東京大学 大学発教育支援コンソーシアム推進機構(CoREF) 知識構成型ジグソー法を用いた協調学習授業 学校名: 授業案 埼玉県立狭山緑陽高等学校 授業日時 学年・年次 実施内容 教科書及び 教科書会社 平成 25 年 11 月 1 日( 金 ) Ⅱ部2年次 基礎クラス 数学活用 測定と数学 数 学 Ⅰ 図形の計量 授業者: 原 健太郎 教材作成者: 原 健太郎 教科・科目等 生徒数 本時/この内容 を扱う全時数 数学活用(数学Ⅰ) 15人 (男8 女7) 9 / 12 実教出版「数学活用」 ・ 「数学Ⅰ」 授業のねらい(本時の授業を通じて児童生徒に何を身につけてほしいか、この後どんな学習に つなげるために行うか。) ・三角比の意味やその基本的な性質について理解する。 ・測量の基礎(「見えない長さを測る」ため)に三角比が活用されていることを認識する。 ・計算などの苦手なことはICTを活用するなどし、問題解決に努める態度を身につける。 ・自分で物事を考えて、解決しようと試みる姿勢を育成する。 ・「見えない長さを求める」ために[角度][長さ]が分かれば求められることに気付く。 本単元においては、数学活用の測定と数学「建物の高さを求めよう」・数学Ⅰの三角比「タン ジェントの利用」の2つの学習項目を満たすものとして概要を設定する。 メインの課題(授業の柱となる、ジグソー活動で取り組む課題) ・「見えない長さを測ってみよう」 本時では最終目標を「校舎の高さを求める」こととする。そのための取組として、教室の天 井の高さをジグソー活動を通して求める。 その後まとめの活動として、教員が提示した条件(校舎までの距離とそのときの仰角)を使 用して校舎の高さを計算して求める。 児童生徒の既有知識・学習の予想(対象とする児童生徒が、授業前の段階で上記の課題に対 してどの程度の答えを出すことができそうか。また、どの点で困難がありそうか。) ・通常の授業において、板書をプリントに写すのがやっとの生徒集団である。 「自ら考える活動」、「人に説明する活動」が行えるか、授業担当者として不安である。 ・「見えない長さ」について考える活動は、本時が初めてである。それもあり、ほとんどの 生徒が何も手につかないと考えられる。 期待する解答の要素(本時の最後に児童生徒が上記の課題に答えるときに、答えに含まれてい てほしい要素。本時の学習内容の理解を評価するための規準。) ・数字。 ・存在しそうな長さ(高さ)。 各エキスパート<対象の児童生徒が授業の最後に期待する解答の要素を満たした解答を出す ために、各エキスパートで抑えたいポイント、そのために扱う内容・活動を書いてください> A「測量」 ポイント:2mのメジャーを使用して測定地点を決め、「カクシリキ」を用いて仰角を測り、 目の高さを測る。 B「計算」 ポイント:得られる角度から関数電卓を用いて tan の値を調べる。 その小数の値を電卓を使用して計算する。 C「相似」 ポイント:直角三角形を与え、相似の概念を用いて長さを求める。 ジグソーで分かったことを踏まえて次に取り組む課題・学習内容 sin、cos を用いて求める問題に取り組めるようにする。 すなわち、斜辺という見えない線分の長さを考えて「見えない長さ」を求める。 ・雪吊りに使うロープの長さを求めてみよう。(sin) ・階段に手すりをつけたい。手すりの長さを考えよう。(cos) 本時の学習と前後のつながり 時間 取り扱う内容・学習活動 これ まで ○三角比の基本を学ぶために ○三角比の基本 前時 ○三角形の基本 ・三角比の表すもの ○関数電卓の使用 到達して欲しい目安 ・sin、cos、tan の求め方を習得する。 ・三角比を求められる三角形の向きを 習得し、直せるようにする。 ・三角比の表すものについて理解する。 ・以後の三角比の利用において必要な 相似の概念と計算、三角比の表すものに ついて習得する。 本時 ○タンジェントの利用 ・校舎の高さを求めよう ・三角比を利用することで、いろいろな 高さや距離を求められることを知る。 次時 ○サインの利用 ・雪吊りロープの長さを求めよう。 ○コサインの利用 ・手すりの長さを求めよう。 ・想像上の線となる斜辺の部分を認識し、 知りたい長さについて求められるように なる。 この 後 ○三角比の応用 ・正弦を用いた三角形の面積の求め方を 理解し、求められるようにする。 ・正弦定理と余弦定理を習得し、直角三角形 で表されない長さを求められるようにする。 上記の一連の学習で目指すゴール ・直角三角形において、[角度]と[長さ]から知りたい長さを求めることができる。 ・鋭角三角形において、[角度]と[長さ]から知りたい長さを求めることができる。 ・三角比を用いて図形の計量の基本的な性質を理解し、三角比を活用することができる。 ・知識構成型ジグソー法を通して数学的活動を自ら行えるようになる。 本時の学習活動のデザイン 時間 ・学習活動 2分 ○挨拶・着装指導・出席点呼 5分 ○本時の最終目標の提示 ・校舎の高さを測ってみよう 校舎の高さを測るためにはどのように 計算すればよいか考えたい。 3分 ○課題提示 教室の天井の高さを測ってみよう。 ・支援等 ■プロジェクタの使用 ・[角度]と[長さ]を知り、それから求め ることが出るという事を伝える。 (今までの授業の意義を伝えたい) ■測量映像の提示 エキスパート活動へのヒントとする。 10分 <エキスパート活動> ■電卓・関数電卓の使用 A「測量」 ・測定地点の決定は教室の目標となる 2mの紐を使用して測定地点を決め、 分度器(角知り器)を用いて仰角を測る。 ものを基準に考えたほうが楽である ことを伝える。 B「計算」 得られる角度から関数電卓を用いて ・関数電卓アプリの使用方法について tan の値を調べる。その小数の値を 援助が必要になると思われる。 電卓を使用して計算する。 ・比の概念を習得していない生徒が多い C「相似」 ので、求め方を「式」として与え、 直角三角形を与え、相似の概念を用いて 必要な生徒へは電卓の使用を認める。 長さを求める。 10分 <ジグソー活動> A、B、Cの情報を持ち寄って 課題解決を試みる。 5分 10分 <クロストーク> 各班で求めた値を発表させる。 可能な範囲で求め方を発表させる。 ・「授業で習っていないことをやる」 ことに対して取り組めない生徒ばかり なので、大きく誘導する必要がある。 ■カメラとプロジェクタを連携させ、 ICT活用場面を生徒に見せることで 興味をひく。 <活動の振り返りとまとめ> 校舎の高さを測ってみよう。 クロストークで得た求め方を元に、 校舎の高さを測る活動を行う。 ■実測映像の提示 ・上記課題解決するための条件をこちら から提示し、一つの答えを導く。 グループの人数や組み方 スマートフォン(アプリの使用)・携帯電話(電卓利用)の所持で班構成を考える。 話し合い活動が少しでも発生するようにジグソー活動・クロストークのメンバーを構成する。 欠席者が多い講座であるので、臨機応変にメンバー構成について対応する。
© Copyright 2024 Paperzz