21.不動産バブルを予測し、活用する。 (1)不動産バブルは繰り返して

21.不動産バブルを予測し、活用する。
(1)不動産バブルは繰り返して起きて「お金持ち」と「破綻者」を作る!
昔から不動産は20年~30年に1回の割で「バブル」と「バブル崩壊」を繰り返し
て、人々を「お金持ち」にも「破綻者」にもしてきました。
バブルの発生を初
期に見抜いて購入し、バブルの最盛期を経て、バブルが崩壊する前に売却すること
ができれば、大きな利益が得られます。
りません。
しかし、バブルに乗ることは容易ではあ
バブルは徐々に始まり、多くの人は「実需がないのにそんなに高く売
れるのはおかしい!」と疑っている内に、ドンドン値上がりし、値上がり益を得た
人が周り中に出てきて「値上がりするのが当たり前」に見えてきた頃、多くの人が
我も我もと買いに走り、価格は爆発的に上がっていきます。
そして、実需に基づ
かないバブルの崩壊は突然に始まり、気がついた時には誰もが一斉に売り出します
が、買う人が全く居なくなり、ただ値下がりするのを見ているしかなく、多くの人
が大損することになります。
そこで、その「バブルの始まりと崩壊の予測は不可
能だ」と言うのが常識化していますが、ある程度の予測は可能です。
(2)日本における不動産バブルの歴史
日本には3度の不動産バブルがありました。
不動産には「値上がり」と「値下
がり」のサイクルがありますので、そのサイクルを見抜かなければなりません。
①
第一のバブルは、'60年代の高度経済成長下で工場用地の需要が急増して工場用地
が高騰しました。
又、'70年代には大都市とその周辺地域に人口が集中して宅地
需要が増大し、これを契機に「列島改造ブーム」が起き、全用途で地価が高騰しま
した。
これにより日本国民のほとんどが豊かになりました。
これは「経済成長
期のバブル」であり、需要の予測ができれば比較的予測可能な良きバブルでした。
②
第二のバブルは、'80年代のバブルで、「低金利下の金余りによるバブル」です。
これは、アメリカのドル高による不況を救済する為に作った「プラザ合意」(ド
ル安政策)により、350円/1$が160円/1$となる急激な円高となり、日本政府が
不況を防止する為に公定歩合を2.5%迄下げる低金利政策を続けたので、国内の余剰
資金が不動産に大量に流入して不動産バブルとなったのでした。
を売るとアメリカ全土が買える」と言う土地バブルでした。
金持ちになり、GDPもアメリカを抜く状態でした。
「東京都の土地
日本人は世界一のお
しかし、この日本の好景気は
アメリカの反感を買い、アメリカの圧力により、'90年の不動産への総量規制とい
う「不動産バブル崩壊政策」で封じられ、不動産バブルは崩壊し、何と不動産価格
は1/4に下落し、その為土地担保で貸し込んだ銀行の破綻を招き、金融機関の融資
が細り、日本経済界全体の不況・デフレ経済に繋がりました。
その後も景気回復
の為の公共工事費用等の為の財政出動が続き、今や1,000兆を超す国債発行高とな
り財政不安を抱えることになり、その割には日本経済はなかなか立ち直れず、「失
われた20年」と言う日本経済の沈下を産み、未だに苦しみは続いています。
-1-
③
第三のバブルは、'03年~'07年の不動産証券化バブルです。
不動産に流動化と直
接金融の仕組みが導入された不動産証券化によって、REITやファンドが海外の投資
マネーを呼び込んで、首都圏を中心とした企業の持つ収益ビルがミニバブルとなり、
三大都市圏を中心とする都市部の商業用地が高騰しました。
この商業地のミニバ
ブルにより、日本のバブル崩壊後の「失われた20年の不況」は少しだけ回復軌道に
戻ることがで来ました。
しかし、この「不動産証券化バブル」は、'07年7月のアメリカの「サブプライム
問題」と'08年9月の「リーマンブラザーズ証券破綻」で終わり、証券化証券を大量
に購入していたアメリカとEUの金融機関は危機に陥り、日本の不動産への外資のお
金は引き上げられてしまい、ファンドやリートの勢いが止まり、そのとばっちりで
日本の経済と不動産は落ち込み、未だにその後遺症から立ち直れないで居ます。
④
第四の不動産バブルが予見できる。(詳細は後述)
(3)不動産バブルを見抜いて勝つ!
不動産バブルを予見し、活用することができれば、予想以上のお金持ちになれま
す。
さて、どうすればいいでしょうか?
バブル発生には3つの条件・メカニズムがあります。
①
第一の条件は、大ボリュームの資金がまとまって存在すること。
例えば、好景気による企業の黒字や国の貿易黒字や膨大な年金基金等々です。
②
第二の条件は、低金利です。
低金利の為、預金や国債などの安全資産では運用の役に立たない時に、より有利な
運用先として何らかの高利回りの投資対象に向かうのです。
③
第三の条件は、上記の大量の資金の受け皿になる何かがあること。
例えば、優良で高利回りな金融商品、割安で且つ今後の成長が見込める不動産、将
来の成長が見込める物、或いは現在過小評価されている物等が受け皿になり、それ
は何でも良いのです。
※
以上のバブル発生のメカニズムは、日本の中で揃う必要はなく、現在は世界がまる
で一つの市場であるかのようなグローバリジェーションが進んでいるので、パワー
マネーは海を渡り、風の如くに素早く襲いかかる。
価格上昇に勢いがつけば、そ
れを合図に更に多くの世界中の資金が押し寄せて、ついにバブルになる。 その為、
バブルは昔よりも頻繁に起きる環境になっているのです。
又、一旦バブルが崩壊
しても、低金利が続く限り、大量のパワーマネーが消滅しないでジッと次の投資対
象を探して折り、むしろ、大型のバブルがはじければ、回復プロセスに於いてその
国は低金利政策をとらざるを得ないので、それが次のバブルの複線になるのです。
④
バブル崩壊のメカニズム
上記のバブル発生のメカニズムの条件の一つがなくなるとバブル崩壊が起きま
す。
例えば、②政策金利が上昇したり、③受け皿になった資産や商品が価格高騰
して高利回り性が低下したり、税制上の優遇措置が廃止されて購入のメリットがな
-2-
くなる等々のことが起きると、購入者が居なくなり、バブルは一気に崩壊すること
になり多くの被害者を出します。
上記でバブルの発生と崩壊のメカニズムは判りましたが、その兆候を見抜いて、
バブルの初期に購入し、バブルの崩壊前に売却する、と言うことが我々にもできる
しょうか?
ただ運を天に任せていては、お金持ちにはなれません。もう少し、
詳しく研究してみましょう。
(4)グローバルマネーの存在とバブル発生の兆候がある!
(1)グローバルマネーの増大とその威力
最近10年程の間に、成長著しい中国を初めとする新興国勢力及び中東産油国が台
頭し、その外貨準備金等が加わり、グローバルマネーは約50兆ドル(約5,000兆円)
の規模となり、世界中の高利回りの物や安定収入に向かって、襲いかかってバブル
を発生させ、突然に逃げ去ってはバブル崩壊をさせています。
グローバルマネーには、倫理感は無いので、「儲かる物なら何にでも」政治や国境
を越えて、「高成長」或いは「安定収入」を狙って世界中を駆け巡るからです。
一度グローバルマネーに襲われたら、日本のGDP約550兆円の10倍近いお金が一地
方や一産業や一資源に突然ドッと集まり、その地域を焼き尽くす勢いで投下される
のですから、一国一企業ではとても抵抗できる規模ではないでしょう。
(詳しくは拙著「グローバルマネーの時代」参照)
(2)
グローバルマネーの登場により、バブルのサイクルが変わった!
グローバルマネーの台頭で「不動産バブルのサイクルが変質し」「バブル発生の
確率が高くなり」「価格の上昇の天井が高くなり」「バブル崩壊後の回復期間も永
く」なった。
何故ならば、不動産マーケットは本来「都市というローカルなマーケット」であ
り、オフィスでも、ショッピングセンターでも、住宅でも、需要はその都市の人々
が実際に利用することがベースになっていて、グローバルマネーが投下されたから
と言って新しい需要を生み出すわけではない。
しかし、一地方の不動産に対して
巨大な額のグローバルマネーが投下されると言うことは、需要と関係なく一挙に価
格の上昇を招き、その勢いにつられてローカルマネーが遅れて算入してバブルは最
盛期を迎え、価格上昇の天井も格段に高くなるし(バブル発生)、やがて実需を超
えた供給と価格高騰でバブルは破綻し、上昇幅が大きかった分落ち込みも大きくな
り、回復にも時間がかかることになるわけです。
例えば、'03年以降の福岡市で
の商業ビルはそのバブルの傷跡を深く残して、今も空室率は大きいままで、もっと
も厳しい新築ビルの空室率は60%以上です。
ファンドバブル期に仕入れた地価は
高く、開発費も高いコスト構造になっているので、賃料を周辺相場に下げることも
できず、空室の消化が進まないからです。
ネーの算入には細心の注意が必要です。
-3-
グローバルマネーの動向とローカルマ
(3)
グローバルマネーの投資対象
グローバルマネーの好む投資パターンは、「値上がり或いは高成長の見込めるマ
ーケットに狙いを定め」「その不動産サイクルの底近くで買い」「上昇してから売
る」と言うシンプルなものです。
①
グローバルマネーはバブルが大好きなのです。
グローバルマネーの主たるターゲットは新興国です。 新興国の「高成長狙い」は、
リスクも大きいが、値上がり益も大きく期待できるからです。
②
他方、非新興国であってもバブル崩壊後に仕込めば安く買えるし、回復後に高収入
が見込める為、その国の一等地など値下がりの大きい買い得物件が狙われます。
例えば、'90年の日本のバブル崩壊後の東京の一等地のビルやゴルフ場等が、安い
価格でアメリカのファンドに買い取られたのがその一例です。
そのお陰で日本の
主要都市の地価が上昇し、日本経済が立ち直れたと言うプラスの事例です。
更に、'07年以降の証券化証券バブル崩壊後には、中国のお金がアメリカの主要
都市の高級住宅や台湾や日本の別荘や高級住宅、旅館・ホテル、水の豊富な原野等
々の買収に廻されているのもその一例です。
中国では、不動産価格が高騰し(バ
ブル状態)、中国政府の引き締め政策で余った資金が海外にシフトしている、と言
われています。
(5)
不動産に第四のバブルの兆候が出ている。
証券化証券のバブル崩壊後、アメリカは財政不安が問題になっているし、EUもギ
リシャの財政悪化に端を発して、ギリシャの国債を大量に購入しているEU諸国の金
融機関の破綻が懸念されていることから、アメリカとEUでは不況対策で当分は低金
利のお金をジャブジャブ発行しています。 欧米でジャブジャブ発行されたお金は、
金融証券化の進んだアメリカに集まり、ファンドやリートとして世界中の高利回り
商品や安定収入に向けて流れ込みます。
①
欧米先進国は現在は不況下ですので、低金利のお金がジャブジャブ発行されても、
その余剰資金の国内投資先は少ないので、成長可能性の大きい中国等の新興国への
投資や食料資源や鉱物資源やエネルギー資源、或いは金等の現物投資に向かいます。
即ち、経済不安に強い「金」や不足が予想されている「食料」や「エネルギー資
源」や「工業資源」の実需以上の値上がりはその為に起こった現象です。
②
又、グローバルマネーは、「利回り」と同時に「安定収入」を求めますので、「バ
ブル崩壊後に値下がりして安く買える日本やアメリカの高級不動産」にも一部が流
入し始めてています。
何故ならば、「特に、日本の不動産は比較的価格が安定し
ているし、安定した収入も得られ、何よりも治安が良いし、景気回復後には転売利
益も期待できる」ので「リスクヘッジになるから」です。
(6)
次ぎに来る不動産バブルは非常に大型になる!
今回の世界金融危機がアメリカとヨーロッパを中心に広く根深く且つグローバル
に発生した為、欧米の政策対応は迅速で大規模に行われました。
その為市場には
低金利のお金がジャブジャブに供給されて、余剰資金の行き場がなく、過剰な流動
性となってうなりを上げ初めている状態ですから、次ぎに来る不動産バブルは非常
-4-
に大型になります。
もはや「バブルは発生するか」、ではなく、「不動産バブル
はどこで発生するか」と言う事態であると言えます。
「今度の買い手は誰か」で
すが、従来の買い手であったREITとファンドに加えて、ソブリンファンド(政府の
余剰資金)や中国やシンガポール等のアジアマネー等の新しい顔ぶれも積極的な動
きを見せていますので、その動向を注目したいものです。
何故不動産がマネーを引きつけるのでしょうか?
※
ところで、
①
その一つは、資産の分散効果です。 全ての金融商品が下落する時でも、不動産は、
他と比較して価格下落が緩やかに起きるので、資産の危険分散効果が期待できるか
らです。
②
不動産のキャッシュフローの高さです。
不動産には売却する時のキャピタルゲイン(売却利益)と運用する時のインカム
ゲイン(賃料収入等)があり、価格が下落しても7%~10%の高い利回りの賃料収
入(安定収入)が得られるからです。
③
不動産にはインフレヘッジの魅力がある。
今回の世界的金融危機に際して、欧米は大幅な金利引き下げとジャブジャブにマ
ネーを供給を決定しましたので、世界経済はインフレの方向に向いている、と言え
ます。
そこで、インフレに強い不動産は投資家には強い味方になるからです。
ちなみに、金が高騰しているのも、金がインフレに強いからです。
以上、不動産バブルとグローバルマネーの関係の検討の結果、首都圏の優良不動
産は、近い将来バブルの対象になる可能性が高い、と言えます。
特に浦安市の不
動産は、東日本大震災の液状化被害で価格が下がっているが故に、阪神大震災後の
神戸の地価と同様に3年後には価格が戻ると思われますので、今こそ良い物を安く
買うチャンスでもあり、不動産でお金持ちになるチャンスがある、と思います。
2012年10月1日
④
記
「アベノミクス」は、デフレ脱却という旗の下に、異次元の金融緩和と公共投資と
規制改革による産業の再生と言う3本の矢を放ちました。これでインフレになりま
すので、株と不動産の大型のバブルが起きる条件が整いました。アメリカやEUや中
国の余剰資金・グローバルマネー約5,000兆円がうなりを上げて日本に上陸してく
ることが予想されます。バブル発生の初期に思い切った投資をする時期が今来てい
る、と思われます。
2013年
参考資料
4月
3日
「不動産バブルで且つ鉄則」久恒新著
「マネー避難」藤巻健史著
記
日本経済新聞出版社
幻冬舎
「2012年日本経済は大崩壊する」朝倉慶著
幻冬舎
「不動産マーケットはこうなる」三菱UFJ信託銀行
日系BP社
「アメリカは日本経済の復活を知っている」浜田宏一著
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講談社刊
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