将来のニーズに対応可能な BIM デルおよび BD+C によるホワイトペーパー FPO Netsian Technologies Group ホワイトペーパーの内容 セクション1. 概要と背景 ビルディングインフォメーション モデリングを成功に導くための 堅牢な環境の構築 新しい建築設計/建設テクノロジーや今までにないプロジェクト管理手法のメリットを 享受するために、あらゆる規模の主要なAEC組織がビルディングインフォメーション モデリング(BIM)を導入しようとしています。BIMシステムのメリットおよび手法が 広く受け入れられている一方で、BIMに最適なハードウェアやネットワーク環境に関す る重要な問題も存在します。しかし、BIM用のワークステーションをアップグレードす るための効果的な移行手法を導入しているAEC企業が、ますます増加しています。 BIMのテクノロジーおよびアプリケーションに関する第一線の専門家たちは、ハイパ フォーマンスグラフィックスワークステーション(HPGW)を使用して、生産性およ びITのライフサイクルを向上し、プロジェクトの完全な統合を促進する方法を示して きました。また、AEC企業の管理者や中小規模組織のIT責任者(BIMマネージャ)が経 験したことは、どのようにすればBIM用ハードウェアを適切に導入できるかを示してい ます。彼らが導いた結論は、あらゆる規模のAEC企業に当てはまります。 本ホワイトペーパーでは、各種のハードウェア仕様の相対的なメリットを、BIM向け ワークステーションの適切な選択方法と仕様に関するガイダンスと共に示します。ま た、既存の基準(ソフトウェアのタイプやプロジェクトのワークフローなど)との互 換性について概説します。さらに、BIM向けワークステーションの段階的な導入、ハイ エンドな推奨システムを導入した場合のコスト管理やROIに対する期待など、導入戦略 に関するアドバイスについて検討します。本ホワイトペーパーでは、モバイルBIMなど の関連する重要なトレンドについても説明します。 • AEC業界における共同作業の必要性 • BIMの新たな方向性 • ハードウェアに関する問題 セクション2. BIM用ハードウェアの改善に関する 事例: コストと 効率 • BIMをサポートするための要件 • 中小規模企業と 個人ユーザー • ハイエンドシステムの開発 • デスクトップ、ワークステーション、モバイルの 選択肢 セクション3. BIM用ハードウェアのアップグレードに関す る計画と準備 • オプションの調査 • 社内調査 • 外部調査 セクション4. クラス最高のBIMに使用するハードウェアの 選択 • 1つの重要な問題: ハードウェア • もう1つの重要な問題: モバイルと 据置型ワークス テーション • ワークステーションのタイプ: - モデリングのみ(「ミッドレンジデスクトップ」) - モデリングおよびレンダリング (「アドバンスデスクトップ」) - モバイルワークステーション – ミッドレンジと アドバンス セクション5. 行動計画と次のステップ • BIMの決定ツリー • トップレベルの仕様 • ハードウェアに関するその他の問題 • ネットワーク セクション5a. BIM用ハードウェアの決定ツリー(関連記 事) セクション6. BIM: 成功に導く7つのステップ セクション7. 出典および参考資料 スポンサーについて1 1 I. 概要と背景 : AEC業界における共同作業の 必要性 ほんの数年前まで、将来の最適な設計、モデル、およびデリバ リのプラットフォームとして、ビルディングインフォメーショ ンモデリング(BIM)を導入することが既定の結論なのかどう かについて、激しい議論が交わされていました。しかし現在で は、建築、エンジニアリング、建設(AEC)業界は、BIMを全 面的に導入するための準備を行っています。建築設計/建設市 場は既に、BIMのプラットフォームおよびオブジェクトへの依 存を高める方向に大きく傾いており、テクノロジーの向上が、 多くの設計会社や契約会社によるBIMの導入と相まって、あら ゆるタイプのAEC企業のインセンティブを増大させ、CADソ フトウェアからBIM対応プラットフォームへの移行の検討を促 進しています。 しかし、本ホワイトペーパーで説明するように、BIM作業ツー ルの導入の加速が、AEC企業のハードウェアパフォーマンス に関する重大な問題を引き起こしています。BIMの導入を成功 させるためには、コンピュータハードウェアに関する仕様、運 用環境、および将来のニーズを考慮する必要があります。 BIMの導入は、現在の厳しいマクロ経済情勢にもかかわらず、 喫緊の検討課題となっています。皮肉なことに、2008年の金 融危機後、北米建設市場の回復が遅々として進まなかったこと が、BIMの広範な導入に直接つながった可能性があります。例 えば、飽和状態の市場の中で優位性を見出そうとしていたゼネ コン(GC)は、BIMについて、短期的にはコスト削減を実現 するための方法として(BIMのテクノロジーにより、材料の浪 費や損失時間を削減する厳密な施工計画を立てることができる ため)、長期的には競合他社に対して技術面で優位性を得るた めの方法として考えていました。設計/エンジニアリング業界 は、現在ではある程度、不況から脱しつつあります。 こうした市場の力は、ステークホルダー間の適切かつ徹底的な 共同作業がプロジェクトの成功に欠かせないという、AEC業 界に対する重要な教訓をより説得力のあるものにしています。 BIMプラットフォームの作成者たちは、計画や設計から施工や 建物の運用に至るあらゆるフェーズでのコミュニケーションお よび共同作業のプロセスをシンプル化するテクノロジーを提供 することを目指しています。理想的なBIMプロセスでは、メー カーやGC向けの高度に技術的なモデルが作成されます。クラ イアントは、作成されたモデルや3Dレンダリングを見ること によって、内容をある程度理解することができます。BIMモデ ルの意義は建築チームのメンバーごとに異なりますが、1つの モデルを作成することによって、建築チームのすべてのメン バーがプロセスをシンプル化および合理化するのに大いに役立 ちます。ロンドンに拠点を置くEvolve Consultancyの社長であ るNigel Davies氏は、次のように簡潔に述べています。「BIM は、適切な人物が適切な情報を適切なタイミングで利用できる ようにするためのプロセスです。」 ただし、BIMの導入を十分に広めるためには、ハードウェア に関する問題など、さまざまな課題を解決する必要がありま す。例えば、BIMプラットフォームとプロジェクト情報管理 (PIM)プラットフォームが競合することが多くなっています が、競合によって技術的な向上が促進されるため、これは一般 によいことと見なされています。しかし、BIMをこれから導入 しようとしている企業の間では、そのプラットフォームについ て、十分なサービスを受けられないのではないか、共同作業を 行っているステークホルダーが使用しているプラットフォーム と互換性がないのではないか、なくなる可能性がある会社が販 売しており、ユーザーがソフトウェアのサポートを受けられな くなるのではないか、という疑念も生まれています。また、各 種のプラットフォームのメリットを比較してもその違いがよく 分からないことに加え、使用中のCADシステムに対する満足 感や、コストがかかる新しいテクノロジーへの投資に対する躊 躇なども、BIMの導入を遅らせています。しかし、BIMの導入 は、共同作業を成功させる上で検討しなければならない問題で す。共同作業は、設計やデリバリにおいて重要性を増しつつあ るBIMの役割を促進しますが、同時に妨げもします。 適切な共同作業は、プ ロジェクトの設計やデ リバリにおけるBIMの 役割を促進するが、同 時に妨げもする。 それでもBIMは、建物の建築方法の全面的な改革を支える役割 も果たしています。このため、中小規模から大手に至るあら ゆる主要企業は、BIMへの投資を直ちに行わざるを得なくなっ ています。BIMに投資する際には、本ホワイトペーパーで推奨 されているようなアップグレードの行動計画の作成や、既存 のBIM向けワークステーションと関連ハードウェアをアップグ レードするための計画の作成などを行います。 ダラスにあるRaymond L. Goodson Jr. Inc.のプロフェッショ ナルエンジニア、LEED AP、CWI、構造エンジニア兼IPDディ レクターであるWill Ikerd氏のような専門家は、BIMはCAD 環境とは大きく異なっており、 より強力なアプリケーショ ンを 使用しているだけではないと述べています。Structural Engineering Institute(SEI)およびCouncil of American Structural Engineers(CASE)のSEI-CASE BIM Committee や、Association of General Contractor(AGC)のBIMフォーラ ム設計者グループで議長を務めていたIkerd氏は、「BIMはプロ セスであり、ツールではない」と述べています。 BIMはどこへ向かっている のか BIMの導入に関する課題には、導入自体に関する課題と、市場 浸透を成功させるための課題があります。建築家たちは、BIM の使用を急速に促進してきました。多くの企業は、一部のクラ イアントがモデリングプラットフォームを使用するためにBIM を必要としていたと述べています。フロリダ州サラソタにある Barrington Architecture & DesignのCEOであるScott Barrington 氏によると、 最近見られるBIMソフトウェアの建築会社への 2 浸透は、1980年代の2D CADの市場浸透よりも3倍速いそうで す。専門知識の習得に関する前年比増加率は驚異的な値を示 しています。2009年の後半には、BIMを使用している建築家 の43 %が自分自身を先進的なユーザーと見なしていたのに対 し、2007年のその割合は26 %でした。 それでも、マサチューセッツ州ニュートンにあるPSMJ Resources, Inc.の副社長であるEd Hannan氏によると、AEC企 業の大多数は、BIMを普段から使用しているわけではないとの ことです。米国では、BIMを最もよく使用しているユーザーは 建築家であり、プロジェクトの60 %以上でBIMを使用してい ます。それに比べ、2008年にBIMユーザーを自称していた建築 家は43 %でした。建築ビジネスやA/Eビジネスでは、BIMを使 用することは有効なことと認識されています。カリフォルニア 州サンラファエルにあるBIMプラットフォームメーカーのオー トデスクが実施したオンラインアンケートでは、BIMユーザー が予想したBIMツールの投資収益率(ROI)は、60 %を超えて いました。実際には、多くの建築会社が100 %を超える収益率 を回答しています。 2008年に実施されたあるアンケートでは、BIMの専門家の 82 %が、BIMは企業の生産性に「大きなプラスの影響」を与 えると考えており、BIMプロジェクトのROI向上に常に取り 組んでいるBIMの専門家は約44 %に達することが判明しまし た。こうした統計はますます増えてきています。 AEC業界の他の部分でも、BIMの使用が着実に進んでいます。 構造エンジニアリング企業の半数がBIMを使用していますが、 25,000人のSEIおよびCASEのメンバーを対象に昨年実施され たEメールでのアンケートによると、自分自身を熟練したBIM ユーザーと考えていた人はほんのわずかでした。1,400人の回 答者の大部分は、従業員数が2∼10人の中小規模オフィスの従 業員でした。また、構造設計企業のほとんどは、設計者が20 人未満でした。 最近の概算によると、米国の全建設会社の 半分以上がBIMを 使用しており、施工主グループの約40 %が現在BIMを使用し ています。PSMJによると、施工主たちは、「運用やメンテナ ンスに関する各自のニーズに対してBIMが与える大きな影響」 にまだ気付いていないそうです。しかし現在、今後のプロジェ クト契約の一部またはすべてにおいてBIMの使用を要求しよう としている連邦政府関係機関が増えています。その中でも、共 通役務庁(GSA)、陸軍工兵部隊、および退役軍人省(VA) は、BIMの使用が最も進んでいると、PSMJは述べています。 BIM プラットフォームの概要 グラフィソフトのBIMプラットフォーム であるArchiCADは、現在までに14回のリ リースが行われてきました。このプラッ トフォームは、1987年の発売当初から、 開発者たちからはBIMシステムと見なされ てきました。グラフィソフトによると、 ArchiCADは、元々はMacハードウェア向 けに設計され、グラフィソフトがバーチャ ルビルディングと呼んでいたアプローチ を使用していました。このアプローチで は、ArchiCAD自体を、モデル全体の中心 的なリポジトリと考えるのではなく、バー チャルビルディングモデルの周囲を、軌道 を描いて回る多数のサテライトアプリケー ションの1つと考えます。グラフィソフト の資料によると、ArchiCADユーザーは約 150,000人に達しています。ArchiCADは、 2Dソフトウェア以外と相性がよいと考え られており、2Dモデルと3Dモデルの間の バランスを適切にコントロールすることが できます。変更が行われると、高度が自動 的に更新され、追加のプラグインまたはソ フトウェアアドオンなしで、建築ドキュメ ントが抽出されます。 Revitの競合製品と考えられているもう 1つのプラットフォームが、Bentleyの MicroStationです。MicroStationも1980 年代に発売され、現在までに15回のリ リースが行われています(現在では、 MicroStation V8iと呼ばれています)。最 新バージョンのBentleyのプラットフォー ムでは、旧式のファイルタイプに簡単にア クセスできるだけでなく、他のエンジニア リングプログラムとの統合も可能です。 Bentleyユーザーは、MicroStationは他のソ フトウェアに比べて基盤がしっかりしてい ると述べています。つまり、MicroStation は、モデルが比較的多くの種類の要素で 構成されている場合でも、競合するBIMプ ラットフォームよりも素早く処理を行い、 CPUリソースをより効率的に使用するこ とができます。MicroStationは、こうした 特徴のおかげで、施工主や政府系の機関お よびプロジェクトにおいて採用されていま す。 オートデスクのBIMプラットフォームであ るRevitは、オートデスクが2002年にRevit Technologiesを買収して以来、BIMの業界 標準として認められるために、強力な主張 を行っています。Revitは、ほとんどの市 場を支配しているWindowsベースのマシ ンのメインプラットフォームになっていま す (Macハードウェアでも、Parallelsまた はBoot Campで提供されるWindows環境で Revitを実行することができます。Bentley MicroStationもWindows版しか販売されて いませんが、同様の方法でMacハードウェ アでも実行することができます)。 ArchiCADのバーチャルビルディングアプ ローチとは異なり、Revitの戦略は、1ヶ 所での完全な統合です。Revitプラット フォームはパラメトリックです。つまり、 変更がきっかけとなって、モデル内のす べてのビューとスケジュールが更新されま す。設計者は、全社的な要素の基準を操作 したり、特定のプロジェクト用のカスタム 要素を作成したりすることができます。ま た、Revitのマス要素機能では、回路図の 操作や、回路図の作業図面への変換を素早 く実行することができます。設計者は、こ の機能を高く評価しています。 Revit、MicroStation、およびArchiCADと 競合するプラットフォームはほとんどあ りませんが、多くの設計者は、ますます 進化しているプラグインの作成機能を通 じてBIMのオープンスタンダードになりつ つあるGoogle Sketchupに大きな関心を寄 せています。これは、注目すべきトレン ドです。簡単かつ直感的に使用できる、 初期フェーズの設計/描画プログラムとし て知られているSketchupは、BIMプラット フォームではありませんが、Sketchupモ デルを操作してBIM対応のオブジェクトに 変換するためのプラグインが普及すれば、 今後、Sketchupのステータスが一変する 可能性があります。 例えば、ソフトウェア開発会社のEnnova が開発した、4D BIM施工管理プラグイン として知られているEnvisionという製品 は、完全にGoogle Sketchupのフレーム ワークをベースにして作成されました。こ のプログラムは、設計者がまさに必要とし ていたツールであり、施工計画およびスケ ジュールに適した設計用プラットフォーム や、環境的持続可能性モデルを実現するた めのBIMモデルを提供します。 出典 : Ian Howell、Bob Batchele 共著『Building Information Modeling, Two Years Later(2 年後のビルディ ングインフォメーションモデリング)』、 John Jurewicz 著『Contractor Considerations: Insider Insights into Getting Started with BIM(建設業者の考 慮事項 : BIM の導入に関する内部関係者の洞察)』 3 こうしたBIMへの着実な移行の1つの結果が、BIM向けワークス テーションやネットワークテクノロジーの継続的な向上として 現れています。ZweigWhiteによると、2010年のAEC業界におけ る全IT支出の約20 %はハードウェアに費やされており、人件費 (31 %)に次ぐ割合を占めています。標準的なAEC組織のソフ トウェアコスト(BIMプラットフォームを含む)は、約17 %に達 しました。2010年に実施したアンケートの対象となったAEC企 業の多くは、売り上げが伸びず、総建築着工数が減少していたに もかかわらず、新しいハードウェア(一部はBIM計画に関連)の 導入に取り組んでいました。 BIMが優位を占める理由 BIM用ハードウェアの改良ニーズが、多くの包括的なトレンドに よって促進されています。本ホワイトペーパーの執筆にあたり取 材をした、AECのコンピューティングおよびテクノロジー分野の 専門家たちは、BIM環境(適切なハードウェアおよびネットワー クを含む)が、今後のプロジェクト作業に最適なサポートを提供 することを確信していました。そればかりか、今すぐアップグ レードを行う計画を立てる重要な理由も提案しました。BIMが今 後10年以上に渡って普及することに関して、彼らは意見が一致 しています。これには、以下のような切実な理由がいくつかあり ます。 FPO Precision ™ CADD & Graphics ムとして検討に値する包括的なソフトウェアスイートを提供し ている企業は数社だけです (関連記事の「BIM Platform Makers (BIMプラットフォームメーカー)」を参照)。 Autodesk Revitは、最大の市場占有率を誇っており、業界内の 一部では「Revit」と「BIM」が区別なく使用されているほどで す。しかし、オートデスクには、ブダペストとマサチューセッ 1. インテグレーテッドプロジェクトデリバリ(IPD)は、高度な ツ州ニュートンに拠点を置くソフトウェアメーカーのグラフィ 共同作業を必要とする手法で、多くの場合、設計/建築または設 ソフトや、ペンシルベニア州エクストンに拠点を置くBentley 計/支援の契約アプローチを含み、BIMを使用することで大きなメ Systems, Inc.を始めとする強力なライバルがいることを忘れて リットが得られます。IPDでは、プロジェクトチームのメンバー はなりません。オートデスクが優位を占める可能性はあります 間で均等にリスクを分散し、プロセスの早い段階で実現可能性に が、3つのプラットフォームすべてがその相対的な成熟度に関し 関する問題を解決できるため、価値の高い、コスト効率に優れ て注目に値します。Google Sketchupは、今後、BIMのもう1つ た建築ソリューションを実現できます。AGCのBIMフォーラムで のプレイヤになる可能性があります。 は、過去2年間に渡り、IPDに注目してきました。米国建築家協 会(AIA)のE202文書において、BIMプロトコルとの関連でIPD が説明されています。 2. Virtual Design & Construction(VD&C)は、今後数年のうち に、建設可能性分析、コストの見積もり、およびプロジェクト のスケジュール設定に使用されるようになると思われます。BIM は、VD&Cを詳細にサポートしており、寸法的に正確な3Dモデル を提供することにより、トレード間の競合を解消することができ ます(クラッシュ検出と呼ばれるプロセス)。また、モデル化さ れたデータ内の顕著な不一致を特定することができます(モデル 化されていないデータでも可能です)。 3. 持続可能性と環境に配慮した建築。多くの企業は、BIMを使用 して、LEED認定の取得を目指しています。また、BIMは、エネ ルギーモデリング、エアフロー分析、および採光調査に組み込む ことも可能です。BIMは、改良版の「Cradle to Cradle」プロジェ クト分析、および「Lean Construction」手法にも直接貢献してい ます。これらはどちらも、施工関連の廃棄物や内包エネルギーを 削減するための手法です。ジャストインタイムデリバリや工業化 プレハブも、寸法的に正確で、情報が豊富なパラメトリック建築 モデルを通じて実現することができます。 AEC企業が成功できる かどうかは、BIMのコン ピューティング環境に 関係なく、BIM製品をサ ポートする適切なハー ドウェアを選択できる かどうかに大きく左右 されます。 BIMプラットフォームのパフォーマンスがそのハードウェア環境 に大きく依存することは直感的に分かりますが、経験が豊富な AEC企業は、適切なプラットフォームを構築するには、それに も増して、機能、専門知識、および企業のプロセスが重要な要 素になると語っています。BIMユーザーのグループは、以降に記 載する推奨および必須のハードウェアガイドラインに加え、モ これらの市場要素に加え、米国の建設行政部によると、BIMは デリングおよびBIMモデル開発に関する業界のベストプラクティ 「ほぼ10年間に渡るプライムタイムを迎える準備ができてい スにも従う必要があります。経験豊富なAEC企業の最終的な目 る」ため、ハードウェアのアップグレードが不可欠になっていま 標は、スムーズなワークフロー、一貫した堅牢なBIMパフォーマ す。そのため、多くのソフトウェア開発企業がビルディングイン ンス、設計の意図を適切に表現し、コンピュータでの処理が可 フォメーション市場に参入していますが、BIMのプラットフォー 能なモデルを実現することです。 成熟期を迎えたBIMプラット フォーム 4 II. BIM 用ハードウェアの改善 に関する事例 : コストと 効率 BIMに使用するハードウェアへの投資には多額のコストがかか るように思えるかもしれませんが、AECの一部のエンドユー ザーに言わせれば、「企業の全般的なビジネスプランの評価の 中では取るに足らない問題」です。BIMを企業のビジネスプラ ンに含めるという決定を下した場合、トレーニング、専門知識 の育成および効率の向上、適切な導入のために必要な基準およ びツールの作成にかかるコストは、ハードウェアのコストをは るかに上回る懸案事項になるでしょう。 ムは、その使用方法に関する適切な知識を身に付ける必要が あります。ミネソタ州セントポールに拠点を置く、中規模の 構造エンジニアリング企業の社長兼IT担当バイスプレジデン トであるDavid Pluke氏によると、今日のBIMの手順およびプ ログラムはITインフラストラクチャに対する要求が厳しいた め、その中に潜在する脆弱な部分を特定し、アップグレード に優先順位を付け、ユーザーの生産性に対するITの障害を排 除する計画を策定する必要があるとのことです。 「どのような企業でも業務にハードウェアを使用するため、問 題は、ハードウェアが必要かどうかではなく、BIMプログラム を企業が望むレベルで動作させるために、より高度なハード ウェアが必要かどうかということです。」中規模のエンジニア リング/建築会社のあるBIMマネージャは、このように述べてい ます。一方、クライアントの要求、市場動向、またはその他の 理由により、BIMを今後のビジネスプランに含める必要がある と評価した場合は、ハードウェアのコストと 導入全体のコスト の比較は決定的要因にならないという人もいます。 適切なBIMのトレーニングを実施した上でBIMを実行した場 合、障害が発生する可能性が最も高いのは、モデルを保持す るのに不十分なハードウェアです。 BIMマネージャやBIM担当ディレクターが存在する企業もありま すが、中小規模企業では不要な場合もあります。しかし、AEC 企業の間で意見が一致していることは、BIMの生産基準を導入 する場合、各個人がハードウェアを選択することとソフトウェ アを使用することを最大の目的とし、ITシステムを実際の業務 のためだけに日々使用するのではなく、BIMで実行できること に対してさらに高いレベルを求めるためにITシステムを使用す ることが重要であるということです。 BIMプログラムの導入を実施する人にとって極めて重要な責務 の一部は、実際の業務における効率の向上と一貫性の維持に必 要な、企業全体で使用する基準およびツールを作成することで す。 「ハードウェア効率」の定義 本ホワイトペーパーの執筆にあたり取材/調査を行った大手AEC 企業によると、機器を選択する際、あらゆる選択肢に関して、 ユーザーおよびユーザーベースも考慮に入れる必要があるとの ことです。この問題は、一部のBIMマネージャやAEC企業のIT 責任者によって、「ハードウェア効率」と呼ばれてきました。 ハードウェア効率は可変で、ユーザートレーニングに大きく依 存します。ユーザーが製品やツールを使用できない場合、また は最大限に活用できない場合は、お金の無駄になる可能性があ ります。AEC業界のIT部門に対するアンケートにより、低品質 のハードウェアやソフトウェアを選択したことに起因する損失 (役に立たないワークステーション、互換性のない機器、不十 分なストレージや帯域幅など、ハードウェアの評価損につなが る状況)の一部が定量化されました。 BIMと、ハードウェアの アップグレードに関する事例 Pluke氏やその他のBIM用ハードウェアのコンサルタントは、 AEC企業に対して、BIM用ハードウェアの購入やアップグレー ドの実行/中止を決定するトップレベルの意見をいくつか検討 することを推奨していました。(1)AEC企業は、すべての ユーザーに対して機能を分散させ、さらにBIMサービスの一元 化も行う必要があります。(2)BIMの生産性に関する調査に より、大型ディスプレイ、高性能なコンピュータを導入する こと、および接続性を向上させることが、企業の競争力強化 に貢献することが示されています。(3)BIMのファイルサイ ズを小さくすることで、多くの場合、企業のパフォーマンス 基準が向上します。(4)BIMであろうと、その他の最先端の ビジネスアプリケーションであろうと、メンテナンスは必要 であり、陳腐化は進みます。 これらのガイドラインが、BIM用ハードウェアの合理化および 改良計画の策定に役立つことを覚えておいてください。以降 に、Pluke氏らの推奨事項に基づく概要を、以下の基本的な原 理に対して推奨されるいくつかの戦略とアプローチと共に示 します。 1. BIMの機能は分散し、サービスは統合する。単純なネット ワークハブは役に立ちません。企業のネットワークを最適化 することは、BIMのテクノロジーを企業の業務および文化に 適切に統合する上で重要です。このアイデアは、企業がLAN モデルまたはWANモデルを採用するか、または「BIMクラウ ド」を選択するかに関係なく、ソフトウェア機能に対するア クセスを最大化して、できる限り多くのユーザーがその機能 を利用できるネットワークを構築することです。これは、す べてのソフトウェアとファイルにアクセスするだけでなく、 共有ランダムアクセスメモリ(RAM)にアクセスしたり、例 えば、個人が必要に応じて使用しているテクノロジーの特に しかし、BIMのハードウェア効率は、BIMモデルのメンテナンス 堅牢な側面を維持するのに必要な場合にビデオ/レンダリング に直接関連します。ビルディングインフォメーションモデルの のサポートを利用したりすることを意味します。 背後にはさまざまなデータが存在するため、プロジェクトチー 5 4. 適合性、冗長性、メンテナンス、および陳腐化に注目する。 BIMツールのオプションを調査する時間が長くなるほど、さまざ まなプラットフォームやプログラムが存在することに気付くよう になります。さまざまなプラットフォームやプログラムが存在す るのは、それぞれが提供するものが異なるためです。このため、 多くのAEC企業は、複数のプラットフォームまたはツールスイー トを採用しています。このアプローチは、エンジニア、計画担当 者、設計者、および施工者が並行して作業を行っている企業では 特に有効です。純粋な設計者はSketchupで作図作業を開始したい と思うかもしれませんが、最終的には、プロジェクト計画および 施工を、Revitまたは別のBIMプログラムと連携させる必要があり 2. 他の条件をすべて同じと想定した場合、大きいサイズの方が効 ます。ほとんどのBIMプラットフォームでは少なくともある程度 率的である。RAM、ハードドライブ容量、ネットワークフロー、 の互換性が考慮されており、別のプラットフォームとの間でファ ビデオレンダリングなどについては、大きくする方が効率的であ イルタイプをインポート/エクスポートする機能を内蔵していま ることがほとんどです。同様のことがモニタサイズや接続性につ す。例えば、DXFおよびDWGファイル拡張子は、3つの主要な いても当てはまります。マザーボード上およびビデオカード上の BIMプラットフォームのすべてでサポートされています。 RAMは、ハードウェアの速度に直接比例します(ネットワーク BIMインフラストラクチャを長期に渡って利用できるようにする 帯域幅についても同様です)。ほとんどのBIMプラットフォーム には、メンテナンスを定期的に行うことが非常に重要です。選択 が32ビットのアーキテクチャおよびオペレーティングシステムで したプラットフォームを定期的にアップデートする必要があるだ 利用できる一方、ワークステーションの場合は64ビットのOSが けでなく、オペレーティングシステム、サポートソフトウェア、 必要であると考えているBIMの専門家もいます (これについては プラグインなどについても同様にアップデートする必要があり 後半で検討します)。ビデオ表示については、モニタのサイズを ます。プラットフォーム自体をアップグレードする際には、一部 1,280 x 1,024ピクセル以上にするだけでなく、24ビットまたは32 のハードウェア要件のアップグレードも必要になる場合がありま ビットのトゥルーカラー対応のディスプレイアダプタを使用し、 す。アップグレードに関する計画を予め立てておくことにより、 512 MBの専用のRAMを用意する必要があります。 AEC企業は、不測の事態に備えてハードウェアアップグレード 同時に、ネットワークによってすべてのデータと進捗を一元管 理し、企業が提供するサービスがネットワーク上でITによってサ ポートされるようにする必要があります。ほとんどのプラット フォームでは、1人の設計者が1ヶ所に正しく保存するという面倒 な作業を行うことによって、BIMのオブジェクトとモデルが全社 的に更新されます。こうした取り組みの連携が適切なネットワー キングによってサポートされ、その結果、プロジェクトのBIM表 現が常に最新の状態になり、プロフェッショナルエンジニアや GCにハンドオフされる準備が整います。また、クライアントに 進捗を示すための設定が、後に何も残らないように行われます。 3. BIMの演算およびファイルについては、小規模な方が効率的 である。BIMプラットフォームには、ファイルの管理に関する問 題が伴います。モデルを一元管理するRevitのプラットフォーム は、特に、高性能なBIM用ハードウェアを導入した場合の作業に は理想的かもしれませんが、最高かつ最新のワークステーション でさえ、ファイルサイズに関する問題が生じます。「Autodesk、 Navisworks、Solibri Model CheckerなどのBIMコラボレーション ツールは、複数のステークホルダーの大量のデータを1つにまと めて、結合BIMとして管理するのに効果的です」 「KBサイズのCADファ イルは早急に姿を消し つつある」 と、 ビジネスコンサルタントNavigant ConsultingのLEED APで あるJason M. Dougherty氏は述べています。ここで、1つのファ イルに格納するデータ量が大きいほど、ファイルが破損した場合 の損失が大きくなることについて検討してみます。おそらく最も 重要なことは、ファイルを小さくすることによって共有や配布が 簡単になるため、共同作業用のより効率的なプラットフォームを 構築できることです。 用の現金を今以上に準備できるだけでなく、アップグレードを含 む総合的なIT戦略を策定できるようになります。ハードウェアや ファームウェアの問題に対処している間も業務は止まりません。 失われた生産性は、当初の現金支出や割増金をはるかに超える大 きな負債になります。適切に設計されたインフラストラクチャで は、機能が分散されるため、こうした問題に対処することができ ます。 最後に、陳腐化は、あらゆるIT投資において重要かつ調節可能 な計画です。多くのBIMマネージャが指摘している通り、陳腐化 は、「仕事を正確に行うには適切なツールが必要である」と言っ ているようなものです。ハードウェアに対する投資を十分に行っ ていても、企業のBIMインフラストラクチャのある部分には、将 来のある時点で陳腐化が生じます。ITのアップグレード計画や購 入計画においてメンテナンスと冗長性が考慮されていれば、陳 腐化がビジネス上の問題になる可能性は低くなります。そうは 言っても、BIMソフトウェア自体は市場の力に対して極めて脆弱 です。AEC企業のBIMマネージャたちは、次のように述べていま す。「あるソフトウェア開発企業が他社よりも目覚ましい発展を 遂げるかもしれませんし、BIMプラットフォームの何らかのイン ストールベースがサポートされなくなるまで、競合他社のプラッ トフォームが業界で保護される可能性もあります。」 この問題の対策を立てることは、できる限り簡単に別のプラット フォームに切り替えられる準備をしておくことを意味します。 AEC企業は、BIMツールボックスを拡張し、非推奨のスイート やプラットフォームを含む構成にすることにより、他のプラッ トフォームでも簡単に作業できるようになります。例えば、 SketchupがBIMのオープンスタンダードとして受け入れられたと したら、初期フェーズの環境のモデリングや施工計画の策定に Sketchupを既に使用している企業は、プラットフォームを切り替 える時機になったときに優位に立つことができます。 こうした理由から、ファイル管理ソリューションは、BIM用ハー ドウェアのアップグレード戦略にとって不可欠なものになって います。例えば、Revitシステムでは、ファイルに簡単にアクセ スできるように、また重要なデータをバックアップする目的で、 ファイルを複数の場所に格納する必要があります。ファイルは通 常、DWF形式で共有する必要があります。DWFは小さく圧縮さ れたファイルですが、DWFファイルを使用して、オブジェクト 出典: Autodesk University DT134-1: Avatech Solutions, Inc.の Jill Bernhardt の3Dでの表示や操作が可能になります。.RVTファイル(Revitの 氏、 Naylor Network、『 Office BIM to Trailer BIM -Is your IT Infrastructure ファイルタイプ)にアクセスして使用する場合、そのファイルを Ready?(オフィスの BIMからトレーラーの BIMまで - ITインフラストラク 使用するワークステーションは、ネットワークから「切り離す」 チャの準備はできていますか ?)』 ためのオプションを備えている必要があります。 ファイルの整合性を維持することは重要です。そのため、アップ グレードソリューションでは、Autodesk VaultやProjectwiseのよ うなドキュメント管理スイートが必要になる場合があります。 6 III. BIM のアップグレードに 関する計画と準備 FPO FPO FPO RealDesigns LLC 企業は、BIM対応のインフラストラクチャにアップグレード する決定を下した後、そのシステムの構造を決めるためのレ ビューを実施する必要があります。そのレビューは、2つのパー トに分けて実施します。まず、企業のニーズを社内で決定して から、企業のニーズをコスト効率に優れた方法で満たすシステ ムパラメータを外部的に決定します。 1. 社内調査 – 「BIMのビジネスプラン」を策定する ワークステーションの仕様など、BIM用ハードウェアに関する 判断は、ソフトウェアの要件やその他の外部的な要求によって 決定されると広く考えられている一方で、経験が豊富なBIMマ ネージャは、AEC企業には多種多様なBIMプロジェクトの要件 や作業構造が存在すると指摘しています。KL&AのBarker氏は、 次のように述べています。「ハードウェアのニーズを決定する のに必要な最初の調査は社内調査です。企業は、「BIMのビジ ネスプラン」を決定する必要があります。」さらに、モデリン グ環境の使用方法を決定した後、「ソフトウェアサプライヤと の簡単なディスカッション」を実施して、ビジネスプランをサ ポートするのに必要なハードウェアのレベルを決定する必要が あると、Barker氏は付け加えています。BIMのビジネスプラン のレビューでは、以下のような質問を行います。 • BIMは、CADD製品の替わりとしてのみ使用するのか? • 他社に対してモデルを提供するのは、複数部門の調整用と してのみか? • 調整用の作業環境において、複数のモデルを同時に使用 するのか? • BIM環境で開発を行う標準的なプロジェクトのサイズは どの程度か? ここでは企業の規模は問題になりませんが、むしろ企業の目標 が重要な懸案事項になることに注意してください。例えば、メ モリ使用量は建築プロジェクトの複雑さに直接比例して増加す るため、モデルが大規模になると、より多くのRAMが必要にな ります。オハイオ州コロンバスのDesignGroupでBIM担当ディ レクターを務めているBrian Skripac氏は、次のように述べてい ます。「要するに、BIMを導入することで作業効率を向上でき るかどうかが問題なのです。」 また、BIMへの移行やBIMのアップグレードに関する社内の支 持者を集めることも強く推奨されています。Skripac氏、Barker 氏、およびその他の経験が豊富なBIM ITプロフェッショナル たちは、専任のBIMマネージャを雇う、または任命すること が賢明な選択であることが多いと述べています。「あらゆる 規模の企業に適した、プロジェクトの目標をより効率的に達 成する方法は存在しません。ITおよびBIMの支持者は、組織 内における変化の推進とプロジェクト作業の実行という2つの 役割を担うことになります」と、Skripac氏は述べています。 BIMマネージャは、アップグレードや開発において必要とな る、ハードウェアの切り替えや調査の調整を行うこともでき ます。 2. 外部調査: ソフトウェアメーカーや他のAEC企業に対して 聞き取りを行う 大手AEC企業は、共同作業の方法について、(1)作業計画 をサポートするものに関して支援を行っているソフトウェア ベンダーと共同作業を行う、(2)貴重で相対的な洞察を得る ために、他の類似のAEC企業と共同作業を行う、という2つ の方法を推奨しています。クライアントや同類分野の設計/建 築企業と共に、使用しているソフトウェアやハードウェアに ついてディスカッションを行うことにより、貴重な洞察を得 ることができます。このプロセスにより、すべての当事者が 学習し続けることができます。また、このプロセスは、ソフ トウェアが新しくリリースされるたびに変化します。ある年 に使用できたものが、次の年には使用できない場合もありま す。ソフトウェアが変更された場合でも、それに対する評価 はすぐに下さず、必要以上の機能を求めないよう慎重に対処 する必要があります。ソフトウェアに慣れるにつれて関連知 識も増えていくため、ソフトウェアやハードウェアに対する 要求も高くなります。 BIMインフラストラクチャの構築に関する、信頼できる情報 は、オンラインでも出版物でも収集することができます。ま た、トピックに関する継続的な学習ソースを利用することも できます。Revitコミュニティ(www.revitcommunity. com) とConnect Press(www.ConnectPress.com)はどちらも、ピ アツーピアのコミュニケーションや、BIMインフラストラク チャのトピックに関する学習のためのソースとして推奨され ています。また、AUGI WorldとAutodesk Universityも推奨さ れるソースです。どちらのソースも、建築業界に焦点を当て ています。 7 IV. 仕様と戦略:クラス最高の BIMに対するハードウェア の選択 AEC企業のBIM用ハードウェアの戦略および選択に関する決定ツ リーは、「ソフトウェアとBIMプラットフォームが既に決まってい る場合、選択肢の範囲が大幅に狭まる」という当たり前のことか らスタートします。その他の可変要素は、ユーザーの要望または 既存のインストールベース、あるいはその両方によって左右され ます。例えば、AEC企業のユーザーベースは完全にモバイル化さ れているでしょうか。それとも、デスクトップまたはラック搭載 型のインフラストラクチャが存在するのでしょうか。BIMパフォー マンスのアップグレードに取り組む場合、モバイルワークステー ションへの変更や、据置型ハードウェアとモバイル型ハードウェ アの新しい組み合わせへの変更を企業全体で実施することを検討 するよい機会です。 検出、さらには製作者向けのスチールアセンブリの詳細作成に至 るまで、AECチームが建築プロジェクト開発のすべてのフェーズ で使用するレンダリング機能にとって不可欠なものです。 HPGWの問題はコストです。一部のAEC企業は、この問題に対 処するために、クラウドコンピューティングを使用しています。 例えば、ノースカロライナ州シャーロットに拠点を置くA/E企業 のLittle Diversifiedは、建築設計プロセスにおいて、高度なシミュ レーション、分析、レンダリング、3Dモデリングを使用していま す。Little DiversifiedのCIOであるChris France氏によると、モバ イルワークステーション(ノートパソコン)の2年の更新サイクル をサポートするために、毎年約30万ドルを費やして、ソフトウェ ア機能の向上を行っていました。このアプローチでは、会社の どのような場合でも、今日のBIMプラットフォームは要求の厳しい HPGWの仮想化と、50 TBのデータストレージを組み合わせてい ます。 高度なアプリケーションであるため、効果的に機能するハイエン ドなコンピューティングシステムが必要です。ハードウェアの選 択は、AEC企業の仮想化に対するアプローチ(仮想ハードウェア プラットフォームや仮想オペレーティングシステムの使用)に関 連します。また、BIMファイルのサイズ(メガバイト数)がRAM の要件に直接影響するため、標準的なBIMモデルのサイズにも関連 ® します。 過去2年間にワークステーションのアップグレードを実施したAEC 企業の多くは、BIMのユーザーベースに2∼4種類のハードウェアを 指定しました。これらのワークステーションのタイプは一般に、 次のように分類できます。 • モデリングのみ(「ミッドレンジデスクトップ」) • モデリングおよびレンダリング(「アドバンスデスク トップ」(「パワーユーザー」)) • モバイルワークステーション(ミッドレンジとアドバン スの両方を含む) 例として、昨年行われた、AEC企業のWWCOT(50∼75 %のRevit ベースのアーキテクチャ、設計会社)のDLRグループとの合併に ついて取り上げます。合併会社は、クライアントとコンサルタン トの連携用に、基本レベルのBIMを使用してプロジェクトに着手し ています。また、その他のプロジェクト用にはBIM対応の完全な IPDを使用し、クラッシュ検出、エネルギー分析、LEEDおよびAIA E202の図面化には結合モデルを使用しています。合併会社は、3つ の標準的なハードウェア構成を導入して、そのビジネスアプロー チを補完しています。その構成は、(1)AutoCADレベルのワーク ステーション、(2)「強力で安定した」ミッドレンジのRevitモデ リングワークステーション、(3)「トップレベル」のモデリン グ/レンダリングワークステーション(例えば、最大で4フィート x 6フィートの写実的なレンダリングの作成が可能)です。 最近、ワークステーショ ンクラウド戦略 に切り替 えた企業は、「クラウド アクセスデバイス」とし てノートパソコンを使用 することにより、その更 新サイクルを2倍に延ば した。 一般に、多くのAEC企業は、モバイルHPGWを選択することによ り、現場、遠隔勤務地、およびサテライトオフィスからBIMモデ ルへのアクセスを改善しています。モバイルワーカーはますます 増えており、BIMを最大限に活用するために、モバイルHPGWの 処理能力、柔軟性、および拡張性を頼りにしています。 BIM用ハードウェアの選択に関するその他の問題は、ユーザーの 要望や既存のインストールベースに影響される場合があります。 オペレーティングシステムが問題になる場合もあります。ファイ ルストレージおよびネットワーキングに関する現在のスキーム も、ハードウェアの選択に影響します。また、外部の共同作業 の手法も重要な要素になります。最後に、チップやその他のパ (3)は一般に、ハイパフォーマンスグラフィックスワークステー フォーマンスに影響する機器の選択も問題になります。例えば、 ション(HPGW)と呼ばれており、BIM用ハードウェアの導入およ レンダリングの専門家は、AMDやNVIDIA®以外のグラフィックス びアップグレードにおいてますます注目を集めています。アドバ カードを選択するかもしれませんし、ビデオのオプションにはこ ンスデスクトップは、「パワーユーザー」のためだけのものでは だわらないかもしれません (グラフィックの関連記事「Sample ありません。アドバンスデスクトップは、概略図フェーズの金融 Specs for Decision Tree(決定ツリーに関するサンプル仕様)」を 機関に対するプレゼンテーションから調整フェーズのクラッシュ 参照)。 8 どは、4 GB以上を推奨しています。モデリング/レンダリング 中央処理装置(CPU)の決定は、BIM用ハードウェアの選択におい 用ワークステーションの最小メモリ容量を8 GBと見積もるユー て極めて重要です。BIMプラットフォームの演算パフォーマンスに ザーが増えていますが、12 GBも推奨されています。例えば、 関する要求は非常に厳しいものです。ここ2年間では、Pentium® 4 一部のBIM環境のレンダリングエンジンは、BIMアプリケーショ ンとは独立して動作するため、メモリを増設することでレンダ 3.4 GHzプロセッサー以上が最小要件と見なされています。 リング処理を高速化することができます。どのような場合で 例えば、Revit 2010プラットフォームの場合、モバイルワークス も、メモリの増設が可能なワークステーションを選択してくだ テーションのCPUには、Centrino®/Pentium-M®/Core Duo®など さい。 のインテルプロセッサーから選択できます。これらのノートパソ DesignGroupのSkripac氏によると、RAMの要件を見積もるため コン向けCPUは、低い熱レベルと高効率で有名です。各企業は、 CPUメーカーが指定したクロック数(1秒あたりのクロックサイク の簡単で有効な別の方法として、「20の法則」というものがあ ります。ただしこの方法は、リンクされたファイルには適用で ル数)よりも高いクロック数のCPUを使用する場合もあります。 きません。計算方法を以下に示します。 オーバークロックは、フロントサイドバス(FSB)およびCPU a. メモリおよびプロセッサー速度 マルチプライヤに関する設定を変更することにより、プロセッ サー、ビデオカード、マザーボードチップセット、およびランダ ムアクセスメモリ(RAM)に対して適用することができます。 オーバークロックはリスクを伴います。各コンポーネントは、ク ロック数を操作するのに十分な電力を受け取る必要があります。 また、過剰なオーバークロックは、コンポーネントを損傷させる 可能性があります。なお、一部のOEMシステムは、オーバーク ロックをサポートしていません。 b. デュアルコアプロセッシング 経験が豊富なBIMユーザーは、マルチコアプロセッサーの使用を推 奨しています。また、Pluke氏などのコンサルタントは、最小限の デュアルコアアプローチを推奨しています。BIMのレンダリングエ ンジンは、CPU2∼4個での使用に最適化されています。4個を超え るプロセッサーを搭載して使用した場合のメリットはわずかしか 報告されていません。中規模から大規模企業の一部のBIM担当ディ レクターは、コアを追加して高速化を行うことを推奨していまし た。マルチプロセッサーシステムのメリットには、パフォーマン スが20 %以上向上することなどがありますが、この理由の1つは、 同時に実行されている他のアプリケーションによるCPUサイクル の使用が減るためです。多くのBIMユーザーは、BIMの作業用に専 用のコンピュータを使用し、Eメール、Word、Excelなど、その他 すべてのアプリケーション用として、2台目のやや低グレードな ノートパソコンやデスクトップを使用しています。 マルチスレッディング機能をサポートしているBIMソフトウェア は、ますます増えています(複数のスレッドが1つのコアで処理 されます)。デュアルコアおよびマルチコアのシステムでは、マ ルチスレッディングにより、システム内の各コアの使用率を高め ることができます。例えば、最近リリースされたRevitでは、壁結 合部のクリーンアップ、隠線の削除、および印刷機能にマルチス レッディングを利用できます。ただし実際には、ほとんどのデュ アルコアシステムのプロセッサーは、マルチスレッディングが原 因でパフォーマンスが低下することがあります。 また、ハードウェアの選択においては、コンピュータのパフォー マンスを向上させるマルチレベルのストレージ戦略の一環とし て、L2キャッシュを搭載したプロセッサー(またはマザーボー ド)が推奨されます。超高速なCPUとそれに比べてはるかに低速 なRAMの間のやり取りを向上させるために、最大で3つのレベルの キャッシュ(L1、L2、およびL3)を使用する場合があります。経 験が豊富な建築チームは、パフォーマンスを向上させるために、 2 MB以上のL2キャッシュを搭載したCPUを使用することを推奨し ています。 c. RAM メモリ使用量は、建築プロジェクトの複雑さに正比例して増加し ます。大規模な建造物や設備を開発しているチームは例外なく、 ファイル/プロジェクトの規模に応じて、BIMコンピューティング に利用できるメモリをさらに必要としています。大まかな目安の 1つとして、BIMを使用するワークステーションでは少なくとも 1 GBのRAMが必要ですが、経験が豊富なBIMマネージャのほとん • ローカルマシンに必要なRAM = 20 x 圧縮された中央 ファイルのサイズ • また、次のように、使用可能なRAMに基づいて最大 ファイルサイズを決定することもできます。 • 8 GBのRAM / 20 = 400 MB(最大ファイルサイズ) さらに重要なことですが、BIMプラットフォームでは、RAM全 体を常にまたは完全に使用できるわけではありません。RAMの 可用性に影響するその他の要素としては、使用中のWindows® オペレーティングシステム、ハードウェアの仕様などがありま す。例えば、デュアルチャネルRAMは、BIMアプリケーション に関する限り、他の仕様のメモリよりもパフォーマンスが向上 する場合があります。また、高度なグラフィックス性能を必要 とし、大量のデータ処理を行うプログラムでは、シンプルなメ モリ管理方法(1日1回またはそれ以上の頻度で再起動するな ど)を実行することで、RAMのパフォーマンスを大幅に向上さ せることができます。 BIMユーザーは、 パフォーマンスを向上さ せるために、ワークス テーションをBIM専用に 使用し、非アクティブな アプリケーションを閉じ ることを推奨している。 d. ハードドライブ ワークステーションのハードドライブの速度は、ハードウェア の選択において、CPUのパフォーマンスや搭載可能なRAMに 次いで重要な要素と考えられています。ハードドライブを高速 化することによってモデルのロードや保存などの機能を強化で きるため、BIMプラットフォームで使用するハードドライブに SCSIやSATAを採用するユーザーもいます。使用可能かつ購入 可能な場合は、SASドライブの使用をお勧めします。より重要 なことは、適切な設定を維持し、定期的にハードドライブを最 適化することです。例えば、オペレーティングシステムのドラ イブは、Windowsの「スワップファイル領域」を最小化する ように設定する必要があります。一方、2台目のドライブは、 Windowsのスワップファイル専用にすることができます。 9 e. ビデオカードおよびグラフィックスカード ビデオカードは、ベースモデルのハードウェアの選択においては 重要な考慮事項ですが、経験が豊富な企業の多くは、ビデオカー ドがBIMやシステムのパフォーマンスを左右することはないと報告 しています。 ただし一般には、指定のビデオカードは、(a)CADアプリケー ションまたはBIMアプリケーション向けに設計されていること、 (b)マシンのRAMではなくカードのメモリを使用すること(統合 ビデオサポートと同様)、(c)ハイエンドなグラフィックスレン ダリング用として十分な品質であること、(d)十分なレベルのビ デオRAM(例えば、Revitプラットフォームの場合は、128 MBの ビデオメモリ)を備えていることが求められます。 f. オペレーティングシステム BIMの使用経験が豊富な企業の多くは、BIMワークフローを効果的 にサポートするためには64ビットのオペレーティングシステムが 不可欠であると主張しています。64ビットのオペレーティングシ ステムは、32ビットのオペレーティングシステムよりも効率的に 大量のメモリを処理することができます。 32ビット版のWindowsの場合、現在の最大メモリは2 GBです。 例えば、Windows XP SP2で使用できるシステムメモリはわず か2 GBですが、boot.iniファイルのシステム設定を調整すること により、メモリを3 GBに拡張することが できます。同様に、 Windows Vistaの最大メモリも2 GBですが、Windows Vistaには/ increaseuserva 3072と呼ばれるスイッチがあります。これらの調 整方法により、システムで3 GBのメモリを使用できるようになり ます。この方法は、エンジニアリング、建築、および建設業界の 多くのユーザーが使用しています。オペレーティングシステムは 通常、オペレーティングシステムを実行し、関連するハードウェ アを動作させるために、約1 GBを確保します。 64ビットのオペレーティングシステムのメリットは、標準的な BIMのモデルやワークフローが必要とするメモリよりも多くのメモ リを処理できることです。BIMプラットフォームのメーカーは、 64ビット版のWindows環境の場合、8 GBのメモリを推奨してい ます。64ビットのオペレーティングシステム(少なくとも合計で 5 GBのメモリを使用可能)で32ビットのBIMプラットフォームを 使用する場合、BIMアプリケーションは、最大で4 GBのRAMを使 用します。一部のケースでは、ユーザーから、32ビットのBIMプ ラットフォームの方がモデルの安定性およびパフォーマンスが優 れていると報告されています。 g. ファイルの格納および管理 ファイルの格納および管理は副次的な問題と見なされる場合もあ りますが、適切なBIM環境を構築する上で重要な要素です。例え ば、ストレージエリアネットワーク(SAN)とネットワーク接続 ストレージ(NAS)は、普及がますます進んでいるネットワーク ストレージソリューションであり、自動移行機能と共に使用され ることがよくありますが、これにより、BIMプラットフォームのパ フォーマンスが低下する場合があります。クラスタまたはキャッ シュが複数の場所にホスティングされる分散キャッシュを使用す ると、BIMプラットフォームの効率向上に役立つ場合があります。 ただし、どのソリューションでも、BIMファイルの整合性を保護で きるかどうかを考慮する必要があります。BIMと共に使用される ドキュメント管理製品やデータ管理製品は、データ作成、シミュ レーション、および図面化の各プロセスを自動的に保護します。 これらの製品には、Newforma、ProjectWise、Vaultなどがありま す。BIMでは、各種の静的および動的なアーカイブ手順を使用する ことができます。 BIMアプリケーションの中央ファイルを格納するデータサーバ は、複数のプロセッサーと、「経済的に実用的な速度」のハー ドドライブを備えている必要があります。 h. ネットワーク さらに、ネットワークの仕様についても検討する必要がありま す。ギガビット速度のLAN(ネットワーク全体で常にギガビッ ト速度を実現できるLAN)を最低要件として検討します。つま り、少なくとも、カテゴリ5eまたはカテゴリ6のケーブル、ギ ガビットスイッチおよびギガビットルーターを使用してネット ワークを構成する必要があります。さらに、SANデバイスやそ の他のストレージデバイス、およびすべてのデスクトップに、 対応するイーサネットカードが搭載されている必要がありま す。 i. ワイドエリアネットワーク モバイルコミュニティ内で作業を行う場合や、AECグループや 施工主グループ以外と相互運用可能なコラボレーションを行う 場合は、WANの最適化が重要な問題になります。現場やホーム オフィス、またはタッチダウンスペースで使用するためのモバ イルワークステーションを導入するAECプロジェクトチームが 増えるにつれ、WANの重要性も増してきています。 BIMを対象としたWANの最適化は、Riverbed Steelhead、Cisco WAAS、Juniper Networks、GlobalScapeなど、評価の高いさま ざまなベンダーによって提供されています。これらのベンダー は、各種の課題(トラフィックの最適化や高速化など)や実装 に関する問題をサポートすることができますが、いずれの場合 も、帯域幅が重要な要素となります。もう1つの問題は、ネット ワークレイテンシ、つまり応答時間の問題です(データパケッ トが送信側と受信側の間を往復するのに要する時間をネット ワークのレイテンシと呼びます)。 その他のベンダーは、BIMクラウドを使用して、パフォーマンス の向上が可能かどうかを調査しています。現在、極めて多くの 設計/建設チームがモバイル化を進めています。「現場にモデル を持ち込む」というアイデアは一般的なものになり、その実現 が期待されています。 標準的なAEC企業は、 生産性を十分なレベルに 維持するために、ネット ワークファイル用にロー カルサーバのストレージ を直接使用して、ローカ ル/リモートからファイル にアクセスする速度を監 視する場合がある。 10 V. 行動計画と次のステップ 実際にBIM対応を実現するために必要なアップグレードに対してリ ソースとコストを費やす機会を望んでいるAEC企業はほとんどあ りません。しかし、現実には、企業のパフォーマンスを向上し、 競争力を強化するためには、BIM対応の機器およびハイパフォーマ ンスグラフィックスワークステーション(HPGW)への移行が不 可欠です。BIM準拠の機器に切り替える重要な作業に取り組むとき には、特定のガイドラインに留意することが効果的です。 1. BIMをさらに使用して、ビジネスの展望を改善する BIMは、60 %を超える投資収益率(ROI)を実現し、AEC企業の 競争力を強化します。AEC企業のユーザーの約82 %が、BIMには 生産性に対する「大きなプラスの影響」があると述べています。 HPGWなどのハードウェアにアップグレードすることにより、 AEC企業のビジネスの展望を改善できることは明らかです。各企 業は、自社およびクライアントの期待に基づいて、BIMの実装に関 する独自のビジネスプランを策定する必要があります。企業の活 動をサポートする生産プロセスやハードウェア要件は、ビジネス プランのニーズによって決定されます。 2. BIM用のハードウェアおよびワークステーションの アップグレードに関する資本計画を策定する 本ホワイトペーパーの執筆にあたり取材を行ったBIMの専門家 は、BIMは真のROIを実現するものであり、資本コストは利益に比 べて取るに足らないものであると述べています。企業が望むレベ ルでBIMプログラムを実行するためには、高度なハードウェアが必 要かどうか、また、どの程度高度なハードウェアが必要か、とい うことが重要な問題になります。ハードウェアのコストと実装の 総合的なコスト(多くの場合、ハードウェアのコストを上回る) に焦点を当てた資本計画を策定してください。 3 BIM環境に最適なハードウェア構成を決定する ユーザーの要望や既存のインストールベースに加え、モバイル ワークステーションと据置型ワークステーションに対するビジ ネスニーズを 検討してください。仮想化が選択肢に含まれてい る場合は、ハードウェアの選択に影響します。RAMの要件を見 積もるには、標準的なサイズのBIMモデルで検討してください。 最後に、モデリングのみを必要としているユーザーの数と、 完 全なモデリング/レンダリングを行うための高度なワークステー ション(HPGW)を必要としているユーザーの数を求めます。 4 必須および推奨のハードウェア仕様を確認する ハードウェア(HPGWを含む)のアップグレードに関する情報 の最適なソースは、同業他社と大手のBIMプラットフォームベン ダーです。大手ハードウェアベンダーが提供している仕様と比 較したり、クライアントが使用しているハードウェアについて 一緒にディスカッションしたりすることができます。BIMプラッ トフォームに慣れるにつれて関連知識も増えていくため、BIMプ ラットフォームや企業が設置したハードウェアに対する要求も 高くなります。 5 必要なアップグレードを迅速かつ控えめに 実施する AEC企業では、ハードウェアのコストよりもその他のIT支出 (全ITコストの80 %以上を占める)の方が極めて大きくなりま す。また、競争力は、BIM対応による影響を直接受けます。これ らの2つの事実によって、AEC企業におけるハードウェアの迅速 なアップグレードが促進されています。一方、テクノロジーが 絶えず急速に変化する環境においては、企業は慎重に行動する 必要があります。このため、企業のBIM用ハードウェアへの投資 を堅実かつ永続的なものにするために、最高レベルの手順と仕 様を使用して、注意深く計画の準備を行ってください。 導入事例 : BIM 用ハードウェアの決定ツリー ユーザーは、いくつかの基本的な質問に答えることから始めることにより、BIM用ハードウェアのアップグレードに関する基本仕様および計画の策定を開 始することができます。デルの提供による以下の例は、企業の各種手順およびハードウェアの使用法を評価して、ミッドレンジデスクトップ(BIMモデリ ングのみ)、アドバンスデスクトップ、またはモデリングおよび完全なレンダリング機能を備えたハイパフォーマンスグラフィックスワークステーション (HPGW)のプロファイルに変換する方法を示しています。また、作業とアプリケーションのタイプを最初に検討することにより、モバイルワークステー ション(ミッドレンジまたはアドバンス)、またはクラウドコンピューティングやその他のハードウェアアプローチに対するニーズを導き出せる場合があ ります。 最初の質問: 1. 会社ではワークステーションをどのように使用し ていますか? 2. ワークステーションを使用する主な目的は何 ですか? 3. 主にどのようなアプリケーションを使用して いますか? 4. デスクトップワークステーションですか、 それともモバイルワークステーションですか? 5. グラフィックスに関する希望はありますか? 推奨仕様: ミッドレンジデスクトップモデル: Dell Precision™ T1500 ワークステーションプロセッサー: インテルCore i7 880、3.06 GHz オペレーティングシステム: Windows XP Professional正規版メ モリ: 4 GB、DDR3 Non-ECC SDRAMメモリ、1333 MHzプライ マリハードディスク: 250 GB SATA 3.0 Gb/s、NCQおよび8 MB DataBurst Cache™搭載(セカンダリハードディスクなし)グラフィックスカード: NVIDIA® Quadro® 600 AEC企業の回答例:エンジニアリング建築、エンジニアリング、および建設(AEC) AutoCAD、Revit、Microstationをすべて使用デスクトップまたはラック搭載型の構成 ユーザーは、最もコスト効率に優れたものを希望しており、AMDまたはNVIDIA®に関す る希望はない 推奨仕様: アドバンスデスクトップ モデル: Dell Precision™ T3500ワークステーション プロセッサー: クアッドコアXeon、W3565、3.20 GHz オペレーティングシステム: Windows XP Professional正規版 メモリ: 4 GB、1333 MHz、DDR3 SDRAM、ECC プライマリハードディスク: 300 GB SATA、10,000 RPM ハードドライブ セカンダリハードディスク: 500 GB SATA 3.0 Gb/s、NCQおよび 16 MB DataBurst Cache™搭載 グラフィックスカード : NVIDIA® Quadro® 2000 11 VI. BIM: 成功 に導く 7 つの ステップ VII. 厳選され たソースおよ び参考文献 BIMをさらに効率的に使用するためにハードウェアをアップグ レードすることの論拠は、実績のあるさまざまな戦略やアプ ローチによって支えられています。以下の各ステップは、本ホ ワイトペーパーの執筆にあたり取材を行った、コンサルタント のDavid Pluke氏とAEC企業のBIMマネージャによって作成され たものであり、重要な基本方針を述べたものです。 Dell Precision ™ワークステーション : www.dell.com 構造エンジニアリング : http://www.gostructural.com/ magazinearticle-gostructural.com-4-2010-who_acute_s_using_bim-7840. html 1 チームで開始するBIMのアップグレード実行計画には、 AEC企業の複数の職務(経理、管理部門を含む)を代表するチー ムが必要です。 BIM フォーラム : www.BIMforum.org 2 アップグレードの範囲を定義するまず、BIMのビジネ スプランを評価してから、BIMの現在および将来の使用法につい て評価します。プロジェクトの面積はどの程度でしょうか。ま た、複雑さはどうでしょうか。入札、製造、施工、および設備管 理にモデルを使用するかどうかも検討してください。これは、 ハードウェアの仕様だけでなく、BIMのアプローチおよび人員配 置にも影響します。 3 BIMの習熟度を評価する上級ユーザーは、完全なモデリ ング/レンダリング機能をより効率的に活用できる機器を求めま す。ただし、多くの場合、企業のユーザーはモデリング専用の ハードウェアを要求します。 4 モデリングのアプローチを明確にする標準的なBIM プロジェクトの規模(面積、BIMファイルのサイズ、または必要 なRAM)は、ハードウェアを選択する上で不可欠な情報です。 その他の要素として、精度要件、詳細レベル(LOD)の問題など があります。これらは、ビジネスプランの策定やプラットフォー ムハードウェアの選択を行う前に把握しておく必要があります。 5. BIM用ハードウェアのアップグレードに関するタ イムラインを正式に決定する 6 主要な関係者の賛同を得るビジネスプランおよびBIM実 行計画には、AEC企業のすべてのメンバーの協力と同意が必要で す。 7 ユーザーの教育を行うBIMユーザーのグループは、新し いBIMプラットフォームとハードウェアがスケジュールや予算に 与える影響を認識する必要があります。 ZweigWhite: http://www.zweigwhite.com/p-911informationtechnology-survey-2010.aspx AIA: www.AIA.org/IPD IAI: http://www.buildingsmart.com/ (http://ce.construction.com/article.php?L=45&C=310&P=10) BD+C Network: http://www.bdcnetwork.com/article/CA6650149. html BIM/SEI: http://content.seinstitute.org/files/pdf/BIMandtheS tructuralEngineer.6.15.07.pdf CURT: www.curt.org NIST: http://www.bfrl.nist.gov/oae/publications/gcrs/04867.pdf U.S.GBC/LEED: http://www.usgbc.org/ オートデスク : Autodesk University DT134-1: BIM Infrastructure Best Practices, Autodesk Model Performance Technical Note (Revit 2010)(BIM インフラストラクチャのベストプラクティ ス、オートデスクのモデルパフォーマンスに関するテクニカル ノート(Revit 2010))、2009 年 3 月 Ennova/Envision: http://www.envisionapp.com KL&A: www.klaa.com Avatech Solutions, Inc.: http://revitmepautocadmep.blogspot. com/2010/03/is-your-computer-ready-revit-mep-2011.html Naylor Network: http://www.naylornetwork.com/ngc-nwl/articles/ ?aid=71907&projid=4254 Little Diversified: www.littlediversified.com The Business Value of BIM(BIM のビジネス価値): McGraw-Hill、2010 年、掲載先 : http://docs.lib.purdue.edu/cgi/ viewcontent.cgi?article=1001&co ntext=techdirproj スポンサーについて : デル 複雑な建築プロジェクトでは、一貫して変わらないルールがあります。それは、人命や安全を最優先に考えるべきであるということ です。基準を満たし、スケジュール通りにプロジェクトを完了するには、アプリケーションやワークステーションを活用した、確か な協力関係が欠かせません。ISV認定を受けたDell Precision™ワークステーションとBIMソフトウェアの強力な組み合わせで、お 客様のアイデアを形にします。大量のデータを扱えるモデリングを使用することで、新しい設計手法の評価、建設パフォーマンス の予測、より生産性の高いコミュニケーションを可能にします。デルの拡張オプションが利用すると、最大192 GBのメモリや最大 7.5 TBの内部ストレージを搭載したシステムを選択したり、Autodesk®などの最先端アプリケーションを実行したり、あるいは3年 間有効のハードウェア限定保証でシステムを最新の状態に保つことが可能です。 12
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