SVA カンボジア 2014-2016 伝統文化事業計画 仏教学校における

SVA カンボジア
2014-2016
伝統文化事業計画
仏教学校における図書館推進事業(PBEL)
1.事業名
Promotion of Buddhist Education and Library (PBEL)
仏教学校における図書館推進事業
2.対象地域の教育状況
(対象地域の概要と教育課題を簡潔に表現。データなどあれば別添で)
紀元前 3 世紀に仏教がカンボジアに入って以来、何世紀もの間、国内全土が仏教の影響を受けており、仏
教の概念は、今もなおカンボジアの人々の日常生活に生きている。カンボジアでは、仏教は国教というだけで
はなく、クメールの文学、倫理教育、美術、伝統、そしてクメール文明全体の基盤となっている。そして、仏教寺
院は、クメ-ル文化、伝統、国家的財産、環境保護においての中心であり、僧侶は、これらの活動において重
要な役割を果たしてきた。
19 世紀半ば、フランスの植民地以前は、仏教寺院で国家による教育が行われ、国のエリートや研究者、学
者たちが育成された。僧侶は、精神的象徴というだけでなく、文化や教育の分野において最も教養のある知的
な人として尊敬されていたのである。
カンボジアの仏教教育は、社会開発と人的資質の向上において重要な役割を担っている。世間で公的な教
育が行われるようになってからでもある。農村地域では、仏教寺院が寺院の周辺に住んでいる村の子ども達に
無料で教育を行っている。このために、僧侶たちは更なる自身の教育と修行を行う必要がある。カンボジアに
仏教が誕生した当初より、仏教寺院は学習の場として利用されていた。寺院と一般社会は密接な関係があり、
僧侶には重い責任があることを鑑み、仏教教育システムが整備されてきた。僧侶教育の質の向上のため 1914
年に最初のパーリ語学校が設立された。その後 1922 年にこの学校はパーリ語高等学校に格上げされた。1933
年には国内のほとんどすべての寺院が仏教初等学校が設置されており、寺院図書館が併設されていた。
何世紀にもわたって寺院の図書館はカンボジアの人々にとって歴史的かつ文化的な建造物の一つで
ある。アンコール時代には図書館はヒンドゥー教や大乗仏教の寺院の中に建設された。15 世紀にアンコ
ール王朝が崩壊してからは上座仏教が大乗仏教にとってかわるようになった。その後、1970 年代に至る
まですべての寺院には図書館、少なくとも仏教の経典や文書を納める、いわゆる“ホートライ”と呼ば
れ、文化や伝統に関するあらゆる文書、図書、貝葉文書、仏教や道徳倫理教育の教科書、美術やトリピ
タカなどを文字通り収容する部屋があった。カンボジアの図書館は、1921 年に「クメール図書館」が創
設され、1925 年に「王立図書館」と改名。1930 年にいわゆる「仏教研究所」と呼ばれるようになった。
しかし、ベトナム戦争の影響を受け、1970 年にクーデターが起こり、カンボジアは長期館に渡る内戦に突入し
た。特に、ポルポト政権時代(1975-1979)、多くの寺院が倉庫や軍事基地、虐殺場に使われるか、もしくは破壊
された。すべての僧侶は還俗させられ、ほとんどの高僧と一般僧侶の 30%が亡くなった。さらに、仏教経典や
重要な文化遺産は焼かれたり、川に捨てられたりした。ポルポト政権が崩壊後、仏教は再び国教と定められ、
仏教局も設置され、人々は地方の寺院の再建に取り掛かったが、社会主義の統制の下、出家に制限が設けら
れ、サンガと僧侶の復興はなかなか進まなかった。
1991 年以降、ようやく宗教省が復活し、仏教教育もSVA、立正佼成会、WCRP や日本の仏教界の支援によ
って復興されてきた。宗教省の統計によると 2010-2011 年度にはダンマヴィナヤ(経律)学校が 645 校、仏教初
等学校が 523 校、仏教中等学校が 36 校、仏教高等学校が 17 校、仏教大学が 4 校となっている。しかしながら、
教員や教材、教科書、図書館の不足など、仏教教育の質に関してはまだまだ多くの問題がある。
特に仏教学校の教員は全土で不足しおり、教員の多くは契約かボランティアである。彼らは教員養成のトレ
ーニングを受けておらず、カリキュラムに従っていない。したがって、仏教教育の質の低下という深刻な課題に
直面している。
寺院の図書館についていえば、寺院調査によると 110 カ寺のうち、図書館ないし図書室があるのが 46 カ寺、
小さな文庫があるのが 16 カ寺であった。1 カ寺あたりの平均蔵書数であるが、仏教書は 112 冊、一般書は 64
冊であった。公立小学校と比較してみても、図書の数は十分とは言えない。寺院図書館の図書館員のほとんど
が僧侶である。その内20%しか図書館関連の研修を受けたことがない。
カンボジア社会で重要な役割を果たす、僧侶らの育成元となる仏教教育の推進、質の向上は宗教省の戦略
においても最重要課題となっている。
3.他の援助機関の動向
(政府系機関、国連、国際 NGO、国内 NGO などの行う関連事業について簡潔に)
仏教教育を支援している国際、ローカルNGOはほとんどない。宗教的修行だけでなく、意識の高い僧侶は新
しい社会活動によって人々を支援しようという新しい考えを持っている。仏教僧によって組織されたNGOは近
年、特に 1993 年の総選挙以降に創始されたものである。例えば、
1. バッタンバンの開発のための仏教協会(Buddhism For Development、BFD)はコミュニティー開発活動を行
っている。それには道徳・社会教育、植林活動のほか、米銀行や貯蓄組合、識字教室・職業訓練・マイク
ロファイナンス・寺院運営・グッドガバナンス・青年のための平和教育などの地域活動を通した自助活動等
がある。
2. プノンペンのランカー寺にあるタンマトゥータ協会(The Dammaduta Association)は地方の貧困層のための
保健衛生活動や衛生的な飲み水、植林、緊急支援、平和教育ほかいろいろな活動をしている。プレイヴェ
ン州コンポントラバエックにあるタンマトゥータ病院はカンボジア東部の地域病院の一つとなっている。
3. スヴァイリエン州のサンテ・セナー(The Santi Sena)は 1994 年に創始された。仏教寺院を通した環境保
全、道徳教育、農村開発、植林活動を実施している。また、サンテ・セナーはスヴァイリエン州のすべての
郡やプレイヴェン、クラチェ、タケオ州などでコンフリクト・トランスフォーメーション(対立する当事者の価値観や
パラダイムを転換(トランスフォーメーション)することによって、コンフリクトを解決していくというもの) 活動のネットワーク
を作っている。
4. コンポントム州の開発のための仏教協会(Buddhism For Development in Kompong Thom、BFDK)
は農村開発やコミュニティー林保護活動を行っており、地元の行政から寺院の近くの数百ヘクタールの森
を譲り受けている。そのほか、小規模融資、米銀行、苗木作りなどの活動を行っている。
5. 子どもたちの希望(Hope of Children、HOC)は 1992 年にバッタンバン州のノリア寺で創設された。センター
は一般の孤児やエイズ孤児等のシェルターとなっており、開設以来現在までに 300 人以上のエイズや戦
争や家庭内暴力のために孤児となった子どもたちを受け入れた。そのほかの活動であるが、エイズ家庭
のケアー、エイズ予防教育、女子の孤児のための縫製訓練などを行っている。
6. カンボジア救済センター(The Salvation Center of Cambodia 、SCC)はプノンペンのボトム寺にあり、地方か
らプノンペンに出てきて勉強を続ける貧しい学生たちを支援する活動をしている。数百人の学生がボトム
寺に寄宿し、仏教学校で学んでいる。SCCは 1994 年に創設され、2 か所に支部がある。一つはバッタンバ
ンのノリア寺にあり、もう一つはシェムリアップのアティ・スマーソン寺にある。
7. 知識の芽孤児院協会(The Sprout Knowledge Orphan Association)はバッタンバンのトゥール・ドーン・ポッ
ク寺にある。HOCと同様な活動をしており、エイズ孤児の支援をしている。
8. 貧困撲滅のための協働協会(The Cooperation for poverty alleviation Association)はプレイヴェン市内の
プンハ・ケータラーム寺にあり、プレイヴェンの貧しい子どもたちを支援している。センターは仏教に基づい
た道徳教育や仏教教育の支援をしており、一般の子どもたちだけでなく仏教学校の僧侶の支援もしてい
る。
9. カンボジア仏教青年連盟(The Cambodia Federation of Buddhist Youth、CFBY)はプノンペンにあり、仏教
に基づいた青年への道徳教育を行っている。CFBYは善良でよい行いをするカンボジアの青年を育成す
ることを主な目的としている。
10.仏教教育協会(The Buddhist Education Association)はシェムリアップ市内のボー寺にあり、植林や仏教
教育支援を行っている。協会は寺院の中にある仏教中学校に置かれている。
11.クメール社会の開発のための仏教徒(The Buddhist for Development of Khmer Society、BDKS)はクラ
チェ州のパッチャー寺にある。環境改善や植林、平和教育などの活動を行っている。BDKS はクラチェの数百ヘ
クタールの森林を保護したり、貧困家庭の女子に縫製訓練をしている。
1990年代に入っての在家の NGO、特に仏教を基盤にした NGO の出現はカンボジアの新しい動きであり、
これらの仏教NGOは大なり小なり SVA、Heinrich Boell Foundation, Konrad Adenauer Foundation, Deutsche
Gesellschaft Fur Technishe Zusammenarpeit (GTZ)などの国際NGOや国際機関、国連機関、各国大使館などの
資金的支援を受けて活動している。そのほとんどが、社会開発における課題解決に取り組んでおり、仏教教育
復興に携わる団体はほとんどいない。
4.プロジェクトの必要性、妥当性
(受益者にとっての事業の意義。調査結果を別添しても可)
カンボジアの仏教は 1970 年からの内戦、特に 1975 年から 1978 年のポルポト時代に完全に破壊され
た。全ての仏教寺院(3,369 カ寺)と初等から大学レベルまでの全ての仏教学校が破壊され、深刻な被害
を受けた。約6万 5 千人いた僧侶はすべて強制還俗させられ、多くの僧侶が亡くなった。人々は仏教を
信仰することを禁止され、心の拠り所を失い、カンボジアから仏教は消滅したかの様であった。
カンボジアの戦後の復興、発展において寺院は重要な役割を担ってきた。特に社会開発においては、
政府の支援が行き届かない地域おいて寺院が中心となって地域の様々な課題を人々とともに解決する
役目をはたしてきた。政府の国の開発方針の中でもすべての分野の開発活動において地域住民の参加を
強く促しており、住民の信頼のあつい寺院の役割はここでも期待をされている。国際援助機関やNGO
も各開発活動に積極的に寺院を巻き込んでいる。約半数の寺院がNGOと協力して社会活動を実施して
おり、寺院が社会開発活動に関わり、地域へ諸活動の重要性を訴えていくことで、活動の持続性へ大き
く影響することが注目されている。
そういった寺院の役割への期待が高まる一方で、精神的かつ地域社会のリーダーとしての僧侶の質や
寺委員会のマネジメントが問われている。カンボジアは仏教が国教であるものの、各寺院の存続はその
地域の人々の寄付によってまかなわれている。寺院が仏教を通して人々に道徳規範を教えることで社会
の秩序が保たれ、地域の結束が生まれてきたのである。寺院が地域社会の核となり、住民の連帯を強化
し、住民の地域の社会活動への参加を促し、村の社会開発活動が行われているのである。
しかし、仏教そのものを教える僧侶の質がポルポト政権下の徹底的な仏教の破壊によって低下し、仏
教を担う人材である僧侶の育成は最も重要であるにもかかわらず、信者であるカンボジアの人々の手に
ゆだねられてきた。一般教育等の分野と違って外国からの大規模な援助はほとんどなく、宗教省の予算
も非常に限られていたため、仏教教育の復興は遅れている。質の高い僧侶や指導者の育成は、仏教、寺
院のそのもの存続に関わるとして宗教省は最重要課題にあげているが、長期計画や予算が十分でない
等、多くの困難があり順調に進んでいるとは言えない状況である。仏教教育の要でもあった図書館のあ
る寺院はまだ非常に少ない。図書館がないことは寺院が人々へ教育や学び、知識の種をまく等の役割を
全うすることを無にしてしまいかねないものである。
宗教省は寺院、特に活発な活動をしている寺院に図書館を広げることは重要と考えているが、2013-2014 年
度の計画予算をみると図書館活動に全く予算がついていない上、省内に図書館運営を担える人材がいない。
SVAでは、これまで寺院を通した地域社会における社会開発活動の推進を支援してきた。今後もそ
の役割の拡大が期待される寺院の役割を維持し、強化するためにも最も重要な問題である人材育成すな
わち僧侶の育成、仏教教育への支援は不可欠である。
5.SVA が取り組む意義
カンボジア国内にて、仏教教育そのもの復興に携わる団体は非常に少ない。SVAはこれまで、社会
開発活動における寺院の役割に着目し、その支援を長年にわたって展開してきた。その活動の起源はS
VAの活動の起源でもあるカンボジア難民キャンプにさかのぼる。
SVAはこれまでの図書館活動の知識と経験をもって、仏教学校の図書館に焦点を当てた図書館活動と仏教
教育のシステムの強化に貢献できるであろう。SVAは教育サービスの発展のためにコミュニティーの自主性を
促進しながら、住民参加を促し、コミュニティーと地元行政、寺院のネットワークの強化を図ってゆく。このように
SVAは社会開発に人々を巻き込んでゆくために伝統的な方法を保っている既存のコミュニティーのネットワー
クを利用した組織作りを進めてゆく。
6.対象地域、受益者数
No
寺院名と場所
直接受益者数
仏教学校
生徒
(人)
寺の一
般僧侶
(人)
1
関節受益者数
(仏教在家信者)
寺の住民
(子供、若
者、大人)
(人)
174
4445 世帯、24480 人、
10 カ村
347
121
サムロン・オンデット寺(Samrong
Andet)、センソック地区、プノンペ
ン(仏教初等・中等学校、図書室あ
り)
204
126
146
2
ヴィヒア・トゥンリム寺(Vihear
Tunrim)、コンポンチャム州スオン
郡(仏教中等学校、図書室あり)
51
66
69
3
セタティナラム寺(Sethathinaram)、
コンポンチャム州オリャンオブ郡
(仏教初等学校、図書室あり)
51
665
101
4
チェイ・キリ寺(Chey Kiri)、 コンポ
ンチャム州コンンポンシエム郡(仏
教初等学校、図書室あり)
13
18
28
5
インランギセイ寺(Sovann Kiri)、 コ
ンポンチャム州プレイ・チョー郡(仏
教初等学校、図書室あり)
10
41
124
6
バトゥムラタナック寺
(Batumratanak)、コンポンチャム州
コンンポンチャム郡(仏教初等学
校、図書室あり)
出典: SVA(2013)、カンボジア仏教の現状と社会的役割に関する調査
2010 世帯、15400 人、
5 カ村
2353 世帯、9265 人、
20 カ村
907 世帯, 4267 人、
2 カ村
961 世帯、3110 人、
10 カ村
1711 世帯、5815 人、
6 カ村
※地方出張においての学校の確認により、変更の可能性あり
SVA 対象地域選定にあたっての判定基準
コンポンチャム州→ 長期計画・予算作成の際に、宗教省と SVA が地方の仏教学校の全体像を把握する必要があ
るために、様々なレベルの初等・中等学校を見る必要がある。一つの州に限定をし、州の宗教局もワーキンググル
ープと共に、州で抱えている仏教教育の問題点を把握する必要がある。まずはその州で図書館(室)を併設したモ
デル仏教学校の重要性と意義が認識され、一つの州でそのモデルを普及することの合意が形成される。そして、モ
デルを実際に普及するために州全体でどの様な取り組み、システムが必要か、等も検討される必要がある。州全体
へインパクトを与えるため、大きな 3 ヶ寺を異なる郡で選び、大きな寺院と比較するため小さな 2 ヶ寺を選択した。
モデル仏教学校の必要性がサンガの年次会議等で話し合われれば、サンガの仏教教育の問題点認識につながり、全
国展開することが見込める。
コンポンチャムは、カンボジアで最も人口と寺院の多い州であり、サンガの中で位の高い僧侶もいる。そして、全
てのレベルの仏教学校がそろっている。州の宗教局も全国で最も活発であるため、今回の事業地として選択した。
プノンペン→ プノンペンでは、全国からお坊さんが集まり、仏教初等・中等・高等学校、仏教大学に通ったり、
一般の大学へ通学したりしている。さらに、貧しい地方の学生がお寺に寄宿して、一般の大学や仏教大学へ通って
いる。そのため、図書館(室)の必要性が高い。
有名な寺院を選択することで、サンガの中で位の高い僧侶が図書館(室)を併設したモデル仏教学校事業に携わり、
その重要性と意義を認識し、サンガの上部組織、及び宗教省に働きかけがなされることが期待される。なにより、
首都であるプノンペンでこの事業を実施することで、より多くの人に図書館(室)を併設したモデル仏教学校の必
要性を認識してもらえる。
7.実施期間
2014 年 1 月 - 2016 年 12 月
8.ハンドオーバーする相手と持続可能性
カウンターパート:
主なカウンターパートは宗教省、仏教教育局、仏教研究所、州宗教局、郡宗教局
これらすべての関係者は事業の必要性、重要性をよく理解しており、仏教図書館や仏教教育に関心を持つ
NGOがほとんどないために、本事業を強く望んでいる。宗教省関係部局、現地行政機関、州宗教局、郡宗教
局、寺住職、寺委員会、仏教学校長等と協力し、上記のカウンターパートの間でワーキンググループを開設す
る予定である。本事業ではこの組織構成に従って、図書館事業が持続性的に実施されることを確実なものにす
るために関係者の能力強化をしてゆく。
能力強化:
仏教研究所
仏教研究所内にワーキンググループが設置され、図書館マネジメントについてのトレーニングが実施され
る。対象となる寺院でSVAと仏教研究所によって図書館マネジメントとサービスに関する研修会を開催する。
対象寺院は自分たちで図書館を運営することができるようになる。
仏教教育局
仏教教育局内にワーキンググループが設置され、計画と予算作成のためのトレーニングが毎年1回、
3カ年にわたり実施される。事業終了には彼らが自分たちでマスタープランを作成し宗教省に提出す
る。
資金的な持続性:
僧侶や住民、寺院からの支援を受けて、将来彼らが自分たちで活動を継続できるようになるために、
SVAは資金調達計画の作成方法や我々の教材を使って、トレーナーをサポートしながら研修会開催の
仕方を教えてゆく。政府の方針に変更がなく、自然災害や伝染病などの蔓延が対象地域でないならば、
持続性は高いと思われる。仏教研究所のスタッフにはすでに省から給料が支給されており、SVAは仏
教研究所が自分たちで図書館を運営できるようにする。また、僧侶図書館員についても給料を払う必要
はない。もし、彼らが更に資機材を追加したいなら、寄付金や信者からの支援を受けることができるか
らである。
役割と責任分担:
① SVA: SVAは仏教学校図書館に必要な資機材を支援する。SVAは仏教研究所と仏教教育局の
能力強化のための研修会を開催する。
② 仏教研究所:仏教研究所は仏教学校図書館を実施し、運営する上で主要な役割をたはす。
③ 仏教教育局:仏教教育局は全国の仏教学校を統括する局である。トレーニングを受けた後は彼らが
自分たちで仏教学校に関するマスタープランを作成することができるであろう。.
④ 寺院:寺院は図書館にふさわしい建物ないし部屋を提供する。図書館員となる僧侶を指名する。仏
教学校図書館の運営経費を寺院の予算の中で優先させる。仏教学校図書館、仏教学校運営のための
委員会を設置し、責任を持つようにする。図書館の設置、運営、実施に関してその他の関係者と全
面的に協力する。
9.上位目標
カンボジアにおいて、仏教初等・中等学校の教育のレベルが向上する。
10.プロジェクト目標と指標
プロジェクト目標
仏教教育局、初等・中等部の運営技能が強化される。
指標
1. 仏教教育局、仏教研究所、地方宗教局、寺院で協力制度の計画が作られる。
2. 仏教初等・中等学校のマスタープランが作られる。
3. マスタープランに図書館活動が記載される。
4. 仏教教育のネットワークが作られる。
11.成果、活動、指標
成果
1. 仏教研究所の図書館員の能力が向上する。
2. 対象地域において、モデルとなる仏教図書館が開設される。
3. 宗教省仏教教育局の計画・予算立案能力が強化される。
4. 仏教教育局と、仏教教育関連の団体とのネットワークが作られる。
指標
1-1.
仏教研究所の図書館員と職員のうち 5 人が研修を受ける。(チェック表に基づいて)
2-1. 対象の6ヶ寺の図書館員 6 人が研修を受ける。(チェック表に基づいて)
2-2. 年間に#人に図書館が利用される。
2-3. 年間に#日、図書館が開館される。
3-1. 仏教初等・中等教育のマスタープランの素案が作られる。
4-1. 異なる3団体が、仏教教育局の主催する会議に参加する。
活動
0. 仏教研究所、仏教教育局、対象寺の基本調査を実施する。
1-1. 仏教図書館ワーキンググループ(BLWG)を仏教研究所内に開設する。
1-2. 仏教研究所内で BLWG のメンバーを選出し、それぞれのメンバーの職務分掌(ToR)を作成する。
[仏教研究所職員・図書館員(4 人), 宗教省(1 人)]
1-3. BLGW の承認を宗教省から受ける。
1-4. SVA の図書館マニュアルを改訂し、印刷する。
1-5. BLGW メンバーが仏教図書館のトレーナーとなるための研修を実施する。(1 年目のみ、3 日間)
(図書委員会の役割、住民参加、本の貸し出しの制度、図書一覧用作成 、資金調達、読書推進、お知らせ
板等)
2-1. SVA、地方宗教局、対象寺との間で合意を結ぶ。
2-2. 研修について、対象寺の図書館員とワーキンググループへのアンケート用紙を作成する。
※ 研修終了後にアンケート用紙を埋めてもらう。
2-3. 図書館のセットアップとして、対象寺院に読書教材を供給する。(必要な場合は机や本棚も供給する)
2-4. 対象寺院の図書館員に対し、図書館運営、サービス、読書推進に関する研修を 2 つの地域で実施す
る。(2014 年 12 月/2015 年 12 月プノンペン、2015 年 1 月/2016 年 1 月コンポンチャム州)
(図書委員会の役割、住民参加、本の貸し出しの制度、図書一覧用作成 、資金調達、読書推進、お知らせ
板等)
※一度目の研修では、仏教研究所の図書館員がトレーナーになれるように補助をする。二度目の研修では
全ての研修工程を仏教研究所の図書館員で実施してもらう。
IMSL 同様、3 日実施する。
サンガ組織の高僧も招待する。
2-5. SVA と仏教研究所職員でアンケート結果についてフィードバックを実施する。(2015 年1月/2016 年 1
月の研修終了後)
2-6. BLWG と共に、対象寺院に対してフォローアップを実施する。
※SVA とワーキンググループが各寺院を訪れ、進捗状況を確認する。研修内容に従っているかアンケート
を作成する。
2-7. 年次会議を、BLWG、仏教教育局、僧侶、地方宗教局の間で開催する。(2 年目、3 年目)
目的は、今後彼ら自身でどのように学校を向上させていくかということと、また、協力制度の計画を作成する
こと。
各対象寺院は、図書館終了後の効果を共有する。(生徒・村人・僧侶への影響/ 読書推進/来年の計画等)
3-1. 宗教省仏教教育局内に、仏教学校ワーキンググループ(BSWG)を開設する。[仏教教育局(5 人), 宗教
省(1 人)]
3-2. BSWG の承認を宗教省から受ける。
3-3. BSWG への計画・予算書作成の研修を実施する。(1 年目のみ、5 日間)
3-4. BSWG が、仏教教育局の年間計画とマスタープランを作成できるように助力する。
3-5. BSWG が研修で受けたことを実践しているか確認するためのフォローアップをする。
3-6 BSWG が対象地域の仏教初等・中等学校の現状を理解するためのフィールドワークを助力する。(2 年
目、3 年目)
4-1. 仏教教育局が仏教教育の分野でネットワークを作れるように助力する。
4-2. 仏教教育における経験を共有するために、仏教教育局を助力する。 (毎年1回)
12.実施体制
(カウンターパート)
1) 宗教省 Ministry of Cults and Religion (MoCR)
2) 仏教研究所 Buddhist Institute (BI)
3) 仏教教育局 Buddhist Education (BE)
4) 仏教局 Buddhism Department
5) 州宗教局 Provincial office of Cults and Religion (PoCR)
6) 郡宗教局 District of Cults and Religion (DoCR)
7) 対象地域の僧侶、仏教学校教員、僧侶図書館員
8) 各寺院の住職、寺委員会
SVA スタッフ:
1) シニアコーディネーター1名
2) コーディネーター1名
3) アシスタントコーディネーター1名
4) 伝統文化事業担当1名
13.モニタリング・報告の方法
(Monitoring will be conducted bi-monthly at each target temple)
モニタリングは各対象寺院に対し、2 カ月に 1 回の割合で実施する。
13.1 事業計画とモニタリング
この年間事業実施計画は 3 カ年計画と整合していなければならないが、地域の現実的な状況に合わせて
修正される。この計画は地元行政機関の 3 カ年計画に含まれたり、整合したものとなるであろう。また、ここ
に記されている活動を実施するための資金状況によって修正される。
SVAは事業評価、地域社会の状況、関係者からの要望などに従って、出口戦略計画を作成する。計画は
参加型で作成され、3 カ年の事業が終了する 2 か月前にドナーに提出される。透明な移行プロセスが示さ
れ、上位目標達成への行程を提示する。
13.2 報告書作成、スケジュール
報告書は事業の実績と達成された成果、問題点、詳細な支出報告を含む。
14.評価の計画
事業では参加型手法を用いて、住民、関係機関、もし希望があればドナーも参加して年間事業評価を実施
する。評価にあたっては、計画と比較して成果がどの程度達成されているか、課題、教訓、次年度への抱負等
の項目に注意する。最終事業評価は事業チームやドナーから独立した外部の専門家によって行われる。指標
の一部は事業のモニタリングや評価において使用する。
 もの、サービスを利用した地域の人口比率
 最も利用されているもの、サービス。特定のものを使った人数の詳細な分析。これらのものが最も利
用された理由。
 あまり利用されなかったものとサービス。その理由
 あまり利用されなかったものとサービスのタイプとこれらのものとサービスするためにどのような促進
方法を開発したか。
 配布された資材、図書
 最も要望が高かった教材
 最も利用された教材
 あまり利用されなかった教材
 これらのものを利用するための促進方法
 コミュニティーのコミットメントと参加度の評価
 もし追加のアドバイスがあれば、予算、実施可能性、持続性の修正。
15.特別な配慮事項
特になし