ケナフ協議会年会(四国中央市)にどうぞ!

2016 年(平成 28 年)ケナフ協議会年会(四国中央市)にどうぞ!
ケナフ協議会会長 鮫島一彦
ケナフ協議会の今年の年会は四国中央市で開催されます。四国中央市はその名前が示す通り、
四国 4 県の県庁所在地のいずれにもほぼ 1 時間の高速道路で結ばれている恵まれた位置にありま
す。紙産業関係の企業が集積しており、古くからの四国、日本はもとより、世界でも誇れるバイ
オマス産業の集積地の一つとして発展してきました。今年度はその中心的存在として発展の著し
い研究拠点でもある「愛媛県産業技術研究所紙産業技術センター」で 9 月 9 日(金曜日)に開催
されます。ケナフ等植物資源の利用による「地球環境保全」と「農工連携」等について現代的な
視点から協議する絶好の機会にしましょう。多くの方々に参加していただき今後の活動の方向性
など、国内はもとよりグローバルな視点からもケナフの将来について大いに議論し、具体的な方
策を深く考えましょう。
年会の後には、世界的にも注目されるようになっている、四国 88 か所の遍路道の第一歩を歩き、
四国の地から、地球、宇宙全体を考え続ける端緒にするのもひとつの案です。疲れた心身の回復
を図るには良いかもしれません。是非、いろいろの挑戦の第一歩として今回の年会出席をご利用
ください!
われわれのケナフ協議会の活動は、気象変動など地球環境問題を「ケナフ等植物資源の利用」
によって実現することを目標としています。かつて四国は和紙の生産とその原料であるコウゾ、
ミツマタなどの植物資源(和紙原料)の生産により、四国はもとより、日本の農林業さらには、
欧米での文化、工業の発展にも寄与してきました。これと同様に現代では、ケナフなどの「未利
用生物資源」が工業原料として見直されるべきです。このことは、貴重な化石資源の過度の消費
などを抑えることに繋がりますので、早急に検討し、実現させることが重要です。地球温暖化問
題が危機的な状況に至っていることが多くの事実から明らかになっています。われわれの活動も
早急にこれと連動したものにする必要があります。
世界の環境保護運動の創始者とも言われるデイビッド・ブラウワー氏もケナフに期待を寄せて
いたことを再度思い出しましょう(注1)。翻訳本「山と川、地球環境修復への道」はケナフ協議会
が広島で 2000 年に開催した「ケナフ国際会議」の年に出版され、すぐに入院中のブラウワー氏本
人にもサンフランシスコで手渡されました。非常に日本語版の発行を喜んでいたと聞きました。
残念ながら、その直後に、日本でのケナフ活動と温暖化防止活動の進展を願いながらサンフラン
シスコで亡くなりました。われわれケナフ協議会関係者で、2001 年 11 月にジョージア州アトラ
ンタで開催されたアメリカケナフ学会主催の「ケナフ国際会議」に出席したメンバーは、
「山と川」
の第 18 章「レイチェル・カーソンのペリカン」の冒頭(P.124)に出てくるベイブリッジ(金門
橋)を望むシンバッドレストランでブラウワー氏を追悼する夕食会を開催しました。ブラウワー
氏が好きだったジントニックを供え、味わいながら、ブラウワー氏の子息兄弟の方などから直接
いろいろのことを伺いました。この国際会議、夕食会は 2001 年のニューヨーク貿易センターのツ
インビルに旅客機で突っ込んだテロ事件(9・11)の直後でもあり、実施が危ぶまれましたが、無事
終了しました。この夕食会には、ケナフ協議会の故「稲垣 寛」前会長や、故「後藤英雄」前専
務理事も出席されました。
2016 年 7 月の NHK-ETV のスーパープレゼンテーション TED では2つの注目すべき番組が放映さ
れました(注2)。ご覧になった方も多いことでしょう。私は録画しておいて毎回チェックするよう
にしています。そのひとつは、2008 年のノーベル賞受賞者のひとりで、上述の環境保護活動家、
故デイビッド・ブラウワー氏とも親交のあった、もとアメリカの副大統領、アル・ゴア氏の講演
です。最近の多くの気候変動に関する最新のデータを示しながら、風力発電、太陽光発電などの
自然エネルギーの普及とコストダウンが世界的に進んでいること、まだまだいろいろの実現可能
な活動があるのだとの楽観論を述べています。これには工学的な技術の発展のみでなく、普及に
対する様々な分野のひとびとが関わって実現していることは間違いありません。人類の知恵はま
だ捨てたものではない、奥深いものだなと思います。残念ながらバイオマスエネルギーの進展は
まだ不十分な段階です。われわれの「ケナフ等植物資源」も頑張らなくてはなりません。
先の COP21(第 21 回気候変動枠組条約締結国会議)では、2020 年以降の地球温暖化対策目標を、
「産業革命前から平均気温上昇を 2℃未満に抑え、さらに 1.5 未満を目指す」とのパリ協定(2015
年 12 月 12 日)が合意されました。その会議でブータン王国の取り組みが注目されたそうです。即
ち、もうひとつの TED でのプレゼンテーションでは、どのように最新技術を取り入れながらブー
タンが温暖化対策を進めているかについてブータン首相が自ら出演して語っています。日本もブ
ータンに学び、森林資源などの植物資源によるカーボンニュートラルの実現はもちろん、ブータ
ンにも負けない幸福度の向上、さらには二酸化炭素の吸収源である自然保護区等の拡大を目指す
べきです。世界の総力を傾けて自然保護区の拡大、保全をするための持続的な仕組みを早急に作
るべきです。
日本の技術で、砂漠(沙漠)緑化の取り組みなどにも協力してゆく必要があると思います。JICA
(日本の国際協力機構)の広報誌 mundi の 7 月号には、アフリカ特集が組まれており、
「スーダン
に笑顔を運ぶゴミ収集車」の記事も掲載されています。2014 年から始まった「ハルツーム州廃棄
物管理強化プロジェクト」などを元サッカー日本代表の長嶋昭浩さんのスーダン現地訪問時のレ
ポートです。私は、スーダンやエジプトなどのアフリカ諸国を訪問しケナフ等植物資源のグロー
バルな利用拡大による環境改善、平和実現の可能性も視野に入れて活動してきました。しかし、
いろいろ小さな進展はあったものの、なかなか大きく前進していません。地球規模の温暖化防止
対策に繋がるためには、さらに皆さんの知恵と協力が必要とされます。なお、同誌には、ファッ
ションモデルの「押切もえ」さんが、ブータン訪問時のエピソードを語る写真も掲載されていま
す。
日本でも、これまでとは違う植物資源の利用法が検討され始めています。いろいろの可能性が
追求されている中で、現在、特に紙産業界では全国的に植物由来の新素材セルロースナノファイ
バー(CNF)の生産に取り組んでおり、四国中央市の大王製紙でも最大年間 100 トンの設備を稼働
させようとしています(注3)。ケナフ協議会の活動もこれらの活動と連動させる仕組みを作る必要
があります。
例年、ケナフ協議会の年会では「ケナフ等植物資源利用研究発表会」と「特別講演会」が同時
に開催されます。今年の年会は、全体的として「地球環境保全と農工連携」をどのように実現さ
せて課題解決につなげてゆくかがテーマになるでしょう。皆様の取り組みを是非発表していただ
き、今後につなげることを検討させていただきたいと思います。
特別講演会では、次の 2 つの講演が予定されています。ひとつは、神戸大学の近藤昭彦教授の
講演で、もうひとつは、トータルケアシステム社の長 武志(Cho Takeshi)社長の講演です。近
藤教授には、バイオリファイナリー関係のお仕事を、長社長には紙おむつのリサイクル関係のお
仕事の講演をお願いしています。いずれも、地球環境保全を念頭に置きながら進められている農
工連携、バイオマスの持続的な利用システムに関する講演です。是非、聴講をお願いします。
研究発表会は「展示発
表」と「口頭発表」で構成
されています。学術的な研
究はもちろん、現場での技
術、製品展示も受け付けま
す。ケナフ協議会の定款で
は、
「ケナフ等の植物資源
利用を通じて地球環境保
全」を推進することを目標
に掲げていますので、ケナ
フに限定せず、幅広い植物
資源の利用分野と考えて
いただき研究発表にお応
募をお願いします。特に展
示発表の数は制限してい
ません。
写真1(上)東京大学地震研究所作成の世界の震源分布図
写真2(下)同図の日本付近の拡大図
《東京駅にある KITTE の売店で購入》
《壁に貼付しているものを個人で撮影 160721》
写真1、写真2、に東京大学地震研究所がまとめた「世界
の震源分布」を示します(注4)。これを見ると、日本を含む東
アジアの地震の震源地の分布とその世界における位置付けが
が良く理解できます。即ち、日本および東南アジア地域が、
いかに大きな危機をはらんだ地域に属しているかということ
を明確に示しています。私達は、このことを自然現象だとし
てあきらめるわけにはいけません。熊本地震をはじめ、最近
の相次ぐ想定外の地震などはこのことを再度われわれに教え
てくれていると思います。先人達もそうしたように、現代に
生きるわれわれもこれまで以上に、物心両面の準備をしながら毎日の生活をし、将来に備えるべ
きだと思います。
ケナフ協議会では、阪神淡路大震災の時もそうでしたが、東日本大震災で被災した閖上地区の
ひとびととも、ケナフの可能性を探って活動を続けています。地震や津波の被害を完全に防ぐこ
とは不可能であるとしても、現地とそれをとりまく人々とのつながりを構築し、さらにはその活
動が全国、世界の活動につながることを願っています。どのような形にせよ、
「ケナフ等植物資源
の利用」により、地球環境保全、ひいては、世界平和につながることを期待しましょう。今回の
四国中央市での 9 月 9 日の年会ではこのような活動の方向についての活動を発展させるとともに、
持続可能な社会システムを構築するための様々な知恵について語り合いましょう。
(注1)デイビッド・ブラウアー著(鮫島一彦監訳)「山と川、地球環境修復への道」(2000)南
の風社、原著→David Brower with Steve Chapple「Let the Mountaines Talk, Let the Rivers Run」
アメリカ版→by Harper Collins Publishers(1995)、カナダ版→by New Sosciety Publihsers(2000)
→Printed entirely on kenaf paper.
(注2)TED スーパープレゼンテーション、NHK 教育 ①2016/07/07(木)アル・ゴア(元アメリ
カ副大統領)
、
「気候変動についての明るいニュース」(The case for optimism on climate change)
②2016/07/21(木)ツエリン・トブゲイ(ブータン首相)、
「二酸化炭素を減らす国ブータン」
(This
country isn’t just carbon neutral – it’s carbon negative)
(注3)藤原勝壽;ケナフ協議会ニュース No.273(2016 年 5 月号、P.2~4(「四国セルロースナ
ノファイバー(CNF)プラットフォーム設立記念セミナー」参加報告)
(注4)東京駅に直結した JP タワーにある KITTE ビルの東京大学博物館 IMT ブティックで購入。
赤丸は震源地が浅いところ、青丸は震源地が深いところを示す。2006-2012 年。縦 41.5cm 、横
59.5cm の紙製。
ケナフ協議会 事務局
かねてよりケナフ協議会の活動にいろいろの面でご協力を賜りありがとうございます。
さて、ケナフ協議会では来る 9 月 9 日(金)、愛媛県四国中央市において「第 28 回通常総会」を
開催いたします。今年度も前年度同様に「第 19 回ケナフ等植物資源利用研究会」と「第 22 回特
別講演会-地球環境保全と農地連携-」を同時開催の予定です。昨年は群馬県高崎市で開催し有益
な発表を伺う事ができました。本年もできるだけ多くの方々に参加とご協力をよろしくお願いし
ます。なお、
「ケナフ協議会群馬大会 2015 予稿集目次」がホームページの「インフォメーション」
をクリックしていただくと見られます。参考にして、最終ページの参加申込書に必要事項をご記
入いただき多数お申込み下さい。現時点でのプログラム案を掲載しておきます。
参加費は当日徴収します。尚、当日のご参加も可能ですが、資料の準備もございますので前も
ってお申込いただければ幸いです。
参加費:研究発表講演会(会員:2,000 円/非会員:3,000 円) 懇親会 未定
第 19 回ケナフ等植物資源利用研究発表会・第 22 回特別講演会
―地球環境と農工連携―
(2016 年 9 月 9 日、於:愛媛県紙産業技術センター)
主催:NPO 法人ケナフ等植物資源利用による地球環境保全協議会(ケナフ協議会)
協賛(予定):日本木材学会パルプ・紙研究会、日本木材学会バイオマス変換研究会
森林バイオマス利用学会、㈱日刊紙業通信社、NPO 法人機能紙研究会
四国紙パルプ研究協議会
{研究発表・講演会}
13:30~13:35
≪開会挨拶≫ ケナフ協議会 会長 鮫 島 一 彦
研究発表Ⅰ(予定)
13:35~14:05
1.
「●●●●●●●●●●●●●●」
研究発表Ⅱ(予定)
14:05~14:35
2.
「●●●●●●●●●●●●●●」
【 休 憩 】
特別講演Ⅰ
14:45~15:45
3.
「●●●●●●●●●●●●●●」
神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科 教授 近藤 昭彦
【 休 憩 】
特別講演Ⅱ
15:55~16:55
4.
「紙おむつリサイクルと水溶化システムについて」
トータルケア・システム株式会社 代表取締役 長 武志
16:55~17:00
≪閉会挨拶≫
{展示発表} 10:00~17:00
{懇親会}
18:00~19:30
「ケナフ協議会 2016in 四国中央市」
参加申込書
2016 年 9 月 9 日(金)愛媛県産業技術研究所
紙産業技術センター
年
氏
研修室
月
名
(ふりがな)
所属
住
所
(連絡先)
(〒)
連絡先
1
TEL:
連絡先
2
e-mail:
研究発表
参加希望
FAX:
口頭発表
( す る ・ しない )
展示(研究・技術・製品)発表
( す る ・ しない )
発表題目・内容
(
)
発表者氏名
参加者氏名
特別講演会
(
参
加
・
不参加
)
参加者氏名
交流会
(
参
加
・
不参加
)
※発表者名が連名の場合は全員の氏名を記入下さい。
予稿集の
追加購入
送付先:
(
)冊、1.購入する
2.購入しない
(一冊千円です。学生以外の参加者には一冊当日無料配布)
プログラムは無料配布します。
〒799-0101 愛媛県四国中央市川之江町 4084-1
(公社)愛媛県紙パルプ工業会内
ケナフ協議会事務局 担当:森川、石川、角川
TEL(0896)58-2055 FAX(0896)58-6240
[email protected]