DIC 104s 第79回日本皮膚科学会東京・東部支部合同学術大会 ランチョンセミナー 9 紫外線と皮膚 しみの鑑別と治療 渡辺 晋一 先生(帝京大学医学部皮膚科学講座) しみの同義語は教科書では肝斑となっているが、実際にしみを主訴に来院する患者 の6割は老人性色素斑であり、肝斑の患者は1割もいない。次いで多いのは顔面真皮 メラノサイトーシス(FDM)である。このうちFDMはしばしば肝斑と誤診され、レーザー トーニングが肝斑に有効との誤解が生じている。そのほか黒子や皮膚癌もしみとされて いることもあるが、ここでは時間の関係から、老人性色素斑、肝斑、FDMのみを述べる 座長 松永 佳世子 先生(藤田保健衛生大学) 山下 利春 先生(札幌医科大学) 演者1 ことにする。FDMに対して唯一の治療法は、Qスイッチレーザー照射である。肝斑は ハイドロキノンなどのメラニン合成阻害剤の外用と紫外線防御であるが、内服薬が有効 とのエビデンスはない。老人性色素斑は異常となった表皮だけを選択的に除去すれば よいので、液体窒素療法やケミカルピーリングでも治療は可能であるが、不確実で ある。一番確実なのはQスイッチレーザー照射で、一過性の炎症後色素沈着がある ものの色素斑は消失する。 しみの鑑別と治療 渡辺 晋一 先生(帝京大学) 演者2 光線過敏症と遮光 −適切な遮光とは?− 錦織 千佳子 先生(神戸大学) 光線過敏症と遮光 ̶ 適切な遮光とは?̶ 錦織 千佳子 先生(神戸大学大学院医学研究科内科系講座皮膚科学教室) 2014年に難病法が成立したことを受け、2015年7月からポルフィリン症、色素性乾皮 症、コケイン症候群などの光線過敏症が指定難病として医療費助成の対象疾患となっ た。皮膚科医がこれらの患者を診察する機会は今まで以上に増えると思われる。加え て、以前から光線過敏症の中で最も頻度の高かった光線過敏型薬疹も時代とともに 日 時 平成28年 会 場 第 会場 2 2月21日(日)12:30∼13:30 (京王プラザホテル 5F コンコードボールルームA) 共催:第79回日本皮膚科学会東京・東部支部合同学術大会 常盤薬品工業株式会社 ノブ事業部 原因薬が変わるので、原因薬剤としてどのようなものが有るかの知識をアップデートし、 薬剤に応じた原因波長とその特徴などの知識も必要となってくる。最近ではボリコナ ゾールによる重症の光線過敏型薬疹発症後に生じた皮膚がんの報告が海外から多く なされている。 本セミナーでは最新の情報に基づいて各疾患に応じた遮光対策を概説し、最近社会 の関心を集めているビタミンD合成と遮光とのバランスなどについてもデータを交えて 健常者と光線過敏症との遮光対策の考え方、目的に応じた遮光の考え方についても 言及したい。
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