低温期の高 pH 維持でネギ黒腐菌核病被害を軽減

(式1
A4縦)
低温期の高 pH 維持でネギ黒腐菌核病被害を軽減
研究課題名
IPM(総合的病害虫管理)によるネギ属作物の安定生産技術の開発
(平成 24 年~27 年)
[研 究 の ね ら い]
・ネギ黒腐菌核病は、収穫ゼロになるような大被害をもたらす白ネギの重要病害である。
・土壌 pH が極端に低いと発病が助長される一方で、pH を中性以上にした場合の効果につい
ては分かっていなかった。
・そこで、本病発生が最も問題となる低温期(12 月~翌年 2 月)に pH を高く保つことで発
病にどう影響するか検討した。
[研 究 の 成 果]
・発病が激しくて収穫がほとんどない畑で、低温期の pH を 7.0 近くに保ったところ、2 月の
収穫時に販売できるネギの割合が増えた(3%→24%)
。
・病原菌は pH を下げて発病環境を作るが、10℃~5℃(11 月下旬~2 月の地温)では、最初
の pH を 7.0 以上にすることで pH 低下が遅れ、発病も遅れることが分かった。
・白ネギ栽培では、軟白部(食べるところ)を伸ばすため、「土寄せ」を秋から 3~4 回行うの
で、土寄せ時に石灰を施用し冬の pH を高く保てば、本病害による被害を軽減できる。
・植え付け前の土の消毒や輪作などと組み合わせて、総合的な対策に用いることが出来る。
ネギから切り出
した葉片
土寄せ
1回目
10月はじめ
pH調整した液
中にカビの素
(菌核)を接種
→5℃・5週間
暗所で培養
2回目
11月はじめ
pH6.5でスタート
pH7.5でスタート
3回目
12月はじめ
仕上げ
12月下旬~1月
石灰処理
販売可能
無
3%
95%
有
24%
pH4.0 以下の葉片の割合
土寄せ後の石灰
の位置
発病した葉片の割合
87%
◎土寄せ時石灰施用の発病軽減効果
(植物保護科 TEL:0538-36-1556
67%
47%
◎低温期の pH 低下抑制が重要
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