豚舎空調の基本的考え方 - フロンティアインターナショナル

豚舎空調の基本的考え方
農場勉強会資料
2011 年 5 月 11 日
㈱フロンティアインターナショナル
1
空調の目的
①
新鮮空気の供給
・・・呼吸
ヒーター
②
有害ガスの排出
・・・CO2
アンモニア
③
ホコリ・ウィルスの排出・・(換気しないとウィルス濃縮)
④
温度管理
⑤
臭気の排出
・・・
発散熱
加温
(酸素濃度)
硫化水素
冷却
①~⑤を通して 飼養している 豚の快適環境 を作る
健康で発育の早い豚(管理がラク・おいしい・エサ代が安い)
2
呼吸
空気中の酸素を体内に取り入れる(口・鼻
肺)
酸素は体内に蓄積できない
血中のヘモグロビンと結合して体内の組織に運ばれる
細胞中のミトコンドリアに供給
生体に必要な物質からエネルギーを獲得
クエン酸回路・ATP 回路など
二酸化炭素を放出
(植物の呼吸は二酸化炭素を吸収して酸素を放出)
空気中の酸素濃度(空気の構成)
窒素 78%
酸素 21%
99%
アルゴン・二酸化炭素など
3
豚の適温・換気量・発散熱
ステージ
種豚
適温
最低換気
18℃
妊娠豚
16
母豚&子豚
18
離乳子豚
24
25kg
21
50kg
20
100kg
17
最大換気
30m3/h
300m3/h
30
300
50
400
4
16
7
50
15
120
20
250
発散熱量
200Watt
200
320
23
75
100
100
1Watt=0.86kcal/h (1kcal=1.16W)
4
どんなに寒い環境下でも、豚の呼吸に必要な換気量は確保しなければならない。
5
換気
風力換気 :(風圧力)風・・高気圧
低気圧
自然換気
重力換気 : 空気の温度差 風力換気量よりも小さい
煙突効果
機械換気 ―― 空調制御に利用
必要換気量
収容頭数×換気量
換気ファンの選定=収容頭数×最大換気量×気候的指数
(例) 秋田県内 離乳舎 1 室 150 頭収容 体重 7.0kg~25kg の場合
最大換気 :150 頭×50m3/h×1.5= 11,250m3/h・・換気ファンの選定
入気口面積の計算(目安)
最大換気量÷3,600(時間を秒に換算)÷2(風速/秒)
11,250÷3,600÷2=1.6m2
6
ファンの選定 (静圧に注意)
7
単相ファンと三相ファン
単相 :トライアック制御 (電圧)
低速に弱い ファンの数で換気量をコントロール
回転数フィードバックなど信号を取りやすい
起動コンデンサ(回転方向決定)
三相 :インバータ制御 (周波数)
低速でも安定
1 台のファンで回転数制御による
換気量をコントロール
温度センサー:サーミスタなど 温度差による電気抵抗値の違いを信号化(mA)
8
豚舎空調システム例
ファンの仕様 :電圧・周波数(欧米は 220V・60Hz が多い)
9
*各豚舎・各室は個別に空調制御
*事務所で設定、モニター
記録(管理中の環境が分かる)
*設定どおり制御されていない場合
管理者の携帯に発報
(異常警報)
制御盤・コントローラーは国産の方がトラブルがない
10
神奈川県・離乳舎
11
北海道・分娩舎
12
温度管理
必要熱量 豚舎内を適温に保つためのヒーターの選定
設定温度-入気温度×0.31×最低換気量
+熱伝道ロス(12W/m2)-豚発散熱量=必要熱量(kcal/h)
(例)離乳舎 1 室 150 頭収容 体重 7.0~25kg の場合
25-(-10)×0.31 ×(4 ×150 )= 6,510kcal/h
設定温度 外気温 係数 最低換気 頭数
ヒーターの能力
(熱伝導ロスと豚発散熱量は相殺しました)
13
採食量
低温
消耗エネルギー
適温域 増体
高温
★人間は自分にあった環境を作れるが、豚は環境に自分を合わせるしかない。
14
悪い空調例
温度センサーの位置:
ファン・ヒーター・入気の相関バランス
ヒーターが連続運転、ファンが最大換気 : 燃料、電気代のムダ
15