第7章 高電圧の発生と計測 7.1 高電圧の発生 7.1.1 直流高電圧 (a) 整流回路 半波整流回路 全波整流回路 + (平滑回路) ・時定数 Rc 充電回路(充電抵抗Rc) 放電回路(負荷抵抗RL) ・ダイオードの耐電圧> Rc (b) 倍電圧整流回路 ・アースの位置(コンデンサ間)が重要 ・出力電圧:2倍 (c) コッククロフト・ウォルトン回路 ・多段縦続整流回路(要:交流) ・粒子加速に利用(ノーベル物理学賞) ・ブラウン管,X線の生成装置,コピー機, オシロスコープ等で利用 ダイオードの耐電圧>2E (d) ファン・デ・グラフ発電機 ・放電電極①でコロナ放電発生 → 絶縁物ベルトで電荷を運搬 ② ① ・集電電極で金属球へ電荷移動 ・放電電極②で逆極性電荷をベルトに付与(往復とも正電荷を蓄積) ・直流高電圧~空気の絶縁破壊まで(絶縁性気体中では107~108 V) 7.1.2 交流高電圧 (a) 変圧器(変成器) ・電圧増幅率: 巻線数比 ・試験用(高電圧)変圧器: (巻き方の工夫) ・100~3kV → ~千数百kV,容量:約1kVA/10kV ・電圧↑ 絶縁距離↑ ・高電圧・大電流は不適 (高電圧:2次側巻数↑(導線径↓),充電電流↑,短絡電流↑) ・500kV以上の場合は縦続接続 (b) 共振現象を利用する方法 ・1次側の供給電圧周波数: f ・電源からの供給電力≒ の5%程度 ・破壊時:共振条件の破れ→ アーク放電の移行無し ケーブル(C:大)の耐電圧試験 ・負荷状態により共振条件変化(不安定) 部分放電,漏れ電流等には不向き(汚損碍子等) 7.1.3 インパルス電圧 インパルス電圧の発生(電力設備の高電圧試験,他の応用) 電圧波形の表し方:( / ) ・雷インパルス電圧(雷撃を模擬) 標準雷インパルス電圧:(1.2/50)µs ・開閉インパルス電圧(高電圧機器の開閉時の異常電圧を模擬) 標準開閉インパルス電圧:(250/2500)µs 7.2 高電圧・大電流の計測 7.2.1 高電圧の計測 (a) 抵抗分圧器とオシロスコープを用いる方法 V ・直流電圧計測 ・交流電圧計測 → 要コロナ放電防止(シールド等) R1 R2 Vm R2 ・インパルス電圧(高周波成分) ・無誘導巻抵抗 ・インピーダンス整合(高周波同軸ケーブル) ・信号ケーブル,ノーズ用ケーブル→ Vs-Vn (差動計測) 分圧比: Vm 1 R2 R5' ρ V n R1 R2 R3 R5' R1 R2 R5' R5 R6 , n R5 R6 (b) 容量分圧器 ・分圧比は周波数に無関係 ・高調波の影響が少ない ・測定器入力インピーダンス → 波高値,実効値の測定 ・要シールド電極 V (c) 計器用変圧器 ・コンデンサ形計器用変圧器 ・容量分圧した後→インダクタンス+変圧器 2 ・共振条件下( L(C1 C2 ) 1 )で測定器のZに無関係 →入力インピーダンスの小さい測定器利用可能 V V ・ポッケルス効果(位相変化) ・電磁ノイズの影響:少 ・広周波数レンジ:DC~数GHz ・小型化(異物挿入) (d) コンデンサの充電電流から求める方法 ・コンデンサの充電電流( i )から電圧計測 ・直流電流計使用による平均値計測 ・(C→小)で低電流計測(主な用途:商用周波数帯) ・高耐電圧:ダイオード→2V,C →V ・ひずみ(高調波等)による誤差 Im 1 T I m idt 4 fCV V T 0 4 fC (e) 高抵抗を流れる電流から求める方法 ・倍率器による電流計測から電圧計測 V ImR 倍率器抵抗への電流 → 温度上昇による抵抗値変化 (倍率器抵抗)>>(負荷抵抗)>>(内部抵抗(電源)) R RL r 7.2.2 大電流の計測 (a) 分流器とオシロスコープを用いる方法 I ・残留インダクタンスの低減:(同軸)円筒形を使用 ・(負荷抵抗)>>(分流器抵抗) RL R1 R2 (b) 変流器を用いる方法 ・変流器(CT:current transformer) 電流Iに比例する磁界の大きさを計測 B ds μ I c 0 BI ・ホール素子形変流器(ホール効果) ・光CT(ファラデー効果:偏波面回転) 最近では光ファイバー利用 1.高電圧(直流,交流)の発生方法,及び測定方法についてまとめ,簡単に説明せよ. 2.大電流の測定法についてまとめ,簡単に説明せよ. 3.インパルス電圧測定用の分圧回路(図7.9)において,50Ωの同軸ケーブルを使用する 場合にR1~R7の各抵抗値が満たすべき条件を記せ. 4.共振現象を利用した高電圧発生にテスラコイルを用いたものがある.これの原理(等価 回路)とその応用例について述べよ.
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