トップインタビュー

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リード
新規分野で確かな実績、中計最終年度のラストスパートへ
株主・投資家の皆さまには、平素より格別のご支援を賜り、厚く御礼申し上げま
す。
2013年度は、鉄道ビジネスや海外での“地産地消”といった、当社が新たに取り組
んできた分野で成果が見られる年となってきました。足元の業績も堅調に推移し
ており、特にアジア・パシフィック地域での売上が大きな伸びを示しています。
2014年度はいよいよ、中期6カ年経営基本計画(2010年3月期∼2015年3月期)の
最終年度となります。中期経営計画のビジョンである「地域に密着した5つの企業
の連合体」を確かなものにしつつ、当社の企業哲学「機器ではなく、音を買ってい
ただく」に沿った高度な音と映像のソリューション提案を、より多くの方にお届
けできればと思います。
業績について
国内公共関連や東南アジア向けが順調
――2013年度のここまでの業績は?
国内が堅調なほか、海外でもアジア・パシフィック地域が大きく伸びています。
国内では経済状況が上向き、為替も円安となる中、公共投資にまつわる電気設備需
要などに好況感が一気に出てきています。民間需要でも、BGM関連やアナウンス
用途など商業施設の非常用業務用放送設備が順調です。ただ、国内売上の増加は輸
入増にもつながるため、円安に伴って仕入原価は厳しくなっています。
海外では、アジア・パシフィック地域で売上高が35.9%の伸び(2013年3月期 第3
四半期時点)となっています。インドネシアでの売上が、モスク(礼拝堂)向け商
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品などを主体に非常に好調だったほか、ベトナムでも空港用放送設備などの大型
案件が業績をけん引しました。
一方、中国・東アジア地域では、売上は伸びていますが、以前ほどの勢いはない状
況です。ただ、ここに来て、高速鉄道整備が復活の兆しを見せ、高速道路の整備も
進んでいるので、鉄道施設向けの放送設備や高速道路の警告放送設備が今後のけ
ん引力になってくれればと思います。
アメリカ地域では、鉄道車両向けの売上が増加。欧州・ロシア地域は国によってま
ちまちで、市場経済的な理由から伸び悩んでいるところもありますが、フランスで
の売上が、電気設備需要を中心に大きく伸びています。
海外市場の動向
ワシントン地下鉄で、電光表示器も手がける
――海外で、鉄道関連の事業が伸びているとか。
お陰さまでニューヨーク市地下鉄や、つい最近ではワシントン地下鉄の車両向け
放送設備の案件を獲得、納入を始めることができました。このほか、インドのバン
ガロールやデリーの地下鉄も手がけています。海外における鉄道関連ビジネスの
伸び率は、2015年度には2013年度比で3倍近くになる見通しです。
特にワシントン地下鉄については、従前から得意としてきた放送設備や防犯カメ
ラに加え、駅名などを案内表示する電光表示器も納めています。納品のニュース
は、多くの日本のテレビ局でも全国ネットで取り上げられ、大変嬉しく思っていま
す。
――一方、アジアでは現地開発の商品が軌道に乗りつつある。
先ほど触れたインドネシアではモスク向け商品を始め、売上は大きな伸びを見せ
ました。現地に工場があるという条件を活かし、開発、生産、販売までを一貫して
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現地で手掛ける“ 地産地消”の好例です。アジアの中でもインドネシアでは現在、自
動車産業などの成長を受けて個人所得も特に伸びています。成長に伴って拡大し
たニーズを、上手く取り込むことができました。
お隣のマレーシアでも、地域商品として開発した商業施設用のマイクロホンやア
ンプが好調です。2013年末にはベトナムにも新たに販売拠点を設けて現地にある
工場との連携を進めており、今後の展開が楽しみです。
国内市場の動向
防犯カメラや防災関連で、先進の製品を投入
――国内では、高機能な防犯カメラに注目が集まっていると聞くが。
新発売した屋外ドームカメラ一体型レコーダー
「G-R011-1」は、128GB のメモリーと無線LAN を
内蔵。電源だけあれば簡単に設置が可能で、セキュ
リティ対策された無線LAN 経由で、いつでも手軽に
映像をパソコンにダウンロードすることができま
す。配線の敷設やメンテナンスに掛かるコストが不
要となるため、商店街の街頭防犯カメラや屋外駐車
場の監視カメラなどに最適です。
現在、防犯カメラの画質はハイビジョンレベルにま
で上がり、映っている人の年齢、性別や表情までも
はっきり捉えられるほか、どのような動きをしてい
たかの追跡もできるようになりました。防犯関連の
ニーズに加え、店のどこで立ち止まり、どの商品を手に取ったかなどを分析する
マーケティングニーズも急速に高まっており、当社も、ニーズに応える様々なソ
リューションを市場にご提案しているところです。
カメラ関連のマーケットはどんどん拡がっています。しっかりと防犯や防災の分
野に軸足を置きながらも、お客さまにアイデアをいただき新たな商品展開を進め
ます。
――防災関連はどうか?
クリアな音をより遠くまで飛ばせるホーンアレイスピーカーの小型版を開発しま
した。
特長は、ビルの影になる場所にも置けるなど、あまり設置場所にしばられないこ
と。ホーンアレイスピーカーは出力が大きい代わりにサイズも大きく、堅牢な設置
場所を必要としますが、これなら補助用途にも使え、分散して配置することもでき
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ます。そのため、高層建築物の多い都市部の自治体からも引き合いをいただいてい
ます。
ホーンアレイスピーカー
新たな取り組み
①グローバル情報システム
部品や材料をグローバルレベルで一括管理
――グローバル展開の中、情報システムの刷新に取り組んでいるとか。
当社では現在、世界それぞれの地域に密着したビジネスモデルで売上を伸ばすこ
とを、中期経営計画の骨子としています。地域に合わせた商品の投入で販売を加速
するため、現地での企画開発を進めてきましたが、情報システムが各社各様であ
り、効率面やスピード面に課題がありました。
例えば、部品購入。各地域の工場が同じ部品をバラバラに買っていれば一括購入よ
り高く付きますし、管理方式が違えば全体把握に時間がかかります。これらを一括
管理できれば、在庫の部品点数が削減でき、在庫情報や入手可能期間の情報も検索
ひとつで分かるようになるため、開発の効率が大きく向上します。
他にもさまざまな情報システムの統合化を進めるべく「グローバル・マネジメン
ト・システム(GMS)」の構築に2年前から着手し、2013年11月に始動しました。
このGMSを整備することで、グループ経営の強化とスピードアップに繋げていき
ます。
②音声配信事業
ソフト・サービス分野へも進出
――これまでに無い事業分野にも進出し始めた。
シナノケンシ株式会社から譲り受けた音源配信事業について、2013年4月に専門
部署を新たに立ち上げ、音源配信事業として事業化しました。ハード(機器)だけ
でなくコンテンツを組み合わせ、商業施設用のBGMやアナウンスを、広域IP網な
どネットワーク経由でお客さまにお届けしていきます。
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月額契約のサービスを通じ毎月安定した収益を得られることが、この事業の最大
の魅力です。今後、コンテンツを随時拡張し、学校の校内放送やショッピングスト
アの音声広告なども手掛けられればと思います。
まずは事業取得以前からのお客さまをベースに、商業施設や銀行など、当社の機器
をお買い上げいただいているお客さまにご提案を展開する方針です。
創業80周年
「TOA とは、こういう会社」と、より広く知っていただきたい
――9月に創業80周年を迎える。
“音”という一つの切り口で1934年から事業に取り組み、こんなにも長い間、株主
さま、ユーザーの皆さま、お取引先さま、従業員など、数多くの方々の支えでここ
まで来られました。2014年で80年という節目を迎えるにあたり、全てのステーク
ホルダーの皆さまに、本当にありがとうございますとお礼を申し上げたい。
そして、これからももっと多くの方に「TOA とは、こういう会社なんですよ」と
いうことを、より広く知っていただければ良いな、と思っています。1,000株から
100株への単元変更を実施したのも、その一環です。当社株の流動性を高め、もっ
と手軽に投資していただけるようにしました。より多くの方々に、当社の株主に
なっていただければと思います。
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