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資料 憲法と戦争(20) 「大東亜共栄圏」の実態

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資料
憲法と戦争(20)
「大東亜共栄圏」の実態
■基本国策要綱(1940[昭和 15]年 7 月 26 日閣議決定)
……まず皇国を核心とし日満支の強固なる結合を根幹とする大東亜の新秩序を建設するにあり……
■世界情勢の推移に伴う時局処理要綱(1940[昭和 15]年 7 月 27 日大本営政府連絡会議決定)
帝国は世界情勢の変局に対処し内外の情勢を改善し速に支那事変の解決を促進すると共に好機を捕
捉し対南方問題を解決す
■大東亜政略指導大綱(1943[昭和 18]年 5 月 29 日大本営政府連絡会議決定、5 月 31 日御前会議決定)
一 帝国は大東亜戦争完遂のため帝国を中核とする大東亜の諸国家諸民族結集の政略態勢を更に整
備強化しもって戦争指導の主動性を堅持し世界情勢の変転に対処す……
六 その他の占領地域に対する方策を左の通り定む。ただし……以外は当分発表せず。
(イ)「マライ」「スマトラ」「ジャワ」「ボルネオ」「セレベス」は帝国領土と決定し重要資源の供給源
として極力これが開発並びに民心把握に努む。
【コメント】日独伊三国同盟の締結とそれを背景とした武力南進路線は、「基本国策要綱」と「世界情
勢の推移に伴う時局処理要綱」によって正式に国策となった。松岡洋右外相は「大東亜の新秩序」を
「大東亜共栄圏」という言葉で説明した。1940 年 9 月、日本帝国は北部仏印(フランス領インドシナ
連邦)に、41 年 7 月南部仏印へ軍隊を入れて略取した。そして 12 月 8 日、対米英戦争を始めた。こ
の日、真珠湾への海軍部隊による奇襲攻撃よりも早く、陸軍部隊はマレー半島上陸作戦を始めてい
た。また、香港、フィリピン、グアムなどへの攻撃・空襲を行うなど、「資源地帯」確保のための大
規模な南方侵攻作戦が展開された。12 月 10 日政府は、この戦争は「大東亜共栄圏」をつくるための
戦争であるから、以前からの日中戦争を含めてこれを「大東亜戦争」と呼称するとした。
アジア・太平洋戦争開戦当初の半年間に、日本軍は東南アジアの主要部を占領し、さらにインド
洋、中部太平洋やニューギニアへと戦線を拡大した。日本帝国は「東亜解放」(アジア解放)、「大東亜
共栄圏」をスローガンに、自給自足経済圏の建設をはかった。しかし、朝鮮、台湾、南洋諸島、「満
州」を事実上の植民地とし、
中国に対する全面的侵略を行っている日本帝国が「アジア解放」といって
も、アジアの国々はみな相手にしなかった。
「領土的野心はない」という宣伝とは裏腹に、「大東亜政略指導大綱」は満州、中国、タイ、仏印、
ビルマ、フィリピンなどの占領地域を日本の支配地域とし、そのうちマライ、スマトラ、ジャワ、
ボルネオ、セレベス(現在のマレーシア、シンガポール、インドネシア)は「帝国領土と決定し重要資
源の供給源として極力これが開発並びに民心把握に努む」(ただし不公表)と決めている。アジア・太
平洋戦争はだれがどこから見ても、アジアに対する日本の侵略戦争であった。日本が喧伝した「大東
亜共栄圏」とは、「中国、東南アジアに対する日本の侵略を正当化するイデオロギーとスローガン」
(『新版日本外交史辞典』山川出版社)だったのである。
自給自足経済圏の建設を急いだ日本帝国は、軍事力を後ろ盾にして軍政(軍による直接支配)を行
い、日本が戦争を遂行するのに必要な重要資源(石油・石炭・鉄鋼)や現地軍を維持するための食糧
を奪い取るとともに、飛行場や道路・鉄道建設、資源の増産などに現地労働力を徴発した。日本軍
による統治は、それまで自分たちを支配してきた欧米列強に代わる新たな侵略に他ならなかった。
東南アジア各地に、日本の支配に抵抗する組織がつくられた。フィリピンのフクバラハップ(抗日人
民軍)、タイの自由タイ、シンガポールとマレーのマラヤ人民抗日軍、ベトナムではベトミン(ベト
ナム独立同盟)などが、独立を求め地域・民衆に深く根ざした抗日運動を行った。日本軍はこれらを
容赦なく弾圧し、虐殺した。日本の敗戦によって「大東亜共栄圏」は消滅し、その後まもなく東南ア
ジア諸民族は次々と独立を達成していく。
アジア・太平洋戦争による東南アジアの国々の死者は、ベトナム 200 万人、フィリピン 111 万人、
インドネシア 400 万人、マレーシア・シンガポール 10 万人、ビルマ 15 万人の多くにのぼっている。
とりわけベトナムやインドネシアにおける犠牲者の多くは、
日本軍の大規模な食糧奪取による餓死、
および労働力として酷使されたことを原因とする病死などであると推考されている。【R】
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