無電解めっき法による金属被覆粉体の製造

解 説
無電解めっき法による金属被覆粉体の製造
Production of Metal Coated Powder
by Electroless Plating Method
竹下淳一
Junichi TAKESHITA
が,手元にある資料としては最も古い。
1 金属被覆粉体の開発
1 . 1 歴 史
これに対して,非導電性の粉体に金属被覆するのはや
や遅れて出願されている。1971年の特殊塗料(株)の特許2)
『めっき』の歴史は古い。紀元前2000年頃のメソポタミ
は,金属の他にセラミックス,ガラス,合成樹脂等の粒
ア地方北部で,すでに鉄器にすずめっきが行われていた
子を無電解ニッケルまたは無電解ニッケル合金のめっき
形跡が残っていることから,既に4000年あまりの歴史を持
浴中に投入して金属被覆するものだが,この特許の目的
つ技術である。
は金属被覆した単粒子を製造するのとは逆で,ニッケル
ところが『無電解めっき』は,非常に歴史の浅い技術
をバインダーとして凝集・結合させた粒子を製造するこ
である。1946年にBrennerらが,電気めっきの添加剤を探
とであった。単粒子として無電解めっき法により金属被
していたところ,次亜リン酸ナトリウムを加えると電流
覆粉体を得る方法としては,ベル・アンド・ハウエル・
効率が100%を超えることを発見した。いわば偶然が糸口
カンパニーの製法特許3)があるが,やはり多くの出願が
となって発見され,その後約50年余りで発達した技術が無
1980∼1985年にかけてである。日本触媒化学工業(株)
電解めっきである。これにより,無機物や樹脂などの非
(現:(株)日本触媒)のベンゾグアナミン系樹脂粉めっき
導電性素材にも金属被覆が可能となり,近年の軽薄短小
品4),工業技術院の天然マイカめっき品5),(財)生産開発科
の技術動向の追い風も受けて,幅広く応用されるように
学研究所のチタネート結晶めっき品6),等の物質特許,上
なった。
村工業7),(株)川角技術研究所8),神鋼電機(株)9),(株)小松
ところで,本稿のテーマである『無電解めっき法によ
製作所10),工業技術院11),等の製法特許など数多くの特許
る金属被覆粉体の製造』となると,さらに新しい技術と
が集中している。ちなみに,後述する当社の滴下法によ
なる。筆者は,職務上注意をして関係する特許や文献等
る金属被覆粉体の製造法の原型となる特許12)もこの時期に
に目を通してきたつもりである。全てを網羅していると
出願している。
は言い難いが,手持ちの資料の中から金属被覆粉体の歴
史を紐解いてみる。
1 . 1 . 2 実質上の開発の歴史
特許上の開発の歴史は上記のようになるが,残念なが
1 . 1 . 1 特許から見た開発
金属−金属間の置換反応を利用して卑金属上に貴金属
ら特許への記載と実体の流通や応用とが一致しないこと
は周知の事実である。実際に金属被覆粉体が注目され応
を被覆するのは,比較的容易な方法であるが,残念なが
用が検討され始めた時期については,開発開始が1975年頃,
ら筆者はこの方面については調査不足で例示する事例を
応用については1982∼1983年頃と考えている。
持ち合わせていない。
銀鏡反応を利用する方法も,比較的容易な方法である。
東芝㈱によるガラス等のセラミックスに銀被覆する1)もの
この時期,アメリカのFCC(Federal Communication
Commission:連邦通信委員会)により1983年10月以降全
面的に規制を行うことが発表され,欧州でも西ドイツの
無電解めっき法による金属被覆粉体の製造
21
VDE(Verband Deutscher Electrotechniker)規格で規
制値が設定されるなど相次いで規制の動きが出た。日本
でも早晩規制値が定められるとの情報が流れて雑誌の特
集等で取り上げられた13) 14)。その対策の一つとして,電子
機器のプラスチック製筐体に導電性フィラーを混入する
ことにより電磁波シールド性を付与する方法が提案され
た15) 16) 。そして,これに使用する導電性フィラーとして,
金属繊維,金属フレーク,カーボン繊維,等と共に金属
Table 1 Relation between particle size and surface area.
粒 径
〔μm〕
50
10
5
1
比表面積
〔m2/g〕
0.12
0.6
1.2
6.0
粒子個数
〔百万個/g〕
15
1,910
15,279
1,909,859
(参考)板
1cm×1cm
厚さ 1mm
0.002
10枚/g
被覆した粉体が候補として注目されることになった。特
に,比較的アスペクト比の高い雲母に無電解めっきでニ
このように,直径5μmの粒子1gで,1×1cm厚さ1mm
ッケルを被覆したものは,通産省工業技術院製品科学研
の板の600倍の表面積を持ち,約153億個の粒子が存在する。
究所が中心になり複数の企業が協力して実用化を目指し
一般に無電解めっき液とは,Table 2 に示すような薬剤
た17)
。しかしその後,コストや設備の点で有利な方法と
を混合溶解した水溶液である。
して回路設計によるノイズ低減やプラスチック製筐体の
内側に無電解めっきにより導電性を付与する方法が主流
となり,導電性フィラーを使用する方法は消えていった。
その後,発熱塗料18) 19),溶射20) 21),メタリック系顔料22)
23),等への用途開発が行われているが,主としてコスト面
での負の要因が大きく働くために,実用化への道のりは
険しいようである。
Table 2 Comparison of electroless plating bath.
構成成分
成 分 の 働 き
金 属 塩
析出させる金属を水溶性イオンの形で供給する
還 元 剤
金属イオンを還元する
錯 化 剤
金属イオンを水溶液中で安定に保つ
pH緩衝剤
pHの急激な変動を抑制する
pH調整剤
pHを一定に保持する
その高いコストを吸収できる用途として,電子部品の
安 定 剤
めっき液中の不必要な反応を抑制する
微細電極接続用の導電性フィラーがあるが,これについ
界面活性剤
被めっき物表面の濡れ性を改善する
ては後述する。
光 沢 剤
めっき皮膜の光沢を改善する
1 . 2 無電解めっき法による製造方法
粉体へ金属被覆する方法としては,何も無電解めっき
表のように,還元析出させる金属の塩類と還元剤の双
方を一つの溶液中に溶解しているために,
法に限る必要はない。事実,電気めっき24) 25),メカノフュ
(1) 急激な還元析出反応
ージョン法26),等が検討されてきた。また,有機溶媒中で
(2) めっき液中での組成の急激な変動
還元剤と有機金属化合物により被覆する27)という広義の無
(3) 塵や微粒子の混入
電解めっき法に分類しても良い手法や,前処理をメカノ
(4) めっき液の老化
ケミカル的な方法で行った後無電解めっきで金属被覆す
などの原因により,液中での還元析出反応をコントロー
る28)という乾式と湿式の複合処理のような方式も提案され
ルできなくなり,結果として溶解している金属イオンが
ている。また,無電解めっき法による製造法の特許・文
急激に金属の微細粒子として析出する『自己分解』をお
献も,前述の他に数多く提案されている29) 30)。しかし,産
こすことがある。これを防止するために,経験則として1L
業上利用可能な量と品質の金属被覆粉体を供給できるメ
のめっき液中に浸漬する被めっき物の比表面積は100cm2
ーカーを探すと,金属粉末に貴金属被覆したものを除い
が最適と言われている。この条件を先の Table 1 の粉体に
て,現在までに数えるほどしか存在しない。この現状が,
当てはめると下表のような結果になる。
粉体の金属被覆の難しさを表している。
Table 3 Relation between particle size and optimum weight
by electroless plating.
無電解めっきによる粉体の金属被覆で,技術的に最も
大きな影響を及ぼす要因は,成型物とは桁違いの表面積
である。Table 1に,真比重1.00の材質を仮定してモデル計
算した結果を示す。
22
CREATIVE
No.1
2000
粒 径
〔μm〕
50
10
5
1
(参考)板
1cm×1cm
厚さ 1mm
比表面積
〔m2/g〕
0.12
0.6
1.2
6.0
粒子個数
〔百万個/g〕
0.083
0.017
0.0083
0.0017
0.002
10枚/g
この表から,5μm粒子1gをめっきする際の最適なめっ
この処理の際,前処理を施した粉体は濾過により回収す
き液の量を逆算すると約120Lとなり,とても商業ベース
るのが一般的な操作であるが,次の二つの点について細
で成り立つ数字でないことは一目でわかる。
心の注意を払う必要がある。
めっき液の『自己分解』を防ぎ,なおかつ可能な限り
(1) 常に濾過上を回収して使用するために,一度混入した
処理の効率を上げるためには,めっき時の温度を下げる
不溶性の異物は系外に排出されない。従って,水,薬剤,
ことにより反応を抑制したり,還元剤の反応を抑制する
装置,操作環境などのクリーン度に十分注意する。
ような添加剤を加えて反応を制御する31)等の方法が考えら
(2) 粉体は大きな比表面積を持つために付着水も多い。従
れる。しかし,このような方法を取ったとしても,慎重
って,前処理工程の薬剤を含んだ液をできるだけ次工程
な操作で回避しているだけで『自己分解』の根本的な原
に持ち込まないように,濾過方式の選定と操作操作条件
因を取り除いてはいない。従って,産業上利用可能な程
の管理に注意する。
度の生産規模で,生産コストも考慮し,さらに安定した
品質の製品を提供する生産方式としては,あまりにもリ
スクが高い。
下図に,滴下法による粉体の無電解めっきの操作原理
を示す。
まず,①所定温度に加温した錯化剤水溶液中に,②あ
そこで当社は,従来の無電解めっき方法の常識に捕ら
らかじめ粉体の特性に合わせた触媒化処理を施した原料
われずに,新しい発想による粉体の無電解めっき方法を
を投入して,機械的攪拌等の方法で液中に分散させる。
(以後,このめっき方法を『滴下法』と記す)
開発した32)。
そして,③別々に調整した金属塩と還元剤の濃厚水溶液
Fig.1 にベンゾグアナミン系樹脂粉を例にそのめっき工程
を,定量ポンプで反応による消費量にできるだけ等しく
図を示す。
なるよう同時に添加してめっき反応を進行させる。この
際,両液の添加速度は,反応容器中に滴下後速やかに消
費され,薬剤の濃度ができるだけ希薄な状態で反応を進
行させることが重要なポイントとなる。
ここで,滴下法の技術的特徴をまとめると,
(1) めっき液の構成成分を,金属塩,還元剤,錯化剤の3
つの溶液に分割して調整する。
(2) 反応成分の金属塩と還元剤を,その消費速度に合わせ
て連続供給することにより,反応を最適条件に制御する。
(3) 反応成分が常に希薄な状態でめっき反応を進行させる。
Fig.1 Electroless plating process flow of nickel coated
benzoguanamine powders.
となる。このような特徴から,金属被覆粉体の製造に滴
下法を使用すると,従来のめっき法により製造する場合
エッチングに始まる前工程は,通常の成型物のめっき
と変わらない。既に知られている前処理方法の組み合わ
せ,薬剤濃度,処理時間などを変えて,各種粉体の特性
に合った最適な処理条件を探し出すことが重要となる。
と比較して以下のような利点が考えられる。
(1) めっき液の自己分解を防止できる
粉体は大きな比表面積を持つため,これを触媒化して
めっき液に投入すると,数多くの活性点で同時に析出反
Fig.2 Procedure of metal coating on powders by electroless plating method.
無電解めっき法による金属被覆粉体の製造
23
応が開始するために自己分解を引き起こしやすい。滴下
Table 5 Comparison of consumption weight of materials.
法の場合は,反応成分を希薄な状態に保ってめっきを行
滴下法
従来法
硫酸ニッケル
269g
280g
次亜リン酸ナトリウム
271g
564g
滑で緻密な金属皮膜で被覆した粉体が得られる。
水酸化ナトリウム
102g
840g
(3) めっき液成分を単純化できる
錯化剤合計
20g
22.7L
液量合計
3.4L
うために自己分解を防止できる。
構成成分
(2) 平滑で緻密な皮膜が得られる
自己分解等の異常反応を抑えることができるので,平
Table 4に,平均粒径10μm,真比重1.00の粉体を仮定し,
これに膜厚0.15μmで無電解めっきを行う際のめっき液組
(皮膜の分析値)
成の一例を示す。
Table 4 Typical electroless plating bath for powders.
めっき液の構成成分
組成
ニッケル含有率
34.5wt. %
33.4wt. %
皮膜中のリン含有率
3.0wt. %
9.0wt. %
使用量
基材粉体
真比重1.00の基材
100g
分散液
クエン酸ナトリウム
20g/L
1.0L
硫酸ニッケル
224g/L
1.6L
次亜リン酸ナトリウム
226g/L
水酸化ナトリウム
85g/L
両者を比較してみると,滴下法では錯化剤と還元剤で
ある次亜リン酸ナトリウムを大幅に低減できる。次亜リ
金属塩溶液
還元剤溶液
ン酸ナトリウムでは1/2以下,錯化剤に至っては1/40以下
の使用量になる。特に錯化剤は一般的に単価が高いので,
滴下法による製造はコストの低減が期待できる。また従
1.6L
来法では液の温度が85−90℃で操作していたが,滴下法で
は70℃かそれ以下でめっき可能となり,エネルギーの低減
反応条件:めっき液温度 70℃ 作業時間 80分
および安全性の面からも利点がある。
(6) 廃液処理の面で有利である このようにTable 2に示した一般の無電解めっき液構成
ロンドン・ダンピング条約により産業廃棄物の海洋投
成分と比較して,液の安定化のための成分(安定剤,光
棄が全面禁止になったことから,無電解めっきを行う場
沢剤等)を除いて単純化することができる。また,これ
合にも最終の廃液処理を含めてプロセス設計をすること
らの成分は若干ではあるが皮膜に共析することが知られ
が求められている。この点でも,滴下法は従来法と比較
ているので,この成分を除いた滴下法で作成した皮膜は,
して以下のような利点がある。
より不純物の少ない皮膜と考えられる。
①使用した金属イオンがほぼ100%皮膜として回収できる
(4) めっき膜厚を制御できる
ので,廃液中の金属イオンは限りなく0に近い。
従来の無電解めっき液では,溶解した金属イオンの安
②使用する錯化剤の量を大幅に削減できるので,BOD,
定化のために等モル以上の錯化剤が使用されている。こ
COD濃度を低くできる。
の液では,めっき反応が進行して金属塩が消費されるに
③無電解めっきに使用する安定剤や光沢材等の添加剤は,
従って錯化剤の相対濃度が上昇するために,溶解した金
一般的に鉛などの重金属類や砒素などの人体に有害な物
属イオンを全量析出させて回収することはできない。
質が多い。滴下法では,これらの薬剤を使用しないで済
一方滴下法では,添加した金属塩は全て反応して析出す
む。
るので,所定膜厚を得るのに必要な金属塩の量を計算に
④連続供給する金属塩と還元剤の液に濃厚溶液を使用で
より求めて仕込むことにより,膜厚を正確に制御できる。
きるので,廃液の総量が少なくて済む。
(5) 使用する薬剤量が少ない
(7) 工業的生産に有利である
Table 5に,平均粒径22μmのフェノール系樹脂粒子
金属被覆粉体を工業的な規模で生産することを考えた
(真比重 1.26)にニッケルを膜厚0.15μmでめっきする場合
場合,以下のような点で滴下法は従来法より有利である。
の薬剤使用量を示す。
①反応の制御により,安定した品質の製品を大量生産で
きる。
②薬剤使用量の低減と,一反応当たりの処理量を大きく
取れる点で,コスト低減を図れる。
③廃液処理が容易である。
(8) 任意の組成の合金皮膜が得られる
24
CREATIVE
No.1
2000
次亜リン酸ナトリウムを還元剤として析出させたニッ
明らかに不利である。
ケル皮膜中には,数%から十数%のリンが共析している。
そのような中で,コストを吸収してなお利点のある用
滴下法では,この皮膜中のリン含量を任意に制御できる。
途として残ってきたのが,電子部品(特にLCD)の微
また,析出条件の検討を行えば,異種金属を任意の比率
細電極接続用導電性フィラーである。具体的には,この
の合金で析出させることも可能である。
導電性フィラーを樹脂中に均一分散して,LCDパネル
側の電極とドライバーIC側の電極の間に挟んで熱圧着
1 . 3 製品の特性
する『ACF(異方導電性フィルム)
』用の導電性フィラ
上記のプロセスで製造した金属被覆粉体は,以下のよ
うな特徴がある。
ーである。ACFの接続モデル図をFig.3に示す。また,
ACFを接続に使用する場所のモデル図をFig.4に示す。
(1) 低比重の導電性フィラーが得られる
樹脂系の基材を使用した場合,最外層に金を被覆して
も真比重2.5−3.0の導電性フィラーが得られる。また中空
粒子を基材にすれば,真比重1.00以下,すなわち水に浮く
導電性フィラーを作ることも可能である。
(2) 様々な特性を持つ導電性フィラーが得られる
ゴムや樹脂の粉体に金属被覆すれば弾性のある導電性
フィラーになり,シリカやアルミナのようなセラミック
ス系の粉体金属被覆すれば硬質の導電性フィラーとなる。
基材となる粉体の組み合わせで無限の種類が存在する。
これに,被覆金属の種類,膜厚,多層化,合金化などの
要素を掛け合わせた数だけ導電性フィラーの可能性は存
在する。
(3) カプセル化効果を期待できる
耐熱性の低い材料を溶射する場合などに,保護膜の役
割で金属被覆を検討しているケースもある。
Fig.3 Connection of electrodes by ACF.
2 応 用
2 . 1 使用例
筆者らは,15年近くにわたって金属被覆粉体の用途開発
を行ってきた。EMIシールド,メタリック調顔料,溶
射材の保護コーティング,面状発熱体,…… etc.
その間,多くの企業及び公的機関の方々に金属被覆粉
体の紹介を続けてきた。そしてその反響はと言えば,総
じて好意的であった。筆者が考えても,確かに新規な材
料として魅力を感じるし,何らかの用途があるような気
がする材料である。
しかし,残念ながら上記用途への採用は現在の所皆無
である。そして,応用を阻んでいる最も大きな要因は
Fig.4 Connection models of LCD-IC by ACF.
『コスト』である。考えて見れば当然の話で,元々一定価
格で流通している粉体に対して薬剤と人手をかけて金属
被覆をするのであるから,それなりの価格上昇は当然と
Fig.3のように,上下の電極間は導電性フィラーを通し
受け止めて対処をお願いしたいのだが,金属粉やカーボ
て導通され,横方向はフィラー間に樹脂が存在するので
ン粉のような手を加えていない導電性フィラーと同じテ
導通しない。この方式により,1パネル2000本と言われる
ーブルで価格を論議されてしまうのが現状である。こう
電極を一括で簡便に接続することが可能となり,今や他
なると無電解めっき法により製造した金属被覆粉体は,
に代え難い手法となっている。
無電解めっき法による金属被覆粉体の製造
25
3 結 言
11) 神戸徳蔵, 熊谷八百三, 根本啓治, ト部啓 日特開 昭 59182961 (1984)
12) 川上浩, 日特開 昭 60-59070 (1984)
金属被覆粉体の開発当初から携わり15年が経過した。こ
13) 市野沢晴孝,岡野泰行,工業材料,32, [2], 17(1982)
の仕事は,川上浩元研究開発本部電子材料グループ部長
14) 可知博 ,工業材料,32, [10], 74(1984)
が基本的なアイディアを考案し,携わった関係者が創意
15) 中川威雄,小山浩幸,他,工業材料,30, [10], 17(1982)
工夫を加えて現在のような姿となっている。シーズから
16) 神戸徳蔵,熊谷八百三,電気化学,52,432(1984)
.
出発したために用途開発が難航し,一時は継続を断念し
17) 神戸徳蔵,熊谷八百三,実務表面技術,31,253(1984)
.
た時期もあったことを考えると,現在『ブライト』の商
18) 相馬透,PAINT & COATING BUSINESS,Vol.1,
品名で当社の製品の一つとして名を連ねていられること
は感慨深いものがある。
(1991)
.
19) 熊谷八百三,神戸徳蔵,表面技術協会第86回講演大会
技術の基礎となっている粉体の無電解めっき方法(滴
下法)は,実にユニークであり,金属被覆粉体を工業的
規模で妥当な製造コストで製造する方法としては,多分
この手法もしくはこれをアレンジした方法が唯一の方法
であると自負している。
要旨集, 1992, p.225.
20) 堀江譲,神戸徳蔵,熊谷八百三,磯部荘,金属,2月
号,16(1987)
.
21) 赤沼正信,阿部芳彦,蔦孝行,平野弘幸,精密工学会
秋季講演大会予稿集, 1990.
今後は,さらに新しい展開を模索したいと考えている。
22) 河田美喜夫, 日特開 昭 64-26684 (1989)
23) 神戸徳蔵, 熊谷八百三, 相馬透, 石戸谷昌洋, 堀弥八郎,
日特開 平 2-58582 (1990)
文 献
1) 五十嵐剛, 蓑輪修, 日特開 昭 46-43459 (1971)
2) 松川英文, 日特開 昭 48-57835 (1973)
3) ジョン ハートレイ ロルカー 日特開 昭 48-41926
(1973)
24) 竹島鋭機,藤井孝浩,表面技術,41,401(1990)
.
25) 鷲津孝和,高橋直樹,関沢恒男,工業材料,38,101
(1990)
.
26) 丹野浩一,横山藤平,浦山清,粉体工学会誌,27,153
(1990)
4) 椿本恒雄, 木村和正, 日特開 昭 57-49632 (1982)
27) 南橋啓司,表面技術,48,282(1997)
.
5) 神戸徳蔵, 熊谷八百三, 根本啓治, ト部啓 日特開 昭 59-
28) 中山鶴雄,山崎典宗,表面技術,44,69(1993)
.
78248 (1984)
29) 松田喜樹,愛工技センターニュース,375,3(1990)
.
6) 森本琢郎, 西内紀八郎, 日特開 昭 58-20722 (1983)
7) 桝井修一, 井上啓二郎, 松本弘, 日特開 昭 57198254(1982)
9) 久保田隆志, 日特開 昭 59-70756 (1984)
10) 池澤哲朗, 添田知久, 梶浦豪二, 日特開 昭 59-157268
(1984)
著 者
氏名 竹下 淳一
Junichi TAKESHITA
所属 営業本部
電子材料部
CREATIVE
演大会要旨集, 1994, p.8.
31) 廣田満昭,栗山靖隆,鈴木道隆,大島敏男,粉砕,
8) 川角真六, 日特開 昭 58-37166 (1983)
26
30) 萩原謙,佐藤直樹,本間英夫,表面技術協会第89回講
No.1
2000
[37],11(1993)
.
32) 川上浩,竹下淳一,表面技術,42,308(1991)
.