学内演習「ポータブル RGB の三原色光源の製作」

学内演習「ポータブル RGB の三原色光源の製作」
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電子工作入門
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技術部研究支援室
1 はじめに
理学研究科技術部は分析測定室、教育支援室、情報ネットワーク室と研究支援室の四室
で構成されている。研究支援室は電子回路開発室と金工室で計 5 名の技術職員で構成され
ているが、今回技術職員研修「学内演習」の午後の部を研究支援室で受け持ってもらえな
いかとの問合せがあり、第 17 回技術職員研修において比嘉憲一技術専門職員が発表した
「LED を使った光の 3 原色教育実験装置の製作」を取り上げて、はんだ付けの基礎と電子
回路工作入門を行ってはどうかと云う事になった。この装置は赤・緑・青の LED を使用し、
各スイッチの操作と、輝度調整用の可変抵抗を調整する事で、光の 3 原色の実験を容易に
実現できる教育用の装置である。この装置の回路部をプリント基板化し、初心者でも簡単
に製作できる様にパーツ、ケース等も工夫し、これまでほとんどはんだ付けを行った事が
無い他の 3 室の技術職員向けに演習を実施する事になった。
2 演習内容
はんだ付けの基礎知識、LED の基本回路と今回製作する「ポータブル RGB の三原色光
源」の回路図と部品・接続図をパワーポイントとマニュアルを製作し、回路図を読めない
者にも間違わずに配線できる様に考えた。技術職員を 3 班にわけ回路製作に携わる研究支
援室技術職員 3 名が直接実技指導する事で、スムースに演習は行われた。下記に今回製作
した「ポータブル RGB の三原色光源」の完成写真(Fig.1)とマニュアル(Fig.2)を示す。
Fig.1 ポータブル RGB の三原色光源
LEDの点灯回路
電子回路工作入門
抵抗
LED
研究支援室
(測定回路開発室)
トグルスイッチ
SW1
D1
R13
+
-
DC1.5Vx4
電池ケース
はんだ付けに使用する道具
可変抵抗
抵抗値の読み方
列1
列2
列3(乗数)
列4(誤差)
例:1.5kΩ±5%
茶
赤
緑
金
はんだ
例:27kΩ±5%
ペースト
黒
0
0
×1(100 )
茶
1
1
×10(101 )
赤
はんだごて
2
×100(102 )
赤
橙
紫
金
±1%
±2%
橙
3
3
×1,000(103)
-
黄
4
4
×10,000(104)
-
例:1.5kΩ±5%
-
茶
緑
青
-1-
2
-
5
5
×100,000(105)
×1,000,000(106 )
-
紫
7
7
×10,000,000(107 )
-
灰
8
8
-
-
白
9
9
-
-
6
6
金
-
-
×0.1
±5%
銀
-
-
×0.01
±10%
-2-
-3-
-5-
-6-
黒
黄
金
1,000Ω=1kΩ 10,000Ω=10kΩ
1,000kΩ=1ΜΩ 4,700Ω=4.7kΩ
ポータブルRGBの三原色光源回路図
SW1
VR1
R1
100Ω
SW2
VR2
D4-6
R2
500Ω
SW3
D1-3
10~20Ω
100~150Ω
VR3
D7-9
R3
100~150Ω
500Ω
単4×4
+6V
-
ポータブルRGBの三原色光源配線図
B
BG
R
G
R
G
B
B R
G
+
―
VR
2
3 VR
1
SW
2
1
3 VR 2
1
SW
SW
R
G
3
B
-4-
Fig.2 配布マニュアル
3 まとめ
現在、寿命と省エネルギー面から明りのほとんどが、LED に取り替えられつつある。一
本の LED を点灯させるために、電池ケース、スイッチ、抵抗を初めてはんだ付けして、ス
イッチを入れた瞬間に透明だった LED が赤や緑や青に点灯する。電子回路を技にする者に
とっては当たり前の事だが、初めての者には大変感動的であったと思う。半日の演習で受
講者が、はんだ付けと電子回路を理解できるとは思えないが、これまでまったくブラック
ボックスであった LED 回路の中を覗いていただけた事と思う。
今回の演習の体験は受講者だけで無く、演習を企画し、実施した研究支援室職員自身が、
電子工作を行った事のない学生に、どの様にアドバイスを行ったら良いか、回路や電子パ
ーツ、道具の名前、使い方をどの様に説明すれば良いか等、再認識させてもらえた事が、
実は一番の成果ではなかったか、そして日頃の業務をあらためて見つめる大変良い機会で
あったと考える。
参考文献
[1] 比嘉健一、LED を使った光の 3 原色教育実験装置の製作、理学研究科技術報告書、Vol.17(2009.3), pp37-38.