SO-TI Technology Trend Watch No.72 September 1st, 2010 XLUS を活用した技術開発動向分析 - トプコン(7732)、米国眼科用レーザ光凝固装置メーカーの買収 - <お問い合わせ先> 株式会社創知 URL http://so-ti.com TEL 03-6801-6532 Mail [email protected] *弊社では XLUS(カイラス)の ASP サービスならびに XLUS を用いた調査業務を行っております。ご関心のある方は 上記連絡先までご連絡ください。 *本レポートに記載した内容および図表の全ての著作権は(株)創知が保有します。無断転載は禁止いたします。 トプコン(7732)は、米国・眼科用レーザ光凝固装置メーカーの一部資産買収と新会社を設立した。 同社のニュースリリースによると我が国は世界に類を見ない高齢化社会を迎えており、失明の上位要因とされる 糖尿病網膜症や加齢黄斑変性、緑内障、網膜剥離等の眼底疾患治療の必要性を唱えている。 両社の技術領域と周辺領域を俯瞰すると、トプコンとオプティメディカの間には、先行するニデックと興和が 立ちはだかっている(図 1)。トプコンとオプティメディカの重心間距離が 34.9 であるのに対して、トプコンと ニデックの重心間距離は 27.8、トプコンと興和の重心間距離に至っては 13.8 である(表 1)。重心とは当該分野 における当該会社の開発の中心軸であり、開発ポートフォーリオを示している。重心間距離は、当該会社間のポ ートフォーリオの差異を示しており、この値が小さいほど、開発軸が類似している、すなわち、競合していると 言える。さらに、トプコンに対する興和とニデックの重心間距離は毎年 0.67 と 0.19 ずつ近づいており、差別化 が急務となっていた。 トプコンの光凝固装置は、 「多数の光凝固位置の指定をグループ毎にまとめて行うことができる光凝固装置を提 供する」(P1998-314212A)などに特徴がある。対するニデックは「術者が所期する位置にレーザ照射を的確に合 わせることができる」(P2002-282298A)、興和は、エイミング用レーザー光の眼底でのスポット像の位置を眼底 像と重ね合わせてモニターに表示でき、能率良く治療を行なえる」(P1995-163613A)と言った施術の精度、効率 に関するものが、三社ともに出願されている。 トプコン全体の技術領域と光凝固関連領域の間には、多少の空白領域がある(図 2、図 3)。 「多層構造を有す る網膜の任意の層の画像観察を行える技術」 「画像表示装置」などが該当し、これらの技術がブリッジ技術として トプコンの強さを高める可能性が示唆される。 ©2010 SO-TI, Inc. 1 SO-TI Technology Trend Watch No.72 September 1st, 2010 50 40 30 20 10 0 -80 -60 -40 株式会社トプコン 株式会社ニデック -20 0 20 40 60 80 -10 -20 オプティメディカ・ -30 興和株式会社 -40 テルモ株式会社 -50 図 1眼科用レーザ光凝固装置周辺における主要メーカーの開発重心推移 表 1 トプコンに対する当該分野各社の開発重心距離とトレンド No. 企業No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 5 10 4 11 2 13 7 12 3 9 6 8 企業名 重心間距離 キヤノン株式会社 興和株式会社 株式会社東芝 株式会社ソキア・トプコン 株式会社ニデック 全体重心 オリンパス光学工業株式会社 オプティメディカ・ パナソニック株式会社 株式会社モリタ製作所 テルモ株式会社 ボストンサイエンティフィックリミテッ 6.7 13.8 14.9 23.4 27.8 28.9 34.0 34.9 39.6 40.2 52.6 83.0 平均分布 シナジー 距離 Case トレンド 1.64 -0.67 0.14 5.24 -0.19 1.99 0.66 -3.68 -0.72 -0.65 0.28 0.34 18.9 15.1 40.6 37.1 14.7 0.0 19.5 5.9 21.9 9.9 18.2 17.3 Case1A Case1A Case1A Case1A Case1B Case3B Case1B Case3B Case1B Case3B Case1B Case1B ©2010 SO-TI, Inc. 2 SO-TI Technology Trend Watch No.72 September 1st, 2010 建設機械制御システム 生体組織治療用カテーテル レーザ治療装置 カテーテル、遠位、バルーン、管、 心臓、血管、組織、膨張、ルーメ ン、拡張、腔、流体、近位、ステ ント レーザ、光レーザ、治療、ピー ス、ハンド、光ファイバ、レーザ 照射、照射、導、ファイバ、プ ローブ、出射、患部、エイミング、 レーザ装置 レーザ光、傾斜、投光器、 線、回転、傾、ギア、レー ザ、射出、該、受光、反射、 動、受光部、走査、偏光、 整、センサ 測量機用自動整準装置 測距、受光、測量、機、測定対 象、水平角、追尾、距離測定、 受光部、視る、制御演算部 ステント及びその製 造方法ポリマー、ステ ント、材料、材、止め具、 心棒、ストラット、腔、 半径、方向、リブ、プロ、 コーティング、薬剤、カ テーテル レーザー装置 走査、ビーム、画像、レー ザー光、光、網膜、眼底、 表示装置、眼、ミラー、検 眼、観察、照射 ハロゲン化銀写真感光 材料の処理方法 化合物、キル、アル、イル、 置換、クロ、フェニル、メチ ル、ch、塩、炭素、アミノ、 原子、mmol 眼科画像処理システム 検眼、眼底、光学系、視標、ア ライメント、撮影、眼、照明、光 束、角膜、眼底カメラ、検、画 像、眼科、測定、受光、観察、 ef、自覚 アルツハイマー病を予測す る糖タンパク質およびアポ リポタンパク質バイオポリ マーマーカー 治療装置 抗体、配列、タンパク質、特異、 細胞、発現、結合、分析、マー カー、フラグメント 皮膚、治療、組織、血管、 毛、パルス、ピース、ハン ド、遠位、ターゲット、光 ガイド レーザービームの整 眼鏡加工用データ入力 装置及びこれを用いた レンズ周縁加工装置 眼球角膜手術装置 角膜、矯正、眼、システム、 切除、ビーム、波面、屈折、 目、レーザ、組織、手術、 眼球、収差、スポット、網 膜、瞳孔、プロファイル、フ ラップ、患者 列装置 ビーム、レーザー、シス テム、治療、整形、組織、 該、レーザ、パターン、 走査 レンズメータ 検、レンズ、度数、メータ、 測定、受、光束、球面度、 遠用部、近用部、累進、投、 受光、光学特性 レンズ、フレーム、玉、加 工、眼鏡レンズ、ヤゲン、 制御回路、コバ、回転軸、 研削加工、キャリッジ、砥 石、眼鏡、取付、動、形状 測定、モータ、研削 図 2 眼科用レーザ光凝固装置周辺における特許出願状況 ・領域内の最大クラスターの代表特許の発明の名称 ・領域内の特徴語 トプコン出願の特許を含むクラスター 図 3眼科用レーザ光凝固装置周辺におけるトプコンの特許出願状況 (著者紹介) 中村 達生:創知代表取締役 CEO、早稲田大学非常勤講師、 早稲田大学ヒューマンリソース研究所客員研究員、工学博士 三菱総合研究所主任研究員を経て 2006 年より現職 専門領域は、研究開発コンサルティング、オペレーションズリサーチ、知財分析 ©2010 SO-TI, Inc. 3
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