志賀2号機 新設計低圧タービンについて

資料No.7-2
北陸電力㈱志賀2号機
新設計低圧タ ビンについて
新設計低圧タービンについて
(工事計画の概要)
平成20年10月31日
原子力安全 保安院
原子力安全・保安院
原子力発電安全審査課
1
経
緯
・平成18年3月15日 :
志賀2号機運開
・平成18年7月5日 : 手動停止
・平成18年12月23日 : 修理工事着手
・平成20年6月5日 : 使用前検査合格
・平成20年9月26日
平成20年9月26日
:
工事計画届出
(タービン取替)
2
低圧タービン第12段の損傷状況
A号機
B号機
C号機
合計
損傷本数
75
71
112
258
総 本 数
280
280
280
840
動
翼
注)損傷は、第12段動翼のみに発生。
3
対策内容(整流板の設置)
整流板(上半)
整流板(下半)
4
浜岡5号機圧力プレート(整流板)の点検状況
※中部電力から入手
運転時間 約12,000時間
5
整流板設置後の発電への影響
電気出力
(MW)
設置前
設置後
1,358
1,206
6
新型タービンの設計変更点
第12段の動翼、噴口・隔板(静翼)の
第12段の動翼
噴口 隔板(静翼)の
設計変更
第12段動翼の連結方式の変更
7
第12段翼の主な仕様
(数値の単位:mm)
翼根元径*
翼有効長さ*
翼先端径*
翼根元幅*
フォーク部長さ*
翼連結構造
翼材料
*:次ページスライド参照。
新設計翼
旧設計翼
約 2,500
2 500
約 530
約 3,600
約 100
約 140
CCB構造
12Cr-Nb-N鋼
同 左
<
<
<
>
テノン シ ラウド構造
テノン・シュラウド構造
同 左
12段翼の主な部位
翼
翼先端径
翼先端径
翼根元径
翼根元幅
フォ ク部長さ
フォーク部長さ
翼有効長さ
翼根元径
9
新・旧第12段動翼
新設計翼
旧設計翼
CCB構造
(CCB:Continuous Cover Blade)
テノン・シュラウド構造
10
法令上の手続き
電気事業法 (昭和39年 法律第170号)
公共の安全の確保上重要な工事をしようとす
る者は その工事の計画について 経済産業
る者は、その工事の計画について、経済産業
大臣に対して手続きを行わなければならない。
工事計画
工 事 計 画
電気工作物の構造、強度、性能が、公共の安
気
構 、強度、
、
全の確保上問題がないものであることを国が
確認する。
認 可
工事計画
届 出
12
タービン取替に係る工事計画手続き
(工事内容) 低圧タービンの「改造」
低圧タ ビンの「改造」
電気事業法 施行規則 別表第2
第2項(2)
(3)
5%以上の出力変更を伴うもの
円板の強度の変更を伴うもの
工事計画届出
13
工事計画と技術基準
蒸気タ ビンは、「発電用原子力設備
蒸気タービンは
「発電用原子力設備
に関する技術基準」第34条において
準用する「発電用火力設備 関する
準用する「発電用火力設備に関する
技術基準を定める省令」を満足しなけ
ればならない。
14
発電用火力設備に関する技術基準
① 回転速度に対して十分な機械的強
度を有すること。
度を有す
② 軸受又は軸は
軸受又は軸は、振動に対して十分
振動に対して十分
な機械的強度を有すること。
③ 耐圧部分に生ずる応力が、材料の
許容応力を超えてはならない。
許容応力を超えてはならない
15
① 回転速度に対する各部位の強度
翼根元部
44%
隔板・噴口
円板翼溝部
26%
29%
円板
翼止めピン
38%
41%
注:
車軸
静
翼
動
翼
中の数値は
許容応力に対する
発生応力の比
16
② 軸の強度
許容応力に対する
発生応力の比率
(%)
高圧
~
低圧A
低圧A
~
低圧B
低圧B
~
低圧C
低圧C
~
発電機
19
41
(※)
43
(※)
47
短絡時の値を記載。
値を記載。
(注) 1 短絡時
2 ※印は、区間で最も厳しい軸受けの値を記載。
17
③ 耐圧部分(車室)の強度
低圧内部車室(胴部)
最高使用圧力
(MPa)
0.35
最高使用温度
(℃)
149
必要最小肉厚
(mm)
11.41
設計肉厚
(mm)
22.3
18
第12段の振動評価結果
ランダム振動
ランダム振動による発生応力は、 疲労限の
9%程度であり、十分な裕度を有している。
ランダム+フラッシュバック振動
11段~14段までを模擬した縮小モデルにより
、20%負荷遮断時のランダム振動とフラッシュ
負荷遮 時
ダ 振
バック振動の重畳による発生応力は疲労限の
振
23%程度であり、十分な裕度を有している。
19
第12段以外の動翼の振動評価結果
低圧内部車室(胴部)
第11段
第13段
第14段
逆流の影響は第12段までである。このため、ランダム振動の
影響はない。また、フラッシュバックが生じないため、この影響
もない。
ランダム振動の影響は6 N/mm2程度である。これに20%負
荷遮断時のフラッシュバックの影響の重畳を考慮してもそ
の発生応力は疲労限の19%程度と十分な裕度を有しており
問題はない。
ランダム振動の影響は8 N/mm2程度である。これに20%負荷
遮断時のフラ シ バ クの影響の重畳を考慮してもその発生
遮断時のフラッシュバックの影響の重畳を考慮してもその発生
応力は疲労限の19%程度と十分な裕度を有しており問題は
ない。
20
低圧タービンの耐震性
新設計タービンは、第12段の動翼の設計変更により、低圧
新設計タ
ビンは 第12段の動翼の設計変更により 低圧
タービンA、B、Cそれぞれ約 0.1 %程度重量が軽くなる。これ
による耐震性 の影響はわずかであり、問題はない。
による耐震性への影響はわずかであり、問題はない。
A号機
B号機
C号機
新
旧
新
旧
新
旧
43
43
43
43
44
44
基礎ボ
基礎ボルト
せん断応力の
許容応力に対する
比率(%)
21
新設計の確認(1/2)
① 12段翼の振動:
1/1スケールの実物大モデルを製作し、これを用いて共
ケ
実物大 デ を製作
れを用
共
振に関する試験を実施。この結果、12段翼の振動共振点が
共振回避範囲にないことを確認
共振回避範囲にないことを確認。
300
新設計翼の
振動共振点
A1モード
200
共振回避範囲
振動変位方向
向
振動数 (Hz)
400
回転方向
100
新設計翼の振動形態
新設計翼
振動形態
実物大モデル
(北陸電力から入手)
0
0
0
600
1200
10
20
ロータ回転数 (rpm)
1800
30
22
新設計の確認(2/2)
② ランダム振動、フラッシュバックの影響:
旧設計タ ビンの損傷の主要因であったランダム振動、フラッ
旧設計タービンの損傷の主要因であったランダム振動、フラッ
シュバックの影響については、11~14段を模擬した縮小モデル
を製作し、これを用いた試験を実施。この結果、発生する応力が
疲労限に達しないことを確認。
(ランダム振動+フラッシュバック)時の各段の応力評価
第12段
新
発生応力の
疲労限に
対する比率
(%)
旧
第13段 第14段
23 200 19
19
縮小モデル
(北陸電力から入手)
23
その他(タービンの振動管理)
以上の各部位ごとの個別の評価に加え、
以上の各部位ごとの個別の評価に加え
運転中は、車軸の10箇所に設置された「軸振動検出器」
により 常に軸部の振動の監視を行っており 異常があっ
により、常に軸部の振動の監視を行っており、異常があっ
た場合は、警報、さらには停止させることとなっていることも
確認。(蒸気タービンの振動管理に関する説明書)
気
振
運転中は軸振動検出器により以下のとおり管理する
運転中は軸振動検出器により以下のとおり管理する。
(単位:mm 両振幅)
軸振動
検出箇所
警報値
停止値
第1~第10軸受
0.175
0.250
24
工事のスケジュール
据付工事開始
:平成22年8月下旬
取替工事完了
:平成23年1月中旬
(注)現時点における計画であり、今後変更があり得る。
25
(参考-1)
柏崎刈羽6・7号の低圧タービン損傷について
柏崎の地震後の機器詳細点検中、低圧タービン
動翼の 部に折損が認められ その後の磁粉探
動翼の一部に折損が認められ、その後の磁粉探
傷検査において指示模様が認められた。
原因調査の結果、地震との関係はなく、発電を止
める際などにタービンを回す蒸気の逆流が起き、
める際などにタービンを回す蒸気の逆流が起き
翼に想定以上の振動を与えたことが原因と確認さ
れた
れた。
26
(参考-2)
柏崎刈羽6・7号の低圧タービン損傷の概要
志賀2号
折損
12段
[L-2]
[L
2]
13段
段
[L-1]
14段
[L-0]
損傷本数
2
0
総本数
256 258
折損
0
0
0
0
指示模様
合計
137 137
柏崎刈羽7号
折損
指示模様
合計
2
90
92
912
0
0
960
総本数
損傷本数
合計
840
総本数
損傷本数
指示模様
柏崎刈羽6号
0
912
0
0
756
0
732
0
5
780
1
1
756
5
0
96
96
780
(注) [ ]内は、柏崎刈羽での呼び名である。
27
(参考-3)
(参考
)
柏崎刈羽6・7号の損傷の原因
柏崎刈羽
号 損傷 原因
L-2段【志賀2号では第12段に相当】
負荷遮断時のフラッシュバックにより、当該翼部に乱流
負荷遮断時のフラッシュバックにより
当該翼部に乱流
が発生した。これによる振動によりき裂が発生・進展し、損
傷した。
L-0段【志賀2号では第14段に相当】
段【 賀 号
第 段 相 】
復水器の真空度が低下した状態で低負荷運転を行った
ことにより、疲労限を超えるランダム振動が発生した。これ
とにより、疲労限を超えるランダ 振動が発生した。 れ
によりき裂が発生・進展し、損傷した。
28
(参考-4)
志賀2号と柏崎刈羽6・7号の原因の違い(1)
◆L-2段【志賀2号では第12段に相当】
・志賀2号は、ランダム振動にフラッシュバックの影響
志賀 号は、ランダ 振動
ラッシ
ックの影響
が重畳したため疲労限界を超え損傷に至ったもの。
・柏崎刈羽6・7号は、フラッシュバックの影響と翼の共
振が重な
振が重なって疲労限界を超えたもの。
疲労限界を超えたも
志賀2号では、 11~14段部分の縮小モデルを用い
試験
、
振動
た試験により、ランダム振動及びフラッシュバックの
影響があってもその際の発生応力が疲労限に対して
十分余裕があることを確認している。さらに当該翼に
ついては、製作した実物大モデルによる試験により、
デ
それぞれの影響を確認している。
29
(参考-5)
志賀2号と柏崎刈羽6・7号の原因の違い(2)
◆L-0段【志賀2号では第14段に相当】
・志賀2号は、損傷していない。
志賀 号は 損傷し
な
・柏崎刈羽6・7号は、ランダム振動とタービン内の真空
度の影響が重なって疲労限界を超えたもの。
度の影響が重なって疲労限界を超えたもの
志賀2号では、11~14段部分の縮小モデルを用いた
試験でランダム振動及びフラッシュバックの影響を確認
している。さらに、運転時に真空度が警報値を超えて運
転し続けることは考えられないが、仮に継続したとしても、
疲労限に対して十分余裕があることを確認している。
30
審 査 結 果
北陸電力㈱志賀2号機のタービン取り替え
北陸電力㈱志賀2号機のタ
ビン取り替え
に係る電気事業法第48条に基づく工事計
画届出は、同法第39条第1項に定める技
条
術基準に適合しており、安全の確保上問
題ないものと判断する。
31