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金融分野における裁判外紛争解決制度の導入とその実効性

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金融商品取引法
指定金融ADR制度の現状と課題
―金融分野における裁判外紛争
解決制度の導入とその実効性―
青山学院大学非常勤講師 畠山 久志
第1章 苦情・紛争解決機関等
はじめに
金融商品取引法の一部改正(平成21年6月24日
公布)が本年4月1日から施行され、金融分野にお
1.苦情・紛争解決機関
ける苦情・紛争解決を行う裁判外紛争解決制度(以
金融商品サービスに関する苦情・紛争解決機関と
下では「指定金融ADR制度」とする。)を利用した
しては、最も典型的な国家機関である裁判所(司法
指定金融ADR機関の設立が可能となった。現時点
型)や行政機関、国民生活センター、実質的にその
(平成22年5月末)では、まだ指定金融ADR機関は
地域機関である消費生活センター、日本司法支援セ
ンター(法テラス)などの公的な制度(行政型)の
設立されていない。
そこで、これまで行われてきた金融商品・サービ
ほか、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法
スに係る苦情・紛争解決制度の取組み状況を概観
律(以下では、「ADR推進法」とする。)に基づく
し、金融商品取引法(以下では、条文引用の際は
認証紛争解決事業者(ADR推進法第2条・以下では
「法」とする。
)で新たに導入された指定金融ADR
「認証ADR機関」とする。)、金融商品取引法に基づ
制度の現状と課題について、投資家・顧客保護が最
き金融庁から認定され一種の制度的保証を持つ認定
も進んでいる紛争解決機関と云われている英国の
投資者保護団体(法第79条の7)、同法自体に規定
FOS(金融オンブズマンサービス)と比較し、検
されている自主規制機関である金融商品取引所(法
討することにした。
第80条)や金融商品取引業協会(法第67条等)、
さらに各業界団体が自主的に設置している苦情など
を取扱う一般的なADR機関(民間型)があり、そ
の形態(図1)は様々である。
(図1)
苦情相談・紛争
解決機関
裁判所
15 |
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行政 法テラス
認証ADR機関
金商法上の機関
業界団体等
自主規制機関
認定投資者
保護団体
指定金融ADR
機関
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2.苦情・あっせんの原因
紛争解決機関の統計等を見ると、苦情あっせんの
体が間違っていた。告知義務違反を理由に死亡保険
が支払われないなどが紹介されている。
ケースの多くは販売勧誘で起きており(資料1)、そ
の事例では例えば、投資信託の勧誘販売に際し、重
要事項である元本が毀損するリスク等について説明
が不十分で損害を被ったとするもの。病気で判断能
力が乏しい高齢者にリスクの高い商品を販売したと
するもの。仕組み預金を後で中途規約した際に支払
を求められる違約金の算定根拠が不明であったとす
るもの。融資とセットでデリバティブ契約をしたが、
解約に応じてくれない。契約時の保険商品の説明自
3.苦情・あっせん相談件数等
(資料1)
勧誘時の問題発生件数(平成20年度データ)
件 数
苦情総数
うち勧誘
あっせん総数
うち勧誘
日本証券業協会
966
419(43.4%)
278
198(71.2%)
全国銀行協会
452[貸出業務]
166(36.7%)
―
―
(注)全国銀行協会の勧誘件数は、公表していないため、
割合から逆算している。
のは日本証券業協会、日本商品先物取引協会、生命
業界における苦情件数を見た場合(資料2)
、平
保険協会の順となっている。平成15年度と比較し
成20年度では日本損害保険協会、生命保険協会、
てみると苦情は約1万4千件から約3万4千件と2.4
全国銀行協会の件数が顕著である。申立者と取引業
倍になっており、また紛争は327件から553件と
者の間では結局解決に至らなく、紛争として弁護士
約7割増であり、解決まで時間のかかる困難な案件
等の専門家があっせん(和解)を行った件数が多い
が多くなっていることが読み取れる。
(資料2)平成21年6月19日第40回金融トラブル連絡調整協議会資料
業界団体における相談・苦情・紛争の件数(平成15〜20年度)
種別
相談(件数)
苦情(件数)
紛争(件数)
年度 15 16 17 18 19 20 15 16 17 18 19 20 15 16 17 18 19 20
2
1
2
2
4 42
預金
合計 57,446 56,742 51,348 44,700 42,978 46,188 1,684 1,530 1,467 3,534 2,711 3,220
JFマリンバンク相談所
10
0
0
6
2
9 13
1
1 21 19 14
0
0
1
0
0
0
信託協会
609 601 675 631 757 822 19 14 21 15 20 28
0
0
0
0
2
2
全国銀行協会
55,418 54,230 48,550 42,083 38,700 41,663 975 775 687 2,958 2,174 2,590
1
0
0
2
1 30
全国JAバンク相談所
494 495 654 498 1,502 1,485 274 342 362 437 387 444
1
1
1
0
0
7
全国信用金庫協会
871 870 981 1,030 1,199 1,274 326 334 315 26 12 10
0
0
0
0
0
0
全国信用組合中央協会
16 512 458 400 662 673 38 41 34 35 46 61
0
0
0
0
1
3
全国労働金庫協会
28 34 30 52 156 262 39 23 47 42 53 73
0
0
0
0
0
0
保険
合計 115,208 104,585 102,801 102,251 102,964 87,560 1,629 5,283 8,136 10,852 27,595 28,566 21 29 45 37 66 121
外国損害保険協会
―
―
―
―
― 1,248
―
―
―
―
― 405
―
―
―
―
―
―
生命保険協会
20,579 12,905 14,256 11,112 9,989 10,100 1,005 4,362 6,898 8,908 10,148 7,616 15 23 33 20 40 82
日本少額短期保険協会
―
―
―
―
― 19
―
―
―
―
― 19
―
―
―
―
―
0
日本損害保険協会
94,629 91,680 88,545 91,139 92,975 76,193 624 921 1,238 1,944 17,447 20,526
6
6 12 17 26 39
投資サービス
合計 11,801 13,212 13,074 11,803 9,806 11,150 1,164 1,114 1,258 1,165 1,168 1,450 304 399 367 464 317 390
金融先物取引業協会
0
0 15 43 12
9 18
7
1 54 139 307
0
0
0
2 10 11
投資信託協会
158 145 181 381 428 413 20 26 30 21 20 23
0
0
0
0
0
0
日本証券業協会
4,945 6,303 7,368 7,451 6,438 8,625 751 854 982 877 773 966 140 149 158 168 173 278
日本証券投資顧問業協会
34 33 27 23 15 11 46 36 25 41 30 35
0
0
1
2
3
5
日本商品先物取引協会
6,637 6,727 5,479 3,904 2,901 2,079 312 191 219 171 197 119 164 250 208 292 131 96
日本商品投資販売業協会
23
1
1
1 11
1 17
0
0
1
9
0
0
0
0
0
0
0
不動産証券化協会
4
3
3
0
1 12
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
その他
合計 92,305 71,202 68,037 60,244 8,652 42,923 9,265 7,602 4,715 3,739 44 598
0
0
0
0
0
0
全国貸金業協会連合会
91,562 70,586 67,611 59,589
―
― 9,263 7,598 4,696 3,723
―
―
―
―
―
―
―
―
日本貸金業協会
―
―
―
― 8,108 42,211
―
―
―
― 43 597
―
―
―
―
―
―
前払式証票発行協会
743 616 426 655 544 712
2
4 19 16
1
1
―
―
―
0
0
0
総計
276,760 245,741 235,260 218,998 164,400 187,821 13,742 15,529 15,576 19,290 31,518 33,834 327 429 414 503 387 553
団体名
(注1)出典:金融トラブル連絡調整協議会第26回資料2-1、第29回資料1-2、第31回資料2-3、第33回資料5
-1、第37回資料1、第40回資料1
(注2)15〜17年度は取扱件数、18年度は、相談については相談件数、苦情については申立件数、紛争については
紛争解決支援件数、19年度以降は、相談については相談件数、苦情・紛争については申立件数をそれぞれの
計数に使用している。
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金融商品取引法
第2章 裁判外紛争解決制度(以下では単に「ADR
制度」とする場合がある。
)
1.裁判外紛争解決制度発展の経緯
裁判外紛争解決制度は、米国において発展してき
たもので、その背景には米国の訴訟制度問題があ
[参 考]
区 分
手続
費用
判断
外部
判決の実効性
る。即ち、①膨大な時間と多額の手続費用負担②高
裁判所
複雑で厳格
多額の出費
画一性と客観性
公開
強制執行の申立て
が別途必要
ADR制度
簡便で迅速
負担軽減 低額
柔軟性と妥当性
非公開
解決まで連続
額な弁護士費用③陪審員制度の不信感などがあると
云われている。米国の金融ADR機関として代表的
第3章 金融トラブル連絡調整協議会等の動き
な も の は、 証 券 関 係 で は 2 0 0 7 年 7 月N A S D と
NYSEの自主規制部門の統合によって設立された金
1.金融トラブル連絡調整協議会設置の経緯
融 取 引 業 規 制 機 関(FINRA-Financial Industry
わが国では平成5年から平成14年までを「失わ
Regulatory Authority)
( 注 1) のADR仲 裁 和 解
れた10年」
(平成不況期)と呼ぶ。そうした長引く
制度がある。その他州レベルでは、地域銀行、貯蓄
不況により経済環境が悪化し、金融機関も経営状況
金融機関、ノンバンク等の業態毎に縦割りの複数の
が著しく厳しくなる中でそうした状況から脱却する
組織が活動していると云われている(注2)。
ため金融審議会(平成12年6月27日)は「21世
紀を支える金融の新しい枠組みについて」答申を提
(注1)
出した。そこでは、
「金融取引の適正化を実現して
www.finra.org/Dispute Resolution Statistics
いくためには、ルールの策定とあわせて、消費者保
FINRAでは、2009年度仲裁の申し立て案件が
護のため、ルールの実効性を確保するための制度の
7,137件(前年度4,982件)
、解決したものは
整備を進めることが不可欠である。…金融トラブル
4,571件
(前年度3,757件)
となっている。なお、
に裁判制度のみで対処することには限界があり、当
証券取引委員会(SEC)メアリー・シャピロ委
事者の合意に基づきつつ、簡易・迅速な紛争解決を
員長は、前金融取引業規制機構(FINRA)最高
実現する裁判外の紛争処理に期待されるところは大
経営責任者(CEO)であった。
きい。…これらの着実な実施を担保するとともに業
(注2)
態の枠を超えた情報・意見交換等を行い、金融分野
犬飼重仁「海外における金融紛争解決の現状と日
における裁判外紛争処理制度の改善につなげるた
本への示唆」週刊金融財政事情2009年2月16
め、金融当局、消費者行政機関、消費者団体、各種
日号23頁
自主規制機関・業界団体、弁護士会等の参加する
「金融トラブル連絡調整協議会(仮称)
」を設置すべ
2.裁判とADR制度との相違
きである」と提言されている。
裁判とADR制度の主な相違は、①手続について
裁判は法律で定められた訴訟手続法が複雑で慎重で
2.金融トラブル連絡調整協議会開催
あるのに対し、ADR制度は当事者間の合意、ない
上記答申を受けて第1回金融トラブル連絡調整協
し当該紛争解決機関の規則で進められるため簡便で
議会(平成12年9月7日)が開催された。そこでは
迅速である。②費用の点について裁判は、訴訟手続
具体的に運営方法として既存機関の運用面での改善
き費用、弁護士費用等で長期化すればするほど多額
等参加各団体が採り得る方策を実施するため、①個
の出費を強いられるが、ADR制度はこの点ボラン
別紛争処理における機関間連携の強化 ②苦情・紛
タリーベースであり、申立者の負担軽減を図ってい
争処理手続の透明化 ③苦情・紛争処理事案のフォ
る(低額又は無料)
。③法廷ではその権利関係の判
ローアップ体制の充実などについて議論を深めると
断 と し て 画 一 性 と 客 観 性 が 求 め ら れ る に 対 し、
ともに、参加各団体等が行った裁判外紛争処理に係
ADR制度では専門性を活かし柔軟、妥当な対応が
る取組みについて、同協議会に報告することなどが
行われる。④裁判手続では公開が原則となるのに対
決められた。
し、ADR制度は非公開で進められる。⑤判決の実
効性について、裁判では強制執行の申立てが別途必
要となるが、ADR制度では解決まで連続している
ことが挙げられている。
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3.金融トラブル連絡調整協議会のモデル案
第3回金融トラブル連絡調整協議会(平成13年1
月16日)では各業界における苦情・紛争処理の機
の検討は金融分野における紛争解決の議論とは別の
角度、司法制度一般の議論の中で出てきている。し
かし、金融分野も対象として当然含まれている。
関、手続、基準等について指針・ベンチマークとな
るモデル案を作ることが提案され、同協議会の下に
専門家等で構成されるワーキング・グループを設け
モデル案の作成作業が進められることになった。約
(注3)
司法制度改革推進計画(平成14年3月19日閣議
決定)
1年の検討期間を経て第12回金融トラブル連絡調
整協議会(平成14年4月25日)において金融分野
その後ADR制度について検討が進められ「ADR
の業界団体・自主規制機関における苦情・紛争解決
検討会」の座長レポート(平成16年11月30日)
「日
支援のモデル案が了承された。
本におけるADRの将来に向けて」が公表された。
そのモデル案は一つの理想的な手続を示すことに
レポートでは、検討の経緯から取りまとめの内容、
より、手続の透明性向上のみならず、フォローアッ
法案の提出(公布)までについて説明されている。
プの充実や実績の積極的公開、消費者への周知等の
そのポイントは以下のとおり。
ワーキング・グループ報告で指摘された多くの論点
① ADRが必ずしも十分に機能しているとは言え
に関して、個々の苦情・紛争解決支援機関が採るべ
ない理由は、イ.ADRの存在やその意義について
き対応を具体化(モデル化)したものとなっている。
の国民の認識・理解が不十分、ロ.民間ADRにつ
い て の 情 報 が 不 足 し、 利 用 に 際 し 不 安 感、 ハ.
モデル案の構成は理念的(責務)事項と苦情解決
支援規則及び紛争解決支援規則の通則的事項、各苦
ADRを積極的に利用しようとする際に支障とな
る制度上の制約などにある。
情解決支援規則及び紛争解決支援規則の4つから出
② ①の現状に鑑みれば、ADRが、その特長を活
来上がっている。具体的には、紛争解決処理機関と
か し つ つ 拡 充 ・ 活 性 化 し て い く た め に は、 イ.
しての公正中立性、透明性などの理念を定める原則
ADRに関する基本理念や国等の責務を定め、ロ.
的事項、当事者である業界団体・紛争解決機関の責
ADRの公正性・信頼性を確保するためにADR機
務が定められ、苦情・紛争の定義、当事者の選択
関やADRの担い手が遵守すべきルールの明確化、
権、守秘義務、処理に要する組織態勢、会員企業の
ハ.ADRに関する制度上の制約を解消するための
責務・行為準則等や調査、標準処理期間などの手続
ADRの利用の促進や裁判手続との連携促進に資
事項まで規定されており、精度の高いものとなって
する法制を整備、ニ.国際的動向も踏まえながら、
いる。
調停・あっせん手続に関しても、一般的な手続
ルールを定める法制を整備すること等、多くの課
その後、金融トラブル連絡調整協議会ではこのモ
題を検討、実現する必要がある。
デルに基づき各業界で苦情・紛争解決支援機関の標
③ ②からADR推進法では紛争当事者がその解決
準化が図られるものとしてそのフォローアップを中
手続を選択することを容易にするため、ADRの
心に審議会を進める。また移送ルールの策定等紛争
基本理念等(ADR推進法第3条)を定めるととも
解決機関間の業務連携の具体化や実務者ネットワー
に、民間事業者が行ういわゆる調停・あっせんの
クに関する検討、苦情・紛争解決支援のための取組
業務に関し、法務大臣による認証の制度(ADR
みに対する消費者の認知を向上させることとされ開
推進法第5条)を設け、併せて時効の中断等に係
催が続けられてきた。
る特例(ADR推進法第25条26条)を定めてそ
の利便の向上を図ることを内容とした(平成16
4.ADR推進法制定
年11月19日成立、12月1日公布)。
ところで平成13年12月1日内閣に司法制度改革
推進本部が設置され、本格的に司法制度改革(注3)
が進められた。司法制度改革は利用者である国民の
視点から、司法の基本的制度を抜本的に見直すとい
う大改革で、裁判員制度やロー・スクール制度など
が話題になった。その中の一つに、裁判外の紛争解
決手段(ADR)の拡充・活性化が挙げられた。こ
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金融商品取引法
裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(概要)
(資料・法務省)
目的 = 紛争の解決を図るのにふさわしい手続を選択することを容易にし、
国民の権利利益の適切な実現に資する
総則規定
従前の状況
認知・理解の不足
(➡利用の契機の
不足)
証
制
期待される
効果
情報提供等
国民の理解の
増進
関係者間の連携
認証の申請及び認証の処分
基準(16項目)+知識・能力・経理的基礎
➡手続の公正・適正、業務の継続性を確保
欠格事由(暴力団員等)
※関係大臣への協議等、認証審査参与員の
意見聴取
業務の遂行
度
制度上の制約
(➡利用しようす
るインセンティ
ブの不足)
弁護士法上の
制約
時効中断効が
ない等利便に
乏しい
連携協力
国・地方公共団体
の責務
意義 = 調停、あっせん等の和解の仲介を行う民間事業者
の紛争解決業務について、これを行う者の申請に
基づき、法務大臣が、法定の基準・要件に適合し
ているものを認証
認
情報の不足
(➡利用すること
に不安や躊躇)
基本理念
当事者の自主的な努力の尊重
公正・適正
専門的知見の反映、紛争の実情に
即した迅速な解決
当事者への説明
暴力団員等の使用禁止 等
情報の提供等
認証の官報公示
事務所での掲示
当事者への説明
インターネット等によ
る公表
法的効果等
業務の適正性の確保等
年度ごとの事業報告等
報告徴求・検査、措置の勧告・命令
認証の取消し
専門家による手続実施
時効中断
訴訟手続の中止
調停前置の特則
ADRの選択の
目安の提供
専門家活用体制
の充実
ADRに専念でき
る環境の整備
この制度が出来たため、金融関係の紛争解決機関
のためこれまで業界等で採られていた取り組みを金
も法務省から認証を受けて法的効果を有する認証
融商品取引法の中に法制度として盛り込み、対応を
ADR機関(ADR推進法第2条・認証紛争解決業者)
促進することにした。具体的には金融商品取引所及
となることが出来るようになった(平成19年4月1
び金融商品取引業協会などの自主規制機関以外の民
日施行)
。
間団体が苦情・紛争解決機関として自発的な取り組
みをすることに際し、民間団体の行為に行政機関か
5.認定投資者保護団体制度の導入
ら一種の法的保障を与えるシステム・認定投資者保
そうした中で平成18年6月7日に制定された金融
護団体制度を設けることにした(法第79条の7)
。
商品取引法では、金融分野における苦情相談・解決
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金融商品取引法の認定投資者保護団体制度について
(資料・金融庁)
金融分野における苦情解決・あっせん業務の業態横断的な取組みをさらに推進するため、金融商
品取引法において新たに導入した制度。
金融商品取引法に基づく自主規制機関以外の民間団体による自発的な申請に基づき、金融当局が
認定を行うことにより、当該団体が行う金融分野の苦情解決・あっせん業務の信頼性を確保する
ことを目指す。
認定の要件
① 認定業務を適正かつ確実に行
うに必要な業務の実施方法を定
めていること。
② 認定業務を適正かつ確実に行
うに足りる知識・能力・経理的
基礎を有すること。
③ 認定業務以外の業務を行って
いる場合は、その業務を行うこ
とにより認定業務が不公正にな
るおそれがないこと。
「金融商品取引業者が設立する団体」
に限定するといった要件は設けられ
ていない。
認定投資者保護団体の業務
認定業務
「対象事業者」に関する苦情解決・あっせん業務
その他金融商品取引業の健全な発展または投資者保護に資す
る業務
認定業務以外の業務
「対象事業者」以外の業者に関する苦情解決・あっせん業務
〈対象事業者とは〉
当該団体の構成員である金融商品取引業者、登録金融機関または
金融商品仲介業者
認定業務の対象となることについて同意を得た金融商品取引業者、
登録金融機関、金融商品仲介業者その他内閣府令で定める者
これまで、全国銀行協会、生命保険協会、日本損
害保険協会、信託協会など複数の団体等が認定を受
けている。
7.金融審議会金融分科会第一部会第二部会合同会
合報告
金融トラブル連絡協議会の座長取りまとめ結果を
受け、金融庁においては、金融審議会第一部会(平
6.金融トラブル連絡調整協議会座長メモ
成20年10月15日)で金融ADR制度の法制化等を
第38回会合金融トラブル連絡調整協議会(平成
検討課題として第一部会第二部会合同で取り上げる
20年6月24日)において、これまでの活動を総括
ことを決め、検討が開始され、第一部会第二部会合
した座長メモ「金融分野における裁判外の苦情・紛
同会合報告(同年12月17日)
「金融分野における
争解決支援制度(金融ADR)の整備にかかる今後
裁判外紛争解決制度(金融ADR)のある方について」
の課題について」
が公表された。同協議会では苦情・
として取りまとめが行われた。
紛争解決支援のモデル案を示し、フォローをしてき
たが、協議会設置後8年が経過しても依然としてそ
その報告書では、苦情・紛争解決における利用者
の対応が進んでいないとの現状を述べるとともに金
の信頼感・納得感を高め、金融商品・サービスに関
融ADRのあり方として①紛争解決の理念、運営主
する利用者の信頼性の向上を図る観点から、公正・
体、中立性、実効性の確保などの認識を示し、各業
中立でかつ実効性のある金融ADRの法的枠組みを
界団体等において改善の取組みに活すこと、②消費
設けることが望ましい、との提言がなされている。
者団体等と業者側では改善すること自体については
異議がないものの、その具体的方向(法的整備か自
同報告のポイント(注4)は以下のとおり。
主性に委ねるか)については意見が分かれており、
① 横断的・包括的な金融ADR機関の設置は将来
今後行政のなかで具体的な検討を促すとしている。
的な課題として位置付け、業界団体・自主規制機
関等による苦情・紛争解決の自主的な取組みを活
用
② 金融ADRの実施体制・能力等を有する者につ
いて行政庁が確認(指定等)を行うことにより、
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金融商品取引法
金融ADR機関の中立性・公正性を確保すること
第4章 現状
が適当
③ 金融ADR機関相互の連携の強化に加え、利用
者利便の向上のため、振分けを行う窓口の共通化
について実務上検討が必要
1.指定金融ADR制度導入
金融審議会報告を基に金融庁では金融商品取引法
の一部改正に着手をした。
④ 業態において金融ADR機関が設立されている
法律案の提出は21年3月6日(金)と年度末の提
場合には、紛争解決にあたって、金融機関に金融
出期限に切迫したものの、法律の改正自体は国会で
ADR機関に対する手続応諾義務、事情説明・資
順調に審議がなされ、議会では本改正について施行
料提出義務、結果尊重義務等を課すことが適当
後3年以内に見直し検討を行うとの条項(附則第
⑤ 業態において金融ADR機関が設立されていな
21条第1項)が加えられ、さらに業界における横
い場合には、金融機関に苦情・紛争解決に関する
断化の取り組み促進、業界加盟会員以外の業者に対
一定の義務を課すことが適当
する苦情処理の連携確保や指定ADR機関の運用結
⑥ 金融ADRの中立性・公正性及び実効性を確保
果等のフォローアップなどを求める附帯決議(衆・
するため、金融機関及び金融ADR機関に対する
参)が付き、成立した(6月17日(水)
)。同24日
行政庁の関与等が必要
に公布され、金融商品取引法を含む16の法律に指
⑦ 実効性のある金融ADR制度を構築するため、
金融商品・サービスの内容、相談・苦情等の状
定紛争解決機関制度が導入された。
本年4月から金融ADR制度は施行されているが、
況、利用者の状況、業態における金融機関数又は
取引業者に対し行為規制として適用されるのが10
業界における苦情・紛争解決への取組状況等の業
月であるため、事実上その時期が指定金融ADR制
態の実態を十分に踏まえる必要
度導入の開始時期になると見られる。現在、全国銀
⑧ 金融ADRの改善・発展のため、今後も、金融
行協会、生命保険、損害保険両業界が既に指定を受
トラブル連絡調整協議会は、推進役として重要な
ける方向にあると云われている。証券関係五団体が
役割を果たしていく必要
設立した統一苦情・紛争解決機関である証券・金融
商品あっせん相談センター(FINMAC)において
(注4)
も検討がなされている。
引用 アクセスFSA第73号「金融審議会金融分
科会第一部会第二部会合同会合報告の公表につい
て」2008年12月
2.指定金融ADR制度の概要
成立した指定金融ADR制度の構造及び特徴は、
次のとおりである。
[参 考]
苦情相談・紛争解決に向けた取組み状況
時 期
平成12年 9月 7日
平成14年 4月25日
平成16年12月 1日
平成18年 6月 7日
平成20年 6月24日
平成20年12月17日
平成21年 6月24日
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動 き
金融トラブル連絡調整会議設
立
苦情・紛争支援解決のモデル
提示
法務省認証ADR制度導入
(施行19年4月1日)
認定投資者保護団体制度導入
(施行19年9月30日)
金融トラブル連絡調整会議座
長メモ報告
金融審議会分科会第一部会第
二部会合同会合報告
指定ADR制度導入
(施行22年4月1日、
10月1日)
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金融 ADR 制度について
銀行・保険・証券等の業態ごとに
それぞれ金融ADRの枠組みを導入
紛争解決手続等の委託
紛争解決機関は、政令で定める他の法律上の指定を受けた
他の業法上の
紛争解決機関
行政庁
(資料・金融庁ペーパーを一部加工)
紛争解決機関への委託が可能。
➡ 金融ADR制度が創設された全ての法律上の指定を規定。
紛争解決機関に係る指定の要件
申請に基づき指定
行政庁による監督
紛争解決機関の指定に当たり、業務規程に関し、内閣府令
で定める意見聴取手続を実施し、業務規程に異議を有する
金融機関の割合が政令で定める割合以下であることが要件。
紛争解決機関
弁護士・認定司法書士等からなる
紛争解決委員が和解案を策定
紛争解決の
申立て
和解案の
提示
➡ 説明会により意見聴取を行い、異議の割合は 以下に。
利用者から苦情処
理・紛争解決の申
立てが行われた場
合には、金融機関
に紛争解決手続の
利用や和解案の尊
重等を求める
紛争解決機関の業務
紛争解決機関は、紛争解決の促進の観点から内閣府令で定
める業務を行うことが可能。
➡ ①和解で定められた業務の履行状況の調査、②金融機関
に対する当該義務の履行の勧告を紛争解決機関が行うこ
とを可能に。
契約締結義務
紛争解決委員
利用者
トラブル
時効中断等
一定の経験を有する弁護士、金融機関業務従事者等の他、
紛争解決委員となりうる者を内閣府令で規定。
金融機関
片面的応諾義務
紛争解決機関が指定されない段階では、金融機関自身に苦情処理・
紛争解決への取組みを求め、利用者保護の充実を図る。
(1)指定制度の導入(法第156条の39) ➡ ①弁護士・法律学に関する教授等に通算 5 年以上従事し
た者、②消費生活専門相談員等として、5 年以上従事した
者、③苦情処理業務を行う法人等において顧客保護の業
務に通算10年以上従事した者等が紛争解決委員になるこ
とを可能に。
37条の7第1号イ等)
。指定金融ADR機関が設立
自主規制機関も含めて民間の業界団体等が自主
されていない場合には、苦情処理措置及び紛争解
的に業務の開始を行政庁・金融庁に申請をし、そ
決措置を何らかの形で講じる必要があるとされて
れを受けて行政庁が組織態勢・運営面で中立・公
いる(法37条の7第1号ロ等)。したがって、指
平性等の要件(注5)が認められれば適格な金融
定金融ADR機関の設立の有無を問わず、業態に
ADR機関として指定をし、運営面等について監
属する取引業者は他律的に紛争解決の手段措置を
督をする(法定金融ADR機関化)
。
講じる必要性があることになった。そこで各業態
に分けられるが、実質的には業界横断的な紛争解
(注5)
決機関が講じられたとも云える。
指定の申請に係る審査の基準(法第156条の39
第1項)は次のとおりである。一定の欠格事由の
(3)解決の申し出(顧客のトラブル) 不存在(1号~4号)
、経理的及び技術的な基礎の
顧客は取引の相手である取引業者との間で発生
具備(5号)
、役職員構成の公正性(6号)
、業務
したトラブルの苦情・紛争解決を当該取引業者が
規程内容の解決業務に係る公正適格実施の十分性
契約を締結した紛争処理機関に解決の申し出を行
(7号)
、業態内取引業者が業務規定に異議がない
ことの確認(8号)
うことができる(法第156条の49、同50)
。
手続基本契約には、顧客等の申し立てによる苦
情処理紛争解決の開始をする(第156条の44第
(2)強制加入(取引業者の契約義務)
法律では、取引業者はその業態区分に応じ、指
2項1号)
、手続きを開始した場合には取引業者は
手続応諾義務がある(同項2号)、紛争解決委員
定金融ADR機関が設立されていればその指定金
等は報告・帳簿書類その他物件の提出を求める
融ADR機関と個別に紛争解決に関する委託契約
(同項3号)及び和解案の受諾勧告が出来る(同
(手続実施基本契約)を締結する必要がある(法
項4号)
、また一定の場合応諾義務のある特別調
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金融商品取引法
停案の提示が出来る(同項5号)
、取引業者は本
件に関する訴訟の動きの報告を行う(同項6号)
(6)片面的拘束(取引業者の受諾義務)
和解案として特別調停案が出された場合、加入
取 引 業 者 は 受 諾 し、 当 該 案 に 従 う 必 要 が あ る
などが定められている。
(156条の44第6項)
。和解がなされた場合、取
引業者はその内容に従い、解決を図ることにな
(4)法的効果(認証ADR機関と同一の効果)
紛争解決手続きが開始されたが、結局当事者間
る。その解決を実行しなければ、不履行行為があ
で和解の成立が見込めないことを理由に手続きが
ったとして公表され(第156条の45)、社会的
終了し、訴訟に移行した場合、時効は中断し、紛
信用の毀損リスクに曝されるとともに監督機関に
争手続きの請求開始時に訴えの提起があったもの
報告され、監督行政に反映されることになる(注
とみなされる(法第156条の51)。また当事者
6)
。
間で訴訟が継続している時には一定の場合両当事
者の共同申請によって、通常指定金融ADR機関
で解決が図られる期間である4か月以内の期間で
訴訟手続きを中止することを当該訴訟が継続して
(注6)
大森泰人他 詳説金融ADR制度 79頁 商事法
務(2010)
いる裁判所が決定できる(法156条の52)
(図2)。
(7)顧客の経費負担金・料金
(図2)
法律では紛争解決機関が業務の遂行にあたり、
法的効果(時効中断等)
手続実施基本契約等によって加入取引業者、その
有
検査監督
関係
顧客等から負担金(年会費)、料金(実施手数料)
、
その他の報酬を受けることが可能とされている
(法第156条42第2項)。取引業者が負担する年
指定金融
ADR機関
認証
ADR機関
緩・無
会費(法第156条の44第1項4号)
、取引業者ま
厳
自主規制
団体
認定投資者
保護団体
たは顧客が負担する場合の実施手数料(第156
条の44第1項5号)については業務規定でその負
担額(算定方法等を含む)を定める必要がある(第
156条の44第5項1号)。そして、指定金融ADR
制度の趣旨は、投資者保護のため簡易・迅速で安
無
価な裁判外の紛争解決制度の提供であるためその
「負担額等が著しく不当なものでないこと」を義
務付けている(第156条の44第5項2号)
。
(5)紛 争解決委員による手続き実施(専門家によ
る対応)
(8)指定紛争解決機関の検査・監督
解決手続きは、法律の専門家である弁護士、取
指定金融ADR機関に対する検査・監督につい
引業務精通者、苦情相談専門家等による紛争解決
ては、指定時のみならずその後も、当該指定金融
委員によって実施される(法第156条の50第3
ADR機関の中立性・公正性および実効性を確保
項)。紛争解決委員からは取引業者に対し前述の
していくこととされている(法第156条の55~
とおり和解案の提示受諾の勧告や特別調停案が出
61)。その際、指定金融ADR機関に対する業務
される。また、そこで指定金融ADR機関では、
改善命令や指定取消しにあたっては、法的効果の
基本的に紛争解決委員のうち少なくとも1人はそ
関係もあり、法務大臣への協議が必要とされてい
の職務の性格上中立性・公平性が具備されている
る(法第156条の61第2項)。
弁護士または経験豊富で専門性が高い消費生活専
これらの指定金融ADR機関に対する検査・監
門相談員等でなければならないとされている(法
督は、当該機関の行った個別の苦情処理・紛争解
第156条の50第3項)
。さらに弁護士でない紛争
決内容の適否ではなく、当該指定金融ADR機関
解決委員が手続を担当する場合には、弁護士の助
における紛争解決等業務に係る実施態勢の適否に
言を受ける措置が必要とされている(156条の
ついて行うものである(法第156条の58)
。
44第4項4号)
。なお、利害関係上一定の障害が
あるときには排除する措置が求められている(同
項3号)
。
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金 融 サ ー ビ ス 保 証 機 構(FSCS-Financial
第5章 英国FOS制度の概要
Services Compensation Scheme⇒日本の投資
者保護基金等に相当)ともに英国の金融規制インフ
1.英国ADR制度の沿革
英国のADR制度の歴史は長く1981年には保険
ラを構成している(図3)
。FOSについては、金融
業界で業界としての自発的対応による第三者的立場
サービス市場法(FSMA2000 パート16第225
のADR制度である金融オンブズマン制度を設けて
条から234条)とFSAが定める規則である紛争解
いる。英国は保険の国と云われるようにその業界は、
決 規 則 集(Dispute Resolution:Complaints
世界の保険業界をリードしており、英国経済に占め
DISP)にその制度及び紛争解決手続きが詳細に規
る割合も大きい。そうした中で保険商品の販売トラ
定してある(注7)。
ブルの発生による政府の監督規制強化を避け、自ら
の自主規制の正当性、有効性を対外的に、特に顧客
に示し、さらに殺到する苦情を処理するために率先
して、業界ADR機関を立ち上げている。
具体的には、保険業者に片面的拘束・義務を課
(注7)
F O S の 記 述 は、 F O S の ホ ー ム ペ ー ジ、
FSMA2000、DISP(2010年5月現在)等に基
づいている。
し、実質的に何が公正で妥当かを判断において優先
なお、本章は以下の文献を参照し作成している。
し、厳格な規範を定める法律などに拘らず、処理手
杉浦宣彦他「金融ADR制度の比較法的考察」金
続きを裁量的に進めることにした。この方式は実行
融 庁 金 融 研 究 研 修 セ ン タ ー(2 0 0 4)、 金 融
性が高く、効率的であるため、他の業界も追随した
ADR・ オ ン ブ ズ マ ン 研 究 会「 提 言「 金 融 専 門
こともあり、1986年法には業界の義務化が図られ、
ADR機 関 」 の あ る べ き モ デ ル と 実 現 手 段 」
自主規制業務の一部とされた。取引事業者はこうし
(2008)
、牧野浩敏「英国の金融業界における苦
た態様が事業運営・会社事業の一部である、そのコ
情・紛争の解決」生命保険経営第77巻4号79頁
ストは経費であると認識するに至っている。
~102頁(2009)
FOSはFSAとの関係は監督関係(MOU2002・
2.FSMA2000
さらに2000年に制定された金融商品サービス市
OVERSIGHT)にあるが、その運営は独立して行
場法(FSMA2000-FINANCIAL Services and
っている(FSMA第225条)
。議長と理事会のメン
Market Act2000)で は、これまで保険、銀行等
バー他はFSAから任命されるが、任命の要件は機
の各業態を中心に個別的に運営されてきた八つのオ
構の独立を保障するものとされている(FSMA付属
ンブズマンなどを一つのオンブズマン制度へと統合
規定17-3(3))。
し、金融ADR の制度整備を図った。
FSMA2000に基づき統合された金融オンブズ
3.FOSの職員、予算規模
マン制度は、金融オンブズマンサービス(FOS-
FOSは設立当初(2001年)からその人的構成
Financial Ombudsman Service)が担当するこ
や予算などで、世界的に最大規模の紛争解決制度で
と と さ れ た。 登 録 取 引 業 者 の 監 督 機 関 で あ る
ある。ちなみに2010年3月期(実績見込み)では
金 融 サ ー ビ ス 機 構(FSA-Financial Service
職員数は1,535名(資料3)であり、予算規模(歳
Authority) に よ っ て 設 立 さ れ(FSMA付 属
出)は92.4百万ポンド(約130億円)(資料4)で
規 定 1 7 - 2)
、 顧 客 の 投 資 資 金 の 保 護 を 図 る
ある。
(図3)
FSA
金融サービス機構
FOS
FSCS
金融オンブズマン・サービス
金融サービス保証機構
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金融商品取引法
(資料3)職員数
4.FOSの構造及び特徴
2010年3月末 2011年3月末
(見込み)
(予算)
区 分
紛争処理部門・
オンブズマン
申立て者担当部門
その他
合 計
(1)業界横断的制度
金融監督当局FSAの規制と一体化しており、そ
1,284 1,341 の認可を得て金融サービス業を営む事業者はすべて
109 142 1,535名
125 148 1,614名
FOSのADR参 加 が 義 務 付 ら れ て い る(FSMA第
226条DISP1.1.1.)
。即ち、監督とADRの連携性が
あり、FOSは公的機関の性格(法人形態はFSAと
同 じ く 民 間 法 人 ・ 保 証 有 限 会 社=COMPANY
LIMITED BY GUARANTEE)を有する。
(資料4)予算額(単位:百万ポンド)
歳入歳出
歳 入
年会費
手数料
その他
合 計
歳 出
人件費
その他
利払い金
減価償却
合 計
特別損失
余 剰
2008年
3月期
2009年
3月期
2010年
3月期
19.6
35.5
0.4
55.5
19.3
46.1
0.4
65.8
20.6
77.6
0.2
98.4
41.2
10.0
0.2
1.7
53.1
2.9
(0.5)
47.8
8.7
0.1
1.4
58.0
0.0
7.8
78.3
12.3
0.0
1.8
92.4
0.0
6.0
(2)申立ての適格性(取引業者の事前対応等)
顧客は、申立ての要件として適格性を有するかど
うかのチェックを受ける。個人であるか、小規模業
者である必要がある(DISP2.4.3(1))
。次にま
ず商品を販売した取引業者に対し苦情を6ヶ月以内
に申し立てている必要がある
(DISP2.3.1)
。そして、
業者は苦情を受け付けた日から8週間以内に最終回
答を顧客へ出さなければならない(DISP1.4.5)。
その結果に不満な顧客はFOSへ苦情を申し立てる
ことが可能となる。
英国のADR制度
FOSの苦情解決手順 (FSAハンドブック「紛争解決:苦情」
)
承諾
最終回答
最終回答
6ヶ月以内
拒否
保留回答
4週間以内
苦情受付書の送付
5営業日以内
苦情受付
4週間以内
(苦情受付から8週間以内)
FOSに
付託可能
救済履行
確定
受諾
決 定
司法手続移行可
拒否
解決
オンブズマン
調査決定
解決
未解決
未解決
初期勧告案提示
アジュディケータ
カスタマーコンタクト
FOSの対応
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苦情申立︵利用者︶
金融機関の対応
25 |
その他回答
(遅延理由等)
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(3)顧客負担の廃止
FOSの運営経費は、業界が各業界のウエイトな
終了している。FOSの実績(年報ベース)とし
ては2010年3月期において166,321件(前年
ど一定の基準に基づき費用を負担し、運営している
度113,949件)を解決している。新規案件は、
(FSMA第234条)
。負担金は年会費(levies)と
925,095件(同789,877件)であり、そのう
案件処理に掛かる実費手数料(case fee)の2種
ち殆どが窓口担当者段階で処理されており、調査
から構成されている。最近の傾向として実費手数料
員等が対応する本格紛争手続きに入ったものは約
の割合が急増している。他方、苦情を申し立てた顧
六分の一の163,012件(同127,471件)であ
客の負担はない(FSMA230条(3)DISP3.9.10)
。
る。
これは、ADRが取引業者の業務行為の一部であり、
経費であるとの認識の下に立脚しているためであ
(6)解決手続きの調査、証拠方法の柔軟性
解決手続きの一つとして対象事案の情報収集、調
る。
査が行われる。取引事業者がその情報請求を拒んだ
(4)FOSの紛争解決判断基準の公平かつ妥当性
(Fair and Reasonable)
場合、裁判所が調査を実行することになる(FSMA
第231条232条)。調査によってその証拠の収集採
オンブズマンによる決定は、紛争全体の実態を踏
用の際、裁判所の様に厳格な証拠法則などの法規制
まえ、公平で妥当なものであることが求められる
等は基本的に適用されず、紛争解決委員の心証形成
(FSMA228条(2)DIPS3.8.1(1))。その判断
等に向けて柔軟な対応が認められている
は関連法令、規則に限られず業界の行動規範、善良
(DISP3.5.2)。
な商慣行などが考慮されるため(DIPS3.8.1(2))、
裁判所の判断より更に踏み込んだ判断が可能であ
る。
(7)取引業者の片面的拘束 決定実行の担保
紛争解決委員の決定(Determination)について、
決定の内容としては、金銭的被害のほか、精神的
苦情申立者は、決定について受諾するかどうかの選
苦痛、名声の毀損、不快等の補償等も命令できる。
択権がある。受諾しなければ拘束力を持たない。苦
金銭賠償(金銭支払の命令(a Money Award))
情申立者が受諾すると取引業者は(片面的に)拘束
のほか、オンブズマンが適切と考える差止め等の措
される(FSMA第228条(5)
)
。紛争解決委員が
置(Direction)を加えることができる(FSMA第
下した金銭(利子を含む)支払の命令及び特別措置
229条(2)
(b)
)
。取引事業者が金銭の支払い
については、紛争解決委員により登録(register)
(FSMA第229条(2)
(5)
)を義務付けられる金
されると、裁判所による強制執行手続が保障され担
銭賠償の上限は10万ポンド(約1,400万円)であ
保される(FSMA第229条(8)(b)、(9)
)
。
るが(DIPS3.9.5)
、それ以上の金額の支払いを
勧告することが可能となっている(DIPS3.9.6)
(5)解決手続きの裁量的進行・2段階
顧客による苦情申し立てがFOSにより適格と判
断された場合、当該顧客にとって、最も相応しいと
思われる解決手続きが図られる(DISP3.2.10)。
具体的には2段階で処理手続きを進めている(注8)。
第5章 課題
1.金融ADRと英国のFOSとの比較
英国の金融ADR・FOSと指定金融ADR制度を法
律、規則ベースで比べてみる。
(1)業界横断性
業界の横断的対応となっているかどうかについ
1つは調査員(アジュディケータ)の主導により当
て、指定金融ADRは、業態別の設立を前提にして
事者ベースでの合意形成に向けた手続き過程で、調
おり、指定金融ADR機関が設立されなかった場合
停、調査、勧告などが試みられる。その試みが不調
には、各業者が一定の措置を講じることにしている
の場合次のステップとして紛争解決委員(オンブズ
ので、実質的な横断化を狙ったものではあるが、
マン)によって決定(Determination)が行われる。
FOSのように徹底されたものとはなっていない。
(注8)
(2)紛争機関の公的性格
申立者との渉外行為は、窓口担当者、調査員、紛
指定金融ADR制度では任意な民間業者団体に対
争解決委員が手続き進行に応じ、それぞれ担当す
し、指定を行う立て付けであり、FOSのように監
る。実際上多くの申し立て事案は、窓口担当者で
督機関が設立したものではない。また、理事等の任
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金融商品取引法
命、予算の承認等の要件も異なっている。したがっ
の44第5項2号)、申立者の負担も容認している。
て、検査監督関係があるにしても指定金融ADR機
関の公的性格は希薄である。
(6)決定の片面的拘束
紛争解決員が出した決定(特別調停等)について
(3)取引業者の事前対応等
は、取引業者のみに片面的拘束が課せられているの
FOSでは、申立者の属性として個人と小規模事
は、同様である。指定金融ADR制度が投資者保護
業者に限定しているが、指定金融ADRでは制限が
のためFOSが採用している顧客優位の取扱い制度
ない。紛争解決について、FOSでは前裁きとして
を導入したものである。
取引業者の苦情対応が前提とされており、取引業者
自身による一次的解決が義務図けられている。この
(7)決定(特別調停)の実効性確保
対応が、FOSに回されることによって、苦情処理
紛争解決委員が出した決定の実行を確保するため
のシームレス化が図られており、効率的である。ま
指定金融ADR制度では不履行があった場合その事
た、申立て時期について適格性を限定するなど迅速
実の公表を予定し、他方FOSは裁判所の命令と一
な処理を進めている。指定金融ADR制度では、そ
体のものとしてセットにしている。その実効性の担
うした前裁き措置については、触れられていない。
保手法は異なるものの、基本的に決定と実行が一体
業界実務では、多くの業界紛争解決機関でも取引業
化され、確保されていると言える。
者との事前交渉は要件としていない。
(8)金銭賠償額の上限
(4)苦情解決手続きの行程管理・時間制限
金銭賠償額の上限については、FOSが10万ポン
FOSでは、行程管理・時間制限を細かくDISPで
ド(約1,400万円)と義務的支払いの範囲を制限
定めており、苦情処理に通常ありがちな時間の浪費
している。仮に損害額が10万ポンドを超える多額
を予防している。特にこうした金融取引においては、
なものと見積もられても、本質的にこうした迅速簡
市場が変化するなどによって損害額が増減すること
便な紛争解決機関が処理を行うのに適当な金額とし
もあり、そうした管理は重要である。他方指定金融
て、現状では10万ポンドに制限をしている。なお、
ADR制度では、各指定金融ADR機関の業務規定で
10万ポンドを超えて見積もられた金額の支払いを
標準的な手続き進行が定められることを要求してい
勧告できるのは前述のとおりである。これに対して、
るに過ぎない(法第156条の44第4項6号)。
わが国ではこれまで業界の実務上の取り扱いとして
金額の上限については定められておらず、実際に高
(5)顧客負担の有無
額な補償がなされることもあったためか、指定金融
FOSでは明確に顧客に対しコスト負担をかけな
ADR制度ではその点、和解とするだけで、金額上
いことにしており、これは民間の自主規制業務とし
限やその他の差止請求など何も触れられていない
て行ってきた時期からの伝統となっている。金融商
(法第156条の44第2項4号 同第6項。)
品の販売について苦情が発生することは必然なこと
で、その解決も業務の一環であり、事業経営には不
可欠との認識が定着している。これに対して、前述
したように指定金融ADR制度では、これまで各業
態の実務として申立者から実費の一部を手数料とし
て徴収してきた実態に配慮し、法律では申立者の負
担について各指定ADR機関の取扱い事項とし、手
続実施基本契約等によって加入取引業者、その顧客
等から年会費、実費手数料、その他の報酬を受ける
ことが可能とされている(法第156条42第2項)。
そうした負担を当事者である加入取引業者又はその
顧客から徴収する場合については業務規定で金額、
その算出根拠等を明確に定めることとされている
が、そこでは結局「負担額等が著しく不当なもので
[参 考]
指定金融
FOS
ADR
×
1.業界横断性
○
(業態別)
×
○
2.公的性格
(指定・監督)
3.取引業者の事前対応
×
○
×
4.行程管理・時間制限
○
(規程化)
×
5.顧客負担の有無
○
(裁量可能)
6.決定の片面的拘束
○
○
7.決定の実効性確保
○
○
8.金銭賠償額の上限
×
○
比 較
ない」様に求められているに過ぎず(法第156条
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2.終わりに
比較法的に見て、当該国の法律制度に相違・差異
があるからと云って直ちに問題があるわけではな
金融トラブル連絡調整協議会で検討されることにな
っており、今回の指定金融ADR制度の運用結果等
を踏まえて取り組んでいく必要があると考える。
く、その国の業界実態、取引慣行などが反映される
ことは当然のことである。しかし、金融商品サービ
(2)公的性格の付与
スを巡る金融業界に係る規制は、取引のグローバル
ADR機関の性格については、必ずしも投資者保
化によってその基準も統一インフラとして普遍化共
護と明確な関連性はないものの、業界横断性が図ら
通化が求められ、実行されている。また前述した通
れれば、監督と一体化されおのずと公的性格が付与
り、金融トラブル連絡調整協議会設立の契機となっ
されることになると考える。
た平成12年の金融審議会答申では規制ルールの実
業界横断化するためには設立自体を法律で義務化
効性確保のために投資者保護制度は不可欠とされて
する必要がある。その結果、現在の取引業者に対す
おり、規制と投資者保護は一体のものであるとされ
る登録制度と紛争解決機関の対象が一致し、投資者
ている。即ち、投資者保護の制度的取扱いも共通化
保護が徹底することになることになる。
される方向に置かれている(注9)
。そこでこうし
た観点から両制度上の相違事項について、コメント
し、終わりとしたい。
(3)取引業者の事前対応等
顧客属性を絞ることは、ADR制度の機能性と関
り合うことになる。指定金融ADR制度では限定し
(注9)
ていないが、今後の運用段階で方向性を検討しても
注 2 2 1 頁FOSの ト ッ プ オ ン ブ ズ マ ン の 一 人
よいのではないか。苦情そのものは、顧客と当該取
David Thomas氏の発言を紹介している。「すべ
引業者との間で起こったもので、本来からは当事者
ての金融サービスをカバーする単一の金融オンブ
間で決着を図る方がより効率的である。また、第三
ズマン制度が世界的潮流」
者機関である紛争解決機関が取引業者の事前対応が
ないため最初から対応する場合、トラブル案件につ
(1)業界横断性の実現
いて顧客側の申立以外何らの情報がないため、特に
まず、業界横断性については、これまでも金融ト
会社側の考えが不明であり、争点・紛争原因の把握
ラブル連絡調整協議会等で紛争解決機関について現
が困難である。しかしながら、わが国では、顧客サ
状の取引業者別対応では“たらい回し”の虞がある
イドの情報と交渉力の差異からみて、直截に中立的
ことからワンストップ化が望まれており、その観点
な第三者機関の介入を認めた方が適当である(一種
から強い実現が求められてきたところである。今回
の駆け込み寺的機能の重視)として業者への事前の
の業態別指定では、現実問題として設立が見込めな
申し出、交渉を前置していない。本来的に苦情対応
い業態がある。
は会社の製品・商品販売の一貫した行為の一部であ
そのためには具体的には、指定金融ADR制度の
ると考えた場合、また取引業者の方がよりストレー
基本構造となっている業態の括り・枠組みを外す必
トに問題点が把握しやすいことなどから、取引業者
要がある。また、設立について業界の任意なものと
の事前対応を前置することによって紛争の迅速な解
なっているが、投資者保護制度として必要不可欠な
決に繋げたい。
機関である以上設立が義務化されることが要望され
る。さらに業態別設立にすると、業務規定の審査段
階で一定の水準は確保できても、業態によって投資
(4)行程管理・時間制限の明確化
行程管理等は、実情に応じて当該紛争解決機関の
者保護のレベルが異なることが容易に予測される。
規定に任せるとしているが、規程の検証でチェック
こうした差異は、投資者保護の徹底の観点からは適
をするにしても、紛争解決機関毎に対応期間が異な
当ではなく、むしろ英国で2000年にオンブズマン
るのでは、手続きの透明性、迅速性に欠けるのでは
制度が統合され投資者保護のレベルの高いところに
ないか。その結果、投資家保護のレベルについて紛
引き上げられたようにより高い救済のレベル
争解決機関毎にバラツキが生じることになる。特に
(LEVEL-UP)を目指すべきである。いずれにして
ADRはそもそも非公開であるため、申立者の紛争
も業界横断化の実現は課題とされており、法律で3
解決機関に対する信頼性確保、利便性からみても時
年後に行われる見直しの中には盛り込まれることに
間制限等は、明らかにすべきと考える。
なる(附則第21条)
。また今後も引き続き行われる
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(5)顧客負担の無料化
金融ADRは顧客の負担軽減、迅速簡便な対応の
観点からその必要性が認められたものであり、また
仮に少額であっても金銭負担を強いることは利用意
図に対し抑制的に働くため手数料を取ることは適当
ではないのではないか。本来的に苦情解決が企業の
営業行為の一環、一種の品質保証であるならば、そ
の性質からも無料化が適当である。
(6)金銭賠償額の上限設定
FOSにおいては、金銭賠償額の義務的支払の上
限を10万ポンドに設定している。指定金融ADR制
度では、こうした制限はない。申立者・顧客からは、
高額であれば金融ADRの機能性も高いことになる
が、現実問題として金銭にからむ賠償問題を扱い、
しかも解決にあたり法令の明確な違反を問わないと
した場合、高額のケースでは、企業経営者として株
主に対する責任(株主代表表訴訟等)から紛争解決
機関での処理を望まないとの声があり、むしろ裁判
所による明確な法律判断を指向する意見がある。そ
うした声に対しては、法定開示で要求される有価証
券報告書等開示書類の中でガバナンス関係記載が重
要視されてきていることからも、理解できるところ
である。ではどのぐらいの金額が適当であるかにつ
いては、裁判所では少額訴訟制度等の金額区分もあ
る(注10)が、FOSの上限10万ポンドや過去の
ADR機関による処理実績等から決定して行くのが
適当と考える。
(注10)
簡易裁判所で行われる60万円以下の訴訟
(7)まとめ
法律では、指定金融ADR制度について施行後3
年以内に検討し、見直しを行うことが法律で規定さ
れている。そこでは、投資者保護の観点から、指定
金融ADR制度の活用度合い、実施状況、他のADR
機関との連携などについて現行制度の課題が検証さ
れることになるが、上記の相違事項について十分検
討されることを期待する。いずれにしてもこの秋以
降指定金融ADR制度は動きだすが、投資者保護を
目的に金融トラブル連絡調整協議会が設立されてか
ら、約10年が経過してようやく合意し、制度導入
が実現した紛争解決の新スキームである。実質的に
は業界を挙げた初めての横断的金融ADR制度であ
り、その着実な定着と円滑な運用が図られることを
祈念したい。
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