伝統的工芸品産業の 取組事例

伝統的工芸品産業の
取組事例
平成19年5月17日
伝統的工芸品産業室
ー 目 次 ー
Ⅰ.人材育成
①博多織
1
Ⅱ.新商品開発
①常滑焼
②岐阜提灯
③阿波和紙
④和のある暮らしのカタチ展
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Ⅲ.需要開拓
①新潟漆器
②高岡漆器・高岡銅器
(HiHillプロジェクト)
③本場大島紬
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Ⅳ.海外展開
①山形鋳物(山形カロッツェリア) 9
②山中漆器(NUSSHA)
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③博多人形・博多織
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Ⅴ.連携
(1)産地間連携
①越前漆器
②琉球びんがた・首里織
(2)産地プロデューサーの活用
③壺屋焼
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博多織:人材育成
事
業
目
的
博多織はその製品の多くが和装であることから、他の和装関連織物
産地と同様にライフスタイルの変化により需要の減少や従業者の高齢
化が進む一方、若手後継者を含めて人材の確保・育成が難しく、後継
者不足が顕著となっている。しかし、若者等の間で、モノ作りや職人に
対する関心は高まりつつあり、そのため伝統文化を再生させ後世に引
き継ぐため業界が一丸となり後継者の育成を行うことが急務である。
博多織の技能技術を伝承しつつ、世界に飛躍するブランドを確立する
ため、そのデザインや商品開発の基礎となる染色や、仕上げに至るま
での博多織製造技術を総合的に修得させ次世代の博多織を担える人
材を育成する。
事
業
成
果
NPO法人 博多織デベロップメントカレッジにおいて能力開発の養成
を目的とした「創造」と「自立」のためのカリキュラムを組む。(1920時
間/2年) 講師陣には、博多織業界を代表する技術者のみならず、各
方面で活躍する人材が教鞭を執り後継者育成を促進している。また、
一般消費者を招くなどし、生徒が制作した作品の発表会を行うことによ
り、消費者のライフスタイルにあったニーズの把握も行っている。
非常に内容の濃いカリキュラムであるため生徒の成長は著しく、作品
の発表会でも斬新な作品がみられ、この2年間(1年:12名 2年:13
名(各年入学時人数))のカリキュラムを終えた生徒には博多織生産者
として今後の博多織を担う人材として大きな期待をかけている。
<NPO博多織デベロップメントカレッジ案内>
<実 習 風 景>
1
常滑焼:新商品開発
事
業
目
的
事
常滑焼は国内景気及び個人消費の低迷、海外からの安価な輸入品
の普及や消費志向の多様化の影響により需要が減少している。
このような状況を払拭し産地の活性化を図るため常滑焼の歴史に育
まれた優れた技術・技法を最大限に生かした新しい商品分野への取り
組みが求められた。
そこで近年、社会的な志向として「健康」「癒し」「自然」といった関心が
急速に高まりを見せる中、常滑焼の伝統的技術・技法を活かした陶器
浴槽、陶器手洗いなどの新商品の開発を行い、温泉旅館、施設等の産
業観光、地域観光等の新たなマーケット開拓による需要拡大を図る。
業
成
果
常滑焼の製造事業者からなる「陶器浴槽・手洗鉢等共同制作プロジェ
クト」を組織し、このプロジェクトチームにより伝統的技術・技法を活かし
た「陶器浴槽」「手洗い鉢」等の新商品開発を行った。
独自ブランド「常滑焼 フローライフ(不老)」と名付け、試作品を中心
としたカタログを作成するとともに伝統的工芸品「常滑焼」と産業観光と
コラボレートしたPRパンフレットや映像コンテンツを作成。また、パンフ
レット、コンテンツを活用し、「常滑焼」ブランドを前面に打ち出し、展示
会(SPAフェスタ2006/ビックサイト)・見本市(国際ホテル・レストラン
ショー/ビックサイト)への出展及び観光PR活動を展開することによっ
て、新たな販路開拓とともに地域への観光客の集客促進と地域の活性
化が図られた。
また、これら新商品は地元ホテル・旅館・SPA施設などからの引き合
いがあり既にこれら施設で利用されている。
<常滑焼き浴槽等の作品例>
2
岐阜提灯:新商品開発
事
業
目
的
岐阜提灯産地は、長らくお盆や祭礼用の提灯といった伝統的な提灯
を制作していたが、近年のライフスタイルの変化に伴い、需要の低迷が
続いていた。
このような状況の中、伝統的工芸品である岐阜提灯の技術・技法を
活用し現代のライフスタイルにマッチした新しい商品を開発・販売するこ
とにより製造事業者・販売事業者のモチベーションを高め革新的な商
品展開を生み出すことを目的として実施。
<岐阜提灯「キャンドルライト」>
Nacasa&Partners Inc
事
業
成
果
図面の製作にはCADを用い、灯体にLEDを使用するなど伝統的な
提灯の製法に現代の技術を活用することによって「現代のキャンドルラ
イト」の開発に成功。
社内((株)淺野商店)に「ルクスプロジェクト」を創設し、国内外の7名
のデザイナーとのコラボレートにより14点の商品開発を行い3アイテム
が製品化された。新商品を開発するとともにインテリアセレクトショップ
や他業種に対しマーケットリサーチを行うことにより、今では都内のイン
テリアセレクトショップなどを中心に取り扱い店舗を増やし、既存の流通
ルート以外の新たな販路の開拓も出来た。
また、開発した新商品のPRを目的とした展示会を繰り返し開催、展示
会にて得られた消費者ニーズをさらに反映し商品の改良を行っている。
平成19年1月に開催された「和のある暮らしカタチ展」では、その高
いデザイン性等が評価され審査員賞を受賞した。
<Ozone「和のある暮らしカタチ展」展示風景>
3
阿波和紙:新商品開発
事
業
目
的
ライフスタイルの変化に伴い従来の和紙分野での需要は低迷し、これ
までカードやはがき等の文具や和雑貨中心の新商品開発を行ってきた。
しかしながら、更に新たな販路を見いだすため時代のニーズにあった
和紙の性質を活かしたインテリア装飾紙や壁装材等のインテリアに
テーマを絞った商品開発を行うこととした。
新たなインテリア装飾紙と壁装材の開発にあたり阿波和紙の技法・素
材を用い3名の作家(山本清、菱沼良樹、山田尚弘)に作品を制作して
もらい製品の使用例について求評会を開催し和紙とインテリアの新しい
あり方を追求することにより新たな販売チャネル・市場開拓を行う。
事
業
成
果
美しい質感ばかりでなく人にも環境にもやさしい和紙をコンセプトとし
てインテリア素材としての製品を開発し、機能や規格、イメージに合わ
せてシリーズを設け、和紙壁紙「A−WALL」、手漉大型紙「TESUKI」、
「柿渋」「漆」「パール」「襖」と製品分類をし、製品毎にその素材感や色
彩のバリエーションを設けた。
また、素材の質感や使用イメージを掴んでもらうよう見本帳を作り、デ
ザイナー池田毅氏のアドバイスを受け、3名の作家に和紙を用いた作
品の制作を依頼し、求評会を東京のギャラリーにて実施した。
来場者からは、自然素材で作られているイメージと独特の色彩や質
感からインテリア素材としても製品の評価は高く、大手壁装材メーカー
等数件の引き合いがあり、「総合壁装材見本帳」にも製品を掲載する動
きがあり、新たな販売チャネルによる需要拡大が見込まれている。
<求評会展示風景>
<阿波和紙見本帳>
<阿波和紙求評会パンフレット>
4
「和のある暮らしのカタチ展」:新商品開発
事
業
目
的
伝統的工芸品に携わる作り手が、伝統的な和の技術やデザインに共
感しその価値を積極的に評価して生活に取り入れていこうという都市生
活者に情報を発信し、作り手と受け手の新たな接点の場を創出する。
<展示会会
場内>
<展示会会場内>
事
業
成
果
昨年度に引き続き第2回目の開催になる「和のある暮らしのカタチ展」
では伝統工芸品の都市生活者に向けたデザイン性の高い「和のカタ
チ」を提案した作品を展示した。更には国内の伝統的工芸品の産地で
優れた技術・技法を生かし付加価値の高い作品を生み出している個人
や団体を紹介し、作り手と消費者の新たな接点ともなる企画になった。
同展には全国から漆器、陶磁器、筆など50者が集結し、会場には一
般消費者を含め様々な分野の関係者が詰めかけ会期3日間で約250
0人ものぼり「伝統的工芸品」に対する関心の高さがうかがわれた。
また、「使ってみたい」伝統的工芸品として、来場者の投票により、大
館曲ワッパが最優秀賞に選ばれた。
<出 展 作 品>
グランプリ受賞作品
<大館曲げワッパ>
<「和のある暮らしのカタチ展」パンフレット>
<伊万里・有田焼き>
<南部鉄器>
5
新潟漆器:需要開拓
事
業
目
的
「新潟漆器」の知名度は平成16・17年度に作成したキャラクター(ヌ
リドン)を起用したパンフレットにより向上しつつある。
この成果を踏まえ消費者に漆器をより身近に見て、触れて手作りの
良さを感じてもらうため「暮らしを彩る漆器展」を開催し需要の拡大を図
る。先ず地元「新潟ふるさと村」で「漆器のある暮らし」をテーマとして
テーブルコーディネーター、フードコーディネーターによる「食卓風景」
の実演等、日頃漆器に接する機会の少ない若年層をはじめ「新潟漆
器」の新しい感覚の使い方や良さを改めてPRし新たな販路開拓を目
指す。
事
業
成
果
伝統的な技術技法をテーマとした今までの講座ではなく、地元FMラ
ジオ局パーソナリティーによる「漆器にまつわるエピソード」発表会の
中継といったように若年層を意識した漆器の利用情報を提供できる場
を設けた。
また、テーブルコーディネーターと食材と器のスペシャリストである
フードコーディネーターが共同して「漆器のある食卓」の演出、またフラ
ワーアレンジメンターによる「漆器を使った生け花ライブ」を実施するこ
とにより、漆器の従来的な使用方法から現代のライフスタイルを意識し
た新感覚の器へ脱却を図る絶好の機会を得た。
更には、新潟漆器をインテリア素材としての観点で「漆器のある暮ら
し」と銘打ったディスプレイを行い全く新しい感覚の漆器の使い方、存
在感を発見することが出来た。
このように、いずれも新潟漆器の魅力を伝える新たなPRとして今後
の販路拡大の大きな成果となった。
<テーブルコーディネーター・フラワーアレンジメンターによるライブ>
「暮らしを彩る漆器展」パンフレット
6
高岡漆器 高岡銅器(HiHillプロジェクト):需要開拓
事
業
目
的
事
床の間付きの座敷が普遍的であった時代からライフスタイルや住空
間の変化により現代生活の中でなじみのない商品となってしまった高
岡の銅器や漆器は、販売額や職人の減少のよる危機感から伝統の技
術技法を生かしたモノ作りの心意気を再生することで地域の活性化に
結びつくとの信念のもとに、職人達が集まり、高岡市デザイン工芸セン
ター・富山大学芸術文化学部(旧・高岡短大)の指導のもと、問屋・デザ
イナーとともに地域活性化と伝統の技術を売る仕組みを模索した。
業
成
果
(有)HiHill(高(Hi)岡(Hill)をもじったモノ)をデザイナーや参加企業
の共同により設立。今までのモノの製造販売という形ではなく職人集団、
問屋、デザイナーとのトライアングル構造による協力関係は従来にない
システムを作り上げている。
HiHillは作り手自らが工夫する意欲の誘発と、技術向上競争、そして
生産者の意識にある伝統文化の承継を意識し、ニーズに応える努力を
している。その結果、建築、自動車、家電などのプロデューサーをター
ゲットとした漆、金属、ガラスの表面処理技法を用いたマテリアルプレー
トを商品化した。
これによりハウスメーカー、キッチンメーカーといった他産業からの問
い合わせが相次ぎ新たな販売チャネルが開拓され、高岡の新たなクラ
フト産業と産地のイメージアップが図られている。
<高岡漆器、高岡銅器 作品例>
<HiHill プロジェクト組織図>
<マテリアルプレート>
7
本場大島紬:需要開拓
事
業
目
的
事
国内景気及び個人消費の長期低迷に加え、ライフスタイルの変化に
よる消費者の志向の多様化などにより着物の需要が減少傾向にある
中、着物を着る機会そのものが減っていることから、一般消費者、特に
若年層をターゲットとして着物を着用する機会を提供する必要性を感じ
ていた。
県外からの観光客の多いシーズンに、地元観光施設や宿泊施設とタ
イアップし、地元はもちろん観光客を対象に大島紬の試着を体験する
機会を提供することにより大島紬の着心地や着姿を感じてもらい、より
多くの消費者に大島紬の特徴やその良さをPRする。
業
成
果
鹿児島市の中心街である天文館の屋根裏ギャラリーにて大島紬試着
体験募集に当選した280名に大島紬を試着し、ショッピングや観光など
市中心街を散策してもらい大島紬の軽さ、裾捌きの良さ等、着心地の
良さを体験してもらうことでその品質の良さを実感していただいた。
試着体験には多くの応募者が集まり、特に若い女性が積極的に参加
するなど、若年層の大島紬への関心の高さが実感でき、こういった機会
さえあれば今後も新たな需要に繋がることが期待された。
更に、イベントへの参加や観光業者との連携は、大島紬に関心を持
たない人などを含め多くの目に触れ話題性も高まり、あわせて新作紬
や洋装、小物など多様化している大島紬をアピールすることが出来、今
後の需要の拡大も見込まれる。
<屋根裏ギャラリー展示風景>
<試着体験をしていただいた方々>
「大島紬を着て天文館散策風景」
8
山形鋳物(山形カロッツェリア):海外展開
事
業
目
的
山形県には鋳物、木工、繊維を始めとする優れた技術を有する企業
が多数集積している。しかし、優れた技術を持ちながら単独では、現代
の多様化するライフスタイルに訴える商品の開発は困難を極めていた。
そのため企業が連携し、かつ、モノ作りの総合プロデュースが出来る山
形市出身でもある国際的工業デザイナーの奥山清行氏等の協力を得
て、世界に通用するハイクォリティーの商品開発と山形ブランドの確立
により海外市場も見据えた新たなマーケット開拓を図る。
<山形鋳物 作品例>
事
業
成
果
平成15年5月に「山形カロッツェリア研究会(代表 奥山清行氏)」を
設立、研究会では「職人技術を生かしたデザインともの作りによる地域
産業再生」を基本理念に掲げ戦略プランを定め、試作品開発から海外
展示会出展、ビジネスモデル形成と行動計画に沿って事業展開してい
る。カロッツェリアプロジェクトの特徴として市場リサーチから商品企画、
製造、販売、プロモーションまでを地域主導型で進めるものづくり戦略、
また黒船効果プロモーションとして海外で評価されたものは日本でも評
価される日本人の特質を利用したプロモーション戦略を展開。
平成18年「メゾン・エ・オブジェ」では出展した山形鋳物のティーポット
「繭」がニューヨーク近代美術館へ納入される等高い評価を得るなど、
これによる黒船効果も活用され国内での販売も増加し多大な成果を収
めている。
また、平成19年1月に開催された「メゾン・エ・オブジェ」において前年
の1.5倍の展示ブースが割り当てられるなど、世界に向けた「山形工
房」ブランドの確立が進行している。
<メゾン・エ・オブジェ>
展 示 風 景
9
山中漆器(NUSSHA
事
業
目
的
japan):海外展開
事
全国一の漆器出荷額を誇る山中漆器。しかしながら現在では需要の
低迷に加え安価な海外製品の輸入を背景にその売り上げは減少し厳
しい状況が続いている。
そこで海外市場に販路を広げるため、イタリアで活躍する富田一彦氏
に監修を依頼し、欧州の消費者のライフスタイルや好みを追求し日本
古来の伝統技術を生かしながら新たなデザインを取り入れた漆器ブラ
ンド「NUSSHA」(ぬっしゃ=塗師屋)として2004年7月に立ち上げた。
海外市場で認知、評価されることにより日本市場でも販売に弾みがつ
くモノと考え海外市場での高いブランドイメージと知名度アップを図る。
業
成
果
製品は、富田氏の監修を受け伝統的な技術を用いながらも欧州で普
及する食器洗浄機の使用に耐えられるようプラスチックを素材に使い、
欧米のライフスタイルにあったデザイン、また、色彩も黄色やピンク、オ
レンジなど華やかなものに仕上げた。
2005年国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」に出展。欧米の小売店か
らの商談があり250万円の取引が成立した。また、同展示会にて出展
1000社の中から優れたブースに与えられる「デコプルミエール」賞を
受賞した。引き続き2006年の同展示会に出展し、その引き合いも増え
取引額も増加、欧州のライフスタイルショップやロンドン大英博物館、米
国のニューヨーク近代美術館のミュージアムショップで取り扱われるな
ど現在では海外23カ国で販売されている。
更に2006年には海外市場のみならず国内市場にも展開。インテリア
ライフスタイル展(東京ビックサイト)に国内の見本市として初めて出展。
これを契機に、国内インテリアセレクトショップ等での取扱も増加。
2007年1月に開館した新国立ミュージアムでも販売されている。
<NUSSHAブランド>
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博多人形・博多織:海外展開
事
業
目
的
博多織・博多人形はいずれも生活環境の変化、長引く景気の低迷な
どから国内市場の取り巻く環境は年々厳しさを増している。 そのため
今後の新たな市場としての可能性を見出し、需要の開拓を図るため海
外市場の開拓に取り組む必要がある。
そこで、福岡を代表する博多織、博多人形の両産地が互いに連携し、
海外にターゲットを絞り総合的・積極的なマーケティング活動を行い海
外で博多両産地のブランドイメージを認知させることにより市場拡大、
更には海外富裕層といった新たな販売チャネルによる高額商品の需要
拡大を図る。
<台湾 博多織展示風景>
事
業
成
果
地理的な要因もあり福岡には台湾からの観光客も多いことから、初の
海外展示会として台湾を選定し、台北市の百貨店(新光三越)のVIP
ルーム(平成18年11月)や展示会場(平成18年12月)において博多
織179点(帯、バッグの小物)・博多人形82点の共同展示を行い、海
外のバイヤーや台湾の富裕層等に博多の工芸品の魅力をPRできた。
地元台湾の新聞(中国時報、自由時報)にも掲載されたこともあり、多
くの来場者(2,500人)が訪れ、日本の工芸品としての博多織、博多
人形のブランドイメージの認知にも貢献した。
また、当展示会の開催により台湾市場で好まれる商品のイメージ、商
品の選択や開発といったものを掴むことが出来た。
今後は更に他海外市場をターゲットとし、国際見本市等の海外展示
会への出品も検討している。
<台湾 博多人形展示風景>
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越前漆器:産地間連携
事
業
目
的
事
プラスチックや化学塗料を使用した製品が全体の生産額の90%以上
を占め、流通業者が主導権を握る漆器業界は、文化性、価値観、並び
に伝統的工芸品を作るための本来の技術・技法の継承が必要となって
いる。
そこで消費者と生産者が直接交流することの出来る新たな流通シス
テム、そして本来の伝統的工芸品を作る生産システムを作ることが重
要課題となっている。
そのため新たなコンセプトで複数の産地の優れた素材と技術を集結し、
本格的な伝統的工芸品を作ることの出来るシステムを構築する。
業
成
果
越前、山中、輪島といった主要漆器産地の屈指の職人、デザイナー
を交えて「厳選された素材、卓越した匠の技、研ぎ澄まされたデザイン」
をコンセプトに飯椀、汁椀、皿、鉢、箸など本格的な漆器の日常品の新
商品開発と試作品の使用会や展示会の開催等を行った。
平成15−17年度で商品開発された「飯椀の郷(雅コレクション)」が
日本インダストリアルデザイナー協会(JIDA)の主催する「歴史に残る
優れたデザイン商品」として選ばれた。
今回選ばれた物は、シンプルながら美しさと気品を兼ね備え、ミズメ
ザクラやケヤキといった最高の素材を使い、輪島、山中の木地師、下
地師、塗り師が匠の技を駆使し、丈夫さや持ちやすさ、食べやすさ、洗
いやすさを追求して完成させた物である。このように伝統的工芸品とし
ての漆器がその材料を厳選し各産地の匠の技を融合し新商品として作
り上げた物がこのようなカタチで評価されたことは今後の商品開発への
大きな成果である。
<歴史に残る優れたデザイン商品 「椀飯の郷」>
Photo:Yasuhiko Kinoshita
平成18年9月16日福井新聞
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琉球びんがた・首里織:産地間連携
事
業
目
的
沖縄の染織物は呉服業界の全国シェアの1%未満と推定されており、産業
の自立化をしていくためにも本土市場での売り上げを伸ばしていくことが大き
な課題となっている。
そのため那覇を代表する織物の「首里織り」と染め物の「琉球びんがた」が連
携することによる相乗効果をもって本土展示会によるPR、更に、古典柄研究
会(専門家を招致)において商品のデザイン等を検討し、ニーズに応じたオリジ
ナリティーの高い商品開発を行い、本土市場のニーズに対応するオリジナリ
ティーの高い新商品開発を行うことにより琉球王朝の都、古都首里の染織物
の本土市場での認知度を高め需要拡大を図る。
事
業
成
果
琉球びんがたと首里織による合同展示会の開催ということもあり、展示品も
2つの組合が連携したことにより着尺や帯260点をはじめ、びんがたの和装
小物(日傘等)や首里織りの新柄等の新商品も展示され、本土の消費者に高
度な技術を持つ沖縄の伝統的な染織物の魅力を伝えることができ、新たな本
土での販売チャンネルの拡大による需要増加も見込まれた。
当展示会でのアンケートも好印象の声が多く、また、消費者の意見を直に聞
くことが出来るなど一定の評価と手応えを感じている。
新商品開発も本土市場での展示会を通し消費者ニーズ、デザインのターゲッ
トといった創作の向上も図られた。
・平成17年 京都(京都文化博物館)にて開催。来場者1500人
・平成18年 東京(日本橋三越)にて開催。来場者約2000人
<日本橋三越にて合同展示会風景>
平成19年1月31日琉球新報
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壺屋焼:産地プロデューサー事業
事
業
目
的
沖縄の陶磁器の代表である壺屋焼は全国の有名陶磁器に比べその
知名度は低く、そのため本土市場において壺屋焼きの知名度を向上さ
せることは必須である。とくに壺屋地区にある壺屋の店舗が集中する
「やむちん通り」において産地プロデューサーの指導のもと、沖縄の焼
き物らしいテーブルコーディネイトのディスプレイ、また、消費者ニーズ
にあう新商品開発といった専門家によるコーディネイトにより壺屋産地
の活性化を図り、需要の拡大を目指す。
<テーブルコーディネイトの研修とコーディネイト例>
事
業
成
果
壺屋焼の産地であり店舗の集中する「壺屋やむちん通り」において壺
屋地区の各店舗を専門家によるコーディネイトやディスプレー研修によ
り、新しい生活提案型の売り場に転換し店舗の活性化を図った。
また、壺屋地区のモデルルートマップの作成をし、本土からの観光客
に対し新たな壺屋地区のPRの促進を図った。さらに新商品の開発とし
て外部陶芸家との勉強会を開催し、「異素材との組み合わせ」や「焼き
物のトレンド」といったコンセプトを基に新しいアイテム等の開発にも着
手できた。
これら研修・専門家の指導のもと転換した新たなディスプレイを施した
店舗や新商品といった物を18年11月には「壺屋やむちん通り祭」「壺
屋陶器祭」において展開し好評を博したことにより、今後の販売促進、
市場開拓へ繋がることが期待される。
<商品開発研修と新商品例>
<新商品:アロマポット>
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