90 ,4 ,3 BAC AC AB AC AD = 2

補習 2 回目
4 月のはじめに行った、春休み課題確認テストの問題を題材にいろいろ遊びました。
AB = 3, AC = 4, ∠BAC = 90° の直角三角形の重心を G とする。また 2 点 BG を通る直線が辺 AC
1
と交わる点を D とする。
(1) 線分 AD の長さを求めよ。
(2) 線分 BD の長さを求めよ。
(3) 線分 BG の長さを求めよ。
の問題を題材にして、問題集やテスト問題の自宅での学習のしかたについて考えました。問題集を解い
たり、間違えたものをやり直したり、解説を読んで理解したりということは、まじめな高校生ならだれ
でもやることで、それだけでは問題を最大限活用したとはいえないという話でした。何しろ、それらの
取り組みはすべて「受身」で、ちっともエキサイティングでないからです。皆さんらしい取り組みは、そ
れを超えたところにあるのではないでしょうか。「出題者を超える」というモットーを立てましたね。問
題を解答し、採点されてしまう「被害者」から早く脱して、まずは、出題者と同じ立場に立ちましょう。
その次には、出題者を評価する取り組みを通じて、出題者を超えましょう。
さて、上の問題は、何を狙いに作られたものでしょうか。問題文に、直角三角形
直角三角形と重心
直角三角形 重心という二つのキ
重心
ーワードが見えますから、直角三角形の性質と重心定理を組み合わせて解答する問題のようです。
(1)は大部分の人にとってはひどく簡単だったでしょうが、頂点と重心
C
を通る直線は中線であるという重心定理の一部分を知ってますか?、と
いう問題ですね。中線はもちろん対辺の中点を通るので 2 AD = AC で
す。
(2)で BD を求めることになります。これは∠A が直角であることを利
D
用して求める問題です。直角三角形の性質として最も有名な「三平方=
●
ピタゴラスの定理」を用います。
G
(3)では、再び重心定理の一部分、「重心は各中線を 2:1 の比に内分す
A
B
る」という事実を用いる問題です。
軽い、スマートな問題だとはいえますが、手ごたえは余りないですね。
出題の狙いを絞り込むことはできました。でも、ここで終わってしまってはあなたは被害者のままです。
この問題、もっと発展させることはできませんか?
発展させる方法はいくつかあります。一つは、この図形で、他にも長さが求まる(そしてつまらなくない)
線分を探すという発展のさせ方、もう一つは、この図形を書いた条件を
C
少し変化させて見るという発展のさせ方です。
他の線分を「見える化」するために、他の頂点と G を結んで見ました。
線分 CG の長さは計算できそうですが、使う技術は BG のときと全く同
E
D
じですから、単なる練習問題になってしまいます。AG の方はどうでし
ょうか。∠GAB は 90°ではありませんから、三平方の定理は使えませ
●
ん。では計算できないのでしょうか。AG が辺 BC と交わる点を E とす
G
A
ると、E は BC の中点です。すると E は直角三角形の斜辺の中点だから、
B
直角三角形の外心になります。つまり AE=BE=CE だから AE =
5
5
となり、重心定理より AG = です。
2
3
このように、似たような線分の長さを求めるのに、違った技術を使うような問題が作れれば、問題を発
展させたということができるでしょう。出題者はこうやって超えていきましょう。
もう一つの発展のさせ方にトライしましょう。元の問題は重心定理と直角三角形の性質を組み合わせ
た問題でした。他の組み合わせを考えて見ましょう。重心定理は三角形の 5 心という一連の定理の一部
です。重心でなくて、5 心のほかのものと直角三角形の性質を組み合わせて見ましょう。垂心定理や外
心定理と組み合わせた問題は、つまらないということが直ちに分かります。内心定理で試してみましょ
う。問題を次のように書き換えます。
問題 1′
AB = 3, AC = 4, ∠BAC = 90° の直角三角形の内心を I とする。また 2 点 BI を通る直線が辺
AC と交わる点を D とする。
C
(1) 線分 AD の長さを求めよ。
(2) 線分 BD の長さを求めよ。
(3) 線分 BI の長さを求めよ。
D
(1)重心定理の代わりに内心定理を使うと BD は∠B の 2 等分線です。そ
こで角の二等分線定理を用いると AD : CD = AB : CB = 3 : 5 ですから
I
3
3
AD = × 4 = 。
8
2
(2)BD は、オリジナルの問題と同じ手法で BD =
●
A
B
3
5
2
(3) AI も∠A の 2 等分線であることに注意すれば BI : ID = BA : AD = 2 : 1 ですから BI =
5
重心定理とは違っても、
内心定理と角の 2 等分線定理をうまく使いこなして線分の長さを求めています。
授業では、さらに AI の長さを求めてみました。
2 から 4 までの簡単な答合わせをしたあと、5 の立体図形のオイラー標数に挑みました。