プリウス/ZVW30〔LLCのエア抜き作業〕

リペアインフォメーション
書簡 No.
RI-11-0012
件名
LLCのエア抜き作業
調査対象
メカニカル
車名
トヨタ プリウス
型式
ZVW30
年式
平成22年
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その他
トヨタ プリウス(ZVW30)の LLC のエア抜
き作業について紹介します。
(写真 1)
[ 参考 ] (トヨタ プリウス ZVW30 技術マニ
ュアル参照)
この車両のハイブリッドシステムは、エンジ
ンの始動と停止を繰返し行うシステムのため、一般的な車両とはウォータポンプの駆動方
式が異なり、機械式のウォータポンプではなく、電気式のウォータポンプを採用していま
す。電気式のウォータポンプは、エンジンが停止状態の時に、安定した冷却水温の確保と燃
費向上のため、LLC の循環を停止します。このため、ラジエータ脱着または取替作業時な
どに発生する LLC の充填作業では、エンジンが停止状態のとき LLC の循環が行われなく
なるため、一般的な車両と同様の作業では LLC のエア抜き作業を行うことができません。
[ 作業方法 ]
この車両の LLC のエア抜き作業は、TaSCAN を使用して行う作業方法と、TaSCAN を
使用しないで行う作業方法があります。
TaSCAN(トヨタ純正故障診断機)を使用して行う作業方法は、エンジン側ウォータポン
プをアクティブテストで強制駆動する作業方法です。
TaSCAN を使用しないで行う作業方法は、コマンド入力(特殊な操作)により、整備モ
ード(MAINTENANCE MODE:2WD 排ガス測定用モード)へ移行する作業方法です。
今回は、TaSCAN を使用しないで行う作業方法について記載します。
リペアインフォメーション
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① リザーブタンクのリザーブタンクキャップ
を取外し、リザーブタンクから B のライン
(赤四角部)まで LLC を注入する。
(写真 2)
② エアドレーンプラグ(黄○部)を緩め、LLC
が出てきたら締る。
(リザーブタンクの B の
ラインまで LLC が入っていることを確認し、
不足している場合は補充する)
(写真 2)
③ リザーブタンクキャップを取付ける。
④ IG を ON(READY OFF ブレーキペダル
を踏まずにパワースイッチを 2 回押す)にす
る。(全ての作業は 60 秒以内に行う)
(写真 3)
⑤ P レンジの状態でアクセルペダルを全開位
置まで 2 回踏込む。
(写真 4)
⑥ ブレーキペダルを踏み、P レンジから N レ
ンジにシフトする
(写真 5)
リペアインフォメーション
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⑦ ブレーキペダルを踏んだ状態で、アクセル
ペダルを全開位置まで 2 回踏込む。
(写真 6)
⑧ ブレーキペダルを踏込んだ状態で、N レン
ジから P レンジにシフトする。
(写真 7)
⑨ アクセルペダルを全開位置まで 2 回踏込む。
(この時、ブレーキペダルは、踏んだ状態
でも、開放した状態でも、どちらでも可)
(写真 8)
⑩ ③から⑧の操作を正確に行うと、コンビネ
ーションメータ Assy に
「MAINTENANCE
MODE」と表示される。
(写真 9)
リペアインフォメーション
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⑪ ブレーキを踏んだ状態で、「READY ON」
にする。上記操作を行うことで「整備モー
ド」に移行する。
(写真 10)
⑫ サーモスタットが開弁するまでエンジンを
暖機し、エアが抜けるまで待つ。
⑬ IG OFF にし、LLC が冷めるのを待ち、冷
めたらリザーブタンクキャップを開け、リザ
ーブタンク内の LLC 量を FULL から LOW
の間に補充する。
以上