中小企業のニーズに応じた専門人材の活用について

中小企業のニーズに応じた専門人材の活用について
平
成
2
6
年
3
月
財 務 省 北 陸 財 務 局
問合せ先
北陸財務局理財部金融監督第一課
電話 076-292-7859
~公的機関における専門人材の活用状況~
• 専門人材に求められるものは、中小企業のライフステージや業種の違いによる専門性のほか、企業との円滑なコミュニケーション能力。
• 活用可能な専門人材は、地方で活動している者が多いが、首都圏等の専門人材も活用可能。企業OBが専門人材として活用されている。
• 海外進出においては、JETROの活用が有効。
専門人材に求められるもの
活用可能な専門人材の状況
専門家派遣に当たっての工夫
【ライフステージ、業種の違いによる知見】
《創業、成長段階(販路拡大、新事業進出)》
【登録専門家等】
• 多くは北陸地域で活動している専門家だが、首都圏等の専門家で
北陸地域に出向くことができる専門家もいる。
• 派遣専門家の選定に当たっては、
専門家の過去の支援内容や実績の
ほか、経営者との相性も重要で、合
わなければ専門家を入れ替えること
もある。
• 小売・卸売業では、販売先、商品の選定、
デザイン、店舗設計に関する専門家が重
要。
• 旅館・ホテルでは、マーケティング支援、IT
支援が重要。
• 製造業では、技術の販路拡大の際に、購
買担当者として実際に中小企業との取引
経験があるメーカーOBが効果的。
• 医療・福祉では、デイサービス等開業に商
業分野のコンサルタント、大学の研究の事
業化に製造分野のコンサルタントが対応。
《経営改善・事業再生》
• 旅館・ホテルでは、経営改善等においても
マーケティング支援、IT支援が重要。
• 製造業では、前職での経験が重要で、講
演がうまくても、現場を知らないと支援が
難しい。
【共通して求められる知見】
• 販路開拓、生産管理、技術支援において
は、実務経験のある企業OBが有用。
• 企業の課題解決にあたっては、企業(経
営者、従業員)との円滑なコミュニケーショ
ン能力が必要。ある程度年配で、経験豊
富な、相手をうまく導くことができる人材が
有用。
• 特殊な技術を要する分野等を除いて、一般的な課題(例えば、営
業、経営、法律、人材育成、生産、IT)については、地方の人材で
対応可能。
• 中小企業診断士、税理士等の有資格者のほか、実務経験のある
企業OBを、専門家として登録。
• 専門家の登録のみならず、受注・販路開拓アドバイザー(企業O
B:メーカーの製造部長や資材調達部長、百貨店等のバイヤー経
験者)を常駐させ、アドバイザーの持つネットワークと公的機関の
看板を活用し、首都圏等における受注・販路開拓支援を実施。
• 登録している専門家全員を均等に
派遣するのではなく、依頼内容の軽
重、専門家の経験等を勘案して、派
遣可能な者を選んでおり、経験の浅
い者にも経験を積んでもらえるよう
工夫している。
• 毎月、派遣している専門家から支援
報告書を提出してもらい、状況を確
認している。
【その他の連携先】
• 県の工業技術センター、総合デザインセンター等とも連携している。 • 派遣後、企業に専門家の評価等の
アンケートを実施し、その結果と支
• 海外進出支援については、県の海外進出支援センターや海外事
援内容を蓄積していき、次回以降の
務所等を活用するほか、JETROを紹介している。
派遣時の参考としている。
【海外進出時に必要な知見についての大企業の声】
• JETROに紹介してもらった現地の会計事務所、弁護士事務所、コンサルティング会社を活用
しているほか、日本の会計事務所、弁護士事務所で海外進出しているところも活用している。
また、情報収集は、JETRO、現地に先に出ている企業(同業他社)、大手商社、銀行等から行
うが、裏事情は同業他社からしか得られない。
• 進出しようとする現地の法律・ルール、商習慣、雇用等の情報は、JETRO、金融機関(現地
事務所をもつメガバンク中心)、現地の日系企業ネットワークを活用している。
• 海外進出を始めた当時は、金融機関(地銀、メガバンク)の外為課にL/Cの開設の仕方等を
教えてもらったほか、海運貨物取扱業者に輸出関係について教えてもらった。
⇒ 企業からの声によると、JETROほか、金融機関の支援も有効。
1
~公的機関における専門人材活用についての課題~
• 一般的な課題には地方の専門人材で対応可能であるが、特殊なニーズ、高度なニーズへの対応は全国ネットで専門人材を探す必要があり、専門人
材が見つかっても、費用が高い、機動的な支援が難しい等の課題があるとの声がある。
• 公的機関は、中小企業支援のための専門人材の蓄積に取り組んでおり、更なる充実が期待されるものの、有用な人材といわれている企業OBの確
保がなかなか難しいとの声がある。一方、企業側も経営課題に主体的に取り組むことが重要との声もある。
公的機関が認識している課題・問題
【専門人材確保】
• 地域に集積のない産業分野、ニッチ産業分野、特殊な技術を要する分野につ
いては、地方の人材では対応できず、全国の専門家を探すが、全国的に専門
家の少ない分野もある(リチウムイオン電池、医療分野等)。
• 医療分野の専門家は費用が高く、謝金の安い公的機関に登録せず、民間とし
て営業しているので、専門家の確保に苦労している。また、著名な専門家も費
用が高く、招聘が難しい。
• 中小企業のニーズは高度化しており(特に製造業) 、対応可能な専門家は首
都圏等に多く、招聘は可能であっても、機動的な支援は難しい。
• 専門家のバリエーションを増やすため、インターネットや口コミを基に専門家を
探しているが、人気(実績)のある専門家は日程の確保すらできない。
【企業OBの活用】
• 企業OBは非常に有用な人材であることから、退職後地元に戻ってきた際に勧
誘しているものの、仕事をしたくない方も多く、勧誘に苦慮している。
• 人材の確保は常に意識しており、様々な機会に知り合った人材に声を掛けて
いるが、良い人材(特に技術系)は定年後も企業が囲い込むことが多い。
【企業の意識】
• 融資を受けるための事業計画策定等で専門家を活用する場合、融資を受けら
れれば、計画が未達成でも危惧していない経営者も多いことから、経営者の認
識を改めてもらう必要がある。
• 経営者の課題解決に対する主体意識が薄く、専門家による支援の枠を超えて、
経営判断が必要な事項まで専門家に一任しようとする経営者もいる。
【販路拡大、新事業進出等のための知見についての大企業の声】
• ニッチな分野の業務であり、専門家がいないことから、マーケ
ティングや経営相談にコンサルタント会社やリサーチ会社を利
用せず、自分達で取り組んでいる。
⇒ 専門家のいない分野もある。
• 様々な知見を持った企業OBや、どの企業やどの金融機関に
どういったことに精通した人がいるという情報は、業界のネッ
トワークを通じて入ってきている。
• 調達先(部品メーカー)の技術については、自社に情報の蓄
積があるほか、部品メーカーからの提案も多い。技術者の
ネットワークが強く、どの部品を使えばよいか、どの企業が自
分たちの必要とするものに強いか、などの情報を持っている。
• 自社の経営ノウハウを基にコンサルティングを行う子会社を
設立、一部OBも在籍している。金融機関から取引先のコン
サルティングを依頼されることもあるほか、他県同業者への
人材派遣も行っている。
⇒ 必要な知見は企業の中に蓄積されている。
• 新規取引先の見極めは、民間の情報会社の情報を利用す
るほか、必ず相手方の会社に出向いて自分達で状況を把握
している。
• 販路拡大、新事業進出に関しては持込案件が多く、どれに
取り組むかは、経営陣の人脈、会社が築いてきたネットワー
クやコンサルタントから収集した情報も参考に検討し、最終
決定している。評論家的なコンサルタントには頼まず、一緒
に動いてくれるところに依頼している。
⇒ 成功している企業は自分達で動いている。
2
~金融機関における専門人材の活用状況及び課題~
• 金融機関は、中小企業にとって費用負担の少ない公的機関を活用しているほか、中小企業のライフステージに応じて様々な外部機関と連携して
中小企業支援を実施している。
• 地方と比較して、首都圏等には、業種毎、支援実績豊富な専門家もいるが、機動的な支援、費用面が課題との声がある。
金融機関における活用状況
【金融機関の外部機関との連携状況】
中小企業にとって費用負担の少ない公的機関を活用しているほか、以下のように他の外部機関とも連携している。
《創業、成長(販路拡大、新事業進出)》
• 金融機関が、市・商工会議所・日本政策金融
公庫と創業支援の協定を結び、各組織が個
別に行う支援策の情報を共有し創業から持
続、発展を一貫して支援する「ワンストップ」
の仕組みを整備。
• 創業・事業転換や経営改善支援における経
験豊富な公認会計士等を擁している外部機
関と連携協定を締結し、取引先の経営支援
に取り組んでいる。
《成長(海外進出)》
• アジア地域の海外進出支援のため、政府機
関や現地金融機関と提携するほか、コンサ
ルティング会社とも業務提携し、海外進出
ニーズにきめ細かく対応。
• 産学官金の連携で、県内企業の海外展開を
支援するためのワンストップ相談窓口を開設
し、商談会開催や情報提供等を実施。
【金融機関が認識している課題】
• 地方には問題点を指摘できる専門家は多いものの、具体的な改善策をア
ドバイスできる専門家や、企業と一体になって継続して改善アドバイスを
した実績のある専門家が少ない。
《経営改善》
• 中小企業診断協会との連携及び中小企業支
援ネットワークによる費用補助制度を活用し、
小規模先の経営改善支援に取り組んでいる。
• 中小企業診断協会と連携し、協会が複数名
のチームで診断士を派遣し経営改善計画策
定支援を実施。協会は経営支援の品質管理
を行うとともに、診断士の育成に繋げている。
• 首都圏等には業種毎の専門家がおり、支援実績も豊富であるものの、遠
方のため関与度合いが低くなったり、即時性・常駐性に欠けるほか、コン
サルフィーが高いこと等が障害。
~専門人材活用に当たっての課題と対応策~
【課題】
• 一般的な課題への支援については地方の専門人材でも対応可能であるものの、より高度なニーズへの支援は首都圏等の専門家に依頼せざる
を得ない。ただし、首都圏等の専門家は、機動性、費用面に課題が残る。
【対応策】
• 中小企業支援のための専門人材の蓄積等に取り組んでいる公的機関があり、当局としては、金融機関に対して、公的機関の活用を中心に、不
足する知見等については他の外部機関とも連携しつつ、積極的に中小企業支援に必要な知見の活用を促す。
3