第 41 期構造部門 談話会・見学会・講演

第 41 期構造部門
談話会・見学会・講演
日本航空宇宙学会主催の第 41 期構造部門説明会・見学会に参加しました。
開催日時:平成 21 年 11 月 20 日
開催場所:三菱重工業株式会社
名古屋航空宇宙システム製作所
大江工場
1,大江工場内見学
2,MRJモックアップ見学
3,講演
講演 1
『MRJ 開発の現状』
小祝 弘道 先生
(三菱航空機(株)機体設計部構造グループ顧問)
講演 2
『スマート材料の構成モデルとスマートボルテックスジェネレータ』
池田 忠繁 先生
(名古屋大学 大学院工学研究科 航空宇宙工学専攻 准教授)
講演 3
『日本初の有人宇宙システム「きぼう」の構造設計について』
下田 孝幸 先生
(宇宙航空研究開発機構 有人宇宙環境利用ミッション本部 JEM開発プロジェクトチーム)
1.大江工場では主に部品を製作している。(様々な工程あり見学を列挙)
* 大型プロファイラーによる切削工程。ボンバルディアの主翼。次に板金工程からシ
ョットピーニング成型へ。不況により生産量は減っている。
* ボーイング 767、777 用の外板。削る前の物と削った後の物あり。板金で曲げ、ポ
ケット加工を施していた。
* H2ロケットの燃料タンク、三角形模様の切削。板金課でその後曲げる。
* 777 の外板有り。切削後曲げるケースと曲げてから削るケースあり。板厚圧により
分ける。
* 外板の模様の違いは、場所により強度が違う為。Section46 においても強度の違い
が部分により変わる。
* 荒加工後の 777 バルクヘッド、上に垂直尾翼、横に水平尾翼が付く所。
* 横軸一頭 5 軸プロファイラーあり。
* バルクヘッドには 3 種類ある、大バル、中バル、小バルがある。
* 3 次元測定器あり。(coordinate measuring machine, Mitsutoyo) 787 の主翼のリブ
の測定。外板、表面は複合材だが、中のリブは違う。
* ケミカルミーリング工程。6 人ほど。部品、ポケット加工。
* スチール、熱処理前の部品あり。
* ボンバルディアグローバルエクスプレス用の主翼の部分の部品
* トラックレール、フラップの動くと所のレール。
* 777 ストリンガーの切削
* 777、バルクヘッドの上、その上に垂直尾翼のある場所の部品。
(チタン)ゆっくり
時間を掛けて成型。
* ストレッチャー、型に部品を巻きつけて曲げの成型をする。しっかり掴んだ後があ
り。
* 超塑性成型プレス。Super plastic forming press.
* ケミカルミーリング、部品にある膜をはがす。剥がすところをレーザーでカット。
* 表面処理作業待ち部品
* CL-300 の主翼のスキン、ショットピーニングして曲げている。
* 767、777 の後方ストリンガーを作っている。(大物ストリンガー)
以上の大江工場内見学後、MRJ のモックアップ見学した。一番初期のパリエアショーに
出した模型と一年前のファンボローに出した展示品 2 種類がありました。注目の変更は座
席が大きく変わりスリムシートになった事、スペースが増えた分だけ広く感じるようにな
っていました。
また、客室の天井の照明には LED が採用されており、影がちょうど富士山に見えるよう
にと洒落っ気もありました。
2.MRJ に関する講演についてだけレポート
* A-VaRTM(Advanced VaRTM)真空成型工法、低コスト複合材技術をアピール。
複合材の低コスト化、重量下げをアピール。
* MRJ 開発の概要、歴史などを紹介
+開発段階において、航空機数を下記の様に見た。
1986 年
6,673 機
2006 年
15,176 機
2026 年
34,450 機
60 から 99 席機のターゲット予想を、今後 20~30 年間の予測として、5,540 機
を予想し、その 25%を取りたいというのが当初の計画。5,540 機の地域別内訳は、
北米
45%
(2,490 機)
欧州
23%
(1,280 機)
アジア・オセアニア
20%
その他
12%
+MRJ の 3 つのコンセプトは、
環境…….
優れた燃費、低騒音、低排出物
乗客…….
快適客室
エアライン…….優れた経済性
(次世代エンジン P&W の PW1000G エンジン、先進空力技術、複合
材の開発)
+開発歴史
2008 年 3 月 28 日 ANA より 25 機注文あり。Go ahead となる。
2009 年 4 月 Preliminary design review を終了
少し仕様を変えた。
胴体: 客席スペースの拡大。貨物室の統合(前方貨物室
を後方貨物室に統合)、キャビンバック持ち込み
可能。
主翼: 複合材からメタル化。現在レベルでは TC 取得で
ハードルが高く、スケジュール上のリスクが大き
い為。(インテグラルタンク内、火は出てはいけ
ない。FAR 規則。一方金属にすることで、製造、
開発スケジュールに余裕が増える。)また重量軽
減効果が少ない。
主翼の形状変更を行った。
・翼厚増加、内翼前縁キンク増加
・主翼桁間をメタル化
・胴体真円で容量増加、室内高 2.5 インチア
ップ、容積 12%アップ
・ウインドウシールド小型化、機首
・胴体フレームピッチ最適化….窓のあるフ
レームと窓の無いフレームでやる。片側
29 の窓から 22 に変更。
一方 MRJ ファミリー機での最適化(70 席、90 席以外に
100 席にも対応できなくてはならない)を行う方向付けに
した。ストレッチ型、100 席クラスも入れる。MRJ90 の
主翼を共用。
他社比較は、エンブラエル ERJ170/190 及びボンバルデ
ィア CRJ700/900 と。ボンバルディア CRJ は大型ローラ
ーバッグが収納不可。
*MRJ 関連追記
+材料の変化
アルミ
80.4%
CFRP
9.5% (以前は GFRP と 2 つで 29%の予定であった)
GFRP
1.0%
チタン
5.7%
スチール
3.5%
複合材(CFRP)箇所は主翼外縁、フラップ、垂
直尾翼、水平尾翼。軽さ、整備性を考慮。
垂直尾翼はバキュームアシステッド成型
+関連 FAR ルール
FAR: 25.305, 25.307, 25.601, 25.603, 25.605, 25.613
+T/C … ボーイングですら全てを見通していない。簡単に通らない。
+アルミの integral skin 開発
7050-T7451 を使用。上面外
7475-T7351 を使用。下面内
+CFRP の適用
主翼舵面
(エルロン)
及び
高揚力装置
(フラップ)
尾翼舵面への適用
(ラダー、エレベーター)
大部分ハニカムサンドウイッチ構造、AIDC(台湾の会社)を使う
+尾翼は三菱重工業と東レ
+VaRTM(真空成型工法)採用:垂直尾翼桁間構造、水平尾翼桁間構造。
特徴はオートクレーブを要しない。コスト低減。サイズの制約が無い
また高い成型自由度。ドライプリフォームを使う。板厚をいかにコン
トロールするかが問題。
(2002 年ぐらいから研究している。)
+スケジュール
2007 年
型式証明申請
JCAB 型式
2008 年
ANA より 25 機(内 10 機オプション)プログラムローンチ。
2009 年
FAA 型式申請
2010 年
EASA 型式申請
2010 年
後半
2012 年
初飛行
2013 年
型式証明取得
2014 年
初号納入
製造
エンジン型式証明取得
(JCAB,
FAA,
EASA)
+パートナー企業
P&W, Hamilton Sundstrand. 住友精密、Parker Aerospace, Rockwell
Collins 等