配布資料(PDF - 押出成形解析~HASLホームページ

NAPLESによる溶融物性予測と
成形加工の多階層計算
京大化研 増渕雄一
HASL 谷藤眞一郎
内容
• 材料設計とプロセス設計の接続
• NAPLES
• 多階層計算
材料が変わると成形性が変わる
例:同じPPでもブロー成形できるものと,できないものがある
ブローできる方は
分岐構造を持たせてある
材料の分子構造から成形性を予測できるか?
(材料設計とプロセス設計は接続可能か?)
材料設計
プロセス設計
道具:分子シミュレーション
入力:分子構造
出力:材料物性
道具:成形加工CAE
入力:材料物性
出力:樹脂流動など
ここがつながれば,
分子構造から成形性を
予測可能
4
鍵となる物性は何か
分子構造
加工性
レオロジー(溶融物性)
山形大学 杉本,小山
5
レオロジーを介した
材料設計とプロセス設計の接続
ここが計算できれば
(計算だけで)接続できる
流動物性
CAE
物性計測
材料設計
成形加工
内容
• 材料設計とプロセス設計の接続
– 成形性は分子構造によって大きく変わる
– 分子構造からレオロジーが予測出来れば
材料設計とプロセス設計が接続可能になる
• NAPLES
• 多階層計算
予測したい流動物性:粘弾性
Storage modulus (Pa)
からみあった高分子は非常に長時間にわたる粘弾性緩和を示す
固体的
緩和時間
106
104
分子量小
分子量大
102
10-6
10-4
10-2 100
102
104
Frequency (Hz)
液体
長時間
短時間
通常の分子シムではレオロジーは計算不可能
ガラス領域
転移領域
ゴム領域
流動領域
井上,尾崎
ここを調べたい
分子量に敏感,一次構造に鈍感
通常の分子シムの計算域
通常の分子シムの計算域
一次構造に敏感,分子量に鈍感
分子動力学法によるPSの引っ張り
(計算可能域~10-10sec << 物性が知りたい時間域)
宮崎,東川,増渕(2006) PPS-22
通常の分子シムでは,ほしい流動物性を予測するのは
計算時間上不可能
類似研究: Lyulin et al, Macromolecules 2004(37) 8785-8793
10
ソリューション:
NAPLES(高分子専用高速分子シム)
10分で計算可能
(5万倍高速化)
106
高速計算の実現
緩和弾性率 (Pa)
分子量10万のPSの緩和弾性率
NAPLESでの計算
105
計算に1年を要する
104
0.0001
従来手法での計算
0.001
0.01
周波数(Hz)
0.1
1
NAPLESの理論的背景
構造粗視化+ダイナミクス粗視化
=Primitive chain network model
管模型
多体への拡張
Masubuchi JCP 2001
構造粗視化と同様に
部分鎖の局所平衡を仮定
+
管模型と同様に
主鎖に沿った運動を仮定
13
運動方程式
からみあい点の運動方程式
n0
&
2ζR = 3kT 2
a
ri
∑ n − 2n0∇µ + f
i
熱揺動力
摩擦
部分鎖張力
浸透流
分子の滑り運動の方程式
3kTn0  ri +1 ri 
ζ = 2 
−  − n0∇µ + f
ρ
a  ni +1 ni 
n&
14
分子量が違う場合(PS)
PS二様分布(長い分子と短い分子の混合)
PS Mw 294 kDa/83kDa, 100, 60, 40, 20, 10, 0 wt %, Masubuchi 2008
16
櫛形分岐ポリイソプレンの
大変形応力緩和
10
10
10
10
6
10
G(t, γ) (Pa)
G' G" (Pa)
10
5
4
3
2
4
2
10
-5
10
-3
10
-1
ω (rad/sec)
Ma=10.2k, Mb=85.1, #b=5
5
4
2
10
10
6
4
10
-4
10
-2
10
0
Time (sec)
Exp. Data by Kirkwood et al 2009
Pom-Pom 分岐ポリスチレンメルトの
伸張粘度
G* [Pa]
10
10
10
10
10
6
10
10
5
10
η+ [Pa s]
10
4
3
10
2
10
1
10
-6
10
10
-4
-2
10
10
0
10
2
w [sec-1]
0.001
0.0003
0.003
9
0.01
0.03
0.0001
0.1
8
7
6
10
0
10
2
4
10
Time [sec]
Ma=25k,
Mb=170k,
q=3
Exp. Data by Nielsen et al, 2009
レオロジーを介した
材料設計とプロセス設計の接続
NAPLESでつながった!
流動物性
CAE
物性計測
材料設計
成形加工
内容
• 材料設計とプロセス設計の接続
– 成形性は分子構造によって大きく変わる
– 分子構造から溶融物性が予測出来れば
材料設計とプロセス設計が接続可能になる
• NAPLES
–
–
–
–
溶融物性は長時間物性:通常の分子シムでは不可
ソリューション:高分子専用高速分子シムNAPLES
種々の高分子の溶融物性を予測可能
NAPLESによって材料設計とプロセス設計を接続できる
• 多階層計算
多階層計算(NAPLES+CAE)による
分子構造からの加工性解析
流動物性
分子構造
加工性
分子構造:直鎖と分岐鎖を比較
せん断粘度
法線応力差
せん断粘度(フローカーブ),線形粘弾性はほぼ同じで,
せん断下の法線応力差,一軸伸張粘度が異なる材料を比較
多階層シミュレーションの実施例:
ダイスゥエルにおける分岐構造の効果
出力/入力
出力
入力
分子量
スゥエル比
NAPLES
1倍
伸張粘度
緩和弾性率
法線応力
フローカーブ
熱流動場計算
2.5倍
スゥエ
ル比
多階層シミュレーションの実施例2:
成形品のそりに対する分子量の効果
出力
出力/入力
入力
分子量
粘度
緩和弾性率
NAPLES
CAE
そり
分子量と”そり”の関係を調べる
T=2mm
198
mm
40
(a)
平板モデル
Saito et al, J. App. Polym. Sci. 2012
mm
(b)
小分子量
(c)
大分子量
24
多階層シミュレーションの実施例2:
ダイスゥエルにおける分子量の効果
出力/入力
出力
粘度
緩和弾性率
スゥエ
ル比
入力
分子量
NAPLES
CAE
分子量大
分子量小
まとめ
• 材料設計とプロセス設計の接続
– 成形性は分子構造によって大きく変わる
– 分子構造から溶融物性が予測出来れば
材料設計とプロセス設計が接続可能になる
• NAPLES
–
–
–
–
溶融物性は長時間物性:通常の分子シムでは不可
ソリューション:高分子専用高速分子シムNAPLES
種々の高分子の溶融物性を予測可能
NAPLESによって材料設計とプロセス設計を接続できる
• 多階層計算
– 分子構造が成形性に及ぼす影響の解析が可能