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口金に関するFAQ(答え)のページ(3)
→質問
口金の表面処理(めっき)の種類と特徴は?
→答え
口金のめっきには内容液、その他の目的に合わせて以下のような種類があります
1.鋼製ドラム用口金のめっきの種類
ユニクロめっき、クロメートめっき(電気亜鉛めっき)
(1)フランジ
クロムめっき(電気めっき)
ユニクロめっき、クロメートめっき(電気亜鉛めっき)
(2)鋼製プラグ
クロムめっき(電気めっき)
2.めっきの概要
(1)めっきとは
鉄は素地のままではすぐに腐食され赤い錆がでてきます。長い間、そのままにし
て置くと、この腐食は表面から次第に内部へと深まり、その表面はぼろぼろになり
、ついには、元の形が見る影もない程になってしまいます。鉄だけでなく、他の金
属、例えば、銅やアルミニウムなどの金属も表面に酸化物ができ、変色したり、腐
食したりします。これらの金属の表面をいつまでも美しく保つために、錆や変色に
強い金属の薄い皮膜を被せることを「めっき」といいます。
(2)めっきの種類と製品の種類
1)めっきの種類と製品の種類を表.1に示します。
表.1
表面処理種
製品の種類
亜鉛めっき
釘、ボルト、ナット、自転車用スポーク、傘骨、建築用金具
ニッケルめっき
灰皿、鎖、ピンセット、ビス
銅・ニッケル・クロムめっき
自動車のバンパー、マフラー、自転車やオートバイのハン
又は
ドルやリム、アイロン、時計、ライター、文房具
ニッケル・クロムめっき
クロムめっき
印刷ローラー、金型、工具
すずめっき
食器、釣り針、電子部品
銀めっき
カップ、フォーク、スプーン、ネックレス、指輪
金めっき
カップ、ペン先、ハンドバッグ金具、バッジ
-1-
2)口金のめっきとしては、亜鉛めっき(光沢クロメート及び有色クロメート)、銅・
ニッケル・クロム及びニッケル・クロムめっきの3種類があります。
①
亜鉛めっき
亜鉛めっきには、光沢クロメート(ユニクロ)と有色クロメートの2種類があります。
亜鉛めっきは、鉄に対して防食力が大であることが一般的に知られています。これは、
亜鉛が鉄を電気化学的に防食するためです。また、表面にクロメート処理を行うことに
より、さらに光沢及び耐食性を高めることができます。
口金では、下地(鉄)の上に亜鉛めっき(15μm以下)及びクロメート皮膜(0.1∼
0.5μm)の2層からなっています。
Ⅰ
光沢クロメート皮膜(0.1μm)
光沢クロメートは
ユニクロ
とも呼ばれ、低濃度の市販浴が一般的に使用されて
います。皮膜中には、6価クロム(Cr6+)が少なく3価クロム(Cr3+)の皮膜の為、
光沢のある青白色となります。
Ⅱ
有色クロメート皮膜(0.5μm)
有色クロメートは、ユニクロと区別する意味で、一般的にクロメートと呼んでいま
す。皮膜中には、6価クロムが多く含んでいるため、耐食性に優れ、黄金色になりま
す。JISにも定められていますが、48時間塩水噴霧試験にて錆びの発生の無
いこととなっています。
②
銅・ニッケル・クロムめっき及びニッケル・クロムめっき
Ⅰ
銅めっき
銅めっきは鉄鋼素地、亜鉛ダイカストやアルミニウム素地上へのめっきの下地めっ
きとして広く用いられています。めっきの密着性を良好にすることと、下地になるこ
とでのレベリング効果でクッション材の役目を果たします。
Ⅱ
ニッケルめっき
ニッケルめっきは鉄鋼、銅及び亜鉛ダイカストなどの防食及び装飾として広く用い
られ、耐摩耗性、耐食性に優れて、硬さの大きいめっきです。
Ⅲ
クロムめっき
クロムめっきは、空気中で表面に不働態化層を形成し、長い期間光沢を保つので、
広く装飾用めっきとして用いられ、硬度も高いので工業用クロムめっきとして、耐摩
耗性を必要とする部品に用いられています。
-2-
(3)めっきの工程
めっきの工程は、大きく分けて研摩前の錆取り、脱脂などの工程、バフ研摩、バレ
ル研摩、化学研摩などの研摩工程、前処理工程、各種めっき工程及び後処理工程に分
けられます。その他に水洗や乾燥などがあり、全工程は非常に多く、中には15工程
以上のものもあります。表.2に各種めっき工程の例を示します。
表.2
鉄
素
地
銅・ニッケル・クロム
鉄
二重ニッケル・クロム
1.溶剤脱脂
1.加熱脱脂
2.水
2.水
2.水
洗
洗
3.電解脱脂
3.加熱脱脂
3.電解脱脂
4.水
4.水
4.水
洗
洗
洗
5.弱酸浸漬
5.電解脱脂
5.弱酸浸漬
6.水
洗
6.水
6.水
8.水
洗
7.弱酸浸漬
7.亜鉛めっき
8.水
洗
8.水
10.水
洗
9.弱酸浸漬
9.光沢銅めっき
10.水
洗
洗
洗
洗
11.光沢ニッケルめっき
11.半光沢ニッケルめっき
10.水
12.水
12.水
11.クロメート処理
洗
洗
洗
13.クロムめっき
13.光沢ニッケルめっき
12.水
洗
14.水
洗
14.水
13.湯
洗
15.湯
洗
15.クロムめっき
14.乾
燥
16.乾
燥
16.水
洗
17.湯
洗
18.乾
燥
洗
-3-
地
亜鉛めっき
1.加熱脱脂
洗
素
3.口金の耐食性
フランジの耐食性に関して、ユニクロめっき品とクロムめっき品の屋外暴露テス
ト及びフランジのカール部クラック発生状態の比較を実施しました。
(1)フランジの暴露テスト
1)テスト期間:5日間(平成12年6月14日∼6月19日)
めっき種
暴露方法
観
ユニクロ
屋外放置
カール部に白錆発生
2‐1
屋内放置
カール部に錆発生なし
2‐2
屋外放置
カール部に赤錆発生
2‐3
屋内放置
カール部に錆発生なし
2‐4
クロム
察
結
果
写真No
2)テスト期間中の天候
6月14日
6月15日
6月16日
6月17日
6月18日
6月19日
晴れ
晴れ
晴れ
雨
曇のち晴れ
晴れ
写真.2‐1
写真.2‐3
ユニクロ(屋外放置)
写真.2‐2
クロム(屋外放置)
ユニクロ(屋内放置)
写真.2‐4 クロム(屋内放置)
3)テスト期間中に雨が1日ありましたが、屋外放置品はユニクロ、クロムめっき品
共にカール部に錆の発生が認められた。一方、屋内放置品はユニクロ、クロムめっ
き品共に錆の発生は認められませんでした。
-4-
(2)カール部拡大観察結果(
写真.3‐1
30倍)(クラック発生比較)
ユニクロ品カール部
クラック大
クロムめっき
写真.3‐2
>
ユニクロめっき
クロム品カール部
クラック小
クロムめっきはクラックの発生程度が大きく、カール部の耐食性を悪くしている。一
方、ユニクロめっきは、クラックが小さいので侵蝕は少ない。
(3)フランジの塩水噴霧試験((財)自転車産業振興協会 技術研究所 大阪支所)
JIS H 8502 5 めっき塩水噴霧試験
めっき種
試験条件
テスト期間
カール有無
熱処理の有無
ユニクロ
無し
24時間
クロメート
(連続)
クロム
無し
ユニクロ
クロメート
クロム
有り
2時間
ユニクロ
180℃ 20分
(連続)
クロメート
クロム
(注)熱処理条件は、ドラムの外装条件を考慮したものです。
各試料条件にて、クロムめっきの腐食程度は大きく、ユニクロめっきが優位であり、
さらにクロメートめっきが優位であることが認められました。
平成5年2月22日
観察結果
先端部に白錆発生
白錆発生を認めず
先端部に赤錆発生
カール部に白錆発生
カール部に白錆発生
カール部に赤錆発生
カール部に白錆発生
カール部に白錆発生
カール部に赤錆発生
(4)鋼製プラグの塩水噴霧試験((財)自転車産業振興協会 技術研究所 大阪支所)
JIS H 8502 5 めっき塩水噴霧試験
平成5年2月22日
品目
めっき区分
試験時間
観 察 結 果
ユニクロめっき
鋼製プラグ
24時間
試験面におよそ1%程度の白錆発生
クロメートめっき
(連続)
試験面に白錆発生を認めず
クロムめっき
試験面のおよそ 10%程度に赤錆発生
従いまして、鋼製プラグ クロメートめっきが耐食性について非常に優位です。
4.まとめ
(1)フランジ「ユニクロめっき及びクロメートめっき」は「クロムめっき」より優位
1)フランジの加工性及び耐食性を考慮し、クロムめっきを必要とする内容物用ドラ
ム以外は、ユニクロめっき又はクロメートめっきへの変更が優位であります。
2)現在の仕様において、フランジがクロムめっきで、鋼製プラグがユニクロめっき
の場合、フランジをユニクロめっき又はクロメートめっきに変更しても問題ありま
せん。
(2)プラグの耐食性は鋼製プラグ・クロメートめっきが優位
1)フランジと同様、クロムめっきを必要とする内容物以外には、鋼製プラグ・ユニ
クロめっき及びクロメートめっきへの変更が優位であります。
以
-5-
上