計画・交通研究会 会報 2000-01

計画
・交通研究会
計画・
目次
会報
会報 2000-01
Opinion・・・・・・・・・・・・・・・・・1- 2
Y6B問題と将来の交通
Association for Planning and Transportation Studies
News Letters・・・・・・・・・・・・・・・2-8
事業報告・活動報告
Publication/Documents
刊行物・文献資料
発行日:平成 12 年 1 月 13 日
発行元:計画・交通研究会
・・・・・・・・・・ 8
Announcement ・・・・・・・・・・・・・・8- 9
研究会・催事の御案内
〒 102-0083
東京都千代田区麹町 5-2-1 K-WING 6F
Backyard ・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 -10
事務局通信
TEL=03-3265-1774 FAX=03-3221-5489
E-mail = [email protected]
Homepage = http://www06.u-page.so-net.ne.jp/sa2/easts/
□Opinion Y6B問題と将来の交通 古池 弘隆
ここ数年来いわゆる Y2K 問題が世間を騒が
食料不足による餓死者が続出しているが、今後
せてきて、昨年末には世界的な社会問題になっ
の人口増加に対して食糧の供給が可能かどうか
た。しかし年が明けてみると、予想通り被害は
甚だ心もとない。遺伝子組換えなどのバイオテ
最小にとどまっている。世界全体で 60 兆円と
クノロジーの進歩があったとしても、地球の温
もいわれる対策が功を奏したと見ることもでき
暖化による天候異変、砂漠化などの悪条件を考
るが、むしろ何も起こらなかったために情報化
えると、現在の 1.5 倍もの人口を養うことがで
に対する安易な信頼感を助長することになる方
きるであろうか。
が懸念される。いずれにしろ Y2K 問題は一過性
目を転じて我々の関心事である交通の問題を
のものであり、急速に人々の脳裏から去ってい
考えてみよう。自動車は発明されてからまだ 1
くこととなろう。これに対し、Y6B 問題はまだ
世紀あまりにしかならないが、先進国の文明を
ほとんど認識されていないが、Y2K に比べると
代表するものであり、発展途上の人々にとって
はるかに深刻であり、世界の将来に重大な影響
憧れの的である。それは途上国において急激に
を及ぼすものである。Y6B とは Year of Six
進展しつつあるモータリゼーションの実態を見
Billion の略である。国連の推計によると 1999
れば明らかである。現在 60 億人の世界人口の
年 10 月 12 日に地球の人口は 60 億人に達した。
うち、日米欧などの先進国の人口は約 10 億人
3 0 億人の大台を越えたのが 1 9 6 0 年であった
である。その自動車保有台数を 2 人に 1 台とす
から、わずか 40 年足らずで世界の人口が倍増
れば先進国の自動車は 5 億台に達する。現在経
したことになる。特に最近の 12 年間の人口増
済成長が著しいアジアでの半世紀後の人口は、
加は著しく、1987 年以来 10 億人が新たに増加
インドと中国が 15 億人ずつ、パキスタン、イ
した。そして、国連によれば 21 世紀の半ばに
ンドネシア、バングラディッシュ、フィリピン
世界の人口は90億人になると予測されている。
などを合わせて 10 億人と予測されている。彼
2007 年を境に人口が減少する日本を始めヨー
らの生活水準が仮に現在の先進国の半分まで進
ロッパなどの先進国の人口はそれほど伸びない
み、自動車の保有率が 4 人に 1 台となったとす
が、アジアやアフリカなどの低開発国では急激
れば、これらの国々の自動車数は 10 億台にな
な人口増加が続き、2050 年には世界人口の 9
り、21 世紀半ばの地球上には現在の 3 倍以上の
割を占めることになる。現在でも低開発国では
自動車が溢れることになる。これからの世界的
1
な高齢化により道路への公共投資は押さえら
には自動車に取って代わるとは言わないまで
れ、自動車 1 台当たりの道路面積は減少の一途
も、自動車を補完する公共交通機関や自転車に
をたどり、慢性的な交通渋滞はますます悪化し
代表されるNMTを積極的に普及していく政
ていく。また化石エネルギーの枯渇や排気ガス
策、あるいは都市構造そのものをよりコンパク
による地球環境の悪化、さらには増加しつづけ
トに再構築していく政策、さらには情報化によ
る交通事故を考えると、現在の世界的なモータ
り交通そのものを代替していく政策を、これか
リゼーションのトレンドは決して持続可能な世
ら先進国・途上国ともに推進していかなければ
界をもたらすとは思われない。
ならない。さもなくば、人類は次のミレニアム
はおろか、22 世紀まで持続することも不可能
そこで考えなければならないのは、先進国、
となろう。
特にアメリカのたどってきた道をフォローしよ
(計画・交通研究会
うとしている発展途上の国々に対し新しいパラ
理事/宇都宮大学
教授)
ダイムを提唱することの必要性である。具体的
事業報告
・活動報告 □
事業報告・
□ News Letters ■ 1999 年 11 月定例研究会
をネットワーク上で移動させて交通状況を再現
●日時:平成 11 年 11 月 26 日(金)16:00-18:00
し、それを利用者行動パートに受け渡すといっ
●場所:計画・交通研究会 会議室
たループ構造である。車両移動を表現するパー
●演題:『国内外の交通シミュレーションの動向』
トでは、車両を離散的に考慮するモデルと流体
●講師:東京大学生産技術研究所
近似するモデルがあるが、個別車両や運転者属
性の管理が容易なことから離散モデルが主流に
助教授 桑原 雅人 先生
●司会:筑波大学
なりつつある。また、利用者行動のモデル化も、
教授 石田 東生 先生
車載器の有無,運転者の情報への反応程度のよ
【講演概要】
うに、利用者属性を多種類用意するモデルが現
規制・制御などの交通運用策あるいは、道路
れてきている。
を新設するなどの施設整備を実施した場合に、
どのように交通状態が変化するのか、その評価
このようにネットワークシミュレーションモ
ツールとして交通シミュレーションモデルが開
デルは,非常に有用なツールであるが、幾つか
発されている。特に、ネットワーク上に車両が
の課題も残されている。まず、シミュレーショ
滞留する現象である渋滞を評価するためには,
時間的に動的な解析が必要であり、ネットワー
クシミュレーションが有用である。
さまざまなモデルが発表されてはいるもの
の、モデルの基本構造は、車両の移動を表現す
るパートと利用者の選択行動を表現するパート
から構成され、これらをかなり短い周期で繰り
返すのというものである。利用者行動パートで
は、ダイナミックに変化する交通状況に応じて
経路や出発時刻といった選択行動を決定し、そ
れを車両移動パートに受け渡す、一方車両移動
パートでは、決定された選択行動に従って車両
▲桑原 雅夫 先生
2
ンは個々の適用ケースに柔軟に対応して,そこ
当初講演予定の道路局長大石久和様が急遽国
に特化した現象を模擬できるという長所はある
会関係業務にてご都合がつかず、代わりに同局
が、一方で普遍的な結論を導き出すことについ
中枢の菊川室長にご講演いただいた。
ては苦手である。この意味で、動的なネット
【講演内容】は以下の通りである。
小選挙区制の導入を始め、行財政改革、規制
ワーク解析理論とのリンクをはかりつつモデル
開発を行う必要があろう。また、シミュレー
緩和、住民参加などの動きに見られるように、
ションは、実世界の交通現象をモデル化しては
現在、わが国の政治・行政・経済・社会システ
じめて実行可能なので、利用者の選択行動の分
ムは、いずれも大きな変革の時代を迎えてい
析、車両挙動解析など実現賞の解析は、永遠の
る。社会資本整備のあり方も、そうした変革の
研究テーマである。さらに、シミュレーション
影響を免れることはできない。この 1、2 年の
を実行するためには、かなり詳細な入力データ
道路事業については、景気対策としての側面か
と再現性確認のためのデータが必要である。
ら比較的順調に進むものと考えられるが、将来
これらのデータを如何に取得するのか、
数多
に向けては、財政逼迫下の公共事業全体の見直
くの内在するパラメータをどのように設定する
しの中で、道路行政についても総点検の必要に
のかなど適用上の課題も残されている。
迫られよう。
1990 年以降、内外を問わずネットワークシ
2 1 世紀の中長期的な人口の推移、エネル
ミュレーションモデルの開発が盛んになってき
ギー消費と環境問題、情報通信産業の進展など
ているが、シミュレーションモデルはいくつ
が、今後の道路行政を考える上での重要な要因
あっても構わない。ただし、基本的に満足すべ
となってくる。その結果、例えば道路の機能に
き交通工学的な機能は必ず持つべきである。こ
対しては、交通面はもちろん都市構造・地域構
のために、現在土木学会の小委員会では、モデ
造を規定するものとして、あるいは、情報通信・
ルの検証用マニュアルの作成、モデル構造の確
パイプラインのための空間を提供するものとし
認とパラメータ同定のためのベンチマークデー
て、より多面的な役割が求められることとなろ
タセット構築に取り組んでいるところである。
う。また、道路事業の進め方については、地方
我が国におけるこの分野のアクティビティーは
分権、民間能力の活用という方向が一層鮮明に
決して海外にひけはとらないものの、言語のハ
なってくるであろう。
上記のような議論を展開し、
道路行政が取り
ンディからか努力不足からか、海外における認
知度は低い。これらの小委員会の活動内容は、
組むべき課題・テーマとして整理すると、概ね
英語版も作成して海外に発信する予定である。
次の 5 項目に集約される。
(1)道路の機能の抜
■特別講演会
・懇親会
■特別講演会・
●日時:平成 11 年 12 月 14 日(火)
特別講演会 17 時∼ 18 時
懇親会 1 8 時∼ 2 0 時 3 0 分
●場所:プラザエフ(主婦会館)特別講演会;
9 階スズラン 懇親会;7 階カトレア
○特別講演会:
講師:建設省道路局 道路経済調査室長
菊川
滋 様
司会:筑波大学教授 石田東生 先生
演題:『21 世紀の社会と道路サービス』
▲建設省 菊川 滋 室長
3
本的見直し、
(2)地域づくりのツールとしての
田企画部長はじめ和歌山県 / 大山土木部長、日
道路の活かし方、
(3)ストックの有効活用とI
本道路公団関西支社 / 小川建設第一部長、JR 東
TSの推進、
(4)環境対策の道路行政への内部
海/寺島総合企画副本部長、町村役場首脳陣、そ
化、
(5)政策・事業の進め方の改革。特に、最
の他関係者延べ30有余の方々のお世話になり、
後の課題については、評価システムに加えて広
意見交換や交流がはかられた。以下に日にち毎
くPIも含めて考えており、これは今後行政の
に紀行文の寄稿を頂きましたので掲載します。
重要な責務となるであろう。
【第 1 日目】
2 0 0 1 年 1 月から国土交通省がスタートす
<
(株)サーベイリサーチセンター
る。建設省と運輸省が合併することになるが、
社会情報事業部 都市交通プロジェクト部長
許認可を主体とする運輸省と社会資本の整備・
管理という視点が軸となる建設省(道路行政)
戸 祭 浩>
とでは、持てる政策手段が大きく異なってい
日々寒さも増してきた師走の 1 2 月 1 1 日
る。ただし、計画面や運用面での調整が容易と
(土)、東京駅 8:15 分集合、新幹線で南国和歌
なるなど、メリットも少なくない。人流・物流
山に向けて出発第 1 日目がスタートしました。
のあらゆるニーズを受け持つ基盤であるととも
途中新横浜駅で中村会長が合流し、本視察旅行
に、鉄道・航空・船舶の各交通機関をネットワー
の期待の話等、団員相互の交流もスタートしま
ク化することができるのは道路だけである。そ
した。名古屋駅で名古屋組と合流、ワイド
うした認識で、今後とも交通体系全体を支える
ビュー南紀で約 3 時間熊野市駅へ。熊野市駅で
ために、道路行政は大いにその中心的役割を果
は、近畿地建企画部の横田部長、安藤課長補佐、
たしていきたい。なお、地方レベルでは、地方
南紀工事事務所阿倍所長に同行していただき、
建設局と港湾建設局を統合して地方整備局とす
国道 42 号・309 号・169 号を通り一路北山村
る方向で既に議論が進んでいるが、こうした動
へバスで向かう。恒例のバスシンポジウムが開
きの先には道州制まで見据える必要があるもの
かれ、横田部長より近畿管内の経済・社会状況
と考えられる。
の概要の説明をいただきました。
国道 309 号に入ると、山間の 1 車線で大型
(青山学院大学 教授 井口典夫記)
バスがやっと通れる道路で、トンネルも天井す
れすれにやっとバスが通過できるほど狭い道路
○懇親会
である。約 1 時間で全国唯一の飛び地村(三重
特別講演会に引き続き、立食パーティーが行
われた。初めに中村会長が会の状況報告と抱負
県と奈良県の間に挟まった)の北山村に到着。
を交えて挨拶、続いて黒川副会長の音頭による
北山村では、おくとろ公園筏センター内で、
乾杯で始まり1時間半にわたり和やかに会員相
互の交流・親睦がはかられ、森地副会長の中締
めの挨拶の後、流れ解散となった。
■ 1999 年 12 月南紀視察旅行
●日程:平成11 年12 月11 日(土)∼12 月13 日(月)
●参加者:中村会長、黒川副会長他 31 名
昨年の北東北、今年 5 月の四国に引き続き、
今回は 31 名が参加し、南紀における村おこし、
まちづくりを中心に地域活性化の現状を視察し
た。行く先々では、建設省近畿地方建設局 / 横
▲北山村にて
4
看板のあり方について意見交換が行われた。
奥田助役より、飛び地村になった経緯、奥瀞道
路整備と地域活性化の取り組みの説明、村民約
那智勝浦に到着、
宿泊施設のホテル浦島へは
6 0 0 人のところおくとろ公園整備事業に昭和
勝浦観光桟橋より船にて渡る、陸続きで車でも
63 年より約 13 億円の事業費をかけて整備して
行けるのだそうですが当ホテル宿泊者は船を使
きており、村の熱い取り組みと期待が大きいこ
うのだそうです。到着予定時間をオーバーして
とがうかがえた。奥瀞道路は近畿地建の最初の
しまったため、早々に懇親会場へ集合した。会
エコロード事業のモデルとして環境庁との協議
場では、那智勝浦町湯浅町長に迎えられ、町長
で整備された。奥瀞道路開通により観光客入り
より観光地(温泉郷)としての那智勝浦の説明
込み数が約 2 倍と飛躍的に増加した。また、観
と道路整備への要望の話をうかがいました。
光だけでなく、地域住民の生活(医療福祉、防
最後になりましたが、
ご指導いただきました
災対策等)にも道路整備の促進への期待が大き
先生方、現地でご説明いただきました方々に心
いとのことでした。
より感謝致しまして、第 1 日目の報告を終わり
ます。
奥田助役の説明を聞いた後、
農林水産物直売
施設を見学、
「じやばら」
(北山村だけの柑橘類)
【第 2 日目】
にふれる。おくとろ公園内は冬期期間のため観
光客は疎らな状況でした。バスに乗車し予定に
<和歌山工業高等専門学校 助手 伊藤 雅>
無かった奥瀞道路を実際に走行、北山村より
12 月とは思えない温暖な晴天を迎えた 2 日
169 号を更に奥に入ると急に 2 車線のエコロー
目は、ホテル浦島の洞窟風呂で朝風呂を浴び、
ドが出現する。現在は 1 期区間約 3.6 キロの供
昨夜の酔いを醒まして快調にスタートした。と
用されており、2 期区間約 0.5 キロは工事中で
ころが、いざ出発となりこのホテル浦島から脱
ある。2 期区間の供用までの時間が要している
出する唯一の交通機関である連絡船のりばへ向
理由として、こんな山奥でも用地買収の問題が
かうと、そこには長蛇の列。定員 100 人弱の船
あり遅れているとのこと。観光資源としての
2 隻で昨夜の宿泊客 2,200 名をピストン輸送し
「筏下り」は 1 回 6 千円と割高感があるが、盛
なければならないのだから無理のない話であ
況のためなかなか予約が取れない状況であり、
る。1 便見送って待つこと 10 分。所要時間 5 分
筏の本数を増加したいが筏師の人員がいないた
ほどで対岸のバス乗り場へとたどり着いた。
2 日目最初の訪問地は、南紀屈指の観光地
めに難しいなど、車内討議は活発に行われた。
「那智の滝、那智大社」である。那智勝浦町役場
奥瀞道路の入り口で全員記念写真をとり、秘
の職員の案内で日本一の落差 133m の那智の滝
境の大自然を充分に満喫することができました。
を眺め、バスで参道入口へバス移動した後に、
奥瀞道路より来た道を引き返し、本日の宿泊
先那智勝浦へ向かう。車中、東海旅客鉄道総合
467 段の石段を登り那智大社へと息を切らしな
企画本部寺島副本部長より南紀地区活性化と鉄
がらたどりついた。那智大社の宮司さんより熊
道の役割について説明をうけた。平成 4 年に
野という意味、そして自然に対する感謝の気持
「ワイドビュー南紀」の投入により、到達時間の
ちを忘れないようにという説教を受けている
短縮を計り輸送量アップにつながったが、現在
と、視察ツアー参加者のひとり、NHK でおなじ
では以前と同程度の輸送量に落ちてしまった。
みの青山佳世アナウンサーが平安の熊野詣のあ
「ワイドビューひだ」も安房トンネルの開通によ
でやかな衣装で登場。すぐさま青山さんと一緒
り道路の利便性が高まり鉄道の輸送量は同じよ
に記念撮影大会となり、宮司の説教から一転、
うに落ちているとのこと。南紀工事事務所阿倍
和やかな雰囲気に変わっていった。
所長より近畿道紀勢線の整備計画、国道42号の
続いては、那智勝浦町の隣町、太地町にある
バイパス機能としての那智勝浦道路の説明をう
「くじらの博物館」を訪れた。日本で唯一の鯨に
けた。また、景観の話題で、大自然の中の広告・
関する博物館であり、巨大な鯨の骨格標本をは
5
じめとして、太地で 400 年前から行われていた
がけの旅行だったのが日帰りになってしまう。
」
捕鯨の伝統に関する展示など盛りだくさんの内
と、観光産業の最前線で働く方から観光交通計
容を館長さんのご案内のもとじっくりと勉強さ
画の核心をつく意見も飛び出し、南紀まで高速
せてもらった。昨今は動物保護団体の運動によ
道路が延びたその後の姿をいろいろと考えさせ
り、調査捕鯨しか認められていない現状である
られるひとときであった。
が、そのことにより鯨の個体数が増加している
太平洋に沈む夕日を眺めつつ、本日最後の訪
とのこと。そのために、食用の魚は人間が捕食
問地「南紀白浜空港」へ到着した。真鍋清兵衛
する以上に鯨に捕食されているという問題もあ
白浜町長より白浜町の観光の現状、空港管理事
るということである。最後にショーに出演する
務所長より滑走路延長事業、近畿地建和歌山工
シャチにさよならの挨拶をし、紀伊半島最南端
事事務所長より紀北地域の道路事業についての
の町、串本町へと向かった。
説明を受け、観光客誘致と高速交通の利用につ
いて議論が交わされた。
自然の所業は不思議なもので、延長 850m に
渡って一直線に並ぶ奇岩「橋杭岩」見物からス
昨夜に引き続き温泉で体を休め、
また冬の南
タートした。町役場の一職員さんの案内と思い
紀の自然に抱かれた充実した一日の思いを酒の
きや、なんと若冠 41 歳の田嶋勝正串本町長自
肴に、再び今夜も真のシンポジウムで夜が更け
らの案内でフレッシュな気分での串本巡りと
ていった。
なった。昼食を挟んで、
「♪ここは串本向かいは
【第 3 日目】
大島、仲を取りもつ巡航船」と串本節に唄われ
る大島へ、今年 9 月に開通したばかりの「くし
<三井不動産(株)
開発企画部 主査
もと大橋」を通って渡った。レインボーブリッ
対中 雅人>
ジさながらのループ橋で高度を稼ぎ、シンプル
最終日のプログラムは、ホテル千畳の会議室
な橋長 2 9 0 m のアーチ橋で海峡をまたぐ形と
にて 9 時より、白浜観光協会会長の中田さんの
なっている。大島をざっと巡って串本のファイ
お話で始まりました。和歌山県の観光協会の副
ナルを飾るべく本州最南端の潮岬へと立ち寄っ
会長も務めるという中田さんの、情熱あふれる
た。バスガイドさんの案内で「潮岬タワーでは
お話にあっと言う間の 1 時間でした。かつて新
本州最南端訪問証明書なんて言うしょうもない
婚旅行のメッカの一つであった白浜も、今では
ものが...」とバスに同乗する町長の前で口を
年間 210 万人の観光客のうち、140 万人以上が
滑らせると、「いやいやポルトガルの最西端の
日帰り客とのことです。ワイキキとの姉妹ビー
岬では町長さんの署名入りの証明書がもらえる
チ提携や温泉、埋蔵金探しイベントなどによる
んだ」という黒川教授のフォローで一転して訪
集客増加策のご説明に、参加者からも、いろい
問証明書の価値が急上昇。到着して早速証明書
ろな意見が飛び出しました。白浜空港の存在は
を購入するとそこには串本町 " 観光協会長 " の
大きいわけで、その温暖な気候やサンセットの
署名。これでは価値がないと、町長さんに直々
素晴らしさといった自然の魅力を関東方面への
に署名していただくことになり、町長は思わぬ
広報活動が弱いのではないか、という提言か
サイン責めに苦笑いの幕切れであった。
ら、旅館の料理はどこも同じようなもので、中
串本からは紀伊半島の西岸を走る国道 42 号
長期滞在を前提とすれば選択の不自由が否めな
線で 60km 先の白浜へと向かう。この道は海岸
いなど、どこの観光地にも当てはまる本質的な
線に沿っているため景色が素晴らしくバスガイ
指摘まで、幅広く意見が出され、朝から盛況な
ドさんの案内にも熱が入ってきた。バスガイド
シンポジウムとなりました。それぞれの街が
曰く「景色のいい道路はガイドのし甲斐があ
持っている自然の素晴らしさのみに頼り、それ
る。しかしながら、高速道路はあかん。景色が
を現代風にどうアレンジし、特色を出そうとし
見えない。早く着くのはいいけど今まで泊まり
ているのかが感じられない、という指摘があり
6
ましたが、やはり一定の経済圏がないと、なか
ティは、1994年のリゾート博の後リニューアル
なかサービスの向上もはかれないというのが実
し、ポルトヨーロッパというテーマパークに、
情のような気もします。白浜は、南紀全般の核
ホテル、リゾートマンション、地元の主婦にも
となりうる自然、
交通基盤の要素を備えている
好評の黒潮市場、官民それぞれのマリーナ、11
わけであり、
独自のカラーを打ち出した都市型
月にオープンしたばかりの黒潮温泉で構成され
サービスの提供をすすめ、
新しい観光都市のモ
ています。冬の月曜日の昼間だったこともあ
デルとして飛躍していただきたいなあ、
と感じ
り、寂しい感じは拭えませんでしたが、減少傾
ました。
向にはあるものの、年間180万人の来場があり、
さて、ホテルをあとにして、バスは一路北上
3 セクが分譲するマンションも県外からも 4 割
し、近畿道紀勢線、東岩代トンネルへと向かい
を集めて、販売済については完売、ホテルの稼
ました。車中で、日本道路公団の城戸田辺工事
働率も予想以上とのことでした。総事業費 565
事務所長から、ビデオにより、先行した西岩代
億円(建物除く)をかけた巨大プロジェクトで
トンネルの貫通式の様子などの解説を受けたあ
すが、民間開発想定部分は平面駐車場利用にと
と、トンネル工事現場に到着です。トンネルの
どまっている部分もかなり多く、プロジェク
入り口で長靴、ヘルメット等を着用し、再びバ
トの真価が問われるのはかなり先のこととな
スに乗り込み、
何とそのままトンネルの中へと
りそうです。
突き進みました。
まだハッパによる爆破後間も
さて、
いよいよバスは最終見学地の関西国際
ないという岩面を目の当たりにしながら、
工事
空港へと向かいました。関西国際空港も既に開
手順の解説を受けるという大変貴重な経験であ
港から 5 年が立ち、8 月には総額 1 兆 5600 億
り、専門外の私にとっては、ほとんど社会見学
円をかけた 2 期工事に着手しております。現在
の気分でした。
ある 3500 mの滑走路で 16 万回の発着機能が
続いて、車窓からみかん畑を眺めながら、バ
あるとのことですが、2 期工事により 4000 m
スは和歌山マリーナシティへと入りました。
和
の滑走路が完成すると、23 万回に拡大すると
歌山マリーナシティは、
和歌山県と松下興産の
のことでした。これに対してどうして 16 + 16
第三セクターが開発した複合開発です。まず
= 32 万回にならないのか、という質問が飛び
は、那智勝浦港直送の生まぐろが自慢の「黒潮
出したのですが、これに対する空港側の回答
市場」内のレストランで昼食後、和歌山館に
は、管制を複数で行えば別であるが、現在の体
て、
和歌山県下津港湾事務所の浅野所長や和歌
制からはどうしても限界がある、とのことで、
山マリーナシティ(株)の半田業務副部長から
そもそも現在 16 万回のうち 12 万回しか使って
詳しい説明を受けました。現在のマリーナシ
いない中で需要喚起の方が問題である、という
ものでした。断片的な理解でものを言うのは危
険ですが、巨額のプロジェクトであるだけに、
オリンピックなどの短期的な視点のみならず、
長期的なこの空港のアジアにおける役割も含め
た議論をしっかりとやって、効果的な投資に
よって、成功に導いていただきたいものだと、
関西出身の私としても節に願うものでした。
以上で、2 泊 3 日に及ぶ南紀視察の全行程を
終了し、一部の方を除き、空路にて東京へと戻
りました。建設省近畿地建企画部の横田部長を
はじめ、御案内いただいた数多くの行政関係の
▲東岩代トンネル 現場視察
方々に感謝するとともに、いろいろとご足労い
7
ただいた事務局の橋本さん、JTBの加藤さん、並
上げて、最終日の報告を終わらせていただき
びに素晴らしい名ガイドで私たちの旅を盛り上
ます。
げて下さったガイドの山崎さんに御礼を申し
□ Publication / Documents 刊行物・文献資料 □
■所蔵文献資料紹介
■文献資料情報の募集
99019 古地図の交通計画、地域計画研究への
当欄に掲載する刊行物・文献資料に関する
活用方法に関する研究 平成 11 年 9 月 30 日 情報を募集しています。下記の要領で項目を
古地図の利活用研究グループ(計画・交通研究
整理したテキストを作成し、事務局まで電子
会 '98 研究助成)
メールまたはフロッピーディスクでお送りく
99020 災害科学研究通信 No.59
平成 11 年
ださい。
7 月 自然災害総合研究班、京都大学防災研
●著書紹介
究所
○著者名:表題、発行元、刊行年月、価格
99021 築 / 日本経済再生とこれからの建築業
●論説
・解説
●論説・
平成 11 年 7 月 (社)建築業協会
○著者名:表題、掲載誌名、発行元、巻・号、
9 9 0 2 2 大手民鉄の素顔 平成 1 1 年 1 0 月 ページ、刊行年月
●学術論文
(社)日本民営鉄道協会
99023 スペシャルトランスポートサービスに
○著者名:表題、掲載誌名、発行元、巻・号、
関する調査研究報告書 平成 11 年 3 月 (財)
ページ、刊行年月
運輸政策研究機構
●報告書
99024 交通モード間の交通需要誘導策に関す
○報告書名、発行元、発行年月日
る調査研究報告書 平成 11 年 3 月 (財)運輸
●フェロー会員
・個人会員が参画している審議
●フェロー会員・
政策研究機構
会・委員会等
99025 新たな運輸関係社会資本整備のあり方
○会員名:会議名称、主催者、開始年月日 - 終
に関する調査報告書 平成 11 年 3 月 (財)運
了予定年月日、資料公表予定の有無
輸政策研究機構
□ Announcement
■ 2000 年 1 月定例研究会
研究会・催事の御案内 □
●日時:平成 12 年 1 月 18 日(火)15:00-17:00
データを用いた実証比較例の紹介を行う。
●講師:東京大学 講 師 堤 盛人 先生
●場所:計画・交通研究会 会議室
●演題:
「空間データの統計分析における諸課題
○講師プロフィール
'93.3 東京大学大学院土木工学専攻 修士課
とその改善手法」
●概要:
程修了 '95.4 東京大学大学院 社会基盤工学専攻 地域分析において扱うことの多い空間属性デー
タは、統計学的な観点から注意すべき様々な特
博士課程 入学 '97.6 東京大学大学院 社会基盤工学専攻博
徴を有することが多く、このことに対する配慮
の有無は分析結果の信頼性に重大な影響を及ぼ
士課程 中途退学
'98.6 東京大学大学院 工学系研究科 助手
す。ここでは地域分析を目的とした回帰モデル
を例に、モデルのパラメータ推定における諸課
'99.4 同 講師 現在に至る。
●司会:筑波大学 教授 石田 東生 先生
題と改善手法に関するレビュー並びに実際の
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■ 2000 年 3 月定例研究会
演の中では、①交通まちづくり計画の策定過程
●日時:平成 12 年 3 月 21 日(火)15 時∼ 17 時
における交通シミュレーションの活用につい
●場所:計画・交通研究会 会議室
て、実例を交えて紹介し、次に、②社会実験の
●演題:『シミュレーションと社会実験−交通
最近の動向と課題について、これも事例紹介と
まちづくりのプロセス論構築に向けて』
ともに整理する。最後に、③シミュレーション
●概要:T D M や地区交通計画などの実現にあ
と社会実験を明確に位置付けたプロセス論の展
たっては、施策の事前評価や実施体制づくりな
望について論じる。
どを含む計画プロセスが重要な課題である。近
● 講師:埼玉大学大学院助教授
久保田 尚 先生
年話題の交通シミュレーションと社会実験も、
この文脈の中で議論されるべき内容を含んでい
○ 講師プロフィール:
る。これらは、交通の専門家以外の人も議論に
昭和57年 横浜国立大学工学部土木工学科卒業
参加しやすくするための対話言語を提供するも
昭和 59 年 東京大学大学院工学系研究科都市
のとも位置づけられる。本講演では、
「参加」を
工学修士課程修了
キーワードにしつつ地域の交通対策やまちづく
昭和 63 年 同博士課程修了、工学博士
りに寄与しようとする「交通まちづくり」に焦
同年 埼玉大学助手(工学部建設工学科)
点を当て、シミュレーションと社会実験を取り
平成 9 年 同大学院助教授
入れたプロセス論の構築について議論する。講
● 司会:筑波大学教授 石田 東生 先生
□ Backyard
事務局通信 □
■ホームページの開設
■個別懇談会のお申し込み
計画・交通研究会のホームページを開設いた
会員各位個別の研究やプロジェクト等につき
しました。内容的にはまだまだ未完成ですので、
まして、当会のフェロー会員・個人会員(地域的
会員の皆様の忌憚のないご意見を頂ければ幸い
にも研究部門の面でも多彩な教授・助教授がお
です。
られます。既送の会員名簿を御参照下さい)が
なお、アドレスは以下の通りです。
個別に御相談・懇談に応じます。ご希望により
http://www06.u-page.so-net.ne.jp/sa2/easts/
日時を調整しますので、事務局まで遠慮なくご
相談下さい。出来れば具体的な研究課題・プロ
■会議室等の御利用について
ジェクト内容と、希望されるフェロー会員・個
人会員のお名前をご連絡下さい。
当研究会の会議室、応接室をご利用下さい。
定例研究会や個別研究会の開催時以外は部屋
■原稿の募集
が空いています。会員の皆様はお気軽にご利用
会報に掲載する下記の原稿を募集します。
下さい。個別研究会等で会議室を御利用になる
・Publication/Documents:刊行物・文献資料体
場合は、取りあえずお電話を下さい。
裁は本号 4 ページを御参照下さい。
会議用には OHP, スライド(Kodak), 液晶プ
・Announcement:研究会・催事の御案内
ロジェクター(APTi 新規購入)が有ります。
会員による講演会等の御案内も随時掲載しま
個別に利用できるデスクがあります。貸し出
し用ノート型パソコン(IBM Think Pad)も新規
す。日時・会場・事務局等を明記願います。
購入いたしました。FAX、電話、コピー、E-mail
・Report:報告
海外研修報告、国際会議参加報告等
もご利用いただけます。
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上に及ぶ場合は御相談下さい。
●原稿執筆上のご注意
①原稿のテキストファイルを電子メール(推
③写真を使用される場合は、プリントされたも
のを郵送願います。
奨。本文挿入または添付ファイルで)あるいは
3.5インチのフロッピーディスクでお送り下さ
④締め切りは偶数月の 15 日(必着)です。
い。ワードプロセッサーを使用される場合は、
MS-Word 形式もしくは一太郎形式で文書ファ
■お詫びと訂正
平成 1 1 年 1 1 月 8 日発行 9 9 - 1 1 会報の
イルを保存して下さるようお願いいたします。
②編集の都合上、400 字を1単位としてその整
Opinion 欄 1 ページ左側下から 4 行目「財力あ
る道路空間」→「魅力ある道路空間」の誤りで
数倍(上限4単位=1ページ分:表題・図表を含
む)になるように調整して下さい。2ページ以
す。お詫びして訂正いたします。
計画
・交通研究会
計画・
会長
中村 英夫
副会長
黒川 洸
副会長
森地 茂
事務局長
石田 東生
会報編集委員長
窪田 陽一
会報編集責任者
橋本 昭夫
〒 102-0083
東京都千代田区麹町 5-2-1 K-WING 6F
交通
JR 中央線四谷駅下車徒歩5分/営団地下鉄丸の内線四ッ
谷駅下車徒歩5分/営団地下鉄南北線四ッ谷駅下車徒歩
6分/営団地下鉄有楽町線麹町駅下車徒歩4分
TEL=03-3265-1774
FAX=03-3221-5489
E-mail = [email protected]
Homepage = http://www06.u-page.so-net.ne.jp/sa2/easts/
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