URL: www.walden.co.jp 文責: 室谷吉行 E-mail: [email protected] 電話番号:03 (3553) 3769 シイエム・シイ(2185) 連結通期 (百万円) FY09/2012 FY09/2013 FY09/2014会予 FY09/2013 前年比 FY09/2014会予 前年比 連結半期 (百万円) 1Q-2Q FY09/2013 3Q-4Q FY09/2013 1Q-2Q FY09/2014会予 3Q-4Q FY09/2014会予 1Q-2Q FY09/2014会予 前年比 3Q-4Q FY09/2014会予 前年比 出所:会社データ、弊社計算 売上高 営業利益 経常利益 14,986 1,230 1,283 14,185 978 1,040 16,746 1,405 1,438 (5.3%) (20.5%) (18.9%) 18.0% 43.6% 38.3% 売上高 営業利益 経常利益 7,180 7,005 7,744 9,001 7.9% 28.5% 370 608 460 945 24.3% 55.3% 407 632 479 959 17.5% 51.7% 純利益 530 522 736 (1.4%) 40.9% 純利益 204 318 248 488 21.5% 53.4% EPS DPS BPS ( 円) (円) (円) 236.3 70.0 3,802 233.1 70.0 4,040 328.4 70.0 EPS DPS BPS (円) (円) (円) - 1.0 エグゼクティブサマリー(2013 年 12 月 20 日) 急速な回復 自動車関連分野向けの修理書や使用説明書などの企画・編集・制作を収益源とするシイエム・シイの短期的な損 益が急速に回復する見通しである。現在の同社において売上高構成比 40%以上とされる国内大手自動車メーカ ーにおいては、個別車種の新車投入やモデルチェンジなどのタイミングによって修理書や使用説明書に対する需 要が周期的に推移する傾向が強い。2013 年 9 月期から 2014 年 9 月期に向けては、調整から回復へと周期的な推 移が進捗する見通しである。また、同社は、修理書や使用説明書などの企画・編集・制作を通して得られた技術 情報を読み解き、表現に結びつける能力を元に、顧客に対して社内教育支援などを行うことにも深く関与してい る。同社は、この社内教育支援案件の提案に注力する方向性にあり、これも同社の 2014 年 9 月期の損益回復に 寄与する見通しである。 2013 年 9 月期は、売上高 14,185 百万円(前年比 5.3%減)、営業利益 978 百万円(20.5%減) 、営業利益率 6.9% (1.3%ポイント低下)での着地となった。自動車の新車投入やモデルチェンジなどが端境期にあったため、同 社の売上高も調整を強いられた。同社は、これを受けて製造原価の多くを占める外注費の削減を進めた模様で、 売上総利益率 30.5%(0.6%ポイント上昇)が確保された。ただし、固定費部分が大きいと推定される販売管理 費に関しては、売上高に対する比率が前年の 21.7%から 23.6%へと 1.9%ポイント上昇したため、同社の営業利 益率は低下した。売上高 14,185 百万円に対して、営業費用 13,206 百万円というのが 2013 年 9 月期の実績であ るが、後者は基本的に労務費(正社員に係る人件費)及び外注費(周辺業務の外部委託に係る人件費)によって 占められており、減価償却費(キャッシュフローとしては 310 百万円)などの負担は限定的である。 1 2014 年 9 月期に対する会社予想によれば、同社は、大幅増収・増益を達成する見通しである。売上高 16,746 百 万円(18.0%増)、営業利益 1,405 百万円(43.6%増) 、営業利益率 8.4%(1.5%ポイント上昇)が見込まれてい る。基本的に有形固定資産などへの投資の必要がない同社のビジネスモデルにおける「資産(=収益を生み出す 母体)」とは、人財である。修理書や使用説明書などの企画・編集・制作には、専門的な技術知識や多様な表現 手法が求められるため、同社では、時間をかけてこれらの業務に対応できる人財を多く育成しており、これが同 社の「資産」となっている。また、この「資産」の拡充を図るため、2011 年1月には、同業他社である丸星グ ループの全株式取得及び子会社化が行われた。今後に向けては、本格的にここでのシナジー効果を追求していく ことが計画されている。 (※「人財」 :同社では、人材のことをあえて「人財」と呼んでいる。) IR窓口:経営企画室 室長 園田季一(052 322 3386 [email protected]) 2.0 会社概要 自動車関連分野向け修理書や使用説明書を企画・編集・制作 商号 株式会社シイエム・シイ Web サイト IR情報 株価情報 設立年月日 1962 年 5 月 25 日 上場年月日 2008 年 12 月 4 日:東京証券取引所JASDAQスタンダード(証券コード:2185) 資本金 529 百万円(2013 年 9 月末) 発行済株式数 2,243,600 株、自己株式内数 278 株(2013 年 9 月末) 特色 修理書や使用説明書の企画・編集・制作が収益源 主に自動車関連分野向けに展開、国内大手自動車メーカー向けで高い供給シェア 専門スキルをもつ自社の人財を活用し、顧客の販売促進に向けての社内教育も支援 事業内容 Ⅰ. マーケティング事業 Ⅱ. システム開発事業 代表者 代表取締役社長 佐々幸恭 主要株主 佐々香予子 20.9%、林幹治 12.8%、シイエム・シイ従業員持株会 11.8%(2013 年 9 月末) 本社 名古屋市中区 従業員数 連結 788 名、単体 434 名(2013 年 9 月末) 出所:会社データ 2 3.0 業績推移 2013 年 9 月期実績 2013 年 9 月期は、売上高 14,185 百万円(前年比 5.3%減)、営業利益 978 百万円(20.5%減)、経常利益 1,040 百万円(18.9%減) 、純利益 522 百万円(1.4%減)での着地となった。また、営業利益率は 6.9%(1.3%ポイン ト低下)である。直近の会社予想(2013 年 5 月 8 日公表)との比較では、売上高こそ 1.2%の下振れとなったも のの、営業利益で 37.8%、経常利益で 36.4%、純利益で 50.0%と、損益面では大幅な上振れとなった。 四半期売上高・営業利益率の推移 売上高(百万円) 20.0% 14.8% 10.3% 9.4% 7.4% 2.2% 10.5% 10.5% 5.9% 5.9% 10.0% 4,162 3,153 4,234 3,103 4,077 2,745 4,260 3,872 3,872 4,500 4,500 2Q FY09/2012 3Q FY09/2012 4Q FY09/2012 1Q FY09/2013 2Q FY09/2013 3Q FY09/2013 4Q FY09/2013 1Q FY09/2014 2Q FY09/2014 3Q FY09/2014 4Q FY09/2014 (0.8%) 3,436 4.4% 8.2% 1Q FY09/2012 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 営業利益率(%) 0.0% (10.0%) 出所:会社データ、弊社計算(2014 年 9 月期の四半期予想は、半期会社予想を均等に案分) 第 4 四半期においては、売上高 4,260 百万円(前年同期比 0.6%増) 、営業利益 629 百万円(80.8%増)、営業利 益率 14.8%(6.6%ポイント上昇)と、営業利益率の大きな上昇があり、これが通期ベースの損益に対しても大 きな影響を及ぼした。また、ここでの主因となったのが同社の最大の収益源である自動車関連分野向けの修理書 や使用説明書などの企画・編集・制作に係る売上高の上振れである。上振れの要因は、計画外の受注などによる ものとのことである。 同社が企画・編集・制作する修理書や使用説明書は、主に自動車関連分野向けのものである。自動車ディーラー などで修理スタッフが用いるのが修理書であり、一般消費者である自動車ユーザーが用いるのが使用説明書であ る。同社における案件数は、主に個別車種の新車投入やモデルチェンジなどに起因した記載内容の変更・更新に 影響を受けるとのことである。また、使用説明書は、自動車メーカーが調達する部品のひとつとして取り扱われ ているため、修理書との比較でより個別車種の生産台数に依存した売上高動向を示す模様である。 同社最大の顧客である国内大手自動車メーカー向けに関しては、多言語対応などにも関与している。多様な車 種・仕向地において、同社が企画・編集・制作する修理書や使用説明書が採用されており、同顧客のグローバル ベースでの自動車生産台数を分母としても、同社の供給シェアは相当に高い水準で安定的に推移している模様で ある。 3 「カスタマーサポート・マーケティング」の売上高と同社の営業利益 「カスタマーサポート・マーケティング」の売上高(百万円、左軸) 653 390 138 348 303 500 (21) 1,237 2,929 2,016 2,098 1,960 2,478 1,678 2,160 1,595 2,620 3Q FY09/2011 4Q FY09/2011 1Q FY09/2012 2Q FY09/2012 3Q FY09/2012 4Q FY09/2012 1Q FY09/2013 2Q FY09/2013 3Q FY09/2013 4Q FY09/2013 0 1,323 (200) 66 2Q FY09/2011 7 353 1,573 224 1Q FY09/2011 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 営業利益(百万円、右軸) 1,000 629 (500) (1,000) 出所:会社データ、弊社計算 自動車関連分野向けの修理書や使用説明書などの企画・編集・制作を中核業務とする「カスタマーサポート・マ ーケティング」の四半期売上高の推移においては、第 1 四半期 1,678 百万円(前年同期比 16.7%減)、第 2 四半 期 2,160 百万円(3.0%増)、第 3 四半期 1,595 百万円(18.6%減) 、第 4 四半期 2,620 百万円(5.7%増)と、第 3 四半期を大底とした第 4 四半期に向けての回復が顕著であることが示されている。また、この「カスタマーサ ポート・マーケティング」は、2013 年 9 月期において売上高構成比 56.8%と、同社の売上高の過半を占めてい るが、同社の営業利益は、この分野の売上高と共に推移する傾向が強い。この分野の売上高が大底を打った第 3 四半期における同社は、営業損失 21 百万円を計上している一方、売上高が大きく回復した第 4 四半期において は、営業利益 629 百万円を計上している。また、2011 年 9 月期及び 2012 年 9 月期の四半期動向においても同 様のパターンでの推移が認められる。 2014 年 9 月期会社予想 2014 年 9 月期会社予想では、売上高 16,746 百万円(前年比 18.0%増)、営業利益 1,405 百万円(43.6%増) 、経 常利益 1,438 百万円(38.3%増) 、純利益 736 百万円(40.9%増)が見込まれている。また、営業利益率 8.4%(1.5% ポイント上昇)の見通しである。一株当たり配当金に関しては、前年と同じ 70.0 円(配当性向 21.3%)が予定 されている。同社は、一株当たり配当金の絶対額を持続的に維持・漸増していくことを配当政策としている。 「カスタマーサポート・マーケティング」に関しては、やや保守的とも言える想定がされている一方、顧客の社 内教育支援を展開する「インターナル・マーケティング」に関しては、売上高を前年に対してほぼ倍増させるこ とを目標としているとのことである。後者においては、同社最大の顧客である国内大手自動車メーカーに向けて、 積極的な拡販活動を進める方向性にあるとのことである。 4 中長期業績見通し 同社の将来の損益動向は、基本的に「カスタマーサポート・マーケティング」の損益動向に依存して推移する見 通しである。また、その動向を決定する主な要因は、自動車関連分野向けに企画・編集・制作されている修理書 や使用説明書の案件数及び案件当たり売上高である。同社の売上高の 40%以上を占めるとされる国内大手自動 車メーカー向けに関して安定的に高いシェアを維持している同社は、この分野において中長期的にも安定的な取 引を維持するため、今後に向けても積極的な取り組みを行う姿勢にある。ただし、短期的には、同顧客による個 別車種の新車投入やモデルチェンジなどのタイミングが修理書や使用説明書の案件数及び売上高に大きな影響 を与える傾向が強いことは否めない。また、損益についてはそれ以上の振幅をもって推移せざるを得ない模様で ある。 中長期業績見通し 売上高(百万円) 20,000 12.1% 15.0% 10.5% 15,000 営業利益率(%) 5.4% 8.2% 6.9% 8.4% 10.0% 14,986 14,185 16,746 FY09/2012 FY09/2013 FY09/2014 (5.0%) FY09/2016 12,656 FY09/2011 0.0% FY09/2015 11,348 FY09/2010 0 12,513 5,000 5.0% FY09/2009 10,000 出所:会社データ、弊社計算 主力の自動車関連分野では、ハイブリッド、プラグイン・ハイブリッド、EVなどが出現しているが、これらの 次世代自動車についての情報は、販売側・ユーザー側を問わず従来以上に必要とされてきている。同社では、こ の時流に乗り、積極的に顧客の社内教育支援、販売促進支援などに取り組んでいきたいとしている。 過去 5 年間を通して営業利益率が最も高かったのは 2009 年 9 月期だが、売上高 12,513 百万円、営業利益率 12.1% である。また、2012 年 9 月期は、売上高 14,986 百万円、営業利益率 8.2%と、売上高が過去 5 年間を通して最 大となっており、その規模は営業利益率が過去最高だった 2009 年 9 月期に対して 20%前後大きい一方、営業利 益率は 3.9%ポイント低い水準に留まっている。2012 年 9 月期には、丸星グループが初めて通期で連結対象とな ったことで売上高が大きく増加しているものの、損益面での貢献は限定的だったとのことである。ここでは、丸 星グループの買収に係るのれんの償却(183 百万円×7 年間)もマイナス要因となった。今後に向けては、丸星 グループの買収に伴うシナジーを積極的に追求していきたいとのことである。 また、同社はマニュアルの企画・編集・制作を中核業務としているのだが、この分野における中長期的な顧客に 対する提案力の向上及び同業他社との差別化を目的として、ICT(Information and Communication Technology)関連の開発案件に積極的に人財を投入しているとのことである。特に、マニュアルの編集・制作に おける効率性を引き上げるためのツールに対して注力しているとのことで、新規を含め未導入の既存顧客での採 用を進めていきたいとしている。 5 4.0 ビジネスモデル 修理書や使用説明書を企画・編集・制作 同社の事業は、マーケティング事業及びシステム開発事業から構成されている。2013 年 9 月期の実績に鑑みれ ば、マーケティング事業が売上高構成比 89.6%、営業利益(調整前)構成比 96.8%と、実質的に同社の営業利 益のすべてを説明している。ここで中核となるのが修理書や使用説明書などの企画・編集・制作を行う「カスタ マーサポート・マーケティング」である。売上高構成比は 56.8%と、同社の売上高の過半を占めている。 売上高構成比(2013 年 9 月期実績) <システム開発事業> <マーケティング事業> 「インターナル・マーケティング」 10.4% 3.4% 10.2% 8.6% 10.6% 「エクスターナル・マーケティング」 「カスタマーサポート・マーケティング」 「トータルプリンティング」 「その他」 <システム開発事業> 56.8% 89.6% <マーケティング事業> 6 出所:会社データ、弊社計算 また、修理書や使用説明書の制作に必要な技術情報を読み解き、表現に結び付ける能力をもつ人財を活用して、 同社は顧客の営業担当者の社内教育支援及び商材の販売促進支援などに取り組んでいる。前者に係る売上高は、 「インターナル・マーケティング」として計上されている一方、後者に係る売上高は、「エクスターナル・マー ケティング」として計上されている。 一方、「トータルプリンティング」では、同業他社が企画・編集した修理書や使用説明書などの印刷・製本に係 る売上高などが計上されている。以上の事業に「その他」を加えたものが、マーケティング事業を構成する。一 方、システム開発事業では、ソフトウェアの受託開発などが行われている。ここでは、顧客ベースも含めて、主 力のマーケティング事業との関連性のないかたちで事業展開が行われている。 イメージ画像 修理書 使用説明書 出所:会社データ 7 Disclaimer ここでの情報は、ウォールデンリサーチジャパンが当該事業会社の発信する「IR情報」を中立的かつ専門的な 立場から要約して、レポート形式にまとめたものである。「IR情報」とは、すなわち当該事業会社に係る①弊 社との個別取材の内容、②機関投資家向け説明会の内容、③適時開示情報、④ホームページの内容等である。 商号: 株式会社ウォールデンリサーチジャパン 本店所在地: 〒104-0032 東京都中央区八丁堀 4-12-4-1110 クイーンズパレス東京中央 URL: www.walden.co.jp E-mail: [email protected] 電話番号:03 (3553) 3769 Copyright 2013 Walden Research Japan Incorporated
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