猛禽類の移動・分散・行動圏に関する新知見 - Raptor Japan 日本猛禽類

猛禽類の移動・分散・行動圏に関する新知見
~ GPS 発信器使用による猛禽類アセス
〜2012年2月みちシンポ ~
1.はじめに
当シンポでは、実際に自らがフィールドで得たデータを中心に個々の項目を解説していきたい。
調査対象とした猛禽類は、現時点ではオオタカとクマタカの各成鳥と幼鳥で、それぞれに GPS 発
信器を装着して人工衛星で追跡した結果である。
GPS 発信器は、
GPS 衛星から送られてくる位置情報を対象個体が背負っているソーラーパネル搭
載の発信器に蓄積され、任意に設定されたプログラムに基づいてアルゴス衛星に送信される。そ
のデータはフランス基地局から毎日ユーザーのパソコンに送信されてくる仕組みとなっている。
今時点ではイヌワシについてのデータの蓄積がないので、米国における事例を引用した。
2.猛禽類アセスメント
各種事業地周辺に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」対象種であるイ
ヌワシ、クマタカ、オオタカなどが生息していると、各事業者はこの希少種に与える影響を予測
/評価し、必要に応じて保全対策を講じなければならないこととなっている。
このアセスのマニュアルが 1996 年に環境庁が発刊した「猛禽類保護の進め方」である。その結
果、全国津々浦々の事業現場ではすべからくこれに準拠した猛禽類アセスが行われている。
演者は猛禽類の生態研究に永年にわたって携わってきたこともあって、少なからぬ事業現場に
おいて事業と希少猛禽類の共存を目的として設置される委員会に専門家として招請されてきた。
しかし、演者は猛禽類の生態に関しては他の委員よりは多少は詳しいかも知れないが、ことアセ
スとなると正直いって「ずぶの素人」である。というのも演者が育った時代には、アセスメント
という言葉もなかったので無理からぬ話である。とはいえ、世間はそんな事情にはお構いなしに
容赦なく事業の影響予測と評価を聞き出そうとする。さらには事業との共存を図るための保全策
の策定までも求めてくる始末である。正直な話、初期の段階では面食らっていたがそれでは与え
られた責務を果たすことができないので、その後、時間をかけて試行錯誤を繰り返してようやく
アセスが求めている要件を満たすことができる幾つかの手法を編み出すことができた。但し、飽
くまでもアセスに必要な多くの項目の中の一部であることをお断りしておきたい。
3.猛禽類アセスメントの現状
「猛禽類保護の進め方」に準拠して行われている各地の事業現場における猛禽類アセスは、先
ず、1)事業現場周辺に観察者を配置して対象とする猛禽類の飛翔の軌跡を地図上に描くことが
行われている。次に、2)踏査によりどこに巣があるかを同じく地図上に記す。以上が絶滅に瀕
している希少猛禽類のアセスにおいて行われている野外調査のすべてである。
このデータが、事業の猛禽類に与える影響を予測し評価するために招集された委員会に提示さ
れる。その委員会においては、猛禽類の専門家である各委員が与えられた飛跡図と巣の位置情報
をもとにしてアセスを行うのであるが、正直いってこれだけの情報では事業の影響予測や評価は
不可能である。ましてやこれから事業の影響を軽減したり回避したり、または代償策として代替
生息環境を創造するといった保全策を策定するには余りにも情報量が少なくて無理といわざるを
得ない。
先ず、猛禽類の飛翔の軌跡図とは、猛禽類が飛んだ飛跡を地図上にパソコンのソフトを使って
色とりどりに綺麗に描いたもので、猛禽類が存在することは確かであるが、それと地上で行われ
る事業の影響を結びつける接点は全くない。飛跡図は飛翔の全軌跡を地図上に示すので、探餌の
ための飛翔から、目的地への移動のための飛翔から、餌運び、子育て、なわばり争い、つがい間
の誇示飛翔、交尾、警戒行動などすべての飛翔が含まれている。しかもそれらを平面に描くので
一面が真っ黒になり何が何だか分からない。
また、巣の位置にしても、事業地からある距離をおいた地点に巣があることは確かではあるが、
それが事業によりどのような影響を受けるかについては知る手だてがない。結局、絶滅に瀕した
希少な猛禽類を保全するためにどのような保全策を講じるべきかについても皆目見当がつかない。
しかし、現実問題として事業者は猛禽類アセスを行うために専門家を招集しているからにはそ
の答えを求めるのは当然である。片や専門家に祭り上げられた御仁も「分かりません」では済ま
されないので何か答えなければならず、影響の有無やその強弱を口走る仕儀となる。ところが素
人目にも飛跡図と巣の位置情報だけでは影響の有無やその強弱を判断するのは不可能であること
は明白である。それでも専門家はその役割を演じるために、「影響は大である」とか、「軽微であ
る」とまことしやかに感想を述べることになる。
事業者は「影響がある」と聞かされた以上、それに対する対策を講じなければならなくなり、
専門家に対してどのような保全策が必要かを問いかける。これを受けて専門家は次に挙げるよう
な保全策を提示するのを常とする。
1) 繁殖期を避け非繁殖期に工事を行う
2) 作業員が目立たないようにネット等で隠蔽する
3) トンネルの抗口には防音扉を設置する
4) 低騒音型・低振動型重機類を使用する
5) 重機類の黒と黄色の塗色を目立たない色調に塗り替える
6) 巣の直近は道路を迂回する
7) 道路上に衝突防止用ドームを建設する
8) 最近、希にオオタカの森を残すというのがある
9) 現場作業員に環境教育を施す、などなど。
演者がこれまで永年にわたって遭遇した保全策は上記の通りで、それが奥地山岳地帯に生息す
るイヌワシが対象であっても、人里離れた森林棲のクマタカであっても、人間の土地利用が行き
届いた里山に棲むオオタカであっても、あたかも判で押したように同じであった。ならば 500 円
ほどで保全策を羅列したゴム印を作っておいても同じであろうと言いたくもなるというもので
ある。
すなわち、これの意味することは、年間数千万円から数億円をかけた現地調査の結果が絶滅に
瀕した希少猛禽類のアセスに全く生かされていないと言うことである。その証左は、飛跡図と巣
の位置情報と上記保全策との間には全く脈絡がないことで明らかである。すなわち、これらの保
全策は頭の中で常識的に「よかれ」と思いついた事柄でしかないのである。では年間数千万円か
ら数億円をかけた目視観察は何だったのか?これがダムのように事業期間が十年も二十年にも及
ぶ場合、桁外れの調査費が浪費されることになる。第一、毎年、毎年、似たような飛跡図を描い
ても利用できないのだから全く無駄な話である。
何が問題かというと、この調査により絶滅に瀕している対象種を「どのようにして保全しよう
とするのかが提示されていない」という点である。相手は絶滅に直面しており、それが事業によ
って「影響を受ける」と評価しているのである。ならば影響を回避したり、軽減したり、あるい
は事業と共存できる保全策を策定する必要があるが、上掲の保全策は何れも目立たないように静
かに事業を進めるための消極的な対策でしかなく、少なくとも事業完成後の共存を意図したもの
ではない。
最も問題なのは、飛跡図と巣の位置だけでなぜ影響があるとか、無いとかの評価ができるのか
である。その評価軸は属人的なもので、同じ図柄を眺めても、影響があると感じた人は「影響が
ある」と主張するし、影響がないと感じた人は「影響がない」と主張が分かれるのである。この
原因は生きものの調査結果が定量化されていないからである。
他の分野、たとえば土木工学や医学の分野では、振動、騒音、大気質、水質などの定量化が行
われており、その値を超えると精神生活を阻害するとか、生理的な障害が発生するといった基準
値が設けられており、自ずとガイドラインの設定が可能となっている。
現今は飛跡が重なる個所を高利用域として、彼らにとって意味のある重要なエリアと位置づけ
て、事業実施時には慎重に行うか、繁殖期間中は一時中断の措置が講じられている。しかし、飛
跡が重なってもそのエリアは単に上空を頻度高く通過しただけで、地上との関係は読み取れない
のである。例えば、巣と狩り場の間を往来すると、その中間エリアは飛跡が真っ黒く重なること
になるが只それだけの話で、その下(湖沼の上など)は特別な意味のないエリアである。
まとめ:
1)飛翔の軌跡図は定量化されていないので「評価尺度:ものさし」が存在しない。その結果、
評価の程度は人によって大差がでる。
2)現地調査結果「飛跡図・巣の位置」と評価、保全策との間には全く脈絡がない。すなわち、
調査結果が反映されていないので野外調査はあってもなくても同じで無駄である。
3)影響の評価もできず、実効のある保全策も策定できない委員会は存在価値がない。各委員
はコンサルタントと事業者が考えた調査項目に基づく調査結果を聞くのが役割ではなく、
真に絶滅危惧種の保全に貢献する影響評価法を提言し、それに基づく保全策を提言するの
が使命であることを再認識する必要がある。
4.保全策の実態
上に掲げた保全策が実際に希少猛禽類の保全に役立っているか否かを検証してみよう。まず、
保全策の一位に挙げられている1)非繁殖期の事業であるが、これは繁殖期間中は抱卵、育雛を
放棄させる畏れがあるからこの時期を避けて、子育てが終わってから事業を行おうとする対策で
ある。これは希少種の保全策として一見、まことしやかに見えるが実はだまし討ちである。すな
わち、子育ての時期は温かく見守っているが、ひとたび巣立ったあとに事業を行い、翌年の繁殖
期に営巣地に戻ってみたら,直近に道路やインターチェンジができており、とても棲めないほど
に荒らされており結局、営巣地を放棄せざるを得ないということになっている。分かりやすく説
明するためにダムを例に取ると、古巣に戻ってみたら餌動物が棲む環境、採餌場、子育ての場な
ど生きていく上で必要な環境はすべて水没しており、結局、子育てができない環境になっている
のである。これが保全策の第一位に位置づけられているところが大きな問題である。
あとの2)、3)、4)、5)の保全策も似たり寄ったりで、作業員を目立たないように隠しても、
重機類の色彩を目立たなくしても、低騒音・低振動型重機類を使っても、最終的には生息環境が
失われるのには変わりがない。また、トンネル抗口に防音扉を取り付けて坑内の音が漏れないよ
うにとの配慮であろうが、黒四ダム現場でもあるまいし、坑内で上空を飛ぶ猛禽類が腰を抜かす
ほどの轟音を響かせたら、内部の作業員が吹き飛んでしまうだろう。それよりも外部を走るトラ
ックやダンプカーの騒音やジェット機、ヘリコプターの飛行音の方が遙かに大きいことは周知の
事実である。関東のある道路事業ではトンネルの防音設備に3億円を要したと聞いた。
註:低騒音型/低振動型重機類は、人のために開発されたもので、猛禽類のために導入された
ものではない。ましてや猛禽類がどの程度の音や振動を禁忌するかも分からない現状で、
それを保全策に位置づけるところが茶番である。
絶滅危惧種に限らず、生きものを保全するということは、対象種が生活して、子育てが継続で
きる環境を保全するということである。すなわち、生きものは環境によって生かされているので
ある。上記の何れの保全策もこれを満足させるものではない。ということは保全策とはいえない
ということである。
次に、巣の直近は道路を迂回するというのがあるが、この策は迂回先のことは全く念頭にない。演
者は生息環境解析なるものを実行しているが、これを行うことによって対象種がどのような環境を選
好しているかということが明らかになる。道路の迂回はこれを行ったのちに判断さるべきものであっ
て、闇雲に迂回させていいものではない。仮に、迂回先に対象種にとって意味のある環境(巣造りの
場、子育ての場、採餌環境など)が複数あったとしたら、却って迂回させたことによる損失が大きく
なることもある。その上、迂回させるためには用地買収から地質調査まで莫大な経費と時間を要する
ことも念頭に置く必要がある。
次に、道路上に衝突防止用ドームを造るというのがあるが、これはオオタカを対象に提言され
た保全策であるが、これは次に挙げる理由により無駄としかいいようがない。日本道路公団が永
年にわたり高速道路上で轢殺された動物の記録を取っているが、その中にオオタカという記録を
見たことがない。哺乳動物ではタヌキが一位で、鳥類では動物の死体を食いにきて衝突するカラ
スやトビが多い。オオタカが道路で自動車と衝突しないとは限らないが、記録されない程度の頻
度の対策としては余りにも莫大な経費を浪費している。高速にまたがるドームが風速や積雪に耐
えるためには相当な強度が必要となる。衝突するかも知れない程度でこの対策は無駄を絵に描い
たようなものである。しかも数十キロ、数千キロ、数万キロを移動する(後記)オオタカを対象
としたにしては数十メートルや数百メートルという長さも的はずれとしか言いようがない。
最近、希にオオタカの森を残すという保全策を聞いたことがある。これも一見、的を射た保全
策に見受けられるが、その森を指定する過程に問題がある。これまでに見聞きしたオオタカの森
保全は、最も野生的感性を失った人間が「山勘で」あの森がよろしい、と指定してきた。本来な
らば真にオオタカが営巣可能な樹林地と彼らが必要とする行動圏を含めて一体として保全すべき
である。このためには、オオタカが繁殖している 20~30 の樹林地を統計解析し、オオタカはどの
ような構造の樹林地ならば繁殖が可能かを知った上でそれに該当する樹林地を選定すべきである。
当然、それと同時に必要とする環境要素と容量を備えた行動圏も含めて保全すべきである。しか
るに現今、行われている事例を見ると樹林地だけを保全しているが、これでは周辺エリアが開発
されて結局棲めなくなってしまうということが発生している。
最期に、現場作業員の環境教育という保全策があるがこれに至っては論ずるに足らない。
何はともあれ、上記の保全策の何れも生きものに欠くことのできない生息環境の保全を意図し
たものは全くなく、保全策と位置づけられない代物であることを肝に銘ずべきである。
このような明らかに絶滅危惧種の保全に貢献しないことが明白な保全策がなぜ提言されるのか
を考察してみたい。さきの「猛禽類保護の進め方」を紐解くと、肝心なところにくると22個所
に亘って「専門家に聞け」となっている。ところが全国数十個所、否、数百個所で頻発している
事業と希少猛禽類との軋轢がある現場にどれほどの猛禽類アセスメントの専門家が実在している
のかを考えれば言を待たない。しかし、現実には各事業現場には、雨後の竹の子のように数多く
の猛禽類の専門家が誕生している。
問題点:
1)保全策は頭の中で良かれと思いついた事柄なので、現地調査も、委員会も不要で、ゴム印
を作っておいても全国すべてのイヌワシ、クマタカ、オオタカなどの絶滅危惧猛禽類に使
える。
2)現行の保全策は絶滅に瀕した猛禽類の保全に全く貢献しないばかりか、莫大な税金の無駄
遣いとなっている。
3)現行の保全策がどのように希少種の保全に貢献しているかを論理的に実証する必要がある。
5.猛禽類の行動圏
これまで猛禽類の行動圏は、目視観察により描かれた飛翔の軌跡図から推定されてきた。最近、
テレメトリー法による行動圏の推定が行われるようになり、かなり正確な行動圏が推定できるよ
うになった。しかし、この手法を採用している事業現場は希である。この方法は対象個体に小型
の発信器を装着しておき、人間が受信機で追跡してどこにいるかを確認して、これを総合して行
動圏とする手法である。
最近は行動圏調査法もより進化して、対象個体に装着した小型発信器から発せられる電波を人
工衛星で追跡する技術が発達している。しかも発信器には GPS 機能が備わっており、かつソーラ
ーパネルを装備しているので正確な位置情報が得られるばかりか電池切れの心配がない。この手
法は極めて省力的で、ひとたび発信器を装着しておけば、あとは自動的に数年間にわたり自宅の
パソコンに位置情報を提供してくれるという優れものである。しかもその位置情報は自動車の
GPS の精度と同じで、誤差は数メートルである。したがって、その位置情報(緯度、経度と高度)
を地図上に落とす作業だけで、日々の行動が手に取るように分かる。当然、正確な行動圏も把握
が可能である。
これまでの実績では、GPS 発信器の寿命は長いもので 10 年間というのがある。これだけ長寿命
であれば、事業開始前、事業中、事業終了後のモニタリングまで居ながらにして行動はもとより
利用環境までも把握することが可能である。
最近、演者は各地でオオタカやクマタカにこの GPS 発信器を装着しているが、それによると、
これまでにいわれてきた行動圏とはおよそ似て非なる結果が得られている。極端な事例では、オ
オタカは青森から九州までの渡りを3年間に亘り繰り返していることが明らかになっている。ま
た、クマタカもこれまでの行動圏のイメージを覆す広さを移動していることが判明している。す
なわち、猛禽類の行動圏を目視で観察するのには限界があることを証明している。
例えば、オオタカにしても慣れた人が双眼鏡で追跡したとしても、1km も離れたら追跡は無理
であろう。ましてや行動圏の広いクマタカやイヌワシであれば、双眼鏡による追跡は最初から無
理難題である。その上、山岳地帯では周囲が高い山稜により囲まれているので、その先は見える
訳がない。事実、イヌワシやクマタカの飛翔の軌跡図を見ると、あたかもナイフで切ったように
境界線が明確になっているが、それはそこに尾根が存在することを意味している。いくら野外観
察のベテランであっても、千里眼ではないので稜線の向こうまでは見えないことを如実に物語っ
ている。
この事例が示すように、これまで目視観察に基づいて主張されてきた行動圏面積は根底から覆
されたことになる。さらに、これまで行われてきた猛禽類アセスメントも根本的な見直しを迫ら
れることになろう。さて、これを受けて今後どのような猛禽類アセスメントを行うべきかが大き
な課題となる。
問題点:
1)目視調査で猛禽類の行動圏を把握するのには無理があるので、目視調査は従来通りの位置
情報の収集という目的を破棄し、目視調査を行う新たな意義を制定する必要がある。
2)個体識別がないので、見ている個体がそこで見えるからそこの個体であると信じているに
過ぎない。通過個体の飛跡を描いても意味がない。
3)尾根や林の先は見えないのだから,飛跡を根拠に行動圏を云々するのは無意味である。
4)毎月一度、数日間の目視観察を行っているが、対象個体は遙か遠方にいることもあり、縁
もゆかりもない個体を見ていることもある。
6.目視観察調査と GPS 調査の比較
目視観察調査では対象個体のすべての行動が把握できないことが明らかになった。すなわち、
観察者から数百メートルも離れると見失ってしまうという事実がある。さらに、個体識別がされ
ていないので、どの個体を見ているか分からない。GPS 調査で明らかになった通り、行動圏はこ
れまでの見解と大きくかけ離れていることが証明された。また、全国規模で移動している個体も
あり、眼前の個体が定着個体か渡り途中の個体かの識別ができないという事実も明らかになった。
仮に、個体識別が完璧であったとして、パソコンソフトにより描かれた飛跡図を見ても分かる
ように、事業地上にぐるぐると描かれた飛跡から何が読みとれるというのだろうか?これから影
響の強弱を読みとろうとしても、想像するしかなかろう。さらに保全策を策定しようとしても、
頭の中でよかれと思うことを提言するしかない。
一方、GPS 調査の結果は対象個体が存在した地点が緯度と経度(精度数メートル)で示される
ので、これを地形図や植生図と重ね合わせることによって、対象個体(つがい)がどのような環
境を使っているか、彼らにとってどのような植生環境に意味があるのかといったことが明らかに
なる。
これまでの調査結果とは異なり、GPS の点が落ちるのは行動圏全域に万遍なく分布するのでは
なくて、ある特定の地点に集中的に分布することが明らかになっている。したがって、その林地
なりエリアが重要地点として認識できるので、それらのエリアに工事用道路を通したり、土捨場
にしたり、工事ヤードとして改変しないような配慮をすれば生息環境の保全に貢献することに
なる。
関東地方における調査結果によると、オオタカはアカマツ植林地、次いで畑地雑草群落、緑の
多い住宅地の順で好んで利用することが判明している。一方、北陸地方のクマタカはブナーミズ
ナラ群落、次いでカスミザクラーコナラ群落、ヒノキーサワラ植林の順で利用頻度が高かった。
飛跡図と GPS 調査結果との比較でも明らかなように、飛跡図は地図上にベタに飛跡が示される
ので、重要な地点が絞り込めないという欠点がある。その結果、高頻度利用域内では大事を取っ
て繁殖期には事業をストップしようという判断に傾くことになるが、同じ飛翔でも上空通過と子
育ての場における飛翔とでは意味が異なる。GPS は飛翔高度が示されるので、上空通過か採餌等
のための止まりかの区別がつく。
GPS の利点:
1)精度の高い位置情報が得られるので、利用環境解析が可能となり、事業の影響評価はも
とより保全策の策定が可能になる。
2) 体の移動・分散過程が明らかになるので、季別の利用環境や雌雄の関係を解明できる。
3)目視観察は毎月、一定の人件費を要するが、GPS 発信器を装着したあとは、年額数十万
円で位置情報を得ることが可能である。
4)目視観察は天候や積雪の影響を強く受けるが、GPS の位置情報は 365 日、24 時間の情
報が提供されるので、情報数が桁外れに多く得られる。
7.これからの猛禽類アセスメント
これまで主流をなしてきた双眼鏡による猛禽類アセスメントは、事業の影響予測はもとより評
価にも使われていないことが明らかにされた。また、行動の範囲も従来の定説を大きく覆す結果
が得られている。これらの事実を受けて今後の猛禽類アセスメントのあり方を模索してみたい。
そのためにはまず定量化が求められる。
1)餌量の観点からの定量的評価
事業による猛禽類への影響評価軸として餌量を取り上げた。この考え方の基本は、事業前の
餌量と事業後の餌量との比較から事業の影響を評価しようとするものである。
このためにはまず対象とする猛禽類の食性を明らかにする必要がある。食性は対象種の営巣
中の巣にカメラを設置し、雛のために搬入される餌種を記録することによって知ることができ
る。この記録映像から雛に給餌される餌量を推定しておく。雛に搬入される餌量は全て雛によ
って消費されるものではないが、一応の目安にすることができる。
対象種の食性が明らかになったところで、行動圏内の環境別センサスを行い餌現存量を推定する。
その上で事業により改変される環境別の餌減損量を求め、事業による対象種への影響を評価する。
これまでの事例では、環境改変による餌減損量は2~3%であった。
2)生息環境解析に基づく影響評価
対象種が占拠している行動圏内に存在する樹林地、水田、畑地、宅地、草地、池沼、河川、
道路、放棄地、養鶏場、養豚場などの土地利用態様別の環境要素を定量的に把握する。精度を
高めるために同一地方に存在する 20~30 つがいの行動圏について同じように環境要素を定量
的に把握する。こうすることによって、当該地方の対象種の生息環境容量を定量的に表現する
ことが可能になる。その上で事業対象エリア内に生息する対象種の行動圏内で事業により失わ
れる環境容量から事業の影響を評価する。例えば、各環境容量が平均値を下回れば影響が懸
念されるし、それと同等か植生復元によりそれ以上になれば影響はないか、少ないと評価で
きる。
この生息環境解析は、事業の影響評価に利用できるばかりか、保全策にも応用が可能である。
道路事業や宅地造成事業などのケースでは、計画地直近やそのものズバリ計画地内に営巣中の
巣がある場合も珍しくはない。そんな場合、保護団体との間で開発の是非を巡って論争が生じ、
何年にも亘って調査が繰り返される事例が多々ある。しかし、現実問題としていくら調査を繰
り返してみても所詮、双眼鏡による飛跡図を重ねるだけで、さきに例示した通り影響の有無は
分からずじまいに終わってしまうことは火を見るよりも明らかである。結局、事業費を浪費し、
時間を無駄にするだけである。挙げ句の果てに時間切れで事業が進められ対象種はどこかへ追
い出されてしまうというのが通例であった。
今回提示する生息環境解析は、このような一見にっちもさっちもいかない案件に遭遇した時
の解決策としての利用が可能である。しかも対象種にとっても事業者にとっても、さらに保護
団体にとっても納得のいく解を与えてくれる。その手法を説明すると、例えば、道路事業の場
合、計画路線上に巣があるとする。このようなケースでは、道路の中心線から片側 10km を対象
として対象種が行動圏を構えるに足る環境容量が存在するか否かを調査する。この時、上に示
した解析結果が適用される。すなわち、路線の両側 20km 圏内にメッシュを切り、そのメッシュ
内に対象種が行動圏を構え、子育てができる環境容量を備えたエリアが存在するか否かを検討
する。当然、それぞれには最適から不適までのレベルがあり、色別にランク分けしておき、最
適なエリアを移転・誘導の対象地とする。
この調査で重要なことは、対象種がなわばりを構えている行動圏のみならず、対照区として
非営巣環境を抽出して調査を行う必要がある。このことによって営巣環境と非営巣環境との差
別化が可能となる。非営巣環境は一営巣環境に対して 20 個所を目安に調査を行うことが望ま
しい。
その移転・誘導対象地は、現存する対象種の行動圏内にあることが望ましいが、なければ隣
接地を移転・誘導の対象地とする。この時、移転・誘導対象地に他のつがいがなわばりを構え
ているか否かを調査し、他つがいが占拠している場合は当然、対象外となる。さらにその対象
地が将来にわたり開発されない緑地保全地域や市街化調整区域などにより営巣の継続を担保さ
れなければならない。あの森林が適しているから移転しろ、では無責任きわまりなく追い出し
のそしりを免れないであろう。
移転・誘導に疑念を抱く向きもあろうが、現実的に計画路線上に人家や工場などがある場合、
移転地を斡旋するか補償という形で移転を促している。最悪の場合、成田空港のように強制執
行が行われていることを考えれば容認できる範疇であろう。ただ、注意を喚起しておきたいこ
とは、生きものにも人間と同様に子育ての場だけではなく生活を継続していける生息環境の補
償をしてやる義務があるという点である。
3)架巣環境解析に基づく影響評価
生息環境解析は、対象種が持つ広域的な行動圏内を対象としたが、これに対して架巣環境解
析の対象は営巣木を中心とした一辺が 10mの方形区を対象としている。この調査は営巣木を中
心として一辺が 10mの方形区を設け、その中に存在する立木本数、胸高直径、粗密度、葉群量、
樹種などを記録する。このような営巣木を 20~30 個所選択し同様の調査を行う。これにより
対象種が巣を構える環境が浮き彫りになり、さきの移転・誘導時の際に架巣適地を知る上で貴
重な資料となる。
この調査でも重要なことは、対象種が巣を架けている環境のみならず、巣を架けていない環
境も対照区として調査しておく必要がある。このことによって架巣環境と非架巣環境との差別
化が可能となる。非架巣環境は一架巣環境に対して 20 個所を目安に調査を行うことが望ま
しい。
この調査結果に基づいて事業の影響評価も可能になる。すなわち、現架巣木が事業によって
失われるような場合、残された樹林地内に架巣に適した樹林環境が残されているか否かを検証
する際に利用することができる。仮に、架巣に適した営巣環境が存在しない場合は、さきの調
査結果に基づいて樹林内の枝打ち、間伐などの手を入れ最適架巣環境を創造することができよ
う。また、移転・誘導対象地に適した架巣環境が存在するか否かの検証にも役に立つであろう。
架巣に適さない樹林環境であれば、上記の手法で最適架巣環境の創造を行うと良い。
課題:
1)生きものはすべからく環境の中で生きている。従って、個体の保護のみでは完全とはいえ
ない。事業の影響評価は環境面からのアプローチが必要である。
2)保全策も自ずと生息環境の保全を意図したものでなくてはならない。生きものも食物、生
息環境、繁殖の場が不可欠である。
3)従前の保全策を見て,この視点が欠落していることに気づくであろう。今後、どのような
パラメータを取り上げていくかが課題となる。
8.猛禽類の保全対策
1)人工代替巣を用いた移転・誘導技術
当初、事業地内に希少猛禽類が生息していないことを確認した上で、いざ事業を展開しよう
とした時、思いもかけずにどこからともなくやってきた希少猛禽類が営巣を開始したという事
例が少なくない。このようなケースでは工事が停滞するのを常とする。さらに二繁殖期にわた
り双眼鏡による行動圏調査が行われる。しかし、いくら調査を行っても、さきに触れたように
事業の影響評価はもとより保全策も得られず、単に時間と経費を浪費するに過ぎない。まして
や解決策が得られる訳でもない。
この調査結果が対象種の基礎的な生態解明に貢献するのであれば、時間も経費も無駄ではな
いが、単に、飛跡図をため込むだけでは対象種にとっても事業者にとっても無意味なことで
ある。
そこで解決策として浮上したのが、上に触れた対象種の移転・誘導策である。営巣木を移転・
誘導するに際してのステップについては既に述べた通りであるが、その実際についての技術手
法を記載する。
オオタカなどの猛禽類の多くは、複数の枝が同じ高さに複数本が突き出ている個所や幹の先
端部分が折れた個所に巣材を置いて巣造りをするのが常である。ところがこのような巣を架け
るのに適した林内環境でかつ恰好な枝張りに出合うのは希である。そこで人為的に人工の巣台
を設置して最適な架巣環境を創造してやることにした。
これまでにクマタカやオオタカ用に 50 基以上の人工巣台を架設しているが、いまのところそ
のうち 20 基ほどがオオタカによって利用されている。しかもこれらのケースではもとからあっ
た自然の営巣木は一本も伐倒していない状態で自主的に移転してきた。
註:最近、初めて営巣木を伐採した事例が発生した。その結果,対象つがいは生息環境解析
並びに架巣環境解析により選定した樹林地へ移動して繁殖した。
人工の巣台はアルミ製で二本の枝状の腕が出ており、これを自生している枝にかけるタイプ
である。したがって、実質、三本の枝が生えているようになり、その上に大小の枝などを乗せ
て完成させる。人工の巣台は耐久性や作業効率などを考慮してアルミなどの軽量資材が適して
いる。よく木の枝を用いるのを見かけるが、1~2 年で落巣しているので耐久性を考慮すること
が肝要である。特に事業地などで保全策として行う場合、巣台が腐朽して落巣する頃には事業
が完成しており、その後のメインテナンスが行き届かないので注意を要する。
2)架巣環境の創造
生息環境解析は広域な行動圏内の環境容量を扱っているのに対して、架巣環境解析は営巣木
周辺の環境容量を扱っているので、対象個体にとって望ましい生活空間を創造するのは容易で
ある。オオタカを例にとると、一般的に林内には飛翔を可能にするトンネル状の飛翔空間が存
在するといわれている。これは架巣環境解析の結果、
立木密度や葉群量として表現されている。
そこで立木密度の高い林内は択伐や枝打ちで飛翔空間を確保することができる。
このようにして対象種にとって不適な林内空間に人手を加えることによって快適な架巣環境
に変えていくことが可能になる。この事例のように対象種にとって望ましい架巣空間を創造で
きるのも、先に述べた架巣環境解析を実施したからである。
禁忌事項:
1)事業現場直近に巣があると、事業地から離れた場所に人工巣を架設し移転・誘導を図ろう
とする事業者が多いが、これは禁忌事項の筆頭であることを銘記すべきである。
2)金に飽かして大量に人工巣を架設すれば、どこかに移転するかも知れないが、これを以て
大成功とばかりに事業を推進するが、これでは対象種がどのような環境に巣を架けるのか
とか、どのような生息環境を必要としているのかといった基本的な事項が不明のままに残
されるからである。
3)その結果、トキのように真に絶滅に直面したとき、どのような生息環境を保全し、どのよ
うな架巣環境を創造してやればいいのかが分からず試行錯誤を繰り返し、時間と経費の無
駄になる。
9.まとめ
絶滅に瀕しているといわれている希少猛禽類のアセスメントの実態を忠実に再現して述べたが、
現行の猛禽類アセスメントは、事業との共存を図るという所期の目的から遠く及ばない代物であ
ることが明らかになった。その理由は希少猛禽類の保全のためと位置づけられている保全策の全
てが対象種の「生活:生息環境」を補償する対策ではないからである。現行の保全策は密かに事
業を進めるという思いやり対策でしかない。真の保全策とは、事業完成後もその地で生活ができ
るような環境を保全する対策でなければならない。
そもそも絶滅に瀕しているということは、何らかの原因が介在しているからである。その減少
要因を除去してやらない限り絶滅の淵から救出することはできない。ところが現在、この原因究
明はどこも行っていない。本来、この責務は野生生物を管理する環境省にあるが、世論の理解が
ないことから研究機関さえ存在しない有様である。一方の事業者は、直接的に希少種の生息環境
を改変するところから、国民の共有財産であるそれらを保全する義務を負っているといえよう。
これまでの猛禽類アセスメントを検証した結果、明らかになったことは次のような点である。
1)現行の飛翔の軌跡図は、対象種がそのエリアに存在していることは分かるが、それを用
いての影響の予測や評価ができないことを明らかにした。
2)飛跡図は対象種がそのエリアを飛翔していることは明らかであるが、地上で行われる事
業との関係性が把握できないという欠陥がある。
3)巣の位置に関しても巣が存在することは明らかであるが、それが事業とどう関係するか
を評価する尺度がない。
4)巣の位置と事業地との距離で影響を評価しているが、実証されたデータがないので、影
響の強弱は属人的な判断に委ねられている。
5)距離は人間が便宜的に設定したものさしであって、生物学的な意味は全くないことを銘
記すべきである。
6)本来、事業地と巣との距離で影響を予測したり評価するためには、統計解析に耐えられ
る数の巣を対象として、一定距離ごとに重機を稼働させたり、作業員を動員して、その
結果、例えば、抱卵時間、給餌量、孵化率、巣立ち率といった繁殖生態と繁殖成績を対
照区と比較して、影響を評価するのが正当な評価手段である。
7)影響の予測や評価を行うためには、評価のための「ものさし」がなければならない。と
ころが現在の猛禽類アセスメントは定量化が行われていないことから、ガイドラインが
定まらず属人的な感受性によって評価されているところに問題の根がある。
8)現行の双眼鏡による目視観察は、対象種を追跡するのには適さないことが明らかになっ
た。それは GPS 発信器を装着して人工衛星で追跡した結果が証明した。従って、目視観
察の結果に基づいて行動圏を語ることもできないことが判明した。
9)これまでの調査結果によると、オオタカは 10,000km 以上の渡りをしているし、クマタ
カも幾つもの稜線を越えて 30~40km の範囲を行動圏としていることが明らかにされた。
10.委員会設置に向けての提言
これらの事実を受けて、今後、絶滅に瀕した希少猛禽類のアセスメントをどのように展開して
いくべきかを考える契機となれば幸いである。
猛禽類アセスメントを行うに際して実施する調査は、調査結果をどのように利用するのかを明
らかにした上で実行に移すべきである。調査結果をどのように利用するかも決めないで、取りあ
えず調査を行い、その後、どのように扱うかを考えるのは本末転倒である。
1)目視調査を行うのであれば、得られるであろう飛翔の軌跡図をどのように解析し、どの
ような手法で事業の影響評価につなげるのか?
2)対象種の巣の位置を踏査によって明らかにするに際しては、巣の位置が特定されたとし
て、それをどのように使うのか?
3)事業と希少種の共存を意図した委員会は、コンサルタントや調査会社が行った調査結果
を長時間かけて聞き置くだけが役割ではない。置かれた状況の中でどのような調査を行
い、その結果をどのように解析し、どのように評価するのか、これを受けてどのような
保全策の策定を考えているのか、といった議論を展開するのが各委員の役割である。
このような本来の使命を全うできる委員の選考を行うための参考として次のことを挙げておき
たい。
事業現場に希少猛禽類が生息しており、事業の影響評価を行い、必要に応じてしかるべき保全
策が求められる場合には、めぼしい専門家を一堂に招集してそれぞれから調査項目、調査方法、
得られたデータの解析方法、評価法、その結果を受けての保全策のあり方についてプレゼンテー
ションを行って貰い、合理的な提言を行った人材を委員として任命するという委員の選任方法を
提言しておきたい。門外漢の地方の名士では、絶滅危惧種の保全は望めないばかりか、時間と税
金の無駄遣いに終わることは火を見るよりも明らかである!
11.税金の有効利用に向けての提言
現行の猛禽類アセスメントで行われている現地調査(目視観察)は、本来の趣旨である事業の
影響予測や評価はもとより、絶滅危惧種の保全に全く貢献していないことがご理解いただけたと
思う。とはいえ、毎年、毎年継続的に莫大な予算が投入されているという事実がある。かかる事
実を認識した上で、さらにこの愚を繰り返すとなれば、税金の無駄遣いの誹りを免れないばかり
か、真剣に絶滅危惧種の保全を考えていないといわれても仕方がなかろう。巷では、環境省のマ
ニュアルさえクリアーすれば、本来の趣旨はどうあれ事業が推進できるとばかりにこの愚を繰り
返しているとさえいわれている。この愚を繰り返さないために、また、税金の有効利用を図る上
で実行可能な提言をしたい。
これまでの経験から、事業の影響の予測や評価ひいては保全策の策定には GPS 発信器の装着が
最も有効な手段であると考えている。ただ、この手法をどの事業地においても実行することは想
定していない。地形や植生が異なる環境において、例えば、県レベルや地方整備局レベルで代表
的なモデル地区を選定し、そこで数つがいを対象にしたモデル実験を行うことが望ましい。その
結果を以て他の近隣事業地における影響の予測や評価に援用することが可能となる。
今回、提言した GPS 発信器による位置情報の猛禽類アセスメントへの利用は,飽くまでも一手
法であって絶対的なものではない。今後、並み居る専門家から実効性のある手法が提言されるこ
とを期待している。