卓球・野球・サッカーにおけるナックルボールの研究 04FJ106 本田達也

卓球・野球・サッカーにおけるナックルボールの研究
04FJ106 本田達也
【研究動機】本研究では、卓球・野球・サッカーにおけるナックルボールの研究である。私は卓
球を 12 年間続けてきて、卓球は球にかける回転が重要な役割を果たすスポーツであるという認識
を強く持っているが、一方で卓球におけるナックルボールの存在も否定できない。この球は、毎
回確実に出る球ではないと考えられ、どのような当て方をしたら出るか、どのような球の軌道を
しているか、など疑問が多数存在する。また卓球だけではなく野球やサッカーにもナックルボー
ルがある。野球・サッカーのナックルボールの出し方や軌道の研究をした。
【研究方法】卓球の場合は、卓球部員達にナックルボールとは、何かと聞いたり、卓球のビデオ
撮りナックルボールの球がどのような軌道をしているかを研究した。野球の場合は、ナックルボ
ールのことを「魔球」と言われている。魔球と言われる所以は、打者がヒットするのに困難であ
るだけでなく、捕手が捕球するのも困難であり、さらに審判も判定に苦しむ処にある。魔球の研
究をしている研究者のひとりに溝田武人(福岡工業大学)がいるが、その風洞実験の中で「ボールの
縫い目のある方から渦が出ていてその影響で球が揺れるのである。
」と述べている。この魔球を現
役で投げる選手は数少ない。その中の一人が大リーグ選手のティム・ウェイクフィールド投手(ボ
ストンレッドソックス)である。このウェイクフィールド投手はニークロ兄弟(Phil and Joe
Niekro http://en.wikipedia.org/wiki/Phil_Niekro http://en.wikipedia.org/wiki/Joe_Niekro )にこのナック
ルボールを教えてもらい、今まだ一線で活躍している選手である。サッカーの場合では、
「ブレ球」
と言われている。日本では本田圭佑(名古屋グランパス)が蹴っている。実際の試合で蹴ったの
は、
5月 16 日に行われた北京オリンピック2次予選の日本対香港戦の後半のフーリキックである。
この時のブレ方は、予想方向の逆に行き、ゴールキーパーは一歩も動くことなくゴールされてし
まった。この蹴り方は「やべっちFC」でも取り上げられていた。浅井武(筑波大学)によると「ナ
ックルボールのボールの後ろに空気の渦ができている。」この渦のことを、カルマン渦列と言う。
このカルマン渦列とは、空気の流れの中に障害物を置いた時、または流体中で固体を動かしたと
きにその後方に交互にできる渦の列のことをいう。
V=30m/s で左から右にほぼ水平に飛ぶ直径 d=0.22m のサッカーボール。幅 7.5m の黒幕を 0.25 秒で
渡り、その間に約 10 個の渦をボール後方に発生する。この写真からは渦の発生周波数は約 f=40
個/秒と予想される。この時レイノルズ数 Re=440000。一方ストローハル数 St=fd/V=0.198 より計
算されるは渦の発生周波数は f=27 個/秒。
【結果】卓球では前進回転と後退回転を少しずつ回転しながら飛んで行き、卓球台に付いてから
また少し変化するボールである。野球では野球ボールの縫い目が影響している。野球のボールに
縫い目がなかったらこのボールは変化しないと言われる。サッカーでは、蹴ってゴールポストを
超えるミスキックの様に思われるボールも、急速に落ちてゴールに入ることがあり得る。
【課題】【1】卓球のナックルボールを性能の良いカメラで撮り研究する。【2】カルマン渦列の
2次元の式ではなく、3次元の式を発見する。
【3】理論的な考察を推し進める。