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5 小樽水先区水先人会 - 一般社団法人日本船長協会

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小樽水先区水先人会
[小樽港・石狩湾港]
5-1 小樽港
気象・海象
① 風況
北海道に暴風をもたらすものに、台風、温帯低気圧、前線及び北西季節風がある。
夏季は台風によるものを除きほとんど暴風は見られないが、冬季の温帯低気圧と北西季節
風によるものは台風に比べ強風範囲が広く、時間も長く、また急に吹き出し猛吹雪となる特
徴がある。
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春季には日本海を通過する低気圧に吹き込む南よりの強風があり、秋季には寒冷前線通過
に伴う南西及び北西の強風が急に吹き出す特徴を持っている(水路誌による)
。
このような風況にあって、小樽港は高島岬に抱かれるように北~西~南方の 3 方向を遮蔽
されているため、昔からの「天然の良港」といえる。北西季節風が連吹する冬季であっても、
高島岬に遮蔽される港外検疫錨地付近までは比較的静穏である。しかしこれを外れる沖合で
は、風及び波ともに強く、大時化となっていることが多い。
年間を通じた小樽港の最多風向及び最大風速の風向はともに南西系である。わずかに 10 月
に北北西の風で 16.5m/s、11 月に西北西の風で 18.5m/s の最大風速が記録されている(気象
庁発行「気候表」による)
。
② 波浪
石狩湾は北西方向に大きく開口した釜の形をしており、その岸線は急峻な崖海岸の連続で
ある。日本海側では冬季季節風に伴う西~北西方向の来襲波が問題となるが、それらの波浪
がまともに湾内に侵入し、ある場所では正面からの入射、別のある場所では斜めからの入射
となって崖海岸に押し寄せ、侵入波と崖海岸からの反射波とが大きな釜の底で複雑な様相を
呈している。
③ 地形から影響を受ける風向、波浪の方向
東方向に港口を開ける港であることから、この方向からの風及び波浪の影響を直接受ける
こととなる。
気候表からは、6 月から 7 月の間のみ、最多風向で東北東の風・風速 1.8m/s(出現頻度は
18%である。)として出現する程度で、むしろ好天日の海陸風の方が顕著である(海風は E’ly、
陸風は W’ly である)
。また波浪は、東からの海面上吹送距離が短いため、大きく成長するこ
とはない。
④ 潮流
特有の潮流はない。
冬季以外は偏北流の海流影響を受けるも、この影響は弱い。一方で冬季は、潮流は季節風
に左右されるため不安定である。
⑤ 港内航行時及び離着岸時に影響を及ぼす潮流
日潮不等が極めて大きく、
高低潮差は 20cm 程度である。
周期的な潮流成分は極めて弱いが、
時として中央ふ頭及び港町ふ頭前面水域(図 5-1-1 参照)にて強い流れがあることがある。
これらのふ頭間に進入する際は、船首尾の振れに注意を要する。
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図 5-1-1 中央ふ頭及び港町ふ頭の前面水域(おおよそ点線で示す海域)
⑥ 高潮
潮高は低く(最大 38cm)、潮位差が小さい(最大 30cm)ため、高潮の危険性は低い。
⑦ 長周期波
北よりの強風が連吹した後に、北防波堤を乗り越えて港内に侵入することがある。このた
め、勝納ふ頭 1 号及び 2 号岸壁に着岸する船は船首尾方向に押されることから、前後運動に
伴う係留策切断や船体及び岸壁の損傷への注意が必要である。また過去にコンテナバースに
おいて、コンテナ船が着岸したものの荷役不可だったことがある。
(北防波堤及び各岸壁の位
置については、図 5-1-2 を参照のこと。)
図 5-1-2 北防波堤及び長周期波の影響を受ける岸壁
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⑧ 天気図上に現れない副低気圧(石狩湾小低気圧)の影響
特に 1 月から 2 月ごろにかけて、冬型気圧配置の石狩湾周辺に直径数十キロの「泡状小低
気圧」が発生することが多い。この小低気圧のふるまいによって、特異な気象現象(豪雪、
季節風の一時中断、風向の急変、風が急に吹き出す等)が発生することがある(日本気象協
会発行「気象海象要覧」による)。
⑨ 霧
夏季(6 月から 9 月)に海霧の発生(年平均 7.7 日)をみるが、比較的短時間で消散する。
また後背山側での降水後、弱い南西風に乗って港内に蒸気霧が流入することがある(気象
庁発行「気候表」による)
。
⑩ 雷
雷の発生は少なく年間 6.6 日程度であり、夏季に集中して発生している(気象庁発行「気
候表」による)
。
荒天時における錨泊
結論として不可である。
当港は北海道西岸にあって、北~西よりの強風による荒天の場合にはまともに強風及び波浪を
船体に受ける。また、底質が砂礫であり走錨しやすい。
石狩湾奥部にある小樽港の港内域は 3 方向を山で遮蔽されているものの、港外においてはそれ
らの効果も薄く、北~東方向は全く遮るものがない状態である。
石狩湾は北西方向に大きく開口し、正面又は斜めに入射する波浪はその地形によって屈折し、
最終的には汀線に直角入射するようになる。
湾内に高波高をもたらす気象条件は前述の台風、低気圧、前線の通過及び冬型気圧配置である
が、これらの風資料等から推算された「確率波高(50 年)」による湾内高波分布は「各地点とも
6.5m±0.5m(小樽港では 11 秒、5.1~6.1m)であり、場所による差はあまり認められない。
」
(日本
気象協会発行「気象海象要覧」による。
)とのことから、強風の連吹時間や方向に左右されるこ
とではあるが、
「5~6m の波浪の中、錨泊は不可である。」との結論に達する。
【海難の発生】
1988 年 11 月、北西の風・瞬間最大風速 22m/s、波高 6m という荒天時に、小樽港外検疫
錨地に停泊中の木材運搬船(総トン数 3,110 トン)が走錨し、朝里海岸に漂着した。
これより約 12 マイル東方の石狩湾港港外において、2004 年 11 月及び 2010 年 3 月、総ト
ン数 5,500 トン級の貨物船(スクラップ積み予定の空船状態)が走錨、防波堤及び海浜に漂
着している。いずれも北西~西北西の風で最大瞬間風速 22m/s、波高 5m であった。空船状
態、伸出錨鎖長 6~7 節、単錨泊、乗組員の油断等といった条件が重なり海難が発生してい
る。
このことから石狩湾新港港外にて錨泊中、西系強風に遭遇するおそれがある場合は「走
錨しやすい海域」として錨泊を避けるべきである。また、荒天の程度にもよるが、西系強
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風時の石狩湾内にあっては、石狩湾港港外よりも小樽港外がまだ走錨の危険性が少ない。
漁船・漁具の状況
早朝に出漁する「底刺し網」、
「うに」、
「ほたて」
、
「しゃこ」漁が年間を通じて港外で行われて
いる。船舶運航関係者等と漁業関係者の間で結ばれている協定では「漁労は航路筋では行わない」
ことになっているが、航路内に旗竿を見ることがある。また時季によっては港内で旗竿を見るこ
ともある。
漁船の動静は、漁協によると「帰港は午前中、遅くとも昼ごろ」とのことであり、また「市場
が休みとなる日・祝日の前日が休漁日」とのことである。
タグボート
当港に常駐しているタグボートは、3500ps のものが 1 隻である。また石狩湾新港に常駐して
いるタグボート(3600ps のものが 1 隻)の応援が受けられる(回航に約 1 時間を要する)。
船舶交通の輻輳状況
① 大型船の輻輳状況
定期船として「舞鶴行き」及び「新潟行き」の大型フェリーがあるが、大型船の入出港が
特段「多い」又は「少ない」といえる時間帯はない。
② 小型船舶等の輻輳状況
港内南端にマリーナがあり、休日には港の内外にプレジャーボートやセイルボートが散見
される。
「マリーナ安全協議会」において、入出港ルート及び通行路を一般船舶と分離し、危
険な見合い関係とならないよう特に厳しく指導されている。
また、「小型船舶操縦士」の訓練や試験が防波堤の内側で年間数回開催されている。
ポートラジオ
北海道内では唯一のポートラジオ局である「おたる/いしかりポートラジオ」が開設されている。
石狩湾協定航法
1981 年から沿岸 8 漁協、日本船主協会、日本海難防止協会及び日本船長協会が「船舶の安全
航行と漁業の安全操業を図る」ことを目的として、
「石狩湾協定航法」の申し合わせにおいて、
神威岬沖~高島岬沖~石狩湾新港沖灯標まで航路幅約 2,000m の南航路及び同沖灯標から雄冬岬
沖までの北航路が「石狩湾の自主航路」として設定されている(図 5-1-3 参照)
。
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図 5-1-3 石狩湾協定航法航路図
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5-2 石狩湾港
石狩湾港には水先法による水先区は設定されていないが、小樽水先区水先人会が水先類似行為
を実施していることから、ここで紹介する。
石狩湾港(「石狩湾新港」の呼称が多く使われているが、ここでは海図記載の名称である「石狩
湾港」とする。
)は港則法に定める特定港で、後背地の札幌市を中心とした道央圏の物流拠点港と
して造成された埋立・掘込式港湾である。
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気象・海象
① 風況
北海道に暴風をもたらすものに、台風、温帯低気圧、前線及び北西季節風がある。夏季は
台風によるものを除きほとんど暴風は見られないが、冬季の温帯低気圧と北西季節風による
ものは台風に比べ強風範囲が広く、時間も長く、また急に吹き出し猛吹雪となる特徴がある。
春季には、日本海を通過する低気圧に吹き込む南よりの強風があり、秋季には寒冷前線通過
に伴う南西及び北西の強風が急に吹き出す特徴をもっている(水路誌による)
。
② 入出港時に影響を受ける風
圧倒的に冬季の西~北西である。2009 年の記録では風速 10m/s 以上の強風が 30 日、風速
15m/s 以上の強風が 1 日とあるが、その風向は圧倒的に北西系が多い。また、これは陸上の観
測地点における数値のため、海上ではそれぞれ「15m/s」、
「20m/s」と読み替えるべきである。
最大風速 10 傑は、西北西の風が 6 回、西及び北西の風が各 2 回(それぞれ風速 16~23m/s)
である。この風向の風は、入港時に右正横から受けることとなるので、速力の保持及びリー
ウェイに十分な注意が必要である。
③ 波浪
石狩湾は北西方向に大きく開口した釜の形をしており、その岸線は急峻な崖海岸の連続で
ある。日本海側では、冬季季節風に伴う西~北西方向の来襲波が問題となるが、それらの波
浪がまともに湾内に侵入し、ある場所では正面からの入射、別の場所では斜めからの入射と
なって崖海岸に押し寄せ、侵入波と崖海岸からの反射波とが大きな釜の底で複雑な様相を呈
することとなる。
④ 特有の潮流
特有の潮流はない。
冬季以外は偏北流の海流影響を受けるも、この影響は弱い。一方で冬季は、潮流は季節風
に左右され不安定となる。
潮位変動は小さく、潮汐流は極めて弱い。また当港は湾奥に位置しているため海流影響も
微弱と考えられ、潮流の主原因は風と波によるものと推測される。
⑤ 入出港時に特に影響を及ぼす風と潮流
前項のとおりであるが、北東方 4.5 マイル付近に北海道一の大河である石狩川の河口があ
り、加えて分岐放水路(石狩放水路)が島防波堤内側に流れ込んでいる(図 5-2-1 参照)た
め、港口付近ではいつも離岸流があるようである。特に雪解けや大雨による増水時期には注
意が必要である。
なお、港内の航行や離着岸時に影響を及ぼすような流れはない。
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図 5-2-1 石狩放水路及び島防波堤と航行付近海域
漁業関係者によると、「石狩湾港は、港口で少々波があっても港内は非常に穏やかである。
ただし港口と防波堤の沖は返し波が非常に高い。北西風の強い場合、港口付近の操船は非常
に難しいと思う。」とのことである。このことは、港口付近では複雑な波浪と三角波に加え、
入航時右舷方向から強風を受けるため、右方向への回頭成分を押さえる大きな当て舵を必要
とする場合があるということである。このため、進入コースは十分な余裕距離と船速を保持
し、防波堤先端を大きく右回頭し、早めに入航針路に整定する必要がある。加えて先の漁業
関係者は「強風の程度によるが、北西風の強い日の入港については、よく考えたほうがよい
と思う。
」とも述べている。
⑥ 高潮
潮高は低く(最大 40cm)、潮位差が小さい(最大 33cm)ため、高潮の危険性は低い。
⑦ 長周期波
北東方向に一般船出入り口が、南西方向に漁船用の開口部がある。しかしこの方向からは
風の吹走距離は短く、長周期波に成長しない。また石狩湾に面した北~西方向は全長 4,500m
の弓状の「北防波堤」
(図 5-2-2 参照)に守られており、台風来襲時を除いて強風に伴う長周
期波の港内への侵入は少ない。
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図 5-2-2 北防波堤
⑧ 天気図上に現れない副低気圧(石狩湾小低気圧)の影響
特に 1 月から 2 月ごろにかけて、冬型気圧配置の石狩湾周辺に直径数十キロの「泡状小低気
圧」が発生することが多い。この小低気圧のふるまいによる特異な気象現象(豪雪、季節風の
一時中断、風向の急変、風が急に吹き出す等)を引き起こすことがある(日本気象協会発行「気
象海象要覧」による)
。一時的に時化が収まり穏やかになることがあるが、この低気圧の移動
又は消滅後には北西の暴風雪が激しくなるので、この判断を誤らないようにしなければならな
い。
⑨ 霧
初春から初夏にかけて、雪解け冷水が流れる石狩川上面へ暖かい南東風が吹き込み、川面か
ら蒸発した蒸気霧(「川霧」と呼ぶ。)が湾内へ流出することがある。このとき濃霧となり、視
程が 100~200m となることがある。
⑩ 雷
雷の発生は年間 6~7 日程度であり、夏季から秋季にかけて集中している(気象庁発行「気
候表」による)
。
荒天時における錨泊
結論として不可である。
当港は北海道西岸にあって、北~西よりの強風による荒天の場合には、直接的に強風及び波浪
の影響を受ける。また、底質が砂礫であり走錨しやすい。
石狩湾最奥部で釜の底部分に当たり、複雑な波浪が集中した後三角波となって押し寄せる。ま
た、北西季節風は何ら遮蔽物のない海上を暴風雪となって、長時間吹きつのることとなる。
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石狩湾は北西方向に大きく開口し、正面又は斜め入射する波浪はその地形から屈折して最終的
には汀線に直角入射するようになる。
湾内に高波高をもたらす気象条件は、前述の台風、低気圧、前線通過及び冬型気圧配置である
が、これらの風資料等から推算された「確率波高(50 年)」による湾内高波分布は「各地点とも
6.5m±0.5m(石狩湾港では 11 秒、6.5m)で場所による差はあまり認められない。」
(日本気象協
会発行「気象海象要覧」による。)とのことから、強風の連吹時間や風向に左右されることでは
あるが、
「5~6m の波浪の中、錨泊は不可である。
」との結論に達する。
なお、港内泊地に錨泊する中小型船があるが、錨かきの悪い底質に加えて西系強風をまともに
受けると走錨しやすいことから、荒天の程度にもよるが、結局小樽沖へ転錨するケースが多いよ
うである(小樽港外では、西系強風は山並みに遮蔽されるため)
。
【海難の発生】
1988 年 11 月、北西の風・瞬間最大風速 22m/s、波高 6m という荒天時に、小樽港外検疫
錨地に停泊中の木材運搬船(総トン数 3,110 トン)が走錨し、朝里海岸に漂着した。
これより約 12 マイル東方の石狩湾港港外において、2004 年 11 月及び 2010 年 3 月、総ト
ン数 5,500 トン級の貨物船(スクラップ積み予定の空船状態)が走錨、防波堤及び海浜に
漂着している。いずれも北西~西北西の風で最大瞬間風速 22m/s、波高 5m であった。空船
状態、伸出錨鎖長 6~7 節、単錨泊、乗組員の油断等といった条件が重なり、海難が発生し
ている。
このことから石狩湾港港外にて錨泊中に西系強風に遭遇するおそれある場合は、
「走錨し
やすい海域」として錨泊は避けるべきである。
漁船・漁具の状況
早朝に出漁する「底刺し網」、
「えび篭」、
「延縄」
、
「しゃこ」漁が年間を通じて港外で行われて
いる。また沿岸 1 マイル以内には冬季を除き定置網が設置され、2 マイル以内では底建網漁が周
年行われている。港湾区域の漁業権は消滅しているが、港域内に旗竿を見ることもある。
漁船の動静は、漁協によると「帰港は午前中、遅くとも昼ごろ」とのことであり、また「市場
が休みとなる日・祝日の前日が休漁日」とのことである。
タグボート
常駐しているタグボートは、3600ps のものが 1 隻である。また小樽港に常駐しているタグボ
ート(3500ps のものが 1 隻)の応援が受けられる(回航に約 1 時間を要する)
。
釣り船及びプレジャーボートの状況
休日には港の内外に釣り船やプレジャーボートが多く見受けられる。乗合船を除くと多くは自
家用ボートなので、十分な警戒を要する。また平日にも数隻の釣り船がある。
ポートラジオ
北海道内では唯一のポートラジオ局である「いしかり/おたるポートラジオ」が開設されている。
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LNG 船の入港予定
石狩 LNG 基地(建設中)への大型 LNG 船第 1 船の入港が、2012 年 10 月に予定されている。
石狩湾協定航法
1981 年から沿岸 8 漁協、日本船主協会、日本海難防止協会及び日本船長協会が「船舶の安全
航行と漁業の安全操業を図る」ことを目的として、
「石狩湾協定航法」の申し合わせにおいて、
神威岬沖~高島岬沖~石狩湾新港沖灯標まで航路幅約 2,000m の南航路及び同沖灯標から雄冬岬
沖までの北航路が「石狩湾の自主航路」として設定されている。航路の詳細については、図 5-2-3
を参照のこと。
図 5-2-3 石狩湾協定航法航路図
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