血管 - 三重大学大学院医学系研究科薬理ゲノミクスHP

VOL33NO.2/2010
日本心脈管作動物質学会
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総 編 集 長 平 田 結喜緒(東京医科歯科大学大学院分子内分泌内科学)
ベ ー シ ッ ク 編 集 長 岩 尾 洋(大阪市立大学大学院医学研究科分子病態薬理学)
インフォマティクス編集長 田 中 利 男(三重大学大学院医学系研究科薬理ゲノミクス)
ゲ ノ ミ ク ス 編 集 長 辻 本 豪 三(京都大学大学院薬学研究科ゲノム創薬科学)
ク リ ニ カ ル 編 集 長 伊 藤 正 明(三重大学大学院循環器内科学)
ISSN 0911-4637
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総 編 集 長 平 田 結喜緒(東京医科歯科大学大学院分子内分泌内科学)
ベ ー シ ッ ク 編 集 長 岩 尾 洋(大阪市立大学大学院医学研究科分子病態薬理学)
インフォマティクス編集長 田 中 利 男(三重大学大学院医学系研究科薬理ゲノミクス)
ゲ ノ ミ ク ス 編 集 長 辻 本 豪 三(京都大学大学院薬学研究科ゲノム創薬科学)
ク リ ニ カ ル 編 集 長 伊 藤 正 明(三重大学大学院循環器内科学)
編集委員 (ABC 順)
江頭健輔,藤田浩,藤田敏郎,福田 昇,古川安之,林 晃一,林登志雄,平田恭信,
平田結喜緒,飯野正光,池田宇一,今泉祐治,伊藤 宏,伊藤正明,伊藤猛雄,岩尾洋,
松原達昭,松崎益徳,三浦総一郎,宮内 卓,村松郁延,永井良三,永田博司,中木敏夫,
中村真潮,中尾一和,成瀬光栄,錦見俊雄,大橋俊夫,岡村富夫,大内尉義,大柳光正,
島田和幸,末松 誠,高橋和広,高橋克仁,武田和夫,田中利男,谷口隆之,辻本豪三,
山崎峰夫,柳沢輝行,吉村道博,由井芳樹
学会案内
第40回日本心脈管作動物質学会
会 期: 平成23年2月4日
(金)∼2月5日
(土)
会 場: かがわ国際会議場・サンポートホール高松
〒760-0019 香川県高松市サンポート2-1 タワー棟6F・ホール棟5F
TEL:087-825-5000(代表)
特 別 講 演:平田結喜緒先生
(東京医科歯科大学大学院 分子内分泌内科学 教授)
シンポジウム・オーガナイザー:
赤澤 宏先生(大阪大学) 市来俊弘先生(九州大学)
下澤達雄先生(東京大学) 高井真司先生(大阪医科大学)
廣岡良隆先生(九州大学) 福田 昇先生(日本大学)
南野 徹先生(千葉大学) 参 加 費:事前参加登録 ¥4,000
一 般
(予 定) (日程未定) ¥5,000
評議員
¥2,000
大学院生・研修生(学部学生無料)
当 日 ¥5,000
一 般
¥6,000
評議員
¥3,000
大学院生・研修生(学部学生無料)
※発表の学生は無料
※事前参加登録ご希望の方はメールにてご登録下さい.
詳細はお申し込み方法をご覧下さい.
●日本心脈管作動物質学会研究奨励賞
一般演題の中から選考により学会賞を数名
(40歳未満)
に贈呈致します.
多数のご応募をお待ちしております.
会 長:西山 成(香川大学医学部 薬理学)
【お問合せ先】
事務局: 〒761-0793
香川県木田郡三木町池戸1750−1
香川大学医学部 薬理学
第40回日本心脈管作動物質学会事務局 人見 浩史
TEL:087−891−2125 FAX:087−891−2126
E-mail:[email protected]
URL:http://www.kms.ac.jp/~jscr40/
― 1 ―
《日本心脈管作動物質学会の入会および会員の継続について》
1.年会費:4,000円
2.期 間:加入(会費納入)した年の12月31日まで.
3.機関誌:
「血管」を年4回送付します.本年度は1号が学会抄録号となります.
4.総 会:年1回開催します.学会の演題申込者はすべて本会会員に限ります.
5.入会手続き:本学会入会希望者は,学会HP内の各種届出用紙より,入会申し込み用紙をダウン
ロードし,必要事項を記入した用紙をメールまたはFax(059−232−1765)にて事務局までご送付
ください.折り返し必要書類をお送りします.
6.会員の継続手続き:継続用紙にご記入の上,Fax(059−232−1765)にて事務局まで御送信くだ
さい.さらに,下記郵便口座あてに年会費4,000円をお払い込みください.
郵便振替口座:00900−8−49012
加入者名:日本心脈管作動物質学会
7.雑誌送付先などに変更が生じた場合はすみやかに事務局までお知らせください.
《
「お知らせ」の掲載について》
本誌では,「血管」に関連した学会および学術集会(国内外,規模の大小は問いません.
)の案内を,
無料掲載いたします.ご希望の方は,締切日までに原稿を事務局へお送りください.
(締切日等は事務
局へご確認ください.)
〒514-8507 三重県津市江戸橋2丁目174番地
三重大学大学院医学系研究科薬理ゲノミクス分野
日本心脈管作動物質学会事務局
FAX 059−232−1765
T E L 059−231−5411
http://jscr21.medic.mie-u.ac.jp/
[email protected]
― 2 ―
血管
VOL.33 NO.2 2010
JAPANESE JOURNAL OF
CIRCULATION RESEARCH
編集・刊行/日本心脈管作動物質学会
■学会賞受賞論文
虚血後血管新生における血管制御分子セマフォリン3Eの役割と
その治療応用への可能性
森谷 純治、南野 徹、小室 一成 ………………………………………………45
内皮機能におけるHeat shock cognate protein 70 (Hsc70) の役割
塩田 正之、泉 康雄、中尾 隆文、岩尾 洋 ………………………………49
マウス角膜新生血管における血管周囲神経の分布と特性
松山 晃子、曽根 曜子、合田 光寛、高取 慎吾、笠井 淳司、
前田 定秋、川 博己 ………………………………………………………………55
■若手研究者による海外最新情報
Columbia University in the City of New York
土屋 恭一郎……………………………………………………………………………63
― 3 ―
Japanese Journal of Circulation Research
VOL.33 NO.2 2010
JAPANESE JOURNAL OF
CIRCULATION RESEARCH
■Young Investigator Research Awards
A Pathological Role of Semaphorin3E in Postnatal Angiogenesis
and Its Implication for Therapeutic Angiogenesis
Junji Moriya, Tohru Minamino, Issei Komuro ……………………………………45
Heat Shock Cognate Protein 70 is essential for Akt signaling in
Endothelial Function
Masayuki Shiota, Yasukatsu Izumi, Takafumi Nakao, Hiroshi Iwao … … … … 49
Distribution and characterization of perivascular nerves in neovessels of
mouse cornea
Akiko Matsuyama, Yoko Sone, Mitsuhiro Aida, Shingo Takatori,
Junji Kasai,Sadaaki Maeda, Hiromu Kawasaki ……………………………………55
■Recent
Advances in Circulation Research
Columbia University in the City of New York
Kyoichiro Tsuchiya ……………………………………………………………………63
― 4 ―
血管Vol.33 No.2 2010
クリニカル
日 本 心脈 管 作 動 物 質 学 会 研究奨励賞受賞論文
1
虚血後血管新生における血管制御分子セマフォリン3E
の役割とその治療応用への可能性
森谷 純治1,南野 徹1,2,小室 一成1
1千葉大学大学院医学研究院 循環病態医科学,2科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業さきがけ
し て 抑 制 的 に 作 用 す るplexinD1−Fc融 合 蛋 白(以 下
.はじめに
plexinD1−Fc)を投与することで打ち消されることが
血管と神経とは非常に類似した解剖学的走行を示すこ
わかった(Fig.
1)
.Sema3EはVEGFの受容体である
とはよく知られている.最近の研究において,これら血
VEGFR2のリン酸化を抑制し,その結果VEGFによる血
管と神経の協調したネットワークの形成に「神経軸索ガ
管新生促進のシグナル経路を抑制していた.VEGFの中
イダンス分子」と呼ばれる分子が関与していることが明
和抗体を予め投与したHUVECにおいてはSema3Eを投
1)
らかとなった .すなわち神経軸索ガイダンス分子は,
与しても細胞の増殖や脈管形成は有意には抑制されな
従来神経細胞の軸索を誘引または反発させる分子として
かったことから,Sema3Eの血管新生抑制効果はVEGF
知られていたが,これらの分子が胎生期の血管網の形成
依存性であることが示唆された.
にも重要な役割を担っていることが示されたのである.
次 にin vivo に お け るSema3E/plexinD1の 役 割 を
セマフォリン3E(以下Sema3E)とその特異的な受
調べるため,マウス下肢虚血モデルを作成し,虚血肢に
容体であるプレキシンD1(以下plexinD1)は,ともに
おけるSema3EおよびplexinD1の発現を調べる実験を
神経軸索ガイダンス分子の一つである.Sema3Eあるい
行った.虚血後3日目よりSema3EおよびplexinD1の
はplexinD1の欠失マウスにおいては胎生期に血管形成
発 現 の 上 昇 が 虚 血 肢 に お い て 認 め ら れ(Fig.
2),
網の無秩序化がおこることから,これらの分子はいずれ
Sema3Eは虚血組織の骨格筋,小動脈および毛細血管に,
も胎生期における血管形成において非常に重要な分子で
plexinD1は主として毛細血管に発現していることがわ
あることが知られていた2)ものの,生後の血管新生にお
かった.マウス下肢虚血モデルにplexinD1−Fcの発現
ける役割は不明であった.そこで今回我々は,生後の血
ベクタープラスミドを筋注すると,レーザードプラによ
管新生におけるSema3EおよびplexinD1の役割を調べ
る虚血後の血流の改善および血管数(CD31陽性細胞数)
るため,in vitroおよびin vivoの実験系で検討した.
が有意に促進しており(Fig.
2)
,逆にSema3Eの発現
ベクタープラスミドを筋注すると虚血後の血管新生が減
弱した.またSema3E欠失マウスでは下肢虚血後の血管
.方法と結果
新生能が上昇していることもわかり,少なくともマウス
Sema3E/plexinD1の 役 割 を 調 べ る た め,ま ず
の 下 肢 虚 血 後 の 血 管 新 生 に お い て,Sema3E/
HUVEC(ヒト臍帯静脈血管内皮細胞)を用いて実験を
plexinD1が抑制的に作用していることが示唆された.
行った.VEGF(血管内皮増殖因子)を投与すると,
癌抑制遺伝子として知られているp53は低酸素によっ
HUVECの増殖および脈管形成が促進されたが,この効
て活性化され,腫瘍血管新生に対して抑制的に働くこと
果はSema3Eの投与により濃度依存性に抑制された.さ
が知られている3).そこで我々は低酸素によるp53の誘導
らにこのSema3Eの血管新生抑制作用は,Sema3Eに対
が,Sema3Eの発現を正に制御しているのではないかと
いう仮説を立てた.この仮説を検証するため,ウイルス
*1千葉大学大学院医学研究院 循環病態医科学
(〒260−8670 千葉県千葉市中央区亥鼻1−8−1)
*2科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業さきがけ
(〒332-0012 埼玉県川口市本町4−1−8)
ベクターを用いた実験を行った.アデノウイルスを用い
てp53を過剰に発現させたHUVECにおいては,コント
ロールのHUVECに比してSema3Eの発現が上昇してい
た(Fig.
3).またSema3Eの発現は塩化コバルト処理
― 45 ―
虚血後血管新生における血管制御分子セマフォリン3Eの役割とその治療応用への可能性
により低酸素刺激したHUVECにおいても上昇が認めら
(Fig.
4)
.
れ,in vivo においては低酸素刺激によってp53が活性化
一 方,糖 尿 病 モ デ ル マ ウ ス の 虚 血 肢 にVEGFと
しSema3Eの発現が誘導されるという機序が示唆され
plexinD1−Fcの発現ベクタープラスミドを同時に投与
た.この結果に一致して,マウス下肢虚血モデルの虚血
すると,VEGF単独投与群と比較して著明な血流改善が
筋組織におけるp53及びSema3Eの発現はともに虚血後
得られた(Fig.
4)
.
3日 目 よ り 上 昇 が 認 め ら れ た が,こ の 虚 血 に よ る
これらの結果からSema3Eはp53によって発現が制御
Sema3Eの上昇はp53欠失マウスの下肢虚血筋組織では
されている血管新生抑制分子であることがわかり,
認められなかったことから,in vivo の虚血筋組織にお
Sema3Eを抑制することは,特にVEGF等の既存の血管
いても,p53依存性にSema3Eの発現が上昇し,虚血後
新生因子の治療のみでは効果のない症例に対する新たな
血管新生に対して抑制的に作用していることが示唆され
治療的血管新生の標的となり得ると考えられた.
た(Fig.
3).
糖尿病の患者においては虚血後の血管新生能が低下し
ていることが知られているが,その詳細な機序に関して
.考察
は明らかではない4).ストレプトゾトシンを腹腔内投与
我々は本研究において,Sema3E/plexinD1がマウ
した1型糖尿病モデルマウスにおいて下肢虚血を作成し,
ス下肢虚血モデルの生後の血管新生において抑制的に作
血管新生能を評価した.糖尿病モデルマウスにおいては
用していることを示した.我々はまた,
Sema3EがVEGF
虚血後の血流の改善及び血管数が非糖尿病モデルマウス
の受容体であるVEGFR−2の活性化とその下流のシグ
に比べて有意に減少しており,さらにVEGFの発現ベク
ナル経路を抑制することで血管新生に対して抑制的に作
タープラスミドを筋注した血流の改善効果も著しく障害
用していることも明らかとした.SemaphorinとVEGFの
されていた.次に糖尿病モデルマウスの筋組織において
両方に結合し得る分子としてNeuropilinが知られている
p53とSema3Eの発現を調べたところ,これらの分子の
が,Sema3EがVEGFR−2の活性化を抑制する機序と
発現が非糖尿病モデルマウスに比し,糖尿病モデルマウ
して,このNeuropilinが関係している可能性がある.ま
スにおいて有意に上昇していることがわかり,これら血
たHUVECを用いたin vivo の実験系において,VEGFの
管新生抑制分子の発現の上昇が糖尿病モデルマウスにお
中和抗体処理を行っても完全にはSema3Eの血管新生
ける血管新生障害に関与していることが示唆された
抑制効果が消失しなかったことから,VEGF非依存性,
図1.Sema3E はVEGFによる血管新生促進作用を抑制する
(左)HUVECにVEGFを添加し,それにさらにSema3Eを添加した時の細胞数の変化.Sema3Eは濃度依存性にVEGFによる細胞増殖作用
を抑制したが,この作用はSema3Eを抑制するPlexinD1−Fc融合蛋白の添加により打ち消された.
(右)HUVECの脈管形成アッセイ.VEGFにSema3Eを加えると(V+S)
,VEGF単独投与に比べ脈管形成は抑制され,さらにPlexinD1−Fc
投与によりSema3Eの脈管形成抑制作用は打ち消された.
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䈮䉋䉎ⴊ▤ᣂ↢ଦㅴ૞↪䉕ᛥ೙䈜䉎
― 46 ―
血管Vol.33 No.2 2010
図2.Sema3Eの発現は虚血下肢で上昇しており, 血管新生に対して抑制的に作用している.
(左)マウス虚血下肢におけるSema3Eの発現.虚血作成後3日目(D3)よりSema3Eの発現の上昇が認められ,10日目(D10)まで上昇
が続いている.
(右)PlexinD1−Fcプラスミドをマウス虚血下肢に筋注後,レーザードプラによる血流回復とCD31陽性細胞数をみた.Controlに比べて
PlexinD1−Fc群で有意に虚血後の血流回復および血管数の増加が認められた.
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図3.p53がSema3Eの発現を正に調節している
(左)p53を強制発現させたHUVEC(Ad−p53)にてSema3Eの発現をウエスタンブロット法にて調べた.コントロール(Ad−mock)に比
べてp53を強制発現させたHUVECでSema3Eの発現が上昇していた.
(中)マウス虚血下肢におけるp53の発現.Sema3Eの発現と同様,虚血作成後3日目(D3)より発現の上昇が認められた.
(右)p53ノックアウトマウスにおけるSema3Eの発現を調べた.野生型(WT)では虚血作成後10日目ではSema3Eの発現の上昇が認めら
れるが,p53ノックアウトマウスでは(p53KO)虚血を作成してもSema3Eの発現の上昇が認められず,虚血によるSema3Eの上昇
がp53依存性であることが示唆された.
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䈱⊒⃻䉕ᱜ䈮⺞▵䈚䈩䈇䉎
図4.Sema3E の抑制により糖尿病マウスにおける血管新生障害が改善する
(左)糖尿病モデルマウス(STZ)骨格筋におけるSema3Eおよびp53の発現.非糖尿病モデルマウス(STZ −)に比べて糖尿病モデルマ
ウス(STZ +)ではSema3Eおよびp53の発現の上昇がみられた.
(右)糖尿病モデルマウスに対して下肢虚血作成後,VEGF単独で治療を行った群(Fc(−)
)とVEGFとPlexinD1−Fcの併用療法を行った
群
(Fc(+)
)とで血流の改善をレーザードプラにて解析した.VEGF単独療法群に比して,併用療法群では虚血後の血流が著明に改
善した.
䈱ᛥ೙䈮䉋䉍♧ዩ∛䊙䉡䉴䈮䈍䈔䉎ⴊ▤ᣂ↢㓚ኂ䈏ᡷༀ䈜䉎
― 47 ―
虚血後血管新生における血管制御分子セマフォリン3Eの役割とその治療応用への可能性
特にSema3E/plexinD1自身のシグナル経路によって
管障害をはじめとする既存の治療のみでは効果の乏しい
血管新生に対して抑制的に働いている機序の存在が示唆
症例に対して新たな治療法を提供し得ると考えられる.
さ れ る.実 際Sema3EはVEGFだ け で な くHGFお よ び
bFGFによる血管新生に対しても抑制的に働くことがわ
かり(データ非公表),少なくとも部分的にはVEGF非依
文 献
存性にSema3E/plexinD1が血管新生を抑制している
1)Carmeliet P,Tessier−Lavigne M:Common mechanisms
と考えられるが,その詳細については今のところ不明で
of nerve and blood vessel wiring.Nature,2005,436:193−
200.
ある.
PlexinD1の欠失マウスが大血管異常を呈し胎生致死
であるのに対して,Sema3Eの欠失マウスは特に大血管
2)Kruger RP,Aurandt J,Guan KL:Semaphorins command
cells to move.Nat Rev Mol Cell Biol,2005,6:789−800.
3)Harris SL,Levine AJ:The p53 pathway:positive and
の異常を呈さず,生後もほぼ正常に発育することが知ら
れ て い る.ま たPlexinD1はSema3A,Sema3C,
negative feedback loops.Oncogene,2005,24:2899−2908.
4)Falanga V:Wound healing and its impairment in the
diabetic foot.Lancet,2005,366:1736−1743.
Sema4AといったSema3E以外のサブタイプとも結合
する一方で,Sema3EはplexinD1とのみ結合するとい
5)Toyofuku T,Yabuki M,Kamei J et al:Semaphorin−4A,
an
われている.さらにSema3AおよびSema3CはplexinD1
activator
for
T−cell−mediated
immunity,suppresses
angiogenesis via Plexin−D1.EMBO J,2007,26:1373−1384.
の他にplexinの別のサブタイプであるplexinA1にも結
6)Maione F,Molla F,Meda C et al:Semaphorin 3A is
合することが知られており,Sema3A/CもSema3E/
an endogenous angiogenesis inhibitor that blocks tumor
plexinD1と同様に,plexinA1/D1を介して胎生期の
growth and normalizes tumor vasculature in transgenic
mouse models.J Clin Invest,2009,119:3356−3372.
血管網の形成に重要な役割を果たしていることが知られ
ている.最近になってSema3AおよびSema4Aが生後
7)Brodsky SV,Gealekman O,Chen J et al:Prevention and
reversal
の血管新生に対して抑制的に働いていることが報告され
たことから5,6),plexinD1−Fcによる血管新生の促進
作 用 は,Sema3Eに 対 す る 抑 制 作 用 だ け で な く,
of
premature
endothelial
cell
senescence
and
vasculopathy in obesity−induced diabetes by ebselen.Circ
Res,2004,94: 377−384.
8)Moriya J,Minamino T, ateno K et al:Inhibition of
Sema3A/4Aに対する抑制作用によってももたらさ
semaphorin as a novel strategy for therapeutic angiogenesis.
れている可能性がある.
Circ Res,2010,106:391−398.
我々の結果はまた,p53が虚血組織におけるSema3E
の誘導に重要な役割を果たしていることを示したが,ど
のようにp53がSema3Eの発現を制御しているかについ
ての詳細なメカニズムはいまだ不明である.腫瘍細胞の
抑制においてp53による血管新生抑制作用は重要である
と考えられるため,Sema3E/plexinD1はp53変異によ
る悪性腫瘍に対する治療の標的ともなり得る.また高血
糖はp53を活性化し活性酸素種を増大させることが報告
されており7),Sema3Eを含めたp53による血管新生抑
制因子の発現上昇が,糖尿病における血管新生障害に強
く 関 わ っ て い る 可 能 性 は 高 い.従 っ てSema3E/
plexinD1は,糖尿病症例における虚血性心血管疾患をは
じめとする,既存の血管新生療法に対して効果の乏しい
症例に対する新たな治療の標的となり得ると考えられ
る8).
.結論
虚血後血管新生においてSema3Eの発現がp53依存性
に上昇し,血管新生抑制因子として働いていることが明
らかとなった.Sema3Eを抑制することは,糖尿病性血
― 48 ―
血管Vol.33 No.2 2010
ベーシック
日 本 心脈 管 作 動 物 質 学 会 研究奨励賞受賞論文
2
内皮機能におけるHeat shock cognate protein 70(Hsc70)の役割
塩田 正之,泉 康雄,中尾 隆文,岩尾 洋
大阪市立大学大学院 医学系研究科 分子病態薬理
.方法
.はじめに
Heat shock protein 70(Hsp70)ファミリータンパク
細胞培養
質は分子量約70,000の熱ショックタンパク質であり,分
臍帯静脈内皮細胞(HUVECs)はLonzaから購入し,
子シャペロンとして広く知られている1.新生タンパク
継代数3から5までのものを実験に供した.増殖用培地
質のフォールディングや会合,熱や活性酸素によって傷
はEGM2を,スタベーション培地には血清,増殖因子を
害を受けたタンパク質の修復に関与し,ストレス回避反
含まないEBM2を使用した.血管内皮増殖因子(VEGF)
応に深く関わっている.近年,タンパク質の輸送や転写,
は10 ng/mlで使用した.
翻訳の調節にも関与し,広く細胞内タンパク質の品質管
理を行っていることが明らかになってきた.また,最近
Hsc70の機能阻害
になってシャペロンとしての機能以外にシグナル伝達に
Hsp70阻害薬KNK437
(N−formyl−3,
4−methylenedioxy−
積極的に関与しているという報告もなされている2.
benzylidene−γ−butyrolactam)を100μMで使用した.
Hsp70ファミリーはヒトでは8つの遺伝子が知られてい
細 胞 内 情 報 伝 達 の 解 析 に は ス タ ベ ー シ ョ ン の 後,
3
る .その構造は高度に保存されている一方で,細胞内
KNK437を1時間前処理した.In vitro血管新生の評価の
では多様な機能を有しており,細胞内局在やストレスへ
際はVEGFと同時に添加した.
Hsc70 siRNAはAmbionよ
の反応性がそれぞれ異なっている.Hsp70ファミリーの
り購入し,
10 nMにて使用した.Lipofectamin RNAiMAX
一員であるHsp72(別名Hsp70,Hsp70−1)は動脈硬化病
(Invitrogen)を用いてリバーストランスフェクション
巣や虚血時の心臓で発現亢進しており,血管,心臓にお
法にて遺伝子導入した.遺伝子導入48時間後の内皮細胞
ける臓器保護への関与が示唆されているなど循環器疾患
を各アッセイに使用した.
への関与が数多く報告されている
4−6
.このHsp72と
86%のホモロジーを有し,細胞内局在を同じくする分子
in vitro血管新生の評価
にHeat shock cognate protein 70(Hsc70)が あ る.
遊走能はTrans well assayにて評価した.8μmの孔
Hsp72がストレスによって発現誘導されるのに対して,
径の多孔性メンブレンの上層に1×105個の細胞を播種
Hsc70は恒常的に発現している.両者の機能は一部重複
し,下層にVEGFを添加した.6時間の培養の後,下層
するが,それぞれに固有の機能も有している.そこで
に移動した細胞数を計測した.また血管新生能はtube
Hsc70も血管内皮において何らかの固有の機能を有する
formation assayにて評価した.マトリゲルコートした
7
のはないかと考え,内皮機能への関与を検討した .
96 well plateに1×104個/wellの細胞を播種し,VEGF
の有無下で6時間培養した.脈管の長さを計測して血管
新生能として評価した.
細胞内情報伝達の解析
*大阪市立大学大学院医学系研究科分子病態薬理
(〒545−8585 大阪市阿倍野区旭町1−4−3)
それぞれの処置を行ったHUVECs,あるいは下肢虚血
モデルマウスの大腿部よりタンパク質を抽出し,各種
抗 体 に て ウ エ ス タ ン ブ ロ ッ ト を 行 っ た.LAS−3000
― 49 ―
内皮機能におけるHeat shock cognate protein 70(Hsc70)の役割
(FUJIFILM)に よ り バ ン ド を 検 出 し,Multi gauge
流の低下を認めた(図3.
A).また,虚血部位の大腿内
software(FUJIFILM)にてバンドの濃さを数値化した.
転筋を用いて抗CD31抗体にて免疫染色を行い血管密度
を測定したところ,KNK437投与はvehicle群の55%まで
下肢虚血
血管密度を低下させた(図3.
B).以上より,KNK437処
8週齢雄性C57BL/6Jマウスの左大腿動静脈を摘出
置による明らかな血管新生の遅延を認めた.さらに,
する こ と で 下 肢 虚 血モデルを作成した.手術日 よ り
KNK437投与後に下肢虚血モデルを作成し,大腿部の
KNK437(50μg/g/日)を毎日腹腔内投与し,虚血後
Aktリン酸化に対する効果を検討した.下肢虚血作成1時
の血流回復をレーザードップラーにて測定し,健常側に
間後,虚血側の大腿内転筋ではAktリン酸化が健常側に
対する虚血側の血流比を算出した.
比して著明に増加していたが,KNK437はこのリン酸化
を完全に遮断した
(図3.
C).よって,
KNK437は in vivo
免疫染色
においても虚血によるAktの活性化を抑制しうることが
下肢虚血作成5日目の大腿内転筋(虚血部位)の凍結
明らかとなった.
切片を作製し,抗CD31抗体にて免疫染色を行い,血管密
このようにHsc70の機能阻害がAktを不活性化するこ
度を測定した.
とが明らかになったが,Hsc70の作用点がどこにあるの
か,その分子機序を明らかにするためにHsc70をノック
定量的RT−PCR
ダウンした細胞抽出液を用いてAkt経路に関わる分子の
KNK437処 置,あ る い はHsc70を ノ ッ ク ダ ウ ン し た
リン酸化,総タンパク量の変化をウエスタンブロットに
HUVECsより総RNAをRNeasy Mini Kit(QIAGEN)を
て検討した.その結果,PI3Kp110サブユニットのタンパ
用いて抽出し,ReverTra Ace(TOYOBO)にて逆転写
ク質発現が優位に低下していることが明らかとなった
した.PI3Kp110α,PI3Kp110γのmRNA発現をTaqMan
(図4.
A)
.p85サブユニットは発現低下傾向を認めるも
Gene Expression Assay Kit(Applied Biosystems)を
のの有意な差はなかった.KNK437処置の場合でも同様
用 い て7500FAST system(Applied Biosystems)に て
にPI3Kp110の 有 意 な 発 現 低 下 を 認 め た(図4.
B).
定量した.補正にはGAPDHを使用した.
mRNA発現を定量したところ,PI3Kp110のαサブユニッ
トの発現はコントロールの81.8±2.4%に,αサブユニッ
トは49.1±11.6%まで低下していた(図4.
C).よって
.実験結果
Hsc70はPI3Kp110γに,より作用するものと考えられる.
VEGFに よ るHUVECsの 遊 走 促 進 に 対 す る 影 響 を
以上より,Hsc70はPI3Kp110のmRNAレベルでの制御に
Trans well assayにて評価した.KNK437処置群および
寄与することで,内皮機能を正常に維持し,血管新生を
Hsc70 siRNA群ではVEGFが促進する遊走を優位に抑制
制御していることが明らかとなった.
した(図1.
A).次に,tube formation assayにて血管
新生に対する影響を解析したところ,KNK437,siRNA
ともにVEGFによる脈管の形成を優位に抑制した(図1.
.考察
B).よって,Hsc70の機能阻害によって血管新生のプロ
今回,内皮細胞でHsc70がPI3Kp110γのmRNA安定化
セスが抑制されることが明らかとなった.これら血管新
に関与していることが示唆されたわけだが,血球細胞
生のプロセスにはeNOSの活性化が深く関与しているこ
Baf−3においてはBimのmRNA安定性を制御しているこ
とから,eNOSのリン酸化を評価した.VEGF添加30分後
とが報告されている8.これらの知見を併せて考えると,
の内皮細胞のeNOSリン酸化はKNK437,siRNAによって
Hsc70は共通のメカニズムでBimやPI3Kp110γといった
コントロールレベルまで抑制されていた.さらにeNOS
特定の遺伝子のmRNA安定性を制御しているのかもし
リン酸化の上流に存在するAktのリン酸化状態を調べた
れない.
ところ,VEGFによって誘発されるAktのリン酸化は顕
PI3Kp110γに関しては心機能や血管新生における重
著に抑制されていた(図2A.およびB.)
.以上より,
要性が指摘されており9,10,我々の結果とあわせて考え
Hsc70は内皮細胞においてAkt経路を制御することで血
ると非常に興味深い.Hsc70はPI3Kp110γの発現制御を
管新生のプロセスを制御しうることが明らかとなった.
行うことでAkt活性を調節し,ひいては内皮機能を維持・
次にマウス下肢虚血モデルにて血管新生への影響を評
調節しているのかもしれない.PI3K/Akt経路は内皮細
価した.虚血5日目の血流を評価したところ,vehicle群
胞においてNO産生や血管新生のみならず,細胞周期,
に比べKNK437投与群で45%まで抑制され,明らかな血
増殖,透過性,生存にも関わっているきわめて重要な経
― 50 ―
B.
**
1.0
**
0.5
0
K N K 437
VEG F
Relative migrated cells
Relative tube length
*
1.5
-
+
+
-
+
+
*
2.0
**
1.5
**
1.0
0.5
0
N C siR N A
H sc70 siR N A
VEG F
+
-
+
+
+
-
+
+
*
1.5
**
**
1.0
0.5
0
K N K 437
VEG F
Relative Tube length
A.
Relative migrated cells
血管Vol.33 No.2 2010
-
+
+
-
+
+
*
**
1.0
**
0.5
0
N C siR N A
+
H sc70 siR N A VEG F
-
+
+
+
-
+
+
図1.Hsc70機能阻害が内皮機能に与える影響
A.遊走 B.脈管形成 *P<0.05 vs control,**<0.05 vs VEGF(+).NC,Negative Control
文献7より改変引用
A.
B.
A ktS473p
A ktS473p
A kt
A kt
*
*
3.0
**
Aktp/Akt
Aktp/Akt
1.5
**
1.0
0.5
0
K N K 437
VEG F
-
+
+
-
+
+
2.0
1.0
0
N C siR N A
H sc70 siR N A
VEG F
+
-
+
+
**
**
+
-
+
+
図2.Hsc70がAktリン酸化に与える影響
A.KNK437による影響 B.Hsc70 siRNAによる影響 *P<0.05 vs control,**<0.05 vs VEGF(+).NC,Negative Control
文献7より改変引用
― 51 ―
内皮機能におけるHeat shock cognate protein 70(Hsc70)の役割
A.
vehicle
Capillary density (/mm2)
B.
KNK437
Ischemic/Normal LDBF ratio
Blood flow
Colored pixel
250
200
*
150
100
50
0
vehicle
KNK437
1.2
vehicle
1.0
C.
KNK437
vehicle
0.8
N
0.6
I
N
I
A ktS473p
A kt
0.4
0.2
0
K N K 437
*
Pre Post
D ay 5
図3. KNK437処置による血管新生阻害作用
A.レーザードップラーによる血流の評価 B.血管密度 C.虚血部位のAktリン酸化 *P<0.05 vs vehicle.N,Non−ischemia;I,Ischemia
文献7より改変引用
A.
+
N C siR N A
H sc70 siR N A VEG F
+
+
+
-
+
+
B.
KNK
-
-
+
+
VEG F
-
+
-
+
PI3K p110
PI3K p110
PI3K p85
PI3K p85
H sc70
E-actin
E-actin
p110/actin
1.0
0.5
**
*
**
*
p85/actin
1.0
0.5
0
N C siR N A
H sc70 siR N A
VEG F
+
-
+
+
+
-
+
+
Relative mRNA level
C.
0
1.0
0.8
NC
Hsc70
*
*
0.6
0.4
0.2
0
p110D
p110J
図4.Hsc70機能阻害がPI3K発現に及ぼす影響
A.Hsc70 siRNA *P<0.05 vs control,**<0.05 vs VEGF(+).
B.KNK437処置 C.Hsc70 siRNAがPI3Kp110mRNA発現に及ぼす影響 *P<0.05 vs NC.NC,Negative Control
文献7より改変引用
― 52 ―
血管Vol.33 No.2 2010
路である.よってHsc70の機能阻害は内皮の生存にも直
文 献
結する.本実験におけるアッセイの時間内では認めな
かったものの,実際,Hsc70をノックダウンして無血清
下で24時間以上培養すると著名な細胞死を認めた.よっ
1.Bukau B,Weissman J,Horwich A.Molecular chaperones
and protein quality control.Cell. 2006;125(3):443−451.
2.Martin J,Masri J,Bernath A,Nishimura RN,Gera J.
てHsc70はPI3K/Akt経路を厳密に制御しているものと
Hsp70 associates with Rictor and is required for mTORC2
考えられる.Hsc70のノックアウトマウスは胎生致死で
formation and activity.Biochem Biophys Res Commun.
2008;372(4)
:578−583.
あり,胎児から調製した細胞も生存できないことを考え
ると,Hsc70はPI3Kを作用点としてAktを制御すること
3.Daugaard M,Rohde M,Jaattela M.The heat shock protein
70 family:Highly homologous proteins with overlapping and
で細胞の生存に関わっているのかもしれない.
興味深いことにHsc70のノックダウンの際にHsp72や
:3702−3710.
distinct functions.FEBS Lett. 2007;581(19)
4.Xu Q.Role of heat shock proteins in atherosclerosis.
Hsp40といった複数のHsp分子の発現亢進を認めた7.
Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2002;22(10)
:1547−1559.
real time PCRの結果,なかでもHsp72は発現量が約10倍
5.Kim YK,Suarez J,Hu Y,McDonough PM,Boer C,Dix
増加していた.これはHsp72を含む他のHspファミリー
DJ,Dillmann WH.Deletion of the inducible 70−kDa heat
分子が,阻害されたHsc70の機能を補完すべく発現亢進
shock protein genes in mice impairs cardiac contractile
function and calcium handling associated with hypertrophy.
したものと考えられる.しかしHsc70ノックダウンで顕
Circulation. 2006;113(22):2589−2597.
著なアウトプットを認めたことは,PI3Kp110サブユニッ
6.Okubo S,Wildner O,Shah MR,Chelliah JC,Hess ML,
トの発現維持・安定化という機能は,Hsc70の固有の機
Kukreja RC.Gene transfer of heat−shock protein 70 reduces
能であることを示唆している.
infarct size in vivo after ischemia/reperfusion in the rabbit
:877−881.
heart.Circulation. 2001;103(6)
Hsp90ファミリーであるHsp90αはストレスによって
発現誘導され,ストレス応答に関わる一方でHsp90βは
7.Shiota M,Kusakabe H,Izumi Y,Hikita Y,Nakao T,
Funae Y,Miura K,Iwao H.Heat shock cognate protein
恒常的に発現し,AktとeNOSの複合体形成に関与するこ
70 is essential for akt signaling in endothelial function.
と が 報 告 さ れ て い る11,12.Hsp90フ ァ ミ リ ー の よ う に
Hsp70ファミリーにおいてもHsp72とHsc70は機能分担
Arterioscler Thromb Vasc Biol.;30(3):491−497.
8. Matsui
H,Asou
H,Inaba
T.Cytokines
direct
the
regulation of Bim mRNA stability by heat−shock cognate
を行い,Hsc70はHsp90βのようにストレス応答とは違っ
:99−112.
protein 70.Mol Cell. 2007;25(1)
た機能を有しているものと考えられる.
9.Patrucco E,Notte A,Barberis L,Selvetella G,Maffei A,
Brancaccio M,Marengo S,Russo G,Azzolino O,Rybalkin SD,
.おわりに
Silengo L,Altruda F,Wetzker R,Wymann MP,Lembo G,
以上より,Hsc70はmRNAの安定化によるPI3Kの発現
chronic pressure overload by distinct kinase−dependent and−
Hirsch E.PI3Kgamma modulates the cardiac response to
independent effects.Cell. 2004;118(3):375−387.
調節に関与することでPI3K/Akt経路を制御し,血管新
生を含めた内皮機能に重要な役割を演じていることが明
10.Madeddu
P,Kraenkel
N,Barcelos
LS,Siragusa
M,
Campagnolo P,Oikawa A,Caporali A,Herman A,Azzolino
らかになった.近年,Hsp70ファミリーに属するHSPA12
O,Barberis L,Perino A,Damilano F,Emanueli C,Hirsch
が血管新生に関与していることが報告された13.我々の
E.Phosphoinositide 3−kinase gamma gene knockout impairs
結果も併せ,恒常的に発現しているHspファミリー分子
postischemic neovascularization and endothelial progenitor
群のいくつかは細胞内の情報伝達の効率化による恒常性
cell functions.Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2008;28
(1)
:
維持に広く関与しているのかもしれない.また,近年,
68−76.
分泌型のHspが存在し,細胞- 細胞間の情報伝達に一役
11.Sun J,Liao JK.Induction of angiogenesis by heat shock
protein 90 mediated by protein kinase Akt and endothelial
買っていることが明らかになってきた14,15.単に分子
nitric oxide synthase.Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2004;
シャペロンとして考えられていたHsp分子群は実に多様
24(12):2238−2244.
性に富み,その局在や機能も異なることから,我々の認
12.Takahashi S,Mendelsohn ME.Synergistic activation of
識を超えて,もっと様々な局面で機能しうる多機能タン
endothelial nitric-oxide synthase(eNOS)by HSP90 and Akt:
パク質である可能性が示唆される.今後のHsp研究の新
calcium−independent eNOS activation involves formation of
an HSP90−Akt−CaM−bound eNOS complex.J Biol Chem.
たな展開に期待したい.
2003;278(33):30821−30827.
13.Hu G,Tang J,Zhang B,Lin Y,Hanai J,Galloway J,
Bedell V,Bahary N,Han Z,Ramchandran R,Thisse B,
Thisse C,Zon LI,Sukhatme VP.A novel endothelial−specific
― 53 ―
内皮機能におけるHeat shock cognate protein 70(Hsc70)の役割
heat shock protein HspA12B is required in both zebrafish
development and endothelial functions in vitro.J Cell Sci.
2006;119(Pt 19):4117−4126.
14.Theriault JR , Mambula SS , Sawamura T , Stevenson
MA,Calderwood
SK.Extracellular
HSP70
binding
to
surface receptors present on antigen presenting cells and
endothelial/epithelial cells.FEBS Lett. 2005;579(9)
:
1951−1960.
15.Calderwood SK,Mambula SS,Gray PJ,Jr.
,Theriault JR.
Extracellular heat shock proteins in cell signaling.FEBS
Lett. 2007;581(19):3689−3694.
― 54 ―
血管Vol.33 No.2 2010
ベーシック
日 本 心脈 管 作 動 物 質 学 会 研究奨励賞受賞論文
3
マウス角膜新生血管における血管周囲神経の分布と特性
松山 晃子1,曽根 曜子1,合田 光寛1,高取 真吾1,笠井 淳司2,前田 定秋2,川 博己1
1岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 臨床薬学,2摂南大学薬学部 薬物治療学
位による差が大きく2),どのような神経が分布するかも
【緒 言】
不明である.そこで,本研究では,新生血管における神
血管の中で,抵抗血管と呼ばれる小動脈や細動脈は,
経分布を明らかにする目的で,in vivoにおける血管新生
中膜平滑筋の緊張度を変化させ,生体内の組織血流量を
のモデルとして用いられているマウス眼球角膜ポケット
調節している.この緊張度は液性因子により内膜側から,
法を用いて検討した.角膜ポケット法では,角膜に移植
血管周囲神経により外膜側から調節されている.血管周
した成長因子によって既存の血管である角膜リング状血
囲神経としては,支配神経であるノルアドレナリンを伝
管から新生血管が誘導される.
そこで,
マウス角膜ポケッ
達物質とする血管収縮性の交感神経が分布しているが,
ト法にて誘導した新生血管における血管周囲神経の分布
calcitonin gene-related peptide(CGRP)を伝達物質と
とその特性について免疫組織化学的検討を行った.また,
す る 非 ア ド レ ナリン性・非コリン性の血管拡 張 神 経
マウス角膜リング状血管にどのような血管周囲神経が分
(NANC神経)も分布し,これらの神経が血管緊張度調
布するかについての詳細な検討は報告されていない.そ
節に関与している.ラット腸間膜動脈においては,交感
こで,既存の血管である角膜リング状血管における血管
神経とCGRP含有神経が,いずれも血管を網目状に取り
周囲神経の分布についても免疫組織化学的に検討した.
1)
巻いていることが知られている .腸間膜血管は収縮性
角膜血管に分布する血管周囲神経の種類については,交
神経と拡張性神経による拮抗的二重支配を受けており,
感神経(tyrosine hydroxylase; THを指標)
,交感神経
両神経のバランスによってその緊張度を調節している.
NPY含有神経,CGRP含有神経,substance P(SP)含
マウス脂肪組織微小血管(外径20μm)には,血管周
有神経に焦点をあて,各神経に含まれる伝達物質または
囲神経として交感神経に属するNeuropeptide Y(NPY)
生合成酵素の抗体を用いて免疫組織化学的に検討した.
含有神経が網目状分布するところから微小血管において
も血管周囲神経が分布していることが確認されている
(未発表).さらに,マウス脂肪組織微小血管には,外径
10μm程度の微小血管にまでCGRP含有神経の分布も確
【実験方法】
1)塩 基 性 繊 維 芽 細 胞 増 殖 因 子(basic fibroblast
growth factor; bFGF)封入ペレットの作製
認されているが,その分布は交感神経線維の分布に比べ
て少ないことも観察されている.したがって,血管周囲
新生血管誘導物質として角膜に封入するペレットは,
神経は毛細血管へがる微・細動脈にも分布している.
hydron,sucralfate,bFGF(い ず れ もSigma−Aldrich
一方,血管新生は成人の正常な人体にみられる生理的
Japan)
,精 製 水 を 加 え て 氷 冷 下 で 混 合 し て 作 製 し た
な現象や,特定の疾患(腫瘍など)にみられる新しい血
bFGF溶液を用いて作製した.一辺1mm正方形を3等分
管が形成されるプロセスであるが,新生された血管は微
した方眼紙を作製し,この上にパラフィルムを乗せて固
小血管であるにもかかわらず神経支配があるかどうか明
定させた.顕微鏡下(OLYMPUS社)にメスの先端を軽
らかでない.血管周囲神経の分布については,種差,部
く押し当ててパラフィルムに外枠形成し,bFGF溶液を
乗せ,室温で放置して固め,メスの先端で立方体になる
*1岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 臨床薬学
*2摂南大学薬学部 薬物治療学
(〒700−8530 岡山市北区津島中1−1−1)
ように成形した.成形したペレットは室温で2時間以上
放置し,移植手術の直前に方眼紙に沿ってメスで9等分
して用いた.bFGFの濃度は100ng/pelletとなるように
― 55 ―
マウス角膜新生血管における血管周囲神経の分布と特性
調製した.
後,Zamboni液を全身灌流して固定を行い,眼球を摘出
して角膜を切り開き,標本とした.標本の洗浄後,正常
2)ペレット移植手術(マウス角膜ポケット法)
ヤギ血清中(GIBCOBL社)にて処置した後洗浄し,抗
5∼7週 齢 のBALB/c系 雄 性 マ ウ ス を 用 い,
PGP9.5ウサギ血清(NEO MARKERS社)および抗CD31
pentobarbital(大日本−住友製薬社)を腹腔内投与によ
ウサギ血清(SBS社)の処置を行った.その後,FITC標
り麻酔した.マウスの髭を切り取った後,トロピカミド,
識抗ウサギIgGヤギ血清,α−SMA標識抗マウスIgG血清
塩酸フェニレフリン(参天製薬社)を点眼して散瞳させ
(Sigma Aldrich Japan)を処置後封入し,標本の蛍光
た.次に顕微鏡下(OLYMPUS社)に,角膜中央部をメ
を共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察を行った.
スで1−2mm切開し,ピンセットを用いて角膜を押し
広げ る よ う に ポ ケ ットを作製した.このポケッ ト に
bFGF封入ペレットを挿入した後,レボフロキサシン水
【実験結果】
和物0.5%(参天製薬社)を点眼して抗菌処理を行った.
1)角膜リング状血管における血管周囲神経の分布
術後,0,3,5,7,10,14,17および21日目に麻酔
既存の血管である角膜リング状血管における血管周囲
下に眼球を摘出し,角膜の血管新生を観察した.
神経の分布を検討するため神経軸索マーカーのPGP 9.5
を用いた.また,血管平滑筋の指標としてα−SMAを用
3)血管新生の組織学的検討
い両者を二重免疫染色することで血管周囲神経の走行特
角膜にペレット挿入手術後0,3,5,7,10,14,
性を検討した.Fig.
1に見られるように外径20∼40μm
17および21日目にpentobarbital麻酔下に角膜における血
程度の角膜リング状血管(α−SMA免疫陽性血管)に近
管 の 伸 長 を 目 視 下 で 観 察 し,Cyber−shot 3.3 MEGA
接しながら併走しているPGP 9.5免疫陽性線維が観察さ
PIXELS(SONY社)にて角膜に誘導された新生血管を撮
れた.したがって,既存の血管である角膜リング状血管
影した.次に,解析ソフト(Hakarun)を用いて血管の
には,血管周囲神経の分布が確認された(Fig.
1).
伸長を測定し,血管新生量の定量を行った.
角膜リング状血管に分布する血管周囲神経の種類を検
討するため,4種類の抗体を用いて免疫染色を行った.
4)マウス角膜血管平滑筋および血管周囲神経の免疫組
織学的検討
血 管 収 縮 性 交 感 神 経 の 指 標 と し てNPYと 伝 達 物 質
noradrenalineの生合成酵素THの各抗体を用いた.Fig.
2
免疫組織学的検出として蛍光抗体法を用いた.マウス
をpentobarbital麻酔後,心臓脱血して致死させた後,
Zamboni液を全身灌流して固定を行い,マウス眼球を摘
出 し て,同 液 中 に48時 間 浸 潤 固 定 し た.眼 球 は
phosphate buffer salineで洗浄後,角膜のみを摘出して
切 り 開 き 標 本 と し た.標 本 の 洗 浄 後,正 常 ヤ ギ 血 清
(GIBCOBL社)で処置後,抗PGP9.5ウサギ血清(NEO
MARKERS社)
,抗NPYウサギ血清(PHOENIX社),抗
THウサギ血清(CHEMICON社)
,または抗CGRPウサギ
血清(Biogenesis社)にて4℃ で72時間の処置を行った.
その後,標本をfluorescein isothiocyanate(FITC)標識
抗 ウ サ ギIgGヤ ギ 血 清,α −smooth muscle actin(α −
SMA)標 識 抗 マ ウ スIgG血 清(Sigma−Aldrich Japan)
を処置後封入し,標本の蛍光を共焦点レーザー顕微鏡
(Confocal laser scanning microscopy;CLSM,Carl
Zeiss社)を用いて観察した.
5)マウス角膜における新生血管および血管周囲神経の
Fig.
1 Representative confocal micrographic image showing
免疫組織学的検討
免 疫 組 織 学 的 検 出 と し て 蛍 光 抗 体 法 を 用 い た.
Pentobarbital麻酔後,マウスを心臓脱血して致死させた
― 56 ―
α−smooth muscle actin(SMA)immunopositive vessels
(arrowheads)and protein gene product(PGP)9.5−
immunopositive nerve fibers(arrows)in mouse limbal
vessels. Scale bars indicate 50μm.
血管Vol.33 No.2 2010
に免疫染色画像を示す.Fig.
2Aに示すように,
α−SMA
血管(α−SMA免疫陽性血管)に併走する形で確認さ
免疫陽性血管(角膜リング状血管)に近接して併走する
れた.SP含有神経の分布はCGRP含有神経の分布よりも
NPY含有交感神経の存在が確認された.同様に,TH含
密であるが,血管と併走しない神経も多く観察された
有交感神経もα−SMA免疫陽性血管に近接して併走する
(Fig.
2D)
.
形で確認された(Fig.
2B).血管拡張性神経の指標とし
てCGRPとSPの各抗体を用いた免疫染色画像をFig.
2の
2)マウス角膜ポケット法における血管新生と血管周囲
神経分布
CとDに示す.Fig.
2Cに示すように,α−SMA免疫陽性
血管(角膜リング状血管)に併走するCGRP含有神経の
角膜血管新生の経日的変化
存在が確認された.同様に,SP含有神経も角膜リング状
マウス角膜にbFGF封入ペレットを挿入後,角膜にお
A
A
C
C
B
B
D
D
Fig.
2 Representative confocal micrographic images showing the distribution of neuropeptide Y(NPY)
(A),tyrosine hydroxylase
(TH)
(B),calcitonin gene-related peptide(CGRP)
(C)and substance P(SP)
(D)
−immunopositive fibers in α−smooth muscle
actin(SMA)
−immunopositive limbal vessels of mice. Arrows and arrowheads indicate immunopisitive fibers and α−SNA−
immunopositive vessels, respectively. Scale bars indicate 50μm.
― 57 ―
マウス角膜新生血管における血管周囲神経の分布と特性
ける新生血管の経時的変化をFig.
3に示した.ペレット
よび21日目に誘導された新生血管における血管周囲神経
挿入3日後,角膜リング状血管から新生血管がペレット
の分布を観察するためPGP9.5抗体とα−SMA抗体を用い
に向かって誘導されていることが確認された.さらに挿
両抗体による免疫陽性を二重免疫染色することで血管周
入5日後には新生血管の数が増加し,7日後にはリング
囲神経の走行特性を検討した.Fig.
4のC,D,Eに免疫
状血管の広範囲から新生血管が伸長している様子が目視
染色画像を示す.角膜へのbFGF封入ペレット挿入7日目
で観察され,新生血管量は最大となった.ペレット挿入
における免疫染色画像から,外径10∼20μmのα−SMA
14および21日後では,新生血管が長期にわたり維持され
免疫陽性新生血管が誘導されていることが確認された.
ていることが確認されたが,新生血管量は減少した.
しかし,PGP9.5免疫陽性線維は新生血管に並走しておら
ず,血管周囲神経と考えられる線維は観察されなかった.
3)新生血管の形態学的特性
さらに,bFGF封入ペレット挿入14および21日目におい
マウス角膜にbFGF封入ペレットを挿入し,7日目に
て新生血管とPGP9.5陽性線維の存在は確認された.しか
おける血管内皮細胞(CD31免疫陽性細胞)画像をFig.
し,PGP9.5陽性線維と新生血管が交差する部分は観察さ
4B
4A,血管平滑筋(α−SMA免疫陽性細胞)画像をFig.
れたが,血管周囲神経として血管に併走するような分布
に示した.これらの画像から,ペレット挿入後,既存の
は観察されなかった.
リング状血管以外に観察されない角膜に血管内皮細胞の
指標であるCD31免疫陽性細胞と血管平滑筋の指標であ
るα−SMA免疫陽性細胞が確認されたことから,マウス
【考 察】
角膜には新生血管が誘導されたことが確認された.誘導
本研究において,マウス角膜リング状血管の周囲に
された新生血管では内皮構造と平滑筋構造が確立してお
PGP9.5の免疫陽性を示す神経線維が存在するのが確認
り,血管としての機能を形成している可能性が示唆され
された.腸間膜動脈などの内臓血管において,血管周囲
た.
神経は血管を網目状に取り巻いていることが確認されて
いる1).さらに,当研究室の研究でマウスの脂肪組織微
4)角膜新生血管における血管周囲神経分布の経日的変化
小血管を観察した結果,外径5μm程度の微小血管にお
マウス角膜にbFGF封入ペレットを挿入して7,14お
いても,線維数は少なく分布密度は疎であったが,血管
Day 0
Day 3
Day 5
Day 7
Day 14
Day 21
Fig.
3
Representative images showing angiogenesis of mouse cornea on Day 0,3,5,7,14 and 21 after bFGF pellet
implantation. White circles indicate implanted pellet. Arrowheads and arrows show existing limbal vessels and neovessels
in mice cornea.
― 58 ―
血管Vol.33 No.2 2010
周囲神経が観察されている(未発表)
.本研究で観察した
神経としてNPY含有神経とTH含有神経の分布様式を観
外径20∼40μmの角膜リング状血管では,血管に近接す
察した.マウス角膜リング状血管におけるNPY含有神経
るように併走する神経分布が観察された.神経分布の特
については,わずかではあるが血管(α−SMA免疫陽性
徴としては,腸間膜動脈のように血管を網目状に取り巻
血管)に近接しながら分布している様子が観察された.
くような形ではなく,1本の線維が血管を取り囲むよう
また,TH含有神経に関してもNPY含有神経同様に血管
に分布しているのが特徴である.腸間膜動脈と異なり,
に近接し併走していることが確認された.NPY含有神経
角膜リング状血管は,角膜局所の血液供給に関与する血
の分布については,TH含有神経の分布に比べて少ない
管であり,全身血流の維持・調節には寄与しない.この
ことが観察されたが,これはTH含有神経が血管収縮神
ことから,全身血流の調節に関与する腸間膜動脈などの
経の主たる支配神経であり,血管緊張度調節に大きく寄
血管に比べ,角膜リング状血管は神経分布が疎であると
与しているためと思われる.NPYはnoradrenalineの作用
考えられるが,血管周囲神経による緊張度調節が存在す
を補助する物質と考えられているので,角膜リング状血
る可能性が示唆される.
管ではNPY含有神経の役割は小さいと考えられる.
神経ペプチドのNPYは交感神経節細胞で合成され,軸
CGRPは知覚神経の後根神経節で生合成され,軸索流
索 流 に よ っ て 交 感 神 経 終 末 に 運 ば れ,小 胞 体 内 で
で終末に運ばれて貯蔵される.SPは知覚神経の一種であ
3∼4)
.さ ら に,THは
るが,血管拡張性神経であるかどうかは確認されていな
noradrenaline産生の律速酵素である.本研究では,交感
い.マウス角膜リング状血管におけるCGRP含有神経に
noradrenalineと 共 存 し て い る
A; Day 7
CD31
B; Day 7
50 µm
C; Day 7
ǂ-SMA
Fig. 4
50 µm
D; Day 14
E; Day 21
Fig.
4 Representative confocal micrographic images showing the distribution of CD31 immunopositive endothelial cells(A;stars),
α−SMA immunopositive smooth muscle cells(B;arrowheads)and protein gene product(PGP)9.5−like immunopositive fibers
(C,D,E)in neovessels in mouse cornea on Day 7(A,B,C),14(D)and 21(E)after bFGF pellet implantation.Scale
bars indicate 50μm.
― 59 ―
マウス角膜新生血管における血管周囲神経の分布と特性
ついては,血管(α−SMA免疫陽性血管)に対して近接
ある.その機能を発揮するために,神経細胞は感覚器,
するように神経走行が確認された.また,SP含有神経に
効果器との間に複雑なネットワークを形成している.神
関してもCGRP神経と同様に血管に近接し併走して分布
経ネットワークは神経突起が伸長し,標的細胞へと神経
している様子が確認された.しかし,角膜中には血管と
突起が伸長した後,シナプスを形成していく過程を通り
併走しないSP含有神経線維が多く見られ,広範囲に分布
形成されていく.その中で,標的細胞に神経突起が伸長
していることが確認された.この結果は,角膜を支配し
していく過程での方向性の決定には,神経突起伸長阻害
ている三叉神経にSPが含有されており,知覚神経の痛覚
因子の発現が重要な役割を果たしている.現在,神経突
伝達に関与していると考えられる.交感神経とCGRP含
起伸長阻害因子としてコンドロイチン硫酸プロテオグリ
有神経の両神経は,抵抗血管において,相反的に作用し
カンやセマフォリン6)があげられるが,その中でも最も
て血管緊張度の調節に関与していることが知られてい
有力な阻害因子としてコンドロイチン硫酸プロテオグリ
5)
る .本研究より,既存の血管である角膜リング状血管
カンが知られている.コンドロイチン硫酸プロテオグリ
においても,血管収縮に関与する交感神経と血管拡張性
カンの神経突起伸長阻害作用に関しては,成熟ラットの
のCGRP含有神経による相反的支配が存在している可能
DRG neuronの接着ならびに神経突起再生を抑制すると
性が考えられる.以上の結果より,局所の血流調節に関
の報告がある.コンドロイチン硫酸プロテオグリカンは
わる角膜の既存の血管にも血管周囲神経は存在しており,
生物種を超えて特に軟骨に多く含まれるが,軟骨以外に
局所の血流調節に役割を果たしている可能性が示唆され
は骨,靭帯,脳,皮膚にも含有され,さらに角膜でも存
る.
在が確認されている.これらの知見から,本研究で新生
角膜ポケット法を用いてbFGF封入ペレットを角膜に
血管を誘導させた角膜にはコンドロイチン硫酸プロテオ
挿入することで血管新生が誘導されることが目視でも確
グリカンなどの神経突起伸長阻害作用を有する因子が存
認された.また,蛍光免疫染色画像から,誘導された新
在するため,神経伸長に関して阻害的な環境下であるこ
生血管には血管内皮細胞と血管平滑筋が分布しており,
とが考えられる.そのため,角膜で誘導された新生血管
角膜ポケット法で誘導された新生血管は,血管としての
に血管周囲神経が分布しなかった要因の一つとして,神
機能を有していると考えられる.また,bFGF封入後に
経突起伸長阻害因子が関与している可能性があるのでは
おける新生血管量は挿入後7日をピークに増加し,その
ないかと考えられる.
後減少するが21日目まで残存することが確認された.こ
以上,本研究から角膜リング状血管には,NPY,TH
れは成長因子の濃度が減少するにつれて,新生血管のア
の血管収縮性神経とCGRP,SPの血管拡張性神経が分布
ポトーシスが起こった可能性が考えられる.
していることが明らかとなったものの,bFGFによりで
マウス角膜にbFGF封入ペレットを挿入して誘導され
誘導された角膜標本では,経時的な観察においても,新
た新生血管における血管周囲神経の分布を検討した結果,
生血管への血管周囲神経の分布は認められなかった.こ
角膜にはPGP9.5免疫陽性線維は多数分布することが確
のことから,角膜リング状血管では血管の収縮・弛緩に
認されたが,既存のリング状血管で観察された血管に併
重要な役割を果たす血管周囲神経が分布しているが,本
走するような神経線維は観察されず,血管周囲神経と判
モデルにより派生した新生血管では,神経性調整が行わ
断される神経の分布は認められなかった.さらに,
bFGF
れていない可能性が示唆される.
封入ペレット挿入後21日目まで長期にわたって観察した
が,新生血管の誘導は確認されたものの,血管周囲神経
の分布は認められなかった.当研究室での新生血管にお
け る 血 管 周 囲 神 経 の 分 布 に 関 す る 研 究 に お い て,
【参考文献】
1) Hobara N.
,Goda M.
,KitamuraY.
,Takayama F.
,Kawasaki
H.:Innervation
Matrigel注入法によって誘導した新生血管における血管
and
functiobal
changes
in
mesenteric
perivascular calcitonin gene-related peptide−and neuropeptide
周囲神経は注入7∼14日目までは観察されないものの,
Y−containing nerves following topical phenol treatment.
21日目あたりから血管周囲神経が観察されるようになり,
Neuroscience.,141:1087−1099,2006
血管周囲神経は新生血管の成熟に伴って分布してくる可
能性が示唆されている(未発表)
.角膜における新生血管
2) Fleming BP.
:Innervation of the microcirculation J.
Reconstr.Microsurg.
,4:237−240,1988
には血管周囲神経と判断される神経線維は,長期にわ
たっても観察されないため,角膜に誘導された新生血管
3)Fried G,Terenius L,Brodin E,Efendic S,Dockray G,
は未熟である可能性が高い.
Fahrenkrug J,Goldstein M,Hokfelt T.:Neuropeptide Y,
神経系は生体においては情報の伝達処理を担う器官で
enkephalin
― 60 ―
and
noradrenaline
coxist
in
sympathetic
血管Vol.33 No.2 2010
neurons innervating the bovine spleen.Biochemical and
immunohistochemical evidence.Cell Tissue Res.
,243:495−
508,1986
4)Lundberg JM.:Pharmacology of cotransmission in the
autonomic nervous system:integrative aspects on amines,
neuropeptides,adenosine
triphosphate,amino
acids
and
nitric oxide.Pharmacol.Rev.
,48:113−178,1996
5)Kawasaki H.
,Takasaki K.
,Saitoh A.
,Goto K.
:Calcitonon
gene−related
peptide
acts
as
a
novel
vasodilator
neurotransmitter in mesenteric resistance vessels of the rat.
Nature,335:164−167,1988
6)Kumagai K.
,Hosotani N.
,Kikuchi K.
,Kimura T.
,Saji
I.:Xanthofulvin,a novel semaphorin inhibitor produced by
a strain of Penicillium.J Antibiot.
,56:610−616,2003
― 61 ―
マウス角膜新生血管における血管周囲神経の分布と特性
― 62 ―
血管Vol.33 No.2 2010
クリニカル 世界の研究室便り
土 屋 恭一郎
Columbia University in the City of New York
Department of Medicine,College of
Physicians and Surgeons of Columbia
University,New York,NY,USA.
2009年4月 よ り コ ロ ン ビ ア 大 学 医 学 部 のDomenico
Accili教授の下でポスドクとして研究生活を送らせて頂
いています.
医 学 部 の あ るHealth Science Campusは,華 や か な
ニューヨーク市中心部から地下鉄で30 分程離れたマン
ハッタン北東部に位置します.Accili 研究室は医学部の
建物とは道ひとつ隔てた研究棟(Russ Berrie Meical
Science Pavilion)の2階にあり,他にも複数の研究室と
糖尿病のクリニック(Naom Berrie Diabetes Center)
が含まれています.
Accili 研究室では,糖・脂質代謝異常におけるForkhead
写真:後列中央がAccili教授,前列左が筆者.
transcription factorsの病態生理学的役割を解明するこ
とが各プロジェクトの柱になっています.最近では代謝
学以外の分野にもプロジェクトの幅が広がり,他研究室
うな過密スケジュールにもかかわらず,週一度の各メン
との共同プロジェクトも増えています.現在,研究室に
バーとの一対一のディスカッションの時間をほぼ欠かさ
はポスドク7名,大学院生1名,テクニシャン3名が在
ず確保して下さいます.ディスカッションに限らず,一
籍しており,週1回のミーティングでは活発な討論が繰
日に一度は皆に“How’
s it going ?”と声を掛け,常に
り広げられます.毎回のように興味深いデータが示され,
我々とのコミュニケーションの機会を大切にされていま
感心しつつも自らを奮い立たせるための良い刺激になっ
す.我々が快適な毎日を送るための環境作りを考えてお
ています.夜も遅くまで働き,週末も欠かさず実験室に
られ,仕事のみならず時には我々の生活に至るまで配慮
足を運ぶメンバーも多く,お互いが良き仲間であると同
を頂くこともあります.その細やかな心配りには本当に
時にライバルである事を実感します.
頭の下がる思いです.
とはいえ,研究室の雰囲気は決して窮屈ではありませ
最後になりましたが,本留学において多大なるご支援
ん.メンバー同士は協力的で,自分の経験・知識を他の
とご協力を頂きました東京医科歯科大学の平田結喜緒教
プロジェクトでも生かせるような環境が整っています.
授,群馬大学の北村忠弘教授,並びに上原記念生命科学
研究室間の敷居も低く,より専門的な知識や実験技術が
財団に心より感謝申し上げます.
必要になっても協力や助言を求めることが可能です.渡
米1年経っても一向に英語が上達しない私ですが,この
ような快適な環境のもとで他のメンバーに助けられつつ
仕事を続けています.
Accili教授はイタリアのご出身で,1999年よりコロン
ビア大学医学部の教授として研究室を構えています.オ
フィスには他の研究室のメンバーやスタッフも頻繁に訪
れ,外部からの来客や出張も驚く程の多さです.そのよ
*コロンビア大学医学部
(1150 St.Nicholas Avenue,Russ Berrie Medical Science
Pavilion Room #237,New York,NY 10032)
― 63 ―
Columbia University in the City of New York
― 64 ―
第39回 日本心脈管作動物質学会 評議員会議事録
日時:平成22年2月5日(金)
場所:愛知県産業労働センター(ウインクあいち)
議長:伊藤 正明(第39回年会長)
1.新評議員報告、承認
『基礎系』
・土屋浩一郎(徳島大学薬学部医薬品機能解析学分野 教授)
・徳留 健(国立循環器病センター研究所 高血圧研究室 室長)
・平野 勝也(九州大学大学院附属心臓血管研究施設分子細胞情報 准教授)
・蒔田 直昌(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻生命科学講座 教授)
・山本 隆一(九州保健福祉大学薬学部薬理学第一講座 教授)
・新藤 隆行(信州大学院 臓器発生制御医学講座発生再生医学分野 教授)
『臨床系』
・池田 宇一(信州大学大学院循環器病態学分野 教授)
・筒井 裕之(北海道大学附属病院循環器内科 教授)
・前村 浩二(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科循環病態制御内科学 教授)
・渡邉 裕司(浜松医科大学臨床薬理学 教授)
・小室 一成(大阪大学大学院循環器内科学 教授)
2.平成21年度会計報告、承認
3.平成21年度監査報告、承認
4.次年度年会長 報告
会長:西山 成(香川大学医学部薬理学 教授)
会期:平成23年2月4日(金)∼5日(土)
会場:かがわ国際会議場・サンポートホール高松
香川県高松市サンポート2番1号
― 65 ―
第39回 日本心脈管作動物質学会研究奨励賞受賞者
(五十音順)
木下 秀之(京都大学大学院医学研究科内分泌代謝内科)
ナトリウム利尿ペプチド-GC-Aシグナルの抗心肥大作用におけるTRPC6阻害の意義
木村 郁夫(京都大学大学院薬学研究科薬理ゲノミクス分野)
短鎖脂肪酸受容体の交感神経を介した循環器系機能へ及ぼす影響
黒柳 淳哉(三重大学大学院医学系研究科薬理ゲノミクス分野)
新しいヒト癌移植モデルにおける腫瘍血管新生の薬理ゲノミクス研究
徳留 健(国立循環器病センター研究所高血圧研究室)
内因性ANP・BNPによる血管新生、血管恒常性維持機構
人見 浩史(香川大学医学部薬理学)
プロレニンの血管平滑筋細胞における細胞内情報伝達系の解明
森谷 純治(千葉大学大学院医学研究院循環病態医科学)
虚血後血管新生における血管制御分子Semaphorin3Eの役割とその治療応用への可能性
― 66 ―
編 集 後 記
世界で最初に発見されたホルモンはアドレナリンである.1900年,高峰譲吉,上中啓三によっ
てウシ副腎から強力な止血作用を持つ物質として抽出され,「アドレナリン」と命名された.E.
Stahlingがセクレチンを発見し,
「ホルモン」という名称が提唱される5年前である.まさにアド
レナリンは日本人科学者により発見された最初の「心脈管作動物質」のホルモンといえる.しか
し国内での医薬品の正式名としては長く「アドレナリン」ではなく「エピネフリン」と日本薬局
方で記載されてきた.また国際誌(特に米国)への投稿でも「アドレナリン」と記載すると「エ
ピネフリン」に訂正されてしまう.これは米生物化学会の大御所で米国薬理学会の創始者である
J. Ebelが1898年「エピネフリン」を発見したのが最初であるからとするものである.しかしEbel
の単離したエピネフリンの構造は間違いで,高峰・上中の単離したアドレナリンの構造が正し
かった.菅野富夫先生らの働きかけで2006年には「アドレナリン」の名は日本薬局方にも復権し
た.高峰は科学者であると同時に企業人でもあり,アドレナリンを含めて数々の薬品の特許をと
り巨万の富を築いた.日本でも三共製薬の初代社長でもある.一般大衆薬として知られる「○○
胃腸薬」には彼の発見した消化酵素「タカジアスターゼ」も含まれる.100年以上前に国際的に
活躍したバイオ産業の祖とも言える人物である.最近,医学部の学生や院生に聞くと「高峰譲吉
の名前も知らない」
,あるいは「アドレナリンは知っているが彼が発見した事は知らない」
,との
答えが返ってくる.世界に誇る日本人科学者の先駆者として,また国際的企業人として,科学界
だけでなくもっと広く一般社会で高く評価されても良いのではなかろうか.
(YH)
― 67 ―
お知らせ
千里ライフサイエンス技術講習会 第53回
「ポストトランスクリプトーム時代の新たな戦略」
日 時:平成22年7月16日(金)9:00∼17:00
場 所:千里ライフサイエンスセンタービル6階 千里ルーム
(地下鉄御堂筋線千里中央駅北口すぐ)
趣 旨:ヒトの全ゲノム塩基配列のみでなく、全mRNAの塩基配列も決定されたことで、ポ
ストゲノム時代と言われてから10年近くも過ぎてしまいました。その間に蓄積され
てきた膨大なDNAマイクロアレイデータもインターネットで自在に検索できるに
ようになっています。一度やってみれば誰でもできるといって過言でないほど扱い
やすい検索ソフトウエアが販売されていますが、誰にも教わらずに解説書を読みな
がら検索技術をマスターするのは容易ではありません。今回は様々なソフトウエア
のうち、世界中で頻度高く使われている検索目的の異なる3つのソフトウエアを選
び、その実際的な運用のための技術講習会を企画致しました。研究対象を問わず、
データの解析方法や医学・生物学的な解釈まで含めて、原理からデータ解析にいた
るまで、実戦的な技術の伝授を目指します。
コーディネーター:野島 博 大阪大学微生物病研究所 教授(兼)感染症DNAチップ開発センター長
プログラム
技術解説(午前)
9:00∼12:00
9:00
野島 博(阪大微研) :ポストトランスクリプトーム時代の現状
9:40
田部 暁郎(Subio)
:公共オミクスデータベースの活用
10:30
田中 英夫(TDB)
:IPAによるバイオロジカルナレッジの活用
11:20
黒田 康弘(セレスBS) :NextBio検索エンジンの拓く可能性
昼食:12:00∼13:30
技術実習(午後)
:13:30∼17:00(13:30より70分間ずつの実習を3つ行います)
実習1:田部 暁郎(Subio)
:Subioソフトウエアの操作実習
実習2:田中 英夫(TDB)
:IPAソフトウエアの操作実習
実習3:黒田 康弘(セレスBS) :NextBio検索エンジンの操作実習
参加者持参のノートパソコンを用いてインターネット接続環境下で実施
講 師 野島 博 (大阪大学微生物病研究所 DNAチップ開発センター長)
田部 暁郎 (株式会社Subio)
田中 英夫 (トミーデジタルバイオロジー株式会社)
黒田 康弘 (セレスバイオサイエンス株式会社)
定 員:50名(トランスクリプトーム解析を行っている、あるいは興味をお持ちの方)
持参のコンピュータが動作環境を満たしているかどうか事前に各社より確認のメー
ルが配信されます。
― 68 ―
参 加 費:5,000円
申 込 方 法:氏名、勤務先、所属、役職名、〒、所在地、電話、FAX番号を明記の上、E-mail
で下記宛お申込みください。
事務局より受付の通知をお送りいたしますので、そこに記載した振込先口座に参
加費をお振込みください。
入金を確認後、通常2週間以内に領収書兼参加証をお届けいたします。
申 込 締 切:定員になり次第締め切ります。
主 催:財団法人千里ライフサイエンス振興財団
協 賛:トミーデジタルバイオロジー株式会社
セレスバイオサイエンス株式会社
株式会社Subio
申 込 先:財団法人千里ライフサイエンス振興財団 技術講習会G53係
〒560-0082
大阪府豊中市新千里東町1−4−2
千里ライフサイエンスセンタービル20階
TEL 06-6873-2001 FAX 06-6873-2002
E-mail: [email protected] URL http://www.senri-life.or.jp
― 69 ―
日本心脈管作動物質学会会則
第11条 会長は理事会の推薦により,評議員会の議決を
第1章 総 則
第1条 本 会 は 日 本 心 脈 管 作 動 物 質 学 会(Japanese
経て選ばれ,総会の承認を得るものとする.会
長は総会を主宰する.
Society for Circulation Research)と称する.
第2条 本会の事務局は,三重県津市江戸橋2−174,三
第12条 理事会は会長を補佐して会務を執行し,庶務,
会計その他の業務を分担する.理事長は理事会
重大学医学部薬理学教室内に置く.
の互選により選出され,本会の運営を統括する.
第13条 会計監事は理事より互選により選出し,会計監
第2章 目的および事業
第3条 本会は心脈管作動物質に関する研究の発展を図
り,会員相互の連絡および関連機関との連絡を
査を行う.
第14条 本会には,評議員をおく.評議員は正会員中よ
保ち,広く知識の交流を求めることを持って目
り選出し,理事会の推薦を経て評議員会で議決
的とする.
し,総会の承認を得るものとする.理事長がこ
第4条 本会は前条の目的を達成するために次の事業を
れを委嘱する.評議員は評議員会を組織し,本
行う.
会に関する重要事項を審議する.
第15条 編集委員は機関誌“血管”
(Japanese Journal
1. 学術講演会,学会等の開催
of Circulation Research)を編集し,本会の学
2. 会誌および図書の発行
3. 研究,調査および教育
術活動に関する連絡を行う.なお,編集に関す
4. 関係学術団体との連絡および調整
る事項は,事務局にて決定する.
第16条 役員の任期は会長は1年,理事長,理事,会計
5. 心脈管作動物質に関する国際交流
監事および編集委員は2年とする.ただし再任
6. その他本会の目的達成に必要な事業
は妨げない.
第17条 役員は次の事項に該当するときはその資格を
第3章 会 員
第5条 本会会員は本会目的達成に協力するもので次の
失う.
通りとする.
1.定期評議員会時に満65歳を過ぎていた場合
1.正会員
2.3年間連続で,役員会等を正当な理由なく
2.賛助会員
して欠席した場合
3.名誉会員
第6条 正会員の会費は年額4,000円とする.
第5章 会 議
第7条 賛助会員は本会の目的に賛同し,かつ事業を維
第18条 理事会は少なくとも年1回理事長が招集し,議
持するための会費年額100,000円(一口)以上を
長は理事長がこれに当たる.
第19条 総会および評議員会は毎年1回これを開き,次
納める団体または個人とする.
第8条 名誉会員は理事会で推薦し,評議員会の議決を
の議事を行う.
経て総会で承認する.名誉会員は会費免除とす
1.会務の報告
る.
2.会則の変更
第9条 本会に入会を希望するものは,所定の手続きを
経て,会費を添えて本会事務局に申し込むもの
3.その他必要と認める事項
第20条 臨時の総会,評議員会は理事会の議決があった
とする.原則として2年間会費を滞納したもの
時これを開く.
は退会とみなす.
第6章 会 計
第4章 役員および評議員
第21条 本会の事業年度は毎年1月1日より始まり,12
第10条 本会は次の役員を置く.
1.会長 1名
月31日に終わる.
第22条 本会の会計は会費,各種補助金及び寄付金を
2.理事 若干名(うち理事長1名)
もって充てる.
3.会計監事 若干名
― 70 ―
日本心脈管作動物質学会賛助会員
アクテリオンファーマシューティカルズジャパン株式会社
デザイナーフーズ株式会社
旭化成ファーマ株式会社
デリカフーズ株式会社
アステラス製薬株式会社
日本新薬株式会社
エーザイ株式会社
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
第一三共株式会社
バイエル薬品株式会社
武田薬品工業株式会社
株式会社ポッカコーポレーション
田辺三菱製薬株式会社
《50音順》
― 71 ―
日本心脈管作動物質学会役員
名誉会員
毛利喜久男
中川雅夫
山田和生
田 中 利 男(理事長)
岩尾 洋
平田結喜緒
下川宏明
辻本豪三
寒川賢治
第40回会長
西山 成
理 事
監 事
評 議 員
〈基礎〉 〈臨床〉 平田恭信
玉置俊晃
安藤譲二
萩原正敏
飯野正光
伊藤猛雄
蒔田 直昌
松村靖夫
宮田篤郎
中田徹男
西村有平
岡村富夫
末 松 誠
高倉伸幸
谷口隆之
筒井正人
柳澤輝行
長谷部直幸
福 田 昇
平田恭信
池田宇一
伊 藤 宏
岸 幸 夫
児玉逸雄
前村浩二
室原豊明
成瀬光栄
大内尉義
佐々木 享
渋谷正人
下川宏明
筒井裕之
渡邉裕司
浅野正久
服部裕一
今泉祐治
伊東祐之
鎌田勝雄
南野直人
元 村 成
中山貢一
西尾眞友
新藤隆行
菅 原 明
多久和陽
徳 留 健
上田陽一
吉栖正典
服部良之
檜垣實男
平田結喜緒
今西政仁
伊藤正明
北村和雄
河野雅和
丸山一男
永井良三
野出孝一
大柳光正
笹栗俊之
七里眞義
下澤達雄
矢田豊隆
朝 山 純
平野 勝也
石井邦明
岩本隆宏
寒川賢治
光山勝慶
村松郁延
成 宮 周
西 山 成
曽我部正博
鈴 木 光
玉置俊晃
土屋浩一郎
牛首文隆
古川安之
五十嵐淳介
石川智彦
岩 尾 洋
川崎博己
三輪聡一
中木敏夫
西田育弘
大橋俊夫
佐藤靖史
高井真司
田中利男
辻本豪三
山本隆一
藤 田 東 幸
廣岡良
石橋敏
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倉林正
上月正
松崎益
永田博
錦見俊
楽木宏
島本和
島田和
高橋克
吉村道
藤田敏郎
平田健一
市来俊弘
石光俊彦
伊藤隆之
小林直彦
小室一成
三浦総一郎
中尾一和
小川久雄
佐田政隆
澤田昌平
下門顕太郎
武田和夫
吉栖正生
(ABC順)
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隆
幸
嘉
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博
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司
雄
実
明
幸
仁
博
事 務 局
〒514-8507 三重県津市江戸橋2−174
三重大学大学院医学系研究科薬理ゲノミクス分野内
TEL 059−231−5411, FAX 059−232−1765
― 72 ―
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横山 育三
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川 博己
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日本心脈管作動物質学会誌
血管 第33巻2号
2010年7月23日発行
発行人 田中利男
三重大学大学院医学系研究科
発行所 日本心脈管作動物質学会事務局
〒514-8507 三重県津市江戸橋2−174
三重大学大学院医学系研究科
薬理ゲノミクス分野内
TEL 059−231−5411
FAX 059−232−1765
http://jscr21.medic.mie-u.ac.jp/
薬理ゲノミクス分野
印刷所 合資会社 黒川印刷
〒514-0008 三重県津市上浜町2−11
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VOL33NO.2/2010
日本心脈管作動物質学会
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総 編 集 長 平 田 結喜緒(東京医科歯科大学大学院分子内分泌内科学)
ベ ー シ ッ ク 編 集 長 岩 尾 洋(大阪市立大学大学院医学研究科分子病態薬理学)
インフォマティクス編集長 田 中 利 男(三重大学大学院医学系研究科薬理ゲノミクス)
ゲ ノ ミ ク ス 編 集 長 辻 本 豪 三(京都大学大学院薬学研究科ゲノム創薬科学)
ク リ ニ カ ル 編 集 長 伊 藤 正 明(三重大学大学院循環器内科学)
ISSN 0911-4637