フランスの建設工事保証保険制度

フランスの建設工事保証保険制度
フランソワ・オスール
SMABTP 課長
序
現行のフランスの建設工事保証保険制度は、「スピネッタ法」という名称の方がよく知られ
ている 1978 年 1 月 4 日発効の法律に由来しているもので、1979 年 1 月 1 日以降に建てら
れたあらゆる建築に適用される制度である。
この法の取り決めは、消費者運動の現れであり、ヨーロッパで唯一建設分野における法的
保証保険を持つ国としてフランスをこれまで長きにわたって位置づけてきた(スペインを
除く。スペインでは幾分異なった取り組みが行われてきたが 2000 年以来強制保険制度が採
用されている。)。
建設工事保証保険の分野は、この法律で定められた強制保証、および強制保証に加えて保
険契約に応じたさまざまな程度の保険会社が提案した「任意」保証もカバーしている。
強制保険制度の説明
フランスの法体系では 2 つの付保義務が組み合わせられている。
第一は雇用主(すなわち仕事をさせる人)に依存するもので、10 年間の性質を持つ損
害の修理を保証する事前資金調達保証となる保険証券、いわゆる「Dommages Ouvrage
(損害保険)
」保険証書に署名して証明することが義務付けられている。
第二は契約者に依存するもので、契約者の 10 年間の法的責任をカバーするように義務
付けられている。
この付保義務の適用範囲は、建設工事に関連する 10 年間の危険のみに適用される。
しかし、
これらは本法律に記載されていないので、その概念は広範囲な判例法の対象であり、ます
ます多くの建造物がこの付保義務に結び付けられている(スイミングプール、情報網、擁
壁など)。
保険契約の保証の程度およびそれらの運用手続きは侵害できない規制された規範条項に厳
密に定められている。そのため、強制的な建設保証保険の分野では契約上の自由がほとん
どない。
保険の義務には、必要な保証を申し込まない人への刑事制裁が付随してくる。それはまた
「保証する義務」に束縛されている相手方の保険会社も付随してくる。これは、法的責任
があるものは、その権利を有する強制保証に署名して同意する可能性があるためである(10
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年間損害賠償保険や損害保険)。Bereau Central de Tarification(中央評価事務所)は提示
されたリスクの保険がかけられる可能性に従って、本法律の施行に着手する。
「損害保険」契約
付保義務に対する法的責任
修復や改築を含む建設工事をさせている人すべて
しかし、国家、自分自身の目的で建設する場合、公法のモラルパーソン、および居住以外
の目的で自分自身のために建物を建設した一部の私法のモラルパーソン(会社の負担する
危険)についてはこの義務に対するいくつかの法的免除がある。
保険の保証の適用範囲
「Dommage Ouvarage」保険は、いかなる責任も調べずに、保険に入っている建設工事に
影響を与える 10 年間の性質の物質的損害の修理に必要なすべての作業の支払いを保証する。
保証期間
「Dommage Ouvarage」保険は、作業を始める前に申し込みをしなければならないが、い
くつかの例外を除いて作業の引渡し前にもまた 1 年の「完全な完了」の期間にも保証は適
用されない。引渡し後 10 年を経過すると保証はなくなる。保険証書のほとんどは一回の業
務で発行される。
保証金額
保険は、全物価スライド方式で計算された建設コストの限度内で建設の修理作業の総計の
支払いを保証しなければならない。強制保証に関する控除免責金額は本法律で禁止されて
いる。
損害賠償要求の処理
損害の支払いに関する手続きは細部にわたって規制されており、保険会社は制裁を恐れて
損害賠償要求の取り扱いについて非常に短期間の遅滞を設定している。この友好的な手続
きは裁判所への訴訟に必要な 1 つの前提条件である。
賠償金が支払われるとすぐに、
「Dommage Ouvarage」保険会社は、損害の修理に必要な金
額の支払いを前もって行っており、契約人とその保険会社に対して償還を行うことができ
る。
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10 年間の損害賠償保険
付保義務に対する法的責任
雇用主(建築家、デザイナー、総合建設請負業者など)、不動産開発業者、不動産売買業者、
居住施設建設業者や一部のプレハブ要素の製造業者との契約を通して直接関係している契
約者は、それらの 10 年間の賠償責任を保証するために保険を申し込む義務がある。
保険の保証の適用範囲
この保険は、保険契約者の 10 年間の法的責任が係っている場合参画する建設工事の修理作
業の支払いを保証する。
保証期間
保険契約は確定期間を規定し、工事が始まる前に承認を受け、また 10 年の賠償責任期間の
すべてを保証しなければならない。
契約のほとんどはいわゆる「包括予定(1 年)」保険契約であり、保証の有効期間に生じた
建設工事契約すべてをカバーするものである。
保証金額
保険証券は保証金額の限界を何も規定していない場合があるが、控除免責金額がなく必要
な修理の全費用を保証しなければならない。
損害賠償要求の処理
損害賠償要求の処理に関する法律により個々の規則は記載されていない。10 年間の責任保
険は多くの場合「Dommage Ouvarage」保険会社の償還プロセスに係っているので、損害
賠償要求の処理を容易にして、償還プロセスを最適化するために「Dommage Ouvarage」
保険会社と 10 年間責任保険会社との間で和解契約が提示されてきた。この建設工事保証保
険和解契約(フランスの CRAC)は各損害について独自の損害査定人がいるという事実に
基づいている。
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10 年の傷害は、引渡しまで隠されていて、引渡し後 10 年の期間中に生起し、建設工事
の堅固さを脅かす重大な性格、あるいは構造物内に組み入れられた装置に影響を及ぼす重
大な性格、あるいはその構造がその使用に適合していない重大な性格を現している障害で
ある。
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