平成27年度三学期始業式挨拶 皆さん、明けましておめでとうございます。平成28年が皆さんにとって、すばらしい 年になることを願っています。二学期の終業式で、年末・年始の行事は、時々区切りをつ けて気持ちをリセットし、次の一歩を踏み出すための先人の知恵であるということを伝え ました。そして、新しい年への決意を新たにし、様々なことに挑戦する気持ちを養ってく ださいとお願いしました。今、皆さんは、心新たに自分自身に挑戦していこうという気持 ちになっているでしょうか。そういった気持ちを持つことはとても大切なことだと思いま す。 さて、「ルーティーン」という言葉を聞いて、皆さんは何を思い出すでしょうか。昨年、 スポーツ界の大きな話題が幾つもありましたが、ラグビー・ワールドカップでの日本代表 チームの活躍は、その一つだと思います。その中で、五郎丸選手のあのポーズはあまりに も有名になりました。そこで、あのポーズのもつ意味について少し調べてみました。 何かのプレーをする前の一連の動作を、正式には「プレ・パフォーマンス・ルーティー ン」というそうです。そういったルーティーンは、ほかのスポーツ選手も多く取り入れて います。イチロー選手がベンチを出てからバッターボックスに立ち静止して構えるまでの 間、実に17種類のプレ・パフォーマンス・ルーティーンを行っているそうです。 このようなルーティーンは、その動作をしたときいい結果が出たので、験(ゲン)を担 いで何となく同じ動作をしている訳ではないようです。ラグビー日本代表のメンタルトレ ーニングコーチを務め、五郎丸選手とあのルーティーンをつくった、荒木 香織 兵庫県 立大学准教授のブログによると、 ① 何度も同じ動作を練習することにより、それに続くプレーをスムーズに行うことが できる。 ② 動作に集中することにより、観客の歓声や相手の動きなどの外的な障害、自分自身 の不安感や心配などの内的な障害を取り除くことができる。 ③ 同じ動作を行うことによりストレスの軽減につながる。 ④ 動作を通じて、それに続くプレーのリハーサルをするため、プレーの修正をするこ とができる。 という効果があるそうです。プレッシャーを取り除いたり、集中できたりするのはもちろ んですが、あのルーティーンは、自分自身のプレーを改善するための方法でもあるという ことです。 型を決めた一連の動作が、自分自身のプレーを改善するためのものであるというのはど ういうことでしょうか。それは、自分のプレーを改善するためには、何かを変えなければ ならない。しかし、変えるものは一つに絞り込んでおかなければ、変えたことの効果が分 からないということです。つまり、ルーティーンというのは、変えるものを一つに絞り込 むために必要な動作だということです。 このように五郎丸選手のルーティーンについて調べてみて、ラグビー日本代表の歴史的 な勝利の陰には、本当に繊細で小さな努力の積み重ねがあったということが分かりました。 驚きだったのは、五郎丸選手の拝むようなあのルーティーンを完成させるのに2、3年か かったということでした。 私たちも新しい年を迎えて、心新たに自分自身に挑戦していくためには、日常の中で努 力を積み重ねていく必要があります。私たちにとって、プレ・パフォーマンス・ルーティ ーンとは何でしょうか。考えてみると朝起きて登校し夜寝るという、あまりにも当たり前 な日常の生活そのものが、私たちそれぞれのルーティーンでないかと思います。伯方:先 生方が皆さんに話をされるとき、三点固定、つまり起きる時間、勉強を始める時間、寝る 時間をきちんと決めて生活しましょうという話をされることがあります。この三点固定と いうのがまさに皆さんにとってルーティーンなのです。 何か新しいことに挑戦しよう、自分を何とか成長させようとするときこそ、日々の当た り前のことを当たり前にすることが大切なのだということが、五郎丸選手のルーティーン について調べているうちに分かりました。 日々の当たり前のことを当たり前にすることは、決して難しいことではないと思います。 ただ、難しいのはそれを続けることではないでしょうか。この三学期は、3年生にとって は社会に出て行く準備の期間であり、1、2年生にとっては新しい学年を迎えるための準 備の期間です。そのためにも、ここでもう一度、自分自身の日頃の生活を整えてほしいと いうことを皆さんにお願いしておき、そして、三学期が皆さんにとって充実したものにな ることを期待して三学期始業式の式辞とします。
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