショッピングモールから成る。Sun Wah と呼ばれるこのプロジ
ェクトは韓国の開発企業によるものであるが、世界的経済危機によ
り、計画は延期されている。

Vattanac Property
38 階建ての床面積 14,000 平方キロメートルのビル計画である。カン
ボジアでも有名な富豪で Vattanac Bank の所有者によるプロジェク
トである。ビルは建設途中にあり、CBRE がテナント募集の Vattanac
Capital Development の独占代理となっている。
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Figure 02: Vattana Tower
これ以外のプロジェクトには、Gold Tower 42 や International Finance
Complex、Camko City などがあり、オフィススペースの賃貸供給の見込みが
あるが、世界的金融危機で完成には至っていない。Gold Tower 42 は7フロ
アーをオフィススペースにする予定である。
20 億ドル(約 1,580 億円)規模のプロジェクトの Camko City は、最近、金
融問題に直面している。プロジェクト資金不足と、釜山貯蓄銀行のスキャン
ダルなどで、このプロジェクト遂行には疑問が出てきている。
 商業市場
商業不動産はここ数年、不動産分野の中でも重要な位置を占めている。
Sorya Shopping Center、Sovanna Paragon、City Mall などのショッピング
センターが主導している。Sorya のテナント占有率は 100%で、その他のシ
ョッピングセンターもほぼ 100%である。加えて、消費動向の変化で近代的
なスーパーなどの小規模市場が増加している。2010 年の Sorya Market、
Paragon、BS Department Store の賃料はそれぞれ1平方メートル当たり、10
~80 ドル(約 6,320 円)、20~60 ドル(約 4,740 円)、13 ドル(約 1,027
円)である。
Figure 03: Sorya Shopping Center
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 産業市場
タイ、ベトナム国境付近やプノンペンの地域は急速に成長している地域の1
つである。実際にプノンペン SEZ は総投資額 6,800 万ドル(約 54 億円)で
あるが、最も進んだ SEZ プロジェクトである。そこでは、産業ビルが賃貸に
出ている。カンボジア政府は SEZ を通じた投資について多くの優遇措置を提
供している。例えば、利益税免除や輸入 VAT 免除、建設資材、設備に対する
輸入税免除などの税制優遇、国外資金送受金の制限なし、100%外資を承認
などである。プノンペン SEZ の現在のテナントは、ミネビア、ヤマハ発動機、
味の素など国際的な企業である。
不動産分野の見通し
カンボジアの不動産分野に寄与する要因は、人口増加や都市化などを含み様
々なものがある。加えて、最近の不動産に関する法令の変更も不動産市場を
拡大させる。最近の改正で、外国人もコンドミニアムやアパートの2階以上
を保有することができるようになった。この法令により、外国人投資家のカ
ンボジア不動産の所有権については確実性が高まった。
現在、主な住宅建築企業は、Peng Huoth、New World Borey である。また、
カンボジア国立銀行のデータによれば、不動産融資は近年伸びている。住宅
需要の拡大は、商業不動産の発展を促す。国内外の企業や組織の拠点の増加
に対応して、多くの高層ビルが建設されている。Gold Tower 42、Vattanac、
Camko City は向こう3年でオフィススペースをさらに提供する。SEZ では多
くの税制優遇措置が付与され、民間投資を促進している。SEZ はカンボジア
には 22 カ所ある。より多くの産業市場、特に倉庫は拡大していくであろう。
不動産分野の主要企業
主要企業としてはまず、住宅建設企業の Peng Huoth、New World がある。高
層 ビ ル 建 築 企 業 に は 、 Vattanac 、 Canadia 、 Hyundai Amco ( Phnom Penh
Tower)がある。新都市建設では、Grand Phnom Penh、Camco City、Diamond
Island City が、多くのビラとコンドミニアムを提供する。SEZ では、Phnom
Penh SEZ やその他 SEZ がある。
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